規制緩和後 子ども死亡増 (動画)
平成二十四年五月二十八日(月曜日)
午後一時五分開議
出席委員
委員長 中野 寛成君
理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君
理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君
理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君
理事 伊吹 文明君 理事 西 博義君
石井登志郎君 磯谷香代子君
稲富 修二君 江端 貴子君
岡田 康裕君 柿沼 正明君
金森 正君 神山 洋介君
城井 崇君 岸本 周平君
篠原 孝君 白石 洋一君
田嶋 要君 田中美絵子君
田村 謙治君 高橋 昭一君
中屋 大介君 永江 孝子君
長尾 敬君 早川久美子君
藤田 憲彦君 三村 和也君
三宅 雪子君 宮島 大典君
室井 秀子君 柳田 和己君
山田 良司君 湯原 俊二君
柚木 道義君 石田 真敏君
加藤 勝信君 金子 一義君
高木 毅君 竹下 亘君
丹羽 秀樹君 野田 毅君
馳 浩君 吉野 正芳君
池坊 保子君 高木美智代君
宮本 岳志君 石田 三示君
豊田潤多郎君 重野 安正君
山内 康一君 中島 正純君
…………………………………
国務大臣
(社会保障・税一体改革担当) 岡田 克也君
総務大臣 川端 達夫君
財務大臣 安住 淳君
文部科学大臣 平野 博文君
厚生労働大臣
国務大臣
(少子化対策担当) 小宮山洋子君
財務副大臣 五十嵐文彦君
内閣府大臣政務官 大串 博志君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 高井 康行君
衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長 佐藤 治君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 高橋 昭一君
江端 貴子君 磯谷香代子君
勝又恒一郎君 金森 正君
田嶋 要君 中屋 大介君
永江 孝子君 三宅 雪子君
藤田 憲彦君 柿沼 正明君
柚木 道義君 神山 洋介君
渡部 恒三君 城井 崇君
鴨下 一郎君 吉野 正芳君
田村 憲久君 高木 毅君
町村 信孝君 丹羽 秀樹君
竹内 譲君 池坊 保子君
西 博義君 高木美智代君
豊田潤多郎君 石田 三示君
中島 隆利君 重野 安正君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 江端 貴子君
柿沼 正明君 藤田 憲彦君
金森 正君 勝又恒一郎君
神山 洋介君 柚木 道義君
城井 崇君 山田 良司君
高橋 昭一君 石井登志郎君
中屋 大介君 田嶋 要君
三宅 雪子君 永江 孝子君
高木 毅君 田村 憲久君
丹羽 秀樹君 町村 信孝君
吉野 正芳君 鴨下 一郎君
池坊 保子君 竹内 譲君
高木美智代君 西 博義君
石田 三示君 豊田潤多郎君
重野 安正君 中島 隆利君
同日
辞任 補欠選任
山田 良司君 柳田 和己君
同日
辞任 補欠選任
柳田 和己君 渡部 恒三君
同日
理事西博義君同日委員辞任につき、その補欠として西博義君が理事に当選した。
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五月二十八日
安易な消費税率引き上げ反対に関する請願(渡辺義彦君紹介)(第一二六二号)
国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と消費税の税率アップ、庶民大増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二六三号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二六四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一二六五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二六六号)
同(宮本岳志君紹介)(第一二六七号)
同(吉井英勝君紹介)(第一二六八号)
国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と消費税の大増税・共通番号制の中止に関する請願(笠井亮君紹介)(第一二六九号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二七〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一二七一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一二七二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二七三号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三五九号)
同(吉井英勝君紹介)(第一四〇〇号)
社会保障の充実を求め、消費税の増税に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)
(第一二七四号)
消費税一〇%へのアップと社会保障の切り捨て中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二七五号)
同(笠井亮君紹介)(第一二七六号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二七七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一二七八号)
同(志位和夫君紹介)(第一二七九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一二八〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二八一号)
同(宮本岳志君紹介)(第一二八二号)
同(吉井英勝君紹介)(第一二八三号)
同(笠井亮君紹介)(第一三二五号)
同(志位和夫君紹介)(第一三二六号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三二七号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三二八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一四〇一号)
同(志位和夫君紹介)(第一四〇二号)
消費税増税に反対することに関する請願(柿澤未途君紹介)(第一二八四号)
年金の改悪・消費税増税反対、安心の年金制度に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二八五号)
同(笠井亮君紹介)(第一二八六号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二八七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一二八八号)
同(志位和夫君紹介)(第一二八九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一二九〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二九一号)
同(宮本岳志君紹介)(第一二九二号)
同(吉井英勝君紹介)(第一二九三号)
保育を産業化する子ども・子育て新システムは撤回し、安心して保育・子育てができる制度の実現を求めることに関する請願(田村憲久君紹介)(第一二九四号)
同(田野瀬良太郎君紹介)(第一三二九号)
同(中島隆利君紹介)(第一三三〇号)
同(橋本勉君紹介)(第一三三一号)
同(阿部知子君紹介)(第一三三六号)
同(菅原一秀君紹介)(第一三三七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三三八号)
同(玉城デニー君紹介)(第一三六〇号)
子ども・子育て新システムを導入せず保育・幼児教育・子育て支援・学童保育施策の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一二九五号)
中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二九六号)
同(笠井亮君紹介)(第一二九七号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二九八号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一二九九号)
同(志位和夫君紹介)(第一三〇〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三〇一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三〇二号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三〇三号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三〇四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一三七九号)
同(笠井亮君紹介)(第一三八〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三八一号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一三八二号)
同(志位和夫君紹介)(第一三八三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三八四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三八五号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三八六号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三八七号)
社会保障・税の一体改革案の白紙撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三二二号)
同(笠井亮君紹介)(第一三二三号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三二四号)
消費税の増税中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一三七四号)
消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三七五号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一三七六号)
同(志位和夫君紹介)(第一三七七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三七八号)
消費税大増税の反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第一三八八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三八九号)
消費税の増税に反対し、食料品非課税を早急に実施することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三九〇号)
同(笠井亮君紹介)(第一三九一号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三九二号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一三九三号)
同(志位和夫君紹介)(第一三九四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三九五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三九六号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三九七号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三九八号)
消費税増税反対、食料品など減税に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三九九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)
総合こども園法案(内閣提出第七六号)
子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)
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○中野委員長 これにて高木さんの質疑は終了いたしました。
次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
子ども・子育て新システムについて質問をいたします。
まず、大臣に確認をいたしますけれども、この子ども・子育て新システム関連三法案は、全ての子どもに良質な生育環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援することを目的としている、これが政府の説明でありますね。
大臣、本当に良質の保育が実現する、こういうことでいいんですね。
○小宮山国務大臣 これはこの審議の中でも申し上げましたが、私自身も子育ては大変苦労してまいりまして、今、子供の世代もいろいろと苦労をしています。
子供に対する予算がやはりこの国は少な過ぎる、子供のことを後回しにし過ぎてきたという思いがございまして、民主党も、ずっと、野党にいたときから、子供をまず総合的に支援する、子育てを支援するために総合的な政策が必要だということは大きな政策の柱にしてまいりましたので、今回、関係者の御意見を一年半にわたって十二分に伺いながらやっていますので、必ず子供のためになる仕組みにしていきたいというふうに思っています。
○宮本委員 そうしますと、仮に、保育における良質な環境というようなものを二の次にして、そして投資の対象としてのみ保育を見て、金もうけのために保育に参入するというようなことがよろしくないことである、これは大臣、よろしいですね。そうお考えですね。
○小宮山国務大臣 そのような、金もうけのためだけにここに参入してくるような株式会社は参入できないような仕組みをつくっているつもりでございます。
○宮本委員 ところが、当の民間企業の側は決してそういうふうにはなっていないんですよ。
資料一を見ていただきたいんです。皆さんの手元にあるものは白黒だと思いますが、実物は、この「保育」というところは赤い色になっておりますけれども、ここには、「不況期でも急成長し続ける貴重な業界があります。それが、保育業界です。」こうなっております。
続いて、資料二を見ていただきますと、保育事業は、投資リスクが小さい、投資回収期間が短い、収益性も高い。そして、成長性のところを見ますと、民主党政権にかわったことに触れて、子ども手当の制度化や成長戦略会議の新産業創出の三つの柱にも触れて、近年は、保育業の市場化が唱えられ、民間企業において追い風が吹いているとあおり立てております。
これでどうして全ての子供の良質な生育環境を保障することが目的だと言えるんですか、大臣。
○小宮山国務大臣 こういうことが出ているというのは、私は今拝見をいたしましたけれども、再三申し上げているように、参入段階と、それから運営段階、また会計上の区分の経理の問題、撤退段階、そうしたことに対しましてしっかりと規制をかけておりますので、そのように、もうけるために入るということはできない仕組みにつくっているというふうに私は考えています。
○宮本委員 これは実は、名前は伏せておきますけれども、さる経営コンサルタント会社が、一昨年に開催した保育事業新規参入セミナーというところで、企業を集めて、こんなふうに成長性、将来性のある業界であるということを得々と述べている資料なんですね。
それで、保育の市場化というのを進めてきたのは、決して今回の新システムだけではなくて、これはもう小泉政権以来、この十年余りずっと市場化が進められてきたわけですよ。
資料三を見ていただきたいと思うんです。
これも説明資料ですけれども、「何故、保育市場は急拡大しているのか!?」見出しの下に民間保育市場規模推移というグラフがついておりますけれども、それぞれ市場拡大のきっかけになった事象が書いてございます。二〇〇一年、東京都で認証制度がスタート、民間の参入を促進させる。同じく二〇〇一年、児童福祉法改正により公立保育園の民営化が活発化。二〇〇五年、次世代法成立、マーケットの拡大要因に。そして、国がワーク・ライフ・バランス憲章を制定等々。これは前政権がやってきたことなんですね。
つまり、こういった十年来の市場化政策がビジネスチャンスを広げてきたという説明なんですよ。これは事実じゃないですか、大臣。
○小宮山国務大臣 それは、株式会社の側からすれば、ここにニーズがあるという意味では、ビジネスチャンスという言い方は当たるかもしれません。
ただ、今回のこの新システムをつくるに際しまして、申し上げているように、いろいろと、株式会社が全て悪いというのではなくて、今でもきちんとやっているところもあります。そうしたところの経験も聞いておりますし、そうした民間の株式会社がやっている保育所などによって待機児の解消を図っている自治体の話なども聞いております。
そうしたことの中から、本当にもうけるだけのために入れないようにということで、これは関係六府省で政府の側としても検討してきた中で、経済産業省も入る形でそこを検討してきておりますので、御懸念のようなことがないように取り組んでいきたいと思っています。
○宮本委員 もう一つ言いましょうか。
今の資料、下から三行を見てください。「先ほども申し上げた通り、二〇〇九年から民主党へと政権が変わり、子育てに関する支援を拡充する方向性で動き始めています。 まさに「追い風業界」なのです。」こう言っていますよね。
まさに、では、民主党が選挙に勝てば、こういう業界、保育分野の企業参入は追い風になる、こう言われていますけれども、そういうことなんですか。
○小宮山国務大臣 それは、質のよい保育が、担い手がふえるという意味からすれば、追い風ということが必ずしも悪い意味だけだとは思いませんので、これから、子ども・子育てとか、それから介護、医療も含めまして、福祉の分野は経済成長をしていく分野という意味でも、ある意味では言えます。
そこで、どうやって質を担保するかということに関しましては、今回も相当いろいろなことを、可能な限りの知恵を働かせてやっていますので、御懸念のようなことがないように、いい形で、良質な株式会社が参入をし、事業が拡大できるということは、これは子供たちにとっても必要なことですし、日本のこれからの経済が発展していく分野という意味の捉え方も私は間違いでないというふうに思っています。
○宮本委員 いや、幾ら強弁しても、民間企業の側はそんなことは言っていないですよ。この中には、全ての子供の良質な生育環境を保障するために参入するんだとは書いていないですよ。この中に書いていることは、投資リスクが小さい、投資回収期間が短い、収益性も高い、こう書いているんですね。
収益性が高いというのは、規制緩和で基準がどんどん緩和されてきたからコストを下げることも可能になっている、そういうことにほかならないですよ。つまり、民間企業は、確かに全部とは言いませんよ、全部が悪いとは私たちも言いませんよ。しかし、大いにそういう意図で参入してくる。現に、こういうセミナーが次々開かれて、こういう動きになっている。これは事実じゃありませんか。
○小宮山国務大臣 こういうチラシが配られているということは事実かもしれませんが、私は、そういうことが、おっしゃるような御懸念がないような仕組みを今一生懸命つくっているということでございますので、そこは見解の相違だというふうに思います。
○宮本委員 私は、この十年というのは、まさに企業にとっては、そういうビジネスチャンス拡大の十年だったと思います。
同時に、その一方で、そうしたら、この小泉政権以来の規制緩和と企業参入、保育の市場化の十年というのは、子供自身や子供を持つ親たちにとってはどういう十年であったかということですよ。
二〇〇一年十二月に総合規制改革会議が取りまとめた規制改革に関する第一次答申、これによりますと、認可保育所基準の見直しや保育所への株式会社等の参入の促進、公立保育所の民間委託の促進など、保育分野の規制緩和の推進、これが打ち出されました。そして、きわめつけは、待機児童ゼロ作戦による、定員を上回る保育所への子供の詰め込みをやったわけですよ。
つまり、くしくもここで述べられているようなことを現にやってきた。これは事実としてお認めになりますね。
○小宮山国務大臣 待機児ゼロ作戦では、やはり待機児でいろいろ悩まれて先進的な取り組みをされている市や区などから御意見も伺って、子供の安全にかかわらないところの規制は緩和をいたしました。その結果、横浜市さんなどの場合は劇的に待機児が減ったという事情もございます。
もちろん、十分なスペースがあれば、いつも御党がおっしゃっているように、今の面積基準なども、国際的に見れば低い基準ですので、上げたいと思います。ただ、それでも、都市部などで場所がない中では、可能な限り質のよいものを子供たちに提供したいという意味から、いろいろ工夫をしなければいけない部分があるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 いやいや、安全にかかわらないところではと言うけれども、現に、子供たちの安全にとっては実に重大な事態が生じているんですよ。
資料四を見ていただきたい。
赤ちゃんの急死を考える会の人たちが、この間の保育施設での死亡事故件数を、一九八〇年代それから九〇年代、二〇〇〇年代と十年単位で集計したものがこのグラフであります。規制緩和が始まった二〇〇〇年代に激増しているというのは、一目瞭然、一目でわかりますね。
大臣、規制緩和とともに、この十年余り、子供の命が奪われ続けてきたというのは、動かしがたい事実ではありませんか。
○小宮山国務大臣 私も、赤ちゃんの急死を考える会の方たちとは、先週ですか、お会いをしていますし、これまでも何回もお会いをしていますので、そうした事故は決して起こってはいけないと思っていますし、そこへの対応については、先ほど申し上げたように、今回は、事故の報告も含めてさらに手厚くしていきたいというふうには思っています。
ただ、規制緩和をしたから、規制緩和をしたいい面もあるはずなんです。それは、子供たちを受け入れる幅が広がったとかですね。その中で、確かに、こういう事故の問題などについてはしっかりと対応しなきゃいけないと思いますが、規制緩和で株式会社が入ったのがすべて悪い方に結びつくというふうには私は考えておりません。
○宮本委員 いや、いい面があると言うけれども、親にとっては、我が子を失うということがどれほどの痛切な、悲しいことであるかはもうおわかりのとおりだと思うんですよ。だから、多少いい面があるから死亡事故がふえたって構わないという話はどこにもないわけであって。
事故報告をきちっととると今おっしゃったけれども、事故報告は今でもとっているんですよ。報告、公表の義務化など、当たり前のことなんです。子供にとって最も安全な場所であるはずの保育所で命を落とす、これほどの理不尽はないわけですから、これは一件たりともあってはならないことですね。
厚生労働省は、保育施設における死亡事例を公表しておりますけれども、保育園で起きた子供の死亡事故の発生件数は、二〇〇七年度以降どのように推移しているか。これは数で結構ですから、御答弁願えますか。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
都道府県等から厚生労働省へ報告されております保育施設におきます死亡事故の合計件数でございますけれども、二〇〇七年度は八件、二〇〇八年度は六件、二〇〇九年、ここは統計が変わっていますので二〇〇九年の四月から十二月分でございますが、六件、二〇一〇年に十二件、二〇一一年に十四件となっているところでございます。
○宮本委員 事故報告というのは昭和四十六年から行われてまいりました。ふえ続けている現状を我が党の高橋千鶴子議員が国会でも取り上げて、二〇一〇年一月から厚生労働省は詳細報告、詳細な報告を求めることにいたしました。しかし、今の報告にもあったように、二〇一〇年度は十二件、二〇一一年度は十四件と、二年連続二桁にふえているわけですね。小泉政権以来の規制緩和と企業参入、保育の市場化の十年余りというのは、いろいろ言いわけはするけれども、子供自身と子供を持つ親たちにとっては死亡事故激増の十年だったと、これはもう数として、事実として認めざるを得ないと思います。
では、具体例を挙げて少しお伺いをしたいと思うんですね。
二〇〇九年十一月に、大阪市の認可外保育施設で、四カ月の子供がうつ伏せ状態で発見され、亡くなる事故が発生しました。御両親は認可保育所への入所を希望していたわけですけれども、かなわずに、この認可外施設に入所して一週間後の事故でありました。
この日、施設では、保育士資格のない職員二人が乳幼児十八人を見ており、一人が給食の準備に入り、一人は他児の世話に追われるなどしていたことから、この子がいつうつ伏せになったのかもわからないという状況でした。認可外保育施設指導監督基準に定められている、昼寝など午睡時のチェックがどこまで行われていたのかも不明だと、これは報道ですけれども、報じられております。また、この施設では、預かっている子供たちに対して保育士ら有資格者が不足しているとして大阪市からは改善勧告が出されていたものの、改善されていなかったということであります。
この事故の詳細報告は、大臣、もちろん上がっておりますね。
○小宮山国務大臣 今の事故につきましては、厚生労働省として報告を受けています。
○宮本委員 その厚生労働省に提出された詳細報告の当日の状況というページを資料五におつけしてあります。
見ていただいたらわかるように、十分置きに様子を見ていた、こう書いてございます。
この日、施設では、保育士資格のない職員二人が乳幼児十八人を見ており、一人は給食の準備に入って、一人は他児の世話に追われておって、この子がいつうつ伏せになったのかもわからない、報道ではそう言っているんですけれども、この報告書には、十分置きに見ていましたよ、こう書いているわけですね。
それから、これは別の事故の詳細報告、これはまた別の事故ですよ。資料の六を見てください。
これは、宮城県大崎市の認可外保育所で、ことし一月六日に発生した事故の詳細報告書であります。発生状況の欄、十一時四十五分からきっちり十五分刻みで睡眠を確認した、そういう報告書になっております。最後に二十分間あいて、呼吸停止の状態を発見したことになっている。
こんな機械みたいな見回りが現場で本当にやられていると、大臣、思いますか。
○小宮山国務大臣 私がここであり得るかあり得ないかということを精査しないで申し上げることはできませんが、本当に子供たちを見ている現場というのは大変忙しくしているので、このように十五分置きにきちんきちんと見ているということはなかなか難しいかなというふうには思います。
○宮本委員 当たり前ですよ、それは。誰が見たっておかしいんですよ。
だから、こんな、判で押したような、十分ごとに見ていた、十五分ごとに見ていたなどということがあるわけがない。ならば、見ていたとすれば、なぜ子供が命を落とすような事故になったのかということになるじゃないですか。
厚労省は、こんな報告書を眺めていて、おかしいと思えば、その原因の究明、きちっと改めて調査をしてつかむ。やるのは当たり前だと思うんですけれども、ちゃんとやったんですか。
○小宮山国務大臣 それは、こうした子供の命が失われるというような重大事故についてしっかり検証するというのは当然なことだと思いますので、どのようにこれまで検証しているかをしっかりと報告を受けて、さらに必要があれば、きちんとそこは精査をするようにということを私の方から指示をしたいというふうに思います。
○宮本委員 今でも本当にこういうずさんな状況なんですね。
それでは、新システムになると、このような事故は根絶されるのか、その保証が本当にあるのかという問題です。
先ほどの大阪市の事故で子供を亡くされた親御さんは、今、認可保育所ではなく、保育ママや認可外の保育施設を活用して待機児童を解消する施策が出されています、うちの子は、認可外の保育施設で、資格のない職員が保育する環境で、四カ月で亡くなりました、私は、保育環境をよくしたいです、みんなが認可保育所に入所できるようにしたいですと切々と訴えておられます。
なぜ、きちんと認可保育所をふやすということで待機児童の解消をきちっと責任を持って進めないんですか。いかがですか。
○小宮山国務大臣 今回の新システムの中では、こども園などの指定権者となります市町村が、事故防止に関して、指定の際に、施設が質の確保のための客観的な基準を満たしているか否か、それをしっかりと判断してまず指定を行うということ。その指定基準を満たしていることを五年ごとに確認するということ。また、指定業者が指定基準に従って事業を実施するように、立入検査とか指導監督を徹底して、しっかりとそこの監督ができるようにするということ。それからまた、従来認可外施設である施設も、こども園の指定を受けることで、指定基準に基づいて事故の発生防止を徹底していくことができるというふうに考えています。
国としましても、指定基準ですとか総合こども園の保育要領などの策定に当たりまして、子供の安全が守られるように、専門家ですとか現場の御意見も伺いながら、実効性がある運用ができるように必要な方策をつくっていきたいと思います。
御党の御主張の、認可保育所をふやしていけばいいという点ですけれども、特に、待機児さんが多いところでは、まず場所がないというようなことがあります。私の地元の世田谷も非常に、待機児さんが最も多い、ワースト幾つと言われるところで、苦労をしています。それで、公園の中ですとか公用地ですとか、いろいろなところも使ってやっていますけれども、場所がない。
そういう中で、先日来申し上げているように、同じ就学前の子供を預かる幼稚園は、三割あきがあるんです。そうだとしたら、そうしたところを使えるようにしたいというふうに思っています。
先ほどから御指摘のある株式会社あるいはNPOなど、しっかりと良質なものを提供する意欲のあるところには、幅広く、一定の基準を満たしたところは指定をするという形で、認可以上に幅を広げて、質を守る、安全を守るということは当然なことですが、もっと幅を広げていかないと、これまでの仕組みの中では、どんどん待機児さんも、今はどうせ入れないからといって諦めている、そういう方たちも含めて、潜在的な待機児さんがいるので、そこのニーズ調査もして、しっかりとその多様なニーズに応える形にしたいと思っていますので、今の、認可をふやせばいいという、それだけではなかなかできないと私どもは考えています。
○宮本委員 いや、ちゃんと的確に答えていただきたいんですけれども。認可というものをふやすという方向でなぜ努力しないのかと私は聞いたんですよ。
とにかく場所がない、それで、今回は指定制度を導入するんだというんですね。指定に当たっては、さまざまな基準を満たしているかどうかチェックするんだというんですね。
では、その指定を行う指定権者、これはどこになりますか。誰になりますか。
○小宮山国務大臣 指定を行うのは市町村です。
○宮本委員 この大阪市の認可外保育所の死亡事故をめぐっては、大阪府警都島署が昨年五月三十一日、元実質経営者ら四人を業務上過失致死容疑で大阪地検に書類送検をいたしました。
また、同じく昨年五月、両親が、うつ伏せ寝を放置した注意義務違反があり、大阪市も適切な指導監督権限を行使しなかったとして、市と運営会社、元実質経営者などに対し損害賠償を求めて大阪地裁に提訴、今、裁判が続いております。
しかし、この民事裁判で、改善命令は出したものの閉鎖命令を出さなかった責任を問われている大阪市は、次のような反論書を提出しているんです。
一つ、指導監督の権限は大阪市にあり、権限を行使するかどうかは大阪市の裁量だ、権限を行使しなくても裁量の範囲内で責任はない。二つ、他の認可外施設でも保育士数の不足等改善命令が出されているところもあるので、この施設にだけ閉鎖命令を出すことは営業の自由を侵害する。三つ、限られた予算しかない大阪市の待機児童対策の中で、この施設に閉鎖命令を出すことは、助かっている保護者の利益に反する。
こう言って、死亡事故が起こっても、そういう閉鎖命令というようなことをやらなかったのは当然なんだという反論書を提出しているわけですよ。
指定権者の指導監督の権限を強化するというけれども、肝心の指定権者である市町村を見ると、大阪市では今でさえこんな姿勢なんです。これでどうやって子供たちの命を守るのか。
乳幼児を預かる施設としての基準さえ守れない施設があること、また、限られた予算しかない中で待機児童の解消のためには仕方がないなどと言ってそうした施設を放置している自治体があることを厚生労働省は放置するんですか。いかがですか。
〔委員長退席、古本委員長代理着席〕
○小宮山国務大臣 今、大阪の方の御主張の中に限られた財源ということがございましたが、今回、安定的な財源を確保して、しっかりとそこに財政措置をしたいというふうに思っています。
それで、大阪市がそういうふうに言われているということは、それは適切ではないと思いますので、厚生労働省としても指導したいというふうに思います。
○宮本委員 本当にこういう姿勢を正していただかなきゃならないし、市町村が指定権者だから大丈夫という話に全然ならないですね。だから私たちは、国が責任を持って、国でやはり最低基準というものは、きちっとした基準というものは守るべきだということを申し上げているわけですよ。
ことし一月二十七日に発表された保育施設での二〇一一年分の死亡事故数というのは、先ほど報告があったように十四件に達しております。詳細報告を見ますと、その八五%がゼロから一歳児、また十四名の全てが午睡中に心肺停止もしくは死亡状態で発見されております。また、そのうちの十一名がうつ伏せ寝で発見をされているわけです。
赤ちゃんの急死を考える会では、午睡中の目配りの励行、低年齢児のうつ伏せ寝放置をやめる、そして問題を感じる認可外には預けない、この三点の実施で死亡事故は一定防げると分析をされております。
厚労省は、うつ伏せ寝が原因というこの指摘に対してどういう措置をとっておりますか。
○小宮山国務大臣 うつ伏せ寝は乳幼児突然死症候群のリスク要因として指摘をされています。このため、厚生労働省としましては、保育所保育指針の解説書で、午睡中のうつ伏せ寝をなるべく避けるということ、やむを得ずうつ伏せにする場合には子供のそばを離れないようにすることなどを記載しまして、注意喚起をしています。こうした保育所保育指針の解説書については、厚労省のホームページでの閲覧を可能にするなど、関係者に少しでも周知するように努めているところです。
○宮本委員 こういうことも含めて、やはり医科学的な調査分析をきちっとして、そして再発防止に万全を期すことは当然だと思うんですね。
厚生労働大臣は、先ほどお話しになったように、十四日、赤ちゃんの急死を考える会から、保育園での死亡事故をなくすための要請をお受けになりました。このときに、事故の報告や公表については新システムの中でも行えるよう検討していくと話されたということでありますけれども、このとき、同時にこの会の皆さんが求めた第三者による事故の検証については言及がなかったと報じられております。
子供の命を預かる施設を所管する官庁として、やはり第三者機関をきちっと設置して、責任を持って事故の医科学的な検証を行い、再発防止と事故の根絶に努めるべきだ、こう思いますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○小宮山国務大臣 お目にかかったとき、第三者機関について言及がなかったということなんですが、それぞれ当事者の方からの本当に切々たるいろいろな実情の御報告などがあって、時間がちょっと限られていたのでお返事できなかったということで、やらないということではございません。
こども園などで事故が発生した場合に、事故情報を行政として集積していく、そして、集積した情報を分析し、再発防止のための方策、指定基準や総合こども園保育指導要領などの改善にも生かしていくということを検討したいと思いますし、先ほど高木委員にもお答えしたように、これを公表して、利用者の方が選択をする際のしっかりとした情報提供に資したいというふうに思っています。
また、指定権者であります市町村による立入検査、指導監督など、これが事故の再発防止にも非常に重要だと思っていますので、この指導監督の運用のあり方などについて、実効性のあるものになりますように検討したい、また、取り組みのよい事例集を策定するとか、状況に応じて抜き打ち監査などもするようにというようなことも含めて検討していきたいと思っています。
○宮本委員 本当にこれは、根絶するまで責任を持って進めていただきたいというふうに思うんですね。
もう一つ、子供の死亡事故の事例を取り上げたいと思います。これは、先ほど高木委員が取り上げた事件です。
二〇一〇年、愛知県碧南市の民間保育園で、一歳の子がおやつの最中に死亡する事故が起きました。おやつを喉に詰まらせ、病院に運ばれた。すぐに行ってくださいとの知らせに、病院に駆けつけたとき親御さんがそこに見たのは、人工呼吸器をつけ、チューブにつながれた我が子の無残な姿でありました。
それから、御両親は仕事を休み、つきっきりで看病された。心拍数が下がっても、お母さんがチューブにつながれた我が子をだっこすると、また心拍数が再上昇したというんですね。しかし、看病もむなしく、一カ月余りでその子はお母さんの胸の中で息を引き取りました。一歳五カ月ということであります。
この事故がなぜ起きたのか知りたい、これはもう御遺族の当然の思いでありますし、そこがわからなければやりきれないわけですよ。納得などもちろんできませんが、もういても立ってもいられないわけですね。遺族が何度も保育園に足を運び、聞き取り調査を行って明らかになったのは、保育士が見守りを怠ったこととともに、最低基準の詰め込み保育の実態でした。
愛知県や碧南市は、二歳未満の全ての子供に、寝ている状態の子の基準である一人当たり一・六五平米が確保されていればいいという独自の運用をしていたということが明らかになっております。これは事務方でいいですが、厚労省、この運用は正しいですか。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のゼロから一歳児の居室面積基準でございますけれども、匍匐できない乳幼児につきましては一人当たり一・六五平米、それから、匍匐、はいはいできる乳幼児については一人当たり三・三平米以上ということでございますので、一律一・六五ということでは、適切ではないと考えております。
○宮本委員 そのとおりなんですよ。正しい基準に照らせば、亡くなったこの子のいた部屋には十八人しか受け入れられないはずなのに、事故当時、ゼロ歳児から二歳児まで、二十六人もの子供がその部屋に詰め込まれていた。面積基準も子供の命にまさにかかわるものですね。
ところが、小宮山大臣は答弁で、しばしば、人員基準とか子供たちの安心、安全にかかわるところはしっかりと従うべき基準にしてありますなどと、人員基準は安全にかかわるが、まるで面積基準は安心、安全にかかわらないかのような答弁を行っておられます。
子供のための安心、安全にかかわるところはしっかり守るというのであれば、面積基準も当然従うべき基準にすべきだと思いますけれども、いかがですか。
○小宮山国務大臣 地域型の保育事業の指定基準、これも、こども園と同様に、国が示した基準を参酌して市町村が地域の実情に基づいて条例で定めることにしてあります。
地域型保育事業は、大都市部ですとか子供の数が減少している地域などで、それぞれの地域のニーズに柔軟に対応して公用スペースを活用、供用するとか、機動的に整備をしていくことが必要ですので、面積基準を、従うべき基準ではなくて参酌すべき基準としています。
市町村が条例を制定するに当たりましては、市町村議会を通じて、地域住民に対して、どういう面積を基準とするのか、説明責任を果たしながら、質が確保された客観的な基準、これを定めていただきたいと考えています。
○宮本委員 いやいや、その従うべき基準にせずに参酌基準にしても質が確保された基準になるのだ、その保証がどこにあるんですかと私は聞いているんです。
○小宮山国務大臣 これは、参酌すべき基準としましても、先ほどから申し上げているように、地域の中でも、子ども・子育て会議、当事者の皆様も入っていただいた会議で、計画を作成するところから参画をしていただき、どのように運営されているかもチェックしていただくということも含めまして、ここは、なるべくそれぞれの地域の実情に合わせて、ニーズに対応する部分をふやしたいということで参酌基準にしてありますが、子供の安心につきましては、そこは市町村の方で、議会とかでも、条例を制定する際にも、先ほど申し上げたように、当然、子供の安全ということは考慮をして作成されるものだと考えています。
○宮本委員 いや、全然、そんな子供の安全を確保するものになっていないんですね。
前回のこの委員会のやりとりでも、現状で既に面積基準は参酌基準になっておりますという答弁が小宮山大臣からありましたけれども、なるほど、昨年五月に実施された地域主権改革による児童福祉法改正の結果、現在、待機児童が多いなどの理由で厚生労働大臣が定める地域では、国が一律に定める認可保育所の乳幼児一人当たりの床面積を、条例によって保育所の面積基準を緩和できる、こうなっております。
厚労大臣により指定されている自治体は、今、全国で何市町村で、実際に条例によって切り下げを決めたという自治体はどれぐらいあるのか。これは事務方で結構ですので、答弁していただけますか。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
大臣が決めております市区町村は、三十五市区町村でございます。
それから、条例を決めておる地域でございますけれども、東京都と大阪市が決めているというふうに承知いたしております。
○宮本委員 ちなみに、東京都と大阪市、それぞれどういう基準を決めたか、御答弁いただけますか。
○高井政府参考人 まず、東京都でございますけれども、乳児室、匍匐室、二歳未満児についてでございますけれども、これにつきましては二・五平米にするということでございます。
それから、大阪市の方でございますけれども、乳児室、匍匐室については一・六五平米を下回らない範囲で保育が実施できるというふうに条例で決めているというふうに承知いたしております。
○宮本委員 そうなんですよ。私の地元大阪市では、一・六五平米に条例で引き下げたわけですよ、ことし四月から。もう実施されているんですよ。平成二十六年度末までの期限つきとはいえ、ゼロから五歳児、一人当たりの面積基準を、畳約一畳分、つまり一・六五平米に引き下げてしまった。
これまでは、大阪市というのは、国の基準を上回る、ゼロ歳児では五・〇平米、一歳児は三・三平米、二歳児以上児一・九八平米としており、この切り下げによって、子供一人当たりの面積は激減することになります。
大阪弁護士会では、都道府県が定める基準は、「児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならない。」とした児童福祉法四十五条第一項に照らしても、この大阪市の一・六五という基準は、保育所で生活する子供たちの生存と安全を最低限保障する観点から策定されていないと、引き下げに強く反対をされております。
厚生労働省は、大阪弁護士会が生存と安全を最低限保障するものではないと指摘するようなこの最低基準の引き下げ、これも待機児童解消のためならやむなしとお認めになるということですか、大臣。
○小宮山国務大臣 今局長がお答えしたような待機児さんが多い地域では、参酌基準としてそれぞれのところで定められるようにしてございますので、そうした仕組みの中でそうした措置がとられているということだと思っています。
○宮本委員 先ほど指摘をした愛知県碧南市では、誤った運用によって一・六五ということになっていた、そのことがいたいけな子供の死亡事故につながったのではないかと大問題になっているわけですよ。そのときに、一方で、待機児さんが多いところではしようがないんだといって、そのまさに一・六五に引き下げるのを、ああ、そうですかと、とてもじゃないが言えるものじゃありません。
もう一度答弁してください。どうやって子供の安全を守るんですか、これで。
○小宮山国務大臣 子供の安全、命を守ることは当然一番大事なことだということは、私もよくわかっています。
ただ、今、待機児さんが多いところについては、なるべく子供たちの必要度、親の必要度に合わせて受けとめられるような仕組みをということで、こういう待機児がいる間に限って、そこの地域をなるべく狭くする、少なくする努力は最大限厚労省としてもいたしました。
それでも、今局長が御答弁させていただいた場所ではそういう仕組みをとっているので、そこでは、市議会なりそうしたところでしっかりと安全性をチェックしていただけるように、厚生労働省としても指導監督をしていきたいというふうに思っています。
○宮本委員 無責任ですよ、そんなのは。しっかり子供たちの安全と安心、命を守るというんだったら、やはりきちっとした面積基準を、国が責任を果たすのは当たり前であって、それを、参酌基準だといって、まさに愛知県では死亡事故が起こっているような基準に下げるのを、ああ、そうですかと放置するのは許されないということを重ねて申し上げなきゃならぬと思っているんです。
それで、最低基準については、厚労省は、子供たちの安全、安心、保育の質にかかわるとして、自治体に守らせるという立場だったはずなんです、これまでは。それが、子ども・子育て新システムによって創設される総合こども園の設備及び運営基準については、主務省令で定める基準に従う事項と、それを参酌する事項に分けてしまうわけですね、今回。なぜそういうふうに分けたんですか、大臣。
○小宮山国務大臣 それは、新システムの中で、こども園につきましては、今までの現行制度と同じように、職員の配置数、居室の面積、子供の健全な発展等に密接に関連するもの、こうしたことは従うべき基準にしてございます。
ただ、先ほど申し上げたように、地域型保育については、待機児の状況ですとか、子供が少ない、非常にいろいろな地域の状況などから、これは自治体からのいろいろな御要請もございまして、そういう意味で面積基準を地域型保育については参酌すべき基準としたところでございますので、これは実施主体となる市町村の御意向なども伺った上で、子供たちの安全ということはもちろん第一ですけれども、実施主体である市町村が適切に運用していけるようにしていきたいというふうに思っています。
○宮本委員 いや、適切になりませんよね。だからこそ、日弁連も、同一内容の基準とすべきだ、かつ、保育の質を保ち、子供の保育を受ける権利を実質的に保障するため、全国的に現行の保育所最低基準以上の基準となるような仕組みにすべきであるとの意見書を発しておりますし、日本保育学会保育政策研究委員会も同様の指摘を行っております。
この目的に沿って、良質な生育環境を保障すると本当に政府が言うのであれば、現行の最低基準を引き上げる方向で検討することこそ必要だと言わなければなりません。
大体、二〇〇九年に全国社会福祉協議会が発表した、機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業では、現行の最低基準についてどのように述べているか、これは事務方でいいので、お答えいただけますか。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
二十一年の全国社会福祉協議会の研究でございますけれども、読み上げますと、
現在の面積基準をさらに切り下げることや、切り下げられるような仕組みを導入することは、一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難とするものであることから、少なくとも、現行の最低基準以上のものとなるよう取組みを進めることが重要である。
いずれにしても、今回の研究事業に係る面積基準等については、現在の保育所の収容能力や、国や地方自治体の財政状況などその他の事情も含め総合的に勘案しつつ、国においても議論を行い、現在の最低基準とともに、その最終的な取扱いを決めるべきである。
と評価されております。
○宮本委員 この報告書、私も持っておりますけれども、「検討を行う場合は、少なくとも、現行の最低基準以上のものとなる方向で行うことが重要である。」と。二〇〇九年ですから、わずか三年前にははっきりそういう立場をとっていたわけですよ。それが、今回でいえば、切り下げもオーケーという話になっている。
全く、従来の厚労省の立場に照らしてもおかしいんじゃないですか、大臣。いかがですか。
○小宮山国務大臣 今回、基本的には、質の高いさまざまな、多様な仕組みを子供のためにつくりたいというのが基本的な考え方です。その質の確保のために客観的な基準を定めることにしていますし、今回、恒久的な財源を確保した上で、質の改善にも〇・七兆の中でも〇・三兆充てたいと思っていますし、さらに、御議論のある三千億を加えました一兆円超えたところでも質の改善にはしっかりと取り組んでいきたいというふうには思っています。
具体的な基準につきましては、国の従うべき基準、参酌すべき基準、これに基づいて市町村が条例で定めることになりますが、こども園については、現在の幼保連携型認定こども園の基準を基礎としながら制度施行までに検討することにしています。その際に、学校教育、保育の質の確保、向上の観点から、職員配置基準の引き上げなどを検討したいと考えています。
また、地域型保育事業につきましても、家庭的保育のように、既に基準があるものは、現行の基準を基礎として検討します。それ以外の、小規模保育など現在基準が存在していないものについても、質の確保を図りながら、国としても基準を検討していきたいと思っているところです。
〔古本委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 いや、全然、そんな質の確保なんというのは、今の話でいうと、基準そのものが下がっちゃうんですから、確保されないのは明瞭だと思うんですね。
それで、私は、やはり本当に今、子供たちにとって、この事態というのはゆゆしきことだと思うんですよ。
先ほど、民間参入、何もかも悪くはないんだという話がございました。それは、もうけ本位で入ってくる民間企業ばかりではないでしょうと言いましたけれども、そしたら、民間企業がもうけ本位でやって、物すごくもうけが上がっている場合は潰れることはないでしょうけれども、逆に今度は民間企業が倒産するということも起こり得るわけですね。
現に、二〇〇八年に、首都圏で保育園や学童保育事業を展開していたある企業が資金繰りに行き詰まって倒産するという事件が起こりました。このときは、とにかく、まだ児童福祉法の改正後の最初に起きた事件でありましたけれども、その後、横浜やあるいは東京都もそれなりに対応して何とか行き先をきちっと見つけたということが、これは厚労省から既に報告を受けました。
それで、もしこういう事態が新システムのもとで起こったらどうなるのか。本当に倒産という事態になったらどうなるんですか。
○小宮山国務大臣 新システムでは、事業者が撤退するに当たりましては、三カ月以上の予告期間を設定するということ、利用している児童がほかの施設などを継続的に利用できるようにするための調整義務を課しています。
御指摘のように、突然の倒産などで利用調整の義務を果たさずに撤退したような場合には、指定の欠格事由に該当することになりまして、関係者も含めて五年間は再度参入ができないというペナルティーを科すことにしています。
この施設に入所していた子供については、市町村が責任を持ってほかの施設との間で連絡調整などを行いまして、次の施設に入所できるようあっせん、要請をすることにしています。
事業者が万が一倒産した場合に子供たちが行き場を失うことがないように、セーフティーネットを準備していきたいと思います。
○宮本委員 そんな、三カ月前の予告とか、ほかの施設等で継続的に利用できるようにするための調整義務とかいいましても、企業が倒産するときに、三カ月後ぐらいに倒れますよという話はないんですよ。大体、我々が見ている企業倒産の光景というのは、ある朝突然シャッターが閉まり、張り紙が張ってある、そして、それ以降は代理人弁護士が出てきて全部対応する、これが民間企業の倒産の光景ですから。欠格事由になるといったって、もう倒産しているんですから、欠格で当たり前なんですけれどもね。そんなもの、何の歯どめにもなりませんよ。
だから、本当にそういう意味では、今度のシステムというものは子供たちの利益に反するということを申し上げなくてはなりません。
きょうは、子ども・子育て新システムの三法案について、保育の現場で命を落とし続けている子供の死亡事故の現実に照らして、これが事故を根絶するどころか、公的な責任を放棄することによって一層事態を深刻化させる危険があるということを明らかにしてまいりました。
新システムというものは、政府が言うように、全ての子供の良質な生育環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援することを目的としたものではありません。それは、小泉政権以来、この十年余り進められてきた企業参入と保育の市場化を推し進め、それを完成させるものにほかならないと思います。もう保育に公的責任を果たすことはやめた、保育の実施義務は投げ捨てて、企業に大いにもうけてもらいましょう、そして、公費負担が必要な分は消費税を一〇%に引き上げて国民から取ろう、こういうことであります。
このような子ども・子育て新システム三法案はきっぱり撤回することを求めて、私の質問を終わります。