上下水道復旧に支援を
能登地震 宮本岳志議員が迫る
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は22日の衆院総務委員会で、能登半島地震で上下水道の復旧に当たる被災自治体や、応援職員の派遣体制などを支援するよう政府に迫りました。
被災地には全国の水道事業者が発災直後から上下水道の復旧支援に入っていますが、被害の大きかった輪島市や珠洲市では復旧が遅れています。
宮本氏は「自治体の財政規模によって災害復旧が遅れる事態はあってはならない」と述べ、応援職員の給与や手当を国庫負担とするよう要求。自治体負担分の増大を恐れて、仮復旧をちゅうちょしないよう、地元負担割合を早期に示すよう求めました。
小笠原憲一国土交通省水管理・国土保全局次長は「一般的な国庫負担率3分の2で暫定的に必要な措置を行い、年度末に確定した負担額による差額の国庫負担を行っている。自治体の問い合わせにこたえ、事業が円滑に進むよう取り組みたい」と答えました。
水道事業に従事する職員は、阪神・淡路大震災のあった1995年の6万1775人から、2022年には3万816人まで減りました(日本水道協会発行の水道統計)。
宮本氏は「せめて名古屋や大阪など中核になる都市部の職員配置は、頻発する災害を見越して平時から応援体制を整えるべきだ」と主張。松本剛明総務相は「職員確保を要請している」と自治体任せの姿勢に終始しました。
(しんぶん赤旗 2024年2月24日)
動画 https://youtu.be/UAR0LI5dGz0?si=jwZrNiT1wvXO3zJk
配付資料 20240222総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
水道法第二条は、国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることに鑑み、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならないと、責務を規定しております。
水道については、もちろん、上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省と、それぞれ所管がまたがることを前提とした上で、自治体を所管する総務大臣に聞くわけでありますけれども、この第二条、責務は地方公共団体にもかかっている、当然のことだと思うんですが、よろしいでしょうか、大臣。
○松本国務大臣 今委員が御指摘になられたように、国及び地方公共団体は必要な施策を講じなければならないとなっていることは承知いたしているところでございます。
○宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならないという、その責務は自治体にもかかっております。
能登半島地震は大きな被害をもたらしましたけれども、発災から間もなく二か月、とりわけ重大なのは水道の復旧の遅れであります。水道法を引くまでもなく、水は人間の暮らしにとって不可欠で、既に給水車等で水の供給がなされていることは分かっているんですけれども、やはり水道の蛇口をひねればじゃっと水が出るという上水道の復旧が切実に求められております。
そこで、今日は厚生労働省に来ていただいておりますので聞くんですけれども、能登半島地震の被災地での上水道被害の状況、復旧の進捗、また、復旧していないところはいつ頃水道が復旧することになっているのか、答えていただけますか、厚労省。
○鳥井政府参考人 水道の復旧状況でございますけれども、最大断水戸数が約十一万千六百二十戸あったものでございますけれども、二月二十一日時点で石川県内の約八割が断水を解消しておりまして、断水中が約二千二百八百八十戸となってございます。(宮本(岳)委員「二万二千」と呼ぶ)二万二千八百八十戸となっております。今後、三月末までには約九割強が断水解消する見込みでございまして、引き続き早期復旧に全力で取り組んでまいります。
○宮本(岳)委員 頼みますよ、数ぐらい、間違わないでくださいね。
地方自治体や日本水道協会による相互支援を含めて、全力を挙げて取り組んでいただいていると聞いております。やはり輪島市や珠洲市の被害が深刻で、見ておりましてもほとんど、この二つの自治体は断水戸数が減っていかないんですね。こういう地域ではなかなか三月末までとはいかないと思うんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか、厚労省。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
一部、条件が悪いところ、珠洲市の一部でありますとかは三月までに解消が見込まれないところもございますが、全体としては九割強というところで見込んでいたところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、頑張っていることは分かっているんです。でも、九割強ということは、残るということですよね。
そして、たとえ上水道が復旧しても、下水道の本復旧が終わらないことには、被災地の方々が水を気兼ねなく安心して利用することはできません。
資料一を見ていただきたい。国土交通省から提出を受けた「下水道施設の被災・復旧状況について」という資料であります。輪島市では、最初の写真のように、液状化でマンホールが大きく浮き上がるなど、下水道は壊滅的な打撃を受けております。
下水道は国土交通省の所管でありますけれども、今度は、下水道の方の本復旧の時期は一体いつ頃になるのかお答えいただけますか、国土交通省。
○松原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、水道が復旧しても、下水道が使えなければ水道は使えないということでございますので、上下水道一体となった一刻も早い応急復旧が重要と認識をしております。
そうした中で、今回、災害対応に当たりましては、水道の復旧に遅れることなく下水道の応急復旧ができるよう、例えば、水道と下水道の復旧工程を共有し、効率的な進捗を図るなどの、上下水道一体となった取組を行っております。
一方、本復旧でございますけれども、現在被災状況の実態調査に着手した段階でございますので、現時点では本復旧の完了のめどを示すことは困難でございます。
なお、過去の事例におきましては、平成二十八年熊本地震における熊本県益城町の下水道施設の本復旧は、完了までに約四年半を要しているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、全国の自治体や関係団体と協力をし、一日も早い下水道の応急復旧による機能確保とその後の本復旧に向けまして、全力を挙げて被災自治体を支援してまいります。
○宮本(岳)委員 そうなんですね、下水道の方はやはり相当時間がかかるわけですよね。益城町で四年半と今御答弁がありました。
先日、二月十六日のテレビ朝日、報道ステーションを見ておりましたら、七尾市の土木課の方が出ておられまして、まだ破損箇所の全体把握ができておらず、完全復旧までは最低五年ほどかかる、こう言っておられましたから、やはりそういうスパンでかかるわけですよね。
被害がひどければひどいほど、本復旧までに時間がかかります。上水でも、早急に水を通すためには、まずは仮復旧を行い、その後、本復旧ももう一回行う必要があるんですけれども、規模の小さな自治体ほど財政負担は大きいわけですね。
私は、現に能登の被災地に復旧支援に入り頑張ってこられた、自治労連の公営企業評議会の皆さんから直接話を伺ってまいりました。水道事業者の応援の皆さんは、発災直後から現地に支援に入っております。先遣隊から始まり、応急給水を行う給水隊、調査隊、復旧隊と、順次現地に入り支援を行っているとお伺いいたしました。
珠洲市、七尾市に入った名古屋市水道局の皆さんは、延べ千人を超える職員が支援に入っていると聞いております。支援に入った職員の方々の給料とかあるいは手当の負担、これは一応どういうふうな仕分になっているのか、厚生労働省、お答えいただけますか。
○鳥井政府参考人 水道の災害派遣における費用負担についてでございますけれども、公益社団法人日本水道協会の地震等緊急時対応の手引きに基本的な考え方が示されております。
具体的に申し上げますと、応援の有無にかかわらず平常時から支給されている給料等については応援水道事業体の負担ということでございますが、応援水道事業体の応援活動により発生する超過勤務手当、材料費等につきましては被災水道事業体の負担といたしております。
なお、これらにつきましては、応急給水、応急復旧共に国庫補助制度等がございます。
○宮本(岳)委員 能登半島の今回の事例ではないですけれども、財政規模の小さな自治体では勢い込んで派遣されてきた応援職員の残業代や手当の負担がなかなかできないということで、泣く泣く帰ってもらったことさえあったというふうにも聞きました。
自治体の財政規模によって災害復旧が遅れるような事態があってはなりません。被災地への応援職員の給与や手当はこの際やはり基本的に国庫負担とすべきではないのかと私は思うんですけれども、この点、厚生労働省、お答えいただけますか。
○鳥井政府参考人 ただいま答弁申し上げましたけれども、応急給水に係る国庫補助につきましては、内閣府の災害救助法に基づく国庫負担がございますし、交付税措置もございます。応急復旧に関しましては、厚生労働省の災害復旧費補助金に基づく国庫補助金制度ですとか、あるいは総務省における地方財政措置もございますので、それによりまして財政支援をさせていただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 全く何の制度もないとは言っていないんですけれどもね。ただ、現場で聞きますと、やはり財政問題が一つ懸念になっているということは聞くんですね。
公営企業会計である上下水道の災害復旧は、仮復旧も本復旧も国庫補助の対象になります。国庫負担は三分の二、残りの起債分は三分の一のうち半分までが交付税措置の対象で、残りは自治体の負担となるというのが通常スキームですよね。激甚になっても、国庫負担率は更にそこから増えるんですけれども、残りはまずは借金。こうなれば、自治体が一旦負担する分は残るわけですよ。
だから、極端な場合は、自治体負担分の増大を恐れて仮復旧をちゅうちょする事例さえあると聞いたんですね。つまり、仮復旧をやろうとしたら、ちょっと待ってくれ、仮復旧して本復旧する二回の分の財政負担がきついから、やるんなら本復旧からやってくれ、仮復旧はちょっと待ってくれというふうに言われることさえあるというふうに、これは現場で聞きました。今回じゃないですよ、今回じゃなくてこれまであった、こういうことですね。
被災した自治体が下水道等の災害復旧をちゅうちょなく進めていくためには、災害復旧事業の地元負担割合は早期に示すことができるようにすべきだと私は思いますけれども、国土交通省の見解はどういうことでございましょうか。
○小笠原(憲)政府参考人 お答え申し上げます。
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく災害復旧事業では、地方公共団体の施設被害の規模と財政力に応じた国庫負担を行っております。具体的には、年間の災害復旧事業費の総額と標準税収入を比較しまして国庫負担率を算定することとしておりまして、この手法につきましては、毎年、地方公共団体にも周知をしております。
年間の災害復旧事業費を算定することから、確定数値は年度末となりますが、国庫負担額が確定する前であっても、地方公共団体の要望に応じまして、一般的な国庫負担率三分の二で暫定的に必要な措置を行い、年度末には確定した負担額による差額の国庫負担を行っております。
引き続き、地方公共団体からの個別の国庫負担率の問合せ等に関しましては丁寧に対応し、下水道等の災害復旧事業が円滑に進むように取り組んでまいります。
○宮本(岳)委員 いやいや、三分の二でひとまず計算するとかいうのも分かっているんですけれども、更に被害額が標準税収の二倍を超えることになると、かさ上げがあるわけですよね。目いっぱい上がると一〇〇%国費で進められるということがあるらしいんですけれども、どうなるかは年度末になってみないと。後で算定してくれるにしても、ならない場合もあるわけで。つまり、地方負担というものがなくなるのか、あるのか、どれだけ残るのかというのはなかなか分からないわけですね。
脆弱な財政の自治体でいうと、仮復旧をした上に本復旧というのはやはり二重にお金がかかる、懸念が残ることがあると聞くわけです。だから仮復旧はちょっと待ってくれと言われることが本当に現にあるというふうに聞くんですね。
これはもちろん、誤解しないでくださいよ、給水車を止めたりはしませんよ。水がないと命に関わることはみんな分かっているんですけれども、給水車で水の確保はした上で、さあ、いよいよ水道の復旧というときに、仮復旧で一旦、ホースみたいなものでやった上で、もう一遍掘ってやるというふうに二回するか、給水でやっている間に掘る分だけで一回でと。ここはやはりお金の計算に関わってくると私は思うんですね。
そこで、総務大臣に問うわけですけれども、地方自治体が上下水道の復旧事業に取り組むに当たって、国庫負担率が定まるのに時間がかかり、財政負担の見通しがつかないことを懸念して復旧への取組に支障が生じることがないようにすべきと私は思うんですけれども、総務大臣はどのようにお考えになりますか。
○松本国務大臣 御指摘の上下水道は住民の生活に極めて大事なものであるということは認識しているところでありますし、また、復旧に当たって自治体の財政をしっかりと支援することの重要性も認識させていただいているところでありまして、上下水道の復旧に係る地方負担は、今ありましたように、国庫補助があったとしても一定の地方負担があるということで、この地方負担については、全額に災害復旧事業債を充当し、元利償還金に対する一般会計からの繰り出しにも地方財政措置を講じていることは委員も御案内のとおりでございます。
私どもとしても、財政的な支援を、これまでも、特別交付税を繰り上げるなど、地方自身の財政に一定の負担がかかることに対して支援をしてきたところでございますけれども、是非、早期の復旧ができて、住民の生活が早く元へ戻れるようにすることは大切なことだというふうに思いますので、財政運営を支えられるように、関係省庁、国交省や厚労省とも連携して適切に対応したいと考えております。
○宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。国土交通省からいただいた、能登半島地震被災自治体から提出された令和六年能登半島地震に関する緊急要望であります。日常生活に不可欠な上下水道を始めとしたライフラインについて、早期の全面復旧に向けて最大限の支援を求めておられます。後でも触れますけれども、是非、総力を挙げてこの要望に応えていただきたいと思います。
さて、次に、今回のような大規模で深刻な災害が起こるたびにいつも問題になるのは、自治体や公営企業体の体制と職員の配置なんですね。厚生労働省に数を確認しますけれども、上水道事業に係る職員数は、阪神・淡路大震災時の平成七年、一九九五年と、令和三年、二〇二一年でどのように推移しているか、人数を示していただけますか。
○鳥井政府参考人 日本水道協会発行の水道統計によりますと、簡易水道を除く水道事業に従事する職員数は、阪神・淡路大震災が発災した一九九五年、平成七年には六万一千七百七十五人であり、令和三年、二〇二二年には三万八千五百十六人となっております。
○宮本(岳)委員 六万一千七百七十五人から三万八千五百十六人へ、二万三千百九十九人の減なんですね、六二・三%に。事実上、職員は減っているわけですね。
災害復旧の現場では予期せぬ事態に直面するということも聞きました。先日も報道で、破損している水道管の掘削を行っていると、想定していなかった使用されなくなった管路などが出てくると。通常だと各所に確認を取って撤去するなどし、掘削を進めることになるんですけれども、そのこともままならないのが災害の現場なんですね。結局は現場の判断が非常に大事になる。
災害のときほど、さらには被災地への派遣といった緊急時になればなるほど、技術を持ち、経験を重ねた水道職員が非常に大事になるというふうに私は思うんですけれども、これも厚生労働省、いかがでございましょう。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省といたしましても、水道の基盤強化は非常に大事な課題だと考えておりまして、平成三十年の水道法改正に基づきまして、地方自治体と密接に連携しながら水道の広域運営ですとか官民連携等の推進に取り組んでいるところでございます。
○宮本(岳)委員 ちょっと問うたことと違うことをおっしゃったんですが。
問題は、技術を持った職員が減少しているということですね。技術や技能を持った職員の養成には時間がかかります。一年や二年で身につくものではありません。ところが、国は、今おっしゃったような広域化、あるいはコンセッションを始めとする業務のアウトソーシング化も進めてきた。結局、実際、水道職員の技術力と経験の蓄積の低下といった事態を招いている、現場からはそういう声が届いております。
先ほど述べたんですけれども、退職者補充の問題や新規採用の際にも応募がないという状況から、名古屋など中核の自治体でも危機感は非常に強いです。公営企業評議会の皆さんも、いずれ、応援派遣もままならない、南海トラフの大災害が起きたときには周辺自治体からの支援も期待できない状況になるのではないかと危機感を持っておられました。
直ちに技能や技術を持った職員を養成し、確保する手だてを取る必要があると思うんです。せめて名古屋や大阪など、現に政令市は真っ先に駆けつけて本当に大奮闘してくれているわけですけれども、せめて名古屋や大阪など、中核になる都市部の職員の配置は、頻発する災害を見越して支援の役割も織り込んだ体制、つまり、ぎりぎりにせずに、いざとなったときには真っ先に行ってもらう、頼りになる町の水道職員だから、その町の水道の管理だけではなくて、いざというときの応援部隊も織り込んだ体制を整えるべきだと私は思うんですね。
技術的助言と必要な財政措置を行うべきだと思うんですが、総務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○松本国務大臣 政令市におかれては、この度の能登半島地震においても当初から応援職員を出していただいておりますし、私の方からも技術職員の派遣についてお願いをさせていただいたところ、派遣に向けてお話を進めていただいているというふうに承知いたしております。
その上で、一般論で申し上げれば、自治体は何よりも住民の方々に行政サービスを適切に十分に届けることが必要で、そのために必要な定員を確保すべきところでありますが、公務員の人件費を含め、行政サービスを提供するに係るコストが住民の負担でもあることから、各自治体において適切に定員管理をされているというふうに理解いたしております。
そうした中で、大規模災害時に中長期の派遣要員を確保することも必要ではないかという考え方から、復旧・復興支援技術職員派遣制度を令和二年度に創設し、登録された職員に係る人件費に対して地方交付税措置を講じてきたところでございます。この取組を強化するため、今年度から定年引上げが始まることも踏まえて、地方交付税措置を拡充するとともに、技術職員の確保に計画的に取り組むよう要請しているところでございます。
関係の省庁とも連携しながら地方公共団体の人材確保に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
○宮本(岳)委員 しっかり検討していただきたいんですね。
そこで、私の地元、大阪府市であります。
大阪市水道局は、二〇二四年一月十一日付でウェブページにも、大阪市水道局は公益社団法人日本水道協会からの派遣要請を受けて、石川県能登地方を震源とする地震で被害を受けた石川県金沢市へ次のとおり応援隊を派遣しました、こう書いておりまして、大いに奮闘していただいている様子が分かります。
せっかく被災地に対するこういった貢献を行いながら、一方で、残念なことに、被災地の復興に全く逆行するような動きもまた止まっていないんですね。資料四を見ていただきたい。これは昨年十月四日の大阪市会令和四年度決算特別委員会の会議録であります。
坂井はじめ議員は淀川区選出の大阪維新の会市会議員でありますけれども、万博開催期間中は夢洲の会場に一日最大二十二万九千人が来場するとした上で、この期間中の下水処理は適切に行えるのかと問い、大阪市の建設局下水道部調整課長が、万博会場から排出される想定汚水量を一日当たり最大一万一千立方メートル程度と見積もった上で一日最大汚水量一万九千立方メートルの下水道整備を行うと答弁しております。
経済産業省に来ていただいておりますが、この事実に間違いないですね。
○真鍋政府参考人 お答えいたします。
万博の下水道の対応でございますけれども、大阪市からは、今先生御指摘のとおり、万博から排出される想定汚水量として一日最大一万一千立方メートル、これに対して夢洲地区の計画汚水量として一日最大一万九千立方メートルの下水道の整備を行うと聞いております。
○宮本(岳)委員 来年の四月十三日が開幕であれば、あと四百日余りであります。経済産業省に重ねて聞きますけれども、この下水道整備工事は既に終わっておりますか。
○真鍋政府参考人 お答えいたします。
先生お尋ねの万博の下水道の関係でございますが、まず、会場内の設備につきましては、博覧会協会におきまして本館工事がおおむね完了していると聞いております。
それから、会場外でございますけれども、大阪市におきまして、此花下水処理場の施設の増強、抽水所の工事などを進めているということで、二〇二四年十二月末に完成予定というふうに伺っているところでございます。
○宮本(岳)委員 まだ終わっていないですね。
○真鍋政府参考人 先生御指摘のとおり、今工事中と聞いております。
○宮本(岳)委員 最後の資料五を見ていただきたい。大阪市が私に提出してきた資料であります。
夢洲の下水処理能力を一日一万九千立方メートルに高めるには、夢洲で発生した汚水を赤下線を引いた夢洲抽水所で吸い上げて舞洲に送水する。夢洲抽水所の送水能力が一万九千立方メートルであります。さらに、それを舞洲抽水所の処理能力の強化で此花の処理場に送り、此花下水処理場の処理能力も現状では駄目なので強化する必要がある。ということは、今の瞬間、夢洲の下水を此花処理場で処理している量は幾らになりますか。
○真鍋政府参考人 お答えいたします。
万博の会場と公共の下水は今つながっておりませんので、そういう意味では万博から出ている下水の処理は行われていないということになります。
○宮本(岳)委員 ゼロなのです、ゼロです。ですから、一万九千という能力のものを造るための工事もまだ終わっていない、今年いっぱいやるというんですね。今年いっぱい、その工事が続くことになります。
先ほど、被災地は四年も五年もかかるという話なんですよね、下水の問題では特に。そのときに、これを本当にやるのかと。下水処理施設というものは土木工事であります。何か、被災地で必要なのは土木工事だが、夢洲の万博で必要なのはパビリオンなどの建設工事であって、だからバッティングしないなどと言う人がいるんですけれども、残念ながら下水処理能力の整備はバッティングするんですよ。強引に推し進めれば復興の障害になる、とりわけ上下水一体の復旧の障害となりかねません。
被災地の下水道復興のためにきっぱり万博を中止して、四月十二日までに中止の決断をすればキャンセル料は三百四十九億円で済みます。四月十三日を超えてしまえば八百三十六億円に跳ね上がるんです。直ちに大阪・関西万博中止を決断することを強く求めて、私の質問を終わります。