財務省面会時 昭恵氏に言及
音声記録で籠池氏 「特例ありがたい」
宮本議員が入手
学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典理事長(当時)夫妻が、2016年3月15日に国有地の取引をめぐって財務省幹部と面会した際の録音とされる音声記録を、日本共産党の宮本岳志衆院議員が関係者から入手しました。このなかで籠池氏が、地中ゴミの対応などを求めた際、安倍晋三首相夫人である昭恵氏の名前をあげていたことが明らかになりました。(詳報)
この日、籠池氏が面会したのは財務省の田村嘉啓・国有財産審理室長です。田村氏は15年秋、森友学園の土地取引について問い合わせてきた昭恵氏付の政府職員に回答しています。
面会で籠池氏は、森友学園の小学校建設用地であらたなゴミが見つかったことについて、財務省近畿財務局が処理せずに「そのまま埋め戻してほしい」と指示したと抗議。財務省に早急な対応を求めていました。
籠池氏は交渉中に、「昭恵夫人のほうからもたしか報告聞いてもらったことがあると思うけど」と言及。「あの方自身が愚弄(ぐろう)されていると思った」「(小学校の)棟上げ式にね、首相夫人がこられてモチをまくことになっているから」とも語り、親密さを強調しています。
森友学園は、国有地を借地期間の10年以内に購入できるとする契約を15年5月に近畿財務局と交わしました。この契約について、籠池氏は「特例にしてくれたことはありがたい」と発言。財務省側は、国有地処分の「特例的なものはわれわれにも相談がきます」と、同契約が特例であることを説明していました。
財務省側は「われわれとしても応援の気持ちでやっている」「せっかくここまできたんで、相談しながらやっていくべき」と積極的な協力を表明しています。
この面談の9日後に、森友学園側は土地の購入を申し入れました。近畿財務局は16年6月に鑑定価格より約8億2千万円も値引きして売却する契約を結びます。急速に購入がきまったことについて、籠池氏は証人喚問(3月23日)で「神風が吹いた」と表現していました。
宮本議員は25日の衆院財務金融委員会で、真相解明のため籠池氏と田村室長の参考人招致を求めました。
森友・財務省面談記録
政府答弁との食い違い次々
籠池氏 昭恵氏の名繰り返す
日本共産党の宮本岳志衆院議員が入手した学校法人「森友学園」(大阪市)と財務省の面会を録音したとされる音声記録から、これまでの政府答弁との食い違いがつぎつぎと浮かび上がってきました。その内容とは―。
(三浦誠)
森友学園の籠池泰典理事長(当時)夫妻が同省を訪問したのは、2016年3月15日。財務省の田村嘉啓・国有財産審理室長ら複数の職員が応対しました。
籠池氏は、森友学園の小学校工事を受注した業者と近畿財務局との打ち合わせ(15年9月4日)について不満を強く伝えます。打ち合わせでは、業者が小学校予定地であらたに確認されたゴミの処分の方法を財務局に相談。財務局側は処理費用が高いことに難色を示し、「(小学校予定地で)場内処分の方向で協力お願いします」と述べていました。
記録「ない」いえず
音声記録によると、籠池氏は近畿財務局と業者の打ち合わせの記録があるとして、財務省の田村室長にその内容を詳細に説明します。
これまで財務省の佐川宣寿理財局長は国会で「交渉記録は残っていない」と繰り返し答弁してきました。
ところが、今月25日の衆院財務金融委員会では、宮本議員の「打ち合わせ記録について、森友学園の関係者から説明や提供をうけたか」という質問に、佐川局長はこう答弁しました。
「記録の提供を受けたかどうかは承知していない」
「ない」とはいえなかったのです。打ち合わせ記録を財務省が持っているのではないか―そんな疑念が強まっています。
安倍晋三首相夫人の昭恵氏のかかわりについても新たな事実が出てきました。籠池氏が財務省と交渉した当時、昭恵氏は森友学園の小学校で名誉校長を務めていました。
財務省との面会で籠池氏は、昭恵氏の名前を繰り返しあげてみせました。
「昭恵夫人のほうからもたしか報告聞いてもらったことがあると思うけど」「(近畿財務局の担当者が)総理夫人のことよく聞くなーと思って」
宮本議員は衆院財金委(25日)で、田村室長との面会時に籠池氏が自身の支援者に「昭恵氏がいることを示唆し、交渉したのではないか」と質問。佐川局長は「具体的な内容について本人(田村室長)は記憶していない」と答弁しています。
昭恵氏付に回答も
田村室長は、15年秋に昭恵氏付の政府職員から森友学園の土地取引について質問をうけ、回答しています。そんな田村室長が、昭恵氏についての話を「記憶していない」というのは不自然です。籠池氏と田村氏を国会に呼ぶなど、徹底解明が必要です。(しんぶん赤旗日刊4/28付けより転載)