万博への遠足は危険
宮本岳志氏、招待中止迫る
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は29日の衆院文部科学委員会で、大阪府が府内の子どもたちの遠足を大阪・関西万博に無料招待しようとしている問題を追及しました。万博会場の夢洲(ゆめしま)で毎日2トンものメタンガスが発生し続けている危険性を明らかにし、中止を迫りました。
宮本氏は、万博会場の夢洲は現役の廃棄物最終処分場で、埋め立てたものの、分解によって可燃性のメタンガスが発生し続けており、その量は2021年から年々増加し、23年には毎日約2トンになっていると指摘。盛山正仁文科相は「事故防止、安全確保の徹底が不可欠だ」と認めました。
大阪府は3月に発生したガス爆発事故を受けた安全対策のとりまとめを今年夏ごろに行うとしています。一方、学校には万博への遠足についての意向調査に5月末までに回答するよう求めています。宮本氏は「順序が逆だ」と批判しました。
また、文科省は4月8日に「修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」と題する事務連絡を出しています。宮本氏は「文科省が万博への修学旅行を推進するものか」と追及。同省の矢野和彦初等中等教育局長は「各学校が判断するもの」と答弁しました。
宮本氏は「毎日2トンのメタンガスが発生し続けている夢洲での万博開催はただちに中止し、子どもたち、保護者、学校関係者の不安の声に耳を傾けるべきだ」と訴えました。
(しんぶん赤旗 2024年6月1日)
動画 https://youtu.be/uja5hMe383k?si=ZXvoJxzmMrvsTHBx
配付資料 20240529文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、大阪・関西万博について聞きたいと思います。
今年三月二十八日、大阪・関西万博の会場建設現場で、溶接作業中に火花がメタンガスに引火し、爆発火災事故が発生いたしました。万博会場である夢洲は現役の廃棄物最終処分場で、埋め立てたものの分解に伴って可燃性のメタンガスが発生し続けております。
資料一を見ていただきたい。これは大阪市が公表している夢洲におけるガス調査結果の一部でありますけれども、二〇二三年九月二十一日に調査を行いましたけれども、このときの夢洲一区におけるメタン発生量は、一日当たり千九百八十九キログラム、およそ二トンが毎日発生しているということであります。
この調査を二〇二一年から遡って調べたものが、資料二につけた、私どものしんぶん赤旗の記事でありますけれども、この経年調査を見ていただくと、メタンガスの発生量は年々増加しており、万博が開催される夏期でいえば、二〇二二年の〇・八トンから、二〇二三年はその二倍以上の約二トンとなっております。今後も増え続けることが容易に想像されるわけですね。
まず、大臣に確認させていただきます。
遠足、集団宿泊的行事を行う際は事故の絶無を期する、これが重要だと思います。大臣、遠足や修学旅行をする際、安全確保が何より重要だと考えますが、これはよろしいですね。
○盛山国務大臣 宮本委員がおっしゃるとおり、修学旅行や遠足におきましては、事故防止や安全確保を徹底することが不可欠でございます。
修学旅行や遠足は、学校教育活動の一環として位置づけられているものであります。文部科学省としては、学習指導要領の解説や通知において、その実施に当たって、事故防止のための万全の配慮をすること等を求めております。
引き続き、こうした点に留意をした上で、各学校において適切に修学旅行や遠足が実施されることが重要であると考えています。
○宮本(岳)委員 大臣御指摘のとおり、学習指導要領の解説においてもそのことは明記をされております。
これは初中局長に確認いたしますが、小学校学習指導要領解説特別活動編、平成二十九年七月のものでありますが、「遠足・集団宿泊的行事」の「2 実施上の留意点」にはどのように書かれておりますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
小学校学習指導要領解説におきましては、遠足、集団宿泊的行事の実施上の留意点といたしまして、あらかじめ、実地踏査を行い、現地の状況や安全の確認、地理的環境や所要時間などを把握するとともに、それらに基づいて現地施設の従業員や協力者等との事前打合せを十分に行うと記載されているところでございます。
○宮本(岳)委員 これが学習指導要領の中身なんですね。安全確保が何より大事という。
この万博への遠足について、私は、保護者や教員から、ガス爆発が起こる可能性のある危険な万博に学校行事として子供たちを連れていかないでください、学校は、遠足などを計画するとき、下見をして入念に安全を確認している、安全でなければ絶対に連れていけない等々の声を聞いてまいりました。
また、昼食は団体休憩所で取ることとされておりますけれども、団体休憩所とされる場所は今回の爆発事故の現場のすぐ近くでありまして、パビリオンの見学、昼食などの際、この事故現場を行き来することになります。しかも、避難計画はまだはっきりしておりません。教員、保護者、そして子供たちが不安に感じるのは私は当然だと思うんですね。
文部科学省は、万博のガス爆発の事故について状況を把握しておりますか、初中局長。
○矢野政府参考人 関係省庁の説明等により、また報道等により承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 ガス爆発については一応状況はつかんでいただいていると。
安全対策の取りまとめがどうなるかということにつきましては、今年の夏頃にはというふうにおっしゃっているわけですね。
ところが、一方で、大阪府は、万博への遠足について、学校の意向調査を五月末までに回答するよう求めてまいりました。昨日もニュースが流れておりましたが、ひとまず意向調査を取ったら、半数以上が万博に行くという意向を示したというニュースが流れておりましたけれども、それは、いかがですかと聞いたら、まずは検討のまないたにはのせるということになるんでしょう。
これはしかし、大阪だけの問題じゃありません。
文科省は、今年四月八日付で、「修学旅行等における二〇二五年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」という事務連絡を出しております。今日は資料三で配付をしております。この事務連絡では、「今般、内閣官房国際博覧会推進本部事務局及び経済産業省商務・サービスグループ博覧会推進室から、別紙のとおり依頼がありました。」とあります。
初等中等教育局長名の通知ですから、これを受け取ると、みんな、文科省が行きなさいよということを通知で出していると受け止めるのでしょうが、よくよく読むと、この事務連絡のタイトルの「日本国際博覧会の活用について」というのは、まさに同一タイトルの内閣官房及び経産省の依頼を知らせるものであって、文科省が各学校の設置者に修学旅行は万博に行きなさいよと指示するようなものではないと私は読んだんですが、初中局長、あなたの名前ですけれども、間違いないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、国際博覧会推進本部決定等を踏まえ、内閣官房国際博覧会推進本部事務局、経済産業省の依頼を受けまして、修学旅行等における大阪・関西万博の活用につきまして、都道府県教育委員会等に通知を行ってきたところでございます。今委員の御指摘のとおりです。
会場の安全については、三月の事故を踏まえ、現在、博覧会協会において、専門家の意見を聞きながら、会期中の安全確保の対策を取りまとめている、こういうふうに伺っております。
文部科学省といたしましては、当該対応策も踏まえ、引き続き、関係省庁と連携しながら、修学旅行等の実施について適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 安全対策の取りまとめは今年の夏頃にはと、これは明確におっしゃっていることなんですね。
安全対策が先ですか、それとも意向調査が先ですか。初中局、どう思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
意向調査は、これは自治体の御判断でございますので、自治体の御判断に任せたいと思います。
○宮本(岳)委員 それは自治体の判断でしょうけれどもね。しかし、安全対策はまだできていないんです。明らかになっていないんです。あなた方の説明もそうなっているんです。順序が逆だと私は思いますね。
同時に、あなたの立場で万博修学旅行というものを推進する、そのことを通知したものではないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
本通知の趣旨を踏まえつつ、修学旅行の行き先等については各学校において決定していただくものと承知しております。
○宮本(岳)委員 当然です。各学校で判断するものだ、このことは確認されました。
これだけ不安の声が寄せられる中で、不安だから欠席させたいが内申書に影響するのではないかという声も届いておりまして、たとえ学校が遠足で万博に行くことを決めたとしても、子供や家庭の判断で行かせない、あるいは行けないという場合もあります。
資料四は、一九六八年十月二日の文部省初等中等教育局長通知、当時は通達ですね、通達、「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について」というものであります。ここには、「原則としてすべての児童生徒が参加できるように計画すること。なお、参加できない児童生徒がある場合には、その指導についても遺憾のないよう配慮すること。」とありますけれども、これも、初中局長、間違いないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省といたしましては、これまでも、修学旅行、遠足に関し、原則として全ての児童生徒が参加できるように計画すること、参加できない児童生徒がある場合には、その指導についても遺憾なきように配慮すること、こういったことを通知で示してきたところでございまして、これを踏まえた対応が各学校でなされているものと認識しております。
○宮本(岳)委員 毎日二トンものメタンガスが発生し続けている夢洲での万博開催は、私は直ちに中止すべきだと考えます。そして、子供たちや保護者や学校関係者の不安の声をちゃんと尊重すべきだ、このことをはっきりと申し上げておきたいと思います。学校はそういう判断をすべきだと考えます。
さて、この後、教科書バリアフリー法改定案の提案があると聞いております。現在障害のある児童生徒を対象としている教科用特定図書を、日本語に通じていない児童生徒等に対象を拡大するものでありまして、外国人児童生徒等は年々増加をしており、学校現場での学びの困難が生じていることは承知をしております。そういう意味で、本改定は重要な意義があると考えております。
教科書は学校での学びを支える主たる教材でありまして、そこで、教科書価格の問題を聞きたいと思います。
この間、何度も出版労連の方々からお話を聞いてまいりました。教科書価格が不当に安く抑えられており、製造原価に見合っておらず、価格の適正化のため原価計算を行ってほしいという要請であります。
まず、初中局長に聞きますが、教科書定価について、社会全体の物価が上昇している中、現場の労働者からは労働条件が厳しいという声も聞いておりますけれども、現下の物価上昇等も踏まえて適正に引き上げるべきと考えるが、文科省の見解はいかがなものでございましょうか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
就学する全ての児童生徒が使用する教科書は、学校教育活動のまさに主たる教材といたしまして、子供たちの教育に大変重要な役割を担っているものと認識しております。教科書を安定的に供給するため、適正な教科書価格を設定することは大変重要なことと考えております。
教科書の定価改定につきましては、今般の物価上昇等に伴う教科書コストへの影響を適切に反映できるよう努めているところであり、令和六年度予算における教科書定価についても、材料費や印刷費等の教科書製造原価に直接影響する経費の上昇の状況などを踏まえ、これは平成八年の二・八%以来の大改定になりますが、三・〇%としたところでございます。
文部科学省としましては、今後とも、各教科書発行者の状況を適切に把握した上で、物価や給与の動向等も見据えつつ、引き続き、適切な教科書価格の検討と必要な経費の確保に努めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 際限なく値段を上げてほしいと言っているんじゃないんですね。不当に抑え込まれている価格を原価計算し、適正な価格にしてほしいという真っ当な要求なんです。
聞くと、紙の教科書も不当に低く抑えられているが、デジタル教科書は更に悲惨だと聞きました。
今年度からデジタル教科書の本格導入ということで、英語は、小学校五、六年、中学校は全学年を対象に国公私立の全学校に、算数、数学は、小学校五、六年、中学校は全学年を対象に約半数の学校に配付をしております。このデジタル教科書の単価は、小学校英語で百三十五円、中学校英語は百三十一円、また、算数の単価は二百六十四円、数学の単価は二百四十四円だと聞いております。
このデジタル教科書の単価は紙の教科書の大体何%になっておりますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル教科書の価格は、令和四年度に教科書発行会社への調査に基づきコストの計算を行い、紙の教科書の約三八%となっております。
○宮本(岳)委員 紙の教科書の三八%ですよ。紙の教科書自身が、原価計算してほしい、原価に見合わないという悲鳴の声が上がっている中で、さらに、デジタル教科書はその三八%にとどまっていると。
二〇二〇年度秋の年次公開検証、いわゆる秋のレビュー、「教育現場のオンライン化の推進」の中でも、文科省は、市場で出回っているデジタル教科書の価格というのは、五教科の平均でいえば九百十一円でございまして、これは紙の教科書の平均六百六十七円に比べますと相当高い状態と述べ、紙の価格まで下げた上で、来年度は実証し、それを踏まえて、更に適正価格というのを見定めていくなどと言っております。市場価格は高過ぎるから、安く抑え込もうということではないのか。
大臣、デジタル教科書にするのは費用削減のためなんですか。
○盛山国務大臣 宮本先生、今の学校教育のICT化の現状をよく御案内のことと思いますが、紙の教科書があって、なおかつ、その上でのデジタルの教科書ということでもありますし、教科書は、一冊一冊、紙の製本したものを生徒に配るわけでございますが、デジタルの教科書、教材の場合には、またそういうのとは違うわけでもございまして、そういうような実態の違いというものも是非御理解賜りたいと思います。
そして、デジタルの教科書ということでございますけれども、我々は、GIGAスクール構想の下、先ほど来、宮本先生も少しお触れになりました特別な配慮が必要な児童生徒、こういった方への対応も含めまして、デジタルの強みを生かすということで、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るなど、児童生徒の学習環境を豊かにするため、デジタル教科書の活用を推進しているところでございます。
こういった観点でございますので、教科書コストを下げるためということではございません。引き続き、デジタル教科書の効果的な活用に向けて取組を進めていきたいと考えています。
○宮本(岳)委員 その秋のレビューでも、ある評価者は、一個できれば、それを百人いようが二百人いようがコピーすればいいだけの話だ、こう述べて、この科目はデジタル教科書をメインにしますと決めたならば紙の教科書はもうやめろ、そこまで言っているわけですね。
適正な価格を実現するためにちゃんと原価計算を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。