県教委も違法な介入
奈良教育大付属小巡り 宮本岳志氏が追及
衆院文科委
3月末に教員の強制出向が行われた奈良教育大学付属小学校で奈良県教育委員会からも違法な介入があったことを15日、衆院文部科学委員会で日本共産党の宮本岳志議員が追及しました。
宮本氏は地方教育行政法上の県教委と国立大学付属学校の関係について文部科学省に確認。矢野和彦初等中等教育局長は「県教委は国立大学付属学校を所管していません」と答えました。しかし、奈良県教委は教育長名で奈良教育大付属小校長あてに2023年5月30日付で「予備調査の実施」の通知を出しました。校内に立ち入って「道徳科の年間指導計画」などを調べるという内容です。宮本氏は県教委に調査権限があるか質問。矢野局長は県教委の調査権限は「規定されていない」と認めました。
通知は「県教委の所管を超える」と同年6月、撤回されました。しかし撤回は口頭で、当時の付属小校長が認識したのは3月末でした。宮本氏は「法令順守の面で不十分だと思わないか」と追及しました。
今年度は奈良教育大の副学長、付属学校部長や付属小の校長、教頭、主幹の五つの役職についている人が県教委からの出向などです。
宮本氏は「県教委出身者で固めれば、県教委の領地のようになってしまう」と指摘。大本に国立大学付属校の「校長の常勤化」を求めた文科省の有識者会議の方針があるとし、「県教委からの大学役員あるいは校長等の派遣のあり方を見直すべきだ」と求めました。
宮本氏は文科省上層部から「全員替えろ」と違法な人事介入があった疑いのある文科省と大学の打ち合わせの日程も質問。文科省担当者は昨年12月13、20、27日の3回行ったと認め、議事録は「作成していない」とのべました。宮本氏は担当者のメモや録音データの提出を求めました。
(しんぶん赤旗 2024年5月16日)
動画 https://youtu.be/qIoj88GR7L0?si=IeObJJCd9lZiMoO8
配付資料 20240515文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
請願の審査も含めた一般質疑であるということですので、まず、請願について聞きます。
昨年六月二日の当委員会で、請願の扱いについて私は取り上げて、私は、十四年間、四千万筆もの請願が、ほとんど全会派の議員が紹介議員となって提出されながら、採択されずに来たことを指摘をし、是非真剣な検討を各会派にお願いしたい、こう申し上げました。
その結果どうなったのか。昨年の通常国会、最も幅広い会派の議員が紹介議員に名を連ねた、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願について、その筆数とその扱いについて、文部科学調査室からお答えいただきたいと思います。
○藤井専門員 お答えいたします。
第二百十一回国会において文部科学委員会に付託された、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願につきましては、各会派に紹介議員がわたっており、合計の件数は百二十七件、合計の署名者数は百七十七万五百九十八名となっています。
また、本請願につきましては、理事会における協議の結果、委員会での採否の決定は保留となっています。
以上です。
○宮本(岳)委員 今あったように、結局、昨年も採択されることなく終わってしまいました。全ての会派の議員が名前を連ねているにもかかわらず、保留とされ、審議未了となったんです。これほど、憲法十六条に定められた国民の請願権を愚弄する話はないと思うんですね。
私学助成の請願は、本日も、今国会も委員会に付託をされております。現段階で紹介議員は何人になっているか、会派別に答えていただきたい。また、現段階で何筆となっておりますか、調査室。
○藤井専門員 お答えいたします。
今国会の文部科学委員会に付託された、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願につきまして、本日時点における紹介議員の会派別の件数、署名者数は、自由民主党・無所属の会が三十五件、六十九万二千五百八十四名、立憲民主党・無所属が四十六件、五十四万九百三十一名、日本維新の会・教育無償化を実現する会が七件、一万二千四百九十二名、公明党が三件、六万一千四十五名、日本共産党が十七件、五万二十三名、国民民主党・無所属クラブが三件、六万一千二百七十名、有志の会が二件、八千六百七十名、れいわ新選組が一件、五十名となっており、合計の件数は百十四件、合計の署名者数は百四十二万七千六十五名となっています。
以上です。
○宮本(岳)委員 資料一を御覧いただきたい。これだけ多くの議員が紹介議員となっており、既に百四十三万筆となっております。これを会期末までに放置し、その挙げ句に保留とし、審議未了とするのは、多くの国民の願いをむげにするだけでなく、紹介議員になっておられる議員に対しても失礼な話ではないかと言わざるを得ません。
紹介議員から説明を聴取することや、請願者を参考人としてお招きして請願趣旨やその思いを聴取するなど、請願の審査を行う委員会を開催すべきだと思います。
一九七〇年の第六十三回国会では、議運理事会で、請願審査の慎重を期するため、各委員会において可能な限り十分な審議の時間を取る等特段の考慮を願いたいと決定された事実もあります。以来、我が党は一貫してそれを求めてまいりました。
本日の委員会は、理事懇談会の場で、与党筆頭からも請願の審査を含む一般質疑との御発言がありましたけれども、残念ながら、請願者の参考人招致については入れられませんでした。請願の審査のためには、直接請願者をお招きして意見を聞き、その上で各党が責任を持って扱いを決定することが重要、必要だと思います。
委員長、是非、請願者の参考人招致についてもお取り計らい願いたいと思います。
○田野瀬委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて各会派の協議をいただけたらと思います。
○宮本(岳)委員 次に、奈良教育大学附属小学校の強制出向の問題です。
この問題は、子供と教育に大きな傷痕を残しました。現場の先生方は、この春以来、突然の出向による大混乱の中、昼夜を問わず必死に教育を支えていますけれども、強制出向は、このままでは来年も再来年も、全員出向まで続く、とても許せないと訴えておられます。
こんな理不尽なことがなぜ起きたのか。前回ただしたように、大学側は文科省上層部から全員替えろと言われたと公言し、国の違法な介入疑惑が浮かび上がりました。文科省は、そんなことは言っていないと答弁をいたしました。文字どおり、矛盾。白黒つけるためには、大学と文科省の打合せの記録、録音データが必須だと思います。
その提出を求めた四月の三日、本委員会での私の質問に対し、望月禎総合教育政策局長は、十二月に打合せが実施されたことを明らかにいたしました。十二月に打合せが行われたということでありますけれども、正確にはいつ行われ、その際どのようなやり取りが行われたのか、その議事録あるいは打合せのメモ、録音や録画データは見つかったのか、お答えいただけますか、局長。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の奈良教育大学と文部科学省の打合せにつきましては、オンラインで、十二月十三日、十二月二十日、十二月二十七日の三回行われていたことが確認されたところでございます。
録音データなどについては、これは通常、打合せの場には、我々、取りませんけれども、この場合にも存在しておりませんで、事務的なやり取りでございましたので、議事録等も作成はしてございません。
内容につきましては、学校において、これまで、児童に対して、学習指導要領に基づいての件では、不足していた時数、あるいは、どういう形で児童に対して回復措置をしていくか、また、大学としてのその後のスケジュールなどについての事務的なやり取りについて確認をさせていただいたと承知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 議事録がないというのはにわかに信じ難いんですけれども、担当課にヒアリングをしたということは、誰が出席したかは特定できているということであります。
どの部局が参加したのか、また、その参加者の手控えやメモがあるかどうか、それは、局長、確認しましたか。
○望月政府参考人 昨年十二月の打合せの状況につきましては、関係課として、総合教育局人材政策課、高等教育局国立大学法人支援課、初等中等教育教育課程課、三局にまたがっての会議で、それぞれの打合せについては、どの人がどの形で出て、どういうような確認をしたかということに関しては、もう既にそれぞれの方々で把握をしておりまして、統一的なそうした議事録は残ってございません。
そうした打合せの内容としては、先ほど申し上げたとおりでございまして、議員にもお伝えをさせていただいているとおりでございます。
○宮本(岳)委員 それぞれ特定できていて、それぞれでは確認をしている、中身はですね。
それで、事前に出していただいた十月十日に行われた会議の概要を見ますと、この会議概要には対応した部局が全て書かれておりました。そして、十二月の三回の打合せ、この内容については、今局長が答えられた、不足していた時数、回復措置の実施、その後のスケジュールに関するものという回答をいただいております。その中身こそが重要だと思うんですね。
十月十日の会議概要によりますと、双方向の人事交流についても考えてみてはどうかと文科省が言及した事実が文科省提出ペーパーに記されております。それを受けた三回の打合せなんですね、今の話は。
その三つ、内容が少し語られましたが、その三つ目、その後のスケジュール、こういうわけですけれども、当然、大学側が文科省から言われたと言われる、まさかこのメンバーでこの四月を迎えるのではないでしょうねというやり取りも、いわばその後のスケジュールに関するものに含まれ得るものであるということは否定できないと思います。
文科省が何を言い、奈良教育大側が何を言ったか、具体的なやり取りを確認するためのメモや手控え。議事録はないと聞いておりますが、とにかく、個々の職員がその際のやり取りをメモしたものも含めて全て出していただく、それを確認する必要があると私は思います。ところが、総合教育政策局は、強要した事実はないなどと繰り返すばかりで、探すつもりも確認するつもりもないかのような態度を続けております。
ここは大臣にお伺いしたい。幾ら何でもこんな対応は不誠実だと思いませんか、大臣。
○盛山国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げたとおりでありまして、局の方では、つまり文部科学省側では、それなりに調査をしたというんでしょうか、過去のやり取り等を含めて、どうであったか調べた上での御答弁ではなかったかと思います。
○宮本(岳)委員 文科省内ではそれなりに調査をした結果だというんだったら、その調査の結果を出すのは当然じゃないですか、大臣。
○望月政府参考人 今ほど大臣から御答弁をさせていただきましたけれども、打合せにおきまして個々の職員が職務に照らして大学側と事務的なやり取りをしたもの、それについては、個々の職員がそれを確認した上で大学が自ら対応しているというものでございまして、それについての概要等はございません。
そして、では、関係課の職員が個々に残したメモについて、あるのではないかというお話かもしれませんけれども、それは行政文書ではないというふうに考えてございまして、公文書の域を超えて個人メモの範疇に至りまして打合せの記録を省内で探すという必要があるとは考えてございません。
○宮本(岳)委員 公文書たる会議録、公文書たる文書が残っていないから、そのようなメモも含めて、プライバシーや個人情報は消していただいていいですよ、また、一つにまとめていただいてもいいですけれども、当委員会に提出していただきたいと思います。
これも、委員長、委員会の名前で是非そういう資料の提出を求めていただきたい。
○田野瀬委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議させていただきます。
○宮本(岳)委員 さて、奈良附属小学校への介入は、国の疑惑と並んで、もう一つの疑惑があります。奈良県教委からの介入という疑惑があります。このことについて質問をしたいと思うんです。
まず、確認するんですけれども、地教行法上、県教育委員会は国立大学の附属学校を所管していないし、指導助言する権限はない、これは地教行法としては間違いないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる地方教育行政法においては、文部科学大臣及び教育委員会相互間の関与の在り方として指導助言等の規定等が置かれておりますけれども、教育委員会から国立大学附属学校への関与については規定されていないところでございます。
その上で、一般論で申し上げれば、都道府県教育委員会が人事交流等に関する検討を行うため、関係者である国立大学附属学校に対して連絡や問合せ等を行うことはあり得るものと考えております。
○宮本(岳)委員 前半でいいんですよ。
国立大学附属学校は、国立大学が設置者で、その自治の下に運営されるものであって、その運営について設置者でもない県教育委員会があれこれ口を出すのはお門違いということであります。
ところが、県教育委員会は、何と奈良教育大学附属小学校に限って、独自の通知文書を発出をいたしました。資料としてお配りをしておりますけれども、県教育長から附属小学校校長宛ての通知であります。
資料二の五月三十日付通知を見ていただきたい。右上、文書ナンバーは号外、左上にはわざわざ公文書扱いと書かれ、発出元は奈良県教育委員会教育長とあります。通知文のタイトルは「奈良教育大学附属小学校における予備調査の実施について」でありまして、小学校内に立ち入って三つの内容を調査すると通知をしております。調査内容の第一は道徳科の年間指導計画についてでありますけれども、地教行法上、県教委が国立大学附属小学校の道徳科の年間指導計画を調査する権限はありますか、初等中等教育局長。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しとなりますが、いわゆる地方教育行政法においては、文部科学大臣及び教育委員会相互の関与の在り方として指導助言等の規定は置かれておりますが、教育委員会から国立大学附属学校への関与については規定されていないところでございます。
一般論で、更に繰り返しになりますけれども、都道府県教育委員会が自ら……
○宮本(岳)委員 繰り返さなくていいですからね。
調査内容の第二は、ある教諭の令和五年度校務分掌の決定に至る過程について、調査内容の第三は、その他、学習指導要領の適正な実施に疑義が生じている件について、これが調査内容なんですね。
もう後半の話はいいですから、端的に。この二つについても、県教委に調査の権限はないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
法令上規定のない教育委員会からの調査依頼については任意で行われるものであると考えておりまして、依頼を受けた側に応答する義務はなく、回答を拒否した場合でも違法となるものではないと認識しております。
○宮本(岳)委員 そんなことは聞いていないんですよ。したがって、法令上の根拠はないという答弁を、何か気を遣ってそういう答弁をされたのかも分かりませんね。
当然そのような権限はありません。どのような判断であろうと、法律上の所管外のことを行えば法律違反でありますし、通知は無効です。
この通知は全教員に配付をされ、教員たちは筋が違うと抗議したということでありますが、その後、県教委自身が、県教委の所管を超える部分があったと認め、通知を六月七日に撤回したと我が党の山村幸穂奈良県議に説明をしております。明らかに違法な通知だった、だから撤回したんですね。
この通知について文科省から奈良県教委に問合せをしたと聞いておりますけれども、この通知は文書で発出され、公文書となっております。これは公文書となっているんですよ。私は撤回したと聞いておりますけれども、どのような形で撤回したか聞いておりますか、文科省。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
口頭で伝達されたことについては、奈良県教育委員会から聞いているところでございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですね。文書で発出した通知であるにもかかわらず、撤回については口頭で校長に説明しただけだと聞いております。
その結果、校長は、撤回の説明を聞き漏らしたのか、通知撤回の認識を持たず、教員にもその旨説明せず、違法な通知から十か月もたった今年三月二十八日にやっと県教委からの再度の確認で撤回を認識した、こういうことのようであります。現場の先生が筋が違うと言うのは当然でありまして、それほどに、県教委は国立大学附属小学校を所管しないということはもう地教行法のイロハのイだからであります。
大臣、そんなイロハのイもわきまえない通知を県教育長名で出した県教委、しかも、撤回したのにそのための通知も出していない県教委は、私は法令遵守の点でやはり不十分だと思いますけれども、大臣、そう思いませんか。
○盛山国務大臣 各都道府県の教育委員会から発出される通知の取扱いについては、それぞれの都道府県において適切に判断されるべきものであると考えますので、個別のコメントは控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 私が言っているのは、個別具体の問題や、入り組んだ複雑な話ではないんです。県教委の所管に関わる法的整理の問題。そもそも、地教行法上出せない通知を出して、そして、撤回したのに文書でも確認しないというのは、こんなずさんなことでいいのかということを申し上げている。その答弁しか、もしかしたらできないのかもしれませんけれどもね。
法的に所管でもない国立大学附属小学校になぜ当然のように通知を出してしまうのか、こういうことが生まれるのか、更に議論したいと思います。
附属小学校の最高責任者である当時の校長は、校長に赴任する前は奈良県の下市町の教育長であり、その前は奈良県教育委員会の事務局教職員課主幹であったということを私は確認しておりますが、間違いないですね、文科省。
○望月政府参考人 委員御指摘の奈良教育大学附属小学校の前校長の前職は、奈良県下市町の教育長であったと承知してございます。
○宮本(岳)委員 まさに県教委出身の人物でありますけれども、改めて確認をしたいと思います。
国立大学附属学校の校長は、設置者である国立大学法人の管理下にある、すなわち、国立大学法人の指導助言の下で職務を履行する、遂行する、これは間違いないと思うんですが、間違いないですね、高等局長。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員おっしゃったように、国立大学附属の校長は、当該国立大学法人の職員であり、任命権者である学長等による指導監督を受ける立場にございます。
○宮本(岳)委員 これも当然過ぎるほど当然の話だと思うんですね。
ところが、現実はそうなっていないんです。一、二年したら帰っていく教育委員会から派遣された校長が、また帰るわけですから、帰っていく教育委員会の意向に従って職務する、こういうことが現場では間々ある。とりわけこの校長はそういうことをされていたというふうに伺っております。
この小谷氏はどうだったか。資料三をおつけしてあります。これは、今年、二〇二四年四月二十三日のしんぶん赤旗でありますから、しんぶん赤旗の記者がインタビューしたのに対して、この前校長がお答えになっているわけですね。ですから、当然、赤旗と分かって答えておられますから、まずいという意識はなく答えておられるわけでしょう。小谷氏は取材に対し、毛筆をしなくてもいいのかと県の吉田教育長(当時)に相談した、こう述べているわけですね。
また、この校長は、先ほどの五月三十日付の県教育長の通知の調査受入れ、これを熱心に主張したと現場から聞いております。当時、小谷校長は、設置者の大学ではなく県教委の指導を仰ぎながら仕事をしていた、こういうふうに言われているわけです。
しかも、県教委から来たのはこの校長だけではないんですよ。附属学校を統括する奈良教育大学の部門、附属学校部の部長も県教委メンバー。
このように、県教委出身者で固めてしまったために、県教委に指導を仰いだり、県教委が附属学校を自らの所管であるかのように振る舞ったり、これが違和感なく現場で受け入れられているということになっていると思うんですね。
これは幾ら何でもおかしい、地教行法上もおかしいというふうに思うんですが、これは事務方でいいですけれども、問題ありませんか。
○望月政府参考人 国立大学附属学校の人事に関しましては、それぞれの大学における御判断によりまして、県の教育委員会あるいは市の教育委員会等との人事交流を行ったり、あるいは他の大学の職員との交流を行っているというものと考えてございまして、この奈良教育大学附属学校における人事交流につきましても、大学における御判断として行っているものと考えてございます。
○宮本(岳)委員 いや、大学の判断で済まないんですよね。
それでは、今の体制はどうなっているか。今年度は更に多くの県教委メンバーが管理職になっております。資料、先ほど申し上げた大学副学長と附属学校部の部長は、元奈良県教育委員会の事務局指導主事でありますけれども、資料四を見てください。現在の体制ですよ、これは。
現校長は教育委員会退職者、副校長は不在、教頭と主幹教諭は教育委員会からの出向者、こうなっております。つまり、全員が県教委の職員であります。奈良国立大学機構のもう一方、もう一つの大学がここには入っているんですが、奈良女子大学、ここにも附属小学校があります。セットになって、横に並んでいますね。ここは、校長、副校長、主幹、全て大学教員になっております。奈良教育大との違いがくっきりしておりますね。
以前は、国立大学教育学部附属学校の校長は、ほぼ全員がその大学の教授でありました。なぜそれがこれほどまでに変化したのか、激変したのか。これは、勝手に変わったんじゃないですよ。国の方針で変わったのではありませんか。
二〇一七年八月二十九日、国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議が取りまとめた「教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて 国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書」、この報告書にはどう書かれているか。その二十六ページ、「早急に対応すべきこと」のうち、「1校長の常勤化」にどのように書いてあるか、読んでいただけますか。望月さんでいいです。
○望月政府参考人 御指摘の箇所につきまして読み上げます。
「各大学及び附属学校は、学校の実情に応じて、大学教員である校長が常勤として責任体制を強化すること、あるいは、公立学校出身教員を常勤の校長として登用するとともに大学に附属学校を統括する組織を置くこと等により、大学による附属学校全体の有機的なつながりをもったガバナンス強化を進めること。」でございます。
○宮本(岳)委員 まさに国が指導して、国立大学附属学校に県教委の人間を引き入れた。県教委の人間が、今回の奈良のように、附属学校を県教委の領地のように扱えばどうなるのか。前校長は朝日新聞のインタビューで、子供たちに悲しい思いをさせてしまったと述べましたけれども、教育を壊し、子供の心を傷つけるような結果になるわけであります。
資料五は、全国国立大学附属学校連盟のホームページであります。国立大学附属学校の使命として、実験的で先導的な学校教育への取組とありますね。
資料六は、全附連会報誌に載っている盛山大臣の挨拶であります。国立大学附属学校がより先導的な役割を果たしていただくことを期待しております、大臣はここに出席をして、そう述べておられます。
大臣、国立大学附属学校は、歴史的に、実験校としての役割を担い、かけがえのない役割を果たしてまいりました。これからもそうした役割を果たしていくべきだと私は思いますが、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
○盛山国務大臣 今御指摘の資料のとおり、私、そのように御挨拶をしました。国立大学附属学校は、それぞれの学校の状況に応じて、地域のモデル校としての役割を果たしていただきたい、そして、それと同時に、大学との連携によって実験的、先導的な教育課題への取組をしていただき、その成果の普及を図っていくということが期待されているわけでございますので、先ほどの資料につきましても、そういう認識の上で、国立大学の附属学校にはより先導的な役割を果たしてほしいということを発言したものでございまして、今の時点で、私もその考えについては変わっているものではありません。
○宮本(岳)委員 実験的で先導的な、こういう役割を担ってきたわけですね。
それで、国立大学の附属学校というと、何か試験で選抜されたエリートのような子供たちばかりという誤解もあるんですが、特に奈良の場合は特別支援教育にも大いに力を入れていまして、奈良の教育大附属でなければこの子は育てられないのだと保護者の方が望んで通っておられるという子供たちもいっぱいいるわけですよ。そういう意味では、こういった歴史的な国立大学附属学校の役割をしっかりと踏まえて、校長等の派遣の在り方を見直すべきだということを提案して、私の質問を終わります。