公述人「賃上げ必要」(動画)
平成二十六年二月二十五日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 二階 俊博君
理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君
理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君
理事 林 幹雄君 理事 松本 純君
理事 長妻 昭君 理事 山田 宏君
理事 石田 祝稔君
あかま二郎君 秋元 司君
穴見 陽一君 伊藤 達也君
池田 佳隆君 今村 雅弘君
岩屋 毅君 うえの賢一郎君
衛藤征士郎君 越智 隆雄君
大島 理森君 加藤 寛治君
金子 一義君 熊田 裕通君
小池百合子君 佐田玄一郎君
斎藤 洋明君 新谷 正義君
菅原 一秀君 関 芳弘君
薗浦健太郎君 高木 宏壽君
津島 淳君 辻 清人君
中川 郁子君 中山 泰秀君
野田 毅君 原田 義昭君
船田 元君 前田 一男君
宮崎 謙介君 宮澤 博行君
宮路 和明君 武藤 貴也君
保岡 興治君 山本 幸三君
山本 有二君 大串 博志君
岡田 克也君 篠原 孝君
古川 元久君 坂本祐之輔君
重徳 和彦君 杉田 水脈君
中山 成彬君 西野 弘一君
伊佐 進一君 浜地 雅一君
大熊 利昭君 佐藤 正夫君
柿沢 未途君 林 宙紀君
宮本 岳志君 青木 愛君
畑 浩治君
…………………………………
公述人
(株式会社野村総合研究所顧問)
(東京大学公共政策大学院客員教授) 増田 寛也君
公述人
(日本労働組合総連合会事務局長) 神津里季生君
公述人
(桜美林大学リベラルアーツ学群教授) 藤田 実君
公述人
(一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹) 山下 一仁君
公述人
(SMBC日興証券金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
公述人
(ソシエテジェネラル証券会社東京支店東京支店長) 島本 幸治君
公述人
(パーソナルケア株式会社代表取締役) 木村惠津子君
公述人
(日本金融財政研究所所長) 菊池 英博君
予算委員会専門員 石崎 貴俊君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
秋元 司君 辻 清人君
うえの賢一郎君 武藤 貴也君
越智 隆雄君 池田 佳隆君
大島 理森君 熊田 裕通君
菅原 一秀君 穴見 陽一君
関 芳弘君 宮澤 博行君
西川 公也君 宮崎 謙介君
船田 元君 新谷 正義君
宮路 和明君 加藤 寛治君
佐藤 正夫君 大熊 利昭君
柿沢 未途君 林 宙紀君
畑 浩治君 青木 愛君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 菅原 一秀君
池田 佳隆君 越智 隆雄君
加藤 寛治君 宮路 和明君
熊田 裕通君 大島 理森君
新谷 正義君 斎藤 洋明君
辻 清人君 前田 一男君
宮崎 謙介君 西川 公也君
宮澤 博行君 関 芳弘君
武藤 貴也君 うえの賢一郎君
大熊 利昭君 佐藤 正夫君
林 宙紀君 柿沢 未途君
青木 愛君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
斎藤 洋明君 船田 元君
前田 一男君 中川 郁子君
同日
辞任 補欠選任
中川 郁子君 高木 宏壽君
同日
辞任 補欠選任
高木 宏壽君 津島 淳君
同日
辞任 補欠選任
津島 淳君 秋元 司君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成二十六年度一般会計予算
平成二十六年度特別会計予算
平成二十六年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○二階委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
私の方からも、四人の公述人の皆様方に、心からお礼を申し上げたいと思っております。
まず、増田さんにお伺いしたいんですが、増田さんの資料、二十一というページを打った資料ですけれども、「消費増税分を考慮すると、実質賃金の伸び率はマイナス」という表題がついております。消費増税分を含めたインフレ率を考慮すると、実質の賃金の伸び率がマイナスとなる見込みだと。
こうなりますと、これから先、働く人の賃金が実質的にどうなるのかということが非常に不安なわけでありますけれども、少しこのことについてお話しいただきたいと思います。
○増田公述人 お答え申し上げます。
やはり、消費増税後の経済がどうなるかというのは大変気になるところでありまして、家計への影響がどのようになっていくのか。当然、一―三月期は、いろいろな見方がございましたが、消費が伸びるけれども、その後、大きく落ち込むであろう。そしてそのことが、それだけではなくて実質の賃金の伸び率にどう影響するかということでいろいろ見てみますと、私どもの野村グループの予測でも、一人当たり賃金といったものについて、やはり全体としてマイナスに影響してくるのではないかというふうに見ております。
したがって、消費増税自身は財政を健全化する上で必要なことであり、そのことについて、今回八%をやったのは、私も、その前に政府の方で呼ばれた会議でもそう主張したところでありますので、必要であるというふうに思っておりますが、こうした家計への影響ですとか、それからいわゆる弱者への影響といったことをきめ細かくやはり考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
○宮本委員 私どもは、消費税の増税にもちろん反対をしてまいりました。ただ、消費税増税はやむないと考える方の中でも、四月からの増税をやるとやはり非常に大きなマイナスになるということで、四月の増税は中止すべきだという声も広がっているということも私は思うわけです。
それで、これが本当にこのままで終わりますと、日本経済に深刻な打撃を与えるということになります。だからこそ、連合の皆さんも、月例賃金の引き上げ、そして全ての働く者の底上げということを掲げて頑張っていただいていると思いますし、また、先ほど藤田先生からも、やはり、働く者の生活をしっかり支えるというか、国民生活重視の経済改革に切りかえる必要があるという話があったと思います。
そこで、私は、国会で議論をやりましても、先ほども議論が出ていましたけれども、自由経済だから労使で決めるものであって、国が賃金を勝手に決めるわけにはいかないというような話が出るんですが、最低賃金の引き上げというのは非常に有効なものであって、最近、オバマ大統領もアメリカでの最賃の引き上げということに言及いたしましたけれども、これをやはり政治の責任でやるべきだと。
私どもは、全国一律で千円以上に最低賃金を引き上げる、こういうことを呼びかけているわけであります。もちろん、中小企業に対する支援ということも同時にやる必要があると思っているわけですけれども、このことについての神津公述人、そして藤田先生のお考えをお伺いしたいと思います。
○神津公述人 最低賃金については、私ども連合としても、それぞれのところで各県の最低賃金委員を出しておりますし、引き上げに向けて、日々といいますか、その会議の中で闘っておる、こういう状況であります。
私も、最低賃金のさらなる引き上げが重要だと思います。ここ数年来、まず、せめて生活保護の水準との逆転現象は解消しなければならぬ、こういうことで、北海道を除いて達成をされた状況ですが、まだまだ水準としては低い、こういうことだと思います。今、生活保護との関係でそういう状況にあるので、ここで一段落というようなことであっては全くならないと思っていますので、やはり千円という一つの目標に向かってさらに進めていくべきだというふうに思っております。
いろいろな報道でも、米国なり、あるいはドイツ、イギリス、最低賃金の設定なり引き上げということの議論がかなりされておるようでありますけれども、我が国においてはちょっと、低きにしばらく固定されていた、固定といいますか、じわじわと、本当に数円単位でしか上がらなかった、そういった長い時期を経ておりますので、これは引き続き大きな課題であるというふうに認識をしています。
○藤田公述人 私も、最低賃金に関しましては、やはり全国一律の最低賃金制を早く導入すべきだと考えております。
現在、県別に最低賃金が設定されていると思うんですけれども、生計費を調査する限り、東北地域でも、大都市地域でも、生計費の差はそれほどないんですね。ほとんど大体十五万とか二十万程度、例えば単身者が暮らす場合は必要になってくるということを考えれば、なぜ地域別あるいは県別に差がつけられるのかというのは、生計費原則からいえば妥当しないだろうというふうに考えておりまして、そういう観点からすれば、全国一律の最低賃金を早く導入すべきだというふうに思っております。
それから、最低賃金の議論のときにもう一点私が主張したいのは、最低賃金をいわば負担の面でのみ考える議論がある。つまり、最低賃金を上げれば、企業の負担、特に中小企業等にとっては非常に負担があって、企業の維持が危ないという議論もありますけれども、それはそれ、別個、そういう実態があるところに関しては、政府の方できちんとした形で助成する、補助をするなりということは必要だろうし、公正取引をどうやっていくかというようなことも必要だと思うんです。
マクロ経済的に見れば、最低賃金が上がれば、いわば低所得層の賃金が上がるわけですから、低所得層の賃金が上がるということは、低所得層に関していえば、データ的には消費性向が高いわけですから、それはかなり消費の拡大につながっていくということになると僕は思うんですね。
だから、そういう意味では、最低賃金を千円、僕はもうちょっと上げないとだめなんじゃないかなと思うんですけれども、もっと、千二百円とか、ある程度上げていくことによって、低所得層に安心感と余裕を与える。それがまた消費の拡大に結びついていく。そうすると、いわば消費拡大を軸にした経済成長が実現できる。消費拡大が実現できれば、ある意味で内需型の設備投資もふえてくる。こういう循環が起きるんじゃないかなというふうに私は考えております。
以上でございます。
○宮本委員 アメリカの話が出ましたけれども、ニューズウィークの二月十八日号に注目したんです。七・二五ドルを十・一〇ドルに時給で引き上げる、これをやっても上位十カ国の平均を下回ることになる、一位はオーストラリアの時給十五・七五ドルだ、アメリカはいろいろな意味で世界のトップを走るというけれども、最低賃金に関しては先進国の中では平均以下だ、千円に上げてもまだそんな程度だという議論がやられていまして、そこまで引き上げる上で、アメリカは五年間で八千八百億円の中小企業向けの補助をしてきた。
だから、やはり、しっかり中小企業を支えてそういう最低賃金の引き上げを図ることが、内需の拡大というだけでなく、まともな賃金が保障されることによって、やはり労働者が定着するし、そして生産性自身も上がるわけで、中小企業にとっても、企業にとっても、これはプラスになることだというふうに思うんですね。
そういう中で、今、逆に、労働法制の改悪で賃金そのものが下がるような、藤田先生が先ほどその影響というのを出しておられましたが、そういう改悪が出されている。これは本当に逆行する事態だというふうに思います。
短い時間で、時間が来ましたので私は終わりますけれども、今後ともどうぞしっかりと御意見をお聞かせいただきますように、私どももきょうお伺いした声をしっかり受けとめて頑張ることを申し上げて、私の時間を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○上杉委員長代理 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
私からも、四人の公述人の皆様方に、心からお礼を申し上げます。
短い時間ですので、全ての公述人の方にお聞きできないかと思うんですけれども、きょうのお話を聞かせていただいて、末澤公述人も島本公述人も木村公述人も、少子高齢化が特に医療、介護に深刻な負担をもたらすというお話に触れられました。とりわけ、木村さんは、それをいかに抑えていくかという観点から、大介護時代を大予防時代に、そして大健康時代へ、こういう御趣旨に、非常に考えさせられるところ大だったわけであります。
ただ、そのためにも、急がば回れではないですけれども、木村さんの方は研修の予算をというお話がありましたが、結局は、医療費などを実態に合わずに絞り込むと、悪化して、医療費が逆にかさむ。それよりも、やはりしっかり早期発見、早期治療あるいは予防、そして日ごろからの健康づくり。
そのためには、ただ単に絞り込んでいけば金が助かるという話ではなくて、やはりきちっとした社会保障をまずは保証していくということが私は大事だと思うんですけれども、この点についての木村公述人の御意見をお伺いしたいと思います。
○木村公述人 社会保障ということは、私ども民間から見ますと、両方あるのかなと思うんです。
困っている方に保障するというのは確かに当然なんですが、それによりまして、逆な差別というのも起きる可能性があります。私ども現場の中で、本当にいろいろなケースがございまして、この方が公的に支えられていていいのかなと思う場合もございますね。
ですので、そういう実態からいきますと、福祉というのは本当に大切なんですけれども、本当の平等というのは何なのか。一生懸命働いている方でも、非常にお困りの方もいらっしゃいます。でも、そういう方にはなかなか手が差し伸べられないということもございます。
よくよく、何が正しいのか。先ほどから、日本人が幸せになるためにはというお話がございましたけれども、本当の福祉というところでは、よくよく現実というものを見ていただいて、どこにどういうものが必要かというのは本当にケースによって違うと思いますので、そこは一辺倒に決めるのではないということが大切かなというのが実感でございます。
〔上杉委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 こうなる前に手を打てなかったのかと先ほどおっしゃいました。僕も本当にそう思うんですね。高齢化というのは、今大騒ぎしますけれども、急に高齢者で生まれてくる方がいらっしゃるわけじゃありませんから、五年前も十年前も今の高齢者の方がいらっしゃったわけですから、早くやはりそのことについての手を打つべきだったし、社会保障をどうするかという点では、しっかり財源の確保を進めていかなきゃならないというふうに思うわけです。
それで、菊池公述人にお伺いするんです。
私どもも消費税増税には反対という立場で、今からでも中止すべきだという立場でやっているわけですけれども、そうしたら財源をどうするんだという議論があります。
私どもは、法人税を引き下げに引き下げてきたわけであって、むしろ法人税は諸外国に比べても適正な水準まできちっと上げるべきだ、あわせて、国際的な法人税の引き下げ合戦のようなことをやはり国際的にもやめようということを、きっちり国際的に議論していくべきだ、こういうことも申し上げてまいりました。
法人税の引き上げという話は、我が党以外に、口にする党派がなかなか少ないのでありますけれども、先生のレジュメには、法人税引き下げは必要ない、むしろ最高税率を引き上げるべきである、こう書いていただいておりまして、意を強くしておるわけでありますが、この点について公述人の御意見をお伺いしたいと思います。
○菊池公述人 私の考えは、一つは、典型的なモデルが、クリントン大統領が一九九三年から実に八年間展開した実績があるんです。
クリントンが一九九三年一月に就任しましたときには、アメリカはデフレぎみだったんですね。前のパパ・ブッシュが増税をやったんですよ。
そこで、クリントンが考えたのは、財政規律改善のための数値目標とかそういうのはやめる、やることは、名目GDPをとにかく上げるんだ、だから、まさに財政主導、それで金融についてきてくれ、これをやったわけですよ。添付資料にございますから、見ていただくとわかるんですが、グラフなんか見ると、実に鮮明に出ている。
そのときには、政府はきちっとした公共投資を出して、それで継続して所得を上げるようにします、地方の方にも出す。それから、教育施設でも、学校なんかも全部建てかえたりなんかしたんですね。地下鉄をつくらせるとか、いろいろなことをやった。そうすれば景気はよくなるでしょう。それと同時に、よくなることを前提にして、ワンパッケージとして、法人税を引き上げる、それから個人所得税も引き上げるということをやりました。数字もそこのデータにございます。
それをやっていって、三年目、四年目、非常に税収も上がって、景気もよくなった。継続したわけですよ。大統領ですから、四年間できるから。それで再選されましたから、八年継続していった。五年目に財政は黒字になったんですね。八年目には三千億ドルの財政余剰になった。
それで、最後のときに、彼は、辞任するときに、ステートメントで、こういう演説をしたんですよ。こういうふうにして財政は改善されました、その効果は、七割は景気回復です、三割は財政構造の改革、つまり増税ですということだったんです。
ですから、私が申し上げていることは、とにかく法人税の問題だけじゃなくて、何しろ、私はさっきから申し上げているように、デフレ解消には、どうしても、政府が中心になって、公共投資を出して、リスクをとってやらなきゃだめだということは終始一貫している。
同時に、法人税の最高税率を上げるんです。あるいは、所得税も上げるんです。今回、所得税は少し上げておられますね。法人税ももっと上げるんです。下げるんじゃないんです。
去年でしたか、民主党さんが下げられましたね、三〇から二五・五。これははっきり言って大失敗ですよ。上げるべきです。しかも、あのときは、空で下げちゃった。それで、しかも、東日本の負担だって、結果的には法人税は下がっているんですから。ああいうことをやるから、結局は減税効果がマイナスになる。それで、ツケだけ回ってきて、結果的には消費税を上げなきゃいかぬということになりますでしょう。だから、これは逆のことをやってきたわけですよ。
ですから、それをもとに戻して、まさに歴史が教えるように、ちゃんとそういうふうにして、景気対策をするなら、法人税を上げる、もうかったらちゃんと政府に戻してよ、こういう考え方です。実績がありますから、それを申し上げているわけです。
○宮本委員 先生が、日本型資本主義を確立すべきだとお書きになっている。私たち、先ほどお述べになった、新自由主義、市場原理主義からの決別、あるいは輸出立国から内需中心の福祉国家へ転換する、あるいは株主の利益より国民の雇用を重視する、そして農業は農業自給率の向上をしっかり目指していく、まさに大賛成でありまして、私たちは、ルールある資本主義、それこそルールある本来の資本主義だというふうに考えておりまして、そういう方向で力を尽くしたいと思っております。
午前中の議論でも出たんですけれども、アメリカは、オバマ演説で、最低賃金を十ドル余りに、千円程度に引き上げるということを今やろうとしているわけですね。そのために中小企業に対しても独自の補助をやるというのがアメリカがとってきた政策であって、そういう点では、法人税の引き上げという点でも、それから最低賃金の引き上げという点でも、アメリカに学ぶべき点は非常に多いというふうに思うんです。
先生のお話の中でも、例の戦略的経済特区ですか、こういうものはアメリカに言われてやるわけですけれども、なかなかいいところは学べないというのはどういうわけかと私は思うんですが、そのあたりについて一言だけ、先生からございましたら、お述べいただいて、私も終わりたいと思っております。
○菊池公述人 まさにこの戦略的特区、先ほど申し上げましたとおり、これははっきり申し上げて、やはりかつて上海にあったと同じような租界を日本につくるということじゃないかと思うんですよね。今先生もおっしゃられたとおり、アメリカからそう言われたことは事実だと思いますし、対日年次要望書の二〇〇三年のものに細かく書いてあります。それのまさに焼き直しですね。
しかし、では、どうしてそんなものをやって、アメリカのいいところを学べないのかというのが先生のお話なんですけれども、結局、何かそういう衝に当たる方がアメリカで勉強をされてこられたり、いろいろこちらへ来ても御勉強だと思いますけれども、やはり、時の政権のいろいろな思惑だとか、あるいは、はっきり言えば利権だとか、利権という意味は、言葉は悪いですけれども、例えば規制緩和をして、小泉構造改革のときに規制緩和というものをしましたよね。
では、一体、その規制改革の結果、利権というか、どうしたのか。これは、ジョセフ・スティグリッツというコロンビア大学の教授がこういうことを言っている。レントシーカー、レントシーキング、レントというのは、そういう政治的な動きによって新たな利権を得ることをアメリカでレントというそうですね。それをシーキング、求めている。そのレントシーカーが、結局、構造改革とか何かということであって、アメリカでも、結局、レーガン以来やってきて、得したのはそういう人だ。だから、結果的には一%だけに所得が集中しているんです。そこに図表もありますけれども、そういうことになる。
だから、そういうことにどうして日本はなっていくのかなと思って、この辺のところは、私は非常に自民党さんに対しては疑問を持っています。ただ、自民党さんの中は、こう言っては失礼ですけれども、私、何人かは知り合いの方とかいろいろありますけれども、全ての方がそういうことに賛成されているわけでもないと思います。
それから、国会議員の先生方にも、私、お願いしたいことは、やはりそういう視点から、本当に国益としてそれがいいのかどうか。例えば、特区をつくっても、あそこを最も働きやすい場にすると言いますけれども、外資の働き場所にするだけでしょう。日本国民にとってどうですか。あそこの中で、雇用なんか、いつでも首にできるようなことをするんじゃ、マイナスですよね。
ですから、やはり日本国民の立場に立って、何がプラスかという視点でいろいろとお考えいただきたいと、私はお願い申し上げたいと思います。
○宮本委員 まことにありがとうございました。
以上で終わります。