ギャンブル 子に影響は
宮本岳志氏、文科省の認識ただす
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は19日の衆院文部科学委員会で、文部科学省が実施するギャンブル依存症に関する教育について質問し、ギャンブルの子どもへの影響についての文科省の認識をただしました。
カジノ実施法(IR法)の付帯決議は、ギャンブル依存症に関する教育を行うよう求めており、文科省は指導参考資料を作成しています。宮本氏は20歳未満の喫煙や飲酒は法律が禁止していると教える一方、ギャンブルについては「パチンコは18歳、公営競技は20歳から行うことができる」と記されていると指摘し、「公営ギャンブルは20歳に、パチンコは18歳になればやってよいと教えるのか」と質問。永岡桂子文科相は「そういう趣旨ではない」と否定しました。
宮本氏は、1950年9月20日の参院文部委員会で、当時の天野貞祐文相が公営ギャンブルについて、「教育上非常によくない」と答弁したと紹介し、現在の文科省の認識を追及。永岡文科相は「子どもたちの将来への影響を心配する考えを理解している」と述べながら、「ギャンブル等が習慣化すると嗜癖(しへき)行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことなどについて指導していくことが重要だ」と述べるにとどまりました。
(しんぶん赤旗 2023年5月21日)
統一協会 解散命令早く
宮本岳志氏、質問権のみは被害増
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は19日の衆院文部科学委員会で、統一協会についての解散命令請求が困難な情勢だとの報道を示し、文化庁に事実ではないと確認し、速やかに解散命令請求を行うよう求めました。
『週刊文春』は4月26日、「統一協会の解散命令請求は困難な情勢、文化庁事務方トップは『全く見通しが立っていない』」と題する記事をインターネット上で配信しました。宮本氏は、同誌の取材に文化庁が「解散命令請求は困難だ」と回答した事実があるのかと質問。合田哲雄文化庁次長は「文化庁が解散命令の請求をしないことを決定した事実はない」と明言しました。
宮本氏は、統一協会が5月7日、韓国で集団結婚式や新たな本部施設の完成式典を実施したことに言及し、報告徴収や質問権の行使を続けるだけでは、統一協会の活動が元に戻り、被害者がますます増えると指摘。「統一協会に解散命令事由に該当する疑いがある事実は変わらず、その疑いはその後もずっと続いているということか」と主張。永岡桂子文科相は「報告徴収、質問権は、解散命令事由に該当する疑いがあるときに行使するものだ。毎回疑いがあることを前提に行使している」と答えました。
宮本氏は、これ以上の被害を拡大させないためにも、速やかに解散命令請求を行うよう求めました。
(しんぶん赤旗 2023年5月21日)
動画 https://youtu.be/2wPgUcwV4nA
配付資料 20230518文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、統一協会の問題について聞きます。
統一協会に対する報告徴収、質問権の行使はこれまで五回に及び、対応が長期化する中で、結局、文部科学省は解散命令を請求しないのだろうというような見方も広まっております。
四月の二十六日、週刊文春が、「統一教会の解散命令請求は困難な情勢 文化庁事務方トップは「全く見通しが立っていない」」と題した記事をインターネット上で配信をいたしました。この文化庁事務方トップとは、合田哲雄文化庁次長のことだと思います。まるで合田次長が解散命令は困難だと語ったかのような見出しであります。
確認ですけれども、これは合田次長に、週刊文春の取材に対し、解散命令請求が困難だと回答した事実はあるんですか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
旧統一教会について、解散命令の請求を行わないことを決定したという事実は一切ございません。そのことは週刊文春編集部にもお伝えしたとおりでございます。
文化庁としては、解散命令請求の可否を判断するため、旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使等を行っているところであり、情報の収集、分析に引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○宮本(岳)委員 質問が五回にもなって、最初の行使から半年が経過をいたしました。
先日、五月七日には韓国で集団結婚式が実施をされ、新たな本部施設が完成するなど、統一協会は、まるきり反省する様子もなく、派手に活動しているように見えます。それどころか、さきの統一地方選挙では、堂々と、自民党も認める統一協会の関連団体である国際勝共連合名で、我が党を攻撃する事実無根の謀略ビラまで全国でばらまきました。
解散命令を請求しないと決定したわけではないとおっしゃっても、このままずっと報告徴収、質問権を行使し続けていたのでは、どうせ解散命令請求はできないと思われて、統一協会は、まるで社会的な問題など一切なかったかのように、活動を元に戻してしまう。その結果、被害者がますます増えることになりかねません。
この五回の報告徴収、質問権で積み上げた事実があるのですから、それを基に、一刻も早く解散命令を請求すべきだと私は考えますけれども、これは大臣の御見解をお伺いいたします。
○永岡国務大臣 解散命令の要件というのは、宗教法人法で厳格に定められております。この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係ります十分な実態把握と、そして具体的な証拠の積み上げが不可欠である、そう考えております。
そのために、報告徴収、質問権の効果的な行使などを通じて、旧統一教会の業務などに関して具体的な証拠ですとか資料などを伴います客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 裁判所で否定されては元も子もない、誤ったメッセージになる、こう文化庁はおっしゃるんですけれども、このように、ずっと請求しないこと自体が、当初持っていた統一協会への疑いが既に晴れた、あるいは薄まったのではないかという誤ったメッセージにもなりかねないと思うんですね。
昨年十一月、統一協会に法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると永岡大臣が判断をされて、報告徴収、質問権の行使を始めたわけでありますけれども、解散命令請求を諦めたのではないというのであれば、その疑いが晴れているはずはありません。
そこで、明言していただきたいんです、大臣に。
報告徴収、質問権の行使を続けているということは、統一協会に解散命令事由に該当する疑いがある事実は変わらず、初回行使のときだけでなく、その疑いはその後もずっと続いてきている、こういうことでよろしいですね、大臣。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、宗教法人法上、報告徴収、質問権は、宗教法人について解散命令の事由などに該当する疑いがある場合に所轄庁が行使できる権限とされておりまして、この行使の一般的な基準といたしまして、昨年、宗教法人審議会と同じ委員から成ります有識者会議の報告書が示されたところでございます。
その上で、今般、旧統一教会に対して報告徴収、質問権を行使しているのは、当該基準に照らしまして検討した結果として、旧統一教会や信者などの行為に関する不法行為責任、これを認めた判決が多数あります。また、民事裁判の判決において認められた損害賠償も多額に及ぶことなどから、法令違反による広範な被害や重大な影響などが生じている疑いがあると認められるからでございます。
これまでの五回の報告徴収、質問権は、その都度、宗教法人審議会の全会一致の了承を得るなど、法に定める手続を踏んでおります。初回のみならず、いずれの回におきましても、旧統一教会に解散命令事由に該当します疑いがあることを前提といたしまして権限を行使してきたもの、そういう認識でございます。
○宮本(岳)委員 合田次長は、質問に対する回答の分量が減ってきているという文春の指摘に対し、相当な分量のレポートが返ってきていますと述べております。
それならば、これ以上の被害を拡大させないためにも、速やかに分析を進め、解散命令請求を行うことを求めておきたいと思うんです。
次に、ギャンブル依存症問題に関する教育について質問いたします。
IR法附帯決議十項を受け、学校教育においてギャンブル等依存症に関する知識の普及及び啓発が求められ、二〇一八年三月公示の高校学習指導要領にも取り入れられることになりました。
二〇一八年七月公表の高校学習指導要領解説で、ギャンブル依存症について、アルコール、薬物などの物質への依存症に加えて、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる可能性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことに触れるようにすると述べられております。
これを受け、文科省指導参考資料が作られたわけですけれども、これによれば、「一般的にニコチン、アルコール、薬物、ギャンブル等、ゲームなどを「やめたくてもやめられない」状態のことを「依存症」といいますが、医学的には「嗜癖(しへき)」という用語を使います。」とあり、対象が物質摂取の場合を物質依存、対象が行動の場合を行動嗜癖と呼ぶとされております。
つまり、物質摂取か行動かの違いであって、どちらも依存症、嗜癖という点では同じだということで、これは、大臣、間違いないですね。
○永岡国務大臣 そのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 そのとおりだ、違いはないという御答弁でした。
民法改正の中で成年年齢が二十歳から十八歳に引き下げられましたけれども、これに関わって、民法(成年年齢関係)改正Q&Aというものが法務省で作成をされております。このQ&Aの「Q4 お酒やたばこが解禁される年齢も十八歳になるのですか?」に対する回答はどのようになっているか、法務省民事局長、お答えいただけますか。
○金子政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの回答部分の記載は次のとおりです。
「民法の成年年齢が十八歳に引き下げられても、お酒やたばこに関する年齢制限については、二十歳のまま維持されます。また、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)の年齢制限についても、二十歳のまま維持されます。これらは、健康被害への懸念や、ギャンブル依存症対策などの観点から、従来の年齢を維持することとされています。」
○宮本(岳)委員 成年年齢は引き下げられたが、喫煙、飲酒、公営ギャンブルの年齢制限について二十歳から十八歳に引き下げるかどうかについては、各所管省庁において検討された結果、二十歳を維持することとなったと聞いております。
飲酒、喫煙については健康上の問題や非行防止、公営ギャンブルについてはそれぞれのギャンブル依存症対策の問題などの理由から従来の年齢を維持する、もちろん、個々にはその役所で判断したということでありますけれども、そういうことになったというふうに説明を受けましたが、これは、民事局、いいですね。
○金子政府参考人 委員御指摘のとおりと認識しております。
○宮本(岳)委員 そのとおりと確認されました。
ギャンブル等依存症対策基本法十四条は、予防教育、普及啓発について定めております。
文科省は、小学校学習指導要領の解説、体育編の中で、二十歳未満の喫煙や飲酒については、低年齢からの喫煙や飲酒は特に害が大きいことについても取り扱うようにし、未成年の喫煙や飲酒は法律によって禁止されていることを教えるとしております。
ところが、資料一の下線一を見ていただきたい。「「ギャンブル等依存症」などを予防するために」と題した文科省の指導参考資料であります。「パチンコは十八歳、公営競技は二十歳から行うことができ、また、参考資料に示すように、ギャンブル等へののめり込みにより病院に訪れた患者のギャンブル等の開始年齢が二十歳頃であることを考えると、ギャンブル等に関する問題は、高校生にとっても近い将来に生じうる身近な問題といえます。」と書いてあります。
これは、公営ギャンブルについては二十歳に、パチンコは十八歳になればやってよろしい、こう教えろということになるんですか、大臣。
○永岡国務大臣 いやいや、そういうわけではございません。
学校教育では、小中高等学校を通じまして、学習指導要領に基づいて、児童生徒の発達段階に応じて、体育科、保健体育科において喫煙、飲酒と健康について指導することとしております。
具体的には、小学校では、喫煙、飲酒などの行為は健康を損なう原因となること、また、中学校では、喫煙、飲酒などの行為は心身に様々な影響を与えまして健康を損なう原因となること、また、これらの行為には、個人の心理状況や、また人間関係、社会環境が影響することから、それぞれの要因に適切に対処する必要があることなど教えておりますし、また、高等学校では、喫煙と飲酒は生活習慣病などの要因になることなどの健康への影響について指導が行われているところでございます。
未成年の喫煙や飲酒、また、法律によって禁止をされていることなどについても学習をしているところでございますので、今後とも、学習指導要領に基づく着実な指導というものが行われますように取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 法律により禁止されているものを駄目だと教えるのは当然のことなんですね。問題は、公営ギャンブルについては、例えば二十歳になればやれるわけですよ、そういうものを学校でどう教えるかということですよね。
それで、いろいろ、事務方にも来ていただいてやり取りをいたしました。例えば、依存症、ギャンブルだけでなくゲームも含まれる、ゲームは禁止されていないではないかというような話も事務方からは出たわけですね。
資料二の一を見ていただきたい。国民生活センターには、オンラインゲームに関する相談が多数寄せられております。資料二の二につけました相談事例を見ていただけば、小学生の子供が、友達に、キャリア決済を使うとお金がかからないと間違った情報を教えられ、スマホでオンラインゲームに高額課金していた、小学生の子供がオンラインゲームで百五十万円以上も課金していたが、決済完了メールが子供に削除されていたため気がつかなかったなどの相談が現に寄せられているわけですね。
大臣、ここはもう本当に、私も実はオンラインゲームなどをやるような孫を持っておりまして、中学生ともなればそういうことをやって課金したり時々するんですけれども、一応私に許可を取ってくるんですけれどもね。私たち、子育ても、そして孫育てもやっている者として、日本の子供たちに、ギャンブル依存症は意思が強いとか弱いとかにかかわらず誰でもが陥る危険があるので、やはり安易に近づいてはならないと教えるべきなのか、それとも、大人になったら依存症にさえ気をつければやっていいんですよ、どうぞやりなさいと教えるのか、大臣、どちらなんですか。
○永岡国務大臣 法律の枠内で認められております公営競技などまで一律に全て排除するようなことを教えることはやはり大変難しい面もある、そう考えております。
繰り返しになりますけれども、やはり、ギャンブルなどは習慣化すると嗜癖行動になる危険性がありまして、ギャンブルなどにのめり込むことによる問題ですとか、それらが問題化するプロセスについて学習することを通じまして、子供たちがギャンブル等についての様々な影響を理解をして、そして、自らの将来において適切に判断をして行動ができるような能力を身につけるということが重要と考えております。
○宮本(岳)委員 情けない答弁ですね。
資料三を見ていただきたい。一九五〇年九月二十日の参議院文部委員会の議事録であります。以前、学校給食でも紹介した我が党の大先輩、岩間正男参議院議員の議事録ですけれども、岩間議員が、競輪の影響するところは単に射幸心をあおるだけでなくて、家庭の破壊の問題、社会に対する悪影響、こういうこともありますが、教育的に非常な大きな影響を与えておると思うと述べたのに対して、当時の天野貞祐文部大臣は、岩間さんと私は全然同意見でございまして、競輪というようなものが、その最も先端を成すもので、一般に人間の僥幸心を誘発するというようなことは教育上非常によくない、だから私の力の及ぶ限りあらゆる機会においてこれを除去するように努力したいと答弁をされました。
公営ギャンブルは教育上非常によくないというのが文部省たるものの当然の認識だったはずであります。大臣、いつから、いやいや、法律で認められているものはそうは言えないというようなことになったんですか。いかがですか。
○永岡国務大臣 なかなか難しい御質問でございますが、お答え申し上げます。
本日の委員会におけます質問、質疑、これを通じまして、宮本議員のお考えというものをやはり十分に承知をさせていただきまして、理解をさせていただきました。
私も、やはり、子供たちへの将来の影響を心配するお考えについては理解をしております。法律上賭博が禁止されていることはもちろんですけれども、お尋ねのカジノ施設やパチンコのほか、競馬、競輪といった公営競技につきましても、個別の法律によりまして年齢制限がされているもの、そういう認識でございます。
文部科学省といたしましては、子供たちが自らの将来において適切に判断をして行動ができるように、賭博が禁止されているということですとか、カジノ施設やパチンコ、公営競技についても年齢制限が設けられていますということと併せて、ギャンブル等は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、また日常生活にも悪影響を及ぼすことなどについて指導していくことが重要と考えておりまして、各学校においてしっかりとした取組が行われるように、必要な取組をやってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 資料四を見ていただきたい。警察庁と消費者庁が連名で作成した、オンラインカジノは犯罪です、知らなかったでは済まされませんというポスターであります。
山口県阿武町で新型コロナ対策の十万円を誤って一人に四千六百三十万円も入金してしまった事件で、受け取った人物がオンラインカジノで使い果たしたと語ったことから大騒ぎになりました。この事件を受けて作成されたのがこのポスターなんですね。
警察庁、このポスターは、何枚印刷され、そのうち大阪には何枚配布されましたか。
○友井政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのポスターにつきましては、昨年、約五万枚を作成し、全国の都道府県警察に対し配布したものでありまして、大阪府警察に対しては二千九百枚を配布したところであります。
○宮本(岳)委員 大阪には二千九百枚でありますが、最後の資料五に各県への配布枚数をつけておきました。
そして、もう一度資料一に戻って、赤線二を見ていただきたい。インターネット上にはオンラインギャンブルのサイトもあり、それらのサイトを利用する場合、年齢制限が設けられてはいますが、年齢確認が十分ではなく、子供たちでも参加できてしまう危険性がありますとあります。これは文科省の資料ですよ。
大臣、大阪で教員が、オンラインカジノは犯罪だ、近づくなと教えようとするとき、では先生、何で夢洲に実物のカジノは造っていいの、オンラインですれば犯罪なのに、実際にカジノをやってもよいのはなぜなんですかと子供に聞かれたら、教員は一体どう答えたらいいのか、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○永岡国務大臣 お答えいたします。
学校現場において様々な指導の工夫が行われるものと考えておりますが、例えば、いわゆるIR実施法の趣旨ですとか、IR実施法という個別の法律が立法されたことによりまして、賭博を禁止している刑法の規定が適用されないことなどについて、しっかりと指導を行うことが考えられます。
また、IR実施法と刑法との関係性に関する詳細につきましては、申し訳ございませんが、所轄の省庁にお聞きいただければと思っております。
○宮本(岳)委員 天野さんの魂を取り戻していただきたいと申し上げて、本日の質問を終わります。