平成二十五年十二月四日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 鬼木 誠君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 桜井 宏君
新開 裕司君 武井 俊輔君
冨岡 勉君 中川 郁子君
中谷 真一君 永岡 桂子君
野中 厚君 馳 浩君
福山 守君 星野 剛士君
堀内 詔子君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 小川 淳也君
菊田真紀子君 中根 康浩君
細野 豪志君 山口 壯君
坂本祐之輔君 椎木 保君
三宅 博君 中野 洋昌君
井出 庸生君 柏倉 祐司君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君
…………………………………
文部科学大臣
国務大臣
(東京オリンピック・パラリンピック担当) 下村 博文君
文部科学副大臣 櫻田 義孝君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(文化庁次長) 河村 潤子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 蒲原 基道君
参考人
(公益財団法人日本水泳連盟会長)
(順天堂大学教授) 鈴木 大地君
参考人
(独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長)
(公益財団法人日本オリンピック委員会理事) 河野 一郎君
参考人
(公益財団法人全日本柔道連盟副会長)
(東海大学理事・副学長)
(公益財団法人日本オリンピック委員会理事) 山下 泰裕君
参考人
(公益財団法人日本障害者スポーツ協会会長)
(日本パラリンピック委員会委員長) 鳥原 光憲君
参考人
(東京都スポーツ振興局長) 細井 優君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
―――――――――――――
委員の異動
十二月三日
辞任 補欠選任
小此木八郎君 吉野 正芳君
永岡 桂子君 山下 貴司君
中野 洋昌君 大口 善徳君
同日
辞任 補欠選任
山下 貴司君 永岡 桂子君
吉野 正芳君 小此木八郎君
大口 善徳君 中野 洋昌君
同月四日
辞任 補欠選任
小此木八郎君 星野 剛士君
永岡 桂子君 福山 守君
馳 浩君 佐々木 紀君
比嘉奈津美君 中川 郁子君
菊田真紀子君 小川 淳也君
吉田 泉君 中根 康浩君
遠藤 敬君 坂本祐之輔君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 馳 浩君
中川 郁子君 武井 俊輔君
福山 守君 永岡 桂子君
星野 剛士君 小此木八郎君
小川 淳也君 菊田真紀子君
中根 康浩君 吉田 泉君
坂本祐之輔君 遠藤 敬君
同日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 中谷 真一君
同日
辞任 補欠選任
中谷 真一君 堀内 詔子君
同日
辞任 補欠選任
堀内 詔子君 鬼木 誠君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 比嘉奈津美君
―――――――――――――
十二月二日
学費の負担軽減、高等教育予算増額を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四九九号)
原発賠償の時効問題の抜本的な解決に関する請願(泉健太君紹介)(第五〇〇号)
同(阿部知子君紹介)(第五六三号)
同(玉城デニー君紹介)(第五六四号)
学校に正規の現業職員を必ず配置するよう法制化を求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第五〇一号)
同(大串博志君紹介)(第六四六号)
同(郡和子君紹介)(第六四七号)
学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(泉健太君紹介)(第五〇二号)
同(吉川元君紹介)(第五〇三号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第五六五号)
同(笠井亮君紹介)(第五六六号)
同(穀田恵二君紹介)(第五六七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五六八号)
同(志位和夫君紹介)(第五六九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五七〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五七一号)
同(宮本岳志君紹介)(第五七二号)
教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五五四号)
同(笠井亮君紹介)(第五五五号)
同(穀田恵二君紹介)(第五五六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五五七号)
同(志位和夫君紹介)(第五五八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五五九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五六〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第五六一号)
教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担の軽減、教育条件の改善に関する請願(津村啓介君紹介)(第五六二号)
同(柚木道義君紹介)(第六四八号)
教育予算増額、教育費無償化、父母負担軽減、教育条件改善に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六四四号)
政府の収束宣言を撤回させ、原発事故の完全賠償を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六四五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件(二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に関する諸課題等)
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する件
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、十一月一日の本委員会質問でも、我が党が、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催地を東京に決定したIOC、国際オリンピック委員会の決定を尊重するとともに、決して無条件の信任ではない、東京招致に反対した際に私たちが指摘してきた問題点については、変わることなく、引き続き厳しくチェックしていくことを明らかにいたしました。きょうもそういう立場から質問をしたいと思います。
あの質疑の際にも文部科学大臣からは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは、まさに日本からオリンピック憲章が始まったと言われるような歴史的なオリンピック・パラリンピックにしたいとの決意が述べられました。これは私も思いを同じくするところであります。
開催都市となった東京は、これから大会組織委員会、OCOGを設置し、その陣容を整えなければなりません。焦点となるのが、このOCOGの陣容だと思うんです。OCOGの中心にJOCや実施競技団体の関係者が登用され、自主的に運営されることが重要だと思います。
前回、一九六四年東京大会のときの組織委員会の陣容は、国を挙げてということが前面に出て、政財界主導でありました。しかし、今日、四十九年前とはスポーツをめぐる状況は大きく変わってきております。OCOGが政治から独立した機関として、スポーツ界の自立した力を培っていくことが大事だと思うんです。
そこで河野一郎参考人に聞くんですけれども、東京二〇二〇は、コンセプトの一つに、アスリートファースト、競技者本位のオリンピック・パラリンピックを打ち出しております。さきのロンドン・オリンピックも同様のコンセプトを採用しており、アスリートを中心に据える動きは、二十一世紀のオリンピック・パラリンピックが目指す方向になっていると思うんです。
大臣がおっしゃるように、日本から二十一世紀のオリンピック憲章が始まったと言われるようにするには、男女を問わず、障害者を含めて、アスリートやスポーツ関係者がOCOGに登用される必要があると私は考えますが、いかがでしょうか。
○河野参考人 御指摘のように、アスリートファーストは、二〇一六年の招致からずっと、日本、そして東京、あるいはスポーツ界が訴えてきたことでございます。
アスリートファーストに関しましては、今御指摘がありましたことも踏まえましてお答えいたしますが、まずやはり、オリンピック・パラリンピックはスポーツの大会でございますので、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるようにあらゆる面から環境を整えていくということ、これが重要であると思います。
それと同時に、オリンピック・パラリンピックの成功の要因に幾つかありますけれども、一つは、完璧なとあえて申し上げますけれども、完璧なオリンピック・パラリンピック大会の運営だと思います。これについては、御指摘のように、アスリートの目線をしっかりと踏まえた陣容で臨むことが重要と考えます。
先生の御指摘については賛同いたします。ありがとうございます。
○宮本委員 既に、招致に当たって、ブエノスアイレスでアスリート宣言というものも行われております。アスリートたちは招致成功のためのただ単なる人寄せパンダというようなことであってはならないと思うんです。オリンピック・パラリンピックのまさに主役であるわけですから、組織委員会の陣容においてもしっかり、アスリートファースト、このことを貫いていただきたいと思うんです。
一方でこの大会組織委員会は、オリンピック担当大臣の下村文科大臣、それから猪瀬直樹東京都知事、日本オリンピック委員会、JOCの竹田会長、そして大会組織委員長の四者による司令塔のような上部機関をつくる方向で調整が進んでいるとの報道がなされております。
そこで今度は大臣にお伺いしますけれども、幾らアスリートファーストとこう叫んでみても、大会組織委員会がこの司令塔なるものの下請に成り下がってしまったというのでは話になりません。この四者が話し合って調整すべきことはある、これはもちろん認めますけれども、組織委員会に介入したりコントロールしたりするということは厳に慎むべきだと私は思うんです。オリンピック担当大臣としての下村大臣の御所見をお伺いいたします。
○下村国務大臣 二〇二〇年大会の組織委員会を含む組織体制については、過去の例も踏まえながら、各界各層の協力を得ながら、大会が円滑に進むよう、開催都市を初め各界からさまざまな人材が集められ、大会準備に当たれる体制が望ましいと考えております。
さまざまな報道があるものの、御指摘の機関なども含め、現時点で組織体制などは全く固まっているわけではありません。
いずれにしても、七年後に最高の大会が開催できるよう、それにふさわしい組織のあり方について、来年二月までに、JOCや東京都と十分協議してまいりたいと思います。
○宮本委員 大会組織委員会、OCOGは、「IOCから、開催都市のある国のNOCおよび開催都市自身に委任されるものである。」とオリンピック憲章に規定をされております。OCOGがくれぐれも政治の引き回しというようなことではなく、政治から独立した機関として、アスリートたちを含めたスポーツ界の自立した力を培っていくことが重要だということを指摘しておきたいと思うんです。
次に問題になってくるのが、競技施設の整備計画です。
我々は、国民や都民の生活や環境と調和のとれた、無理のない取り組みを進めることが求められていると考えております。
オリンピックのメーンスタジアムとなる国立霞ケ丘競技場の建てかえ計画をめぐっては、前回の質疑でも下村大臣から、「改築に係る経費については、適正な予算でなさなければならないことは当然であり、この観点から、全体の規模や機能を縮小する方向で検討する必要がある」、「現在、事業主体である独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいてその検討が行われるところ」だという答弁がございました。
河野参考人、どのような検討状況になっているか、お答えいただけますか。
○河野参考人 検討状況についてお答えいたします。
既に御議論いただいているところもございますけれども、二〇一二年の三月に日本スポーツ振興センターとして有識者会議を開き、そこで与条件について議論をいただき、これをもとにデザインコンクールを行いまして、二〇一二年の十一月に、有識者会議でデザインコンクールの結果について了承いただいたところでございます。
これを受けましてフレームワーク設計に入り、そしてこのあたりから、非常に悩ましいことは、九月七日にオリンピックが決まるまではそれを議論するべきでないというような御意見も頂戴したりしながらここまで来ておりますが、幸いなことに九月七日にオリンピックが決まりましたので、現在、その九月七日に決まりましたオリンピック・パラリンピック開催を前提といたしまして、具体的な絞り込みを、いろいろな面で絞り込みを行いながらここまで来ているというのが検討状況でございます。
○宮本委員 十一月二十六日に国立競技場将来構想有識者会議の第四回会合を開いたということが報じられております。その内容、そこでどういう再検討をされたか、御紹介いただけますか。
○河野参考人 具体的には、それまでの議論、そして、そのときにいろいろな方からの御意見を頂戴いたした中で確認をいたしましたのは、当初に与条件として示されました三つの条件、つまり、八万人規模であるということ、それから可動席、これはラグビー、サッカー、陸上の多目的なスタジアムとしての要件を整えるべきだということ、これについては、陸上競技連盟、サッカー協会、そしてラグビー協会、いずれも強い御意見でございました。そしてそのときに御指摘いただいたのが、全天候型、これについては、その十一月の時点でも強く意見としていただきました。
それと同時に、当初、オリンピック等々が決まる前に、各三団体から、全てこれを満たしてくださいという、全ての条件を満たした要件をいただいておりましたけれども、いよいよ九月七日あるいは九月八日にオリンピック・パラリンピックが決まったことによりまして、具体化をする必要がありましたので、それについて、サイズ、そして先ほど来お話が出ているコスト面についても現実的なものとして絞り込みを行う、これについて合意をいただいたところでございます。
○宮本委員 二十九万平米を二十二万平米に縮小する、あるいは、現時点で見積額は、現競技場の解体工事も含めて千八百五十二億円、こういうふうにお伺いをいたしました。
それで、八万人収容が国際基準だと言うんですけれども、東京都議会での答弁によりますと、開催都市である東京都は、IOCの基準では、陸上競技と開閉会式を行う場合、六万席が必要とされておりますと答弁をし、十一月一日の会見で猪瀬東京都知事は、「三千億円もかかる膨大な、コストのかかるような設計をするのは間違いだから、まずその半分ぐらいのキャパシティーにすればいいでしょう」、「それで、ロンドンの場合は、五万人の収容で二・五万人が仮設だと。大体、今回の場合もそういうことにすれば、まず半分になる」、こう述べておられるんです。
いずれも、開催都市東京では五万席、六万席という数字が出ているわけです。これはどちらが本当なんですか、河野さん。
○河野参考人 大変申しわけありませんが、都議会及び都知事の発言については、ちょっと私も詳細を存じ上げません。
しかし、観客席の数につきましては、ちょっといろいろと思い起こしてみますと、一九六四年の東京オリンピックのときの閉会式、開会式、いずれも七万人を超えた観客が集まっておられます。六四年のときの日本の全人口が多分九千七百万ぐらい、現在が一億二千七百万、推移していると思いますが、そういったこと等々を考えますと、現時点においてもこれだけ国民の期待が高いオリンピック・パラリンピック大会のメーンスタジアムになる観客席については、八万人規模が相当と考えております。
ありがとうございます。
○宮本委員 八万人全てを常設にせずに、一部を仮設にしたらどうかというふうに私も申し上げたんですが、イギリスの場合は、市内にサッカー専用の九万人を収容するウェンブリー・スタジアムがある、別に八万人収容のラグビー専用スタジアムもある、しかし、日本には八万人収容するスタジアムは一つもない、こういう説明。もう一つは、ザハ・ハディッド氏のデザインでは設計上仮設にできない、こういう御説明もいただいたわけです。
しかし、確かに八万人というのは国内にないかもしれませんけれども、横浜にある日産スタジアムは七万二千人収容でありますから、それこそ、あとわずか仮設で増設すれば八万人も可能なわけです。
また、ザハ・ハディッド氏との契約というのはデザインの監修契約であって、基本的なコンセプトを崩さない限りは設計の変更も可能であるし、可能であるからこそ、この間、規模の縮小、変更を現にしてきたわけなんです。
変更、これは可能ですね、河野さん。
○河野参考人 どこの部分を変更するかということに関しては別にいたしまして、基本的には変更可能であるからこそ、ここまで来ております。
しかし、観客席数につきましては、こちら側が提示したものであって、ザハ・ハディッド氏が決めたものではございません。
○宮本委員 今回の建てかえ案をめぐっては、日本建築士会連合会、東京建築士会、日本建築士事務所協会連合会、東京都建築士事務所協会、日本建築家協会の建築関係五団体から、その規模、安全性、維持管理費、周辺の景観との調和など、厳しい指摘と懸念が寄せられております。とりわけ、周辺景観との調和というのは、IOCの原則にかかわる重大問題だと言わなければなりません。
一九九九年、IOCが採択したオリンピックムーブメンツアジェンダ21には、スポーツにかかわる全ての選手、個人及び組織が、スポーツにおいて、あるいはスポーツを通じた持続可能性に向けて取り組む方法が記述をされております。
これは文部科学省に確認をいたしますが、オリンピックムーブメンツアジェンダ21の「3.1.6 人間の住居環境および居住」では競技施設についてどのように書かれてあるか、また、「3.2.3 競技施設」では新規施設の建築及び建築地所についてどう定めてあるか、御答弁願います。
○久保政府参考人 お尋ねのオリンピックムーブメンツアジェンダ21、3の1の6のうち「競技施設」につきましては、「土地利用計画に従って、自然か人工かを問わず、地域状況に調和して溶け込むように建築、改装されるべきである。」とされております。また、「3.2.3 競技施設」のうち「新規施設の建築および建築地所」につきましては、「このアジェンダ21の3.1.6節を遵守しなければならない。これら施設は、地域にある制限条項に従わなければならず、また、まわりの自然や景観を損なうことなく設計されなければならない。」と定められているところでございます。
○宮本委員 事はIOCのルールにもかかわる問題なんです。この問題をめぐっては、与党自民党からも厳しい指摘が出ていることが報じられております。
改めて、広く専門家の意見をよく聞いて、再度設計の見直しを図って、国民ももちろん、東京都民も納得する計画に変更することを求めておきたいと思うんです。
我が党は、この間、私も提案者となったスポーツ基本法の制定を機に、各種のスポーツ団体、競技団体とも懇談を行ってまいりました。そこで数々の御意見をお伺いし、オリンピックの準備や競技施設の整備も、アスリートと観客の目線で捉えることの大切さを実感いたしました。
例えば、我が党東京都議団は先日、日本陸上競技連盟と懇談をいたしましたが、専務理事からは、現在の計画のままでは、二〇二〇年の東京五輪の後、新国立競技場では全国規模の大会が開催できないという話が出されました。選手たちがウオーミングアップするためのサブトラックの併設が盛り込まれていないためだと言うんです。日本選手権や全国高校総体などの大会を開催するには、全天候舗装の四百メートルサブトラックが設置された第一種競技場でなければなりません。
ところが、このままでは新国立は、地方の主要大会向けというべき第二種以下の扱いになってしまうと言うんです。
せっかく整備するのにこれほどもったいないことはないと私は思うんですが、河野理事長、この声をどう受けとめておられますか。
○河野参考人 サブトラックの問題に関しましては、まず、二〇二〇年のオリンピックに向けましては、もちろん立候補ファイルをIOCに提出しております。その際に、IOCからも、あるいは国際陸上連盟からも、もちろん日本陸上連盟からも承諾を得ております。したがって、この計画を進めることについては、日本陸上競技連盟についても十分に御理解をいただいているというふうに理解をしております。
そして、サブトラックのことにつきましては、御指摘のように仮設でございますけれども、これは、今後、日本陸上競技連盟がどのような大会を具体的にどこで進めるかによって、そのことについては検討する余地は僕は個人的にはあるかと思っておりますが、ただ、勝手に人の土地のことを言うこともなかなか難しいこともございますので、そういったことも含めて、今後の検討の課題とさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○宮本委員 ぜひとも検討していただいて、せっかく整備するわけですから、オリンピックのときに差し支えがないということは今お話しのあったとおりですけれども、オリンピックのときだけということじゃなくて、その後も、やはり全国的な日本選手権、高校総体などがやれる条件を国立競技場に備えるというのは、それは望ましいことでありますから、ぜひその方向でやっていただきたいというふうに思うんですね。
もう一つは、日本ライフル射撃協会と我が党が懇談したときに出た話なんです。射撃会場は、前回のオリンピックでも使用した陸上自衛隊朝霞駐屯地の射撃場を改装して使うことになっております。しかし、ここは選手村から遠いというだけでなく、スポーツ施設としては不適切だという指摘がございました。
かつて、北朝鮮のテポドンが発射されたときに、ちょうど射撃大会の最中で、突然警戒態勢がとられて使用中止の命令が出され、選手、審判員など民間人はその場から退去を命じられた。これは、日本ライフル射撃協会でそういう話をお伺いしたわけです。今後、特定秘密保護法などができましたら、写真などを撮ろうものなら逮捕されるんじゃないか、そんな話が出るぐらいの状況なんですね。
同じ射撃場でも、自衛隊の施設はこれはあくまで演習施設であって、スポーツである射撃の競技施設ではないですね。逆に自衛隊からしても、こういうことをやるというのは目的外の使用になるんだと思うんです。
そこで大臣、やはりスポーツとしての射撃会場をこれはそういう水準で整備する、そのことを真剣に検討すべき段階に来ているんじゃないかと私は思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 射撃競技の会場については、立候補ファイルに記載のとおり、陸上自衛隊朝霞訓練場が予定されております。同訓練場は、東京都によれば、銃刀法が定める指定射撃場の基準を満たす既存の会場としては、選手村から最短距離に位置するものであるということであります。
このため、日本ライフル射撃協会及び防衛省の了解を得た上で、国際射撃連盟の承認を経て、競技施設として決定したものと聞いております。
今後、大会の実施に当たっては、その運営に支障が出ることのないよう、大会組織委員会を中心として、関係省庁とともに十分な対応を検討してまいりたいと思います。
○宮本委員 既にライフル射撃競技というのは、スポーツとしてのそういう競技として今日発展しているわけですから、やはり今日の到達点に立って、いつまでも自衛隊の演習施設で行うのではなくて、そういう場所をいかに確保するかという検討はぜひとも進めるべきだというふうに申し上げておきたいと思うんです。
ここで鳥原参考人にお伺いするんですけれども、私は、毎年、パラリンピアンを激励するスポーツオブハートというイベントにも、縁があって参加をさせていただいてまいりました。
政府は、二〇二〇年東京パラリンピックに向けて、選手強化のため、パラリンピックの日本代表候補専用のナショナルトレーニングセンターを建設する方向で検討に入ったと報道されております。
そこで鳥原参考人に、障害者スポーツを担当する日本パラリンピック委員会として、この施設の整備に当たって希望することをお聞かせいただけたらと思っております。
○鳥原参考人 私ども日本パラリンピック委員会の中でナショナルトレーニングセンターの基本的なコンセプトについて検討し、そして、担当当局の方にもいろいろ希望を述べてまいりました。
その主な点は、第一に、可能な限り早い時期に完成してほしいということ、そして、コンセプトとしては、国際大会基準の競技練習場を有する高度なトレーニング施設であること、あわせて、障害者スポーツに特化したスポーツ医科学、情報、用具開発等の総合的な研究支援を行える施設であること、この点でございます。
○宮本委員 そこで文部科学省にお伺いするんですけれども、来年度概算要求で障害者スポーツ予算はどれだけなのか、それはスポーツ予算全体の大体何%になるのか、パラリンピック予算はどれだけで、オリンピック予算との対比で大体何%ぐらいか、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 来年度概算要求におきましては、スポーツ予算としては約四百九十億円要求しておりますが、この中で、健常者と障害者が一体となったスポーツ・レクリエーション活動を実施するために必要な事業補助、それから、障害者のスポーツ参加における安全確保に関する調査研究、さらに、スポーツ医科学を活用してトップアスリートを支援するマルチサポート事業の中で、パラリンピアンに対するトライアルを実施する経費など、新たに、あるいは拡充して計上しているところでございます。
ただ、これ以外にスポーツ予算の中には、例えばオリンピック、パラリンピックの両方に資するための、例えば、国立霞ケ丘競技場の改築経費ですとか障害者も利用される地域のスポーツ施設の整備費など、障害者スポーツ関係予算として明確に分けられない経費も含まれておりますので、障害者スポーツ予算としての金額、その割合を明示することは困難であることは御了解いただけると思います。
○宮本委員 きのう、事前にレクを聞きますとそういう話でした。やはり僕は、障害者スポーツというのが対策がおくれてきたと思うんです。だから、現時点でどれだけの予算が確保され、どうなっているかをまずつかまないと、強化すると言ったっていかないわけですから、このことをしっかりまずつかむ、それすら今の時点でお伺いするとそういう御答弁だというのは、非常に不満なんですよ。
それで、トップアスリートの競技力の向上については、ナショナルトレーニングセンターの整備など、やっと始まりつつあります。しかし、裾野の問題を見れば、障害者が健常者と同じようにスポーツに親しむ条件は大きく立ちおくれていると言わなければなりません。
パラリンピックを機に障害者スポーツに注目が集まることはいいことでありますけれども、パラリンピックなどで活躍するトップアスリートだけでなく、障害を持つ人も持たない人も、同じように、人権や権利としてスポーツに親しめる環境整備こそ重要だと思うんです。
この点で鳥原参考人に、課題だと思うことをお答えいただきたいと思うんです。
○鳥原参考人 今おっしゃられた、誰もがスポーツに親しめる環境整備というのは、スポーツ基本法及びスポーツ基本計画に示されているところであります。
私から申し上げたいことは、施設が備わっていても、障害者が障害の種類や程度に応じて安全にスポーツを楽しめるように、障害者スポーツの指導者あるいは補助者、さらには、医療支援などのサポートが必要だということでございます。こういったソフト面の対策を充実させるということが非常に重要な課題ではあるというふうに思っております。
○宮本委員 パラリンピックはオリンピックの決してつけ足しのようなものではありません。また、スペシャルオリンピックスやデフリンピックなど、独自の意義を持つ国際大会も開催されてまいりました。障害者スポーツは長い間立ちおくれてきたことはやはり事実だと思うんです。
そこで大臣、障害者スポーツ団体と障害者アスリートたちの声をしっかり受けとめて、この分野の施策、さらにその財政措置、抜本的に拡充する決意をお示しいただきたいと思うんです。
○下村国務大臣 平成二十三年に制定されたスポーツ基本法においても、「スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない。」と規定されておりまして、障害者スポーツを推進することは非常に重要であります。
文科省としては、昨年制定したスポーツ基本計画において、障害等を問わず、広く人々がスポーツに参画できる環境を整備することを政策課題としており、障害者と健常者が一体となったスポーツ・レクリエーションの推進等に取り組んできているところでもございます。
平成二十六年度からは、パラリンピック関連の予算を初め、スポーツ振興の観点をより強く反映させた障害者スポーツ支援の事業を、御承知のように、厚労省から文科省に移管する予定でございます。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催も見据え、障害者アスリートや関係団体の意見もお伺いしつつ、障害者の競技力の向上やスポーツ参加機会の拡充を図るなど、障害者スポーツ全般をより強固にしてまいりたいと思います。
ちなみに、厚労省から移管された予算を含めまして二十五年度の予算と比較すると、来年度は六九%、障害者スポーツ関係で増額を要求しているところでございます。
○宮本委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思うんです。
最後に、私の質問の直後に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する件なる委員会決議が提案されることになっております。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックをめぐっては、既に今国会冒頭、十月十五日の本会議で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に関する決議が全会一致で採択されています。これは全会派の合意を得るため相当な協議を重ねて採択されたものであり、我が党は、屋上屋を重ねるがごとき委員会決議は必要ないとの立場を表明してまいりました。
それでも自民、民主から事前に案文が提案されましたので、我が党としての意見を申し上げました。それにより修正された部分はありますが、けさ、理事会に諮られた案文は、本会議決議より大きく後退したものであります。
本会議決議でも、当初、案文には、オリンピックの開催が「東日本大震災からの復興を世界に示すもの」との表現がありました。しかし、我が党が、東日本大震災からの復興を着実に推進することは当然だが、オリンピックはオリンピック憲章とオリンピック精神の体現のために開催すべきものであって、震災からの復興を世界に示すというようなことをオリンピックの目的にすべきではないと指摘して、本会議決議では削除されました。
それでも本会議決議には、「我が国が元気な日本へ変革していく大きなチャンスとして、」とか「新しい日本の創造と我が国未来への発展のため」などという不必要な文言があり、削除を求めたが入れられず、共同提案には加わらず、あえて反対はしないという態度をとったのであります。
しかるに、本委員会で提案予定の決議案には、本会議決議では削除された「大会開催が、東日本大震災の被災地を含めた日本全体が活力を取り戻し更なる発展に向かう好機となる」というような文言が書き込まれております。
しかも、本会議決議で削除された文言が、復興を世界に示すと東京大会までに復興を終える表現であったのに比しても、活力を取り戻す好機となるなどと、復興の完了さえ曖昧な表現というのでは、到底認めることはできません。
したがって、我が党は、本委員会決議には、提案に加わらないことはもちろんのこと、反対の態度をとることを申し上げて、質問を終わります。
――――◇―――――