平成二十二年九月八日(水曜日)
午後一時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
磯谷香代子君 江端 貴子君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 黒田 雄君
小林 正枝君 後藤 斎君
佐藤ゆうこ君 瑞慶覧長敏君
高井 美穂君 高野 守君
中川 正春君 野田 国義君
平山 泰朗君 藤田 大助君
松本 龍君 柳田 和己君
湯原 俊二君 横光 克彦君
横山 北斗君 遠藤 利明君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 池坊 保子君
宮本 岳志君 城内 実君
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文部科学大臣 川端 達夫君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
内閣府大臣政務官 田村 謙治君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
会計検査院事務総局第四局長 金刺 保君
政府参考人
(公安調査庁次長) 寺脇 一峰君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
九月八日
辞任 補欠選任
石田 芳弘君 藤田 大助君
黒田 雄君 小林 正枝君
吉田 統彦君 柳田 和己君
同日
辞任 補欠選任
小林 正枝君 黒田 雄君
藤田 大助君 磯谷香代子君
柳田 和己君 野田 国義君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 石田 芳弘君
野田 国義君 吉田 統彦君
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八月六日
一、教育公務員特例法の一部を改正する法律案(下村博文君外三名提出、第百七十四回国会衆法第四号)
二、スポーツ基本法案(森喜朗君外五名提出、第百七十四回国会衆法第二九号)
三、文部科学行政の基本施策に関する件
四、生涯学習に関する件
五、学校教育に関する件
六、科学技術及び学術の振興に関する件
七、科学技術の研究開発に関する件
八、文化、スポーツ振興及び青少年に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
我が党はことし六月に、「大学の危機打開へ、「学問の府」にふさわしい改革をすすめる日本共産党の提案」という文章、政策を発表いたしまして、この間、私も、東京大学を初め、東京学芸大学、琉球大学、大阪大学、弘前大学等と党としても懇談をしてまいりました。政府が閣議決定をした概算要求基準による運営費交付金の一割カットに対する不安、心配がこもごも語られました。
東京学芸大学では、大学財政の七八・二%を人件費が占めていて、交付金削減と人件費削減政策のもとで教員を減らさざるを得なくなった。第一期の六年間で三十人を減らした。定数削減、定員削減はもう限界だ。大学予算削減の中で、十三校舎を持つ附属学校の予算が不足し、プールから水が漏っても体育館の天井が壊れても、修理ができない状態になっている。世田谷中学の体育館は天井が壊れて落ちそうになり、危ないので使えない状態のままであり、終業式もできなかった。附属校園の日常経費が運営費交付金だけでは足りないので、父母から寄附をもらって補っている事態さえある。一大学にとどまらず、日本の将来にかかわる大問題だ、こういう話が出されました。
大阪大学では、運営費交付金は六年間で三十七億円の削減となった。一割削減となると五十億円の減であり、三年続けば百五十億円の減になる。正直なところ、とても対応できないという話や、十年や二十年を見越した研究は運営費交付金でないとできない。一割削減では、学生教育や持続可能な社会基盤を支える研究もできない。大学教育など必要ないと言うなら、すぐれた研究者は日本からいなくなる。こういう声が出されました。
東京大学は後で詳しく紹介したいですが、これまで相当の削減がされて、一律削減されれば学部の運営ができない状況にある。欧米やアジアの国では戦略的、長期的に増額している。日本だけが削減では、中国、韓国に頭脳流出するという話が出されました。
琉球大学では、削減額を授業料で補えば、学生一人当たり二十万円アップにつながる。授業料は絶対に上げられないと述べておられました。
運営費交付金の一割削減は、このように、大学に壊滅的な影響を及ぼすと言わざるを得ないと思うんです。こういう削減はあってはならないと私は思いますけれども、まず文部科学大臣の御見解を聞きたいと思います。
○川端国務大臣 もう先生御指摘のように、国立大学の運営費交付金は、各国立大学法人が六年間の中期目標、中期計画に沿って継続的、安定的に教育研究を行うために必要な基盤的経費であり、極めて重要であるというのは御指摘のとおりでございます。
そして、一割削減云々のお話、御指摘がございました。七月二十七日に閣議決定した概算要求組み替え基準は、予算を大胆に組み替えることを主眼としたものであるが、運営費交付金を含む予算組み替え対象経費について、これは対象以外になっていますが、必ずしも、一律に全部一割切りなさいという趣旨ではないということであります。
また同時に、新成長戦略やマニフェスト等に関連する施策については、元気な日本復活特別枠の活用により追加して要望することが可能な仕組みとなっております。
国立大学協を含めていろいろな御要望もたくさんいただきました。そして、過去、今言われた骨太方針によって順次一%で減ってきているということで、もう限界に達しているという御指摘もいただいておるのは十分承知をしております。
そういう中で、国立大学は、人材養成、学術研究の中心として新成長戦略の実現に向けて極めて重要な役割を果たす存在であり、私どもとしては、平成二十三年度概算要求において、特別枠を活用することで、対前年度三百二十億円、二・八%増の一兆一千九百九億円の要求、要望を行ったところであります。
要求と要望が多い、少ないという話は先ほどありましたけれども、トータルとして見ていただきますようにお願いいたします。
○宮本委員 きょうは、東京大学でいただいた資料をおつけをいたしました。
「東京大学における運営費交付金削減の影響」ということで、これを見ますと、一律一割削減ということがもしされれば、影響額は八十五億六千九百万円になる。それがやられると、法学、医学、工学、文学、理学、農学、経済学、教育学の各学部・研究科の一年分の運営経費に相当として、八学部・研究科の廃止、こういうことをせざるを得ない。衝撃的な中身ですね。
また、八十五億六千九百万円の削減というのは、医科学研究所や地震研究所など全十一研究所の廃止をしなければならない額だ。
また、ニュートリノ研究の展開や地震、火山噴火予知研究の五年分の運営費に相当として、日本がリードする分野の事業の中断と書いてあります。
それ以外に、教員の三割削減とか、附属病院の廃止とか、学部学生授業料の六十万円の値上げに相当する。
まさに、やられたらとんでもないことになるということで、これは非常に強い危機感が、懇談の間にも学長様、総長からも出されました。これでは、国立大学のみならず、日本の大学システム全体が崩壊する、将来的に初等中等教育を含めた教育基盤と科学技術基盤にも壊滅的な影響を及ぼすというふうに言われておりました。
そういう点では、大学関係者が今本当に怒っておられるのは、もともと一%という削減枠が前政権のもとでかけられてきた。それを見直すということを掲げて選挙された民主党の政権になった。しかし、ことしの予算でも、一%ではないが〇・九%の削減がやられた。そこにこの一割という話が出てきたので、一割というのはこれまで以上の物すごい額だということでの危機感が広がっているわけですよ。
こういう状況については、これは本当に危惧すべき、懸念すべきことだと私は思いますが、改めて、大臣のひとつ見解を聞きたいと思います。
○川端国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、七月二十七日に、要求するというか組み替えということをやるに際して、既存予算の一割という数字が出てきました。ということで、その減らした分は同額を要望枠として別途要求できるということと、さらに一割以上減らした分に関しては、三倍分を要望できるんだという仕組みとして発表されました。
そこから、議論として、各大学関係者においては、じかに一割減ったらということがいろいろ出てきたことは、そして、試算もいろいろして、こんな大変なことだということはそのとおりであります。
それで、先ほど申し上げたように、私は、そんなことはあってはならないし、そして、去年は厳しい状況の中でありましたけれども、一%というのが、骨太の方針が終わったという意味で、〇・九というのは、わずかとはいえ、後の補正も含めますと毎年一%へずるんだということにはもう終止符を打ったというターニングポイントとして、〇・九という予算を組ませていただきます。
それで、今、一割云々というお話でありますが、我々としては、先ほど申し上げましたように、要望枠に一部回っておりますけれども、二・八%増という概算要求をしているわけですから、一割減ったら一割減ったらという話は御卒業いただいて、次の中身としてしっかり予算をとれというふうに応援していただくとありがたいと思っております。
○宮本委員 いや、それは卒業したいんですけれどもね。
二・八%の増、一兆一千九百九億円、これが予算の概算要求の額であることは承知しております。しかし、この一兆一千九百九億円のうち、先ほどおっしゃった特別枠というものが組まれているわけですね。この特別枠が幾らになりますか。
○川端国務大臣 八百八十四億円です。
○宮本委員 この八百八十四億円というものは別枠になっておりまして、先ほど大臣がお話しになった閣議決定によるものなんです。「外部の意見なども踏まえて政策の優先順位づけを行う「政策コンテスト」を実施し、その優先順位に基づいて最終的には総理大臣の判断によって予算の配分を決める新たな手続きによって行う。」というものなんですね。政策コンテストや総理の判断によって、これが削減される対象になるのではないか。
昨年は、事業仕分けで、短期的な功利主義による科学予算の削減がされようとしたことに対して、大学関係者から厳しい批判の声が上がりました。今回は、コンテストによる審査によって削減しようとしているのではないか、こういう危惧が語られております。
大学関係者の声を率直に申し上げますと、基盤的経費である運営費交付金は、特別枠とかコンテストでとり合いをする、そんな性格のものではないはずだ、これが大学の学長さんたちの率直な意見ですよ。また、関係者から、専門的審査とは無縁の乱暴な審査となる危険があるのではないか、こういう危惧の声も寄せられております。
こういうやり方は改めるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
○川端国務大臣 基盤的経費はそういうものになじまないという御意見も伺っております。
先ほど来の議論でありますけれども、要望枠に関しては、コンテストという、また、コンテストというものの実際中身がどうかというのは、ようやくきのうぐらいからおおむねの骨子が出てきた段階でありますので、これからの議論にもあるという私も意見を申し上げておりますのは、そういう意味での、予算の組み替えの仕組みとして要求枠と要望枠とに分けたけれども、本来、どちらにのっていても、どうしても要るものは要るということでの整理はしていただきたい。
同時に、コンテストにおいても、まさに成長戦略と基盤的研究というものの両輪として、そして人材育成というものがもう一方の柱として、非常に大きな位置づけとして、元気のある日本をつくろうというものの趣旨には全く合致するものですから、トータルとしてしっかりと確保できるように臨んでまいりたいと思いますし、運営費交付金は、本来、継続的、安定的に教育研究を行う不可欠な基盤的経費であって、これは、特別枠を活用しながらこういう仕組みに対応していくということで御理解をいただきたいと思います。
そして、政策コンテストに関しては、昨日開催された予算編成に関する閣僚委員会において、九月下旬を目途にパブリックコメントを実施することと、パブリックコメントの結果を参考としつつ、新たに評価会議(仮称)を設置して優先順位づけを行う場をつくるということが決定されたと関係閣僚会議の部分を承知しておりますけれども、この評価会議の中身等々はこれからでございますので、先生のような御指摘が、私も同感の部分はたくさんありますので、そういうことがしっかり担保されるように、そして、トータルとして最終的に予算がしっかり確保されるように臨んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 本当に必要な基盤的経費である運営費交付金がそういう形でコンテストで決められるというようなことが、まさに元気な日本をこれからつくっていく上で、本当に大学の関係者にとっては、元気どころか元気をなくす元凶になっているわけであって、大臣おっしゃるように、本来、必要不可欠の日常的経費ですから、これはやはりちゃんと確保されるように頑張っていただかなきゃならぬと思うんです。
それで、我が党は、やはり大学予算にふさわしい予算編成のルールを確立すべきだと思います。運営費交付金は、大学の日常的運営に必要不可欠な経費であり、国が措置する義務的経費として十分な経費を保障する必要があります。
その上に立って、各大学の教育研究費や人件費などの必要経費をきちっと精算し、それを総額を決定して、その上で財政力の弱い大学には手厚く配分する。こういう形で、もっとこの算定ルールを大学にふさわしいあり方に改善すべきだということも先ほどの政策提言では申し上げているんですけれども、これらについては、大臣、どうお考えでしょうか。
○川端国務大臣 運営費交付金の性格が継続的に、基盤的にしっかりと大学においての研究が進められるようにという性格であることは事実であります。そういう趣旨では、比較的安定的な財政状況が中長期にわたって見通せるということは大変大事なことだというのは、御指摘のとおりだと思います。
ただ、予算編成自体は、毎年の財政状況等々で組むものですから、枠を決めてしまうということが必ずしも適切であるのかどうかという議論はあるというふうに思いますと同時に、かねがね独法化も含めたときの大学の研究のあり方についても、やはり、元気よく競争でこういうことを堂々とやるんだというようなことでやるべきものと、地味だけれども、しっかりと着実に大学が中長期的にやっていくものと二種類、私はあると思います。
そういう部分では、そういう活力を持ちながら安定的にしっかりやれるという両方の面があると思いますので、そういう先生の御指摘の部分、思いとしては非常に私も共通する部分がたくさんありますので、しっかり踏まえて、最終的には運営費交付金がしっかり確保できるように努力を最大限してまいりたいと思っております。
○宮本委員 それは大いに努力をしていただきたいし、今、大臣から大学法人法のときの議論も紹介されました。
それで、努力して、ではこの間はどのようにその努力が実ったかということを、その次に、資料に「国立大学法人運営費交付金の推移」という表をつけさせていただきました。
この六年間、概算要求段階では、なるほど、前年度予算よりは増額要求しているんです。ところが、財務省との折衝で本予算ではこのように結局減額をされて、どんどん減らされてきた。今年度は〇・九%の減なんですね。結局、概算要求ではそれなりに増額で要求するんだけれども、頑張ると言うんだけれども、結果は減らされている。これはもう紛れもない事実なんですよ。
これ以上の減額なんということは断じて許されないということをこれは申し上げたいし、同時に、先ほど大臣は法人化のときの議論に触れられました。国立大学を法人化するときの附帯決議が本院でも付されております。「法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。」こうなっていたんですね。大学との懇談で学長さんからずばり出ましたよ。法人法の附帯決議を実施することは国会の責任ではないのか、ぜひこれをきちっとやってくれ、それに尽きるんだ、こう言っておられる方が多かったです。
これは、削減は立法府の意思にも反することになりますし、減額させないということが必要だと思います。
同時に、我が国は、諸外国に比べても高等教育予算に対する支出が余りにも低いわけですね。OECD諸国との比較を見ましても、GDP比〇・五%というのが我が国の状況でありまして、OECD加盟国の平均は一%ということでありますから、その半分にとどまっている。
こういう点では、国立大学の運営費交付金も私立大学の助成もともに増額をして高等教育予算を引き上げるということが今求められていると思うんですが、これは、二つあわせて大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 委員御指摘のとおり、十六年度、附帯決議の直後は同水準の運営費交付金が確保されましたけれども、その後はどんどん減って、合計で言うと、十六年度―平成二十二年で八百三十億円の減額になったことは事実でございます。しかも、これに関しては、そこに大きく横たわっていたのがやはり骨太方針ということでもありました。
そういう意味で、先ほど申し上げましたように、骨太方針は終わったという意味での一%というのは〇・九だけれども、事実上それは終わりましたよという宣言という意味で、減額でありましたが最小限にとどめたという予算になります。
しかし、御指摘のように、世界レベルから見たときの高等教育の水準の低さ、しかも、これはずっと続いている。諸外国は要するに右肩上がりで急激に上がっているという状況の中で日本はだらだら下がりをしているということは、将来においての大変な危惧を持っていることは私も一緒であります。
今回、そういう意味でのトータルの必要性をしっかり説く中で、先ほど来申し上げておりますように、要求、要望を含めて、ほかの省庁に比べて何か文科省は極めて積極的な予算要求をしたつもりでございますが、そんなことを言っても概算要求との乖離があるではないかという過去の例もお引きになりましたけれども、そうならないようには、決意を込めて頑張ってまいりたいと思います。
○宮本委員 ぜひとも、ことしはきちっと獲得をしていただきたいというふうに思います。
次に、少人数学級の実施についてお伺いいたします。
文部科学省は、来年度概算要求で学級編制基準をどのように変えていこうとしているのか。来年度以降の計画を教えていただきたいと思います。
○川端国務大臣 先般来の中教審の御答申も踏まえながら、長年の懸案でありました少人数学級を何としても来年からスタートさせたいということで、今回の計画案では、少人数学級の推進を、平成二十三年度から三十年度までの八カ年で行うこととしています。
具体的には、現行の標準四十人を、まず平成二十三年から二十七年度までの五年間で小学校全学年を三十五人、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間で中学校全学年を三十五人、平成二十九、三十年度の二年間で小学校一、二年生をさらに三十人に引き下げることとしております。
平成二十三年度の概算要求においては、計画の初年度分として、小学校一、二年生について三十五人学級を実施するため必要な八千三百人分を盛り込み、対前年度八十九億円増の一兆六千二十七億円を計上しているところでございます。
○宮本委員 現行の四十人学級から小学校一、二年で三十人、それ以外は三十五人学級へ学級編制基準を切り下げるという、学級編制基準の引き下げとしては三十年ぶりの改定となります。
学級編制基準の引き下げは極めてこれまでおくれてきたわけですね。三十年前、我が国では四十五人から四十人に移行する際に、世界では既に三十人台から二十人台に向かっていたわけですよ。我が国の場合、学級編制基準の引き下げでは世界からは大きく立ちおくれてきました。
それでは、イギリスでどんな状況か。これは文科省からいただいた資料ですけれども、イギリスでは、三十人以下の学級規模で在籍している児童生徒数は全体の八七%から八九・六%。小学校で八七・七%、中学校で八九・六%、九割近くが三十人以下で在籍している。
日本の場合は、今、三十人以下という状況で在籍しているのは何%になっておりますか。そして、今の日本の学級の子供の数はOECD参加国の中で上位何番目になるかもあわせてお答えください。
○川端国務大臣 イギリスの例をお示しいただきました。小学校で約八八%、中学校で約九〇%が三十人以下学級という御紹介でございます。
我が国では、小学校では約四六%、中学校では約一八%でございます。
また、一学級当たりの児童生徒数の国際比較では、我が国では、小学校で二十八・〇人、中学校では三十三・〇人であるのに対し、OECD平均では、初等教育で二十一・六、二十八が二十一・六ですね、前期中等教育、中学校に相当する部分では二十三・七人となっております。いずれも日本より相当低いレベルが平均値でございます。OECD加盟国中では下位、下位といいますのが、下から三番目ぐらいでしょうか、ということでございます。
○宮本委員 昨日OECDが公表した「図表でみる教育二〇一〇」、昨日公表されたばかりですけれども、これを見ますと、小学校では、韓国、チリに次いで三番目に多い国になっている。中学校では、韓国に次いで二番目に子供の数が多い国ということになっております。
この間、四十七都道府県で少人数学級が、これは都道府県が実施をして、少人数学級が実施をされてまいりました。その教育効果、そしてその評価ですけれども、それをひとつきちっとここで聞かせていただきたいと思います。
○川端国務大臣 平成二十二年度においては、すべての都道府県において独自の少人数学級が実施をされております。
平成十三年度から小学校一、二年生で三十人程度学級を導入するなど、早期から少人数学級を実施した秋田県では、全国学力・学習状況調査で四年連続で上位となっております。また、同様に早期から三十三人学級を導入した山形県では、不登校の出現率や欠席率が低下するといった傾向が見られております。
このように、少人数学級を実施すると、一つは、子供たち一人一人の理解度や興味、関心を踏まえたきめ細やかな学習指導が可能となる、もう一つは、不登校や問題行動の早期対応につながるなど、学習面や生活面において一定の効果を上げている面も見受けられていると認識をいたしております。
○宮本委員 あの学力テストの結果を見ても、やはり、少人数学級をすれば学力が高いという結果が出ております。私の地元大阪あたりでは、テストの結果を公表したら学力が上がると言う知事がおるんですけれども、そうじゃなくて、現実には、やはり少人数学級をやっているところで高い結果が出ているというのは、僕は非常に大事なことだと思うんですね。
それで、中教審の初等中等教育分科会の「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」でも、「各都道府県において様々な形態による少人数学級の取組が進められ、「学力調査の成績が向上した」「不登校の児童生徒の割合、欠席する児童生徒の割合が低下した」などの具体的な実証データが蓄積されるようになってきた。」と述べ、「現在では、すべての都道府県において何らかの取組が行われており、少人数学級は高く評価されている。」と評価しております。
提言に掲載された資料には、「効果が生まれた要因」として、「制度が変わり→教員の意識が変わり→そして、授業が改善され、「効果」が生まれた。」としております。「また、学級規模が小さくなることで、一人一人の児童生徒の発言や発表の機会が増え授業中の質問がしやすくなるなど、より積極的な授業への参加が行えるようになる」などの教育効果を挙げ、学級編制基準の引き下げを提言しておりました。
中教審は、教育関係者からのヒアリングのほか、国民からも意見募集を行ったようでありますけれども、その国民からの意見によると、望ましい学級規模について最も多かった意見は、一体、どれだけのどういう人数でしたでしょうか。
○川端国務大臣 文部科学省が三月中旬から四月中旬にかけて行った「今後の学級編制及び教職員定数の在り方に関する国民からの意見募集」においては、望ましい学級規模の回答で最も多かったのは、二十六人から三十人でございました。
○宮本委員 そうなんですね。国民からの声で最も多かったのは、二十六人から三十人という意見が最も多かったんですね。それならばなぜ三十人学級にしなかったのかということと、それから、今回三十五人学級に踏み出すという予算をおつけになったと聞いているわけですけれども、この概算要求は特別枠による要求だと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
○川端国務大臣 全部三十人学級にする、二十六から三十ということは、ぎりぎり三十にするのが一番望ましい効果がもたらされるということはあるかもしれませんが、まずは、小学校、中学校全体を三十五人学級にして、一番丁寧にというか、きめ細かくというのが要求される一、二年生を最終的にやろうという計画にいたしましたのは、中期的な計画で一気にすべての学年で現行の四十人から三十人に引き下げることは、財政状況、それから、教室が当然たくさんふえますから、教室の確保等の課題があって、一遍にやるのはなかなか難しいということでこういう計画にさせていただいたことを御理解いただきたいと思います。
そして、特別枠かというのは、御指摘のとおり、一、二年生の三十五人学級の実現に必要な経費は、元気な日本復活特別枠という要望で行います。
○宮本委員 政府案は、八年かけて小学校一、二年を三十人学級に、その他を三十五人にするというものであります。
先日、大臣にも私の方からお渡しをするとともに、七月の理事懇の終了後、各党の皆さんにもお渡しをいたしましたけれども、日本共産党は、来年度以降、六年間で三十人学級を実施する政策、私たちももちろん、一気に来年から全部三十人、それは無理な話であって、徐々にということでありますけれども、やはり六年程度で三十人学級を実施する政策を発表させていただきました。
各党も、学級編制基準の引き下げをさきの選挙戦の公約に掲げておられます。少人数学級への移行は、何としても実現させなければなりません。
しかし、これも、特別枠で要求するという、政策コンテストにかけて、これに勝ち残ればという話になっておりまして、やはり、義務教育の根幹にかかわるこういう問題を、さっきの大学もそうですけれども、特別枠で行うというやり方は極めて問題だというふうに思います。しかも、一兆円の特別枠に三兆円の要望が殺到するわけですから、これは本当に不安な限りですよね。
何としても、三十年ぶりに踏み出した少人数学級、予算も確保するという決意を最後に大臣にお伺いして、質問を終わります。
○川端国務大臣 要望枠と特別枠の部分は整理としては御理解をぜひともいただきたいんですが、少人数学級も、それから大学の運営費交付金も極めて大事なものであるということで、本当に全力挙げて頑張ってまいります。
○宮本委員 ありがとうございました。