大阪の医療危機告発
衆院総務委 宮本岳志氏、支援強化要求
日本共産党の宮本岳志議員は17日の衆院総務委員会で、新型コロナウイルスの感染爆発で、搬送先を見つけられずに亡くなっている事例が相次ぐ大阪の医療危機を告発し、「何より命を守るのが政治の責任だ」として、国の人的、財政的支援の抜本強化を求めました。
宮本氏は「命のかかった場面での地方財政計画だという認識か」とただし、金子恭之総務相は「厳しい状況であり、最優先課題はコロナ対応だ」と答弁しました。
宮本氏は「大阪は大混乱だ」と述べ、鳴り物いりで開設した「大阪コロナ大規模医療・療養センター」の確保病床数1000床のうち、使用率はわずか0・3%だと指摘。一方で、「病院から『発熱しているなら来るな』と言われた」「医者に市販の頓服を進められた」などの声が寄せられているとして、大阪府知事も認めるように、保健所機能のひっぱくと感染情報の処理の遅れが目詰まりの原因だと述べ、行政職員の派遣を求めました。保健師の数は保健所への配置転換も含め3000人にとどまっており、宮本氏はさらなる保健師の増員を要求。厚生労働省の宮崎敦文審議官は「保健師の体制が十分なものになるように取り組みたい」と応じました。
また宮本氏は保健所職員増員のための地方財政措置が2022年度も維持されていることを確認し、「現在の危機対応後には、コロナ後の保健所と公衆衛生のあり方を白紙から議論する必要がある」と主張しました。
(しんぶん赤旗2022年2月18日)
動画 https://youtu.be/5hasO6N-oqU
配付資料 20220217総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
地財計画ほか、二法案について質問いたします。
オミクロン株の全国的な感染爆発は、蔓延防止重点化措置が次々と延長されるなど、まだ先が見えない深刻な事態であります。二月十五日には、国内で報告された新型コロナウイルス感染の死者は、ついに二百人を超えました。
本会議代表質問でも述べたとおり、特に私の地元大阪は、更に危機的な状況に陥っております。
大阪府は十四日、新型コロナに感染した六十歳代と八十歳代の男性二人が自宅で死亡したと発表いたしました。
六十歳代の男性は大阪市在住。市によると、一月三十日夜、息苦しさと発熱の症状が出たことから、家族が救急搬送を要請。保健所は、入院先の調整がつかず、男性に基礎疾患がなかったことから搬送はせず、改めて療養先を見つけることにいたしました。しかし、翌日、自宅で容体が急変し、亡くなったということであります。
八十歳代の男性は、中等症で入院しておりましたけれども、症状が改善したことから退院し、自宅療養に切り替えました。保健所が毎日連絡しておりましたけれども、今月七日に容体が急変して亡くなったと報告されております。
今や命まで守れなくなっている現状を、国も都道府県も市町村も、力を合わせ、打つべき手を打ち尽くして、何よりも命を守る、それが政治の責任だと思います。
大臣、そういう緊迫した状況下、命の懸かった場面での地方財政計画だという認識はお持ちでしょうか。お答えください。
○金子(恭)国務大臣 宮本委員にお答え申し上げます。
地元大阪での、本当に厳しい、切実な、命に関わる現状についてのお話をいただきました。
私どもの最優先課題についても、新型コロナ対応でございます。新型コロナの感染拡大に直面する中、自治体におきましては、住民の命と健康を守るため、医療機関等とともに、新型コロナ対応の最前線に立って、懸命に取り組んでいただいております。
新型コロナ対応につきましては、自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただけるよう、国においてしっかりと財源を確保することが重要と認識し、ほとんどの事業を全額国費により措置してきております。
その上で、令和四年度の地方財政計画は、新型コロナ対応の最前線に立つ自治体が直面する重要課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう策定したところでございます。自治体の安定的な財政運営の観点から、最大限の対応ができたと考えております。
今後も、各自治体が積極的に新型コロナ対応に取り組むことができるよう、総務省としても、引き続き、関係省庁としっかりと連携して、適切に対応してまいります。
○宮本(岳)委員 資料一を見ていただきたい。
二月の十五日、大阪府は、私のところに「大阪コロナ大規模医療・療養センター中等症患者用の運用開始等について」という文書を届けてまいりました。
二月十五日午前九時から、インテックス大阪に設置している大阪コロナ大規模医療・療養センターの中等症患者用の運用を開始するというものでございます。運用開始当初は三十床で運用をスタートするが、最大二百床まで増やす、こうこの文書に書かれております。
厚労省に聞くわけですけれども、大阪の大規模医療・療養センターの確保病床数は何床で、二月十六日現在の療養者数、病床使用率はどれだけですか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
大阪府の大規模医療・療養センター、いわゆるインテックス大阪におきましては、臨時の医療施設として一千床を確保していると承知をしております。
大阪府の発表によりますと、この臨時の医療施設における療養者数は、二月の十五日時点になりますけれども、この二月十五日時点において三名であります。単純に割りますと、使用率は〇・三%ということになります。
○宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたいと思います。
鳴り物入りでインテックス大阪に千床を確保したと報じられてまいりました大規模医療・療養センターが、病床使用率〇・三%と。その前日までは〇%でありました。つまりゼロだったということですね。僅か〇・三%で、がらがらであるよりは、中等症の患者さんに入っていただくのはよいことであります。
ところで、資料三につけましたのは、先日岸田首相が発表した、東京都と大阪府に臨時医療施設を設けて、国が看護師らを二百人規模で派遣して、東京都に六百六十床、大阪府には三百五十床を準備するという政策のペーパーであります。下線部、大阪を見てもらうと、ホテルに百五十床と、インテックス大阪の大規模医療・療養センターに二百床の運用に国の応援派遣とあります。
これで、元々の千床に加えて二百床を国によって運用してもらえば、病床数は千二百床ということに、厚生労働省、なるんでしょうか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
今御紹介いただきました資料、御紹介にありましたとおり、今後の入院患者の受入れに万全を期すために、東京都、大阪府と協力をいたしまして、合計約一千床を新たに増設して、看護師などの医療人材について国が全面的に支援をして、全国の公的・公立病院から派遣をするということでございますが、このうち二百床は、御指摘の大規模医療・療養センターを、国が調整した医療人材の応援派遣により実施することとしております。
センターにつきましては、先ほど申し上げましたように、最大で一千床の病床を設置することが可能であるところ、この大阪のセンターにつきましては、そのうちの八百床は既に無症状、軽症の患者のために運用されていたというところでございますけれども、中等症までを対象とする二百床につきましては、これまでは、感染状況もあり、稼働していなかったと承知をしております。
先ほど委員御紹介がございましたように、今月、二月の十五日にまず三十床から稼働を始めたという状況でございまして、この稼働を始めた二百床につきましては、中等症の患者を受け入れるために、国の支援の下で看護師等を手厚く配置して、医療提供機能を強化するということとなります。
センターの最大確保病床につきましては、したがいまして一千床のままでございますけれども、患者を実際に受け入れられる病床としては二百床を増設したということだというふうに受け止めております。
大阪府の医療逼迫への対応として、こうした入院患者で病状が安定、軽快した患者については、重点医療機関からの転院を進めていくということなども肝要であるというふうに考えておりますので、今回増設する二百床、現在の局面で、今後の対応として果たす役割というのは意義あるものだというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、もちろん意義はあるんですよね。
ただ、まさにこれが、先ほどの中等症病床というのはこれのことですよね。国がやるということであって、そういう意味では本当に取組が遅れているということを言わなければなりません。
大阪は明らかに大混乱にあります。私の下には、濃厚接触は自主的に受診と言われ、病院に連絡しても、発熱しているなら来ないでくれ、検査はできませんと何軒も断られて、自宅で頓服で過ごしているとか、中には、医者に市販の頓服を買って飲んでおいてくれと言われた、こんなような話まで飛び込んでくる状況であります。
厚生労働省に聞くんですが、このような混乱の一番の原因は、感染拡大の現状を把握する上で、保健所機能の逼迫と感染情報の処理遅れがあると思うんですが、認識はいかがですか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘がございますように、大阪は大変、非常に厳しい状況の中で、今、自治体が大変御苦労されていると承知をしておりますし、我々もできる限りの支援をしているところでございます。
現在のコロナ対応で大変苦労されている現状の原因というのは、これは恐らく、様々あると思います。
昨日開かれた大阪府の本部での議論では、例えば、これまでの感染に比べて高齢者の数が非常に多いとか、そういった議論もされているということも承知をしておりますが、その一方で、今委員御指摘ございましたように、感染拡大の現状を把握するという点に関して申し上げますと、二月の上旬に、これは何回か大阪市長が記者会見もされておりますけれども、対応できる人員に限りがある中で、感染情報の把握、報告に遅れが実際あったということで、実際にそれを会見されているということを承知をしております。
感染力が極めて高いオミクロン株、短期間で感染者が急増したことで、保健所の業務が逼迫をして、HER―SYSへの入力の遅れなどが生じたということがあったと承知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 結論部分だけでいいんですよ。
二月九日の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの会合で、西浦博京都大学大学院教授は、感染者が相当増えたので、HER―SYSの入力に関して都道府県で相当に厳しいところが出始めた、特に大都市圏でHER―SYS入力の遅れが顕著だ、大阪はより深刻、こういうふうに報告したと報じられております。
大阪でどれほどHER―SYS入力が滞ってきたのか、最大で何枚の発生届の未処理及び処理途中枚数が発生していたか、厚生労働省にお答えいただきたい。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
大阪市におけるHER―SYSへの入力の遅延につきましては、大阪市の報道発表によりますと、一月二十六日から二月の二日までの間で一万二千七百件、また、二月の四日から二月七日までの間で九千二百件の入力遅延があった旨の発表があったと承知をしております。
また、最大枚数につきましても、同じく発表資料によりますと、二月二日の一万二千七百件であったと承知をしております。
○宮本(岳)委員 一万二千七百枚ですね。
事態の解決には、保健所の機能を正常化させることが決定的だと思います。また、動き始めた大阪府の先ほどの転退院サポートセンターの職員も十一名というふうに聞きました。今大事なのは、緊急に行政職員を投入してもこの目詰まりを解消することであります。
現場からは、国からの医師や看護師の派遣もありがたい、もちろんありがたいんだけれども、併せて省庁の行政職員も送ってほしいという声も届いております。
厚労省、そういう声に応えて、行政職員、事務職員ですね、応援を送る、こういうことは御検討いただけませんか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先ほど議論のありました報告の遅れに関しては、大阪市の会見での発表などを伺いますと、職員の増員などを図りましてその解消に努めているというふうに伺っております。
一方で、そこの点に限らず、現場における逼迫状況といいますか大変な状況というのは、我々も直接、市からも逐次状況をお伺いしております。
この場合は、我々といたしましては、これまでも、例えば外部委託などの体制の確保ですとか、あるいは全庁的な体制を取っていただくことでこうした人手不足の解消をお願いしてきましたし、そういったところでの助言なども行ってきているところであります。
その上で、人手不足の対応というよりは、保健所の業務を進める中で、個々の保健所では、外の専門の機関との例えば交渉ですとか、あるいはいろいろな業務の工夫をするときに、なかなか知見がなくてうまくいかない、目詰まりがあるような場合があって、そういう場合に、我々厚生労働省の職員で専門的知見がある者を、一時的に実際に現場に派遣してお手伝いするようなこと、これは過去もやってまいりましたし、最近の事例では、沖縄県に派遣をいたしましたりということもやっております。実際にそういうことをやっております。
大阪市につきましては、既にそういうような対応についても相談を開始しているところでございまして、これは受入れ側の体制の問題もございますので、協議が調えば、必要な範囲で、そうした専門的な立場から、保健所業務の目詰まりの解消に向けて、お手伝いできるところはお手伝いをしていくという考えで今取り組んでいるところでございます。
○宮本(岳)委員 二月七日の予算委員会で、自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室の大村地方連携総括官は、金子総務大臣を本部長に、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策について、自治体との連絡体制を構築し、取組状況や課題を丁寧に聞き取り関係省庁にフィードバックすることなどを通じて、自治体の対応を後押ししていると答弁されました。
大臣、大阪の状況をどのようにつかみ、どのようにフィードバックされておりますか。
○金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。
宮本委員御指摘のとおり、総務省としては、自治体との間の連絡体制を活用しながら、取組状況や課題を聞き取るとともに、関係省庁にフィードバックすることなどを通じ、新型コロナ対応に当たる自治体の取組を後押ししてまいりました。
先ほど来厚生労働省からお話をいただいておりますが、医療の関係もございますので、厚生労働省を中心にして、関係府省、我々総務省もそうでありますが、各自治体に対して、方針とかあるいは支援の内容等については御連絡をしているわけであります。
昨年四月の時点で、ワクチンの接種について、国がこういう方針でやりますと言ってもなかなか進まなかったということで、総務省が、やはり自治体との連携が取れているということもございまして、積極的に自治体に寄り添って、こういう方針が出ているんだけれども何でそちらは対応できないのかというようなことを丁寧に聞き取りました。そうしたら、医療関係者が見つからないとか、小さな町村では一律にはできないようなこともありましたので、そういったことをしっかりと聞き取りましてフィードバックして、一律ではなくて、それぞれの課題に応じて丁寧に対応することによって、ワクチンの接種が進んだということもございます。
大阪府、大阪市につきましても、昨年来、幾度となくやり取りをしております連絡体制を活用しまして、新型コロナ対策について厚生労働省と連携をして必要な要請を行うとともに、日々の感染状況や病床利用状況の情報と併せ、新型コロナ対応の取組状況などを聞き取り、政府内の実務者の打合せの場等において適時共有しているところでございます。
例えば、オミクロン株の特性を踏まえた医療提供体制の整備に関しては、大阪府が設置する大規模センターであるインテックス大阪の臨時病床を稼働させたこと、療養者に係る後方支援病院の充実を図ること、感染拡大を踏まえ更なる高齢者の医療体制の充実を図ること、保健所においてコロナ患者の発生届の入力業務の効率化を図ったことなどについて伺っております。
また、ワクチン追加接種の促進に向けた体制整備については、例えば、集団接種会場の予約状況や、他の市町村の参考となり得る府内市町村の好事例も伺っておりますとともに、モデルナ接種の促進に向けた広報の充実が必要との意見などについても伺っております。
自治体に寄り添いながら、我々も、総務省としてのこれまでの機能といいますか、これまでの自治体との関係の中で、そのことを厚生労働省とも相談しながら、政府一体となりながらやって、引き続き、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策について、現場の状況を丁寧に伺いながら支援してまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 事は命が懸かっておりますから、本当に、省庁の枠を乗り越えて、みんなが力を合わせてしっかり取組を進めていきたいというふうに思います。
厚生労働大臣は、先日の代表質問で、二〇二一年四月一日現在、感染症対応に従事する全国の保健師の数は、二〇一九年から約千二百名増加し約三千名となっており、当初の計画を上回る増加となっております、ただし、この増加分には本庁等から保健所に配置転換した人数が含まれており、保健所の保健師全体では約七百名の増加、こう答弁をされました。
配置転換では不十分だと私は思います。
現場からは次のような声が届いています。コロナ対応に全力を注ぎつつも、精神保健担当の保健師やケースワーカーは、警察や御家族から緊急相談、自殺未遂事件発生、本人の様子に異変がある等があればすぐに出動しなければなりません、その対応中に警察からの次の相談や通報が入ることもあります、全く人が足りません、こう言うんですね。
当初の計画を上回ると本会議でおっしゃいましたけれども、国民の命を守ることができているのかどうかが問われていると思うんです。三千人で十分だ、こうお考えですか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
先日の本会議で大臣から答弁いたしましたとおり、三年四月一日現在で感染症対応業務に従事する保健師は約三千人ということではございますが、この中には、コロナ対応ということで、一時的に転籍とかをされている方も含まれているだろうと思います。
そういうことでございますので、むしろ大事なことは、この感染症対策、平時からの備えも含めまして体制を強化するということがやはり重要だと考えておりますので、この点は総務省さんとも十分協議をして、御協力をいただいて、地方財政措置を含めまして、この間、取り組んできておりますので、引き続き、この仕組みの下で、保健所の感染症対策に従事する保健師の体制が十分な対応になるように、自治体の御判断もございますけれども、その動向を我々としてもよく見ながら、強化の動向をしっかり見ていくということが大事だと思っておりますし、この点は総務省さんとも協力しながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 二〇二一年の財政措置で、保健所の他の職種の人員も増加をしております。
これまで、保健所の行政職員の削減が保健師の業務負担を増やしていることも指摘されてきました。二〇二二年度も保健所の行政職員を増やせる財政措置が行われているのかどうか、これは総務省からお答えいただけますか。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
保健所の業務が円滑に行われますためには、事務職員の果たす役割も重要だと思っております。
令和三年度におきましては、地方団体における実態及び厚生労働省や地方団体からの要望を踏まえまして、事務職員を含む保健師以外の保健所職員についても、地方交付税算定上の人数を標準団体ベースで二名増やしたところでございまして、令和四年度においてもその水準を維持することとしております。
○宮本(岳)委員 コロナパンデミックというべき事態を体験した今、保健所の在り方が改めて問われていると思います。
保健所法の九四年改定とその後の保健所の集約化が、結核に代表される感染症の脅威が減退したということを理由に、医療政策に占める公衆衛生のウェートを小さくした、感染症に対する備えがおろそかになったという点が背景にあると指摘をされております。
ならば、改めて、コロナ後の保健所と公衆衛生の在り方については、もう一度白紙から議論する必要があるのではないか、こう思うんですけれども、これは大臣の御見解をお伺いできますか。
○金子(恭)国務大臣 先日も、宮本委員から、保健師の増員のことについては、増員をしたんだけれどもこれで足りるのかというお叱りを受けたわけでございます。
今も答弁しましたように、そういう状況の中で、しっかりと、今後とも検討しながら、皆さんが安心して医療を受けられる体制をつくるためにも、努力をしていきたいと思います。
○宮本(岳)委員 こういう状況の下で、保育園の休園、高齢者施設のクラスターの発生など、特にエッセンシャルワーカーと言われる方々の負担が大きくなっている。我々もこれまで、エッセンシャルワーカーの処遇改善を度々問題にしてまいりました。
政府は昨年、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策で、公的分野における分配機能の強化策として、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を、来年二月ということは、今年の二月から前倒し実施するというふうにしております。
山際大臣は、まず隗より始めよということで、政府ができる分野として、公的部門にいらっしゃる方々の賃金を上げていこうというところで決まったものと承知している、こう内閣委員会で答弁をされておられます。
この対象となっている公的部門というものの中には、地方公務員の方もおられます。民間とともに、公務員の皆さんも対象となるのは当然のことだと思います。
これも総務大臣に確認ですが、自治体にどのように対応を促しているのか、お伺いしたいと思います。
○金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。
自治体の現場では、今、宮本委員からお話がありました保育士を始めとしたエッセンシャルワーカーの数多くの職員が、地域住民に最も近いところでサービスを提供するなど、重要な役割を担っていただいております。
今回の処遇改善事業については、こうした現場で働く地方公務員も対象となっております。総務省としても、各自治体が今回の経済対策の趣旨を踏まえ、対象となる職員の処遇改善について適切に対応いただけるよう、複数回にわたり通知を発出するなど、事業所管省庁と協力して取り組んでまいりました。
地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間等との均衡を考慮して定められるものであることも踏まえつつ、今回の処遇改善事業が各自治体において適切に活用されるよう、引き続き事業所管省庁と協力して取り組んでまいります。
○宮本(岳)委員 ちょっと時間がないのではしょります。
地方公務員は、給料表や手当の仕組みが自治体によって違います。総務省が通知で提示しているわけですが、一般行政職と同じ給料表を用いている場合の想定として、初任給調整手当や給料の調整額を示しております。こうした仕組みは、ある自治体もあれば、ない自治体もございます。条例改正に当たっては、丁寧に相談に乗っていくことが必要ではないかということが一点。
もう一点は、聞いておりますと、九月までは補助金で十割、全額補助が出るのでいいんだ、十月以降は国の補助金がなくなるので、自治体負担になるのではないかと二の足を踏む自治体があるとお伺いしております。この不安に対して、総務省としても、地方財政措置をしているということを、自治体の理解が得られるようにしっかり示していくべきだと思うんです。
この二点、部局は変わるかも分かりませんが、立て続けにお答えください。
○山越政府参考人 前段の御質問についてお答えいたします。
今回、保育士等の処遇改善の補助事業に関して発出した通知におきましては、地方公共団体における処遇改善の具体的検討に資するべく、その手法の例を明示する形で助言をしたところでございます。
通知発出後、地方公共団体からは、この通知の内容について数々の問合せをいただいているところでございまして、これまでも、その内容等について丁寧に解説するなど対応してきたところでございます。
引き続き、地方公共団体からのお問合せに対して丁寧に対応してまいりたいと思います。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年十月以降につきましては、保育士等それから幼稚園教諭、介護・障害福祉職員、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、収入を三%程度引き上げるための措置を実施することとされておりまして、その地方負担については、公立施設分も含め、地方交付税措置を講じることとしております。
この地方交付税措置を講じることにつきましては、自治体向けの会議の場において周知しているところでありますが、重ねまして、今後、各府省から令和四年十月以降の制度の詳細が示されるものと承知しておりますが、これと合わせて、改めて自治体に対し周知に努めてまいりたいと思います。
また、今回の措置に対応した普通交付税の算定項目につきましても、自治体に対して周知に努めてまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 しっかり周知していただきたいんですけれども、自治体にしてみたら、その翌年も、その翌々年もという心配がやはりあるんですね。なかなか、単年度主義というか、予算は単年度でありますから、その先のことまで言いにくいんでしょうけれども、しかし、やはり、下げていくということはあり得ないことですから、是非しっかりと自治体にこの中身をお伝えいただきたいというふうに思っております。
さて、公共施設等適正管理推進事業債について、次に聞きたいと思います。
総務省は、二〇二二年の公共施設等適正管理推進事業債の地方財政措置で、長寿命化事業の拡充や脱炭素化事業を新規に加え、五年間の延長を行いました。しかし、この措置で一番に位置づけられているのは、集約化、複合化事業というものであります。総務省の資料によれば、延べ床面積の減少を伴う集約化、複合化事業を対象としているということであります。
こうした政策誘導の下で、各自治体で公立学校の統廃合が進んでおります。この事業債は、公共施設等総合管理計画に基づき行われる事業で、個別施設計画等に位置づけられた事業を対象にしております。
個別施設の計画の策定状況を内閣府がつかんでおりますけれども、その中で、学校施設について、二〇一八年度末には二〇%未満だった策定率が、二〇二〇年度の末で九〇%を超える状況になったというふうに報告を受けました。現在の個別施設計画の策定率、学校については幾つですか。
○笠原政府参考人 学校施設に係る個別施設計画の策定状況でございますけれども、令和三年四月現在で九二%になってございます。
○宮本(岳)委員 資料四を見ていただきたい。
文科省が、今年一月十三日、市町村に対し本年度予算を説明する際に使用した資料であります。
個別施設計画の策定状況は九二%とあり、交付金事業は個別施設計画の策定状況を踏まえて採択とした上で、計画の内容に課題ありと書いてあります。そして、その下の円グラフ、赤の下線を引いておきましたけれども、計画に複合化の記載がされていない設置者、計画に統廃合の記載がされていない設置者と書かれており、まるで複合化、統廃合が記載されていないことが問題であるかのように書かれております。これはあからさまな政策誘導ではありませんか。
○笠原政府参考人 先生お示しいただきました資料でございますけれども、これは確かに学校施設の個別施設計画の策定状況について整理したものでございます。
その前提といたしまして、学校の統廃合を行うかどうか、また複合化を行うかどうかを含めて、どのような学校施設を整備するかにつきましては、地域の実情に応じて、学校設置者である各地方公共団体において主体的に判断するべきものというふうに考えてございます。
そういう前提の中で、文部科学省といたしましては、各地方公共団体において判断された結果を踏まえ、公立学校の施設整備に係る考え方や計画を適切に個別施設計画に反映させることをお願いしているところでございまして、このような表記になっているところでございます。
○宮本(岳)委員 設置者が決めるのは当たり前のことなんですよ。それはもう地方教育行政の原理原則でありますけれども。
しかし、その先につけております資料五を見ていただきたい。
今月三日に文部科学省がオンラインで開催した、第九回新しい時代の学校施設検討部会配付資料の中にある、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方についての最終報告(素案)の十三ページであります。
この報告書なんですけれども、赤い下線部、先ほどの資料四の円グラフの数字をそのまま引用して、策定された個別施設計画では統廃合の検討が計画に掲載されている設置者の割合が三七%であり、必要に応じて学校施設の適正規模等の方針を検討し、適時に計画に反映していくことが必要であると書いてあります。
やはり文部科学省自身が、個別計画にもっと統廃合計画を持てとハッパをかけているんじゃありませんか。
○笠原政府参考人 先生お示しいただきました資料につきましては、文部科学省に設置しております有識者会議の二月三日の部会における資料というふうに認識しております。
先ほど申し上げましたように、個別施設計画につきましては、あくまでも、各自治体において判断された整理の結果を、公立学校施設の整備の考え方とか計画を適切に個別施設計画に反映させていただきたいということの中で、こういうような記載がされているというふうに考えてございます。
○宮本(岳)委員 では、資料六を見ていただきたい。
二〇二二年度予算案資料であります。下線部、学校施設以外との複合化を伴う改築の補助率は三分の一から二分の一にかさ上げすると。
これは、文科省としては複合化についてはこういう補助率を上げて推進したい、こういうことでよろしいですね。
○笠原政府参考人 前提のところは繰り返しになって恐縮なんですけれども、あくまでも、学校についてどういう整備をするかというのは、地域の実情を踏まえて、学校設置者である各地方公共団体において主体的に判断されるべきものというふうに考えてございます。
その上で、今、複合化についての御指摘がございましたけれども、公共施設の老朽化が全般的に進行しておりまして、学校施設と他の公共施設との複合化を行うということを計画している自治体もあるというふうに承知をしてございます。
複合化を行う場合には追加的な費用を要することもございますので、そういう場合でも国としてしっかりと財政支援を行うことが必要であると考えておりまして、いずれにいたしましても、文部科学省としましては、各学校の設置者が地域の実情に応じた整備を着実に行えるよう支援を行うために、このような制度を考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、それは、各設置者が自分の判断でやるのは当たり前だと言っているんですよ。それをあなた方が政策誘導しているんじゃないのかということを私は言っているわけですね。
もう一度先ほどの資料四に戻ってもらうと、今お話にあった複合化と統廃合の円グラフは並んでおります。左側の複合化は補助率かさ上げで誘導するが、右側の統廃合はそうではないというようなことはありません。
統廃合に係る国庫補助率について聞きますけれども、例えば二つの公立学校について、片方の学校に統合し、校舎を建て替える場合、新設の場合、又は、校舎を増設する、一つにまとめたために教室を増設する必要が出てきた場合、それぞれ国庫補助率はどうなりますか。
○笠原政府参考人 先生の御指摘のございました既存施設を統合に伴って改修する場合ですとか、そこに統合して増築をする場合、二分の一というふうになってございます。
○宮本(岳)委員 では、統合せず単に別々に建て替える場合の国庫補助率は幾らですか。
○笠原政府参考人 通常の場合の新増設については二分の一というふうになってございます。
○宮本(岳)委員 それぞれをばらばらに建て替える場合もそういうことになりますか。建て替えや補修をする場合ですね。
○笠原政府参考人 既存の学校の、当然、改修ですとか改築につきましては三分の一となってございます。失礼いたしました。
○宮本(岳)委員 同じ建て替えあるいは改修でも、統合する場合は二分の一で、そうじゃない場合は三分の一、こういう差がつくわけですね。
それだけではないんです。総務省に確認しますが、複合化、学校統合を含む集約化をする際の二分の一の、あと残る二分の一は、先ほどから話の出ている公共施設等適正管理推進事業債の発行が認められます。その際に、その償還金に対する交付税措置がありますね。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
集約化、複合化事業の場合でございますね。これは、起債充当率が九〇%、交付税措置率は五〇%となっております。
○宮本(岳)委員 優遇される充当率で起債、償還についても交付税措置がされるわけですよね。文科省が補助率の引上げをやり、総務省もこの公共施設等適正管理推進事業債の発行や償還金への交付税措置で誘導する。
資料七を見てください。最後の部分です。
これは埼玉県川口市の事例が紹介されています。総務省は、学校施設の再編統合、集約化事業について、公共施設等適正管理推進事業債を活用した先進事例として、ちゃんとこうやって統廃合をホームページで紹介しております。
自治体の判断、統合ありきではないと言うけれども、文科省も総務省も財政的裏づけでもって政策誘導しているということは明らかだと思います。そうした中、全国の自治体で統廃合計画がどんどん進められている。東京都町田市では、小学校を四十二校から二十六校に、中学校を二十校から十五校に減らす計画が、また、大阪市生野中学校区では、小学校四校と中学校一校、計五校を一校に統合するという計画が進められております。
文科省と総務省が財政的な裏づけをもって政策誘導すれば、自主的な判断だと言うけれども、全国でそういう方向が広がるのは当たり前じゃありませんか。いかがですか。
○笠原政府参考人 繰り返しで恐縮なんですけれども、あくまでも、学校の設置者が地域の実情を踏まえて主体的に判断をするというのが原則というふうに当然思っておりまして、そのために、文部科学省としましては、地域の実情に応じた整備が着実に行えるような制度の構築ということで考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 本当に情けないですよ。これまで文科省はそういうことを余りやりたがっていなかったのを、財務省や総務省に言われて嫌々やらされているかのような話を聞いたことがありますけれども、今や文科省は先頭に立ってこういうことを進めるようになったんだなと、本当に情けない限りであります。
私は、これから少人数学級を進めていかなきゃならない。それから、コロナの時代ですから、やはり少人数で、二十人程度の一つのクラスのサイズに下げていく。こうなったら、教室が足りなくなるということがあり得るわけですよ。ですから、これから先を予断を持って決めるべきではない、とにかく安易な統廃合を進めるべきではないと思いますが、これは最後に総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○金子(恭)国務大臣 学校は、教育の場のみならず、地域コミュニティーの拠点であり、防災拠点としての機能も持っております。活力ある地方づくりの観点から、学校と地域との連携、協働も重視されておりますし、地域社会において重要な役割を有しているものと考えております。
その上で、各自治体においては、学校を含めた公共施設等について、老朽化を始めとする施設の状況や将来の人口見通し、維持管理、更新等に係る経費などを踏まえ、あるべき行政サービス水準の検討を加えた上で、公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設等全体の適正な管理を進めていただいております。
その際、学校を含めた個別の公共施設等の更新や統廃合については、各自治体において、地域の実情を踏まえ、議会や住民との議論を行いながら検討していただくものと考えております。
○宮本(岳)委員 時間が参りましたので終わります。次は文部科学委員会でやらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。