平成二十二年三月十二日(金曜日)
午前九時十分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
神山 洋介君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
後藤 斎君 佐藤ゆうこ君
瑞慶覧長敏君 杉本かずみ君
高井 美穂君 高野 守君
中川 正春君 平山 泰朗君
牧 義夫君 松本 龍君
湯原 俊二君 横光 克彦君
横山 北斗君 吉田 統彦君
伊東 良孝君 遠藤 利明君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 池坊 保子君
宮本 岳志君 城内 実君
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文部科学大臣 川端 達夫君
内閣官房副長官 松野 頼久君
外務副大臣 福山 哲郎君
財務副大臣 野田 佳彦君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
牧 義夫君 杉本かずみ君
松本 龍君 神山 洋介君
遠藤 利明君 伊東 良孝君
同日
辞任 補欠選任
神山 洋介君 松本 龍君
杉本かずみ君 牧 義夫君
伊東 良孝君 遠藤 利明君
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本日の会議に付した案件
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、私どもも総理の出席を求めてまいりましたけれども、総理にかわって松野官房副長官が御出席いただいて御答弁いただくということになっておりました。今、松野副長官は参議院の方で答弁があるということで席を外されておりますので、後からお見えになるということで、順序を入れかえて、その他の質問から始めていきたいと思っております。
まず、私は一貫して、国際人権規約のA規約十三条二項の留保撤回の問題をお尋ねしてまいりました。
去る二月十八日、衆議院の予算委員会で、私が岡田外務大臣にこのことについてお伺いしたところ、この国会中に予算が成立し、法案がきちんと成立をするということになれば、これは直ちに撤回について、それを求めることができるというふうに考えています、こう岡田外務大臣から御答弁をいただいております。また、川端大臣は、大学授業料の減免と奨学金事業など諸施策を拡充する中で、(c)項の留保が撤回されるように外務省の精査を待ちたい、こういう答弁もいただいております。
今回のこの法律の成立とともに人権規約の留保撤回ができれば、教育の無償化に向けた国際的な仲間入りができるということになります。きょうは外務副大臣に来ていただいておりますので、この点について、この法案が成立すればこの留保を撤回するということになると思うんですけれども、しっかりとした御決意をお示しいただきたいと思います。
○福山副大臣 宮本委員にお答えをさせていただきます。
岡田外務大臣が先ごろ答弁をさせていただいたとおりの現状でございますが、今まさに審議をいただいている法律と、人権規約上の我が国が負う義務との関係について精査をし、検討をしているところでございます。
しかしながら、一般的に申し上げれば、法案を通していただいて、そして予算が成立をした時点で外交上の要件は整ってくると私は判断をしておりますので、今後とも、そのことを前提としながら検討しているということを申し上げたいというふうに思います。
○宮本委員 外交上の要件は整うという御答弁をいただきました。これで障害はなくなるわけでして、直ちに留保撤回に向けて手続に入ることを求めたいと思います。外務副大臣、結構でございます。
さて、その留保撤回対象の国際人権規約第十三条二項(b)というものはどういう条文か。「種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」という条文になっております。そして、十三条そのものの条文には、「締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。」こう明言をしております。
無償教育はすべての者を対象にしなければならない、これは今回の法律適用に当たって、特定の国の外国人学校を排除するようなことは、この条文に照らしてもあってはならないと私は思うんですけれども、これは文部科学大臣の認識をお伺いいたします。
○川端国務大臣 お答えいたします。
今御指摘のように、まさに国際人権A規約、我々はこれを批准できるように、留保を撤回できるようにということで取り組んでまいりましたし、今回、この法案は、いわゆる高等学校等に通う生徒の学びは、その恩恵が社会全体に貢献しているということで、みんなで負担をしようという趣旨であり、そういう意味では、日本国内に居住する者を国籍を問わず応援するということでは、まさにこの趣旨に沿った精神にのっとっていると理解をいたしております。
そういう中で、今議論になっているのは、いわゆる各種学校の中の外国人学校が適用になるのかどうか。これは、議論としては、この国だからとか、あるいは外交上の配慮とかいうことで判断するのではなくて、高等学校の課程に類するものであるかどうかということを唯一の判断基準にする、評価方法も考えるということでありますので、御指摘の部分で、今、この国際人権規約十三条の(b)は、さまざまな形態の中等教育が漸進的に無償化という、我々が今、ずっときょうも議論になっているのは、この学校が中等教育なのかどうかという判断をするのであって、そういう意味では、御指摘のような特定の国を外すつもりはございませんし、そういう選考でなくて、中等教育に該当するかということを判断するという意味では、この国際人権規約の中で特段問題があるとは認識をいたしておりません。
○宮本委員 やっと留保撤回に踏み出そうというときに、この条文に万一反するようなことがあれば、それこそ、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会から、これはどういうことなんだと新たに是正の勧告を受けるという、本当に情けない恥ずかしい事態になります。ですから、そんなことはくれぐれもないようにすべきだと思うんですね。
ところで、先ほどの議論で、先日私がこの委員会で大臣に対して、今、朝鮮高級学校の卒業生が大学受験資格も得て受験した結果、大学にも多く入学している、これは日本の高等学校と同等の水準の教育を行っているとみなす一つの有力な指標ではないか、こう指摘をいたしました。そのことについて、先ほども一つの参考として検討しているという御答弁もあったようですが、これはしっかり検討していただいているということでよろしいでしょうか。
○川端国務大臣 先ほどの下村委員との議論の中でも触れさせていただきましたけれども、大学入学資格というのは、非常に一般的な概念で申し上げますと、高校を卒業したということでありますから、その高校を卒業したということの卒業レベルを評価するという一つの物差しが既に日本の国内にはあるということであるので、卒業レベル、学力を評価するという物差しであって、在学しているというその学校の中身を高校同程度というものとは違う概念でありますけれども、参考にはさせていただきたいと思っております。
○宮本委員 そこで、後で松野副長官にもたださなければならぬと思っているんですけれども、きょうの朝日新聞の一面に、先ほど議論になったように、「朝鮮学校無償化除外へ」という見出しが躍ったわけですね。きょう、私どもはこの法案には基本的には賛成をする立場でありますけれども、こういうことがあらかじめ決まっているかのような報道であると、これは非常に国民の間に不安も懸念も広がると思っております。これは事実に反すると思うんですけれども、まず文科大臣にお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 報道されたことは、それぞれいろいろな報道が、先ほども御紹介がありましたように、除外へというのと入れるという、いろいろな報道がされていますが、報道のそれぞれ個々にコメントする立場にはございません。
先ほど来の議論のように、まさにしっかりとした基準と評価方法ができるように検討してまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 後でまた松野副長官にお伺いしたいと思います。
次に、この財源確保のための、特定扶養控除の十八歳以下、上乗せ部分の廃止によってさまざまな影響が出るという問題です。
先ほども公明党の富田委員の方から、るる御指摘がありました。先日私が示した、高等学校に通っていない、働いていない人、それから通信制や定時制、特別支援学校の高等部の方々、あるいはその他の私学の方々もということを指摘をしましたけれども、控え目に見積もっても五十万人を下らない数に上ると私は思います。大変な数ですね。
それで、富田先生の配付いただいたこの資料でありますけれども、この資料によると、公立高校の定時制はプラス七千九百円と、八千円程度プラスになるという結果が出ておりますけれども、実は、文部科学省の便益の比較で、二万四千五百円、特定扶養控除の切り下げでマイナスが出るとなっている、この計算に私は若干の間違いがあると、いろいろ調べてみてわかったんです。それは、住民税所得割の部分の調整控除の配慮、考慮がされておりませんのでこういう額になっておりまして、私どもがそこをちゃんと考慮して計算したところ、やはり三万一千円、こういう額になっておりまして、公立高校の定時制も、マイナスとは言いませんけれども、ほぼとんとんということになるんですね。だから、影響が出る人数でいいますと、この富田先生の試算よりもさらに広がるというのが私どもの認識であります。
まず、文部科学大臣にお伺いしますけれども、どれだけの影響が出ると見ているのか、責任を持ってきちんと全体を把握いたしますか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
授業料が、いわゆる十一万八千円という想定より相当低い学校種に通う子供、あるいは高校に全く通っていない子供を持つ家庭において、所得もないというふうな家庭においては、先般来議論にありますように、無償化に伴う便益よりも特定扶養控除の圧縮による負担の方が大きくなることはあり得るというのは、当然認識をいたしております。
高等学校に進学していない者は毎年約一万六千人ぐらいいるのではないか、定時制、通信高校に通う生徒が約二十万人、特別支援学校高等部に通う生徒が約五万人、今まで授業料全額免除を受けていた生徒が約二十万人、この人たちは、多分トータルの便益ではマイナスになるというのが考えられます。そして、相当な数であることも認識をいたしております。
ただ、これらの子供を持つ家庭の具体的な収入の状況について文部科学省として今把握しているわけではなく、また、非課税世帯、勤労生徒のような扶養親族になっていない者、中退後に復学して就学支援金の支給を受ける者等の家庭について、必ずしも負担がふえる者ばかりでもないということもありますので、実際に特定扶養控除の見直しの影響を受ける者の数を正確に把握することはなかなか難しい。ただ、概数の数字は、先ほど申し上げたようなことが大ぐくりにはつかめるというふうに思っております。
○宮本委員 相当数に上る、そして少なくないということはお認めになっておられるわけですね。ですから、これも文部科学省にお伺いしても、この間でいうと「適切な対応を検討します。」という税制改革大綱の言葉しか出てこないので、後で松野副長官にもお伺いしたいと思っておりますけれども、直ちに対策をとられなければならないと思っています。
それで、公立高校の授業料不徴収の一方、私学の就学支援金を一定額にとどめたために、公私間格差、とりわけ格差感の広がりについて、これも文科大臣はお認めになりました。きょうはもう繰り返しませんけれども、支援金の拡大、私学助成の充実など、具体的な対応を求めておきたいと思います。
さて、高校が無償化に一歩を踏み出す以上、首相が施政方針演説で述べたとおり、今度は大学の段階的無償化に向かわなくてはならないと思うんです。
我が国の学費は、国立大学で八十一万七千八百円、私立大学で平均百三十万九千六十一円。アルバイトに追われ、学業に専念できないという深刻な状況に置かれております。いわば日本の知の危機だと言わざるを得ません。
まず、文部科学大臣に、この大学の学費をどのように引き下げていくのか、ここについてもひとつ御決意をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 あらゆる階層における学びの場をしっかり確保していく方向の国でありたいということは、鳩山内閣の基本的な考えでございます。そういう中で、学生の教育費負担軽減策としては、奨学金事業の充実とともに、実質的給付型支援の充実が必要と考えております。
二十二年度の予算案では、大学が実施する授業料減免の拡大への支援と大学院生に対するTA、RA雇用等に必要な経費を盛り込んでおりまして、こういう施策で実質的に支援をするということと同時に、いわゆる給付型奨学金も大きな検討のテーマでございますが、高等教育の段階での給付型奨学金制度というのはやはりいろいろな議論があります。負担の公平感の問題、あるいは、大学まで行くということでいうと、みずからへの投資はみずからが貸与型奨学金を受けて将来返していくべきものではないかというふうな、多様な問題と財源の確保等もありますので、諸外国の例を見ながら、慎重に検討していく課題だというふうに思っております。
授業料減免措置では、国立大学では、対前年度十四億円増の百九十六億円で、免除人数を五万人から約五万五千人に拡充、私立大学は、対前年度二十億円増の四十億円を計上して、約二万八千人を約三万人に拡充、国公私立合わせて奨学金としては八万五千人に拡大しました。公立高校は地方財政措置を通じて支援をいたしました。
大学奨学金は、対前年度五百八十億円増の一兆五十億円の事業経費を計上、貸与人員で三万五千人増の百十八万人に拡充することとしておりまして、いろいろな施策で支援を続けてまいりたいと思っております。
○宮本委員 今お話しになった給付制の奨学金、大学についてもきちっと進めていく必要があると思うんですね。
先ほど、借りて返すべきだという議論もあると言いましたけれども、現状はやはり本当に教育ローンですよ。大学を卒業したら、大学院まで出たら、それこそ五百万とか一千万という借金を背負うということになっております。そんなものを社会に出るときに背負わせている国はないんですね。
諸外国の例とおっしゃいました。OECD三十カ国の中で給付制奨学金がないのはアイスランドと日本だけ。アイスランドは既に大学の授業料を取っておりませんので、授業料を取り、その上給付制の奨学金もないというのは日本だけだということになります。諸外国の例を見るならば、一刻も早く給付制奨学金を創設すべきだということを申し上げておきたいと思います。
そこで、余りにも日本の私立大学の学費が高過ぎる。日本の八割近い学生を抱え、百三十万円を超えるという事態は放置できないはずです。
私学助成も、できるだけ速やかに二分の一とするように努めることとした附帯決議が繰り返し上がりながら、一九八〇年の経常経費の二九・五%をピークに減り続けて、二〇〇八年には一〇・九%にまで落ち込んでおります。私学助成を抜本的にふやして学費軽減の方向に持っていけるようにすべきだと考えますけれども、文科大臣の御見解をお伺いいたします。
○川端国務大臣 我が国の大学生の約八割が私学に通っております。そういう意味では、高等教育における私学の役割は大変大きな役割を果たしていただいているというふうに思っています。
私学助成は、御指摘のように、学校の教育条件の維持向上や学生の修学上の経済的負担の軽減にもつながる、あるいは私学経営の健全性の向上のためにも重要なものであり、引き続き充実していくべきものであるというのが基本認識でございます。
そういう中で、平成二十二年度予算案では、私立大学等への経常費補助については、授業料減免補助のほか、地方中小規模大学への支援を充実するという観点を含めまして、四年ぶりにこの額は増額させていただきました。三千二百二十二億円、対前年度四億円増、計上させていただきました。
高等教育における私学の果たす重要な役割にかんがみ、今後とも私学助成の充実に取り組んでまいりたいと思います。
○宮本委員 こうした学費減免枠を拡大したりあるいは給付制奨学金を創設する、これが大きな課題になっておりますし、大学の運営費交付金や私学助成の充実、これを進めるためには予算が必要なんですね。先ほども、結局最後は予算の問題ということになってきます、給付制奨学金をなぜ削ったのかと旧政権の側からも問われて、そのことも議論になっておりました。
私は、本当に今この予算をどうするのかというのは大問題だと思うんですけれども、まず、我が国の教育予算がいかに低いのかというところをはっきりさせなければならないと思うんですね。
まずお伺いしますけれども、我が国の教育に対する公的支出、国内総生産、GDPに対する学校教育費で、全教育段階の公財政支出は何%か、また、高等教育における公財政支出は何%か、このパーセントをお答えいただけますか。
○川端国務大臣 我が国の全教育段階における公財政支出は、対GDP比で三・三%、ちなみに私費負担が一・七%、合計で五%でございます。
そして、高等教育段階では、我が国は、公財政支出が対GDP比〇・五%、私費が一・〇%、合計一・五%でございます。
○宮本委員 OECDの五%に対して、我が国は三・三%なんですね。高等教育では二分の一にも満たないという状況にあります。
やはりここまで引き上げていくと、この委員会、衆議院の文部科学委員会でも、教育振興基本計画について審議した際に、「教育投資について、欧米の教育先進国の公財政支出の平均的水準を目指した数値目標を設定し、その充実を図ること。」という決議が上げられておるわけでありますから、これに向けて努力すべきだと思っています。
ちなみに、五%に引き上げれば、八兆五千億円引き上げなければならない。民主党はさきの総選挙のマニフェストでも五%を目指すとおっしゃっているわけですから、その点ではしっかりと財源の確保に努めていただきたいと思うんですね。先日、二百六十億円をめぐって、わずか二百六十億円かどうかという議論がありましたけれども、私はその点でわずかと申し上げたつもりであります。
松野副長官がお戻りになりましたので、松野副長官に最後に何問かお伺いして終わりたいと思うんです。
まず、きょうの朝日新聞の一面、「朝鮮学校無償化除外へ」、こういう記事が載りました。先ほど文部科学大臣にも御答弁いただいたんですけれども、まるで除外が決まったかのような報道でありますけれども、こういう事実はございますか。
○松野内閣官房副長官 先ほどからも御議論いただいているように、文部科学省の中におきまして、また文部科学大臣の責任において、要は高校程度であるということが確認できることという部分がまだ決まっておりませんので、どちらのどういう方向になるか決まっていないというふうに認識をしてございます。
○宮本委員 先ほど実は外務副大臣から、この法案が通り、そして予算が通れば、直ちに国際人権規約の留保撤回に向けて外交上の要件は整っていくという御答弁をいただきました。政府としてもこの人権規約の留保撤回に向けて直ちに踏み出す、その御決意はございますか。
○松野内閣官房副長官 高校無償化に関して、いわゆる国際人権規約のA規約、いわゆる社会権規約の第十三条二項の(b)に関しての御質問だというふうに思ってございます。
これに関しましては、先ほど外務副大臣から御答弁されたというふうに今伺いましたけれども、まさに高校実質無償化の法案と我が国が同規定上負う義務との関係、これについて精査をしているというふうに承知をしてございます。外務省において、本件規定に関して留保の撤回につき検討しているものということを承知しているところでございます。
○宮本委員 最後にお伺いしますけれども、今回の法律の財源確保のために、特定扶養控除の十八歳以下上乗せ部分が廃止されることによって、実は差し引きで負担増だというところが相当数出てくる。先ほど文部科学大臣からもそれをお認めになる御答弁がありました。
これに対策が求められておりますが、残念ながら、文部科学省では「適切な対応を検討します。」という以上の言葉はなかなか出てこないわけでありまして、この点、政府として必ずこの対応を具体的に責任を持って行うということを、本来は総理にここで言っていただきたかったわけですけれども、総理にかわって、副長官、明言していただけますか。
○松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。
特定扶養控除の廃止に伴いまして、若干数の、約二%程度の方が増税になるのではないかというふうな御議論があることは承知してございます。(発言する者あり)失礼いたしました。縮減に関しまして、そのように認識をしているところでございます。
昨年の十二月に閣議決定された税制大綱におきまして、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」ということになってございます。政府としては、この税制大綱を踏まえまして、実際に家計に影響が生じる平成二十三年度末に向けて必要な対策が行われるように検討してまいるところでございますので、ぜひ御理解いただければありがたいと思います。
○宮本委員 二%をわずかというふうには私どもは思っておりません。この場所でも明らかにしたように、少なく見積もっても五十万人というふうに私も申し上げました。しっかりと対策をとられることを求めて、私の質問を終わります。
○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 まず冒頭、合意のないまま質疑を打ち切り、かつて自民党がやってきたことと同じような委員会運営については私どもも反対をいたします。
私は、日本共産党を代表して、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案及び修正案、両方に賛成の討論を行います。(拍手)
世界の大勢が高等学校教育の無償化を図っている中で、日本共産党は、一貫して高校教育無償化を主張し、その実現のため全力を挙げてまいりました。我が国でもこうした無償化の方向が打ち出されたことは、国民の粘り強い運動の成果であり、当然のことだと言わなければなりません。高校教育無償化の実現が国際的に大きく立ちおくれた現状を取り戻し、国際人権A規約第十三条第二項(b)の留保撤回が現実のものとなります。さらに、これをステップに、高等教育の段階的無償化の実施に向かうべきであります。
審議の中で指摘したように、本法律案の実施は、公立高校は授業料不徴収にする一方で、私立高校に通う生徒への就学支援金は一定額の支給にとどまり、公私間格差を拡大するという問題、就学支援金の支給も三十六カ月にとどまり、学ぶ権利を保障する観点からは不十分であること、十八歳以下の特定扶養控除の上乗せ部分の廃止に伴う負担増、授業料以外の教育費の負担軽減策などの課題が残されています。
なお、外国人学校から朝鮮人学校を除外するなどということは、国際ルールに照らして断じて許されないということも申し添えます。
今後、これらの問題、課題に政府として直ちに取り組み、解決するよう求め、討論を終わります。(拍手)