内閣不信任案 自公否決
宮本岳志議員賛成討論 「国民の信失った」
衆院本会議
岸田内閣不信任決議案が13日の衆院本会議で、自民、公明の反対多数で否決されました。日本共産党、立民、維新、国民民主、れいわ、有志の会が賛成しました。共産党の宮本岳志議員は賛成討論で「内閣支持率は2割に落ち込み完全に国民の信を失った。岸田政権には政治のかじ取りの資格も能力もない」と述べました。
宮本氏は、同決議案賛成の理由として▽物価高騰のもとでの経済無策▽異常な「アメリカいいなり」政治▽底知れぬ腐敗政治―の3点を挙げました。
その中で宮本氏は、自民党主要5派閥のパーティー券をめぐる裏金疑惑について「岸田首相は『安倍派切り』で乗り切ろうとしているが、裏金疑惑は自民党全体を覆う疑惑だ」と指摘。「企業・団体献金にどっぷりつかり、国民の暮らしそっちのけで大企業・財界奉仕の政治を続け、疑惑解明に背を向ける岸田内閣は信任できない」と強調しました。
宮本氏は、岸田文雄首相自身が統一協会の広告塔に利用されていたことにふれ、「極めて重大。そのことへの反省はみじんもない」と批判。「『聞く力』と言いながら国民の声を聞かず、国民の暮らしに背を向けて暴走する岸田政権に日本政治のかじ取りは任せられない」と主張しました。
(しんぶん赤旗 2023年12月14日)
動画 https://youtu.be/UeotI2izbY4?si=sWALfztg5doCbqgE
議事録
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、岸田内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
岸田内閣が誕生して二年二か月。今や内閣支持率は軒並み二割に落ち込み、内閣は完全に国民の信を失いました。それは、岸田政権には日本政治のかじ取りをする資格も能力もないことがまざまざと示された結果にほかなりません。そのような政権を到底信任できないことは、当然のことであります。
以下、不信任の理由を申し述べます。
岸田内閣不信任決議案に賛成する理由の第一は、物価高騰の下で、岸田内閣が全くの経済無策だからであります。
首相は、日本経済停滞の原因は三十年来のコストカット型経済だ、そこからの脱却が必要だと述べました。しかし、その原因の責任は、そもそも歴代の自民党政治だという自覚を全く欠いているのであります。自覚していないから中身のない経済対策しか示せず、日本を、世界に類を見ない、賃金が上がらない国にしてしまいました。
首相は、内閣の支持率が下がり続ける危機感から、一時的な所得税減税を言い出しました。しかし、一方で四十三兆円もの大軍拡と大増税を決めながら、僅か一度きりの減税などで国民がだまされるわけがないではありませんか。
物価高騰の中で、一時的な所得税減税よりも、消費税減税が一番効果があるのは明らかであります。世論調査でも、五七%の国民が消費税減税を求めるという結果が出ております。
我が党は、一貫して消費税廃止、減税を求めてきました。今国会でも本会議や予算委員会で連続して求めてきましたが、首相は、消費税減税を考えていないと言うばかりか、効果についての検討さえしていないと答弁しました。
岸田内閣には行き詰まった経済政策を正すことができないばかりか、逆に、暮らしを支え、格差を正すことに逆行する政策さえ進めています。
社会保障では、診療報酬のマイナス改定で医療現場を疲弊させ、介護分野では、利用料の二割負担対象の拡大をしようとしています。
大学授業料の無償化を多子世帯に拡大するなど少子化対策を行うと言いますが、その財源は、公的医療保険料への一兆円の上乗せ徴収や、一・一兆円の社会保障の歳出削減などによって確保するとしております。大企業、富裕層優遇の不公平税制や、大軍拡、大型開発の無駄にメスを入れずに、少子化対策の追加財源を社会保障の削減で捻出するなど、本末転倒ではありませんか。
国民生活破壊の岸田内閣は、断じて信任できません。
岸田内閣を信任できない第二の理由は、異常なアメリカ言いなり政治を推し進めているからです。
米国言いなりに開始された敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、憲法との矛盾、平和との矛盾、国民生活との矛盾をますます深めています。沖縄県民の意思を無視して、破綻が明白な辺野古新基地建設を進めることも断じて許されません。
オスプレイ墜落事故への岸田政権の対応は、これが独立国と言えるのかというべき恥ずべきものでした。米国に飛行停止を要請せず、米軍が機体そのものに問題があったとして全世界で運用停止をするまで、一週間にわたってオスプレイの飛行が続くという異常な事態が起こりました。米軍と自衛隊のオスプレイは、全面撤去しかありません。
ガザでの深刻な人道危機を前にしても、岸田政権は、イスラエルの大規模攻撃の中止を求めず、即時停戦を求めない、アメリカの顔色をうかがう情けない態度を取ってきました。十一月にニューヨークで開催された核兵器禁止条約第二回締約国会議に、岸田政権はオブザーバー参加すらせず、背を向けました。
異常なアメリカ言いなり、これを異常とも感じない岸田政権に、日本の進路を任せるわけにはいきません。
岸田内閣不信任決議案に賛成する第三の理由は、底知れぬ腐敗政治であります。
しんぶん赤旗のスクープに端を発した自民党の主要五派閥のパーティー券裏金疑惑は、この間、政界を揺るがす大問題となってきました。岸田首相は安倍派切りで乗り切ろうとしていますが、裏金疑惑は決して安倍派だけの問題ではありません。しんぶん赤旗日曜版が報じたように、麻生派でも派閥幹部が茶封筒に札束を入れて渡していたなどの深刻な裏金疑惑が明らかになり、岸田派も数千万円のパーティー収入の不記載が報じられております。
まさに自民党全体を覆う疑惑であり、まず何よりも、裏金の全貌、誰が裏金を幾ら得て、何に使ったか、歴代派閥事務総長など全ての関係者の証人喚問を行い、洗いざらい明らかにすることが求められています。
今回の事態は、政治改革三十年のうそとごまかしが露呈したものであります。
かつて、リクルート事件など金権腐敗事件が相次いだとき、政治改革と称して、企業・団体献金をなくすという口実で政党助成金が導入されました。ところが、企業・団体献金は政治家個人に対するものだけは禁止されましたが、政党本部と政党支部への企業・団体献金を容認し、企業、団体による政治資金パーティー券購入を認めるという二つの大穴を空けたのであります。金の力で政治をゆがめる企業・団体献金は、パーティー券購入を含め、全て禁止すべきであります。
企業・団体献金にどっぷりつかり、国民の暮らしそっちのけで大企業、財界奉仕の政治を続け、疑惑解明に背を向ける岸田内閣は信任できません。
統一協会と自民党の癒着問題では、岸田首相自身が政調会長のときに、国際勝共連合、統一協会の代表と面会していた事実が明らかになりました。首相自らが統一協会の広告塔に使われていたことは極めて重大です。にもかかわらず、そのことへの反省はみじんもありません。統一協会との癒着を断ち切ることができない岸田内閣に、被害者の救済を託すことは決してできません。
岸田首相は、人の話を聞く力などと言ってきました。しかし、今日、我々の前にあるのは、国民の声を一切聞かず、国民の暮らしに背を向けて暴走を続ける岸田政権の姿であります。
大学の自治破壊に反対する広範な大学関係者の声も聞かずに国立大学法人法改悪を強行し、国民と医療機関から連日寄せられる、保険証をなくさないでの声を踏みにじり、日増しに高まる、巨大な無駄遣いになりかねない大阪・関西万博の中止をとの国民の声にも耳を塞ぎ、ただただ暴走する。そのような政権には、一刻も日本の政治のかじ取りを任せることはできません。
自民党政治を終わらせる国民的大運動を起こし、国民が希望を持って暮らせる新しい日本をつくる決意を表明し、私の賛成討論といたします。(拍手)