IR用地不当鑑定 追及
万博・カジノ問題 宮本岳志氏、政府ただす
衆院経産委
日本共産党の宮本岳志議員は6日、衆院経済産業委員会で大阪市が大阪カジノリゾート(IR)用地(市有地49ヘクタール)の不動産鑑定評価をゆがめ、カジノ業者が支払う賃料を格安にした疑惑を取り上げ、政府の認識をただしました。
宮本氏は、国土交通省に「個別の事案に対して当、不当の判断を示すことはあるか」とただしました。
「示さない」と川野豊国交省不動産・建設経済局次長は答弁しました。それに対し、宮本氏は今年4月、参院決算委員会での山下芳生議員の質問に対する大臣レク資料を提示。IR用地の鑑定評価を「鑑定評価基準に照らして不当な評価ではない」と記載しているとして「全く答弁と違うのではないか」と迫りました。
さらに宮本氏は、その後明らかになった大阪港湾局が鑑定業者に送ったメールを紹介。1平方メートル12万円という売却の参考価格が示されており、この金額は最終的に、鑑定業者4社中3社の評価額と同一だったとして「これは不当鑑定ではないか」とただしました。
川野氏は「個別の不動産評価に当、不当の判断は示さない」と答弁。大臣レクで「不当ではない」とした異常さが浮き彫りになりました。宮本氏は「カジノのために万博を露払いにし、違法な行為でも国ぐるみで推し進めている」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2023年12月7日)
動画 https://youtu.be/sWe8mrKSr54?si=aebhxED-3JN-IoJ0
配付資料 20231206経産委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。日本共産党の宮本岳志です。
大阪・関西万博について聞きます。
万博をめぐっては、どんどん膨れ上がる経費に国民の批判が高まっております。会場整備費は、当初千二百五十億円とされたものが、二千三百五十億円に増えました。さらに、十一月二十七日の参議院予算委員会で自見万博担当大臣は、会場整備費以外に、日本館のパビリオン建設費が三百六十億円、途上国の出展支援に二百四十億円、安全確保で百九十九億円、機運醸成に三十八億円と、合わせて八百三十七億円が別途予算計上されていると明らかにいたしました。また、先日は、シャトルバスの整備に千六百億という数字も出てきております。
会場となる夢洲は、大阪のごみの最終処分場として活用されてきた人工島でありまして、南側に一部コンテナヤードなど物流施設はあるんですけれども、敷地の三分の二は、水道や電気など、インフラも整っておりません。一体、総額幾らかかるのかが問題になってきたんですね。
自見英子万博担当大臣は、二十九日の参議院予算委員会で、二〇二五年大阪・関西万博の費用の全体像について、できるだけ早急に示すことができるよう作業を加速したいと述べましたけれども、費用の全体像は出ましたか、政務官。
○石井大臣政務官 万博準備への国民の皆様の理解を得るためには、透明性を持って経費を含む万博全体の全体像を示していくことが重要であります。
どのような形で事業の全体像がお示しできるか検討中でありますが、いずれにせよ、できるだけ早急にお示しできるように作業を加速していきたい、そう思っております。
○宮本(岳)委員 まだ出ないんですね。
日本館のパビリオン建設費は三百六十億円ということでありますけれども、更に大阪府や大阪市には大阪のパビリオン建設の費用も生じることになると思いますけれども、経済産業省、これは幾らですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
大阪ヘルスケアパビリオン、これは大阪府市の事業でございますので、一義的には、公益社団法人二〇二五年日本博覧会協会の、大阪パビリオンにおいて様々な検討が進められているものとして認識しております。
日本国際博覧会大阪パビリオンを管理する二〇二五年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会事務局から現在公表されている資料においては、民間からの協賛金や寄附金による負担分を含めた総事業規模で、約二百二十億円から二百五十億円と記載されているというふうに承知をしております。
○宮本(岳)委員 日本のパビリオン以外に大阪のパビリオンで二百二十から二百五十億円と。一体どこまで膨れ上がるかと、みんなが心配するのは当たり前なんですね。
結局、全体の経費も不透明なまま、万博は絶対にやめませんなどと言い放ちつつ、大阪府や大阪市も、そして国も万博開催に暴走しようとしております。
インフラ整備を含めると総額一兆円近くになるとの指摘に対して、今度は経済効果二兆円という話がまことしやかに語られておりますけれども、私も確かに、この基となった、有限責任監査法人トーマツが出した調査報告書も読みましたけれども、約二兆円というものから最大五兆八千億円を超えるケースまで、三倍の開きがあります。これは、一体、本当にそういうふうになるのかどうかは定かでありません。
さらには、工期の遅れも深刻です。資料一を見ていただきたい。日本建設業連合会の宮本洋一会長は、十一月二十七日の定例記者会見で、海外パビリオンの準備遅れが解消していないことを問われ、もうデッドラインを過ぎていると思ってもいいと述べたと報じられております。
西村経産大臣は、十二月二日、万博会場予定地の視察の後、記者団に対して、全体としては着実に建設が進んでいると報告を受けた、タイプAでは、まだ建設会社が決まっていない国にはマンツーマンで対応を進め、年内には一定のめどがつくようしっかりサポートしていきたいと述べたと報じられております。
しかし、建設業者、建設業界の代表がデッドラインを過ぎたと言っているときに、各国にマンツーマンで対応を進めれば、どうやって過ぎてしまったデッドラインから引き返すことができるのか、私には全く理解できません。国民に分かるように、大臣、説明していただけますか。
○西村国務大臣 宮本会長の御発言でありますけれども、まさに、これから建設事業者を探すタイプA参加国について、よほど簡易な構造であるか、あるいは部材調達のめどが立っているなど、特段の事情がないと開幕までに間に合わせるのは難しいのではないかとコメントされておりますので、まさにその危機感については私も同様の認識であります。
既に、様々な建設事業者と参加国、決まっていない国々との話合いは進んでおりますので、この動きを更に後押ししていきたいというふうに考えております。
こうした考えから、事務方に対しては私から、外交ルートの活用を含む参加国への働きかけ、情報提供の支援強化、また、日本の建設業界への協力要請の取組を進めるよう指示をしておりますし、また私自身も、これまでもそうですし、これからも、参加国の担当閣僚への働きかけ、これも行っていきたい。国交省への協力依頼も行ってきております。
これまでのところ、約六十の参加国がタイプAを造るということでありますが、そのうちの三十一か国が既に事業者を決定しておりますので、その後、今後の段取りが話し合われているものというふうに思います。
その上で、御指摘ありましたように、これから事業者を探す、今探している国に対しては、参加国、建設事業者のそれぞれから事業や考え方をしっかりと伺いながら進めていく体制を整備した上で、建設予算の増加あるいはデザインの簡素化などの働きかけ、そして、支援策として、タイプXというもの、こちらが用意するものもあるということも含めて提示を行って、さらに、支払いに不安を抱える建設事業者を支えるために万博貿易保険という新たな仕組みも創設しております。
十一月に参加国会合出席がありまして、そこにBIE、博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長が出席した際の評価も、非常にポジティブな形で前に進んでいる、時間どおりに進んでいるので、間違いなく参加者は二〇二五年四月に向けて準備を進めているという発言もございました。
経産省としては、危機感を持ちながら、引き続き、御指摘のようにマンツーマンで個別の伴走支援を行って、バックヤードの確保などの施工環境の改善も含めて対策を取りながら、一丸となって準備を着実に進めていきたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 間違いなく進んでいると誰が言おうが、現場で建設工事に当たる建設業界の代表がそう言っているわけですよね。五百日を切って、既にデッドラインは過ぎております。無理に進めれば、工期が逼迫する中で、働く人にしわ寄せが行くことは明瞭です。
政府は、労働規制の超法規的措置は検討したこともない、考えていない、こう言われますけれども、与党自民党の中から労働規制の超法規的規制を求める発言が出たということは周知の事実であります。
資料二を見ていただきたい。東京オリンピック主会場の新国立競技場建設工事で建設会社の男性新入社員が自殺した問題で、新宿労働基準監督署が労災認定をしたという記事であります。
まず、事実を厚労省に確認しますけれども、この記事に書かれている労災認定の事実は間違いありませんね。
○梶原政府参考人 お答えをいたします。
新国立競技場建設工事で施工管理業務を担当していた労働者が過重労働に伴う精神障害により自殺した事案について、平成二十九年十月に労災保険の支給決定をしております。
○宮本(岳)委員 事実が認められました。
記事では、傍線部一、労基署が建設現場への入退場記録などを調べた結果、死亡前一か月の残業時間は約百九十時間に上ることが判明、新宿労基署は、発症の原因は新国立競技場での極度の長時間労働と断定し、過労自殺だったと労災認定したと報じられております。傍線部二では、被害者が勤めていた三信建設工業の担当者は、記者の取材に、二度と繰り返さないよう、深い反省の下、労働環境の改善に力を尽くすと答え、元請の大成建設の広報室も、下請業者に対し、法令遵守の徹底を指導し、過重労働の防止に努めると語っております。
デッドラインの語源は、死を意味するために絶対に越えてはいけない線だったといいます。そのデッドラインを過ぎた万博を、間に合わせるためだったら、現場の労働者の命を危険にさらし、国立競技場での悲劇がまた繰り返されてもいい、そんなふうには考えないと思いますけれども、これは、大臣、間違いないですね。
○西村国務大臣 もう当然のことながら、労働者へのしわ寄せ又はそれに伴って過労死など、これはあってはならないということは当然のことであります。万博会場内の工事に係る労働者の安全確保を徹底した上で建設作業が進められているものというふうに認識をしております。
具体的には、建設工事における労働者の安全管理については、博覧会協会がパビリオンタイプAの工事・解体に係るガイドラインとか、それから建設工事に伴う施工ルートを策定をし、事業者に対して、労働基準法、労働安全衛生法などの関係法令を遵守して作業を行うよう指導しているところであります。
こうした労働者の安全確保徹底を前提とした上で、開幕までに海外パビリオンの建設が間に合うよう、参加国へのマンツーマン、個別伴走支援や施工環境の改善といった取組により、しっかりと準備を進めていきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 東京オリンピックの準備過程でも、過労死があっていいということで、やっていなかったと思うんですけれども、現実にはこういうことが起こっているわけですよね。万博も、もちろんこれは国家プロジェクトです。会場の準備は絶望的に遅れております。
我が党は、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつける大阪・関西万博は、この際きっぱりと中止すべきだと申し上げております。
共同通信社の世論調査では、大阪・関西万博開催の必要性に関して、開催地の大阪を地盤とする日本維新の会の支持層でも不要だとの回答が六五・七%で、必要だの三三・一%を大きく上回ったと報じられております。他の政党支持層では更に不要の割合が高かったわけですね。にもかかわらず、日本維新の会の代表は、万博は絶対にやめませんなどと言い放ち、政府も、国民の声に耳もかさずに、今、西村大臣のように、万博開催に固執するのは一体なぜなのか。要は、夢洲でカジノをやりたいからではないか、私はそう思わざるを得ません。
大阪が最初に万博開催を計画したとき、大阪府が二〇一六年十一月の二〇二五日本万国博覧会基本構想案で夢洲と決める前には、万博の会場として大阪府内七か所の候補地が挙げられていたというのは事実ですね。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
開催地については、二〇一五年に大阪府が設置しました国際博覧会大阪誘致構想検討会で検討が開始されまして、二〇一六年に設置されました、有識者、大阪府市、経済産業省、経済団体等により構成された二〇二五年万博基本構想検討会議において、夢洲、彩都東部・万博記念公園、それから、三つ目として服部緑地、四つ目として花博記念公園鶴見緑地、五つ目として舞洲、六つ目として大泉緑地、七つ目としてりんくうタウン、この七か所が候補地として議論が行われたというふうに承知しております。
○宮本(岳)委員 二〇一六年十一月に夢洲に決まったというんですけれども、二〇一六年十二月十五日にIR法が成立をいたしております。ベイエリアの活用と称して夢洲にカジノを誘致すると決めた、しかし、カジノのために夢洲のインフラ整備に税金を投入することには国民の批判が強いので、万博開催を口実にインフラ整備を進めようということだと思うんですね。まさに、なりふり構わぬやり方だと断ぜざるを得ません。
私は、昨年の臨時国会、十月二十七日の総務委員会で、カジノ、IRの用地の借地権設定に向けた不動産鑑定評価で、不当な鑑定を大阪市が主導して行った疑惑を指摘をいたしました。
この不動産鑑定では、二度にわたって複数の不動産鑑定業者が鑑定評価を行ったんですが、その評価額も利率もぴたり一致するという結果になりました。複数の不動産鑑定の業界関係者は、ぴたりと一致が偶然だとするならば、天文学的であり得ない、依頼者、大阪市のことですけれども、価格を示したか、鑑定評価に関わった業者が示し合わせた談合の疑いがあると指摘いたしました。
私の質問に対して、国土交通省は、一般論ではあるがとしつつも、依頼者が価格を示したり談合すれば不当鑑定に当たり得ると答弁されました。
改めて確認をいたします。
一般論として、不動産鑑定評価を依頼する側が鑑定業者に価格を示し、その価格に合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合や、複数の鑑定業者が評価額等を示し合わせた価格等で不動産鑑定評価を行った場合は不当鑑定に当たり得るという答弁に変わりはないか、そして、国土交通省として個別の事案に対して当不当の判断を示すことはあるんですか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
あくまで一般論にはなりますけれども、令和四年十月に答弁させていただきましたとおり、依頼者が価格を提示し、それに合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合や、不動産鑑定業者同士で鑑定評価額を示し合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合は、不動産の鑑定評価に関する法律第四十条第一項に規定する「不当な鑑定評価等」に該当し得ると考えているところでございます。
それから、もう一つの質問でございますけれども、国土交通省として個別の不動産鑑定評価の当不当の判断を示すことがあるのかというお尋ねでございますけれども、一般的に、個別の不動産鑑定評価の当不当について、その調査を行っているか否かの事実も含め、国土交通省が見解を示すことは、懲戒処分に該当する事由がなかったと認められる場合に、当該調査対象となった不動産鑑定士等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることなどから、行っておりません。
○宮本(岳)委員 個別の評価は出さないんですね。懲戒処分の場合を除きと言うんですけれども、懲戒処分の場合は必ず不当と出るはずですから、当不当のうちの当ということを個別に語ることはないはずなんですね。
実は、この時点で、我が党のしんぶん赤旗日曜版の記者が、この鑑定に関連した大阪市当局と鑑定事業者間のやり取りについて情報開示請求を行いました。当初、大阪市は、廃棄したとして情報公開に応じませんでした。同時に、国土交通省に対しても同じく、不動産鑑定評価に関し、国交省内や官公庁の答弁書や内部のメールのやり取りについて情報開示を求めました。
資料三を見ていただきたい。国土交通省が情報開示に応じて提出した資料であります。今年四月十七日の参議院決算委員会での我が党の山下芳生参議院議員への答弁に対しての大臣レク資料であります。今回の鑑定評価は、鑑定評価基準に照らして不当な評価ではないと明らかに記載しております。
個別の案件に対して当不当は示さないと言ったにもかかわらず、大臣レクでは、不当な評価ではない、つまり適当な評価であると明記しております。全く答弁と違うんじゃないですか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、個別の鑑定評価の当不当について国土交通省が見解を示すということは行っておりませんと答弁申し上げましたが、これは、対外的に見解を示すことは行っていないということでございます。
一方で、大臣への報告についてお尋ねがございましたけれども、大阪IR用地の鑑定評価につきましては、その当不当に関する指摘があったことなどを踏まえまして、本年二月に、不動産鑑定評価制度を所管する国土交通省の長である国土交通大臣にその時点の見解を報告したということでございます。
○宮本(岳)委員 その後、今年七月になって大阪市は、一旦破棄したとしたメールが手持ちのハードディスクに残っていたと、百九十八通のメールを開示いたしました。
資料四を見ていただきたい。これは、大阪港湾局が鑑定業者に対して鑑定評価を依頼する際に送ったメールであります。
このメールに添付されていたのが資料五の一、右下欄外の赤い囲みを拡大したものが資料五の二であります。売却、平米当たり十二万円。ここに価格を示して全ての鑑定業者に送っているわけですね。結果はこの価格のとおりになりました。
最後の資料六は、大阪市が二〇一九年十一月十三日の第八百二回大阪市不動産鑑定審議会に提出した会議資料です。価格を示し、その後、全く同じ不動産鑑定評価が示されておりますが、これは不当鑑定じゃないんですか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど来御答弁申し上げていますとおり、個別の不動産鑑定評価の当不当について、その見解を示すことは一般に行っておりません。
なお、価格の一致という御指摘でございましたけれども、一般論としてでございますが、不動産の鑑定評価は統一的な基準にのっとって行われるため、評価額が一定幅に収束することはあり得ると認識しているところでございます。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、またやりましょう。六月十四日の不動産評価審議会でも、隣接した土地の変電施設の予定地の売却額が保留された、否決されたということも言われています。これをめぐっては、まだまだこれから明らかにしなければならないと思います。
大臣レクで、不当な評価ではない、こう言いながら、その後、大阪市がメールを開示をして、明らかに不当だという状況が出てくれば、今度は、個別の案件の当不当には答えない、そう言って口をつぐむ、そのような態度は絶対に通らないということを申し上げて、私の質問を終わります。