本分科会は平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。
三月二日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
今井 雅人君 岸本 周平君
武正 公一君 橋本 博明君
石破 茂君 山本 幸三君
三月二日
武正公一君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成二十四年三月五日(月曜日)
午前八時開議
出席分科員
主査 武正 公一君
今井 雅人君 小野塚勝俊君
神山 洋介君 岸本 周平君
小山 展弘君 長島 一由君
橋本 博明君 畑 浩治君
三宅 雪子君 本村賢太郎君
石破 茂君 近藤三津枝君
長島 忠美君 山本 幸三君
兼務 あべ 俊子君 兼務 赤澤 亮正君
兼務 馳 浩君 兼務 大口 善徳君
兼務 宮本 岳志君 兼務 渡辺浩一郎君
兼務 照屋 寛徳君 兼務 山内 康一君
…………………………………
国務大臣
(行政改革担当)
(公務員制度改革担当)
(社会保障・税一体改革担当)
(行政刷新担当) 岡田 克也君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(地域主権推進担当)
(地域活性化担当) 川端 達夫君
国務大臣
(原子力経済被害担当)
(原子力損害賠償支援機構担当) 枝野 幸男君
国務大臣
(原発事故の収束及び再発防止担当)
(原子力行政担当) 細野 豪志君
防衛大臣 田中 直紀君
国務大臣
(内閣官房長官) 藤村 修君
国務大臣
(復興大臣)
(東日本大震災総括担当) 平野 達男君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(消費者及び食品安全担当)
(拉致問題担当) 松原 仁君
国務大臣
(郵政改革担当)
(金融担当) 自見庄三郎君
国務大臣
(国家戦略担当)
(経済財政政策担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙開発担当) 古川 元久君
国務大臣
(防災担当)
(「新しい公共」担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 中川 正春君
内閣官房副長官 齋藤 勁君
復興副大臣 末松 義規君
内閣府副大臣 後藤 斎君
内閣府副大臣 中塚 一宏君
文部科学副大臣 森 ゆうこ君
国土交通副大臣 吉田おさむ君
防衛副大臣 渡辺 周君
内閣府大臣政務官 大串 博志君
総務大臣政務官 森田 高君
文部科学大臣政務官 城井 崇君
復興大臣政務官 津川 祥吾君
環境大臣政務官 高山 智司君
防衛大臣政務官 下条 みつ君
防衛大臣政務官 神風 英男君
衆議院事務総長 鬼塚 誠君
参議院事務総長 橋本 雅史君
裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君
裁判官訴追委員会事務局長 杉若 吉彦君
国立国会図書館長 長尾 真君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 山本 庸幸君
政府特別補佐人
(人事院総裁) 江利川 毅君
会計検査院長 重松 博之君
最高裁判所事務総長 山崎 敏充君
最高裁判所事務総局民事局長 永野 厚郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 種谷 良二君
政府参考人
(内閣官房社会保障改革担当室長) 中村 秀一君
政府参考人
(内閣府行政刷新会議事務局次長) 冨永 哲夫君
政府参考人
(内閣府行政刷新会議事務局公共サービス改革担当事務局長) 舘 逸志君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 村木 厚子君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 竹澤 正明君
政府参考人
(宮内庁次長) 風岡 典之君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 岩瀬 充明君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 舟本 馨君
政府参考人
(金融庁総務企画局長) 森本 学君
政府参考人
(金融庁監督局長) 細溝 清史君
政府参考人
(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 岳野万里夫君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 井波 哲尚君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 田中 順一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森岡 雅人君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 桑田 俊一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 石井 淳子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 蒲原 基道君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房統計情報部長) 伊澤 章君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 加藤 洋一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 花岡 洋文君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 吉崎 収君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局砂防部長) 南 哲行君
政府参考人
(国土交通省鉄道局次長) 田村明比古君
政府参考人
(気象庁予報部長) 西出 則武君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 西 正典君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 松本隆太郎君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 枡田 一彦君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 山内 正和君
内閣委員会専門員 雨宮 由卓君
財務金融委員会専門員 北村 治則君
安全保障委員会専門員 湯澤 勉君
予算委員会専門員 春日 昇君
―――――――――――――
分科員の異動
三月五日
辞任 補欠選任
岸本 周平君 三宅 雪子君
橋本 博明君 小野塚勝俊君
山本 幸三君 近藤三津枝君
同日
辞任 補欠選任
小野塚勝俊君 菅川 洋君
三宅 雪子君 本村賢太郎君
近藤三津枝君 長島 忠美君
同日
辞任 補欠選任
菅川 洋君 神山 洋介君
本村賢太郎君 橋本 勉君
長島 忠美君 山本 幸三君
同日
辞任 補欠選任
神山 洋介君 皆吉 稲生君
橋本 勉君 長島 一由君
同日
辞任 補欠選任
長島 一由君 小山 展弘君
皆吉 稲生君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
小山 展弘君 畑 浩治君
高井 崇志君 橋本 博明君
同日
辞任 補欠選任
畑 浩治君 岸本 周平君
同日
第二分科員赤澤亮正君、照屋寛徳君、第三分科員あべ俊子君、第四分科員馳浩君、大口善徳君、第六分科員渡辺浩一郎君、第七分科員宮本岳志君及び第八分科員山内康一君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
平成二十四年度一般会計予算
平成二十四年度特別会計予算
平成二十四年度政府関係機関予算
(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)
――――◇―――――
○今井主査代理 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。
次に、宮本岳志君。
○宮本分科員 日本共産党の宮本岳志です。
昨年九月に紀伊半島を襲った台風十二号災害の復旧復興の問題で質問いたします。
まず、このパネルを見ていただきたいんです。これは、昨年の九月九日、衆議院災害対策特別委員会の閉会中審査で私が取り上げた、奈良県、大滝ダムのある川上村迫地区で発生した深層崩壊現場の、昨年九月七日、災害直後の写真なんですね。
あのとき、私の質問に対し、国土交通省の関水管理・国土保全局長は、この土砂の崩落箇所について、「深層崩壊に起因する土砂の崩壊である」、こういう答弁をいたしました。私が、そうであるならば、「徹底的に国土交通省と奈良県で調査を行って、改めて万全の対策を国の責任においてとる必要がある」、こう指摘したのに対して、奥田国交副大臣は、「国としても、今回の災害の大きさにかんがみ、奈良県に対し最大限の支援を行い、土砂災害が発生した箇所による再度災害の防止を図り、地域の安全、安心の確保に努めてまいるつもりであります。」こういう答弁をされたわけです。
あれから半年たちまして、次にこのパネルを見ていただきたいんですが、これが二月二十七日時点の同じ場所のパネルであります。崩落面の木は取り除かれたものの、傷跡はまだこのように生々しいものであります。
まず聞くんですけれども、国道百六十九号迫地区の災害復旧事業のスケジュールはどのようになっているか、国交省、お答えいただけますか。
○南政府参考人 国道百六十九号迫地区につきましては、被災直後から対岸の迂回路を確保しておりますが、大きく迂回しなければならないという状況になっているために、現在、仮設の工事を進めております。平成二十四年四月中旬までには利用可能となる予定になっております。
また、橋梁工事を実施するためののり面対策につきましては、平成二十四年三月末から着手いたしまして、平成二十四年九月ごろを目途に完成させる予定になっております。その後、橋梁工事に着手いたしまして、平成二十六年三月末を目途に完成させる予定になってございます。
以上でございます。
○宮本分科員 こののり面の工事ですけれども、二十四年三月末から着手すると。つまり、表層の木などは取り除いたわけですけれども、深層崩壊場所ののり面対策工というのは三月末ですから、まだ来ていない、まだ手つかずの状況なんですね。
ところが、昨年の十二月十五日から、大滝ダムの試験湛水というものが開始されました。深層崩壊のメカニズムの解明もまだまだこれからという状況で、深層崩壊以前から行ってきた白屋地区の地すべり対策は完了したんですけれども、だからといって早々と試験湛水を開始する、これでは到底地域住民の納得は得られない、不安は拭えないと私は思うんですけれども、これは国交省、いかがですか。
○南政府参考人 大滝ダムにつきましては、先ほど御指摘のように、昨年の十二月より、ダムや貯水池の安全性を最終的に確認する試験湛水を行っております。
試験湛水の開始に当たりましては、台風十二号災害を受けまして、貯水池斜面の変状等について、臨時点検を行った上で専門家による調査を実施いたしまして、試験湛水実施に際しての問題がないかどうかを確認しております。加えて、斜面を観測する機器を追加設置いたしまして、湛水に伴う貯水池周辺斜面の変異の早期把握に備えた監視観測体制の強化を行っております。
なお、これらの点検、調査の結果や監視観測体制の強化につきましては、試験湛水に先立ち、川上村等の地元の自治体に説明いたしまして、あらかじめ承知いただいておるところでございます。
○宮本分科員 私は現場で聞いたんですけれども、住民は、ダム湖に沿った道を走るたびに、徐々に水が上がっていくのを見ながらも、不安の思いは拭えないまま見守っている、こういう声も聞きました。
奈良県議会の議論を見ておりましても、今後の安全、安心のためには深層崩壊のメカニズム解明は不可欠だ、こういう立場で、国に強く要望しているわけですね。それで、奈良県知事からも、紀伊半島大水害の復旧・復興に係る国・三県合同対策会議の場で、繰り返し深層崩壊メカニズムの解明と対策研究の推進が要望されているはずです。
そこで、この深層崩壊メカニズムの解明と対策の究明というものはなされたんですか。国交省、いかがですか。
○南政府参考人 国土交通省では、これまでも深層崩壊の調査に取り組んでおりまして、その成果といたしまして、平成二十二年八月に深層崩壊推定頻度マップというものを公表しております。
今後も、引き続き、大学や研究機関と連携いたしまして、深層崩壊の危険性の高い場所や崩壊が発生する時期を特定する手法の研究に努めますとともに、崩壊が発生した場合の被害を軽減するための対策方法についても検討してまいる所存でございます。
○宮本分科員 大学との連携と今おっしゃったんですけれども、土砂流出に関する技術開発研究という資料をいただきました。これを見ますと、平成二十三年度から始めて最長三年という研究期間になっているんですね。だから、この研究が終わるのは二十六年三月末ということになります。ですから、まだまだこの深層崩壊メカニズムというものはよくわかっていないわけですよ。まだ研究は始まったばかり。こういう状況のもとで早々と試験湛水に踏み切ったということは、私は問題ありだと言わざるを得ないと思っております。
大臣、この大滝ダムは、一九六二年の計画決定以来、実に半世紀という長い歳月をかけてきたダムなんですね。当初の建設事業費は二百三十億円でありました。これが、この間六回に上る計画変更を行って、私ずっと計算しましたけれども、今日までに実に三千七百六十億円という額が費やされてきたわけですね。
それで、今回の試験湛水で、万が一にも、新たに二〇〇三年のような地すべりが発生したり、あるいは、先ほど重大な変状が見られなかったとおっしゃったけれども、試験湛水によって新たに深層崩壊箇所に重大な変状が見られた場合には、再び試験湛水を中止することも含めて、安全第一で対処すべきだ、こう思いますけれども、これは国交省、よろしいですね。
○南政府参考人 試験湛水中につきましては、あらかじめ定められました計器、観測機器、今、自動観測機器百九十八機を現地に置いておりますが、そういった観測機器によりまして、貯水池周辺の地山も含む安全性を随時確認しておるところでございます。
万が一地すべりの兆候が認められた場合には、状況を踏まえながら、まず安全第一に適切な対応をとってまいるということでございます。
以上です。
○宮本分科員 さて、私たちは、災害からの復旧復興といった場合に、東日本の大震災でも、全ての被災者、被災事業者を対象に、破壊された生活となりわいの回復を支援し、地域社会、地域経済の全体を再建することを目的とした施策を実行することがどうしても必要だ、こういうふうに指摘をしてまいりました。その点で、この台風十二号の被災地の現状も、生活となりわいの復興という点では道遠しと言わなければなりません。
私は、去る二月二十六日、二十七日、台風で甚大な被害を受けた奈良県天川村、それから先ほどのダムのある川上村に入り、住民の皆さんからお話を伺ってまいりました。
天川村は奈良県の中央部に位置する村で、キャッチフレーズは「天の国・木の国・川の国」、こういうふうに言われるように、熊野川の源流である天ノ川を中心とした観光と林業が産業の中心です。この間、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録され、その主要構成要素である修験道の山、大峰山があることから、山深い自然と、アユやアマゴが泳ぐ渓流を観光資源とした観光産業が比重を高めてまいりました。
ところが、今回の台風十二号の災害で、山と渓流が深刻な打撃を受けました。このままでは、暮らしもなりわいも再建のめどすら立たないという悲鳴のような声を聞いてまいりました。
そこで、まず生活再建支援金の支給基準について大臣にお伺いします。
被災者生活再建支援制度というのは、言うまでもなく、自然災害により住宅が全壊や半壊した場合に被災者に生活再建支援金を支給するという制度ですけれども、これが住宅の被害に限られているために、店舗と一体となったような住宅の場合に、店舗に壊滅的な被害を受けても、居住部分が無事ならば支援金が受けられないといった声が出されております。
そこで、例えば二階建ての店舗つき住宅で一階が店舗の場合に、一階の店舗が浸水被害を受けて、建てかえなければ到底使用できないような状況になった、二階の居住部分には浸水がなかったというような場合に、つまり一階の打撃が二階にも連動しておって建物全体として建てかえなければならなくなった場合、生活再建支援金の支給対象になるのかどうか、お答えいただけますか。
○中川国務大臣 お尋ねの、二階建ての店舗兼住宅のようなケースでありますが、居住部分を含む建物が住家被害として半壊である、または居住部分を含む建物の敷地に被害が生じている。これのいずれかに該当して、当該住宅の倒壊による危険を防止するために必要があること、そして当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額になること、その他これらに準ずるやむを得ない事由のいずれかにより、当該住宅を解体し、または解体されるに至ったケースに該当すれば、結果としては支援法上の被災世帯となって支援金が支給されるということであります。
○宮本分科員 内閣府は、そういう趣旨を定めた平成十六年十月二十八日付の内閣府政策統括官通知というものを出しております。「浸水等による住宅被害の認定について」、ここに持ってまいりました。これは、新潟・福井豪雨災害を受けて、豪雨、台風等の災害に係る被災者生活支援法の弾力的運用と積極的な活用を求めたものであります。
これについて奈良県の現地では、これは例えば浸水により畳に被害があった場合にも床自体に損傷があったと取り扱うといった程度の運用である、こういう主張をする向きもあって、この通知がどういうものであるかということを改めてしっかり確認しておきたいと思うんです。
そこで大臣に、改めてこの通知の「二」に書かれた以降の趣旨を少し御説明いただきたいんです。
○中川国務大臣 お尋ねの、「浸水等による住宅被害の認定について」という平成十六年の内閣府通知の「記」の「二」というところでありますが、これは、1、畳が浸水し、壁の全面が膨張しており、さらに、浴槽などの水回りの衛生設備等についても機能を逸失している場合には、一般的に大規模半壊または全壊に該当することになるものと考えられます。
それから、2として、法律上、半壊であっても、やむを得ず住宅を解体する場合には、全壊と同様に取り扱うということになるが、浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐えがたい悪臭のためやむを得ず住宅を解体する場合については、やむを得ず解体するものとして、全壊と同様に取り扱うものという趣旨の記述になっております。
本通知は、浸水による住宅の被害認定は地震の場合に比べて難しい点があるとの指摘を踏まえて、被災者生活再建支援法の積極的な活用を図るということで、各都道府県知事等に対して発出したものでありまして、この通知の周知に努めてまいりたいと思います。
○宮本分科員 そこで、重ねて聞くんですが、このやむを得ず解体の場合には、罹災証明が出ない場合でも被災者生活再建支援法が適用される場合があり得るのか、大臣、一言お答えいただけますか。
○中川国務大臣 住宅が半壊をしてやむを得ず解体する場合は、支援金の申請に半壊の罹災証明書の添付が必要となる、これは原則であります。
他方で、住宅は無被害であっても、その敷地に被害が発生したことによってその住宅に居住することができずに解体せざるを得ないような場合は、自治体によって敷地についての罹災証明書が必ずしも発行されていないという現実があります。その場合、罹災証明書の添付は不要ということになっております。その場合、宅地の被害については、宅地の応急危険度判定結果や敷地の修復工事の契約書の添付によって確認をしております。
いずれの場合でも、解体が完了したことが確認できる証明書、これの添付が必要だということであります。
○宮本分科員 天川村は、きれいな水が名物でありまして、これを利用して名水豆腐とか手づくりコンニャクが特産品になっております。コンニャク工場に住み込みで働いているという方、それからペンションに住み込んで経営している、こういう方々も現地にはいらっしゃいます。
住み込みで働いている場合に、これを居住者とみなすのかどうか。罹災住居の居住者という場合に、そこに住民票がある場合だけを居住者と認めるのか。たとえ住民票がなくとも、郵便物が転送ではなく直接そこへ届く、実態的にそこにお住まいになっているという場合、被災住居の居住者とみなせると私は思うんですけれども、このあたり、大臣、どうお考えですか。
○中川国務大臣 被災者生活再建支援制度において、住宅というのは、現実に居住のために使用している建物をいいまして、社会通念上の住宅であるかどうかは問わないということになっております。通常、被災時の居住の確認は住民票によって行っているということでありますが、住民票を有していない場合は、水道、電気等の料金明細であるとか、あるいは郵便物の配達先となっていることなどによって行っているということになります。
そして、このような方法によって被災時に生活の本拠としている実態が確認できれば、住民票を有しなくても被災者生活再建支援金が支給をされるということであります。
○宮本分科員 今回の災害では、現行の生活再建支援制度では、同一の災害で二世帯以上の住宅全壊被害がなければ当該市町村が支援の対象にならないということから、住宅全壊が一世帯だった黒滝村は支援が行われなかったんです。それで奈良県も、これは不均衡だ、こう言っておりまして、国に法制度の改正を求めておられます。それと同時に、奈良は県単独で現行法制度と同等の支援措置を黒滝村の一世帯に対しても行っております。
奈良県からそういう要望について上がってきて、検討がされているのか。それから、奈良県のように独自に支援を行った場合に、国として交付税の措置があるのかどうか。大臣、お答えいただけますか。
○中川国務大臣 これは、線引き上の微妙なところで、区別をしなきゃいけないということで非常につらいことなんですが、被災者生活再建支援制度は、被災した市町村や都道府県のみでは対応が困難な一定規模以上の災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によって対応するということ、これが建前になっています。
したがって、一定規模を下回る災害においては、被災地方公共団体において対応していくということが期待されておりまして、現在、二十九の地方公共団体が独自の支援制度を設けているということも承知をしております。
被災者生活再建支援法が適用された災害であるにもかかわらず同法の対象とならない被災世帯に対して、同法と同じ支援措置を都道府県が行った場合には、支給額の二分の一について特別交付税で措置するということになっておりまして、その中で対応していただくということができればありがたいというふうに思います。
○宮本分科員 次に、国交省に、天川村坪内地区の深層崩壊現場についてお伺いいたします。
天川村のある民宿経営者は、主要な産業は河川を中心にしたキャンプ場、ペンションや民宿経営、アユやアマゴの稚魚の放流による漁業で、河川の復旧なくしては生活の再建は困難だと語っておられました。坪内地区で起きた深層崩壊による熊野川への大量の土砂の流入によって、河川断面が減少して、流下能力が著しく低下しておりまして、早急な対策が求められております。
この地域には、関電が管理する発電ダム、九尾ダムというものがあるんですが、私もその現場を見てまいりましたけれども、これもパネルをつくってまいりました。この九尾ダムは、このとおり完全に土砂で埋まってしまっております。これはダムです。完全に底が見えていますよね。こういう状況です。
この深層崩壊現場の堆積土砂工事の事業主体は一体どうなるのか、しゅんせつ計画はどのようになっているか、国交省、それぞれお答えいただけますか。
○南政府参考人 御指摘の天川村坪内地区におきます熊野川支川天ノ川河道内の堆積土砂への対応につきましては、斜面崩壊への対策を実施する国、河川管理者である奈良県、それから下流の九尾ダムの管理者であります関西電力の三者で調整を図っておりまして、役割分担を今しております。
それで、河道内の堆積土砂の撤去を行うとともに、既にダム湖の一部につきましては土砂の撤去が実施されておるところでございます。
国土交通省といたしましては、被災地域の早期の復旧復興に向けまして、引き続き、奈良県、関西電力と連携いたしまして、対策を進めてまいります。
以上でございます。
○宮本分科員 私は地域住民から聞いてきたんですけれども、二月二十一日の時点で、関電は、利水ダムだから土砂しゅんせつの必要はなしというような態度だったそうです。私が質問の準備を始めたら、突然しゅんせつ申請が出て、確かに三月二日から突如工事が始まったと現地に確認をいたしましたから、現時点で始まっているようです。理由はどうあれ、工事が始まったことは結構なことです。今後とも、住民の意思をしっかりと聞くように関電にも指導してほしいと思います。
同時に、しゅんせつするに当たって出てくる土砂をどう処理するかというのが大問題ですけれども、これは立て続けに聞きます。
この深層崩壊での流入土砂をしゅんせつした場合に出る土砂は、いわゆる災害瓦れきとされるのかどうか。搬出に関して法的な規制はあるのか。村外への持ち出しは可能か。また、最終処理までに一時保管場所が必要になるけれども、その土地について条件はあるのか。民間の土地の提供がある場合、使用は可能か。それぞれお答えいただけますか。
○南政府参考人 御指摘の災害瓦れきは、流出した家屋やコンクリートがら等を指すと考えております。山腹から崩壊し河道に堆積しているような自然由来の土砂はそのようなものには当たらないということでございます。このような自然由来の土砂は村外への搬出も可能でございます。
現在、奈良県が奈良県天川村坪内地区で実施しております工事において、土砂は下市町の町営の残土処理場へ搬出しておるところでございます。
また、最終処分までの間に一時保管場所が必要な場合には、借地契約等必要な手続を踏んだ上で民間の土地も使えるということでございます。
以上です。
○宮本分科員 大臣に、ぜひこれは、先ほど関電がこうするという話も出ましたけれども、なかなか地域住民に知らされていないんですよ。ここの対策工事、どういう手順で進めるかということについて、住民への説明会、現地説明会が必要だと思うんですけれども、検討もされていると若干聞くんですけれども、どういう形で説明を進めるか、お答えいただけますか。
○中川国務大臣 御指摘のように、住民の理解を得ていきながら工事を進める、これは本当に、原則、大事なことであります。
奈良県及び国土交通省が実施する工事について、三月の中旬から下旬に地元説明会を開催する予定であるということを聞いておりまして、そのようにやっていきたいということ。
それから、関西電力が実施する九尾ダムの土砂の撤去については、二月二十一日に地元説明会を開催し、説明したものというふうに聞いております。
○宮本分科員 いや、その説明会ではそういう説明だったと先ほど申し上げたので、事態が変わったんだったら、また、しっかり説明していただきたいと思うんですね。
最後、時間がなくなりました。中小企業庁に、きょうはお伺いをしたいと思って、来ていただいています。
それで、生活再建支援法は生活の支援のみでありまして、事業者のなりわいの支援という点では融資制度しかないというふうに聞きました。これは、台風十二号災害の被災事業者に対する中小企業の支援措置ですね。この対応について、九月二十六日の激甚災害指定以降でいいので、簡潔に御説明いただけますか。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、被災中小企業者の資金繰り対策といたしまして、一般の保証とは別枠で、借入債務の一〇〇%保証が受けられる制度を発動いたしました。
また、日本政策金融公庫等が実施しております災害復旧貸し付けの金利の引き下げ措置を講じました。
さらに、信用保証上の追加措置といたしまして、いわゆるセーフティーネット保証四号、これの適用を行いました。
さらに、これらに加えまして、地元の自治体、労働局、経済団体、金融機関等と連携をいたしまして、被災中小企業者を対象に災害復旧のための経営、金融相談に応じる現地相談会を開催いたしました。
以上であります。
○宮本分科員 いろいろやっていただいているんですが、例えば、先ほど最後におっしゃった中小企業者向けの被災現地相談会ですね。奈良では昨年十月二十一日、五條市で開催しているわけですけれども、していただいたら、五事業者、九件だったというんです。これは当然のことであって、この十月二十一日というのは、まだ国道百六十八号は全車両通行可能になっていなかったんです。それから、大塔町や十津川村の警戒区域が解除されたのは二月七日ということですから、そういうものもまだ全然解除されていない時期なんですね。
だから、これからやっとこの施策というのは必要になってくると思うんですよ。これは、今後も引き続き要望があればやるということでよろしいですね。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
地元自治体、商工会等の御要請も踏まえながら、関係機関とも連携しつつ、しっかり対応してまいりたいと思っております。
○宮本分科員 最後の質問になります。
私、見てきましたけれども、国道百六十八号はいまだに夕刻でもほとんど車が走らないんですね。観光客も本当に戻っていないんです。そういう意味では、これからいよいよ生活となりわいが立ち上がっていくときなんですよ。
先ほどお話のあった激甚保証と言われる中小企業信用保険法の特例はことし三月二十五日までという期限ですし、災害保証と言われるセーフティーネット保証四号指定は五月二十四日までというふうに期限が切られております。この期限では、私、間に合わないと思うので、防災を担当する大臣として、これについてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
○中川国務大臣 中小企業信用保険法による災害関係保証の特例、これについては、適用期間をことしの九月三十日まで延長するということで、先日、三月二日ですが、閣議決定をいたしました。
もう一つのセーフティーネット保証四号については、先ほどの答弁のように、状況を見ながら、実際に復旧に寄与していけるように考えていきたいというふうに思います。
○宮本分科員 実情に応じた生活となりわいの再建に全力を挙げることを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。