平成二十六年四月九日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 大野敬太郎君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小島 敏文君
小林 茂樹君 桜井 宏君
新開 裕司君 田畑 裕明君
冨岡 勉君 永岡 桂子君
野中 厚君 藤井比早之君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
内閣府副大臣 後藤田正純君
文部科学副大臣 櫻田 義孝君
文部科学副大臣 西川 京子君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(内閣府宇宙戦略室審議官) 中村 雅人君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 清木 孝悦君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 川上 伸昭君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 小松親次郎君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 敏君
政府参考人
(文化庁次長) 河村 潤子君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 高橋 泰三君
参考人
(独立行政法人理化学研究所理事長) 野依 良治君
参考人
(独立行政法人理化学研究所理事) 坪井 裕君
参考人
(東京電力株式会社代表執行役副社長) 石崎 芳行君
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委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
馳 浩君 田畑 裕明君
比嘉奈津美君 藤井比早之君
宮内 秀樹君 大野敬太郎君
同日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 宮内 秀樹君
田畑 裕明君 馳 浩君
藤井比早之君 小島 敏文君
同日
辞任 補欠選任
小島 敏文君 比嘉奈津美君
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四月七日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(河野正美君紹介)(第五三八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五九四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第六三〇号)
教育予算の増額、教育費の無償化、保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(河野正美君紹介)(第五三九号)
学校司書の法制化に関する請願(岸本周平君紹介)(第五四〇号)
同(小宮山泰子君紹介)(第五五〇号)
同(吉川元君紹介)(第五六三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五九五号)
同(小川淳也君紹介)(第六三二号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第六三三号)
教育費負担の大幅な軽減、安全な学校施設を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第五六二号)
囲碁を学校教育導入等に関する請願(國重徹君紹介)(第五九三号)
学費の負担軽減、高等教育予算増額を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六三一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
委員会の冒頭、下村大臣から、先日の私の質問に対する答弁に事実誤認があった旨発言がありました。
村山談話は、歴代の首相が認めるかどうか、注目をされてきました。政府の態度の中でも、国内外で最も知られたものだと思うんです。その核心がどこにあるか。
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
というところにあります。
大臣はこの重要性をお認めになりますね。
○下村国務大臣 さきの大戦に係る歴史認識については、私も内閣の一員として、安倍総理が国会で答弁されている内容と同様の認識を持っております。
すなわち、歴史認識については、我が国は、かつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであるとの認識であります。
○宮本委員 もしも事実誤認の背景に、侵略と植民地支配はなかったとか、あるいは、謝罪するような大したことはなかったという認識があるとすれば、極めて深刻な問題だと言わなければなりません。
過去に重大な誤りがあれば、事実に向き合い、誠実に反省してこそ真の誇りも生まれるし、同じような侵略などの行為に毅然とした態度がとれます。そして、それでこそ国際的に名誉ある地位を占めることができると思うんです。その意味でも、大臣には肝に銘じていただきたいと思います。
さて、閣議決定その他の方法に示された政府の統一的な見解に入るかどうか、もう一つ重要な文書である日本軍慰安婦についての河野談話がございます。
先日の答弁で大臣は、それらに示されている基本的な立場については、安倍内閣においても継承している旨、質問主意書の答弁においては、これは閣議決定されている、こう述べられました。
その答弁書とは、平成十九年三月十六日受領、答弁第一一〇号で、「政府の基本的立場は、官房長官談話を継承しているというものであり、その内容を閣議決定することは考えていない。」というものであります。河野談話を継承しているというのは政府の基本的立場だと述べております。
大臣もこの基本的立場はお認めになりますね。
○下村国務大臣 そのとおりでございます。
○宮本委員 閣議決定で政府の基本的立場だと言っているものが政府の統一的な見解に入らないというようなことは通用しないと私は思うんですが、いかがですか。
○下村国務大臣 私は、事実誤認が村山談話についてあったということで、先ほどおわび、訂正を申し上げました。
河野談話については、これは閣議決定されていないということは事実でありますので、それはそのとおりということでございます。
ただ、この慰安婦問題について、これは政府の基本的立場として申し上げたいと思いますが、安倍内閣としても河野談話を継承している旨を明らかにしており、質問主意書の答弁で、河野官房長官談話を受け継いでいる旨を閣議決定をしております。
この内容は、検定基準上の、閣議決定等により示された政府の統一見解に該当いたします。したがって、教科書検定に当たっては、慰安婦問題についての政府の基本的立場を踏まえて実施するということになります。
○宮本委員 河野談話の継承が政府の基本的立場だということであれば、大臣もそれを誠実に実行すべき立場にございます。
河野談話では、
われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
こう述べております。
このような歴史教育をどのようにお進めになるおつもりですか。
○下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、河野談話そのものは閣議決定されておりません。しかし、質問主意書の答弁で、河野談話を受け継いでいる旨を閣議決定をしているということを申し上げました。
この内容は、検定基準上の閣議決定等により示された政府の統一的見解に該当するということでございます。
○宮本委員 私がこの村山談話と河野談話という二つの文書が政府の統一的な見解であるかどうかを聞いてきたのは、これは歴史認識にかかわる重大問題だからであります。
なお、そのことと政府の統一的見解に基づいた記述を教科書に書かせるという問題とは別問題であります。そんなことをしたら、教科書は政府の広報誌になってしまうと言わなければなりません。
例えば、安倍内閣は、四月十一日にも、原発を重要なベースロード電源などと位置づけたエネルギー基本計画を閣議決定しようとしておられます。原発をめぐっては、どの世論調査をとっても再稼働反対が多数を占めております。それを、政府が閣議決定したから教科書に書けというようなことは、とんでもないことだと言わなければなりません。
旭川学力テスト事件最高裁判決は、「教師が公権力によつて特定の意見のみを教授することを強制されないという意味において、」「教授の具体的内容及び方法につきある程度自由な裁量が認められなければならない」とし、「政党政治の下で多数決原理によつてされる国政上の意思決定は、さまざまな政治的要因によつて左右されるものであるから、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとして、党派的な政治的観念や利害によつて支配されるべきでない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請される」と判示しております。
まさに多数決原理で決まってくる閣議決定などを一律に教育に強制するようなことは絶対にあってはならないことを、厳しく指摘しておきたいと思うんです。
さて、ここで一問だけ、次のテーマを聞いておきたいと思います。
昨夜、南極地域観測隊第五十四次越冬隊と第五十五次夏隊の帰国歓迎会が開催されました。大臣もお見えでありました。
今回の航海では、南極観測船「しらせ」が南極海で座礁するという観測史上初めての事故がありました。この修理には一定の予算が必要です。「しらせ」は自衛隊の艦船でありますけれども、この修理費用については文部科学省が手当てをする必要がございます。
昨日会場でも申し上げましたけれども、この予算の確保には万全を期していただけますね。
○下村国務大臣 昨日は宮本委員にも出席をしていただきまして、ありがとうございました。
私は本部長でもございますので、この修理についても責任を持って万全たる体制をとりたいと思います。
○宮本委員 ぜひ万全を期していただきたいと思うんです。
私は、去る三月十九日も、当委員会で、日本学生支援機構の奨学金の機関保証を一手に引き受ける日本国際教育支援協会という公益財団法人を取り上げました。
資料一を見ていただきたい。支援機構と支援協会は同じビルの一階と四階、入り口にはこうして二つ名前が並んでおります。日本学生支援機構との間で人事交流も密接な連携も行われている、そういう法人であります。
前回私が質問で取り上げて危惧していたとおりの当事者が、私を訪ねてこられました。資料二を見てください、二枚目です。その日本国際教育支援協会からこの人に送られてきた代位弁済通知(一括弁済請求書)であります。保証委託約款第九条に基づき、あなたが機構から貸与を受けた奨学金の残債務について、協会が機構に対して代位弁済を履行したことを通知するとあります。
代位弁済日は昨年末の十二月二十七日、請求額は、元金三百五万二千円、延滞金三万六千四百五十八円、合計三百八万八千四百五十八円となっております。利子がないのは無利子奨学金だったからであります。これを二月二十五日に送りつけてきて、三月二十五日までに支払え、こうなっております。
まず、これは局長に確認しますが、日本学生支援機構においては、この例でいうと、昨年十二月二十七日に支援協会から一括代位弁済を受けたことによって、元金はもちろん延滞金まで一〇〇%返還済みとなっておりますね。
○吉田政府参考人 日本国際教育支援協会が代位弁済を行いました場合には、日本学生支援機構が持っております債権でございます元金、利息並びに延滞金、それを含めた保証債務全体について代位弁済がなされたという形になります。
○宮本委員 では、この人の事例を紹介したいと思うんです。
二十五歳のこの若者は、二〇〇八年四月に私立大学に入学、二〇一二年三月に卒業するまで、月額六万四千円の無利子奨学金を借り入れました。卒業の六カ月後から返還開始、月額一万七千円で十五年間、総額三百五万円を返還する計画でありました。ところが、大学卒業後もバイト生活で収入は月額十四万から十七万円、全く返済できずに放置しておりました。年収は間違いなく三百万円以下なので、受けようと思えば十分返還猶予が受けられたはずであります。
最初は機構から郵便物で督促があり、なるほど、確かに返還猶予の手続についても書いてありました。しかし、受けるためには役所に行って書類をそろえる必要があり、バイトに追われる毎日では午後五時までに役所に行くこともできず、連絡もしませんでした。滞納三カ月目の昨年一、二月ごろからどんどん電話がかかり始めたが、もう機構からではなく、日立キャピタル債権回収という会社から毎日のようにかかってきました。しかし、怖くて電話に出なかった。その後もかかってきたが放置したら、昨年末には知らない間に支援協会から代位弁済がされ、ことし二月に協会から三百八万余りの請求書が届いた。この間、二〇一二年十月の返還開始からわずか一年四カ月であります。
三月十九日の質疑で、高等教育局長は私に、連絡がつかなかった方に連絡がつく状態になって、そこで延滞状態が存在するということになっても、過去に返還猶予に該当する事情があれば、後から所得証明書などを提出することによって、過去にさかのぼって奨学金の返還期限を猶予する、証明された期間における延滞金は解消されると答弁をされました。
この若者は間違いなくこの一年半、年収三百万円以下で、猶予基準を満たしていたはずでありますけれども、この若者を今から救うことはできるんですか。
○吉田政府参考人 この事案は日本国際教育支援協会が代位弁済をしたものでございます。代位弁済を行いますと、今後は、返還者と日本国際教育支援協会との間で債権債務関係が出てくるということになります。
委員がお示しされましたこの代位弁済通知の中にも記載をしてございますけれども、一括請求という形にはなっておりますが、「一括にてお支払いできない場合は、返済方法についてご相談に応じます」、こういうことも書いてございます。
この件につきましては、日本国際教育支援協会が持っておりますホームページの中でも記載がございまして、「個別に作成する長期分割返済計画に基づいて返済いただきます。」ということでございますので、そこは返還者の経済的な事情というものに配慮できるような、そういった仕組みもとっているところでございます。
○宮本委員 政府は、借りたものは返すのが当然、こうおっしゃるわけですけれども、返還が滞った若者は、それが重々わかっているからこそ、申しわけないという気持ちから電話に出られない、こういうことも間々あるわけなんです。
ちなみに、高等教育局長、この若者が連絡がとれなかった昨年三月三十一日からことし一月三十一日までどこにいたか、おわかりになりますか。わからないと思いますが。
○吉田政府参考人 存じ上げません。
○宮本委員 直接お伺いいたしましたが、海上自衛隊であります。海上自衛官として舞鶴で勤務をしておりました。この間の収入も、入隊一年目でありますから間違いなく年収三百万円に満たないわけであります。返還猶予の期限を五年から十年に延ばすとあなた方は言うけれども、この若者の事例などは、本来なら十分猶予が受けられていたものを、一日たりとも猶予を受けることなく、三百八万円もの一括請求を突きつけられております。
それもこれも、前回指摘したとおり、機構と連絡がとれないというだけで、本人の経済状況もわからないまま、支払い能力があるとみなして全額一括請求するという、機構法施行令五条四項の適用を行っているからだと思うんです。そうではありませんか。
○吉田政府参考人 御指摘のように、連絡がとれないということが一つございまして、これは先般も御答弁申し上げましたけれども、独立行政法人日本学生支援機構法施行令第五条第四項に基づいて請求を行ったということでございます。
この支払い能力の有無の確認は、収入の状況など返還者側からの情報提供がない限りは、機構側ではこれは判断できない事情でございます。この事例の場合には連絡ができたのではなかろうかというようなことも推察されますけれども、機構側からの再三の督促にかかわらず何の情報提供もないという場合について、それをそのまま放置するということになりますと、委員御承知のとおり、返還者からの返還金を次の奨学生への貸与の原資としている奨学金事業の健全性にかかわる事業ということでございますので、そういう観点から、連絡がとれなかった者に対しましては全額の返還請求を行っているところでございます。
○宮本委員 私は放置せよと言っているわけではもちろんありません。勝手に代位弁済をして、もう後から動かせないような状況にするなということを申し上げているんですね。
一括請求した後でも、返還猶予が受けられる事情があれば、所得証明を出せば過去にさかのぼって猶予を適用する、弾力的な運用の見直しを行っている、これが平成二十六年度からの皆さん方の改革でありますけれども、この若者の場合は、本人の知らない間に支援協会から一括代位弁済をされてしまって、三百八万円が既に固まってしまいました。返済が始まって一年余り、一年の、一回の猶予すら受けずにこうなっているわけです。こういう事例は実際にこれから激増することが予想されます。
資料三をごらんいただきたい。これは、日本学生支援機構内に設置された機関保証制度検証委員会の二〇一二年度第一回検証委員会に支援協会が提出した説明資料であります。先ほどの若者のもそうでありますけれども、支援協会によって代位弁済がなされると、資料二で示した先ほどの代位弁済通知とともに、アンケート用紙兼分割返済案という用紙が送られてまいります。資料三は、その回答状況の集計を支援協会が行ったものをこの検証委員会に出したものであります。
見ていただきますと、現況は、失業中が一八%、生活困窮が八%、病気療養が二%、生活保護が一%、勤務中となっている千四百二人も、職業集計を見ると、アルバイト、パートが六百二十二人、二七%となっておりますから、結局、五六%の人は失業中あるいは不安定雇用だということになります。収入集計というところをごらんください。収入集計でも、三百万円未満が足し合わせると六八%、約七割を占めております。
この人たちは、本来は機構の返還猶予を受けようと思えば受けられたはずの人たちだと私は思うんですけれども、局長、そうではありませんか。
○吉田政府参考人 この数字からだけではなかなか判断できないわけでございますけれども、この中には返還をしていらっしゃる方も入っているんですけれども、それは収入の少ない方でも返還をされている方もいらっしゃいますので、なかなか一概には言えないと思います。
○宮本委員 全く勘違いですよ。もう一度言いますよ。
一括代位弁済されますと、代位弁済されたその当事者、この人のところへ請求書、先ほどの一括請求書ですね、協会から請求書と一緒にアンケート用紙兼分割返済案が送られてくる。だから、この母数には返済している人は入っておりません。代位弁済された人ばかり。そして、代位弁済された方々の中の七割は、年収三百万以下だという答えになっている。これは協会が出した資料ですよ。
ということは、きちっと手続をとれば猶予も受けられた方が、それは受けられた方ばかりじゃないかもしれませんが、受けられた方が多数いらっしゃるんじゃないですかと聞いているんです。
○吉田政府参考人 失礼いたしました。
確かに、この中には猶予が受けられた方も含まれていたかとは思います。
ただ、一括代位弁済をいたしまして、その後、先ほどちょっと申し上げましたように、日本国際教育支援協会との間で、ここにありますように分割返済案ということで、先ほどホームページにもありましたけれども、軽減するためにそういった方途も協会の方ではとっておりますので、それを御活用いただければと思います。
○宮本委員 いや、この協会がその後求償する場合に分割返済案の相談に乗っているとか、または、協会に移ってからも猶予ということがあるということは重々わかっているんです。
しかし、先ほどの例でいうと、三百八万がもうどうにもならない額として固まってしまっているということを私は問題にしているんです。今度、猶予期間を、五年を十年に延長したとおっしゃいます。既に五年の猶予期間上限まで使った方も、また新たに五年間の猶予が受けられるということになるんです。
代位弁済されてここのアンケートにカウントされている人たちは、恐らく五年以上猶予を使った人はいらっしゃらないんですよ。今回のプラス五年の恩恵にあずかった人はいないんです。ですから、代位弁済されていなければ新たに五年の猶予期間というものを受けられたはずの方々が、こうして代位弁済されることによって、結局、もうどうにもならなくなっているわけですよ。
先ほどの、一年四カ月で三百八万、一括請求、代位弁済となっている若者でいえば、猶予をまだ一回も受けていないわけですから、猶予を受ければ、延滞どころか、そもそも滞納が生じていないという措置に本来さかのぼって適用されるべき方なんですね。それが全部代位弁済済み、今さら変えられません、こういうひどい状況になるわけです。
大臣、最後にお伺いしますけれども、これは余りにもひどいと私は思うんですね。同じ建物の中にある一心同体の法人、機構に両者加わった検証委員会を置き、相互の人事交流もやっている、密接な連携もやっている法人なんです。この方々を救うことを検討するのは、私は当たり前のことだと思うんですが、最後に大臣の答弁を求めて、質問を終わります。
○下村国務大臣 確かに、代位弁済通知で一括弁済請求書が来たらびっくりするというふうに思いますが、ただ、今の宮本先生の事例、これはやはり本人にも相当問題があったのではないかと私はやはり聞いていて思いました。
御本人が幾ら怖いといっても、やはり電話が来ているわけですから、それは事情を話せば十分に対応できるだけの体制はとれているわけですね。それをとれていないがためにある意味では最悪の手段をとらざるを得なかったということについては、やはり借りていた本人がすべきことをしてこなかったということがあるわけでございます。
それ以外の部分については、相当きめ細かく対応していますから、このような一括弁済で請求書が来るということはないような配慮は十分されているわけでありまして、それを十分活用しながら対応していただきたいと思います。
○宮本委員 施行令五条四項で、連絡がとれないまま一括請求という事態になった方に対して、連絡がとれないまま代位弁済するということはやめていただきたい。やはり代位弁済すると、もはや後でわかったところで、連絡がとれた場合に、事情がわかってもどうしようもなくなるわけですから、ぜひこの点は検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。