加計で決まりのプロセス 前川前次官「背景に官邸の動き」
閉会中審査 宮本岳・田村智両議員が質問
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり衆参両院が閉会中審査として10日、文科・内閣委員会の連合審査会を開きました。参考人で出席した文部科学省の前川喜平前事務次官は「はじめから加計学園に決まっていた。加計学園に決まるようにプロセスが進んだ」と証言。「背景に官邸の動きがあった」とものべ、官邸の和泉洋人首相補佐官や萩生田光一官房副長官が2018年4月開学を迫ってきたとの認識を示しました。日本共産党からは宮本岳志衆院議員と田村智子参院議員が質問し、真相解明のため関係者の証人喚問と安倍首相出席の集中審議を求めました。
宮本議員は、「この問題で行政がゆがめられたとはどういうことか」と質問。前川氏は、▼2018年4月開学などの条件が次々につけられ加計学園だけが残った▼国家戦略特区法が求める国際競争力の強化という目的にあうか検証されていない▼閣議決定された4条件に合致するか議論されていない、という問題点を列挙。加計学園を前提に進んでおり、「非常に不公平であり、国民の目からよく見えないところで決定された」と指摘しました。
田村議員は文科省の複数の内部文書で獣医学部新設の時期が「平成30年(2018年)4月開学」となっていることを質問。前川氏は「(愛媛県)今治市での設置が前提で、平成30年4月は大前提で動かせないと確認されている」と説明。開学時期は、「『総理のご意向』としか聞いていない」と強調しました。
官邸との関係について、前川氏は昨年9月上旬に和泉補佐官から官邸に呼び出され、「総理は自分の口から言えないから代わりに言う」と獣医学部新設の対応を早くすすめるよう要請されたと証言しました。
官邸の萩生田副長官と文科省が昨年10月7日に面会した記録について、前川氏が事務次官在職中に担当課から受け取ったと説明。萩生田氏は同日の面会と特区について話があったことを認めました。
安倍首相が6月24日に突然、「2校でも3校でも獣医学部の新設を認める」と述べたことについて、前川氏は国家戦略特区で全国展開するには「今治の成果を評価することが必要だ」と指摘。「評価に10年は必要で、すぐに2校目、3校目というのは論理的にできない」と反論しました。
同日の審査には野党が求めた安倍首相、和泉補佐官らは出席しませんでした。前川氏は、「証人喚問があれば受ける」と明言しました。(しんぶん赤旗7/11日刊付けより転載)