学問の自由侵害する
国大法改悪案可決 宮本岳志氏反対討論
衆院本会議
大学への政治介入を強める国立大学法人法改悪案が20日の衆院本会議で、自民、公明、維新、国民民主などの賛成多数で可決しました。日本共産党、立民、衆院会派「有志の会」、れいわは反対しました。
共産党の宮本岳志議員は反対討論で、改悪案は政令で指定する大規模な国立大学に「運営方針会議」の設置を義務付け、同会議に大学運営の主要方針の決定権限を与え、委員選定に文部科学相の承認を必要とするもので、「大学の人事に文科相が介入する余地を与える」と指摘。「制度的に大学の自治を掘り崩し、学問の自由を侵害するもので看過できない」と主張しました。
宮本氏は、運営方針会議は国際卓越研究大学以外の国立大学には設置しないとされていたのに、突然、認定を受けていない大学にも設置されることになったと批判。その理由や検討過程は明らかになっておらず、「大学への説明も全く不十分だ」と指摘しました。
宮本氏は、17日の国立大学協会の総会で会長が、改悪案が新たな国立大学の選別になりかねないと懸念を表明したと紹介。改悪案は「選択と集中」を極限まで推し進め、軍事研究さえいとわない、政府や財界が求める大学づくりを教職員の意向を無視して強引に進める体制を構築し、学問・研究の発展を阻害するものに他ならないと批判しました。
宮本氏は、「学問の自由が危機にひんしている」として、大学への政治的介入をやめるよう求めました。
(しんぶん赤旗 2023年11月21日)
動画 https://youtu.be/MIqqk7d2jdw?si=wdpzTCqvXMFuTJ4u
議事録
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、国立大学法人法一部改正案への反対の討論を行います。(拍手)
そもそも、学問の自由は、戦前の国家権力による学問の自由への侵害への反省から、日本国憲法第二十三条に明記されたものであり、学問の自由を保障するためには、大学の構成員が大学運営に参加する民主的仕組みである大学の自治が不可欠です。この大学の自治への介入を繰り返してきたのが歴代自民党政権の大学政策でした。
その上で、本改悪案は、政府が政令で指定する大規模な国立大学に新たに運営方針会議の設置を義務づけ、この会議に中期目標、中期計画や予算、決算など大学運営の主要方針を決める権限を与え、大学の最高意思決定機関とするものにほかなりません。しかも、その委員を文部科学大臣の承認を経て学長が任命する制度にすることによって、まさに大学の人事に文科大臣が介入する余地を与えるものです。
本改悪案は、こうした国家権力の介入を許すとともに、大学教職員の意思とは無関係に、大学運営の主要方針を決定する大きな権限を運営方針会議に与えるもので、制度的に大学の自治を掘り崩し、学問の自由を侵害するもので、看過できません。
合議体の設置は、国際卓越研究大学法の審議の時点では、その他の国立大学法人には適用しないとの答弁が繰り返されました。それが突然、認定を受けていない大学にも設置させることとされ、その理由や検討過程が全く明らかではありません。大学への説明も全く不十分です。
十七日の国大協総会では、本改悪案が新たな国立大学の選別になりかねないと会長が懸念を表明しています。
本改悪案は、選択と集中を極限まで推し進め、高コスト、非効率とされる学問分野を切り捨て、稼ぐためにはデュアルユースの名で軍事研究さえいとわない大学をつくること、また、政府や財界が求める大学づくりを学内の教職員の意向を無視して強引に進める体制を構築し、学問、研究の発展を阻害するものにほかなりません。
今、学問の自由が危機に瀕しています。日本学術会議会員の任命拒否を撤回し、大学への政治的介入をやめ、学問の自由と大学の自治を保障することを強く求め、討論を終わります。(拍手)