森友疑惑 政権かばい〝口裏合わせ〟 昨年9月、財務・国交両局長 小池・宮本岳氏追及 衆参予算委集中審議
共産党が内部文書入手
衆参両院の予算委員会は28日、安倍晋三首相と関係閣僚が出席し、集中審議を行いました。日本共産党は、学校法人「森友学園」との国有地取引について会計検査院や国会をごまかすため財務省理財局と国土交通省航空局が昨年9月に〝口裏合わせ〟をしていたことを示す政府の内部文書を明らかにしました。参院予算委員会で小池晃書記局長が示し、衆院予算委員会で宮本岳志議員がさらに詳しく追及しました。安倍首相は、文書があるかどうか「調べてみたい」と答弁しました。
(論戦ハイライト3・関連2・15面)
首相が調査約束
文書名は「航空局長と理財局長との意見交換概要」で、党国会議員団が独自入手したもの。昨年9月7日午前9時15分から40分間、理財局の太田充局長と中村稔総務課長、航空局の蝦名邦晴局長と金井昭彦総務課長が検査院、官邸・与党、野党などへの国会対応を協議しました。
この会合について太田局長は「いろんな意味で意思疎通を図ろうと思って対応したのは事実」と述べ、蛯名局長も「いろいろな情報交換をした」と認めました。
当時、検査院が国有地約8億円値引きの根拠となったごみの総量や見積もり額を調べていました。宮本氏は、文書で、太田局長が「少なくとも(ごみの)『トン数』は消せないのではないか」と話していると紹介。太田局長が「トン数」と述べたのは「検査院から事前に報告書案を見せられていたからではないか」と質問しました。太田局長は「質問通告がなく、答えようがない」と〝見ていない〟と否定できず、委員会室が騒然となりました。
検査院は憲法と会計検査院法で「内閣に対し独立の地位を有する」とされています。小池氏は「財務省と国交省の局長が(検査院の)報告への介入を密談していた。重大な問題だ」と批判しました。
小池氏は、官邸に対して太田局長が「まずは寺岡(光博官房長官秘書官)を通じて官房長官への対応をするのが基本」と述べたと記されているとも指摘。宮本氏が「最初から菅義偉官房長官が関与して、隠ぺいや改ざんを行ってきたのではないか」と追及すると、安倍首相は「推測であり、そんなことはない」と否定しましたが、その根拠は示しませんでした。
小池氏が「政府の文書なのだから政府の責任で徹底的に調査すべきだ」と求めると、安倍首相は「どこが作ったか、本当にあるのか調べてみたい」と答えました。
宮本氏は「改ざんも隠ぺいも、すべて安倍政権を守るために行われてきた。首相は潔く辞職すべきだ」と求めました。
(赤旗2018/5/29)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=G7b9qu-iuQ8&index=139&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&t=0s
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
昨年二月十五日、私の森友初質問から、いよいよ一年三カ月がたちました。ついに、あなた方のうそと隠蔽が全て明らかになったと言わなければなりません。
佐川前理財局長が、国会で初めて交渉記録が残っていないという虚偽答弁を行ったのは、昨年二月二十四日、この衆議院予算委員会の私の質問に対してでありました。
そして、まだあなた方は全てを語っておりません。
午前中の参議院予算委員会で、我が党の小池晃議員が、昨年九月七日に、国土交通省航空局長と財務省理財局長が、臨時国会を前にして、いかに会計検査院や国会に対応するかを協議していた事実を明らかにいたしました。総理はどういう紙かわからないと答弁しましたが、この協議記録は我々が独自に入手した確たるものであります。
参議院の議論で、太田理財局長は、この九月七日に航空局長と顔を合わせて対応を協議していたと、協議の事実を認めました。
では、もう一方の当事者である蝦名航空局長に聞きますけれども、昨年九月七日午前九時十五分から五十五分の間、財務省の太田理財局長と顔を合わせて意見交換を行った事実を認めますね。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
太田理財局長と私も、それぞれ着任が間もない時期でございましたので、今後の通常国会などに対しての対応について、さまざまな意見交換、情報交換を行うということでお会いした記憶はございます。
○宮本(岳)委員 航空局もお認めになりました。
総理、午前中、総理は小池晃議員に対して、本当にあるかどうかということについて調べてみたいと答弁をされました。もう五時間たつわけですけれども、すぐに見つかったでしょう、総理。
○安倍内閣総理大臣 委員会に提出をするかどうか等については、この委員会においてお決めいただきたい、このように思います。(宮本(岳)委員「見つかったかどうかです」と呼ぶ)見つかったかどうかについては、まだ報告を受けておりません。
○宮本(岳)委員 まだ見つかっていないんですね。すぐに見つかりますよ。
この意見交換概要というものによりますと、会計検査院報告書について、太田理財局長が、総額を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくてはいけない、少なくともトン数は消せないのではないか、金額よりもトン数の方がまし、仮に総額が残る場合には、むしろ試算額をたくさん記述させ、いろいろなやり方があるとしておいた方がいいなどと、はっきり述べております。
太田局長に聞くんですけれども、この時点で、会計検査院報告書に総額やトン数が書かれているということをあなたは知っていた、つまり、会計検査院から事前に報告書の案を見せられていたということですね。
○太田政府参考人 お答えを申し上げます。
会計検査院には、我々は検査を受ける立場でございます。それで、検査院からさまざまな御指摘をいただいて、それに対してお答えをするというのが私どもの仕事でございましたので、そういう作業はしておりました。
今ほど、午前中の参議院の委員会でお話がございましたけれども、私には、もともと参議院の予算委員会の御通告をいただいたのは、九月七日だったと思いますが、その日に会ったのかというのを、朝、御通告をいただいたので、それを確認して、どうもそうであったらしい、私は日付まで正確に覚えておりませんでしたが、九月七日だったらしいということなので、それをお答えしたという、その程度のレベルでございます。申しわけありません。
○宮本(岳)委員 いや、事実、その中にはそう出てくるわけですよ。知っていましたか、知っていたんじゃないですか、どっちですか。
○太田政府参考人 お答えを申し上げます。
会計検査院とは、いろいろなことを御指摘いただいてということですが、今おっしゃられるのは、そのときに報告書の案が云々という話について、私に通告もなく今そのようなことをお尋ねいただいても、何も今、私がお答えのいたしようがございません。申しわけありません。(宮本(岳)委員「委員長、とめてください。だめですよ。そんな、答えようがないはないじゃないか」と呼ぶ)
○河村委員長 もう一度、理財局長。(発言する者あり)
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○河村委員長 速記を起こしてください。
理財局長、再答弁願います。
○太田政府参考人 お答えを申し上げます。
九月七日に会ったのかということについては確認をさせていただきました。
今の委員の御質問は、そのときに会計検査院の報告書を私が見て、知っておったのかという御質問でございますが、突然そのようなことをお尋ねいただいても、昨年のある段階において検査院とどういうやりとりをしていたのかということについて私に記憶を呼び戻せと言われても、お答えのいたしようがございません。
まことに申しわけありませんが、御通告をいただいて調べた上ででないと、お答えは、申しわけありませんけれども、それは無理でございます。
○宮本(岳)委員 去年のことなんですよ。去年のことなんですよ、それは。
ほどなくこの文書は発見されるでしょう。はっきりあなたは去年の九月七日には検査院の報告書案を見て議論していた、これは動かぬ証拠ですよ。
その後、この文書では、官邸や与党にどう対応していくかが議論になっています。太田局長は、まず寺岡を通じて官房長官への対応をするのが基本と述べております。この寺岡氏というのは、菅官房長官の秘書官、寺岡光博氏のことでありますけれども、菅官房長官は、私の最初の森友追及質問の直後、二月二十二日に、官邸に佐川氏や太田氏、平垣内航空局次長などを呼んで会合を持っておりました。そのことが明らかになっています。
総理、この事件は、最初から菅官房長官が関与して隠蔽や改ざんを進めてきた、こういうことじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 それは全く推測であって、そんなことはございません。
それと、その文書というのは、ちょっと見せていただけますか。我々見ていない……(発言する者あり)出していないの。
いずれにいたしましても、その文書を……(発言する者あり)いや、済みません、わかりました。済みません、ちょっと……(発言する者あり)
○河村委員長 総理、続けてください。
○安倍内閣総理大臣 済みません。まだ理事会においてそれを認めていないということでございましたので、見せてくださいということは撤回させていただきたいと思いますが、今の時点で、まだ私ども、その真意が明らかになっていないわけでございまして、ですから、先ほど太田局長も、突然の御下問でございましたからということでああいう答弁となったんだろう、このように思います。
いずれにいたしましても、私への質問は、いわば官房長官を中心に隠蔽したんだろうということであれば、それは、そんなことはないということでございます。
○宮本(岳)委員 この文書に示されていることは、国会と会計検査院に対してどう対応するかということでありますけれども、蝦名航空局長が、今後決裁文書等について、どこまで提出していくべきかと言うと、太田理財局長は、個人的には出せるものはできるだけ出した方がいいと思う、出てしまうと案外追及されなくなるという面もある、ただし、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある、こういうふうに述べております。
両局長、覚えがあるでしょう。
蝦名航空局長は太田理財局長と昨年九月七日、国会に出せるものの選定やどういう説明で国会をごまかすかを打ち合わせ、口裏合わせをした、これは事実ですね、蝦名さん。(発言する者あり)
○河村委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○河村委員長 速記を起こしてください。
先ほどの宮本岳志君の質問に答えてください。
蝦名航空局長。
○蝦名政府参考人 突然のお尋ねでございますので、一般的に当時の太田局長と意見交換ということ、情報交換ということをさせていただいておりましたけれども、具体的にどういうやりとりをしたかということについて記憶をしているわけではございませんので、いろいろな意見交換をさせていただいたということだと思っております。
○宮本(岳)委員 去年の九月ですよ。そのために記録をつくったんでしょう。役所にありますよ。お調べいただければすぐ出てきます。
石井大臣、森友問題に対する大幅値引きも改ざんも、その後の国会対応、会計検査院に対する対策まで、国土交通省航空局は財務省理財局と協議し、口裏合わせをして進めてきた。これは、大臣、どう責任をとられるんですか。
○石井国務大臣 当該土地は、もともと騒音対策として国土交通省航空局が取得した土地でありますが、その後、飛行機の騒音の、性能がよくなったということで、普通財産に移管をして売却をする。その売却は近畿財務局に依頼をして売却をするということでありますから、もともと大阪航空局は地主という立場であります。で、近畿財務局に売却を依頼したということでありますから、その処分に当たっては、地下埋設物の見積りも依頼をされたということもありまして、近畿財務局、大阪航空局で協議、調整をしながら詰めてきたということであります。
○宮本(岳)委員 いやいや、だから、改ざんから何から全部一緒にやってきたということになっているんですよ。
私は、太田理財局長及び中村理財局総務課長並びに国土交通省蝦名航空局長及び金井航空局総務課長の証人喚問を求めたいと思います。委員長、御協議を。
○河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。
○宮本(岳)委員 聞きますけれども、国交省にも応接記録、協議記録は残されております。
財務省公表資料、この百二十二ページ、平成二十六年七月十四日というところの応接記録、ここには大阪航空局が作成した応接記録が添付されておりますが、これは間違いないですね。
○蝦名政府参考人 財務省から約九百ページ超に及ぶ応接記録が公表されておりまして、今現在、その内容の把握に努めているところでございますので、今後、確認をさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 いやいや、百二十二ページ、これなら差し上げてもいいですけれども、百二十二ページには大阪航空局がつくったものがちゃんと財務省から出ていますよ。あなた方だって、応接記録、つくっているでしょう。事実は、つくっているでしょう。
○蝦名政府参考人 五月二十三日に財務省から職員個人の手控えとして残っていた交渉記録が公表されたことを踏まえまして、現在、私どもの方にもそういったものがあるのかどうか、確認を進めているというところでございます。
○宮本(岳)委員 あるんですよ。あるんです、それはね。開いてもらったらすぐわかります。
それで、これは何よりも、国土交通省大阪航空局も応接記録、協議記録をつくっているということの動かぬ証拠です。ですから、役所に応接記録はあるんですよ。
大阪航空局と森友学園、大阪航空局と近畿財務局、そして大阪航空局と本省航空局、この全ての応接記録を出していただきたい。さらには、大阪航空局の職員と森友学園関係者及び本省航空局とのメールを全て本委員会に提出していただきたい。
○河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○宮本(岳)委員 意見交換概要、この私どもの入手した文書を見ますと、先ほど紹介したように、太田理財局長の、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はあるという言葉が出てきます。結局、改ざんも隠蔽も全て、安倍政権を守るために行われてきたんですよ。
総理、あなた自身がその政治責任を負うのは当たり前です。潔く辞任すべきだと私は思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 しっかりと職責を果たしていく決意でございます。
○宮本(岳)委員 全く責任を感じない、こういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 しっかりと責任を果たしていきたいと考えております。
○河村委員長 宮本君、時間が参ります。
○宮本(岳)委員 そんなことで国民は絶対に納得いたしません。
改ざんと隠蔽の安倍内閣にはもはや一日たりとも政権を担う資格はない、直ちに内閣総辞職すべきだということを申し上げて……(発言する者あり)総辞職すべきだと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 厳しい宮本委員には御叱責をいただきましたが、反省すべき点は反省しながら、しっかりと職責を果たしていきたい、このように考えております。
○宮本(岳)委員 ちなみに、反省すべき点というのはどういう点ですか。
○安倍内閣総理大臣 いわば、例えば森友学園についても、妻が名誉校長を引き受けたということ等について、反省すべき点は反省しながら、李下に冠を正さずという精神をしっかりと肝に銘じながら行政を進めていきたい、このように考えております。
○宮本(岳)委員 反省するなら辞職すべきだということを申し上げて、質問を終わります。