「地方消滅」の脅しで選択と集中を押し付けるもの (質問動画)
選択と集中押し付け 地方創生3法案 衆院委で可決 宮本岳志氏が質疑 田村氏反対討論 (しんぶん赤旗)
189-衆-地方創生に関する特別委員会-11号 平成27年05月29日
平成二十七年五月二十九日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 鳩山 邦夫君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君
理事 寺田 稔君 理事 福田 昭夫君
理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君
井上 貴博君 伊藤 達也君
池田 道孝君 岩田 和親君
大岡 敏孝君 加藤 寛治君
勝俣 孝明君 金子万寿夫君
木村 弥生君 黄川田仁志君
小泉進次郎君 新谷 正義君
瀬戸 隆一君 田中 英之君
武部 新君 谷川 とむ君
津島 淳君 とかしきなおみ君
根本 幸典君 野中 厚君
平井たくや君 ふくだ峰之君
福田 達夫君 宮川 典子君
奥野総一郎君 吉良 州司君
佐々木隆博君 鈴木 貴子君
本村賢太郎君 木内 孝胤君
篠原 豪君 村岡 敏英君
吉田 豊史君 稲津 久君
濱村 進君 田村 貴昭君
宮本 岳志君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
内閣府副大臣 平 将明君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
総務大臣政務官 あかま二郎君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室次長) 満田 誉君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室長) 内田 要君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 若井 英二君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 北本 政行君
参考人
(東京大学大学院総合文化研究科教授) 松原 宏君
参考人
(宮城県東松島市長) 阿部 秀保君
参考人
(会津若松市長) 室井 照平君
参考人
(奈良女子大学教授) 中山 徹君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 畠山 裕子君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 根本 幸典君
加藤 寛治君 池田 道孝君
谷川 とむ君 木村 弥生君
中谷 真一君 岩田 和親君
平井たくや君 ふくだ峰之君
平口 洋君 新谷 正義君
山田 賢司君 瀬戸 隆一君
義家 弘介君 武部 新君
緒方林太郎君 本村賢太郎君
寺田 学君 鈴木 貴子君
篠原 豪君 吉田 豊史君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 金子万寿夫君
岩田 和親君 中谷 真一君
木村 弥生君 谷川 とむ君
新谷 正義君 平口 洋君
瀬戸 隆一君 山田 賢司君
武部 新君 義家 弘介君
根本 幸典君 津島 淳君
ふくだ峰之君 平井たくや君
鈴木 貴子君 寺田 学君
本村賢太郎君 緒方林太郎君
吉田 豊史君 篠原 豪君
同日
辞任 補欠選任
金子万寿夫君 加藤 寛治君
津島 淳君 大野敬太郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
――――◇―――――
○鳩山委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、四人の参考人の先生方、まことにありがとうございます。私の方からもお礼を申し上げます。
早速質問に入るわけですけれども、きょうはお二人の市長様に来ていただいておりますが、どちらの町も合併を体験されておられます。それで、もちろん合併というのはそれぞれの町の判断でありますけれども、随分、やるときには事前に、合併すればこういうふうに支援するという枠組みをつくってやったわけでありますけれども、同時に、それと一体に三位一体改革ということもやられまして、逆に地方交付税の方は随分減らされるということもございました。
当委員会でも随分、やはりこれからのことを考える上で、これらの施策がどうだったのかということをしっかり見きわめる必要があると私たちは主張してきたわけでありますけれども、今では、これを進めた地制調の西尾勝会長なども、三位一体改革はこんなはずではなかった、惨めなる結果に陥った、大失敗としか言いようがないと国会に出てきて語られたこともありますし、平成の大合併についても、もう少し、編入合併される側の町村の小さな自治を大事にするということもやった方がよかったんじゃないか、こういう御発言もございました。
率直に、合併されて、そして三位一体改革というものも経験されて、各首長としてこれをどう受けとめておられるか、お二人の首長さんからお話を聞かせてください。
○阿部参考人 まず、市町村合併についてでありますが、平成十七年に合併した自治体はちょうど合併十周年という年になります。今、そういった中でどうだったんだという御質問でありますが、東日本大震災で、東松島市については小さな合併でありますので、きめ細かに住民自治に力を入れていましたので、後で調査していただければ御理解いただけると思いますけれども、東松島市では合併が非常に力を発揮した部分が大きかったのかな、そう思います。
そういった中で、三位一体改革のお話も出ました。この件につきましては、平成二十年十一月に全国市長会の方で、地方交付税の減額について不満を表明しておりますので、組織としても、六団体の中でも全国市長会についてはそういった表明をさせていただきました。
東松島市ではどうだというと、これは各自治体の皆さんそうなんですけれども、実は、地方交付税で地方創生と同じようなそれぞれのまちづくりに取り組んでいるんですね。ですから、恥ずかしながら、この地方交付税がやはり我々にとっては生命線かな。要するに、地方税ゼロの自治体もあるわけですので、これをいただいて、どうだと威張って言えることではございませんけれども、ただし、地方交付税、総務省からそういった配慮いただいている自治体にとっては生命線なのかなというふうに感じております。
以上でございます。
○室井参考人 お答えをいたしたいと思います。
三位一体改革での交付税のお話がありましたが、やはり交付税、予算化するときの算定が非常に微妙なところがございます。ですから、それがもうちょっとクリアになったり、要するに、しっかりと予算組みができる、やってみたらば足りなかったということになると、自治体はやはり財政力が弱いわけでありますから、その辺に関しては、実はこの三位一体改革で非常にいろいろな面で自治体は苦労したわけでありまして、今後も、国におかれましては、その辺の御配慮をぜひお願いをしたいと思います。
平成の大合併についてでありますが、私どもも十年でございます。新市としての一体的な事業もしっかり進んでおりますし、合併特例債につきましても、私どものところは震災地ということで十年延長をお認めいただきました。残された期間、特例債事業をしっかりやっていくということが一番大事だというふうに思っています。合併したときのお約束というふうに申し上げています。それぞれ、社会基盤が多いわけでありますが、やるべきことはしっかりやることが新市としての新しい未来が開けるものと思います。
ただ、残念なのは、いろいろなお約束の中で、一定期間後に縮小しなければいけないようなものもあるわけでありますが、地域文化、お祭りであったり地域固有のものについては、やはりこれはコミュニティーですから、しっかり残すような努力を新市の対応としてとるべきだというようなスタンスで、今周りの皆さんとはお話をさせていただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。そのとおりだと思うんですね。
それで、とりわけ、人口減少社会と言われる中で、どう国土を守っていくのかというのは非常に大きな課題だと思います。災害も非常に多い。それで、防波堤などのハードな構造物で防ぐという考え方もあるわけですけれども、大事になってくるのは、災害に強いまちづくりをいかに進めるか。この点で、阿部参考人からも、随分先駆的な取り組みのお話をお伺いいたしました。また、中山先生は、奈良県南部の復興支援にこの間取り組んでこられたという話も冒頭のお話でございました。
そこで、阿部参考人と中山参考人に、災害に強いまちづくりという点で、地域住民の自治の力をどう発揮させていくか、お二人の御見解をお伺いしたいと思います。
○阿部参考人 実は、宮城県は、宮城県沖地震ということで、大体三十五年前後に一度は大地震が発生するというふうに政府の地震調査委員会でも発表されております。ちょうど私が市長を拝命した平成十七年では、当時、政府の地震調査委員会では、この十年の確率五〇%というふうに言われました。二十年で八〇%、三十年で九〇%というような、そういった政府の調査委員会がありましたので、やはり市長の使命は安全、安心なまちづくり。
昭和五十三年に宮城県沖地震がありました。そして、平成に入りまして、平成十五年に、死者が出なかったので余り目立たなかったんですけれども、私ども東松島市を中心とする直下型、要するに、震度五強、それから震度五弱二回、一日三回の地震がありました。今回の東日本大震災よりは、建物の被害が非常に大きかったです。時間は短かったんですけれども、直下型ですから、下からですから。
そういったことで、それが今回の東日本大震災の対応には生きたわけですけれども、そのときに思ったことは、やはり、自助、まず自分たちの命を守る自助、それには、プラス共助で、地域で自治防災をつくっていただくということで、みずから自分の命、地域で助け合う共助、それを全部市内でつくっていただきました。これは宮城県で一番最初だったというふうに思います。
そういった中で、今回の東日本大震災で、さらに、沿岸部よりは比較的被害の少なかった内陸部がお互いに助け合う共助、そして震災後には、お互いに地域の中で、町の中で災害協定を結ぶ、地域の協定を結ぶというような、そういった取り組みまで今いっています。
ですので、私は、これは行政がしかけたんじゃなくて、住民の皆さんがみずから、これまでの経験とかそういったもので、命を守るために、あるいはこれからの防災、減災のために何が必要なのか、そういうことで、これまでの宮城県の、あるいは東松島市の教訓を生かして、今後の防災、減災に生かしてきたというのはそういった考えでございます。
私は、やはり、行政がしっかりと皆さんと情報を共有しながら、国、県と連携しながら取り組んでいくことが生命財産を守ることだというふうに思っております。
以上でございます。
○中山参考人 自治の力をどう引き出すかということなんですけれども、自治の力を引き出す場合、やはり最も重要な役割を果たすべきは行政だと思いますね。
今回の自然災害にしましても、市民がきちっと立ち上がって自主的にいろいろなことをしていく場合、それをきちっと支援していく行政が存在しているかどうか、やはりそこが復興についても大きな明暗を分けているんじゃないかなと思います。もちろん合併に対する評価はいろいろとあると思いますけれども、小さくても役場が存在していたかどうかということが、その後の復興にとっても極めて大きな違いを出してきたのではないかなと思います。
ですから、市民とか地域の人の自治の力を高めていくときに、やはり行政の果たす役割というのは極めて重要でして、行政の力をどう高めていくのか。特に地方創生なんかでも、この間頑張っておられるところは、やはり行政が頑張っているところだと思います。もちろん、先ほども企業の移転とかもありましたから、そういうことは大いにやったらいいと思うんですけれども、やはり地域の自治力を高めていくために一番早いのは、むしろ行政職員をふやしていく。
だから、いろいろと補助金をつけて民間企業の誘致もやったらいいと思うんですけれども、同じお金をかけるのであれば、行政職員をふやしていくということをきっちりやって、行政が核になって地域の活性化を考えていく、防災力も高めていく。やはり行政が地域のかなめになるという、そこの視点が重要ではないかなと思っています。
○宮本(岳)委員 ありがとうございます。
そういう力を本当に地域で高める上で、私は、地方国立大学、地方大学の役割というのは非常に大きいと思うんです。
資料を見せていただきますと、室井市長の会津若松でも、地元の会津大学、それから国立大学でいいますと、東京農大と一緒になっていろいろな町おこしに取り組んでいるという話もありました。
ただ、私がこの委員会でも明らかにしたんですが、今、地方国立大学が運営費交付金がどんどん削られて、さっき地方交付税交付金の話がありましたが、大学の方も運営費交付金が、基盤的経費が削られて、各地の国立大学から、このままではそういう地方創生の知の拠点としての役割すら果たせないという悲鳴の声が上がっているということを御紹介申し上げました。
そこで、そういうお話のあった会津若松の市長さんと、それから国立大学で教鞭をとられている松原先生、そして中山先生から、地方国立大学の基盤的なそういう経費をきちっと確保することについての御意見をお伺いしたいと思います。
○松原参考人 私の資料で図の九というのはちょっと駆け足でしたので説明いたしませんでしたけれども、この図にあるんですけれども、産学官連携が、東京だけではなくて、三大都市圏だけではなくて、地方圏でも活発に行われております。そういう状況をこれでは示しております。
特に理工系の大学の学部が割合、地方の工業都市に多くあります。例えば山形県の米沢、ここには山形大学の工学部があるんですけれども、そこでは有機ELの研究というのが非常に熱心に行われております。長野県上田ですけれども、信州大学の繊維学部があります。その繊維学部では、ナノテクノロジーの立派な研究成果というのが出てきております。
たくさん、例を挙げれば切りがないんですけれども、地方国立大学の特に理工系の学部、そこが産学連携の核になっております。昨年も福井大学を訪問いたしましたけれども、福井大学で、公設試、福井県の工業センターですか、公設試験研究機関、地域の中小企業と一緒になりまして、炭素繊維の新しい製品なども生み出しております。そういう面では、地方国立大学の地方創生に果たす役割というのは非常に大きなものがあると思います。
財政的な支援も大事ですけれども、卒業生をどうやって地域に定着させていくか、卒業生の就職先として地方都市のあり方というものを考えていく必要があると思っております。
以上です。
○室井参考人 お答えをしたいと思います。
会津大学は単科大学でございます。情報通信専門ということで、二百四十名の定員で四カ年ということでありますので、そういう意味でいうと、会津若松市のみならず福島県にとっては大きな力でございますが、実は、六割が県外から来られまして、八割が県外に行かれます。ですから、県内の方までよそで御活躍されるということで先ほどのシナリオになっているわけでございますので、今後もそういう意味での御支援をいただきたいと思います。
今回、私の資料の四枚目でございますが、農作物の鮮度IT管理ということで、イオングループ、これは、震災以降風評被害もございました、それをしっかり応援していただいて、それに今回は東京農大さんのさまざまな知見をいただきまして、新規参入まで可能にする科学的な裏づけをつくっていただきたいということでやっております。
また、農業は地方にとっては新しい産業の一つという位置づけで、六次化も含めて、農産物の一次加工場、カミサリーという言葉がありますけれども、その誘致の方もイオングループの方に今お願いしている経過にございます。
いずれにしても、大学の知というものは普遍的なものであります。ぜひ、活用させていただけるような御支援を国にもお願い申し上げたいと思います。
○中山参考人 御指摘のように、地方の大学がその地方の創生にかかわっていくということは非常に重要なことですし、それが大学にとってもプラスになりますし、その地域にとってもプラスになると思います。
ただ、現状では、そういったかかわり方というのは、どちらかというと三年から五年のプロジェクト単位でやっていくものが圧倒的に多くて、一方では経常的な経費が減る中で、そういった短期間のプロジェクトで進めざるを得ない、そういう大きな問題があるのではないかなと思います。
やはり大学が地域にかかわるというのは、お金がついたときだけかかわるのではなくて、経常的にずっとかかわっていくということが大学にとっても重要だし、地域にとっても重要だ、そう理解しています。そのためには、三年とか五年のプロジェクトを重点的にやっていくというよりも、そういったものが安定的に続けられるような経常的な財政保障というのがどうしても必要ではないかな、そのように思います。
○宮本(岳)委員 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鳩山委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
安倍内閣の地方創生というものは、地方から活力と魅力を奪った自民党政治への総括も反省もなしに、人口減少と地方消滅のおどしで危機感と諦めをあおり、選択と集中を地方に押しつけるものにほかならないと思います。
先ほども参考人から数々の貴重な御意見をいただいたばかりであります。我が党は、地方創生三法案の審議は到底尽くされてはいないと考えます。しかし、けさの理事会では、私の反対を押し切って、この質疑の後、質疑を終局することが決められました。改めて、我が党は質疑終局に反対だということを申し上げておきたいと思います。
なぜ安倍内閣の地方創生はそのようなものにしかなり得ないのか。それは、あなた方が今日の人口減少と地方の衰退という事態をつくり出したこれまでのみずからの政治に全く無反省だからだと言わなければなりません。
石破大臣は、平成の大合併、三位一体改革が失敗だったと認めた西尾勝氏の国会発言を引いての私の質問にも、口が裂けても失敗だったとはお認めになりませんでした。
改めて聞きますけれども、それでは、今日、地方がこのような事態になっているのは、自民党がこれまでやってきた政治の結果である、このことについてはお認めになりますか。
○石破国務大臣 それは、長く我が党が政権を担当させていただいております。今日、日本国に起こっておりますことの全ての責任は、与党であった我が党が負うべきものであります。それを人に責任転嫁しようなぞとは思っておりません。
ただ、私どもが思っておりますのは、均衡ある国土の発展という言葉があり、そして全国に高速道路であるとか鉄道であるとか、そういうネットワークを張ってまいりました。できるだけ同じような利便を享受していただくようなインフラも整備をしてまいりました。そこにおいて、委員のお言葉をかりれば、選択と集中ではないか、けしからぬではないかというお話になりますが、その地域地域において、その発達したインフラを用いて、今だけ、ここだけ、あなただけみたいなまちづくりというものに対して私どもがどれだけの支援をしてきたであろうかということについては、私自身、内心じくじたるものがございます。
ですので、世の中に起こっておりますことのあらゆることは、政権を担当してきた者たちが負うべきものであります。ですから、私は、今までの政策が全部失敗だったとは思っておりません。ただ、改めるべきものは常に改めるという真摯さを持っておらねばならないと考えております。
○宮本(岳)委員 この半世紀、自民党がやってきた国土計画というものは、一体いかなるものであったか。
一九六二年の全国総合開発計画、旧全総以来、一九九八年の五全総に至る全総路線は、計画の内容は異なっても、目標は過疎過密の解消であり、行政主導で地方の開発を進めるというものでありました。
やがて国家財政の悪化によってそのような公共事業政策の維持が困難になりますと、多国籍化した経済界からは、国際化に役立たないような地方向けの公共事業の削減が求められるようになりました。
小泉構造改革が進めたのは、従来のような公共事業を通じた地方経済の維持ではなく、限られた財源を大都市部の国際競争力強化に割り振るということでありました。そして、これと軌を一にして進められたのが、平成の大合併という地方の集約であり、三位一体改革という地方交付税の削減であったわけであります。これが都市部への人口集中と地方の疲弊に一層拍車をかけて、これが地方経済まで疲弊をさせてしまった。
石破大臣、おおよそこういう流れだったわけですね。
○石破国務大臣 結果平等を志向する地方交付税制度、そしてまた、それぞれの地域に必ずしもジャストフィットしているとは言えない補助金の制度というものは、やはり常に見直していかねばならないものだと思います。
私が反省をしておりますのは、道路さえつくれば、インフラさえ整備すればみたいなところがあったのではないだろうか。そしてそれぞれの地域において、ある意味、その地域に必ずしもふさわしくない補助金を、事業が大きい、補助率が高い、自己負担が少ないということで選ぶ傾向があったのではないだろうか。あるいは財源保障機能にしても、財源調整機能にしても、それが結果平等を志向するものであったがゆえに、その地域地域のいろいろな創意工夫を、結果として、それを十分に発現するようなものであったであろうかという反省は私自身持っております。
今までが間違っていたとは申しません。しかしながら、これから先、さらに地方の創意工夫、あるいは民間の活力、地域間連携、それが発現されるような努力はしていきたいと思っております。
○宮本(岳)委員 昨年七月に、国土交通省は国土のグランドデザイン二〇五〇というものを発表いたしました。これが今回の地方創生の下敷きの一つになっております。
ここで打ち出されたキーワードがコンパクト・プラス・ネットワーク。国交省のペーパーには、国土の細胞としての小さな拠点と高次地方都市連合等が掲げられております。
この高次地方都市連合というものが、この前議論した総務省の地方中枢拠点都市圏構想と合わさって、地方創生総合戦略に言う連携中枢都市圏構想ということになっております。
国土交通省に聞きますけれども、この高次地方都市連合というものは、人口何万人以上を基準にしているか。また、二〇一〇年時点で、人口三十万人以上の都市圏は全国に何カ所ございますか。
○北本政府参考人 お答え申し上げます。
昨年七月に国土交通省が策定いたしました国土のグランドデザイン二〇五〇におきましては、高次地方都市連合が確保すべき人口規模の例といたしまして、人口十万人以上の都市の一時間圏に人口がおおむね三十万人以上となる都市圏ということで挙げさせていただいております。
そして、何カ所あるかということでございますけれども、三大都市圏を除く人口十万人以上の都市から自動車で六十分以内に到達できるエリアの人口が三十万人以上となる都市圏の数は、二〇一〇年時点では六十一カ所あるという試算でございます。
○宮本(岳)委員 では、この人口三十万人以上の都市圏は、四十年後、二〇五〇年には何カ所となる推計をしておりますか。
○北本政府参考人 国土のグランドデザイン二〇五〇におきましては、同様の定義の人口三十万人以上の都市圏の数は、二〇五〇年には四十三カ所になると推計してございます。
○宮本(岳)委員 現在三十万人を超えている六十一都市圏のうち、十八都市圏は二〇五〇年には人口三十万人を維持できなくなる。そこで、人口三十万人を守り、都市圏の機能を維持するために高次地方都市連合というものが打ち出されております。
一例として、石破大臣の地元、鳥取県の米子市と島根県の松江市を高速道路でつないで、松江・米子都市圏をつくれというような話であります。
しかし、このグランドデザインにおける二〇五〇年時点での地域ごとの将来推計によりますと、全国の人口が九千七百七万人、三大都市圏が五千三百六万人、それ以外は四千四百一万人となっておりまして、人口減少率は、全国で二四%の減、三大都市圏は一八%の減、それ以外は約三割の減。結局、三大都市圏の人口比率は上昇する推計となっております。
国土交通省、この推計に当たって、将来推計の全国値と二〇四〇年までの地域別推計はどのようなデータを用いて計算いたしましたか。
○北本政府参考人 お答え申し上げます。
全国の総人口の将来推計につきましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口、平成二十四年一月推計のデータを用いております。そうしまして、地域別の将来人口推計につきましては、同じく国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口、平成二十五年三月推計、及び総務省の平成二十二年国勢調査のデータを用いております。
○宮本(岳)委員 結局、社人研の推計に基づいて、三大都市圏以外では今後三割程度の人口が減少するという将来人口予測を与件とした上で、そのように変化した場合、地域でどのように生活を支えるべきかという議論にすぎないわけであります。
国土交通省に聞きますけれども、三大都市圏以外では三割も人口が減少するという前提をそのままにして、スーパーメガリージョンなどといって、三大都市圏である東京、名古屋、大阪をリニア中央新幹線で結んだら、一層、東京一極集中が進むのではありませんか。
○北本政府参考人 お答え申し上げます。
リニア中央新幹線の整備によりまして、東京―大阪間は約一時間で結ばれ、いわば都市内移動に近いものというふうに認識してございます。三大都市圏の経済、産業、文化等が一体となりまして、それぞれの個性を発揮させながら、新たなイノベーションを持続的に創出するスーパーメガリージョンというものを形成することによりまして、世界から人、物、金、情報を引きつけまして、世界を先導していくことが期待できるというふうに考えてございます。そして、このスーパーメガリージョンの効果を、リニア中央新幹線と他の交通ネットワークとの結節の強化でありますとか、全国各地の創意工夫等によりまして、全国に波及させ、地域の活性化を促すことが極めて重要というふうに考えてございます。
○宮本(岳)委員 一時間で結んだからといって一体化される保証など、どこにもないんですよ。今でも名古屋と新大阪は東海道新幹線の「のぞみ」を使えば五十二分間で結ばれております。結ばれて既に随分時間がたちますけれども、名古屋と大阪が一体化したというようなことはないわけですね。
結局、全総路線を初めとする自民党政治への総括も反省もないまま、相も変わらずスーパーメガリージョンといえばリニア新幹線、ネットワーク化といえば高速道路というような話しか出てこないわけです。
グランドデザインは、今お話があったように、世界最大のスーパーメガリージョンたる三大都市圏のインパクトを地方拠点都市に波及させ、地方都市のインパクトを農山村の小さな拠点に波及させるという発想であります。これは、大企業が栄えれば中小企業も栄え、やがて労働者、国民の所得も上がるでしょうというトリクルダウン理論の地方版にすぎないと言わなければなりません。
大臣、本当に地方を活性化させようと思ったら、全く逆の道を行かなければなりません。農山村で安定した雇用を確保し、それで得た所得で小さな拠点を維持する、そのような集落が地方都市の公共施設や学校、商業施設を支え、それらの地方都市が地方拠点都市を支えるように考えなければなりません。インパクト効果は小規模から大規模へというのが二十一世紀にふさわしい国土計画ではありませんか。
○石破国務大臣 かつて地方が活性化した時代というものがあって、それは公共事業と企業誘致によるものだった。それと同じものを再現するというのは、今の日本の状況からして不可能である。そうであるがゆえに、まさしく小さなもの、地域にしかないもの、これをどうやって最大限に引き出していくかということを考えなければ、地方創生というものはないと思っております。
いろいろな新幹線もできますでしょう。高速道路もできますでしょう。そしてまた、やがてはリニアも走るのでしょう。ですけれども、この日本国じゅう、あちらこちらを見てみて、本当に活力のある地域というのは、必ずしも交通が便利なところではない、あるいは大資本があるところでもない。そうではないところこそ活力があるというのを、私、随分見てまいりました。
そういうような取り組みを全国に広げていくということは地方創生において必要なことだということであり、それが小から大へという方向性を持ったものかどうかは存じませんが、必ずしも交通至便なところが活力があるわけではない。その地域における創意工夫をどれだけ我々として支援するかがこれから先の政府の役割だと考えております。
○宮本(岳)委員 最初に着目し整備するべきは、最も小さな農山漁村でなければならないと思います。そこを限界集落のような姿で放置しながら、上から選択と集中を迫るというやり方では地方創生など望むべくもないということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。