国有地売却/3.6億円分の工事せず/8億円値引きで森友学園/宮本岳氏追及/衆院財金委(赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-23/2017022301_01_1.html
動画 https://www.youtube.com/watch?v=JPd8a5RlTxs
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、税務行政等についても質問いたしますが、やはりまず、昨日来の森友学園問題について聞きたいと思います。
昨日の質疑で、私は、森友学園の籠池理事長がTBSラジオの単独インタビューに応じ、運動場の下は取り出さなくていいんですから、さわってないんだから、そこにお金がかかることはありませんとはっきりと語ったことを紹介いたしました。
こうも言っておられます。お国の方が、今おっしゃった、八億とか九億とかおっしゃったけれども、それは土地の運動場のところの生活ごみも全て除いたらというような算出をされたのではないかと思いますが、私はその辺のところは専門家ではないのでわかりません、こう述べておられますが、きのう質疑で明らかになったように、学校をつくるのに全てを取り除く必要はない、別にそういう規定、義務はないということであります。
そこで、昨日ちょっと質問しても明確な答弁は出なかったんですが、森友学園の理事長の言葉どおり、建物の下しか埋設物を処理せず、その他の土地はさわっていないとしたら、森友学園に国有地を売却した際に控除した八億一千九百万円の地下埋設物撤去処分費用の算定方法に基づけば、どれだけ安くなりますか、大阪航空局。
○平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。
近畿財務局からの御依頼を受けまして大阪航空局において見積もりを行った本件土地の地下埋設物の撤去処分費用約八億二千万円のうち、建物が建設されてない部分の金額を申しますれば、約三億六千万ということになります。
○宮本(岳)委員 今、約三億六千万という額が出てまいりました。これは、三億六千万円分、見積もったよりも安く上がっているということはほぼ確実であります。
そもそも、八億二千万円分の工事をしたかどうかを確認もしていない。これは財務局もそうですし、大阪航空局も確認してないわけですから、御当人がやってないとおっしゃっているわけですから、三億六千万、これは安くなっているわけですね。
ですから、先ほども、こういうことになっていて、本当に国有地の売却としてこれでいいのかということが議論になりましたけれども、これは問題ないんですか、理財局。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
今、国交省の方からごみの撤去費の内訳について答弁をしたところでございますが、撤去費用そのものにつきましては、まさに国土交通省大阪航空局、財務省近畿財務局で両方で協議をいたしまして、売却後は本件土地に小学校が建設されるということを前提にいたしまして、新たに地下埋設物が判明したわけでございますので、今後、その地点でさらに深い部分でどんな埋設物が出てくるかわからない中で、本件土地の売買契約におきまして、隠れた瑕疵も含め、一切の瑕疵につきまして売り主であります国の責任を免除するという特約を付すことも勘案しながら、必要となる埋設物の撤去費用を見積もるという考え方で積算をしたものでございまして、こうした方向性に基づきまして、大阪航空局におきまして工事算定基準に基づき適正に算定したものというふうに考えてございます。
〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
○宮本(岳)委員 まだ適正に算定したと言っているんですね。
昨日、大阪府の松井知事は、ごみ撤去費用を誰がどう見積もったのかを明らかにするべきだ、ここが一番問題と述べ、近畿財務局などの説明が不十分との認識を示したと報じられております。
理財局長、これをどう受けとめるんですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
大変恐縮ですが、大阪の知事がどういうコメントをされたか私は詳細に存じておりませんが、ごみの撤去費用ということでございますれば、今申し上げたとおり、適正に見積もったということでございます。
○宮本(岳)委員 ニュースぐらいは見ていただきたいと思うんですね。きのうから十分このニュースは流れております。
実は、大阪府では、本日、臨時の私学審議会が開催されております。これは、この森友学園について進捗状況を報告するとともに、事務局からは一連の報道を踏まえた説明を行うと聞いております。
大臣、大臣は昨日、私に、この間の経緯について国有財産近畿地方審議会に報告はさせたい、こういう御答弁をいただきました。
私は、やはり急ぐ必要があると思うんですね。大阪府もこうやって臨時私学審を開いて報告して、御意見をお伺いしているということでありますから、もはや、法的に何の問題もなかったと言っておれる状況ではない。臨時にでも近畿地方審議会を急いで開いて御報告申し上げる必要があると私は思いますけれども、大臣、いかがですか。
○麻生国務大臣 昨日御答弁を申し上げたと記憶しますけれども、私どもとしてこの一連の手続のことに関して瑕疵はありませんので、その意味において、私ども正式な手続を踏まえてこれを完了しておりますので、ただ、その内容等々についていろいろ御不信等々あるのであれば、その内容について、地方審議会、そこについて報告ということを申し上げたところです。
○宮本(岳)委員 いやいや、大阪府の私学審議会も、瑕疵があったから臨時で開くと言っているんじゃないですよ、これも。だから、瑕疵があろうがなかろうが、やはり、この一連の流れについて報告をして御意見をお伺いするのは当たり前のことだということを申し上げているわけであって、理財局長、別に手を挙げていただく必要はありません、聞いていませんので。今、大臣の答弁どおり、しっかりと進めていただきたいと思うんですね。
昨日の質疑では、もともとこの土地は、二〇一〇年に豊中市が公園用地として隣の土地を買い取った際、この土地も一括して防災公園とすることを望んでいたことが紹介をされました。私もその経緯に間違いがないことを地元から聞いております。
資料二を見ていただきたい。昨日と同じ、その当時の豊中市の野田地区の土地利用計画であります。左右一括して近隣公園として整備する計画が示されております。
この計画は、今回の森友学園への貸し付けや売却とは違い、二〇一〇年二月二十二日の第百十六回近畿地方審議会でも絶賛する委員の声が出されております。
配付資料三を見ていただきたい。下線部、豊中市に売却して公園になるのは最高にうまくいっているケースだと思う、時価売り払いということですから安くすることはできないのかもしれないが、地方公共団体に売却して公園整備をどんどん進めるべきだという意見が出されております。
近畿財務局の当時の和田管財部長は、地元住民の立場からは、豊中市が買おうとする国有地の隣のもの、つまり今回の土地ですけれども、これもあわせて買ってほしいという要望があったように聞いているとも述べております。両方一括ならば、その面積だけで避難地として認められる規模の面積になるんですけれども、財政事情から、今回の土地は断念し、隣接する小中学校などの公共施設と合わせてやっと面積基準をクリアしたという経緯についても説明されております。
さらに管財部長は、地方公共団体が公園として使用する場合には無償で貸し付けできるという国有財産法第二十二条の規定まで紹介しているにもかかわらず、そうはなりませんでした。
理財局長、なぜですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、豊中市の要望の今お話がございましたが、本件につきまして、豊中市としましてこの土地を活用したいという意向を持っていたことについては当時承知しておりましたが、豊中市から具体的な取得との要望は受けておりませんでした。その後も、本土地につきまして、平成二十五年六月に、大阪航空局からの処分依頼を受けまして、取得要望の有無について豊中市に書面で照会を行いましたが、同年七月、豊中市から取得要望はない旨の回答があったというのが一点でございます。
それから二点目でございますが、なぜ無償貸し付けをしなかったかということでございますが、今おっしゃいました本件の隣地につきましては、国土交通省大阪航空局より豊中市に対して時価で売り払いをしてほしいという事務委任を受けまして、近畿財務局におきまして時価で売却したものでございます。
○宮本(岳)委員 このときの管財部長の説明、社会資本整備特別会計空港整備勘定における歳入となり、一方で、平成二十一年度約五千三百億円の事業規模の空港整備のための歳出予算となるという歳出歳入のバランス関係にある、このため時価売り払いを原則とするということで、国有財産法上の一般的な取り扱いは取り得なかった、こう述べているんですね。
今おっしゃった、森友が応募したときの、募集をかけたが返事がなかった、希望がなかったというけれども、このときは当然、これは一括で売却するという話でいっていますから、こういう無償貸し付けであるとか、期限を切った貸し付けという話ではないわけなんです。
今回の、では、森友への貸し付けや売却というのは、今お話しになったような歳出歳入のバランスを十分考えたものになっているか。全然なってないんですよ、全然、結果としては。この森友学園への貸し付けや売却によって、国はただの一円の収益にもなっていないばかりか、結果としてはマイナス、損になっていると私は言わなければなりません。
大体、二〇一五年五月二十九日の貸し付け合意によって、確かに年二千七百三十万円の貸付料で貸し付けたわけでありますけれども、貸付合意書第六条の規定によって、国は土壌汚染除去等費用一億三千二百万円を、有益費として、昨年四月六日、森友学園に支払ったわけであります。しかし、貸付料は、一年で売却されたわけですから、わずか一年分、二千七百三十万円が入ったのみですよ。差し引き一億円以上のマイナスであります。
それでも、昨年六月二十日の売却によって、格安の値段ではあるけれども一億三千四百万円が入ってくるではないかと言うかもしれませんが、この一億三千四百万円もまだ全額は受け取っておりませんね。十年分割払い、受け取ったのは頭金の二千七百八十七万円とせいぜい初年度分の千百万円だから、合わせても四千万円に欠けております。
理財局長、この森友学園への貸し付け及び売却に関して、現時点で、国からのお金の出入りだけを見れば、間違いなく差し引きマイナスになっていますね。
〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
有益費として支払ったお話でございますが、それはまさに民法上、有益費ということでお払いしておるもので、先方がまさに肩がわりしたものを国がお払いしたということでございます。
別途、その売却の話は、不動産鑑定に基づいた金額から撤去費用を正当に見積もってそれを差し引いたものでございまして、法令に基づきまして分割払いを認めているということでございまして、売却価格は一億三千四百万だというふうに認識してございます。
○宮本(岳)委員 答えてくださいよ。
現時点で、結果として、プラスマイナス、国のお金の出入りはマイナスになっていますね。
○佐川政府参考人 そういう計算ではないんだろうと思っておりまして、売却価格一億三千四百万を、法令に基づいて、十年間にわたって私ども回収するということでございます。
○宮本(岳)委員 受け取ってないんじゃないですか。一億三千四百万受け取りましたか。
○佐川政府参考人 貸付料としての適正な部分を今受け取っているということでございます。
○宮本(岳)委員 もう一度。
○佐川政府参考人 申しわけございません。訂正いたします。
売却代金の分割払いについて今受け取っているということでございます。
○宮本(岳)委員 いや、だから、受け取っているのは全額じゃないでしょう。
○佐川政府参考人 法令に基づいて、分割払いの分だけ受け取っているということでございます。
○宮本(岳)委員 ちょっと質問できませんね。
だから、先ほど私が計算したとおり、国のお金の出入りは、一億三千万を有益費として渡した後、一億三千四百万で売ったと言うけれども、その全額は受け取っていない、せいぜい頭金と千百万円ですから、出入りでいうとマイナスになっているでしょうと聞いているんです。
○佐川政府参考人 マイナスという意味ですと、国が損をしているかのような印象を与えますので、そういうことではなくて、法令に合わせていただいて、収支でいきますと、きちんと分割で今後売却費用が入ってくるということを先ほどから申し上げているわけでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、分割で払ってもらうんだけれども、今までは、一年目においたら、先に渡した有益費も戻ってないでしょう。
○佐川政府参考人 今の、ちょっとわからなかったんですが、有益費の話は、まさに民法上、借り手が借りている土地で所要の支出を行った場合について、先方がまさに払ったものを後で国が払ってあげる、支払う、精算するというのが有益費でございまして、それはその話。
売却の話は、まさに分割払いで、鑑定価格から撤去費用を差し引いたものについて分割で払うということで、今先生おっしゃいましたように、分割で払っている分だけ今いただいている、こういうことでございました。
○宮本(岳)委員 では、現金収支がプラスかマイナスか。どうぞ。
○佐川政府参考人 ただいま現在の現金という意味においては、分割分だけが入っているということでございます。
○宮本(岳)委員 プラスかマイナスか。端的に。
○佐川政府参考人 一億三千四百万の売却代金が、契約上十回、十年で分割されるということでございますので、プラスかマイナスかというのは十年間で見ていただくということだと私ども思っております。
○宮本(岳)委員 これは、十年目には一億三千四百万になるということでしょう。今の時点での現金収支はプラスかマイナスか。どうぞ。
○佐川政府参考人 今先生がおっしゃいます、その現金収支の意味がちょっとよくわからないんですけれども、やはり一億三千四百万というのがきちんと契約上入ってくるということだと思います。
○宮本(岳)委員 だめですよ、そんなの。ちゃんと答弁させてください。答弁になってないです。
○御法川委員長 佐川局長、もう一回丁寧に説明していただけますか。
○佐川政府参考人 申しわけございません。ゆっくりとやらせていただきます。
鑑定価格九億五千六百万、撤去費用約八億二千万で、売却価格が約一億三千万ということでございまして、それにつきまして、法令に基づいて分割払いということになっていまして、私ども、先方の学校法人に対して、一億三千二百万のきちんとした債権を保有しているということでございます。
○宮本(岳)委員 だめですよ、本当に。そういう態度をとればとるほど、きょうはテレビカメラも来ていますけれども、いかにもおかしいなと。誰が考えたってわかる価格じゃありませんか。一億三千四百万は目の前で受け取っていないわけですから、まだ。十年後にそうなるように分割払いを今やっているということでしょう。そして、その前に、有益費として一億三千万余りを森友学園に渡したと。ただ、それは森友学園がやったことについての実費払いをしたということだけれども、森友学園が何をしたかどうかは別として、国の財布から、国から出た金の出入りは、つまり収支を見ればマイナスになったまま、十年間は結局マイナスになったまま今推移しているということになるわけですよ。誰が考えても明らかなことじゃないですか。
私は、この豊中市が無償で自治体に貸与してほしいといったときに、当然そうすべきだったというふうに思うんですね、こんなマイナスになるぐらいだったら。無償であったってゼロですからね。マイナスじゃないですからね。
豊中市はそれだけの財力、それだけの余裕、この可能性はあったかなかったかといいますと、私はその後調べて、なるほどと思いました。
きょうは資料の四に、二〇一〇年、公園用地を豊中市が十四億二千三百万円で買い取った後の豊中市議会の十月十二日、建設水道常任委員会の議事録をつけておきました。
豊中市当局は、議員の質問に答えて、確かに十四億二千三百万円で買った。買ったけれども、半額の七億千百九十三万円は、住宅市街地総合整備事業の国庫補助金が出た。残りの半分については、そのほとんどがカバーされるとは思ってなかったんだけれども、幸い国の地域活性化・公共投資臨時交付金が六億九千万円ほど出たと。当時は、不足分の一億八千万円の起債を覚悟していたんだが、わずか二千万円ほどで済んだので、起債はせずに一般財源で払えた。
こう言っておりますけれども、きょうは国土交通省、内閣府に来ていただいていますが、これはそれぞれの額に間違いないですね。
○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
まず、豊中市の方では、密集市街地の改善を図るために、先生御指摘ありました、住宅市街地総合整備事業を行っておりまして、当該事業において、平成二十一年度に、野田中央公園の用地費十四億二千三百八十六万円の二分の一、七億一千百九十三万円を補助させていただいております。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
平成二十一年度に措置された地域活性化・公共投資臨時交付金におきまして、大阪府豊中市に対して、野田中央公園を整備するための用地購入費用として六億九千六十九万円を措置したのは事実でございます。
○宮本(岳)委員 当初は一億八千万円の起債を覚悟していたが、二千万円で済んだ、起債せずに済んだ、こう言っているわけですね。
森友学園に貸したり売ったりして収支がマイナスになるぐらいなら、はるかによいではありませんか。豊中市がこのとき覚悟していた起債を改めてやってもらえば、今回の例えば一億三千四百万円なんというのは、十年ローンでなくて即金で受け取ることもできたんですね。
私は、今回のこの売却劇ほど不可解なものはないというふうに言わなければなりません。この問題は徹底して当委員会でも追及していくということを申し上げて、残った時間は、所得税法等改正案に関連して質問をさせていただきたいと思っております。
さて、次のテーマですけれども、申告納税制度をとっている我が国では、任意の課税調査に関する規定が国税通則法に定められております。一方、国税犯則取締法では、強制的権限を持って犯罪捜査に準ずる強制調査の権限などが規定されております。
国税通則法と国税犯則取締法のそれぞれについて、国税の調査に関する目的や捜査手法や税務署員に付与される権限など、それぞれ簡単に御説明いただけますか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
国税の調査権限には、犯則調査の権限と、いわゆる課税調査の権限、質問検査権がございます。
犯則調査とは、脱税事件として検察官に告発して刑事訴追を求めることを主たる目的として実施するものでございまして、現行の国税犯則取締法に規定されている強制調査や任意調査の権限に基づいて行われるものでございます。なお、強制調査としては臨検、捜索、差し押さえが、任意調査としては質問、検査、領置等が法令上規定されております。
他方、いわゆる課税調査でございますけれども、これは適正な課税を行うことを目的として実施するものでございまして、国税通則法に規定されている質問検査権に基づきまして、納税義務者等への質問、帳簿書類その他の物件について検査を行うものでございます。
○宮本(岳)委員 国税通則法の任意の課税調査は、納税者の同意を基本としておりまして、本来、国税犯則取締法の強制捜査、いわゆる査察制度とは全く違うものであります。戦後、国税通則法が制定される際にも、国税犯則取締法とはあえて別物として法律を制定したという経過がございます。
今回、その性格が全く違う国税犯則取締法を国税通則法に一本化するわけでありますけれども、現在、別々の法律で運用していることに何か問題が生じているのでしょうか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
先生からお尋ねのありましたとおり、現状の運用上、特段の問題が生じているというわけではございませんけれども、今般の改正で国税犯則取締法を廃止いたしまして、国税犯則調査に係る規定を国税通則法に編入することとしております。
これは、国税犯則調査も国税通則法に定める課税調査と同様、国税の公平、確実な賦課徴収を図るために、納税義務の有無等に関する事実について確認を行う手続でありまして、国税に関する共通的な手続を定める国税通則法の規定になじむものであるということ、また、課税調査と犯則調査を同一の法律に規定することによって一覧性が高まり、納税者にとってもわかりやすい法体系となると考えられることから行うものでございます。
ちなみに、犯則調査手続を定めております関税法、金融商品取引法、独占禁止法におきましても、それぞれ、犯則調査手続は行政調査とあわせて一つの法律において規定されているところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、一本化する理由は説明になっていないと思うんですね。
聞きますけれども、税務当局は、法案を、先ほど一丸化と言いましたか、一丸性を持ってと言いましたか、あるいは一本化することで、国税犯則取締法の強制捜査のため、つまり脱税の証拠集めとしてやっている任意の課税調査を位置づけよう、こういうふうに考えているわけですか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
今般、国税犯則調査に係る規定を国税通則法に編入するということでございますけれども、今御指摘がありましたように、課税調査を犯則調査の証拠集めの手段として位置づけようとするものではありません。この点につきましては、法律案におきまして、国税犯則調査手続の規定を一つの独立した章に規定いたしまして、相互に関連する規定とはなっていないことなどからも明らかであると考えております。
○宮本(岳)委員 国税通則法の第七十四条八の規定は、「当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」こういう趣旨、そういうふうにされております。その趣旨は守られるんですね。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
国税通則法第七十四条の八でございますけれども、今御指摘ございましたとおり、質問検査権につきまして、「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」と規定してございます。
この規定の趣旨は、税の賦課徴収という行政目的を逸脱し、犯罪捜査目的で質問検査権を利用することを禁止するものでございます。
なお、税務調査におきまして犯則事件が探知された場合に、これが端緒となって犯則事件の調査に移行することは許されると判断されているところでございます。
○宮本(岳)委員 国税通則法には、今御答弁あったように、任意調査は犯罪捜査のためではないとちゃんと書かれてあるわけですね。にもかかわらず、犯罪捜査まがいの強権的な税務調査が横行しているとの告発が私の事務所に多数届いております。
例えば、税務調査の事前通告について聞くわけですけれども、国税通則法の改正により、税務調査に際しては、原則、事前通知をするということとなりました。これは任意調査ですから、当然、納税者にとって都合の悪い日時であれば変更することができると思いますが、法律ではどのような規定になっておりますか。
○飯塚政府参考人 お答えをいたします。
税務調査の実施に当たりましては、国税通則法上は、原則として事前通知を行い、調査日時、場所、調査の目的等を通知することとされておりまして、国税当局といたしましては、事前通知に先立って、納税者等の御都合を伺った上で、調査日時等の調整を行っているところでございます。
また、法律上、納税者等から合理的な理由を付して調査日時等について変更するよう求めがあった場合でございますけれども、国税当局は、当該事項について協議するよう努めることとされております。
したがいまして、国税当局としては、例えば納税者等の業務上やむを得ない事情がある場合など、納税者等からの求めに合理的な理由がある場合には、調査の適正かつ円滑な実施に支障を及ぼさない限り、調査日時等の変更を協議するよう努めているところでございます。
○宮本(岳)委員 通知をしない場合においても、あくまでも任意の調査なんですから、合理的な理由があれば税務署は日程の変更にも応じる、協議に応じる、こういうことでありました。
ところが、私の事務所には、このような税務調査に関する相談があったんです。鳥取で飲食店など二店舗を営むAさんという方ですけれども、二〇一六年三月十六日、鳥取税務署の六人の署員が事前通知もなしに突然自宅と二つの店舗に尋ねてまいりました。Aさんは初めてのことで動転をし、署員から予告なしの調査なので日程変更はできないと言われ、従うしかなかったと話しておられます。二つの店では従業員が対応いたしました。従業員が席を外したすきに、署員が棚のファイルの資料を持ち出して無断でコピーをとっていたということ、さらに、第三者である取引先がいるところで守秘義務違反の調査を進めていたということが後から判明をいたしました。
聞くんですけれども、予告なしの調査なので日程変更はできないと税務署員が言ったそうでありますけれども、これは犯罪捜査ではありません。あくまでも任意の調査なのに、突然やってきて、無予告調査は日程変更できないと言う、このやり方は正しいのか。税理士だって都合がつかないかもしれない。にもかかわらず、一切日程変更には応じるなというのが国税庁の対応ですか。
○飯塚政府参考人 お答えをいたします。
事前通知を要しない税務調査の場合にあっても、先ほど申し上げたことと同様でございまして、国税当局としては、納税者等からの求めに合理的な理由がある場合には、調査の適正かつ円滑な実施に支障を及ぼさない限り、調査日時等の変更を協議するよう努めているところでございますし、また、今後ともそういう方針で国税局、税務署を指導してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 さらに、その署員が、調査を終えた後ですよ、自宅そばで一時間にわたってAさんを監視していたことが近所の人たちから知らされた。近所では、Aさんが警察のようなところから見張られ、犯罪捜査か何かの対象になっているといううわさが広がって、Aさんはまともに挨拶ができない状況になったと言っておられます。これはレストランの経営者の方でありますけれども、風評被害が起こったということです。
そのAさんの税務調査の結果は、結局のところ、少額修正で終わったそうで、悪質でも何でもなく、きちんとした帳簿に基づく申告であったことが改めて確認できた、こういうことなんですね。そのAさんに対して、無予告調査を突然行い、犯罪捜査まがいの税務調査を行っていたということでありますけれども、こういう事例について、国税庁は、当然これは問題だ、こういう御認識ですか。
○飯塚政府参考人 お答えいたします。
個別の事例に関するお答えは差し控えさせていただきたいと考えておりますけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、法令にのっとって適正な調査を行うように今後とも指導してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 今回は、Aさんの抗議で、税務署は一応謝罪をいたしました。
ほかにも、昨年、愛知県の豊田市の居酒屋さんへの無予告調査で、本人が制止しているにもかかわらず、強引にレジをあけさせ、自宅では下着が入った引き出しまであけて調べるという強引な調査が行われました。妻は、どう対応したのかはっきりと思い出せないほど恐怖を感じたとおっしゃっております。御本人たちが抗議をした後に、豊田税務署は御本人に謝られたそうであります。
こんな事例が、今の答弁とは裏腹に、全国で起こっているわけですよ。今後このような事例が起こったらきちんと対応する、そう答弁していただけますか。
○飯塚政府参考人 同じお答えになって恐縮でございますけれども、今後とも、法令にのっとって適正な調査を行うように指導してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 そういう事例が起こっているから申し上げているわけであって、しっかりと教育しなければ、全国で枚挙にいとまがないということを申し上げているわけであります。
こういう税務調査が各地で行われているから、法律が一本化されたら、一般の調査と犯罪捜査の境目が曖昧になり、さらに強権的な税務調査が横行するんじゃないのか、こういう不安の声が税理士さんや中小業者の皆さんから起こっているわけですね。
確認いたしますけれども、今回の改正後でも国税犯則取締法の犯罪調査と国税通則法の任意調査は別のもので、法律上これまでと何も変わらないということでよろしいですね。
○飯塚政府参考人 お答えをいたします。
先ほどの主税局長の答弁にもございましたけれども、いわゆる査察調査でございますが、脱税事件として検察官に告発し、刑事訴追を求めることを目的として実施するものでございまして、現行の国犯法に規定されている権限に基づいて実施しているものでございます。
他方、いわゆる課税調査でございますけれども、適正な課税を行うことを目的として実施するものでございまして、国税通則法に規定されている質問検査権に基づき、任意調査として、納税者の理解と協力を得て実施しているものでございます。
このように、査察調査と課税調査とではその目的や権限が異なるものでございまして、今般の改正により犯則調査手続が国税通則法に編入されましても、今申し上げましたような査察調査と課税調査の位置づけ、関係が変わるものではないと考えております。
○宮本(岳)委員 現在の税務調査では、法律を逸脱した調査が横行して、先ほど申し上げたような、調査で風評被害が起こったり、反面調査で取引先の信用を失うなど、人権を否定されるようなことが間々ございます。だから、納税者を守るための法律や規定が必要となっていると思うんですね。
かつて、納税者権利保護の規定を持った納税者権利憲章の創設が盛り込まれた法律が国会に提出されましたが、これは修正をされて、削除されました。これはなぜ削除されたんですか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の納税者権利憲章の策定につきましては、民主党政権下において国会に提出をした平成二十三年度税制改正法案に盛り込まれていた話だと思います。
これにつきましては、法案が出された後、その後の審議の過程で行われました三党協議におきまして議論をされ、その結果として、法案から削除する修正が行われたものと承知をしております。
なお、この際の改正では、納税者が税の減額を求める更正の請求の期間の延長など、いわば納税者の利益につながる具体的な改正事項については三党間で成案を得ており、納税環境整備について進展しているものと理解をしております。
○宮本(岳)委員 今、世界では、納税者の権利保護を強めようという流れが大きく広がっております。既にある各国の納税者権利憲章は、拡充される方向で検討がなされております。例えば、納税者の権利保護に関する国際会議の開催や、国際的税務専門家三団体によるモデル納税者権利憲章の最終報告書の公表、IFA総会でも議論をされておりますし、EUでは欧州納税者権利憲章の制定を視野に入れた議論が既に始まっております。
米国でも、二〇一四年六月十日、内国歳入庁は、納税者の基本的な権利を含む新たな納税者権利憲章を公表いたしました。第一条で知らされる権利が定められており、今回のような無予告調査などはできないことにアメリカではなっております。
二〇一五年の十月に最終報告が公表されたOECD租税委員会におけるBEPSプロジェクトの行動計画の中でも、税務当局と納税者が協働する協力的コンプライアンスの推進が方針とされ、それに基づく申告前合意やADR、和解などの手続整備が進められております。
これは大臣にお伺いするんですけれども、政府も、今後の政府税調で、国際的な納税者の権利保護の規定の流れについてさらに研究、検討するべきだと私は思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 この納税者の権利憲章については、OECDの加盟国において、今制定している国がふえてきているというものは理解をいたしております。
他方、政府としては、納税者権利憲章を制定するかどうかというよりも、実際に納税者の利益の保護の観点も踏まえた措置を手当てしていくということの方が重要だというように考えております。
したがいまして、こうした観点から、二十三年度の税制改正におきまして、いわゆる更正の請求ができる期間を従来の一年から五年に延長、また、更正決定に原則理由付記を行うこととするなどの改正を行ったところでありまして、今後とも納税環境の整備というものに向けて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 権利というのは、利益とは違うんですよね。私がきょう述べてきたのは権利の問題なんですよ。やはり世界でもそのことが問題になっているわけですから、私は、研究、検討、これぐらいは当然すべきであるということを重ねて申し上げておきたいと思うんですね。
時間がもうあと十分になりましたから、予定していた質問が最後まで行くかどうかわからないんですが、かといって、ここで終わるわけにいきませんので、途中までであれば、また次回続きをやるとして、次の質問に移らせていただきます。
日米経済対話について、まず大臣に冒頭にお伺いしたいんですね。
先日の首脳会談で日米経済対話の創設を約束してこられた、こう報じられております。共同声明などを見ますと、総理が話す内容は、事経済問題では、日本企業が米国経済や雇用に貢献しているという話ばかりであります。
創設される経済対話の目的は一体何なのか、また、経済対話を通して日本側は何を得たいと大臣は考えておられるのか、これは副総理としての麻生大臣にお伺いしたい。
○麻生国務大臣 今般の日米の首脳会談において、いわゆる両首脳間において、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間及び地域において経済関係をより強化するとともにということを引き続き完全にコミットしているということをまず確認しております。
こうした共通認識のもとで、今後、日米経済関係をさらに大きく飛躍させて、日米両国及びアジア太平洋地域において、ひいては世界に力強い経済成長をリードしていくために、今般、ペンス副大統領と私のもとでいわゆる経済対話を立ち上げるとしたところであります。
この経済対話を通じまして、日米間の貿易・投資関係を深めていくとともに、いわゆるアジア太平洋地域に、自由でかつルールに基づいた公正なマーケットというものを、日米両国のリーダーシップのもとでつくり上げていきたいものだと考えております。
○宮本(岳)委員 ワーキングランチでは、経済政策、そしてインフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの三つを経済対話の柱とすることで一致した、これは公表されております。
このインフラ投資やエネルギー分野というのは、具体的にはどんな内容が含まれるのか。米国内における原発建設も含まれますか、副総理。
○麻生国務大臣 昼飯に同席しておりましたけれども、いわゆる経済政策、インフラ投資、エネルギー分野での協力、貿易・投資ルール等々について議論していくことになるということで、両方でいろいろ話をされた上でなっておりますけれども、内容につきましては、現段階で決まっているものは何一つありません。
○宮本(岳)委員 では、具体的に聞くんですが、現在、東芝は、米国内で二基の原発を建設中です。この原発建設事業の内容を説明していただきたい。
同時に、東芝は、原発事業での五千億円とも七千億円とも言われる巨額損失が明らかになり、原発事業の行く末も不透明となっております。こんな状況で、この米国の原発建設は今後も継続できる見通しがあるのかどうか、経済産業省にお答えをいただきたい。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、サウス・テキサス・プロジェクトについてのお尋ねがございました。
東芝は、二〇〇八年から、米国におけるABWR型と呼ばれます炉の原発建設の事業実施会社に出資を行いまして、テキサス州での原発建設計画に参画をしているところでございます。この当該事業実施会社は、二〇一六年に米国規制当局より建設運転一括許可を取得しているところであります。
ただし、テキサス州におきましては電力価格が低迷しているところから、東芝といたしましては、出資をするパートナー企業を募集しながら、建設開始の判断をすべく関係者と協議をしている状況にあるというふうに承知をしているところでございます。
さらに、重ねて、東芝の巨額損失を踏まえて、原発建設は継続できるのかというお尋ねもございました。
東芝が原発事業をどのように進めていくかということにつきましては、事業者の経営判断に属する事業でありまして、政府としてはコメントは差し控えたいと思いますが、委員も御案内のとおりかもしれませんが、東芝の今月十四日の発表によれば、原子力事業の今後の方向性について、国内事業については、再稼働、廃炉、メンテナンスを中心に社会的責任を継続して果たしていく。海外事業については、ビジネスモデル、収益性の異なる部門別に対応、戦略的選択肢を検討していく。そのうち、新設プラントについては、今後は、土木建築部分のリスクは負担せず、機器供給やエンジニアリングなどに特化するといった発表がなされているところでございます。
○宮本(岳)委員 計画はとまっているわけですね。
三菱重工も、原発建設に関して米国で問題を抱えております。米国のサンオノフレ原子力発電所に関して、三菱重工は事故訴訟のさなかにございます。この内容を説明していただきたい、経産省。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
三菱重工は、二〇一〇年から二〇一一年にかけまして、サンオノフレ原発二号機及び三号機に取りかえ用の蒸気発生器を納入したところでございますが、二〇一二年、蒸気発生器の冷却水が漏えいしたことから、同原発の運転は停止をいたしました。三菱重工は原因究明作業を進めていたところではございますが、二〇一三年に、現地電力事業者はこの原発についての廃炉を決定したところでございます。
この事案に関する損害賠償額をめぐりましては、二〇一三年から、三菱重工とこの現地電力事業者の間で仲裁が進められているところでございます。仲裁においては、三菱重工は契約上の上限額である一億三千七百万ドルを、現地電力事業者側は六十六億六千七百万ドルをそれぞれ主張しているところと承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 どちらの原発建設も、原発輸出をトップセールスで進めてきた安倍政権としては期待の高い事業だったと思います。建設コストの増大で資金が集まらなかったり、事故訴訟で巨額損失の懸念を抱えるなど、東芝も三菱重工も順調よく事業拡大できているといった状況ではありません。
経済対話で、これから原発建設について、それも協議の対象になってくるのかもしれませんけれども、米国における原発建設事業はこれ以上拡大すべきではないと私は考えますけれども、副総裁、これは常識的な判断ではありませんか。
○麻生国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、先ほど申し上げた内容が、昼飯のとき、またその前の会議等々で交わされておりますので、具体的な内容については今後調整をすることになりますので、現段階で決まっているものがないということをまず最初に申し上げておきます。
その上で、一般論として、原子力にかかわる国際協議の方針について申し上げるとするならば、日本としては、核不拡散の枠組みを堅持しつつ、相手国の事情や意向を踏まえて安全性の高い原子力技術を提供していくことといたしております。
その上で、具体的に米国を含む海外における原発事業を行うか否か、これは原子力をめぐります事業環境とか、各社の経営の事情もあろうと思いますので、各事業者において適切に判断されるべきものだと考えております。
○宮本(岳)委員 政府は、この二つの米国の原発建設プロジェクトに対して、国際協力銀行の融資や出資、貿易保険などの国からの支援をしていないのか、これをお答えいただきたい。財務省と経済産業省。
○武内政府参考人 お答え申し上げます。
JBICはこれまで、お尋ねの事業に関し支援した実績はないと承知してございます。
○小林政府参考人 アメリカの原子力案件につきまして貿易保険の支援があるかどうかというお尋ねについてでございますが、個別の支援案件につきましては、事業者の利益を害するおそれがあるため、支援したか否かを含め、回答は差し控えたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 三菱重工のサンオノフレ原発訴訟の複雑さは、請求額の大きさだけではなく、米国という契約社会においても、当初の契約がほごにされて大きな訴訟になってしまったという実例だ、こう思うんですね。
こうしたことが常態化してしまうと、先進国への輸出は契約が明確であり、賠償の範囲もきちんと決められているから安全、こういう前提がもはや崩れたと言わなければなりません。
経済産業省、先進国への原発輸出など、リスクが高くてもうとてもできないんじゃないですか。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
サンオノフレの案件につきましては、民間契約に基づく事業者間の紛争でありまして、評価に関するコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、海外のそれぞれの計画においてどのような契約や実施体制で行うか、これについては個別の民間企業の経営判断でございます。
その上で、さらに原発輸出全般についての認識のお尋ねがございました。
世界におきましては、エネルギー安全保障、経済性、環境適合性といった観点から原発建設の計画を進めている国はいまだ数多くあるところでございまして、福島第一原発事故後においても、我が国原子力技術に対する期待の声が各国から寄せられているところでございます。
相手国の意向や地理的状況も踏まえながら、安全性や信頼性にすぐれた我が国の技術やノウハウを提供していくことは我が国の責務であり、世界での期待でもあるというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 時間が迫ってきましたので、一つだけ事実確認だけ。
現在、日立と東芝が英国で原発建設を計画しております。昨年十二月の二十二日に、英国と日本の経済産業相との間で、日本国経済産業相と英国ビジネス・エネルギー・産業戦略相との協力覚書の調印がなされました。
そのときの報道では、一兆円もの政府支援を行うと書かれております。そのような計画があるんですか。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
英国との協力覚書は、廃炉等の分野で協力関係が深化していることから、原子力に係る活動全般における両国の協力を確認したものでございます。
この中において、日立、東芝の原発建設計画につきましては、両国が両事業者の提案の進展に係る議論を継続する機会を歓迎したものにすぎません。
いずれにいたしましても、両計画とも、二〇二〇年代半ばの運転開始を目指しているものでございまして、今後、両事業者において事業計画等の検討が進められるものだと認識しております。
日本政府として何らかの支援を行うことを決定しているものではございません。
○宮本(岳)委員 先行する英国内の別のサイトでの原発建設では、二基の建設で二兆円を超える予算が現時点でも見込まれていると言われております。日立や東芝のサイトが一兆円の建設費というのもあながち外れた話ではないと思うんですね。
報道では、国際協力銀行が融資を行うと言われておりますけれども、国際協力銀行の業務範囲において、先進国で建設する原発事業に対し、融資はできるようになっているのか、それとも、できないことになっているのか、可能か不可能かだけ御答弁いただけますか。
○武内政府参考人 お答え申し上げます。
株式会社国際協力銀行法上の規定に基づき、可能でございます。
○宮本(岳)委員 可能という答弁であります。
時間が来ましたから終わりますけれども、福島第一原発の事故以来、世界の原発建設は、安全基準を高めたために莫大な建設費用が必要となったと言われております。事故や廃炉、核のごみも含めたこういう責任が建設者にかかってくる、そういう一括契約が主流になってくれば、長期間リスクを抱える事業、これは本当にもう進めるべきではないという状況になってきていると思います。
二国間交渉のテーマは何ら決まっていないという御答弁でありますが、排除されていないわけでありますから、こういう方向に断じて進むべきじゃないということを申し上げて、きょうの私の質問を終わりたいと思います。