米軍ヘリ事故 地権者「事後報告だった」
土壌搬出 防衛相「了解得た」
宮本議員が追及
事故現場は民有地にもかかわらず、米軍は現場を封鎖し、沖縄県の立ち入りを拒んできました。宮本氏は、炎上地点での県の立ち入り調査がようやく認められた20日、米軍が事故機の残骸とともに深さ数十センチまで土壌を掘り起こし、そっくり持ち去ったと指摘。「これでどうしてまともな土壌汚染調査ができるのか」と批判しました。
小野寺五典防衛相は「米軍側から、地権者の了解を得て、周囲に散らばった機体の残骸の回収と、汚染の拡散防止のため事故機の直下やその周辺の土壌を搬出したと聞いている」と述べました。
これに関して地権者の西銘晃さんは本紙に対し、「土壌汚染の試験については事前に説明があったが、ヘリの部品等を回収するためダンプで大量に土砂を運んだのは事後報告だった」と述べ、了解していないとの考えを示しました。
沖縄タイムスも10月21日付で「地権者の同意を事前に得ず、重機で事故現場周辺の土壌を掘り出し、7トンのトラック延べ5台で運び出した」と報じています。(詳報)
沖縄・高江 米軍ヘリ墜落事故
地位協定抜本見直しを
衆院予算委 宮本岳氏の追及
日本共産党の宮本岳志議員は28日の衆院予算委員会で、沖縄県東村高江で10月11日に発生した米海兵隊の大型輸送ヘリCH53の炎上事故について、米軍に特権を与えている日米地位協定が壁となって日本側が十分な事故の調査や原因究明を行えていないと告発し、同協定の抜本的見直しを求めました。
安倍晋三首相は21日の衆院本会議で「防衛省、県警、県の関係者も現場に立ち入り、放射能調査を実施した」と強調していました。これに対し宮本氏は、沖縄県は事故発生から2日後の13日に炎上地点に入ろうとしたものの米軍に止められ、内周規制線の中にようやく入れたのは17日だったと指摘しました。
小野寺五典防衛相は、「規制線内で(調査を)初めて実施したのは17日だ」と認め、「米側の同意を得るのに6日間を要した」と弁明。一方で、「十分な調査ができた」と強弁しました。
宮本氏は、日本側の調査は炎上地点から3~40メートルの地点でしか認められず、有害物質の残留分析に必要な土壌採取も十分に行えなかったと指摘。炎上地点の調査がようやく認められた20日には、既に米軍が事故機の残骸と深さ数十センチまでの土壌を持ち去っていたことを強調し、「調査は米軍の規制の下で、米軍が認める範囲でしか行われていない」と批判しました。
宮本氏は「国民の安全や安心よりも米軍の意向が最優先になっている」と事故原因の究明などに日本政府が関われない現状を批判し、「住民の不安が広がっている」「屈辱的な現状をいつまで放置するのか」とただしました。
宮本氏は、沖縄県の翁長雄志知事が9月、地位協定の見直しを政府に求め要望書を提出したことに言及。要望書には、米軍機が基地の外で事故を起こした場合「日本国の当局が捜査、差(し)押(さ)え又(また)は検証を行う権利を行使する旨を明記すること」や「事故現場等の必要な統制は、日本国の当局主導の下に行われる旨を明記すること」と記されていることを示し、「こうした根本的見直しこそ必要だ」と迫りました。(しんぶん赤旗日刊11/29付けより転載)