平成二十二年十一月十五日(月曜日)
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議事日程 第八号
平成二十二年十一月十五日
午後三時三十分開議
第一 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会、内閣提出)
第二 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(参議院送付)
第三 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(内閣提出)
第五 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
第六 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
第七 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件
第八 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)
国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)
日程第三 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(内閣提出)
午後九時二分開議
○議長(横路孝弘君) 宮本岳志君。
〔宮本岳志君登壇〕
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案に対する討論を行います。(拍手)
本日の本会議に、内閣官房長官並びに国土交通大臣に対する不信任決議案が自民党から提出されるに至った直接の契機は、予算委員会における尖閣諸島沖中国漁船衝突事件のビデオ映像の国会提出と公開をめぐる政府の対応でありました。
この間の経過を振り返れば、尖閣諸島沖での衝突事件直後の国会答弁で、前原外務大臣は、事件当時の国土交通大臣として、ビデオを見れば中国漁船が故意にぶつけたことは一目瞭然だと述べました。これをきっかけとして、衆議院予算委員会は、当該ビデオ映像の国会提出を国会法百四条に基づき要求したのであります。そして、十月二十七日になって、ようやく、慎重な取り扱いを求める官房長官の要望書つきで国会に提出され、十一月一日の集中審議の直前に、予算理事会メンバーと当日の質問者に六分五十秒の映像が開示されました。そして、十一月四日、事件のビデオ映像が、動画投稿サイト、ユーチューブで明らかになるという経過をたどってきたのであります。
今日、明らかになったビデオ映像を見れば、本来、これは非公開にしておくべき内容のものではありませんでした。こういう内容のものであるならば、政府の責任で、もっと早い段階で公開すべきだったのであります。私たちは、ビデオ映像の内容を私たちが知り得ない段階では、公開の是非については政府の責任で判断すべきだと言ってきました。しかし、明らかになったビデオを見れば、これは非公開にすべき内容のものでないことは明瞭であります。
今問われるべき問題の焦点は、ビデオ流出問題ではありません。政府がビデオ映像の扱いについて、責任ある方針を持たず、早い段階で公開すべきものを公開してこなかったことにこそ問題の焦点があるのであります。公開すべきものを公開しなかったことが今回の流出問題につながったのであり、公開してこなかった責任こそ問われるべきであります。とりわけ、早い段階で公開を判断せず、無責任な対応を続け、事態の混乱を招いてきた内閣官房長官の責任は極めて重いと言わなければなりません。
それどころか、政府は、今回の問題を専らビデオ流出問題に矮小化し、国家公務員の守秘義務の罰則強化や、国家機密法の制定の検討まで言い出しています。これは全く筋違いな話であり、表現の自由、国民の知る権利を侵害する動きとして、断じて容認することはできません。
この際、菅民主党政権の進める政治についても述べておきたいと思います。
政権交代から一年と二カ月が経過しました。国民の多くは、生活の苦難から何としても抜け出したい、これまでの政治を根本から変えたいと願ってきました。しかし、民主党政権はその願いにこたえたでしょうか。内政面でも外交面でも、失望と落胆の声が国民の中に大きく広がっているのであります。
第一に、内政面について言えば、国民生活が第一どころか、国民の暮らしに改善の兆しはありません。
この一年間に離職した労働者は七百二十四万人に上っており、新たに採用された人を四十万人も上回る状況で、雇用総数は減り続けています。大手企業ほど非正規労働者を真っ先に切り捨てているのであります。そのため、民間平均給与は年に二十四万円も減少し、五世帯に一世帯が貯蓄ゼロ、生活が苦しくて自殺する人が年に八千三百人を超えています。その一方、大企業は、内部留保を二百兆円をはるかに超える規模で積み上げているのであります。
このような事態を招いたのは、民主党政権が、財界、大企業を応援することには力を尽くすが、国民の暮らしを支援する有効な手だてを講じなかったからであります。
菅内閣が推進する新成長戦略には、危機に瀕した国民の生活と営業を救済する有効な手だては見当たりません。
第二に、外交では、自立した外交、対等な日米関係は、言葉さえなくなりました。
先日の日米首脳会談で、菅総理は、米軍の引き続くプレゼンスが必要と述べ、普天間基地の辺野古移設に、五月の日米合意をベースに最大限の努力をすると表明しました。県内移設反対という沖縄県民の総意を裏切って、県内たらい回しを押しつけようとしているのであります。
また、十月の所信演説で、米国主導のTPP、環太平洋経済連携協定への参加、推進を突如として打ち出したことも重大です。日本農業に壊滅的な打撃を与え、地域経済を崩壊させることは明白であります。
経済でも外交でも、日米同盟を絶対視する政治に突き進もうとしていることは、断じて看過することはできません。
今や、民主党政権の一年を振り返ると、内政、外交のどれをとっても、自民党政権との基本的違いを見出すのは不可能となりました。そうした菅政権を支える内閣のかなめである仙谷内閣官房長官を信任することはできません。
以上を表明し、不信任決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)