新たな誤交付 責任追及
マイナカードで宮本岳志氏
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は23日の衆院総務委員会で、香川県高松市で新たに発生したマイナンバーカードによるコンビニ交付サービスでの住民票誤交付について、政府の責任を追及しました。
コンビニ交付での住民票などの証明書の誤交付をめぐっては、昨年3月に横浜市で発生して以降、富士通ジャパンのシステムを利用した自治体で同種のトラブルが相次ぎました。
富士通は昨年5月中旬から、同社システムを利用する123自治体で点検を実施。修正を行い、松本剛明総務相も同月20日には改修が完了したと述べていました。ところが直後の28日に福岡県宗像市で誤交付が発生しました。
宮本氏は「不具合は4年半前に確認されていた」と指摘。山野謙自治行政局長も認め、再度の点検を実施したと答弁しました。
宮本氏は、個人情報保護委員会が誤交付への改善策を求めたことに触れ「富士通ジャパンはエラー検出機能を今年1月をめどに開発と報告した。終わったのか」と質問。山野局長は「開発は完了し、現在1団体で試験を行っている」と述べ、検出機能による対策はいまだ行われてない実態が明らかになりました。
宮本氏は「高松市は今年新たにシステムを導入した自治体だ。対策済みと考えるのが普通だ」と指摘し、政府が安全神話を振りまいた責任への自覚はあるのかと追及。松本総務相は「極めて残念だが、マイナンバーカードは問題ない」と開き直りました。宮本氏は「その姿勢こそ問題だ」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2024年5月1日)
動画 https://youtu.be/zugQh4DYtSQ?si=L-kV-vBYnV5jSZWz
配付資料 20240423総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今日も、まず西田政務官にお伺いをいたします。
資料一は、今年四月二日の当委員会でも配付した国土交通省提出資料であります。西田政務官が二〇二一年の総選挙期間中に百万円、二百万円という献金を受け取り、その後返却したとされる西田政務官の地元の二つの建設業者、小倉建設と南建設の、令和三年、すなわち前回総選挙のあった二〇二一年度の北陸地方整備局発注工事の契約実績であります。
私は、小倉建設の二〇二一年度の落札率が一件中一件で一〇〇%であることや、南建設は七件中六件で実に八五%を超える落札率であることを示して、それ以前の小倉建設の平均落札率約一七%、南建設の約二八%と比べて、二〇二一年は極めて高い落札率であることを指摘いたしました。
そこで、西田政務官、落札率が高いという事実を確認していただきましたか。そして、落札率が高いということが事実であるならば、それがあなたへの献金と無関係だと断言するどのような根拠がございますか。
○西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。
御通告をいただきましたので、公表資料に基づき調べたところ、委員の御指摘の会社について、国の公共事業への二〇二一年度の入札件数に対する落札件数は、小倉建設が一件の入札に対して一件の落札、南建設が七件の入札に対して六件の落札であったことを確認させていただきました。
いずれにいたしましても、当時寄附をいただいた際には、委員御指摘の会社が国の公共事業を受注していたことは存じ上げませんでした。また、私が公共工事の受注に関して関与したということは一切ございません。
○宮本(岳)委員 知らなかったということでは済まないんですね。
いつも指摘するように、総務省は公職選挙法も政治資金規正法も所管する役所であります。その大臣政務官という立場であるからには、政治資金や選挙資金について一点の曇りもない透明性が求められます。国民への説明責任を果たすことなしにはその職務は続けられないということを改めて厳しく指摘しておきたいと思います。
次に、被災地輪島市におけるケーブルテレビの復旧とケーブルテレビでNHKの難視聴対策を進めてきたことへの影響についてお伺いしたいと思います。
去る三月二十一日のNHK予算審議で、NHKの根本拓也理事は私に、輪島市内でケーブル網の断線によってNHKの地上波を見ることのできない詳しい世帯数は承知していないが、三月末までの幹線ケーブルの復旧を目指して地元のケーブルテレビ会社は尽力していると承知していると答弁されました。しかし、三月末どころか、今なお幹線の復旧すら完全には終了しておりません。
復旧できていない幹線がどれだけ残されていて、何世帯に影響が出ているのか。たとえ幹線の復旧ができても、引込線の復旧工事が終わらなければテレビは見られません。発災から四か月が過ぎようとしておりますけれども、どういう状況か、情報流通行政局長にお伺いしたい。
○小笠原政府参考人 ケーブルテレビの復旧状況についてのお尋ねでございますので、まず、七尾市、穴水町、能登町については応急復旧が完了というふうにお聞きしております。次に、輪島それから珠洲市につきましては三月末で応急復旧がおおむね完了しているというふうにお聞きをしています。
両市の一部地域におきましては応急復旧が完了していないというふうにあるところとお聞きしておりますが、これらの地域につきましても、事業者の方々が道路啓開の状況を踏まえまして対応に当たられているというふうに承知しているところでございます。
こうした地域については、総務省としてケーブルテレビの復旧にかかる費用に対する補助率のかさ上げなど被災地の負担軽減に取り組み、ケーブルテレビの依存度が高い被災地における放送インフラの本格復旧を加速化しているところでございます。
○宮本(岳)委員 発災から約四か月たって、今なおケーブルテレビの復旧が一部地域についてはめどさえ立たないという、まだそういう地域が残されているわけですね。だとすれば、先月延長したNHKのBSプレミアムを使っての放送を継続しなければなりません。今後ともBSプレミアムを使っての放送は続けられるのか、総務省はNHKとともに状況を把握して対応を検討しなければならないと思いますが、いかがですか。
○小笠原政府参考人 御指摘の点でございますが、今回の能登半島地震の被害者にとりまして、日常生活を取り戻すために必要なより正確な情報を入手する手段として、放送が果たす役割は極めて重要であるというふうに考えております。
委員御指摘のNHKの衛星放送を活用したNHK金沢放送局の番組の放送につきましては、能登半島地震発災後の一月九日から実施されてきたところですが、この衛星放送は、被災地の復旧状況等を踏まえまして、NHKからの申請を受け、三月二十九日に所要の認定を行い、現在も放送が継続されております。
この放送につきまして、現時点ではNHKから終了に関する申請は行われておらず、四月末での終了は想定しておりません。
現在ケーブルテレビの復旧に取り組んでいるところであり、可能な限り早急に復旧できるよう支援を行うとともに、NHKの衛星放送を活用した放送の今後につきましては、現地のケーブルテレビの復旧状況、これを確認しながらNHKさんとも相談してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 被災者の切捨てが起こらないように、状況をつかみ、一日も早い復旧を求めたいし、また、NHKの放送が届くようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、またまた発生したコンビニ交付サービスにおける証明書誤交付について聞きたいと思います。
資料二を見ていただきたい。今年四月十六日に総務省自治行政局長名で富士通の社長宛てに発出した指導文書であります。富士通の子会社である富士通Japanが、昨年三月以降に複数の自治体のコンビニ交付サービスシステムにおいて別人の証明書を交付する事案を発生させたことを受け、富士通Japanのシステムを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に総点検を行い、適用漏れがあった全ての地方公共団体には修正プログラムの適用を完了するとともに、品質管理体制の強化も含めた再発防止策を講じたとされておりました。ところが、今年四月十一日に何とまたその富士通から、四月四日に富士通Japan株式会社が香川県高松市に提供するコンビニ交付サービスシステムにおいて別人の住民票の写しが交付されたとの報告を受けたというものなんですね。
まず、聞きますけれども、富士通Japanが昨年三月以降、横浜市等四団体十四件の証明書の誤交付発生の報告を受け、富士通Japanのシステムを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に総点検を行ったというのは、一体いつからいつまでの期間にこの総点検を行ったんですか。
○山野政府参考人 お答えいたします。
富士通Japan株式会社は、昨年の誤交付事案を受けまして、昨年の五月中旬から六月十七日までの間に、自社のコンビニ交付サービスを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に、昨年発生した事案と同種の不具合の有無に関する点検及び修正を実施したとの報告を受けております。
その後、実は同年六月二十八日に宗像市におきまして新たに別人の誤交付事案が発生しましたが、これは、過去に不具合が発生し、それに対処するための修正プログラムが開発されたものの、同市においてこの修正プログラム適用が適切に行われなかったことによって発生したものというふうに報告を受けております。
○宮本(岳)委員 正確に聞きたいんですけれども、五月中旬から六月の十七日までに百二十三地方公共団体の点検を全て終えたと。六月二十日の松本総務大臣の会見で、富士通Japanから百二十三団体全ての点検、改修が完了したとの報告がありましたのでお知らせしたいと思いますと会見で語っておられますよね。ですから、この時点で終わっていたんです、六月二十日には。
ところが、六月の二十八日に、今のお話にあった宗像市で新たに誤交付が発生した。これは先ほど説明があったとおりまた性格の違うミスであったということなんですけれども、おっしゃるとおりです、これはもう既に平成三十一年一月に同市システムにおいて確認されていた不具合なんですよね。それが、なぜこの時点まで対策されずに残っていたんですか。つまり、四年半たっているんですが。
○山野政府参考人 お答えいたします。
昨年六月にこの宗像市の事案が発生しておるわけでございますが、御指摘のように、平成三十一年における同種の不具合に係る修正プログラムの適用が漏れていた、これが原因でございます。
このこともございましたので、私ども、改めて、百二十三団体を対象にしまして、過去のプログラム誤りを是正する修正プログラムの適用漏れがないかどうか、これを確認を求めまして、昨年の十月でございますけれども、修正プログラムの適用を完了したとの報告を受けていたところでございます。
○宮本(岳)委員 ですから、四年半前のものが残っていたわけですね。その直前まで、六月の十七日までに百二十三地方公共団体の点検を全て終えたと胸を張って二十日の日に大臣がおっしゃったわけでありますが、それで見つけられていないわけですよね。改めて、二十八日に宗像市の事案があったので、もう一回、百二十三団体の点検がやられたわけですよ。
では、この二十八日の宗像市事案というものを受けて、資料三というのをつけておりますけれども、個人情報保護委員会はこのときに報告を富士通Japanに求めております。この報告について十月三十一日を期限で出してくれということを求めているわけですけれども、それは総務省は御存じですね。
○山野政府参考人 御指摘の件につきましては私どもも承知しております。
○宮本(岳)委員 六月二十八日の後、個人情報保護委員会は、これらの件について十月三十一日までに改善策の実施状況について報告するように求めました。個情委が十月三十一日までに報告を求めた改善策について、その後、この資料につけましたけれども、二百六十三回個人情報保護委員会の配付資料の中に出てまいります。
この報告を見ますと、改めて技術的安全管理措置というものを講じるのだと。これは十月三十一日期限で提出されたものですよ。個情委にも総務省にも出されていると思います。技術的安全管理措置というものを取るんだと。そのうちの一つが異常検出機能の開発だといって、自社システムの安全性向上のために、令和六年一月、今年の一月をめどに以下の異常検出機能を開発予定というふうに書いてありますね。これを見ますと、処理中の中間データに申請番号を付与し、取り違えを防止する機能を作るんだ、あるいは、証明書の要求から証明書の作成にかけて処理電文間で取り扱うデータを比較することにより正当性を保証する、エラー検知時は申請をリトライするよう促す機能をつけるんだ、こういうふうに開発するんだということが掲げられております。
既に今年の一月は過ぎておりますけれども、今年一月までにこの開発は終わっているんですか。
○山野政府参考人 お答えいたします。
富士通株式会社及び富士通Japan株式会社からは、御指摘のように、今後新たな誤交付を起こさないための対策として、未知のプログラム誤りにも対応できるような機能を開発するとの報告を受けておりまして、総務省としては、そのプログラムの速やかな開発を行うことや、富士通Japan株式会社のシステムを利用している地方公共団体に早期に適用するよう対応を求めてきたところでございます。
これまでの富士通株式会社からの報告によれば、既に機能開発は完了しており、本年三月に先行適用団体で検証を行ったということでございました。
私どもとしましては、この早期適用を進めることが新たな誤交付を防ぐために極めて重要であると考えておりまして、先日行った行政指導におきましてもできる限り早期の適用を要請しているところでございます。
○宮本(岳)委員 試験を行っている自治体は何団体ですか。今これが実際に使われている自治体が一つでもありますか。
○山野政府参考人 お答えいたします。
私どもが報告を受けておりますのは、現在試験を行っていますのは一団体ということでございます。
○宮本(岳)委員 一団体で試験を行っているだけであって、今年一月をめどと言うけれども、三か月を過ぎてただの一団体も実際こういう対策はされていないんですから、あきれ果てると言わなければなりません。
そして、今年四月四日に誤交付が発生した香川県高松市は、昨年二回も点検した百二十三団体には含まれておりません。なぜなら、この香川県高松市は、今年新たにこのシステムを導入した自治体だからです。新規に導入した自治体には当然対策済みのシステムが導入されるものと普通は思うんですが、そうではなかったというのだから更に驚くわけですね。何でこんな初歩的なミスが繰り返されているんですか、局長。
○山野政府参考人 お答えいたします。
私ども、この件につきましては非常に残念に思っておりまして、四月の行政指導においてその件を厳しく富士通株式会社に指摘したところでございます。なぜこういうことが起きたのか、これを厳格にお答えするよう報告を求めたところでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、それは富士通Japanもけしからぬと思いますけれども、私は総務省がけしからぬと思うんですね。
大臣は、前回、四月十八日の当委員会、プロバイダー責任制限法改正案の質疑でも、私が、ネット上のディープフェイク、先ほど少し紹介がありました、あるいは詐欺広告など有害情報の存在、アテンションエコノミーと呼ばれる現象について指摘したのに対して、いわば情報を御利用いただく人々にも是非ネット上の現在の情勢を知った上で情報を御利用いただきたいなどと、まるで国民のリテラシーに問題があるかのように語られました。
しかし、大臣こそ、マイナンバーカードによる住民票のコンビニ交付について利便性の向上などのメリットだけを語り、情報漏えいなどのリスクは口を閉ざしてまいりました。しかし、実態は止まらぬ個人情報の漏えいであり、その原因を見てみたら、システムの不具合が確認されて四年半も修正されず放置されていたり、自らが報告した期日から三か月が過ぎてもただの一自治体にも対策されていないなど、実にずさん極まりないものでありました。
総務大臣、自らが安全神話を振りまいてきた責任を自覚しておられますか。
○松本国務大臣 今般の事案で、富士通株式会社、富士通Japan株式会社に対しましては厳重注意、原因究明、再発防止対策の徹底等を求めるべく行政指導を行ったことは今局長からも申し上げたとおりでございます。
特に、コンビニ交付は多くの国民の皆さんにも御利用いただいているだけにニーズが高く、利便性も一定程度御評価いただいていると考えられるだけに、正確なコンビニ交付を行うことの重要性は極めて高い、そういった中で残念ながら誤交付が発生したことは私どもとしても極めて残念に受け止めております。
その上で、今マイナンバーカードのお話がございましたが、コンビニ誤交付は富士通Japan株式会社のシステムにおいてのみ発生した同社のシステムの問題でございまして、マイナンバーカードの本人確認の仕組みの問題ではないことは申し上げられるかというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 大臣、あなた自身が全くリテラシーを欠いているんですよ。その姿勢こそが問われているということを指摘して、私の質問を終わります。