消費税増税 低所得者にダブルパンチ 「簡素な給付措置」廃止で 宮本岳志議員が追及(しんぶん赤旗)
190-衆-財務金融委員会-2号 平成28年02月12日
平成二十八年二月十二日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
あかま二郎君 井上 貴博君
井林 辰憲君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 大野敬太郎君
勝俣 孝明君 國場幸之助君
助田 重義君 鈴木 隼人君
薗浦健太郎君 田野瀬太道君
中山 展宏君 根本 幸典君
野中 厚君 福田 達夫君
堀内 詔子君 務台 俊介君
宗清 皇一君 村井 英樹君
山田 賢司君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 鈴木 克昌君
前原 誠司君 宮崎 岳志君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 高鳥 修一君
内閣府副大臣 福岡 資麿君
財務副大臣 坂井 学君
財務大臣政務官 大岡 敏孝君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(財務省主計局次長) 可部 哲生君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(財務省財務総合政策研究所長) 冨永 哲夫君
政府参考人
(国税庁次長) 星野 次彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 堀江 裕君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 加藤 庸之君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 あかま二郎君
國場幸之助君 堀内 詔子君
竹本 直一君 村井 英樹君
同日
辞任 補欠選任
あかま二郎君 薗浦健太郎君
堀内 詔子君 國場幸之助君
村井 英樹君 竹本 直一君
同日
辞任 補欠選任
薗浦健太郎君 井上 貴博君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
財政及び金融に関する件
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○宮下委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
この間の衆議院、参議院の予算委員会の審議を聞いておりまして、私は大変驚きました。消費税率を一〇%に引き上げた場合、いわゆる軽減税率を導入したとしても消費税負担額がどれだけふえるのかとの質問に対して、衆議院での答弁と参議院予算委員会とでは大きく食い違ったからであります。
去る一月十三日の衆議院予算委員会で、我が党の宮本徹議員に対して麻生大臣は、国民一人当たり及び世帯当たりの増税額について、それぞれ一万四千円と三万五千円、こう答弁されました。それが、参議院予算委員会答弁では二万七千円と六万二千円に倍増したわけであります。
まず確認しますが、なぜ負担額が拡大したか、これをお答えいただけますか。
○麻生国務大臣 お尋ねの消費税率一〇%への引き上げに伴う一人当たり及び一世帯当たりの消費税負担増加額につきましては、これは、家計が負担する消費税率二%分を掛けますと四・六兆円というものになり、二・三兆円掛ける二で、四・六兆円から軽減税率導入による減収見込み額約一兆円を差し引いた額、すなわち三兆六千億円を家計における消費税負担増加額の総額と見ることが適当であることから、まず、一人当たりの負担増加額は、この三・六兆円を一億三千万人で割りまして二万七千円程度となり、次に、一世帯当たりの負担増加額は、同じく三・六兆円を五千六百万世帯で除した六万二千円程度になるものと考えております。
これまでの議論の中において、一人当たり及び一世帯当たりの消費税負担増加額として、家計調査をもとに、一人当たり一万四千円程度、一世帯当たり三万五千円程度とお答えしたことがありますが、これは、収入階級別の数字に関するお尋ねに対しまして、データというものの制約上、家計調査によらないとお答えができないという状況のもとで、総世帯平均もこれと整合的なものにするという観点から、家計調査に基づく機械的な試算をお示ししたものということを御理解いただきたいと思いますので、負担増加額を過小に示そうとしたものではありません。
その上で、両者の違いが生ずるのは、家計調査が、サンプル調査によりまして、家計消費の内容や構造、動向の把握を目的とした統計でありまして、消費支出の総額を捉えるということを目的としたものではないということによるものである、私どもはそう考えております。
いずれにしても、この種の誤解を招くことになりかねませんので、今後は、収入階級別の負担増加額など、データの制約上、家計調査によらないとお答えできない場合には、家計調査に基づく機械的な試算であるといった形であらかじめ明示するなど、どのような統計を活用したのかを含めまして、丁寧に御説明をしなければならぬところだと考えております。
○宮本(岳)委員 配付資料の一を見ていただきたいんです。
これは、財務省が昨年十月二十九日の与党税調に提出した資料であります。下の、参考、消費支出額及び一%当たりの税収という欄。この時点で既に財務省は、二〇一五年度予算から推計した場合、国民経済計算から推計した場合、そして家計調査から推計した場合、三通りの方法で一%当たりの税収を算出しております。
つまり、ことし一月十三日の衆議院予算委員会で宮本徹議員に答弁した時点で、政府及び財務省はこの三通りの試算による消費税増税の国民負担額をちゃんと知っていたはずだと思います。これは事務方でいいんですけれども、事実ですね。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
お示しの資料は、御指摘のとおり、昨年十月二十九日の与党の税調に提出をしたものということでございます。
○宮本(岳)委員 既に去年の段階でわかっていたんですね。
ところが、総理や麻生大臣は、先ほどの答弁にもあったように、所得階級別の世帯単位での消費税負担額を尋ねられたから、家計調査の計数をそのまま用いて算出される世帯ごとの消費税負担額を答えたのだ、こういう答弁を繰り返されております。
しかし、一月十三日の宮本徹議員の質問を改めて議事録で確認しますと、「麻生大臣に伺いますが、飲食料品と新聞以外のものが消費税一〇%に引き上げられた場合、現行の八%と比べてどれだけ増税になるのか。一世帯当たりの増税額、一人当たりの増税額についてお答えください。」というものであります。
別に宮本徹議員は、あなた方の言うような所得階級別の世帯単位での消費税負担額などを質問しておりません。ただ単に、一世帯当たり、一人当たりどうなるかと聞いているんですね。これは言いわけにもならないですよ。
では聞きますけれども、一月十三日、予算委員会で麻生大臣が、あらかじめ計算済みであった三通りの負担額の中から、別に所得階級別の消費税負担額など聞かれてもいないのに、家計調査をもとに推計した負担額一万四千円と三万五千円、これを答えたのは一体どういう理由ですか。
○麻生国務大臣 一月十三日の衆議院の予算委員会において、家計調査における平均的な一人当たりの負担増加額を機械的な試算としてお示しをしたものは、御質問いただいた宮本議員からあらかじめ、総世帯平均の消費税負担額とともに収入階級別のものに関する資料の要求を受け、収入階級別のデータをとることができます家計調査に基づく機械的な試算をお示ししてきたということや、質問の事前通告におきましても、総世帯平均の消費税負担増加額とともに、収入階級別の消費税負担の増加割合をお尋ねされるとされていたことによるものであります。
したがいまして、これは、収入階級別の数字に関するお尋ねに対して、データの制約上、家計調査によらないとお答えできないという状況にありますので、総世帯平均もこれと整合的なものにするという観点から、家計調査に基づく機械的な試算をお示ししたものであったというように御理解いただければと存じます。
○宮本(岳)委員 あらかじめ資料要求したかどうかは私は知りませんけれども、そのときの問いは、別に所得階級別に答えよというようなことは一切言っていないんですね。
そもそも麻生財務大臣は、一月十九日の参議院予算委員会で我が党の小池晃議員に対し、我々、税収からとってきたものの方が、一兆円と申し上げておりますけれども、この方が基本的には正しい、常に正しいものなのだと私どもは思っていると答弁されました。
一人当たり二万七千円と世帯当たり六万二千円の消費税負担増というのが基本的に正しい、常に正しいと理解していながら、一月十三日の予算委員会では、わざわざ家計調査から算出した、その正しい額のほぼ半分の、小さい方の額を答えたということになります。単純に、準備された大臣の答弁書がそうなっていたということなのか、あるいは、あえて小さい負担額をお答えになったのか、どちらかしかあり得ません。
どちらにせよ、これは事実に反した、間違っていたわけでありますから、素直にその誤りをお認めになるべきではありませんか。
○麻生国務大臣 質問の事前通告で収入別のお尋ねがあったということも確かでありましたし、実際に議事録を見られたらわかると思いますが、一月十三日の予算委員会で収入別の質問もあったと記憶をいたしております。
○宮本(岳)委員 私の後、また宮本徹議員が質問いたしますから、ぜひ直接御本人とやっていただきたいと思うんですが、少なくともこのときの答弁は、後に倍に膨れ上がるような不正確なものであったということであります。
そこで、次に軽減税率について少し議論をしたい。
軽減税率の導入は、低所得者に配慮するための逆進性対策だと言われております。安倍総理は、消費税における、所得が低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いといういわゆる逆進性を認めた上で、この逆進性を緩和する観点から、ほぼ全ての人が毎日購入している酒類及び外食を除く飲食料品等を対象に軽減税率制度を導入することを決定したと答弁いたしました。
どうして食料品等の軽減税率の導入で逆進性が緩和されると言えるのか。これまで政府の説明では、消費税率を一〇%に引き上げたとき、消費税負担の軽減率が低所得者層ほど大きいと説明してまいりました。
配付資料の二を見ていただきたい。
所得階層別の消費税負担率と軽減税率導入による負担軽減率を示しております。所得が低いほど、左へ行くほど、点線の軽減率は確かに大きくなっております。
財務省、このことを言っているわけですね。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる逆進性という点のお尋ねでございますけれども、この図にございますように、消費税率を一〇%とすることとした場合において、軽減税率制度を導入すれば、これを導入しない場合と比べまして、収入に対する消費税負担の割合が低所得者の方がより大きく引き下がるという趣旨で、その意味におきまして逆進性が緩和される、こういうことでございます。
○宮本(岳)委員 では、配付資料の三を見ていただきたい。
収入に対する消費税負担率が、たとえ軽減税率を導入したとしても、消費税率を八%から一〇%に引き上げた場合にどうなるかを示したグラフであります。赤い部分が現行の八%、緑の部分が新たに負担増になる増税分であります。低所得層ほど、緑の部分、負担の増加率もふえております。
大臣、これは紛れもなく逆進性が高まったということではありませんか。
○麻生国務大臣 もともと、御存じだと思いますが、これは一〇だったら赤はもっと上の方にあるわけですから、そこのところだけちょっと忘れぬようにお願いします。
家計調査に基づいて申し上げると、これは、軽減税率制度を導入して消費税率を一〇%に引き上げる場合においても、消費税率八%の場合と比べれば、収入におけますいわゆる消費税負担の割合の増加度合いというのは、低所得者のプラス〇・九の方が、高所得のプラス〇・四より大きくなる。正しいと思います。
しかしながら、軽減税率制度を導入いたしますと、軽減税率を導入せずに消費税を一〇%にした場合と比べますと、収入に占める消費税負担の割合の引き下げ度合いというものは、低所得者の方は〇・五、そして高所得者が〇・一ということになりますので、消費税の逆進性の緩和につながるということなんだと思っております。
加えて、消費税率の引き上げによる増収分は、全額社会保障の充実等々、所得の低い方々に対しましては、これは社会保障の充実とか安定化に充てることになろうと思いますし、国民健康保険の保険料軽減の拡充を講じることといたしておりますので、これはまさに所得再配分につながるものと考えております。
いずれにしても、消費税率一〇%に引き上げは、これは社会保障と税の一体改革というもので、この世界に冠たる社会保障制度というものを次の世代に引き渡していく責任が我々の世代にあろうと思いますので、今後とも市場とかまた国際社会からの国の責任等々を確保するためのものでありまして、これに伴う低所得者層への配慮という点から軽減税率を導入するというものであると御理解いただければと存じます。
○宮本(岳)委員 いや、使い方の話、社会保障に使うかどうかという話はやっていないんですよ。税の取り方の議論をやっているんですよ。
それで、逆進性を認めた。逆進性は緩和されるかという議論をやった。低所得者は高所得者よりも収入が少ないわけですから、収入に占める軽減税率の軽減度合いというものが低所得者の方が大きくなるというのは、それは母数が少ないんですから当然のことでありますが、私が問題にしたのは、しかし、八パーを一〇%に引き上げたときの税負担の増加率も同じく低所得者の方が高くなるだろう、こういう話をしたんですね。
わかりやすく、資料四に、全部をまとめたグラフをつくっておきました。これは、青が五%です、消費税。赤は八%です。緑の一〇%、これは、もちろん食料品等の軽減税率も考慮した一〇%が緑です。これは線が引いてありますが、この線は私が勝手に引いたのではなくて、ちゃんと平均をとる、そういう関数を入れたグラフとして平均値をとっております。
このグラフを一見していただけばわかるように、低所得者層ほど、つまり、左へ行けば行くほど直線の間隔は開いております。たとえ軽減税率を導入したとしても、消費税率を一〇%に引き上げた場合に、低所得者の消費税負担の増加率は高所得者の消費税負担の増加率に比べて大きくなる、これはもう否定しようのない事実だと思うんですが、大臣、よろしいですね。
○麻生国務大臣 これは先ほどの御質問とほぼ同趣旨の御質問なんですよね。
それで、図が違っているところが、こっちの方が、示しておられるこのグラフがさっきの質問と違うものを使っておられるんですが、三つ分けて色を使われて、わかりやすくつくっておられるんだと思いますが、私どものレベルに合わせていただきましてありがとうございました。
軽減税率がなくて一〇%に引き上げた場合というのは、このグリーンはもっと高くなるということなんだと思いますけれども、比べまして、低所得者への負担も軽減できたということではないかと思っておりますので、先ほどお答え申し上げましたとおり、所得再配分等々いろいろなものにこういったものを私どもが使えていきますので、今言われましたように、額としてはおっしゃるとおりですけれども、率の面も考えていただければということを申し上げております。
○宮本(岳)委員 そうなんです。どう言おうが、八%を一〇%に上げたら、たとえ消費税を八%に据え置いたとしても、低所得者層ほど消費税負担率の増加は大きくなる、これは動かしがたい事実なんですね。まさにこれこそ逆進性というものであり、逆進性は高まると私どもは思いますね。
にもかかわらず、あなた方は、軽減税率により、日々の買い物の都度、痛税感の緩和を実感していただける、こう言って、その例として、総理は、コンビニの買い物で千百円ではなくて千八十円のままだなと思うことによって痛税感は緩和されるだろうなどとたびたび答弁をしております。
痛税感の緩和というのは、その言葉のとおりですよ、痛みを和らげること。つまり、何か得した気にさせることにほかなりません。
しかし、実際には、この表でも明らかなとおり、低所得者層ほど逆進性はかえって高まることになります。これこそ、まさに中曽根元総理がおっしゃったように、羊が鳴かないように毛をむしり取ろう、こういう話ではありませんか、大臣。
○麻生国務大臣 ちょっと見解が違うかと存じますが、酒類及び外食を除く飲食料品のいわゆる消費支出全体に占める割合を見た場合に、家計調査の計数をもとに、一定の前提のもとに機械的に試算すれば、年収千五百万円以上の世帯では一五%程度にとどまる一方、年収二百万未満の世帯では三〇%近いということでありますので、低所得世帯の方が飲食料品の割合が高いということはこれからわかるんだと思います。
したがいまして、低所得者の方が消費税負担の軽減度合いが大きくなりますので、まさに逆進性の緩和につながっていくものだと思っておりますし、また同時に、ほとんどの御家庭では、日々、飲食料品を購入されておられます。最近はコンビニとかいろいろな形のものが近くにありますので、これらを対象にいたしました軽減税率の導入というのがやはり日々の痛税感の緩和につながるので、毎日行くというようなところのものの値段が据え置かれるとか、そういったことによる痛税感の緩和というのに我々は重きを置いたというように御理解いただければと存じます。
○宮本(岳)委員 いろいろ言うても、まさに負担の増加率は上がるわけですね。
では、次の、それだけにとどまらないという議論に行きたいと思うんです。
今回の制度では、軽減税率が八%に据え置かれるだけなので、軽減税率対象品目以外のものを消費税一〇%で買えば、低所得者層も全て増税になります。しかし、低所得者層の負担の増加はそれだけではありません。
そこで、確認したいんですけれども、消費税八%への増税時に、低所得者の負担を軽減するために、臨時福祉給付金、いわゆる簡素な給付措置として現金が支給をされました。配付資料の五にそのときの厚生労働省のポンチ絵をつけてあります。
住民税非課税の人約二千二百万人を対象として、消費税率を八%にアップする際に簡素な給付措置を支給すると。これは、消費税率引き上げによる影響を緩和するため、消費税率引き上げに伴う食料品支出の増加分、三%アップ分を参考に算出した額を支給した、こういう説明になっておりますが、厚生労働省、間違いないですね。
○堀江政府参考人 お答え申し上げます。
簡素な給付措置につきましてのお尋ねでございますけれども、厚生労働省では支給の実務を担当しておりますけれども、その内容については御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 そうしますと、資料六を見ていただきたいんです。私が作成した消費税増税の負担に関する概念図でありますけれども。
つまり、簡素な給付措置を受けていない人にとっては、今回の増税は、食料品等が八%に据え置かれて、その他だけが一〇%に増税されます。一方、簡素な給付措置を受けている住民税非課税の方々約二千二百万人にとっては何が起こるか。簡素な給付措置がなくなることで、実質上、食料品の消費税率は、これまで五%に抑えられてきたものが八%に増税されて、その他の消費税は低所得以外の方と同じく一〇%に増税される、こういうことに財務大臣、なりますね。大臣、なりますね、そうなりますね。
○麻生国務大臣 今のは多分通告を受けていなかったと思いますので、ちょっともう一回言っていただけますか。
○宮本(岳)委員 そうしますと、簡素な給付措置というものを受けている住民税非課税の方々にとっては、この給付措置が廃止されれば、八%導入時に五%に抑える三%分として出されてきた分がなくなるわけですから、これが八%に引き上げられることになりますねと聞いているわけです。
○麻生国務大臣 失礼しました。
そもそも、消費税の一〇%に引き上げというのは、御存じのように、社会保障と税の一体改革の一環として行われるものですので、その増収分は、全額社会保障等々の充実、安定化に充てることとしておりますのは御理解をいただいているところだと存じます。
また、特に所得の低い方々に対しては、国民保険の保険料の軽減の拡充とか、介護保険料の軽減の完全実施とか、年金生活者支援給付金の支給等を新たに実施等を講じることとしておりますので、消費税の負担はこうした受益とあわせて一緒に評価をしていただく必要があろうかと存じます。
○宮本(岳)委員 使い道の話はさっき聞いたんですよ。何に使うかという議論をやっているんじゃないんです。取り方なんですね。
大臣は先日の所信表明でも、その際、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として軽減税率制度を導入いたしますとおっしゃるから、配慮になっているかどうかを議論しているわけですよ。
それで、これは御承知のとおり、資料にもつけましたが、民主党、自民党、公明党の三党合意の後、修正された抜本改革法第七条一号のロというところに書き込まれたものに基づくものなんですね。
それで、この条項の追加と簡素な給付措置について、当時の議事録には興味深い質疑があります。
二〇一二年八月十日の参議院社会保障と税の一体改革特別委員会で、三党合意の後の修正案について、共同提案者であった公明党の竹内譲衆議院議員は、同じく公明党の荒木清寛参議院議員に対して次のように答弁をいたしました。
二〇一四年四月からの増税とはいえ、八%ですよ。
増税とはいえ、まだまだ非常にデフレ経済の下、非常に景気が悪いと、また売上げも上がらず、給与も上がらず、可処分所得も向上していないと。こういう中では非常に国民の間にはまだまだ厳しい認識があろうというふうに思っております。そういう意味で、やはり八%の段階からしっかりとした低所得者対策が必要であると。
現実には簡素な給付措置というのが盛り込まれておりますが、これだけでは不十分でありまして、国民の理解を得るにはやはり八%の段階から複数税率を排除すべきではないというふうに考えた次第でございます。
こう述べておりますね。
八%の段階で軽減税率を導入したいんだが、やはり八%の段階からしっかりとした低所得者対策が必要であるという公明党の御主張で簡素な給付措置がつくられた。その経緯を踏まえて、事実上、食料品五%据え置きとなる額の給付を行ってきた。これは財務省、事実ですね。
○佐藤政府参考人 三党合意に至る経緯のお話にかかわる部分でございます。
御説明申し上げますと、まず、政府提出段階におきまして、税制改革抜本法第七条で、給付つき税額控除、総合合算制度等の低所得者に対する総合施策を講ずるということとあわせまして、それまでの間の暫定的な臨時措置として簡素な給付措置を実施する、こうなった後で、その後の三党協議におきまして、自公民の中で複数税率の検討をすべきではないかという話があり、最終的には、調整された結果、これも含めたものとなっております。
したがいまして、成立いたしました抜本改革法上は、総合合算制度、給付つき税額控除、軽減税率制度を検討するというそれとの関連で、それがしっかりとした結論が出るまでの間の措置としてという位置づけで簡素な措置ができたということになってございます。
○宮本(岳)委員 そのとおりでしょう。そういうことで合意されたわけでしょう。私は当時、社会保障と税の一体改革特別委員会のメンバーだったんですよ。論戦に当たってきた本人ですからね。ごまかしたって、当時の議事録には幾らでもそういう議論がございます。
当時の国会審議では、八%の増税時に簡素な給付措置か複数税率を導入すべきだ、そういう議論、それから、世界の軽減税率は五%だとの主張がなされておりました。
例えば、先ほどの荒木清寛参議院議員は、二〇一二年八月十日の特別委員会で、「食品に関する消費税で見ますと、イギリスは〇%、アイルランドは〇%、ドイツは七%、フランスは五・五%、ルクセンブルクは三%、ポルトガルは五%、チェコは二%でありますので、軽減税率を導入しないと、食品だけを見ればむしろ日本の方が高いというケースも出てくる」と述べ、同じく公明党の西田実仁参議院議員は、七月二十七日の特別委員会で、今世界にある軽減税率をかけているところに関しては、特に食料品に関しては平均で四%、まあ五%程度のものというのが世界標準だと述べて、八%の増税時に簡素な給付措置を導入し、実態として、食料品の五%に据え置く、こういう措置がとられたんですね。これは来年からはやらないんです。
あなた方は、消費税の八%の増税時には、食料品に関しては平均で四%、まあ五%程度だと言っておきながら、そして簡素な給付措置を入れておきながら、消費税、来年四月からは、今度はたとえ軽減税率を導入して八%に据え置いたとしても、低所得者層の食料品の消費税負担は五%から八%へ三%分も増税するということになるじゃありませんか。いかがですか。
○麻生国務大臣 これは、先ほどの答弁と重なるところもあろうかと思いますが、消費税の負担というものは、他のいろいろな受益とあわせて考えていかぬといかぬことになるんだというように思っていただかぬといかぬところなので、介護保険料の軽減の完全実施とか、いろいろ、年金生活者支援給付金等々、新たなものもやりますので、そういったものと一緒に合算して考えていただかないといかぬところかと思っております。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、きょう私は、消費税の増税が低所得者層ほど税負担率が大きくなる、逆進性は高まるという事実を示しました。同時に、食料品については、引き下がるどころか、これまでの実質五%から八%へ、低所得者の方こそ引き上がるという話を指摘いたしました。
これのどこが配慮なのかと言わなければなりません。まさに、低所得者こそダブルパンチだと言わなければなりません。弱い者いじめの消費税増税はきっぱり中止すべきだということを指摘して、私の質問を終わります。