森友文書不開示を批判
財務省決定で宮本岳志議員
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は9日の衆院総務委員会で、学校法人森友学園の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻の赤木雅子さんが行政文書の開示を求めたのに、存否を明かさず不開示とした同省の決定について追及しました。
宮本氏が情報公開・個人情報保護審査会が3月29日付で同省の不開示決定を取り消すとした答申の内容について確認を求めると、植山克郎同審査会事務局長は、存否を明らかにせず不開示としたのは不開示要件に該当せず「存否を明らかにして改めて開示決定をすべきであり取り消した」と説明。宮本氏が同省に不開示の裁決を行ったのはいつかとただすと、同省の石田清理財局次長は「不開示処分については昨年の地裁判決で適法の判断があり、現在控訴審も係属している事情も踏まえ対応したい」と答弁しました。
宮本氏は「一人の職員の命が関わった問題だ」「改ざんを命じた佐川宣寿理財局長(当時)以下の責任は極めて重い」と批判。当時の理財局総務課長で佐川局長とともに停職処分を受けた中村稔国税庁長官官房審議官に「改ざんで中核的役割を担っていた。責任を免れるものではない」とただしました。中村氏は「自死に至ったことはお悔やみ申し上げる」としながら、「国税庁長官官房審議官の立場で出席している。これ以上の答弁は控えたい」と述べるにとどめました。
宮本氏は「財務省は反省するなら全ての情報を開示すべきだ」と述べ、答申に従うよう求めました。
(しんぶん赤旗 20024年4月12日)
動画 https://youtu.be/mgLcWFjMQ4s?si=aGZudjQ7RPx3VOV-
配付資料 20240409総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、西田政務官にお聞きします。
私は、先週四月二日の質疑で、西田昭二大臣政務官が前回、二〇二一年総選挙中に、国と契約関係にあった地元の建設会社二社、南建設から二百万円、小倉建設から百万円の献金を受け取り、選挙期間中に国の受注を受けた企業から寄附を受けたことを問題にいたしました。政務官は、周りから指摘をされたので、その三百万円は道義的見地から返金したと答弁をいたしました。
さらに、私が、道義的見地というなら、選挙中の二〇二一年十月二十二日、小倉建設が百万円寄附をした同じ日に小倉緑化工業株式会社からも百万円を受け取っている事実と、この二社は役員が大きく重複している典型的な同族会社だと指摘をしたら、西田政務官は、承知はしておりますと、これを認め、指摘のような寄附が国民の疑念を抱くような寄附に当たるかどうか、疑念を招くかどうかについては事務所でもよく相談し、法の規定に照らして判断をしてまいりたいと答弁されました。政務官、その後、何か明らかになりましたか。また、返金した事実はありますか。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
前回、御通告をいただいた際には、可能な限り、調べられる範囲で御指摘の会社と国と請負その他特別の利益を伴う契約の有無を確認し、御答弁を申し上げたところでございます。
その後、事務所とも相談をさせていただき更なる確認を進めましたが、当時、御指摘の会社は国と請負その他特別の利益を伴う契約があったことは確認できませんでした。こうしたことを踏まえて、寄附を返金することは考えておりません。
○宮本(岳)委員 全く役員がダブった同族会社である、御本人もその認識があったんですね。このままでは決して終わるわけにいきません。責任ある回答を改めて示していただきたい。
西田政務官は、総務省における職務、情報通信、放送行政等々を担っております。いよいよこれから当委員会では、情報通信や放送に関わる法案が審議されてまいります。この問題が曖昧なままで法案審議だけはどんどん進めるというわけにいかないと私は申し上げておきたいと思います。
では、次に、情報公開・個人情報保護審査会が去る三月二十九日に出した答申についてお伺いをいたします。
この答申は、学校法人森友学園の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんのお連れ合い、雅子さんが行政文書の開示を求めたところ、存否さえ明かさずに不開示とした財務省の決定について雅子さん側が審査請求を行い、国の行政機関等の情報公開制度の仕組みに基づいて二〇二二年四月十一日に財務省が情報公開・個人情報保護審査会に諮問していたものであります。
まず、情報公開・個人情報保護審査会事務局長に聞きます。資料一は答申の抜粋でありますけれども、答申書の「本件各不開示決定の妥当性について」にはどのように書かれてありますか。
○植山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の答申は令和五年度(行情)答申第八百八十九号及び同第八百九十号であると思われますが、「本件各不開示決定の妥当性について」という、いわば結論の部分には以下のように書かれております。本件対象文書につき、その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法五条四号に該当するとして、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した各決定については、当該情報は同号に該当せず、本件対象文書の存否を明らかにして改めて開示決定等をすべきであることから、取り消すべきであると判断した。
以上でございます。
○宮本(岳)委員 そもそも、情報公開法は、その第一条、目的で、この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とすると、原則公開を定めております。
原則公開とした上で、法第五条で例外的に一号から六号までの不開示情報を定め、さらに、法八条では、開示請求に対し当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなる場合に限って、更に例外的に、当該行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができると定めております。
再度、審査会事務局長に聞くんですけれども、答申は、情報公開法八条の規定を使って文書の存否さえ明かさずに不開示にすることは許されないという判断を示し、対象文書の存否を明らかにした上で改めて一つ一つの開示、不開示を決定するべきだとしていると思います。この答申に法的拘束力はございますか。
○植山政府参考人 お答えいたします。
法令上、これに従わなければならないという義務が課せられているものではありません。
○宮本(岳)委員 そうなんですね、残念ながら法的な拘束力はありません。
したがって、財務省は答申を得た後改めて裁決することになりますけれども、この裁決が必ず答申どおりになるとは限りません。
そこで、今日は行政管理局にも来ていただいております。情報公開法の施行以来、情報公開・個人情報保護審査会に諮問して裁決をした事案が何件あり、そのうち答申と異なる裁決を行ったものは何件なのか、調べていただいておりますので、お答えいただけますか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
総務省行政管理局において実施しております情報公開法の施行状況についての調査によりますれば、情報公開法が施行された平成十三年度から令和四年度までの二十二年間で、審査会に諮問して裁決を行った総件数は一万五千七十件であり、そのうち答申と異なる裁決が行われたものは二十四件であると承知しております。
○宮本(岳)委員 二十四件、少ないとはいえ、あるんですね。ただ、一万五千件に対して二十四件ですから、率は〇・一六%ということになろうかと思います。
今日は、財務省にも来ていただいております。まず、理財局に聞きますけれども、答申を踏まえた裁決はいつ行う予定ですか。
○石田政府参考人 お答えします。
答申を踏まえた裁決はいつ行われる予定なのかという御質問だと思いますけれども、行政不服審査法におきましては、審査会から答申を受けたときは遅滞なく裁決しなければならないと定められていると承知しております。
法令上、具体的な期限は規定されておりませんが、情報公開に関する連絡会議申合せがございまして、こちらの中で二パターンに分けて取決めがありまして、一つが、原処分を妥当とする答申などにあっては、答申を受けてから裁決、決定するまでに遅くとも三十日を超えないようにするとともに、二つ目ですけれども、その他の事案については、特段の事情がない限り遅くとも六十日を超えないようにすることとされております。本件事案については、後者に該当するかと思います。
今後の対応につきましては、こうした規定等も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 去る四月二日の当委員会の質疑で松本総務大臣は答申に関して、第三者機関である同審査会が専門的知見に基づいて行った答申であると理解をしている、第三者機関がなされた、専門的知見に基づいて行われた決定について政府としてはしっかりと受け止めていくものというふうに考えていると答弁されておりましたけれども、財務省としても同じ考えでよろしいですか。
○石田政府参考人 お答えします。
今御指摘がございました、総務委員会で松本総務大臣が、一般論でと前置きを置いた上で、政府としてはしっかりと受け止めていくものと考えていますと御答弁されたことは承知しておりまして、財務省としても、答申をしっかりと受け止めていくものと考えております。
また、本件不開示決定処分につきましては、昨年九月の地裁判決において国の処分が適法であるとの判断がなされ、現在、控訴審が係属しているという事情があると承知しております。
今後の対応につきましては、これらの事情も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 いや、一般論では困るんです。この件は、財務省の職員一人の命が関わっている問題であります。
私は、ここに「私は真実が知りたい」という赤木雅子さんの本を持ってまいりました。情報開示を求めている開示請求者こそ、この本の著者、赤木雅子さんにほかなりません。
私は、森友学園問題を、二〇一七年二月十五日、国会で一番最初に取り上げた議員であります。そして、国有地の売却をめぐって財務省理財局や国土交通省航空局と徹底論戦に当たってまいりました。
その過程で発生したのが、決裁文書の改ざんという前代未聞の不祥事でありました。そして、文書改ざんという犯罪行為を無理やり上から強要され、その精神的苦痛と罪悪感、後悔から、ついには自ら命を絶つに至った故赤木俊夫さんの無念を思えば、決裁文書の改ざんを命じた本省理財局の佐川局長以下の幹部職員の責任は極めて重いと言わなければなりません。
ついに文書改ざんが発覚し、これを認めざるを得なくなった財務省は、二〇一八年六月四日、森友学園事件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を公開するとともに、これに深く関わった本省理財局職員の処分を行いました。
財務省、今度は官房長にお伺いいたしましょう。財務省に改めて聞きますけれども、このとき本省理財局で停職以上の処分を受けたのは誰と誰でありましたか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
今の御質問は停職以上ということだと思いますが、当時の佐川理財局長、それから中村理財局総務課長、この二名でございます。
○宮本(岳)委員 私は、これを追及してきた本人ですから、このお二人をよく存じ上げております。
二〇一七年二月二十四日の衆議院予算委員会で、当時の佐川理財局長は私に、売買契約の締結に至るまでの財務局と学園側の交渉記録は存在しない、こういう虚偽答弁を行いました。そして、改ざん発覚後、二〇一八年三月二十七日の衆議院予算委員会での証人喚問では、佐川証人は、申し訳なかった、済みませんでしたと、おわびの言葉を繰り返しました。
佐川氏が、理財局長の後、国税庁長官に就任したことが、さすがに国民の間でも大きな怒りを呼び起こし、改ざんの責任も問われる中で辞任したことはよく知られております。
しかし、もう一人の主要人物、当時の中村稔理財局総務課長は、ほどなくして英国公使として日本を離れました。そこで、財務省大臣官房長に聞きますけれども、この中村稔氏は何年何月に帰国し、現在、財務省でどのような役職に就いておりますか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
今の御質問の点でございますけれども、イギリスから帰国した後、令和四年四月に財務総合政策研究所副所長に着任をして……(宮本(岳)委員「四月」と呼ぶ)令和四年六月であります。兼務が取れまして、実際に副所長として、専任として財務総合政策研究所副所長に就任したのが令和四年七月であります。
○宮本(岳)委員 二〇二二年に帰国するや、ひとまず財務総合政策研究所副所長というポジションに就くんですけれども、ものの一か月半で、国税庁のナンバースリー、国際担当の国税庁長官官房審議官となりました。資料二にそれをつけております。
今日は、その中村稔審議官に来ていただいております。中村審議官、随分久しぶりでありますけれども、あなたは六年前のあの決裁文書の改ざん事件をどう受け止めておられるか、率直に聞かせていただけますか。
○石田政府参考人 森友学園案件に関するお尋ねであるため、現在国有財産行政を担当している私から財務省を代表してお答えさせていただきたいというふうに思います。
まず、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげたいと思います。また、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわび申し上げるとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。
決裁を経た行政文書を改ざんし、それを国会等に提出するようなことはあってはならないことであり、こうしたことを二度と起こさないよう、文書管理の徹底など必要な取組を進めるとともに、問題行為の発生を許した組織風土の改革を進めているところでありまして、引き続き信頼回復に努めていくことが不可欠であると考えております。
○宮本(岳)委員 御本人に答弁してもらいたいんですけれどもね。
この報告書の中でも、中村さんについては、一連の問題行為について、理財局長に最も近い立場にあって、本省理財局内及び近畿財務局に方針を伝達するなど中核的な役割を担っていたと認められる、一部の問題行為については関知していなかったが、これも他の問題行為との整合性を確保するために行われていたものであることを考えれば、問題の全般について責任を免れるものではないとされております。
これは、中村審議官、自覚はされておりますか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに哀悼の意を表したいと思います。また、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
恐縮でございますが、本日は国税庁長官官房審議官の立場で出席させていただいておりますので、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 よく聞いてくださいよ、これはこの本の中に出てくる赤木さんが残した遺書の一部であります。
刑事罰、懲戒処分を受けるべき、佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部。この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法を取るしかありませんでした。五十五歳の春を迎えることができないはかなさと怖さ。家族を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。
中村さん、あなたはこれを読んだんですか、読んでも何とも思わないんですか。亡くなった赤木さんや赤木さんのお連れ合いに何の言葉もないんですか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたとおり、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんには哀悼の意を表したいと思います。また、御遺族に対して、公務に起因して自死という結果に至ったことについて、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
大変繰り返しで恐縮でございますが、本日は国税庁長官官房審議官の立場で御出席させていただいておりますので、これ以上につきましては差し控えさせていただきます。
○宮本(岳)委員 今日は厚労省にも来ていただきながら時間がなくなりました、済みません。次回に譲りたいと思います。
中村さん、安倍政権時代の二〇一七年二月二十二日、あなたも参加した菅官房長官の下での会議で何が話し合われたのか、それが依然として森友改ざん問題の焦点なんです。洗いざらい正直に語ることこそ、あなたの逃れようのない歴史に対する責任です。
財務省に反省の心があるなら、そして赤木さんの痛みが少しでも分かるなら、財務省が答申に従って直ちに全ての情報を開示することを強く求めて、私の質問を終わります。