平成二十三年二月四日(金曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 中井 洽君
理事 泉 健太君 理事 城井 崇君
理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君
理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君
理事 塩崎 恭久君 理事 武部 勤君
理事 富田 茂之君
網屋 信介君 石井登志郎君
石毛 えい子君 石津 政雄君
稲見 哲男君 打越あかし君
生方 幸夫君 小川 淳也君
大串 博志君 加藤 学君
笠原多見子君 金森 正君
神山 洋介君 川口 博君
川島智太郎君 川村秀三郎君
木村たけつか君 小林 正枝君
小宮山泰子君 郡 和子君
佐々木隆博君 高井 美穂君
高邑 勉君 竹田 光明君
玉置 公良君 津村 啓介君
道休誠一郎君 中根 康浩君
中野渡詔子君 仲野 博子君
初鹿 明博君 早川久美子君
本多 平直君 三谷 光男君
水野 智彦君 宮島 大典君
村越 祐民君 室井 秀子君
谷田川 元君 山口 和之君
山口 壯君 吉田 統彦君
渡部 恒三君 小里 泰弘君
金子 一義君 金田 勝年君
小泉進次郎君 佐田玄一郎君
齋藤 健君 菅原 一秀君
橘 慶一郎君 野田 毅君
馳 浩君 山本 幸三君
石田 祝稔君 遠山 清彦君
笠井 亮君 宮本 岳志君
服部 良一君 柿澤 未途君
山内 康一君 下地 幹郎君
…………………………………
総務大臣 片山 善博君
外務大臣 前原 誠司君
財務大臣 野田 佳彦君
文部科学大臣 高木 義明君
厚生労働大臣 細川 律夫君
農林水産大臣 鹿野 道彦君
国土交通大臣 大畠 章宏君
国務大臣
(防災担当) 松本 龍君
防衛大臣 北澤 俊美君
国務大臣
(内閣官房長官) 枝野 幸男君
国務大臣
(公務員制度改革担当) 中野 寛成君
国務大臣
(行政刷新担当) 蓮 舫君
国務大臣
(経済財政政策担当) 与謝野 馨君
国務大臣
(国家戦略担当) 玄葉光一郎君
財務副大臣 五十嵐文彦君
厚生労働副大臣 小宮山洋子君
厚生労働副大臣 大塚 耕平君
農林水産副大臣 篠原 孝君
外務大臣政務官 山花 郁夫君
財務大臣政務官 吉田 泉君
財務大臣政務官 尾立 源幸君
農林水産大臣政務官 田名部匡代君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 田口 尚文君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 関 克己君
予算委員会専門員 春日 昇君
―――――――――――――
委員の異動
二月四日
辞任 補欠選任
石毛 えい子君 初鹿 明博君
稲見 哲男君 玉置 公良君
大串 博志君 神山 洋介君
川村秀三郎君 加藤 学君
吉良 州司君 網屋 信介君
佐々木隆博君 川口 博君
城島 光力君 室井 秀子君
竹田 光明君 吉田 統彦君
中根 康浩君 小林 正枝君
仲野 博子君 小宮山泰子君
水野 智彦君 笠原多見子君
金田 勝年君 橘 慶一郎君
遠山 清彦君 石田 祝稔君
笠井 亮君 宮本 岳志君
阿部 知子君 服部 良一君
山内 康一君 柿澤 未途君
同日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 川島智太郎君
加藤 学君 川村秀三郎君
笠原多見子君 水野 智彦君
神山 洋介君 谷田川 元君
川口 博君 佐々木隆博君
小林 正枝君 中根 康浩君
小宮山泰子君 山口 和之君
玉置 公良君 稲見 哲男君
初鹿 明博君 石毛 えい子君
室井 秀子君 早川久美子君
吉田 統彦君 竹田 光明君
橘 慶一郎君 金田 勝年君
石田 祝稔君 遠山 清彦君
宮本 岳志君 笠井 亮君
服部 良一君 阿部 知子君
柿澤 未途君 山内 康一君
同日
辞任 補欠選任
川島智太郎君 石井登志郎君
早川久美子君 木村たけつか君
谷田川 元君 石津 政雄君
山口 和之君 道休誠一郎君
同日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 吉良 州司君
石津 政雄君 大串 博志君
木村たけつか君 城島 光力君
道休誠一郎君 中野渡詔子君
同日
辞任 補欠選任
中野渡詔子君 仲野 博子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十三年度一般会計予算
平成二十三年度特別会計予算
平成二十三年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○中井委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。
次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
首相は、施政方針演説で、雇用を最も重視すると述べました。
先日発表された、厚労、文科両省による調査では、大学生の就職内定率が昨年十二月一日時点で六八・八%と、三人に一人がまだ就職先も決まっていないという深刻な結果が公表されました。短大に至っては四五・三%と、半分も内定をしておりません。極めて深刻な現状です。
昨年十月十三日の本委員会で、我が党の笠井亮議員がこの深刻な就活の問題を取り上げて、就職活動の早期化、長期化、過熱化の是正を求めるとともに、生産も利益もV字回復した経済界に新卒者の採用増を強力に働きかけることを求めました。また、これらの問題を協議するための経済界と大学関係団体、政府、三者が一堂に会する協議の場をつくることを求めて、それを受けて、政府は、十一月の二十二日に文部科学省内で、関係省庁と日本経団連など経済四団体、大学団体の代表らが一堂に会する新卒者等の就職採用活動に関する懇話会の初会合が開かれました。
そこで、まず文部科学大臣にお尋ねしますが、この懇話会は何回開かれたか、何が話し合われ、何が決まったか、お答えください。
○高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。
御指摘のように、昨年の十一月二十二日に第一回の会合を開きました。今大きな問題となっております就職、採用の早期化、長期化の是正をどうしていくのか、また、大学の就業力の育成をどうしていくのか、また、大企業志向などのミスマッチ問題をどうしていくのか、また、企業が求める人材とは一体何なのか、こういうことについて、率直な意見交換が行われました。
その第一回の開催以降には、既に御承知のとおり、卒業後三年以内の新卒者での応募受け付けとか、また、採用活動の早期化、長期化の是正に向けて、経済団体の中でも企業のさまざまな動きが見られております。大学においても、就職・採用活動の改善に向けた大学側としての見解をまとめて、これまた経済団体、企業にも要請をしたところでございます。
第二回については、今月中旬に予定をしておりまして、第一回で議論をされた状況を踏まえて、まずは、学生の大企業志向などの雇用のミスマッチについて、第二に、採用活動の早期化、長期化などの課題について検討状況の把握をし、そして、課題に対しての分析、また、改善策についても出していただいて、意見交換をしたい、このように思っております。
私たちとしましても、関係省庁との連携をとりながら、さらに努力をしていきたい、このように考えております。
○宮本委員 いろいろおっしゃいましたけれども、結局一回しか開かれていないわけですよ。そして、二回目というのは、今おっしゃったように、ミスマッチと早期化、長期化問題であって、今本当に就職先がないという、経済界に対して、しっかり雇用をふやせということを全然この場でも議論されていないわけですよね。
今、事態は、就職が決まらないというだけの問題ではありません。学生たちに心の傷を与えているという状況があります。
福岡の新卒応援ハローワークでは、相談に訪れた学生が突然泣き崩れた、こういう報告も寄せられています。また、愛知の新卒応援ハローワークの所長は、大学の相談窓口に行くこともできず、やっとの思いでハローワークにたどり着く学生も多い、面接で何度も落とされたことがトラウマになっている、こう述べているんですね。
実際私が直接お話を伺った大学のキャリアセンターの方や労働局の方も、連絡がとれる学生はまだいい、いまだに内定が出ていない学生は大学に来る気がなくなり、電話にも出なくなり、家からさえ出られなくなる、こういうふうに言っておりました。
文科大臣、まさに学生からは、心がもうぼろぼろだ、あるいは心が折れそうだ、こういう学生たちの声が届いているわけですよ。三十社、五十社とあなたは要らないと断られるこの学生たちの心の痛みを本当に認識しておられますか。
○高木国務大臣 今、大学新卒者を取り巻く状況については、六八・八%という数字も申し上げられましたけれども、このような就職環境の厳しい状況は私も十分認識をいたしております。
私自身、経済界の皆さん方とも直接お会いをして、これまでも、採用枠をふやす、このことについてもお願いを申し上げましたし、大学においても、キャリアカウンセラーの増員を図って、親身に就職支援を行ってきたところであります。
何十社の企業からも不採用になっておる、こういう大変厳しい状況も十分承知をいたしておりまして、我々としては、これからも、特にキャリアカウンセラーの相談の中では、心理的なサポート、これが非常に大事になってきておりますので、きめ細かな相談窓口もきちっと整備をして取り組んでまいりたいと思っております。一人でもまだ多くの学生がしっかりと就職できるように、関係省庁と、これまた厚生労働省あるいは経済産業省、各省連携をとって、一人でも多くの方々がしっかり就職できるように我々としては最善の取り組みをしたい、このように思っています。
○宮本委員 心理サポーターというものを配置するということもやっておられるんですけれども、私が現場で聞いた話では、メンタルサポートを受けてはどうかというようなことを、本当に現場では実際学生には言い出しづらいとキャリアセンターの方もおっしゃっておりました。つまり、メンタルサポートを受けたということになると、それこそ内定をとれなくなる。だから、学生自身がそのことにもおびえているということなんですよ。
なぜそれほど安心できない状況になっているかといえば、これはまさに、大企業を中心に採用がうんと減らされているというところにあるわけですよ。大企業の採用状況がこの間どうなっているか、このことについて厚生労働省はきちっとつかんでおられますか、厚生労働大臣。
○細川国務大臣 大企業の採用の件についてお尋ねがありました。
大企業というのは、規模が五千人以上、こういうことでお答えをしますけれども、ことしの三月の卒業予定の採用する見通しというのが四万三千人でありまして、これも、大企業の方は大体それはもう達成しているんではないかというふうに思っています。正確な統計ではありませんけれども、採用は、五千人以上の規模の大企業は四万三千人でございます。
○宮本委員 それは昨年よりもふえているか減っているか、お答えいただけますか。
○細川国務大臣 同じ五千人以上の規模でありますが、これは、昨年に比べまして、昨年は三万三千人でございましたから、約三割は増加している、こういうことでございます。
○宮本委員 それは随分、どういう調査なのか、私の調査結果とはちょっと食い違うんですね。いいですか。何か言うことはありますか。
○細川国務大臣 済みません。私の方から報告を、これはリクルートワークスの研究所での調査の結果でございます。
○宮本委員 私が聞いても直接はつかんでいないというお答えでしたよ、リクルートワークスの調査結果だと。
リクルートワークスの調査結果は、昨年の四月の段階で、一千人未満の中小企業の求人倍率は二・一六倍、千人以上の大企業の求人倍率は〇・五七倍という結果を公表していたわけですね。ミスマッチという議論がそこから出てくるんですけれども、現にこの大企業の採用枠をふやさなければ、先ほど昨年度の対比を言いましたけれども、私は、リーマン・ショック以前の、その前からの経過をしっかり見ないと、この間の就職難の本当の原因には行き着かないと思うんですね。
それで、大企業、経済界に対して正面から、もっと採用をふやしてほしいということは迫りましたか、厚労大臣。
○細川国務大臣 先ほど高木文科大臣の方からもお話がありましたけれども、私どもとしましても、昨年の十月、これは文科大臣、経産大臣、そして私と連名で、主要な経済団体、業界団体に対しまして要請書を出しまして、新卒者の採用枠の拡大、そして追加求人の要請書を出したところでございます。
そして、十一月には、総理の方から直接、経済三団体の代表も出席をいたします新成長戦略実現会議で、経済界の皆さんに新卒雇用についての積極的な取り組みを要請させていただきました。さらにまた、先月には、総理から企業に対して、未内定の学生がおられるので、追加求人の提出、あるいは積極的な採用についての総理からのメッセージを出させていただきました。
こういうことをいろいろとやらせていただいております。
○宮本委員 いや、具体的に大企業の採用がどういう状況になっていて、それが本当に減らされるとすれば、追加採用も含めて正面から迫る必要があると思うんですよ。
それで、この文部科学省と厚生労働省がやった調査結果を見ても、地域別で見ると、一番落ち込んでいるのが中部地区なんです。昨年から八ポイント激減して、六一・七ポイントというふうになっております。これは新聞でも、これについての原因は、特に中部の落ち込みがひどくて、トヨタ自動車の関連企業が採用を手控えたことが影響したと考えられる、こういうふうにちゃんと述べているわけですよ。
こういう点で、トヨタの採用が経年でどうなっているか、厚生労働省、お答えいただけますか。
○細川国務大臣 トヨタ自動車の発表によりますと、平成二十二年度の採用計画は千二百人ということになっております。
○宮本委員 とにかく、経年で大企業がどういう採用状況にあるかということを厚生労働省に聞いたって、出てこないんですよ。出てくるのは、このリクルートの調査ぐらいしか出てこないんですね。そもそもつかめていないんですよ。
私は、きょう皆さんのお手元に資料を、これは新聞報道をもとにですけれども、作成したものをつけておきました。
トヨタは、本体だけで、大学、高校含めて、五年前の二〇〇六年春には三千十四人、新規採用していたわけです。それが年々減って、昨年の春には千百六十三。あなたも先ほど千二百ほどの数を言いましたが、ここまで減った。今春の採用計画ではわずか九百六十人。三分の一以下ですよ。
ついでに、私の地元、大阪が発祥のパナソニック、松下電器はどうか、これも調べました。三年前の二〇〇八年春には八百人採用していたものが、昨年は五百人、ことしはついに二百九十人という状況になっております。
日本を代表する自動車や家電の大企業がこれほど採用をぐっと減らしたのでは、内定率が激減するのも道理ですよね。そうは思いませんか。いかがですか。
○細川国務大臣 今、大学生の内定率が非常に悪いということで、私もそれは大変心配でございます。せっかく勉強して社会に出るんですから、そのときスムーズに社会に出られないということは、これは、本人にとっても、社会にとっても、国家にとっても本当にマイナスだというふうに思いますので、内定率を上げるということは、私どもとしてもしっかりやっているつもりなんです。
それはどういうふうな形でやるかといいますと、大企業に就職を望むのも、もちろんこれは自然でしょうけれども、しかし一方で、中小企業につきましては、大卒の人を求人しているのが、求人倍率四倍というような、そういうこともございますので、そこでやはり、その求人と求職、ここがミスマッチもあるのではないかというふうに思っておりまして、そこを解決する、これが私どもにとっても大変大事なことだというふうに思っております。
○宮本委員 ミスマッチと言うんですけれども、それは、学生が中小企業を大いに選択していくのは結構なことで、そのことの支援も必要でしょう。しかし、大企業が下請中小企業を本当に冷たく切り捨てたり、やはりつぶれるときには中小企業からつぶれているという現実はあるわけですよ。私たちは、だからこそ中小企業の支援が必要だと言ってきたわけですけれども、それが不十分だからやはりそういうふうになっちゃっている面もあるわけですから、何か学生がえり好みしてそうなっているというふうに見るのは大きな間違いだということは申し上げておきたい。
同時に、やはり大企業の採用が下がっていることは事実なんですよ。そもそもトヨタとかパナソニックという会社はどういう会社か。この会社は、リーマン・ショックで大変な状況になったときには、エコカー減税あるいはエコカー補助金、エコポイントというような形で支援をされてきた会社なんですね。エコカー補助金は、これは四百五十三万件、五千八百二十七億円出ております。これは、もちろんエコカーを買った人の助けにもなっていますよ。しかし、自動車業界の潤いにもなったことは事実です。エコポイントは六千九百二十九億円、予算措置されているわけですよ。これも同じ理屈で、やはりその業界の支援になっているわけですよね。
今や、トヨタは世界の自動車販売台数で三年連続世界一と、ついこの間、流れましたよね。また、昨年十一月十六日付の日経によると、上場企業の二〇一〇年上期の連結経常利益は前年同期比で二・四倍となり、金融危機の影響を受ける前の〇八年上期の九六%の水準にまで回復したと。V字回復してリーマン・ショックの前まで戻ったというふうに報じられているわけですよね。
国民の税金で六千億も七千億も支援をしてもらって、おかげで業績が回復した。しかし、リーマン・ショックの前から三分の一に減らしたまま採用は一つもふやさない、そんなことは僕は許されないと思うんですね。
今や、一部大企業の中にも追加採用、こういう動きが出てきております。追加募集をやるというところもあるわけですね。今こそ直ちに新卒者の就職採用活動に関する懇話会を開いて、トヨタやパナソニックを初め大企業に追加採用してくださいよと強力に働きかける必要がある。また、政府として、経済界に正面から、追加採用してくださいということを迫る必要があるんじゃないですか。
これはちょっと文部科学大臣、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 先ほども細川大臣からもお話がありましたように、政府の中で、新卒者の雇用の特命チームがございまして、御指摘の追加求人など積極的に採用していただけるように、企業に対して総理大臣としてのメッセージを発出いたしております。
私どもも、もうしばらくでありますが、いわゆる第二回の懇話会においても、その点については、改めて追加採用などの要請をしていきたいと思っております。
○宮本委員 ぜひとも強力に追加採用を迫っていただきたいんですね。
トヨタなどの大企業は、十分過ぎるほど体力が、それだけの体力があるんですね。
内部留保を見てみますと、政府も二百兆円を超える内部留保があるとお認めになっておりますけれども、個別の会社の内部留保を見ると、トヨタ自動車は、二〇〇九年三月決算では十三兆四千二十六億円という巨額の内部留保を抱えております。自動車メーカー十七社で連結内部留保は二十兆三千五百九十五億円ですよ。パナソニックは、二〇〇九年三月決算で四兆二千百五十二億円。電気機器メーカー十八社の連結内部留保は二十六兆千七百四十八億円に達しております。
平均的な初任給は、前の笠井質問でも指摘しましたが、約二百四十万円とされておりますから、十万人雇って二千四百億円、二十万人雇っても五千億円程度なんですね。現在、未内定の学生は十二万六千人でありますから、この人たちの雇用確保をやろうと思えば十分できるわけで、日本の大企業の内部留保二百四十四兆円のわずか〇・二%を取り崩せば、すべて一年間の給与を支払うことは可能なんですね。
例えば、トヨタが、私の示した資料で、ぐんと減る前の三千人まであと二千人雇うとしても、人件費四十八億円。トヨタの内部留保の〇・〇三%ですよ。パナソニックが二〇〇八年春並みに新たに五百人採用しても十二億円。これは、内部留保の〇・〇二八%と微々たるものなんですね。
これぐらいのことを、日本の若者、学生たちが路頭に迷うというときに正面から迫るのは政府の務めだというふうに思うんですけれども、これは、総理大臣に本来はそういう立場に立っていただくということで総理に聞きたかったんですが、きょうは総理はおられないので、官房長官、そうじゃないですか。
○枝野国務大臣 お気持ちは非常によくわかります。
ただ一方で、大企業といっても、業種、業態、それから個別企業によってそれぞれ、マクロでとらえれば今のように内部留保がたくさんあるということかもしれませんが、それぞれの個社の事情がおありになられます。それから、内部留保がある企業あるいは短期的な利益が上がっている企業においても、今後の事業計画、つまり、これから販売が、売り上げが落ち込んでいくことを想定される企業が人をふやすということはなかなか困難であろうとか、そういった事情も個々あろうかというふうに思います。
もちろん、内閣としても、新成長戦略を初めとして、日本の国内に投資をしっかりしておいていただき、日本の国内で人を採用して、しかも、採算のとれる事業をどんどんふやしていただきたいという方向で進めているところでもございます。また、マクロで申し上げますと、今申し上げたように、いろいろな形態がございますので、可能なところで、今後の事業拡大計画がある、あるいはそういった方向に向かう余地の十分あって、体力のある企業には、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、できるだけ、この春採用についても、この厳しい状況を踏まえて追加の採用等を考えてほしいということはお願いをしているところでございます。
宮本委員も、ぜひいろいろなところでそういった声を上げていただければありがたいというふうに思います。
○宮本委員 ここは政府の態度、立場が本当に問われるところですから、正面から追加採用を求めるということをぜひとも強くお願いをしておきたいと思っております。
それで、一方で業績が回復しながら新たな採用を採らないということになりますと何が起こるかというと、これは言わずと知れたことでありまして、今いる労働者の労働が長時間過密になる、こういうことだと思うんですね。
そこで、厚生労働省にお答えいただきたいんですが、二月の一日に発表した毎月勤労統計調査の平成二十二年分結果速報では、製造業の所定外労働時間の前年比は何%の増になっておりますか。大臣。
○細川国務大臣 平成二十二年の毎月勤労統計調査の速報値によりますと、製造業におけます所定外労働時間は月十三・九時間となっておりまして、対前年比で三二・三%の増加でございます。
○宮本委員 製造業では、所定外労働、つまり残業は実に三割以上もふえたというのが、この直近の調査の結果なんですね。これは、仕事量はふえているのに新卒採用を抑えて、団塊の世代が定年していけば、労働者の残業時間が延びるのは当然です。この長時間労働を正して、そこをちゃんと雇用をふやせば、例えば、残業代を支払わないサービス残業を根絶しただけでも二百万人の新たな雇用が生まれるという試算も出ております。さらに、ドイツやフランス、オランダなど、ヨーロッパ並みに労働時間を減らせば、さらに何百万人もの新たな雇用が生まれるんです。
厚生労働大臣、今こそ異常な長時間労働を正して、ちゃんと正社員での採用をふやさせるべきではないか、この点についてもお答えいただきたいと思います。
○細川国務大臣 長時間労働の削減というのは、労働者の健康の維持、そしてまたワーク・ライフ・バランスという、その実現のためには大変重要な課題だというふうに思っておりまして、政府の方の新成長戦略でも、週六十時間以上の労働者の割合を半減させるというような目標も立てているわけなんです。このため、労働基準法の遵守というのをまず徹底的にやらなければいけないということで、これは私の方からも労働基準局の方に強い指示もいたしております。
そして、何といっても労働時間を削減して、そしてワーク・ライフ・バランスを守っていきたいということもありますが、さらには、こういう厳しい雇用情勢の中でありますから、より多くの方が雇用機会を得て正社員になれるような、そういう環境整備をつくっていくということは、これは私どもの方でもいろいろな施策でやっているところでございます。
○宮本委員 申し上げてきたように、まさに製造業の大企業が、一方では新卒採用をぐんと減らしながら、そしてエコカー補助金やエコポイントで業績は戻し、しかし、採用はふやさずに現に働いている労働者の長時間労働を生んでいる。これは、こういう大企業に直接だめですよということをやはり政治の側から言わなければ正せないわけですよ。それがやはり言えないとすれば、これは本当に、かつての自民党政権と何の違いもないというふうに言われても仕方がないと思います。
ぜひ厳しく迫っていただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、三十五人学級で聞きたい。
小中学校の少人数学級ですけれども、国は、一九八〇年から、それまでの四十五人学級から四十人学級に移行したわけですけれども、その後は、三十年間、学級編制の基準を変えないままに来ました。世界は今二十五人以下学級というのが常識であって、日本でも、政府のおくれに業を煮やして、四十七都道府県で三十人学級や四十人以下学級の実施を図ってまいりました。
例えば山形県では、二〇〇二年から小学校一―三年生で二十一から三十三人学級を実施、その後、学年を広げ、二〇一一年度には、中学校三年まで全面実施で、義務教育段階での少人数学級が完成することになっております。その効果は歴然としておりまして、県の教育委員会は、学力が向上し、不登校の児童数が大幅に減少し、欠席率も低下しているという報告書を出しております。
我が国の制度としてようやく三十五人学級に踏み出そうとしているわけで、まず文部科学大臣に、この少人数学級の教育効果についてお述べいただきたいと思います。
○高木国務大臣 御指摘の少人数学級については、現在、すべての都道府県で何らかの形で実施されておりまして、学校現場やあるいは保護者からの評価も得ているところです。
既に御紹介があっておりましたように、文部科学省として把握しておるデータでは、ほかの県に先駆けて少人数学級を導入しておる秋田県や山形県においては、全国学力・学習状況調査の結果が学力の向上を示しており、一定の効果があらわれているというふうに思っております。また、大阪府や山形県では、少人数学級導入後、不登校やあるいは欠席率の低下というデータも見られております。
私どもとしましては、そのようなことから、今回の予算においても少人数学級の推進のために、そのことは何よりも、児童生徒一人一人に向き合う時間、そしてまたそれぞれの個性に従った指導、こういったことからも、少人数学級の推進を図っていきたいと思っております。
○宮本委員 少人数学級の教育効果について認めた非常に重要な答弁だと思うんですけれども、文部科学省は、来年度の概算要求で小学校一、二年生を対象に三十五人学級を実施し、二十八年度までに小中学校での三十五人学級の実施、二〇一七年度小学校一年生、二〇一八年度で小学校二年生で三十人学級まで実施する計画を立てて、元気な日本復活特別枠で要望しておりました。ところが、来年度予算では、小学校一年の実施のみで、二年以下の実施は見送りとなったわけです。二〇一八年度までの計画も白紙となって、今後の予算編成で改めて検討するということになりました。
半分は実現したと思っておられるかもしれませんけれども、今の一年生、この四月から二年生になる子供たちは、永久に少人数学級で学ぶことはできないんですね。しかも、ことしの春、三十五人学級となった一年生は、このままでは、二年生になるとまた四十人学級に戻ってしまうことになるんですね。
高木大臣、それで本当にいいんですか。
○高木国務大臣 私どもとしましては、平成二十三年度予算案においては、小学校一年から三十五人以下学級を実現するために四千人の教職員の定数を措置する。その中で、三百人の純増を含め、二千三百人の定数改善を盛り込んでおります。
三十五人以下学級においては、小学一年生について義務標準法の改正をする措置をすることとしておりまして、本日、その法案を閣議決定したところでございます。これによって少人数学級推進のスタートが切れる、こういうことで大変意義あるものと私は認識をいたしております。
○宮本委員 いやいや、大変意義あるものを二年生までやると言っておきながら、一年生だけになってしまった。
では、聞きますけれども、もともと、二年生の実施のために教職員をあとどれだけふやす予定だったのか、そして、あとどれだけの予算があれば二年生までやれたのか、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 小学校二年生で三十五人以下学級を実施するためには、さらに四千三百人の定数増が必要になりまして、その予算は九十三億円の増が必要である、このように思っています。
○宮本委員 四千三百人。政府による新たな教員の雇用拡大にもなったわけですね。予算もわずか九十三億円。これだけあれば二年までできたわけですよ。野田財務大臣も聞いておられますけれども、この九十三億円で二年生の実施が見送られた。
この少人数学級については、国民的な要望が本当に高かったんですね。パブリックコメントを募集しましたが、各省庁から出された全事業百八十九事業のうち、この三十五人学級の実施は第三位だった。期待の高かったこの予算を一体なぜ削ったんですか、文科大臣。
○高木国務大臣 御指摘の小学校一、二年における三十五人学級の実現は、今御紹介もありました、元気な日本復活特別枠要望の評価会議におきましてB評価でありました。定数改善の取り組みの扱いについては後年度負担の問題も含めた検討が必要、これは政策コンテストの評価会議の御指摘でございました。
これを踏まえて、昨年の十二月の予算編成、大臣折衝を経まして、まずは小学校一年生の三十五人以下学級を実現する、そして、小学校二年生以上の取り扱いについては、財政状況も勘案しつつ、引き続き来年度以降の予算編成で検討するということになっておりまして、我々といたしましても、この二十三年度の予算について、何が何でも一年生の三十五人以下の学級に必要な四千人の職員定数が盛り込まれたということでございます。
○宮本委員 九十三億円削った結果、今一年生で今度二年生に上がる子供たちは、まさに当初は三十五人学級の予定だったものが受けられなくなった。それから、これから先の計画についても、後年度については改めて検討するということは、まだ決まっていないわけですから、そういう点では、せっかく今度の一年生が三十五人になっても、また来年二年になったら四十人学級に戻るという可能性も残されているわけですよね。その九十三億円は本当に削るべきでなかったと私は思うんです。
ここで私、日本にある米軍基地にある小学校、中学校について一つ聞いてみたいんです。
日本の米軍基地にある小学校、中学校が一体一クラス何人でやっているか。これは防衛省に聞いてもわからないという答えでしたよ。外務省に聞いても、つかんでいないという答えでありました。そんなことすらわからないまま、一方で、その学校建設費も含む米軍の思いやり予算をこの予算の中に入れているわけですから、これは本当にひどいなというふうに思うんですけれども、文部科学省や、あるいは総理大臣のかわりにきょうは座っていただいている官房長官は御存じですか、どういうクラスでやっているか。
○高木国務大臣 在日米軍施設・区域に所在する小中学校の学級編制の基準については承知をいたしておりません。
○枝野国務大臣 なお、防衛省が提供施設整備により小中学校を整備する際は、米側の施設基準に基づき整備をしてきておりまして、この米側の施設基準は一クラス二十名から二十五名を前提としているというふうに承っております。
○宮本委員 いや、だから、具体的にどういうクラス編制でやっているかは日本の政府は全然つかんでいないんですね。
それで私、実は、米軍基地の中の小学校、学校というものを見せていただこうと思いまして、横田や池子など四基地の小学校の視察を外務省を通じて米軍に要請いたしました。そうしたら、案内する人がいない、この時期の立ち入りは都合が悪いなどという理由で視察を断ってまいりました。国会議員の視察も許さないで、金だけ出せ、予算だけ通せ、こんなばかな話がありますか。何か言うことはありますか。
○枝野国務大臣 御承知のとおり、我が国は必要な在日米軍駐留経費を負担しておりますが、負担をいたしておりますのは、提供施設整備としての小中学校の整備について提供しているものでございまして、そこで実際に具体的にどういう教育が行われるのかということについては、日本から経費を負担しているものではございません。
したがって、その施設についてはどういうものであるのかというお尋ねでございますので、それは各省間の調整をいたしまして確認をいたしましたところ、一クラス二十名から二十五名を前提とした米側の基準に基づいて施設を整備しているのであって、そこでの教育については日本からお金を出しているわけではないというふうに御理解ください。
○宮本委員 いや、それはさっき聞きましたよ。しかし、どういう教室でどういう教育をやっているかということを私は調べてみました。
「アメリカンスクールに学ぶ」という、沖縄の米軍基地内の小学校で教師をしてきた人の本がここにあります。これによると、学級単位は十八人ないし二十五人であると書かれております。
調べてみましたら、きょうは資料三につけました。なるほど、米軍基地内の学校を所掌するアメリカ国防総省管轄の教育活動機関、デパートメント・オブ・ディフェンス・エデュケーション・アクティビティー、これは頭文字をとってDoDEAというそうでありますが、そのホームページには、「DoDEA ディファインズ リデュースト クラス サイズ アズ エイティーン スチューデンツ イン イーチ クラスルーム フォー グレーズ ワン スルー スリー」となっております。小学校一年生から三年生まで一学級を十八人に減らすということをこの教育活動機関は既に決定しているんですね。
小学校一年生から三年生まで、片や米軍では十八人学級でやっている。日本の子供たちは、三十五人学級、しかも一年だけで、二年生は九十三億円削られてできなかった。これは余りにも、日本の学校と米軍基地内にある学校とでは大違いだと言わなければなりませんね。
それで、在日米軍の駐留経費のうち、本来ならば米軍が支払うべき費用のうち日本側が負担してやる思いやり予算、その中にはこの米軍の子弟が通う小中学校や高校の建設費が含まれております。また、日本人教員の給与も出されております。来年度思いやり予算の中に、先ほど私が申し上げた池子住宅地域及び海軍補助施設の施設整備の中で小学校の新設というものが含まれておりますが、予算は一体幾ら組まれているか、防衛大臣、お答えいただけますか。
○北澤国務大臣 お答えを申し上げます。
二十三年度予算においては、本体工事及び環境調査にかかわる経費として、契約ベースで約二十八億一千二百万、歳出ベースで五億四千五百万ということで計上いたしております。
○宮本委員 二十八億円ですよ。今年度、環境影響調査で二十一億円、来年度、校舎、体育館建設費で二十八億円です。日本の小学校の校舎建設費は体育館も入れて大体九億円から十六億円というのが相場ですから、超豪華版なんです。
防衛省の提供施設課に聞いたところ、来年度予算で新設される池子の小学校は、幼稚園併設であるが、一教室当たりの広さは八十平米で、日本の教室の六十四平米と雲泥の差です。そこに十八人から二十五人というわけですから、ゆったりとした空間で教育がされることになります。日本の学校には冷暖房設備が設置されていないところが多いですけれども、米軍基地の中の学校には空調設備がすべて整っています。美術、音楽用のスタジオ、コンピューター、科学実験室、各種の特別教室、カフェテリアなどまで置かれております。クラスサイズも施設もクーラーも雲泥の差です。余りにもこれは不条理ではないかと言わざるを得ません。
誤解しないでいただきたいんです。我が党は決して、米軍の子供たちを日本の子供たちと同じように四十人学級にしろと要求しているわけではありません。十八人学級、いい教育条件を保障することは結構なことです。しかし、それはアメリカのお金でやるべきではないですか。日本国民の税金は日本の子供たちの少人数学級に回すべきではないか。
当初どおり、小学校一、二年生で三十五人学級に踏み出し、さらに三十人学級に進む計画を直ちに立てるべきだということを最後に文科大臣にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○中井委員長 もう時間が来ておりますが、高木さん、簡単に。
○高木国務大臣 小学校二年生以上の取り扱いについては、昨年の三大臣合意に基づいて、これから検討することになっております。また、本日閣議決定された標準法の中にも、そのことの規定を盛り込んでおります。
まずは少人数学級を一年生からスタートができるということで、これからも、政府全体の中でしっかり検討していきたいと思っております。
○宮本委員 終わります。