空港の安全に責任持て 関空浸水取り上げ
日本共産党の宮本岳志議員は16日、衆院国土交通委員会で、9月の台風21号により関西国際空港が大規模に浸水し、空港機能がまひした問題を取り上げ、空港の安全対策は民間事業者任せでなく国が直接責任を持つべきだと追及しました。
関空1期島は、台風による高潮で125万立方㍍以上の海水が流入し、電源設備が喪失しました。宮本氏は、関西エアポート社は電源を浸水から守る対策を作成していたのかと追及。国交省の蝦名邦晴航空局長が「想定していなかった」と述べ、宮本氏は「驚くべき答弁だ」と批判しました。
宮本氏は、関空は低い地盤での地下水の染み出しや地下室の漏水などが国交省の研究会で指摘されていたとして、「想定外は許されない」と指摘。2011年には日本共産党の穀田恵二衆院議員が同委で「想定外を想定しての対策を」と求め、同省はコンセッション事業者であっても安全対策を適正に実施すると答弁していました。
ところが、台風21号の警報が出された2時間後に、石井啓一国交相が関西エアポート社社長と面会したのに、台風への対処を求めていなかったことに、宮本氏は「適切な対応だと言えるのか」と批判。空港の安全対策は事業者任せではなく、国が直接責任を持つべきと指摘しました。
( 赤旗2018年11月20日)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=wwzgQBJGU0Y
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
大臣の所信的挨拶を受けて質問をいたします。
まず、中部横断自動車道、長坂―八千穂間の建設事業について聞きたいと思います。
大臣は、先日の所信的挨拶でも、ストック効果を高める社会資本整備に関して、高速道路や整備新幹線、洋上風力発電、首都圏空港の機能強化等々を並べた上で、地元の理解を得ながら進める姿勢を示されました。
公共事業を進める際に地域住民の理解と納得を得る努力、これは当然のことだと思いますけれども、大臣のまず御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 高速道路を始め社会資本の整備は、用地の提供をいただくことや、整備に当たりまして周辺地域へさまざまな影響を与えることなどから、地元の理解を得ることが重要であります。
このため、地元への説明会を丁寧に行うことなどを通じまして、地域の御理解と御協力をいただけるよう努めてまいります。
○宮本(岳)委員 住民の理解と納得が大事だからこそ、この中部横断自動車道、長坂―八千穂間についても、この間、住民説明会が開催されてまいりました。長坂―八千穂間は山梨県と長野県を縦断することになりますから、住民説明会は山梨県側と長野県側とで開催をされております。
山梨県側は、資料一につけておきましたけれども、二〇一三年一月三十日から二月十六日の間に、北杜市を五つの地域に分けて二回ずつ計十回開催、長野県側は二〇一三年二月十二日に南牧村平沢で一回開催されました。
それから五年を経て、資料二につけましたけれども、ことしの十一月一日に南牧村、今度は長野県側で二回、十五日には小海町と佐久穂町、合同で一回開催をされました。
首をかしげたのは参加対象なんです。
北杜市で開催された住民説明会は、資料一の注一にあるように、北杜市の住民に限らず、「住民以外の方でも参加できます。」として、実際、長野県南牧村の住民や議員さんも参加をされております。
ところが、長野県側の説明会は、注二にありますように、「会場の都合上、対象を南牧村村民に限らせていただきます。」、資料二を見ましても、「会場の都合により対象住民以外の方の傍聴はできません」と、参加者を厳しく制限しております。
同じ説明会なのに、なぜ参加対象を山梨県側と長野県側とで異なるものにしているのか、道路局長にお伺いしたい。
○池田政府参考人 お答えいたします。
地元説明会は、今後行う道路整備の内容を地元の皆様に御説明することや、地元の皆様からの整備内容についての御質問にお答えすることなどを目的として開催をしております。
御指摘の、今月長野県内で開催した地元説明会は、長野県内の道路整備に関係するものであり、長野県内の住民の皆様の十分な質問時間の確保の観点から、地元自治体と調整の結果、対象を長野県内の住民の皆様とさせていただいたところでございます。
なお、長野県内以外の住民の方につきましても、御要望を踏まえ、必要に応じて説明会などの開催を検討してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 私は、この話を聞いたので、急遽、十一月一日に長野県南牧村で開催された住民説明会に二回とも参加をさせていただきました。住民以外の方はお断りというので、国会議員が行っても断られるのかと思いましたが、中に入れていただきまして、傍聴してまいりました。
決して村長さんを悪く言うつもりはないんです。そこで次のようなやりとりを私は目の当たりにいたしました。
国交省の説明に対して意見や質問を出した住民に、村長が、頭を下げる必要はないじゃないかと皆さん思っているかもしれないけれども、村長の立場になれば、国へ行っても、県へ行っても、どこへ行っても、全て自分が頭を下げてお願いしてきたのだ、こう言って、突っ張ったようなことを言っていては道はできないですよ、申しわけないけれども、高速道路を無料にしてほしいという意見がありますよ、だったら、それなりのやはり心構えがないと、突っ張ったようなことを言っていたのでは道もできないし、無料にはならないとまで、説明会の場で言い放ったわけですね。
私は、説明会に来ていた国道事務所の職員がその場で否定するかと、そんなことはないですよ、別に、御意見を聞きに来たんですから意見を言ってもらったらいいですよ、あるいは、そんなにぺこぺこ頭を下げてもらわなくて結構ですよと言うのかと思いましたら、職員は何も言わなかったんです。
これは大臣に改めて確認しますけれども、高速道路というものは、首長や地域住民が卑屈に土下座のようなことをして、自分たちの言いたいことも言わずに国のいいままにつくっていただく、こういうものではなかろうと思うんですが、大臣、これはそうじゃないでしょうか。
○石井国務大臣 個別の案件について、私はそのときの状況をよく承知をしておりませんのでコメントは控えますが、一般論で申し上げれば、高速道路は、その整備により、企業の立地、観光交流が進むなど多様なストック効果が発揮される反面、既存の地域の状況に対して影響を与えるものでございます。
したがいまして、多様なストック効果を発揮する必要な高速道路につきましては、地元の皆様の声に対しても十分に耳を傾け、適切に対応しながら整備を進めていくことが重要と考えています。
○宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。意見も言えず、言いなりになるというんだったら、説明会の必要はないわけです。
理由にならない会場の都合上などを口実にして住民説明会の参加対象を制限、限定しようとするから、かえって地域住民から、建設反対の意見を締め出そうとしているのではないか、こういう批判が出るわけですね。
十一月一日の説明会では、こうした説明会を今後も開催してほしいという要求が強く出されておりました。その際はぜひ、参加対象を限定せずに、多くの住民の意見に耳を傾けるようにしていただきたいと思います。
さて、七月の豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、甚大な被害が出る災害が重なってまいりました。
大臣も所信的挨拶で、今回の災害を通じ、国民の安全、安心を守る国土交通省の使命を改めて実感したと述べられました。
我が党は、自然災害が多発する日本列島において、国民の命と財産を守ることは政治のかなめであることを明確にし、政治が本腰を入れた対応を行うことを強く求めたいと思います。
そこで、台風二十一号で大きな被害を受けた関西空港を取り上げたいと思います。
まず問いたいのは、浸水の問題であります。
関西国際空港の一期島が大規模に浸水いたしましたが、その規模と原因が何だったか、報告をどのように受けておられますか、大臣。
○石井国務大臣 関西国際空港を運営する関西エアポートにおきましては、台風二十一号による空港の浸水及び冠水につきまして、発生当時の空港島周辺の海象状況や越波等を示すデータ等に基づいて検証し、今後の防災対策に生かすため、第三者委員会であります台風二十一号越波等検証委員会を設置をし、検証を進めているところであります。
浸水被害の規模や原因につきましては、関西エアポート社より、これは分析の途中経過ではありますけれども、委員会では、越波、降雨、排水ポンプの停止による海水の逆流により空港の浸水被害が生じたと推定をしている、越波、降雨、海水の逆流による浸水量を推算した結果、浸水量の約八割以上は護岸からの越波に起因し、総浸水量は少なくとも百二十五万立方メートルと考えられると報告を受けているとのことであります。
また、これらの推算値につきましては、より精度の高い再現を実施をし、今後の対策の検討に生かしていくと聞いているところであります。
○宮本(岳)委員 少なくとも百二十五万立米の八割以上が越波だ、越波に起因するものだというのですから、少なくとも百万トン以上の海水が越波してきたことになります。
配付した資料三を見ていただきたい。
これは、関西国際空港一期島の二〇一七年十二月現在の護岸の高さを示したもので、国交省から提出をいただいたものであります。主に東側を越波して海水が浸入したということでありますけれども、東側の護岸の高さ、右から、三・七六メーター、四・一〇メーター、三・九五メーター、四・一七メーターとなっております。
被災当時の東側護岸に押し寄せた波の高さはどれぐらいだったか、航空局長、お答えいただけますか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
関西国際空港の一期島におきましては、実際に護岸に到達した波の高さについて、波浪推算による検証というのが必要でございます。
現在、関西エアポートにおきましては、先ほど大臣の方からも申し上げました台風二十一号越波等検証委員会を設置をいたしまして検証を進めているところでございまして、護岸に到達した波の高さということにつきましては、今後、検証の中で推算され、提示をされるものというふうに聞いております。
○宮本(岳)委員 もう台風二十一号から二カ月以上たつんですね。今なお関空を襲った波の高さがわからないというのでは、話にならないんです。
関西エアポートが設置した、今のお話の越波等検証委員会のレポート、その中では、大臣も先ほどお触れになったように、「現在実施中の波浪及び浸水状況の推算値と実現象を照らし合わすこと等により、より精度の高い再現を実施し、今後の対策に活用することとする。」と言っておりますけれども、この検証結果、今局長がお答えになった検証結果はいつ出るんですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
関西エアポートでは、現在、社内に、護岸のタスクフォース、地下施設のタスクフォース及び危機対応(管理)タスクフォースという三つで構成されます災害対策タスクフォースを設置して検討を進めております。さらに、学者等による第三者委員会、先ほど申しました委員会を設置をし、被災時の空港島周辺の海象状況や越波等を検証しております。
この第三者委員会の結果の公表時期につきましては、まだ検討中でございますために現時点では未定というふうに聞いておりますけれども、別途国土交通省で設置しております、全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会とも連携しながら検討を進め、対策について早期に取りまとめて公表できるように取り組んでいるものと承知をしております。
○宮本(岳)委員 九月四日、台風二十一号のもとで、実際に関西空港でどのような事態が起こったのかが明らかにならなければ、今後の対策も立てようがありません。
至急明らかにして、当委員会に報告することを求めたいと思います。委員長、どうぞ御協議をお願いしたい。
○谷委員長 後日、理事会で協議いたします。
○宮本(岳)委員 先ほど、一期島内の総浸水量は百二十五万立米以上だったと答弁されましたが、この海水によって、地下に設置されていた電源施設が水につかり、停電が起こって空港機能が麻痺してしまったことが明らかになっております。
そもそも、関西エアポート社は、海水が浸入してきた場合に電源を浸水から守る対策を作成していたのですか、航空局長。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
津波等の早期復旧計画、これは関西エアポートが作成しているものでございますけれども、津波被災後の復旧計画として、仮設発電設備の調達等については想定をしておりましたけれども、今回の災害のような、ターミナルの地下にあります受配電設備そのものを浸水から守ることについてまでは想定をいたしておりませんでした。
今回の台風二十一号では、関西電力の電源設備については使用可能であり、旅客ターミナルビルの非常用電源設備についても、一階に設置されておりましたため、浸水被害を受けることはございませんでしたけれども、このターミナルの地下にあります受配電設備が浸水により機能停止をしたという事態になったために今回のような事態になったということでございまして、今後は、さまざまな事態を想定した計画を策定していく必要があるものと考えております。
今般の事態を踏まえまして、関西エアポートにおいて、先ほども申し上げましたとおり、災害対策のタスクフォースを立ち上げ、これまで講じてきた災害対策の検証を進めているところでございまして、国土交通省といたしましても、関西エアポート等の関係者と一体となって必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 想定していなかったんですよ、電源を浸水から守る、そういう対策については。驚くべき答弁だと言わなければなりません。関西エアポート社はそういう対策すら持っていなかったというんですけれども、私はにわかに信じがたいんですね。
改めて、私は、関西国際空港の歴史的経緯について調べてみました。
ここに、関西新空港における止水壁の効果と題した論文がございます。著者は、当時の関西国際空港株式会社計画技術部技術グループの中谷行男氏であります。この報告は、二〇〇八年十月九日、国土交通省が開催した平成二十年度国土交通省国土技術研究会において発表されたものでありますけれども、これは、航空局長、間違いないですね。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の空港技術報告会と申しますのは、土木、建築、機械の各分野にまたがる総合的な空港技術の情報発信及び共有を目的として、国土交通省航空局が主催をいたしております。先ほどの論文につきましては、その報告会の中で報告をされているということでございます。
○宮本(岳)委員 確かに、国土交通省で発表されたものなんですね。
この論文では、「透水性の高い関西国際空港では、台風による高潮時や全国的な問題にもなっていた、いわゆる「異常潮位」と呼ばれる原因不明の海面上昇現象によって、空港島内の地下水位が海面と連動して上昇し、低い地盤での地下水の浸みだしや止水が不十分な地下室などでの漏水などの不具合が生じてきた。」と、事実を述べた上で、これを抜本的に解消するために止水壁を構築したと述べております。
あなた方は、この空港が開港当初から、低い地盤での地下水のしみ出しや、止水が不十分な地下室などでは漏水、こういうふぐあいが生じてきた空港であった事実を知っていたはずなんですね。なのに、なぜ電源を浸水から守る対策をとらなかったのか。これはどうですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
関西国際空港では、過去最大クラスの台風による潮位及び五十年に一度の確率で発生する高波を想定をいたしまして、これまで護岸の整備あるいは電源の対策なども講じてきたところでございます。
今般、空港内、空港島内へ大量の海水が流入をするということまでは想定できておりませんで、結果として、電源を、先ほど申しました、特に地下にある、電源といっても受配電設備でございますけれども、これを機能停止にする事態に至ってしまったということでございます。
その意味で、今般の事態を踏まえまして、これまで講じてきました災害対策の検証を踏まえて、しっかりとした対策を講じてまいりたいということでございます。
○宮本(岳)委員 二言目には想定外みたいなことを言うんですけれども、そんな言いわけは通りません。
関空の安全対策について、我が党は早くから一貫して問題にし、警鐘を鳴らしてまいりました。例えば、二〇〇〇年当時の衆議院運輸委員会では、大幡基夫議員が、空港の安全機能にかかわる問題として、関空の沈下問題を取り上げました。二〇一一年五月十三日の当委員会では、穀田恵二議員が、東日本大震災を受けて、津波対策についてただしております。その際、穀田議員は、津波の高さ一・七メートルという想定は甘い、東日本大震災では十数メートルあったのが現実であり、想定外を想定しての対策が重要だとまで指摘をいたしました。
配付資料四を見ていただきたい。関西エアポートがホームページに公表している、昨年十二月に計測した一期島の高さであります。資料五は、今回国交省が私に提出した、同じ地点の一九九四年十月、開港時の高さであります。そして資料六は、その十二地点について、その差のグラフ、つまり、この二十三年間の沈下量であります。多いところで四メートル三十一センチ、少ないところでも三メートル以上進んでおります。まさに我が党の指摘どおりじゃありませんか。
二〇一一年五月十三日の当委員会の質疑で、我が党の穀田議員が、空港運営へのコンセッション方式の導入について、「民間事業者では、効率化、コスト削減が優先され、安全、環境対策がおろそかにされる懸念がある。」と指摘したのに対して、当時の本田航空局長は、「もしコンセッション事業者が、安全、環境対策を含め、事業の運営を適正に実施しない場合には、新関空会社自体が、民間資金法に基づき、指示あるいは運営権の取り消しを命ずることができるとともに、私ども国土交通省も、新関空会社に対し、コンセッション事業者への指示、取り消しを命ずるといった形で、コンセッション事業者であろうとも、安全、環境対策の適正な実施を担保してまいりたい」と、胸を張って答弁をしております。
航空局長、これは事実ですね。
○蝦名政府参考人 大変申しわけございません。ちょっと今のお答えをする前に、先ほどの訂正をさせていただきたいと思います。
先ほど先生がおっしゃった中谷先生の論文をちょっと勘違いをいたしておりまして、これは主催が国土交通省の国土技術研究会というものでございまして、航空局ではございませんで、大臣官房技術調査課と総合政策局技術政策課でございました。おわびを申し上げて、訂正をさせていただきたいと思います。
それで、今の答弁でございますけれども、運営権者が空港運営事業を適正に実施しない場合には、必要な措置がとられることになるものであることは、御指摘の答弁のとおりでございます。
国土交通省といたしましては、関西空港において適正な災害時対応や安全対策が行われますように、今般の検証を通じて適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 部や課が違えども、あなた方がやった研究会ですよ。
それで、では、この関西エアポートというコンセッション事業者は、ここで国交省が大見えを切ったような安全、環境対策の適正な実施を担うに足るものであったかどうかを議論したいと思うんです。
気象庁に確認いたしますけれども、関西航空地方気象台は、台風の前日、九月三日十三時の時点で、台風第二十一号に関する説明会を開催しております。この説明会には関西エアポートも参加しておりましたね。
○橋田政府参考人 お答え申し上げます。
今お話がありました九月三日の関西航空地方気象台が開催しました台風説明会には、関西エアポート株式会社も参加をしておりまして、二名の参加がございました。
○宮本(岳)委員 資料の七に気象庁の提出資料をつけておきました。
説明内容は、資料の赤線を引いたところ、四日昼前から影響が大きくなる、四日昼過ぎがピークであるとか、飛行場大雨警報発表の可能性がある、南風強風による越波に留意などが並んでおります。九月三日、つまり前日の十三時には、既に翌日の台風二十一号による大きな影響について気象台から警戒が呼びかけられ、それは関西エアポートに伝わっていた。ところが、この翌日、九月四日の台風当日に、関西エアポートの社長は関空にいませんでした。
石井大臣、あなたは台風当日、関西エアポートの山谷佳之社長と大臣室で会っておりましたね。
○石井国務大臣 本年の九月四日、関西国際空港全体構想促進協議会の方々からの御要望がありまして、その面会者の中に関西エアポートの社長がいらっしゃいました。
○宮本(岳)委員 大阪府の情報提供資料を資料八に配付しておきました。
十三時十五分に国交省四階大臣室で要望を受けております。しかし、このときには既に台風二十一号は関空を襲っていたわけであります。
気象庁に聞きます。
気象庁が九月四日、関空に対して飛行場台風大雨高潮警報を発表したのは何時何分でしたか。
○橋田政府参考人 お答え申し上げます。
関西国際空港に対しまして飛行場警報を発表いたしました。それは台風、大雨、高潮の飛行場警報でございますが、これは九月四日十一時八分でございました。
○宮本(岳)委員 既に午前十一時過ぎには飛行場台風大雨高潮警報を、大臣、あなたが所管する気象庁が発していたわけです。その二時間後に、関西エアポートだけじゃないですよ、関西エアポートと新関西国際空港の社長がそろってやってきて、大臣、あなたは、何をしているんだ、早く帰って台風に対処してくれと言わなかったんですか。
○石井国務大臣 先ほども申し上げたところでありますが、当日は、関西国際空港全体構想促進協議会からの御要望を承ったところであります。
○宮本(岳)委員 承る二時間前に、あなたが所管する気象庁が、気象庁長官が言ったように、十一時八分には関西空港に警報が発令されていたと。あなたは、それがあったら、関西エアポートの社長、新関西国際空港の社長、そろって来たら、何しているんだ、大変なことだと言わなかったのかと聞いたんですよ。
なるほど、それは別に社長だけで対応しているんじゃないでしょうよと思われるかもわかりません。この関西エアポート社には、代表権を持つ取締役はこの社長以外にもう一人おります。フランス資本から乗り込んできたエマヌエル・ムノント氏という副社長がおられます。
では、これも航空局に聞きますけれども、社長が霞が関で大臣と会って関空を留守にしていた台風の日に、このムノント副社長は日本国内におりましたか。
○蝦名政府参考人 関西国際空港での当日の状況を詳細には把握しておりませんけれども、出張に出られていたというふうに伺っております。
災害発生時において、被害を最小限にとどめて空港としての機能を維持するためには、さまざまな被害を想定した事業継続計画を策定するとともに、災害の発生が予想される際には、適切な危機管理体制を構築していくことが重要であると考えておりまして、今回の関西エアポートにおきましては、運用担当の執行役員が責任者として対応することとしていたというふうに聞いております。
○宮本(岳)委員 出張と言うんだけれども、国内にいたのか国外にいたのか、どっちなんだ。
○蝦名政府参考人 申しわけございません。そこは承知しておりません。
○宮本(岳)委員 昨日確認しましたよ。海外です、国内じゃないんですよ。話になりません。社長は霞が関、副社長は海外、二人の代表取締役は、空港島はおろか大阪にさえいなかったんです。
これが適切な対応だと思われますか、大臣。
○石井国務大臣 今回の災害時の対応につきましては、関西エアポートで、タスクフォースを立ち上げ、災害時対応のあり方について検討を進めております。
また、国土交通省におきましても、全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会を開催をいたしまして、空港の機能確保に必要な対策の検討を行っております。
国土交通省といたしましては、まずは関西エアポートによる検討結果についてよく検証した上で、適切な危機対応が行われるよう、必要に応じて指導等を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 何が「安全、環境対策の適正な実施を担保してまいりたい」ですか。
空港の安全、環境対策は、コンセッション事業者任せではなく、国が直接責任を持つべきであるということを改めて強く指摘をして、きょうの私の質問を終わります。