命支える地方行財政に
衆院本会議 宮本岳志議員が転換迫る
日本共産党の宮本岳志議員は8日、衆院本会議で、地方財政計画や地方交付税等改定案について質問し、岸田文雄政権の政治姿勢をただすとともに、住民の命と暮らしを支える地方行財政への転換を迫りました。(質問要旨)
宮本氏は森友事件をめぐり、公文書改ざんを強要され自ら命を絶った財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんが残した改ざん記録(赤木ファイル)では、財務省が省をあげて国会をあざむいていたことが明らかとなったと指摘し、真相解明を要求。国交省による統計不正は組織的隠ぺいの疑いが濃厚だとして、徹底解明を求めました。
自治体行政について宮本氏は、大阪府医師会の今井真医師が、医療や公衆衛生を切り縮めた結果、「命の選別」とも言える状況が進みつつあると涙ながらに語ったことにふれ、「現状への反省があるのか」と迫りました。
後藤茂之厚生労働相は「今後とも必要な支援に努める」などと述べるにとどまりました。宮本氏は保健所職員の抜本増員を求めました。
生活保護行政について宮本氏は、厚労相が昨年、扶養照会は「義務ではない」と答えたにもかかわらず、現場では強要されているとして「きっぱりやめるべきだ」と要求。就労支援などの民間委託が進み、大阪市では民間職員が求職活動を強要していると批判し、就労支援は行政の責任で行うよう求めました。
後藤厚労相は、民間委託について「事業の適切かつ効果的な実施を図っていく」と述べるだけで、まともに答えませんでした。
地方財政計画などについて
宮本岳志議員の質問(要旨)
日本共産党の宮本岳志議員が8日の衆院本会議で行った地方財政計画などについての質問(要旨)は次の通りです。
地方財政計画ほか2法案について質問します。まず岸田政権の政治姿勢についてです。
私は5年前、森友事件を国会で最初にとりあげました。森友事件では、赤木俊夫さんの自死と、真相解明を求める雅子さんの民事裁判が争われ、国は請求を認諾し裁判を終わらせました。「赤木ファイル」によると、財務省をあげて国会をあざむき、与党の下請けのような仕事をしていたことが明らかになりました。再調査し、真相解明するのは当然ではありませんか。
国交省の統計不正では、データ書き換え、二重計上とともに、組織的隠ぺいの疑いが濃厚となっています。徹底解明を要求します。
岸田首相は、「新自由主義的な考えが生んださまざまな弊害」について語っています。弊害をもたらしたのは、自民党政治自身です。
いま地方自治体には、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのもとで、住民の命と暮らし、地域経済を守る役割の発揮が求められています。
ところが実態はどうか。大阪府医師会の医師は、オミクロン株流行で医療現場はひっ迫し、「命の選別」と言わざるを得ない状況が進行しつつあると涙ながらに訴えました。医療や公衆衛生を切り縮めた結果であり、現状への反省はあるのですか。
全国の保健所では業務ひっ迫が深刻です。感染症対応の保健師は1自治体に1人という水準です。政府は「感染症対応する保健師を1・5倍、900人増やす」としていますが、どれだけ増員されたのか。抜本的な増員をすべきではないですか。
生活保護制度は憲法が保障するセーフティーネットであり、最後の命綱です。自公政権による2度にわたる生活保護費の削減強行、改悪は重大です。
「扶養照会」の強要で申請を断念させる事態も生まれました。昨年、厚労大臣は「扶養照会」は「義務ではない」と答弁しましたが、現場での強要はなくなっていません。きっぱりやめるべきです。
生活保護行政では、就労支援などの民間委託が大問題となっています。大阪市では、就労支援で保護廃止となった場合、1人あたり6万円の委託料加算の特約条項が盛り込まれ、民間職員が「求職活動しなければ、保護がうけられなくなる」などと求職活動を強要する事例も報告されています。加算の仕組みは言語道断ではありませんか。就労支援は行政の責任で行うべきです。
住民の命と暮らしを支え、貧困と格差を是正する地方行財政への抜本的な見直しを求めます。
(しんぶん赤旗2022年2月9日)
動画 https://youtu.be/EKJ8cFx8P2g
議事録
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、地方財政計画外二法案について質問いたします。(拍手)
まず、岸田政権の政治姿勢についてであります。
私は、五年前、森友事件を国会で一番最初に取り上げました。
森友事件の公文書の改ざんをめぐっては、赤木俊夫さんの自死と、その真相解明を求める雅子さんの民事裁判が争われてきました。しかし、国は、昨年末、突然請求を認諾し、裁判を終わらせました。裁判所に提出された赤木ファイルによると、財務省は、省を挙げて国会を欺き、まるで与党の下請のような仕事をしていたことが明らかになりました。
自公政権が全体の奉仕者であるべき公務員の在り方をゆがめてきたことは極めて重大です。真摯に対応するというなら、再調査し、真相を解明するのは当然ではありませんか。財務大臣の答弁を求めます。
国交省の統計不正では、データの書換え、二重計上などとともに、組織的な隠蔽の疑いが濃厚となっています。徹底解明を強く要求いたします。
岸田首相は、新しい資本主義の看板を掲げ、新自由主義的な考えが生んだ様々な弊害についても語っておられます。しかし、その弊害をもたらしたのは、まさに自民党政治自身であります。
今、地方自治体には、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの下で、住民の命と暮らし、地域経済を守る役割の発揮が求められております。
ところが、実態はどうでしょうか。
大阪府医師会の今井真医師は、オミクロン株の大流行で、医療現場は逼迫し、今では命の選別とでも言わざるを得ないようなつらい状況が目の前で進行しつつあることを私に涙ながらに訴えられました。平時に保健所を削減したのが一因だ、行政に経済効率性を求めた結果で、新自由主義の影響だと語っておられます。
オミクロン株の大流行による今日の命の危機は、医療や公衆衛生を切り縮めた結果であり、救える命も救えなくなったという現状への反省はあるのですか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
全国の保健所では、業務の逼迫が深刻です。
保健所数が三分の一に減った大阪府では、朝から十以上ある電話回線は全て埋まり、一日中電話が鳴りやみません、家に帰っても耳の奥に電話の音が残っているとか、保健所では深夜の対応を持ち帰る携帯電話で行っていますが、電話が立て続けにあり、ほとんど眠れずに翌朝出勤することも頻繁にありますなど、極めて深刻です。
感染症対策の保健師は、一九年四月時点で千七百八十六人で、これは一自治体一人という水準です。
政府は、二〇二一年、二二年の二年間で、感染症対応する保健師を一・五倍、九百人増やすとしていますが、どれだけ増員されたのか、現在の保健師数をお示しください。増員は十分だとの認識ですか。抜本的な増員をすべきではないですか。総務大臣の答弁を求めます。
生活保護制度は、憲法が保障するセーフティーネットであり、最後の命綱です。
自公政権が、二度にわたる生活保護費の削減を強行し、改悪してきたことは重大です。
また、扶養照会の強要によって、申請を断念させる事態も生まれました。昨年、厚労大臣は、扶養照会について、義務ではないと答弁しましたが、その後も現場での強要はなくなっておりません。きっぱりやめるべきではありませんか。答弁を求めます。
生活保護行政では、就労支援などの民間委託が進められ、大問題となっています。
大阪市では、民間との委託契約で、就労支援により保護廃止となった場合、一人当たり六万円の委託料加算の特約条項が盛り込まれています。この下で、民間職員が、求職活動しなければ保護が受けられなくなるなどの強い言葉で求職活動を事実上強要する事例も報告されています。成功報酬のように民間事業者に委託料を加算する仕組みなど、言語道断ではありませんか。就労支援は、ケースワーカーなど、行政の責任で行うべきです。
住民の命と暮らしを支え、貧困と格差を是正する地方行財政への抜本的な見直しを求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇〕
○国務大臣(鈴木俊一君) 宮本議員の御質問にお答え申し上げます。
森友学園案件に関する再調査についてお尋ねがありました。
再調査につきましては、第三者による調査という意味では、会計検査院の検査、さらには検察当局の捜査が進められたところであり、結果として、検察当局の捜査においては不起訴処分となっていると承知しております。
また、財務省としても、文書改ざん等の問題について説明責任を果たすため、徹底した調査を進め、平成三十年六月、その調査結果を取りまとめ、関与した職員に対して厳正な処分を行ったことは従来からも御説明してきているとおりであります。
このように、財務省としては、できる限りの調査を尽くした結果をお示ししたと考えており、再調査を行うことは考えておりません。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇〕
○国務大臣(金子恭之君) 宮本議員からの御質問にお答えいたします。
まず、国土交通省の建設工事受注動態統計調査における今般の不適切な処理について御質問いただきました。
国土交通省の検証委員会の報告書では、特に、不適切な処理を認識した後の対応について厳しい指摘がなされておりますが、引き続き、国土交通省のタスクフォースにおいて、再発防止策の検討や所管統計の検証などが進められるものと承知しております。
さらに、公的統計全般について、統計委員会において、こうした国土交通省の検証委員会の報告書などを精査の上、各府省の基幹統計の集計プロセスの点検を行っていただくとともに、その結果も踏まえつつ、再発防止策や統計作成のデジタル化、統計人材の育成などの公的統計の改善施策を取りまとめていただくこととしております。
総務省としても、統計委員会から示される各種施策を着実に実行に移し、公的統計に対する信頼回復に全力で取り組んでまいります。
最後に、保健師の増員に係る認識について御質問いただきました。
各自治体においては、それぞれの実情に応じて保健所の体制強化に取り組んでいただいているものと認識しております。
総務省としては、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を、令和三年度と令和四年度の二年間で、コロナ禍前と比較して九百名増員するために必要な地方財政措置を講じることとしております。
今後の保健所の体制の在り方については、まずは厚生労働省において自治体の意見を踏まえて検討されるべきものですが、総務省としても、厚生労働省と連携をしながら、必要な支援に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇〕
○国務大臣(後藤茂之君) 宮本岳志議員の御質問にお答えいたします。
医療や公衆衛生の削減についてお尋ねがありました。
医療については、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して取り組むことが重要と考えております。引き続き、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して、第八次医療計画の策定や地域医療構想の推進などの取組を進めてまいります。
保健所については、今般の新型コロナ対応を踏まえ、感染症対応業務に従事する保健師の増員などを図っており、引き続き、新型コロナ対応の中心となる保健所の体制強化に努めてまいります。
感染症に対応する保健師の増員についてお尋ねがありました。
令和三年四月一日現在、感染症対応に従事する全国の保健師の数は、平成三十一年から約千二百名増加し、約三千名となっており、当初の計画を上回る増加となっております。ただし、この増加分には本庁等から保健所に配置転換した人数が含まれており、保健所の保健師全体では約七百名の増加となっております。
なお、感染症対応に係る各保健所の人員体制の状況については引き続き注視していくことが必要であり、厚生労働省としては、総務省とも連携し、今後とも、必要な支援に努めてまいります。
生活保護の扶養照会についてお尋ねがありました。
扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは生活保護法に明記された基本原理であり、扶養照会は必要な手続であります。
他方、昨年、著しい関係不良の場合に扶養照会を省略できるよう通知等を改正するとともに、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合は特に丁寧に聞き取りを行うことを自治体に求めており、こうした取扱いについて周知徹底をしてまいります。
生活保護受給者への就労支援についてお尋ねがありました。
生活保護受給者への就労支援事業は、生活保護法上、事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することができる者に委託することができるとされています。厚生労働省としては、事業を実施する各自治体に対し、実施状況等の評価、検証を行うことや、事業実績の国への報告等を求めており、これらを通じ、事業の適正かつ効果的な実施を図ってまいります。(拍手)