平成二十五年十一月六日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
石崎 徹君 小此木八郎君
小田原 潔君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小林 茂樹君 今野 智博君
桜井 宏君 新開 裕司君
冨岡 勉君 永岡 桂子君
根本 幸典君 野中 厚君
馳 浩君 比嘉奈津美君
福山 守君 藤井比早之君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
宮崎 政久君 菊田真紀子君
細野 豪志君 山口 壯君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 井出 庸生君
柏倉 祐司君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
財務副大臣 古川 禎久君
文部科学副大臣 西川 京子君
厚生労働副大臣 佐藤 茂樹君
内閣府大臣政務官 伊藤 忠彦君
財務大臣政務官 葉梨 康弘君
財務大臣政務官 山本 博司君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
文部科学大臣政務官 上野 通子君
政府参考人
(法務省矯正局長) 西田 博君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山崎 和之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房総括審議官) 大槻 達也君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 清木 孝悦君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 小松親次郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鈴木 俊彦君
―――――――――――――
委員の異動
十一月六日
辞任 補欠選任
菅野さちこ君 小田原 潔君
熊田 裕通君 宮崎 政久君
桜井 宏君 根本 幸典君
野中 厚君 石崎 徹君
比嘉奈津美君 福山 守君
宮内 秀樹君 藤井比早之君
同日
辞任 補欠選任
石崎 徹君 今野 智博君
小田原 潔君 菅野さちこ君
根本 幸典君 桜井 宏君
福山 守君 比嘉奈津美君
藤井比早之君 宮内 秀樹君
宮崎 政久君 熊田 裕通君
同日
辞任 補欠選任
今野 智博君 野中 厚君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
二〇一〇年から民主党政権が実現した高等学校授業料の無償化法案は、二〇一〇年の通常国会に提出され、三月の五日から当委員会で審議入りをいたしました。三月十二日には、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の三会派共同提案により三年後見直しを内容とする修正案を提出し、それも含めて本院で修正可決となったものであります。その点では、成立した法律には、私もいわば与党的立場で責任を負っております。
あれから三年たって、よもやこのような、授業料の不徴収を廃止して再び授業料を復活させるような改悪案が政府によって提出されるなどとは、夢にも思ってはおりませんでした。
まず、そのことについて確認をしたいと思うんです。
現在、七割の高校生が学ぶ公立高校では、授業料の徴収について、第三条でどのように書かれておりますか。
○前川政府参考人 現行法の第三条におきましては、「学校教育法第六条本文の規定にかかわらず、公立高等学校については、授業料を徴収しないものとする。」と規定されております。
○宮本委員 この第三条の授業料の不徴収という規定は、改正案では一体どうなるか、お答えいただけますか。
○前川政府参考人 今回の改正案では、公立高等学校の授業料不徴収制度の廃止を行い、私立高等学校と同様に就学支援金制度とするということで、制度の一本化を図るということにしておりますので、現行法の第三条は削除することになっております。
○宮本委員 今回の修正案の最大のポイントはここなんですね。少なくとも公立高校には、二〇一〇年度から導入されている授業料の不徴収、すなわち授業料無償制度をなくし、有償制に戻すという中身なんです。
しかし、文科省自身、この間、多くの国で後期中等教育を無償としており、高校無償化は世界的にも一般的なものとなっているとはっきり認めてきたはずであります。
そこで、これも文科省に聞くんですが、OECD三十四カ国で、公立高校の授業料を徴収している国、していない国はそれぞれ何カ国になっておりますか。
○前川政府参考人 文部科学省におきましては、OECD三十四カ国の授業料徴収状況の詳細につきまして網羅的には承知しておりませんが、イタリアや韓国など一部の国では授業料を徴収しているものと承知しております。
○宮本委員 先ほど、三十一カ国は不徴収であるという答弁を別の質問者にしておられたように思うんですが。三カ国が徴収ということは、三十四カ国から引けば三十一カ国が不徴収。
きょうは、資料の一に、私が国立国会図書館で調べていただいた結果の一覧表をつけておきました。資料一を見てください。
有償の三カ国というのはどういう国か。イタリア。イタリアでは、年間授業料が十五ユーロとされておりますから、日本円に換算すれば年間わずか二千円。これはイタリアです。
韓国では、約百四十五万ウォン、日本円で十一万六千円の授業料が徴収されてきたんですけれども、実はここに、七月三十一日KBSワールドのニュース記事を持ってまいりました。
韓国では、来年から、高校の授業料の無償化を段階的に進めていくことになりました。これは、朴槿恵大統領が昨年末の大統領選挙の際に公約した政策の一つで、大統領府青瓦台と与党セヌリ党が三十日に合意して決めたものです。それによりますと、来年から僻地所在の高校の授業料を無償化した後、二〇一七年までに全国の高校にまで拡大することになっています。いよいよこれから韓国も、全国的に授業料は不徴収、無償、こうなっていくわけです。
スイスという名前もある。これは三角形になっておりますけれども、有償は一部の州であって、他は無償ということになっております。
国際人権規約でも、このことが確認をされております。
社会権規約の十三条二項(b)には、「中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」こういう条文が掲げられて、教育は人間が人間として生きていく上で不可欠なものであり、子供たちが学ぶことは社会の財産である、こういう理念が国際人権規約でも示されているわけです。
これは文科大臣に再確認しますが、日本はこの条項を承認しておりますね。
○下村国務大臣 承認しております。
○宮本委員 そこで、外務省にきょうは来ていただいておりますので、確認をしたいと思います。
この経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約十三条二項(b)の「特に、無償教育の漸進的な導入により、」ここに日本政府は拘束されると既に外務省はホームページでも書いておられますが、この「無償教育の漸進的な導入により、」という場合の「無償教育」の意味とはどういうことか。授業料無償がこの中に含まれることは当然だと思うんですが、外務省、お答えいただけますでしょうか。
○山崎政府参考人 御指摘の、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約におきまして「無償」という文言が使われておりますけれども、これは授業料の不徴収の意味であるというふうに解しております。
○宮本委員 社会権規約委員会が一九九九年に採択した教育権に関する一般注釈第十三号及び十一号というものがありますけれども、この中にこの「無償教育」ということの中身についての詳しい注釈が与えられているわけです。フィーズ、授業料はもちろん、私学の施設整備費など、その他の直接的経費も、権利享受への行動抑制につながるし、その実現を危うくする。それらはまた、実際にはしばしば退行措置、リグレッシブとなる。それらの除去は、要請された行動計画で記述されなくてはならない問題である。
つまり、授業料及び直接的経費も除去されなければならない。それは行動計画でちゃんと、どうなくしていくかを記述されなければならない。そこまでこのゼネラルコメント、一般的注釈というものははっきりと述べているわけです。
ですから、これも外務省に改めて確認しますが、少なくとも授業料の無償化を進めるという拘束を日本政府は受けている、これは間違いないですね。
○山崎政府参考人 御指摘の社会権規約第十三条二項(b)に付されております「無償教育の漸進的な導入」という規定がございますが、我が国はそれに拘束をされております。
○宮本委員 昨年の九月、日本政府は、実に三十三年ぶりに、この国際人権規約十三条二項(b)、(c)もあわせてですけれども、留保を撤回いたしました。
しかし、その翌年にはたちまち無償制度を廃止して有償に戻す。大臣、これはいかにもおかしい話だと思いませんか。
○下村国務大臣 まず、OECD諸国のように、我が国においても教育の無償化、これは高校だけではありません、大学教育まで含めてこれから漸進的に目指していくべきことであるというふうに思います。
その上で、よくおわかりになって御質問を宮本委員はされているわけですけれども、これは、公立高校については無償化ですけれども、私立高校については無償化になっているわけではないわけですね。それでも今回、この国際人権A規約第十三条ついて、民主党政権になってから人権規約として締結をしたという理由は、「中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、」「すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」という規定のもとで、この方向性に沿っているということで、今、パーフェクトの無償化ではないけれども、しかし、この方向性に沿っているということであるわけです。
同じように、今回の高校授業料無償化の所得制限の導入についても、教育費負担の軽減に努める方向で維持され、かつ、実際の施策が中長期的に見てその方向に沿ったものであると認めるものであれば、人権規約に違反するものではないわけでありまして、むしろ我々は、今回の見直しについては、文部科学省として、より効果的に本制度を実施する観点から、現行予算を活用し、低所得世帯への支援を重点的に行う等の改善を行うものであり、これは人権規約の趣旨をさらに前進するものであるというふうに考えております。
○宮本委員 低所得家庭への援助を手厚くすることに大賛成ですよ。あるいは、給付制奨学金の議論がありましたけれども、我々だって求めてきたわけです。
ただ、今回の法案は、授業料の不徴収となっていた公立高校から徴収するというふうに復活をさせたということを私は指摘したわけでありまして、それは結局、高校生支援の予算の枠をふやさないという狭い土俵で、こっちを削ってこっちへ回すという議論をやるからそうなるわけですよ。
だから、改めてここで問われるのは、政府と子供たちとの間の約束ですよ。
そもそも、この制度に踏み出したときに、一体政府はどう言ってこの制度を始めたか。皆さんの手元に、これも資料をつけました。二枚目です。
これは、公立高校の授業料無償制を導入したとき、文科省が全高校生に配ったチラシの表紙なんです。「社会全体であなたの学びを支えます」「家庭の状況にかかわらず、高校生等のみなさんが安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により、公立高等学校の授業料を無償とし、家庭の教育費負担を軽減します。」実は今でも、文部科学省のホームページをあければこれが掲げられていますよ。子供たちとのこの約束をほごにする結果になることが子供たちに悪影響を及ぼすということ、大臣、そうお思いになりませんか。
○下村国務大臣 まず、現在でもホームページに載っているというのは、これは法案がまだ改正されて成立しておりませんから、それまでは載っけるというのは、これは文科省としては当然のことであるというふうに思います。
「社会全体であなたの学びを支えます」という見出しは、これはもうそのとおりだと思いますね。これは全く変わっておりません。ただ、その中で、この何行目かのところの「公立高等学校の授業料を無償とし、」ここだけが変更になる、それ以外は全く変更ないということでございまして、もちろん、財源があれば、それは現行制度にのっとって、さらに低所得者層に対する厚い支援や公私間格差を是正する、あるいは給付型の奨学金もさらに導入するということを当然したいと思っておりますが、残念ながら、トータル的な我が国における今の財政状況の中では、今の限られた枠の中で改正案を提出するしかないという段階であるということについてはぜひ御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 限られた財源論というのはもう少し後で議論したいと思うんですけれども。私は、子供たちの気持ちということをしっかり考える必要があると思うんです。
ある私立高校の生徒は、こう書いておられます。私たちの学びや成長をたくさんの人たちが支えようとしてくれていることを肌で感じ、だからこそ、自分もまた人々や社会の役に立っていきたいと考えるようになりました。これは支援金制度、無償化制度が入ってですね。以前はいじめの問題など一人で悩んでいた自分ですが、今は大学で法律の勉強をし、それを生かして、社会的に弱い立場にいる人、苦しんでいる人のためになる仕事を将来できたらいいなと思っていますと。
子供たちは、親の貧富に関係なく社会全体で支えられている、このことを受けとめて、学んだことを社会に今度は役立てよう、社会にお返ししよう、こういう気持ちになるわけですよ。それだけに、始めたばかりの無償制を廃止して有償に戻すというのは、私はやるべき政策じゃないと思うんです。
公私間格差の是正といいますけれども、ことしの六月九日に開催された「学ぶ権利」の平等について考える全国私立高校生集会、ここで私立の高校生たちが発したアピール、これは高校生がつくったものですけれども、こう結ばれております。「私たちが主張する平等な教育とは、低所得者だけが救われるというものではなく、お金持ちの人もお金持ちではない人も、外国人も隔たりなく本当の意味での平等な教育です。 就学支援金に所得制限をつけないで、教育にかける予算を増やしてください。」
これが子供たちの願いだと思うんですよ。現場の先生たちも、同じ教室で払う子供と払わない生徒が出ることはと、大変心配をしておられます。
大臣、こういう子供たちの思いに照らして、教育に悪影響が出ないと言い切れますか。
○下村国務大臣 まず、前半の高校生の考え方は大変すばらしいと思いますね。全ての高校生がそういう前向きな発想を持ってもらえると大変ありがたいことだというふうに思います。
そもそも、今宮本委員が言われた、あるいは後半言われた平等というのが、本当にそれが平等なのかという、私は本質的な部分がまずずれているというふうに思います。つまり、一律的に同じようにお金を、ばらまくというふうに我々は野党のとき申し上げておりましたが、それが本当に平等なのか。今生きている社会の中で、実際格差があるわけですね。先ほどの養護施設の例もありましたが、行きたくても行けないという子供も実際いるわけです。大学進学率が一一%のところもあるわけです。
どんな子供に対してもチャンス、可能性を与えるということについて、同じように全ての子供に対して均等にお金を出すということが私は平等だというふうには思っておりません。それぞれ能力と志があって、しかし、経済的なハンディキャップがあってなかなかそれが実現できない、そのことについては、少なくともスタートの経済的なハンディキャップをできるだけ是正、改善するための措置を図る、これは国がやるべきことだというふうに思います。
○宮本委員 最初に確認したように、まさに諸外国では、そんな所得制限を設けずに、全てに平等に教育費を社会が支えるというのが世界の常識になっている。国際条約でもそれが確認されて、我が国も受け入れている、そこから話が始まっているわけですよ。
おっしゃるように、格差がある、そのことが学習のアクセスへの障害になっている、これを救わなきゃならないという点では大賛成だ、必要だと言っているじゃないですか。しかし、そのためにこういう格差を持ち込むことが、子供たちに悪影響が出るんじゃないかということを私は指摘したわけです。
下村大臣も、答弁を聞いておりまして、高校無償化の意義を頭から否定しておられないと思うんです。この法律の審議の過程でも、野党時代の自民党下村博文筆頭理事は、当委員会で、「この高校無償化法案というのは、財源さえ確保されれば、これは望ましい方向性であることは事実です。」こう言われましたし、その後も、答弁でも、きょうも繰り返し、これが維持できるならばその方が望ましいという答弁がございました。
これは非常に重要な答弁でありまして、先ほどばらまきという言葉を使われましたけれども、ただ単に有償化する方がいいという話じゃなくて、もしも財政的な余裕があれば、やはりそれは全ての子供たちを無償にしていくことが望ましい、これはそういう立場でしょう。
○下村国務大臣 そのとおりです。
ただ、無償化の仕方として、公立高校の授業料相当額を均一に私立についても出すということが、これが無償化だとは思いません。
○宮本委員 先ほど、教育予算が抜本的にふえるならば、高校どころか大学も、あるいは幼児教育も全て無償にできるとおっしゃった。そういう大きなベクトルでいえば、それは大臣もその方が望ましい、方向としては望ましいとお考えになっていると思うんです。
問題は、そういう枠内で議論している限りこれは本当に一歩も出ない。きょうの大臣と私との意見の違いというものは、それは埋まらないのは当然でありまして、私はやはり抜本的に教育予算をふやす必要があるということをまず申し上げなければならぬと思うんです。
それで、OECDは、加盟国の教育状況の調査結果を「図表でみる教育 二〇一三年版」という形で発表しております。二〇一〇年の日本のGDPに占める教育機関への公的支出の割合は、比較可能な三十カ国中で最下位でありまして、これはもう四年連続最下位であります。大臣も何度もおっしゃっているとおりです。
これは文科省にまず数値をはっきり確認しておきたい。公財政教育支出総額のGDP比は、我が国とOECD諸国の平均では、それぞれどういう数字になっておりますか。
○清木政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一〇年、平成二十二年度の公財政教育支出総額のGDP比につきましては、奨学金等の教育機関以外に対する支出を含めた数字で見ますと、OECD諸国の平均が五・八%であるのに対しまして、我が国は三・八%となっているところでございます。
○宮本委員 GDP比でまさに二%の差がある。我が国の国内総生産、GDPはざっと五百兆円でありますから、額にして十兆円、これはおくれているわけです。
だからこそ、大臣も、第二期教育振興基本計画策定の過程では、OECD並み、二%、十兆円という数値目標を盛り込むことに意欲を示してこられましたし、その後も記者会見や国会答弁で、できるだけ早くOECD並みの公的教育投資を達成すべきだと思うと述べておられます。これは間違いないですね。
○下村国務大臣 そのとおりです。
それで、ぜひ宮本委員にもお願いしたいと思うんですが、私も文部科学大臣になって十一カ月近くたとうとしている中で、教育における公的投資をするということに対しては、本当に財務省の厚い岩盤があります。
私は、国会におけるこういう委員会の答弁も自分の判断で答弁しておりますけれども、役人が答弁する場合、こういう財政的に関係することについては実は財務省のチェックが必要なんですね。つまり、文科省の役人に勝手なことを言わせない、こういうものがあるわけでございます。
これがある限り、百年たってもこの国は変わらないというふうに思っておりまして、そのために、文部科学省が毎年毎年概算要求してぜひお願いしますレベルでは、これはもう解決しません。つまり、今おっしゃったOECD諸国並みの五・八%というのは、これは達成できません。
ですから、今省内でも、みずから、教育財源や税制改正を含めた財源確保についての考え方をぜひまとめていきたいと思っておりますが、それだけでも変わりません。同時に、ぜひ衆参の文部科学委員会、これは党派を超えて、心ある、つまり教育というのは未来に対する投資だ、今この時期に我が国がしっかりとした子供たちに対する教育投資をしなければこの国の未来はないという正しい危機感を持った、党派を超えた議員がきちんと集まってやらない限りは変えられないのではないかという危機感を持って、もうその政策とそして財源論と理念づくりを今省内でやっておりますので、ぜひ御協力をしていただきたいと思います。
○宮本委員 いや、六カ月前には二%、十兆円、こうおっしゃっていたわけですね。それは、十兆円を来年度予算でとれるかどうか、そんなことは私も、それは可能かどうかよくよくわかっておりますよ。
ただ、二%、十兆円でできるだけ早くと言っておられる大臣が、来年度予算で、これは高校一年だけ所得制限を導入して浮かせる金額が三百億円、この三百億円の算段で所得制限を入れなきゃならぬというのは、余りにも私は落差が大き過ぎるんじゃないかと。三年分やったって、わずか九百億円ですよ。十兆円に比べたら一%にも満たないわけですね。
我々も、さらに手厚い低所得家庭への支援拡充は大賛成でありますし、公私間格差の是正は喫緊の課題だと考えます。給付制の奨学金、これはもう繰り返し私も求めてまいりました。
しかし、その財源を、世界の流れに反して、子供たちの中に分断が持ち込まれるような無償制の廃止というやり方でつくるべきではないと思うんです。
先ほど大臣も税制改正にまで言及されましたから、私どもが考えるには、高額所得者に適正な負担を求めると言うのであれば、例えば大資産家優遇の税制を改めて、年収三千万円以上の高額所得者への課税を一九九八年の水準に戻せば約一千億円の所得税が捻出できる。所得の再配分というのであれば、こうしたやり方こそ適正な経済的負担のあり方だと私どもは考えますが、大臣、いかがですか。
○下村国務大臣 今の案は魅力的な案だと思います。
今回の、所得制限を設けることによって財源を浮かして低所得者や公私間格差を是正する、つまり四千億円という枠の中での話だということについても、財務省と文科省の役人同士では、文科省の役人が何十回言っても全くこれは歯牙にもかけない、相手にされない。今の宮本委員の話からすればたかだか三百億かもしれませんけれども、そのために私が直接財務大臣のところに直談判に何回も行って、やっとこの法案を今回出すことを認めてくれた、その程度の話なんですね、実際のところ。ですから、相当大変な話です。
今回のことについては、もしそれを教育目的税にするということを政府が認めるトータル的なコンセンサスが得られればぜひ進めたい話でありますが、それとはかかわらず平成二十七年度から四五%に見直すということでございます。現在四〇%、もともと、最初の一九九八年のときは五〇%でしたから、半分はそれだけ財源が出てくるということですが、教育目的税として使えるように、共産党でもぜひ支援をしていただきたいと思います。
○宮本委員 そういう名前にするかどうかは別ですが、私どもはこういう提案を、我が党としてはお示しをした次第です。
大臣は繰り返し、安倍内閣の最重要課題は経済再生と教育再生ですと語っておられました。ならば、それにふさわしい公財政の支出を求めるのが当然だと思うんです。ところが、経済再生なるものをめぐっては、大企業の納める復興特別法人税九千億円というようなものを一年前倒しして廃止して、減税してやろうという議論をやっているわけですよ。その一方で、高校生には、その十分の一、わずか九百億の増額も要求できない。子供たちの一部の家庭から取り上げる改悪をやろうとしております。私は、これは本末転倒も甚だしいと申し上げなくてはなりません。
このような改悪は国会において徹底的な議論が必要です。それを、なぜこうして通常国会を待たずに今国会に提出したのかといえば、子どもの貧困対策法ができて、低所得者対策を急ぐ、給付制奨学金も早くやりたい、こうおっしゃいましたね。大いに賛成ですよ。その三百億は先に出してやればいいじゃないですか。しかし、その三百億の段取りができない。
三百億なら、我が党は一切受け取ったことはありませんが、我が党以外の政党が毎年毎年山分けしている政党助成金はちょうど三百二十億円ですよ。来年は要らない、高校生の低所得者支援と公私間格差是正に使ってくれと我が党以外の党がみんな言えば、たちどころに来年分は出てくるわけですよ。
その程度の決断もできない政党がこのような改悪をするのには断じて賛成できないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。