186-衆-文部科学委員会-17号 平成26年05月14日
平成二十六年五月十四日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 道孝君
池田 佳隆君 小此木八郎君
大野敬太郎君 鬼木 誠君
勝沼 栄明君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小林 茂樹君 桜井 宏君
新開 裕司君 冨岡 勉君
中村 裕之君 永岡 桂子君
野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美君 星野 剛士君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 中田 宏君
三木 圭恵君 三宅 博君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
…………………………………
議員 吉田 泉君
議員 笠 浩史君
議員 鈴木 望君
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 門山 泰明君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
参考人
(京都市長) 門川 大作君
参考人
(常葉大学教職大学院教授) 小松 郁夫君
参考人
(大津市長) 越 直美君
―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 大野敬太郎君
桜井 宏君 勝沼 栄明君
野中 厚君 池田 道孝君
宮内 秀樹君 星野 剛士君
遠藤 敬君 三木 圭恵君
椎木 保君 中田 宏君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 野中 厚君
大野敬太郎君 神山 佐市君
勝沼 栄明君 鬼木 誠君
星野 剛士君 中村 裕之君
中田 宏君 椎木 保君
三木 圭恵君 遠藤 敬君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 桜井 宏君
中村 裕之君 宮内 秀樹君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
地方教育行政の組織の改革による地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(笠浩史君外三名提出、衆法第一六号)
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
私からも三人の参考人の皆様に心からお礼を申し上げたいと思います。
せっかくの、きょうは大津市長、越参考人がお見えでありますので、越市長に中心的にお尋ねをしたいと思います。
まず、二十三年十月のあの痛ましい事件、私たちはあそこから本当に教訓を学び取って、二度とあのような事件を繰り返してはならない、そういう決意は本当に政治に携わる者皆が固めなければならないと思っております。
そこで、まず、事実をお伺いするんですけれども、二十三年十月の事件当時でありますけれども、大津市の教育委員会においては、教育長に対する事務委任等に関する規則というものがもちろんございまして、さまざまなことが教育長に事務委任されておりました。
規則を入手しましたけれども、地教行法二十六条第二項に掲げる人事などの法的に委任できない要件、あるいは教科書の採択等々、ずらっと委任しないことが書いてあるんですが、これ以外のいじめ対応を含む日常的な事務は教育長に委任されておった、こういうことでよろしいですか。
○越参考人 今の点については、申しわけないんですけれども、私も、事件当時市長ではなかったので、事件当時の規則について、詳細まで確認できておりません。
以上でございます。
○宮本委員 私どもで確認した範囲では、いじめ対応も含む日常的な事務は委任をされる、一般的な姿でありますけれども、そういうことであったと思います。
そこで、私も改めて第三者調査委員会の調査報告書を読ませていただきました。どういう事態が教育委員会で進行していたか。もちろん、この報告書は、教育委員会の委員の問題についても書いております。
「本件事案を見る限り、十月三十一日の委員会開催まで、市教育委員会事務局や学校から委員に対し詳しい情報の提供はなく、近隣のうわさや新聞記事による情報をたよりに委員同士、個人的に情報交換していたという状況であった。また、市教育委員会、学校は、平成二十三年十月二十四日の弁護士の意見を踏まえて、本件がいじめであることを認めたが、委員には一切の連絡もなく、十月三十一日に開催された委員会で初めて知らされた。」
委員たちはらち外に置かれていたということを市長も先ほども述べられたということなんですね。ですから、教育長以下、事務局の暴走、独走ということがここでは厳しく指摘をされております。
しかし、その責任は、事務委任をされていたまさに教育長の責任というものは明瞭だったのではないでしょうか。
○越参考人 今おっしゃったとおり、第三者調査委員会で、今読み上げていただいたような指摘がなされています。
ですので、大津市の事件で何が悪かったかというところについては、やはりそこでも述べられているとおり、教育長以下の事務局が、教育委員会には報告をせず、調査を勝手に打ち切ってしまったという点、そして、それについて監視を、本来、法律上予定がされているのは、教育委員会、ほかの委員さん、教育長、教育委員長を含む教育委員会で正確な情報に基づいて議論をする機会が与えられなかったということだと思っています。
以上でございます。
○宮本委員 そのとおりなんですね。そのとおり、この調査報告書には出てまいります。
調査報告書は、それに続けて、それでは教育委員会の「存在意義がないのかと言う問いには否と答えなければならない。」「今重要なことは、教育長以下の事務局の独走をチェックすることであり、その一翼を担う存在として教育委員の存在は決して小さいものではないはずである。」これがこの第三者調査委員会の報告書の結論なんですね。
ところが、市長は、教育委員会を廃止して首長に一本化するということをおっしゃっています。ちょっとこの調査報告書と違うんですけれども、この点について、市長はどうお考えですか。
○越参考人 調査報告書は、現行の制度も踏まえながら、最も教育委員会を有効に機能させることについて提示をいただいていると思っています。
実際、調査委員会の委員の方にもいろいろな意見を持っている方がいらっしゃって、その委員の中には、大津市の事件を踏まえて、やはり教育委員会制度を廃止すべきだとおっしゃっている方もいらっしゃいます。
そして、私も、この第三者調査委員会の報告書を大変重く受けとめまして、現行制度のもとでは、今の教育委員会を最も有効に機能させるということを行っています。これはまさに、新しい、第三者調査委員会の委員であった方などに教育委員会に入っていただいて、今の大津市の教育委員さんは、月に八回から十回ぐらい来られています。そういったことは、運用の問題として、しっかり第三者調査委員会の指摘を受けとめさせていただいています。
一方で、制度の問題としては、私は、大津市の事件の対応に実際に当たった者として、やはり非常勤の教育委員の限界がある中で、制度を抜本的に改正すべきだという考えを持っております。
以上でございます。
○宮本委員 実は、この調査委員会というものは、条例を定め、そして、改めて第三者委員会の規則というものも定めて進められてきました。私は、この第三者調査委員会の規則というものもつぶさに見せていただきました。
この九条の五では、「市長は、本件報告書を公表したときは、市長の権限の範囲内において、本件報告書の内容を踏まえ、本件提言を実現するために必要な措置を講じるよう努める」
もちろん、現行法の枠内でそういうふうに努めておられると今お話がありましたけれども、しかし、この報告書の結論は、教育委員会の果たす役割は決して小さくはない、こう述べているわけですよ。ですから、この報告書に沿って市長は御努力いただくことが何よりも大事だし、それがこの委員会規則の趣旨だと思うんですが、しかし、政治家たる市長はお考えが違うというところが出てくる。もちろん出てくる。出てきたときに、そういうふうに今御主張されているわけですね。
ある意味では、ここに、とにかく、首長が一本化してやったら危険な面がある。これは恐らく、市長、有識者、教育関係者、相当人選をされて立ち上げられた委員会、そこがそう述べたにもかかわらず、政治家としての市長はそういうふうにおっしゃる。要するに、廃止ということをおっしゃる。私は、ここにやはり教育委員会の独立というか教育の独立というものを首長が侵してはならないことの一つの理由があるとむしろ思うんですが、いかがですか。
○越参考人 私が先ほど申し上げましたとおり、私は、現行法下において、第三者調査委員会の提言を最大限実行しているというふうに思っています。これは、現在の教育委員さんとまさに連携を深め、教育委員会も改善をした、市長としても新しい教育委員を入れた、そしてその中で、今、二週間に一回、教育委員と市長が連携をする機会も設けています。これはまさに、第三者調査委員会の提言、教育委員会の教育委員さんの役割を、しっかり監視の役割をしていくべきだという提言を受けてのことであります。
しかし、第三者調査委員会の報告書というのは、改正案についてどうこうと述べたものではありませんので、そこは第三者調査委員会の提言の枠外であるというふうに考えております。
以上でございます。
○宮本委員 それで、きょうは遺族の方も傍聴されているということをお伺いいたしました。
遺族の方からの意見書も、私ももちろん真剣に読ませていただきました。遺族の方は、もちろん、責任の所在の明確化を求めておられます。しかし、同時に、「附言」というものをつけておられまして、その中では、「一方で奈良県橿原市や鹿児島県出水市のように、首長が教育委員会の隠蔽体質にメスを入れるどころか、両者が一体化してしまう事例も目の当たりにしました。」とおっしゃっておりまして、実は、この鹿児島県出水市の事例などは私も目の当たりにいたしました。
市長、では、ここで御遺族が懸念されているような、一本化して、市長も教育長と一緒に隠蔽に回るといった場合に、どのように歯どめがかかりますか。
○越参考人 まず、御遺族が述べられているケースとして、今おっしゃったケースもありますし、それ以外にもいろいろな、出水市、橿原市、尾道市、天童市といった自治体で被害者、遺族が苦しめられている。そして、やはり、それがまずどこから出ているかというのは、教育委員会の隠蔽だということを、アンケートを開示しない、調査をしない、第三者調査委員会を勝手に設置するといったところから発しているというふうにおっしゃっています。
そして、次に、その中の幾つかのケースで、今おっしゃったような二つぐらいのケースでは首長も機能しなかったということをおっしゃっているということであります。
しかし、まずは、教育委員会が機能しなかったけれども、首長が機能したケースというのもあります。御遺族は、やはりそれで、大津市の事件というのを、市長が第三者調査委員会を立ち上げたということを評価していただいていると思っています。
では、さらに、今、教育委員会もだめだし、首長も隠蔽に加担したときにどうなるかということですけれども、その場合には、私は、単に教育委員会が隠蔽に加担するよりも市民の監視の目というのはより厳しく及ぶと考えています。
これは、首長に対して、まず議会、議会に対して二元代表制のもとで、非常に厳しい監視の目が寄せられる。そして、制度上も、議会による不信任、さらにリコール、そしてさらには選挙があります。なので、首長に対する監視の目というのは教育委員会よりも非常に大きく、やはりこれを抑止していく効果はありますので、その点は首長と教育委員会では違うと考えています。
以上でございます。
○宮本委員 ありがとうございました。
それでは、越市長が先ほど冒頭にもお話しになった裁判の問題ですね。国賠法で訴訟を提起されたときに首長が代表者になる。これは実は地方自治法上当たり前のことでありまして、これは、同じ首長である門川市長にお尋ねしたいんですが、市政の全般にわたって首長たる市長が訴訟の受け皿になる、これはそういうたてつけになっている。当たり前のことだと私は思うんですが、御意見をお聞かせいただけますか。
○門川参考人 国家賠償法というのは、被害者救済の立場に立ち切った法律であり、制度であろうと思います。したがって、賠償する能力がある人を訴えるという制度だと思います。
したがって、市長が実質的に権限の及ばないところ、先ほど少し申し上げましたけれども、公立の大学、市立大学、市立病院、そこで医療事故が起こる。当然に市長が訴えられます。しかし、市長は何ら決定権はございません。そういう制度設計で、それは、もし変えるとしたら、国家賠償法なり賠償制度の方を直していかなければならない。私は今の制度で別に問題はないと思いますけれども。
そういうことで権限と責任が一致するというのは非常にわかりやすい議論でありますけれども、それでは、訴えられる人間が全て決定するという仕組みにしたら、それぞれ現場が本来の目的を達成できない、このようなことがあると思いますので、留意しなければならないと思います。
○宮本委員 時間が来て、なかなか全員の参考人にお伺いできなかったのは残念です。
先日も、実は、当委員会で、裁判、訴訟の問題が議論になりました。それで、市長が、国の制度はうまくいっているとおっしゃいましたが、国の制度でも、裁判になれば、それを受けて立つのは法務大臣ということでありまして、たとえ文科省にかかわる裁判でも法務大臣が受けて立つたてつけになっている、何の問題もないと下村文部科学大臣も答弁をされておりました。しかし、もちろん、具体的な、法廷で対決するのは、それぞれの業務をしていた、例えば教育でいうと教育委員会になる、こういうことであります。
ですから、本来の制度、本来の原則に立ってどうしていくか、きょうの参考人の皆さんのお話もしっかり受けとめて、私も引き続き審議を進めたいと思っております。
ありがとうございました。
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
今回の政府法案の第一の立法趣旨は、法案趣旨説明のとおり、地方教育行政における責任体制の明確化ということであります。大臣は、委員会では、教育委員長と教育長のどちらが責任者かわかりにくいとも述べられました。事の発端は、教育委員会の大津市でのいじめ対応であり、教育委員会の責任体制の問題について、きょうはただしていきたいと思います。
まず、きょうは総務省から自治行政局長においでいただきました。
教育委員会も、地方公共団体に設置される行政委員会の一つであります。監査委員はさておき、地方自治法上、独任制の執行機関というものは、選挙で選ばれた首長以外にないと思うんですが、その確認と、また行政委員会は、選挙管理委員会あるいは公安委員会でも、合議制の執行機関であります。
聞きますけれども、選挙管理委員会や公安委員会の責任者は委員長ということになるのかどうか、お答えいただけますか。
○門山政府参考人 お答えいたします。
地方自治法上、御指摘にございました監査委員を除きますと、独任制の執行機関といいますのは選挙で選ばれる首長だけでございます。
それから、もう一点ございました、選挙管理委員会ですとか公安委員会、これはまさに合議制の執行機関でございまして、合議によりまして意思決定された事務を執行する責任ということに関しましては、委員長が負うのではなく、合議制の機関であります委員会が責任を負う、こういうことになっております。
○宮本委員 委員長が負うのではなく、合議制の執行機関が負うという答弁でありました。
現行法のもとで、同じく行政委員会たる教育委員会も、教育委員会の権限に関して言えば、会議の主宰、会議を代表する以外に、教育委員長に特別な責任はありませんね、初中局長。
○前川政府参考人 教育委員長は、執行機関としての教育委員会が決定した事務について、教育委員の一人として責任を負うことになるわけでございますが、あえて申し上げれば、教育委員会の会議の議事につきまして、出席委員の過半数で決するということになるわけでございますけれども、可否同数のときは教育委員長の決するところと規定されておりますので、その限りで教育委員長に特有の責任があるということは言えると思います。
○宮本委員 ちょっと大事なところなので、確認いたしますよ。
現行の教育委員長は、先ほど自治行政局長が述べたような選挙管理委員長や公安委員長とは違って特別な責任を負っていると今答弁されましたか。
○前川政府参考人 私が申し上げましたのは、教育委員会の委員長は、会議を主宰し、教育委員会を代表するという責任のほかに、可否同数のときに委員長の決するところという規定があるということを申し上げたまででございます。
○宮本委員 では、執行責任は教育委員長にありますか。
○前川政府参考人 あくまでも執行機関は合議体である教育委員会でございますので、執行責任は合議体である教育委員会にあるということでございます。
○宮本委員 当たり前なんですよ、行政委員会なんですから。同じように、執行機関たる、合議制たる教育委員会に執行責任があるわけですね。
教育委員長と教育長、どちらが責任者かという議論は、もともと教育委員長には執行責任というのはないわけですから、単なる誤解、いわば、わかりづらさのレベルでしかないわけですね。
もちろん、現行法のもとでも教育長には責任が生じます。とりわけ地教行法二十六条に定められた事務委任を受けた場合には、教育長には当然直接的な責任があるわけです。
きょうは、大津市中学生いじめ自殺事件が問題になった滋賀県大津市教委の事務委任等に関する規則というものを皆さんにお配りいたしました。見ていただきたい。
先ほどの参考人質疑でも、越市長自身に私は確認いたしましたけれども、この事務委任の規則、これを見ますと、もちろん第一に地教行法第二十六条二項に掲げる事務を初め、十一項目にわたる委任できない事項を書いているのみであって、ここに掲げている、一から十一までに掲げられたもの以外は教育長に事務委任をされていたわけであります。ですから、いじめ対応など日常的な事務は教育長に事務委任されていた。だから、先ほど越市長にも、不明確でも何でもない、教育長の責任は明確ではないかというふうにお伺いしたわけです。
そこで聞くわけですけれども、これも初中局長です。
今回の法改正によって、教育委員会の責任体制は一体どう変わるのか。例えば、まずは、一般的に、いじめ対応のように、教育委員会が教育長に事務を委任している場合の責任はどのようになりますか。
○前川政府参考人 教育委員会が教育長に委任を行った事務につきましては、その執行の責任は委任を受けた教育長にございます。
なお、教育長への委任は解除することが可能でございまして、今回の改正案では、教育長は、教育委員会規則の定めるところにより、委任された事務の管理及び執行の状況を教育委員会に報告しなければならないと規定しているところでございます。
○宮本委員 今までと変わらず、委任された事務については教育長にその責任があるという御答弁でありました。
では、同じく改正案で、人事や基本的な方針など教育長に委任してはならない、委任できない事務、これの権限と責任は今後どのようになりますか。
○前川政府参考人 教育委員会が教育長に委任できない事務につきまして定めた現行法二十六条第二項は、改正後も変わることはございませんので、教育委員会が教育長に委任していない事務につきましての執行の責任は、執行機関である教育委員会にございます。
○宮本委員 現行二十六条二項、法案では二十五条二項に定める委任できないものについては、これは委任できないわけですから、合議体たる教育委員会に執行責任がある、当然のことであります。
これは大臣、そうなりますと、現行と新しい法案と、責任体制を明確にすると言うけれども、全く同じじゃないですか。どこが違うんですか。
○下村国務大臣 それは、先ほど宮本委員がみずからおっしゃっていたように、それのわかりづらさについての整理を行ったということでもあります。
○宮本委員 わかりづらいのをわかりやすくしたというだけの話なんですか、この法案は。そうですか。驚くべき答弁でありますけれども。
公立学校でのいじめの対応、いじめ自殺の対応、これは、現行地教行法二十三条でも、法案の二十一条でも、これはもちろん教育委員会の分担であることは明らかだと思いますね。
いじめ対応が事務委任されている場合、つまり教育長に事務委任されている場合は、その責任は、現行法でも教育長にある、今回の法案でも、先ほど局長が答弁したとおり教育長にある。これはもちろん確かなことですね。大臣もそのとおりですか。
○下村国務大臣 そのとおりです。
○宮本委員 では、再度、大臣にもこれは確認しますけれども、教育の基本的な方針とか人事というようなものは、現行の二十六条二項、法案では二十五条二項によって、委任してはならないとなっている。あくまで教育委員会の合議で決めなければならない。あるいは、それに加えてなお、教育委員会の規定で、委任していない事項を定めているところもあります。大津の場合などは、教科書の採択などは委任はしておりません。
新たな法案でも、先ほどの文科省の答弁どおり、この責任、決定権限、執行権限は合議制の教育委員会が持つ、これも大臣、よろしいですね。
○下村国務大臣 改正法二十五条二項一号におきまして、教育に関する事務の管理及び執行の基本的な方針に関することについては教育長に委任することができないということの中で、この基本的な方針、大綱ですね、これは、当該地方公共団体の教育の振興に関する総合的な施策について、地域の実情に応じて、その目標や施策の根本となる方針であることから、改正案の第二十五条第二項第一号の基本的な方針に当たるというふうに考えます。
○宮本委員 つまり、大綱も、委任できない基本的な方針に当たるという御答弁だったと思います。そして、それは合議制たる教育委員会でなければ決めることはできない、それでいいですね、大臣。
○下村国務大臣 そのとおりです。
○宮本委員 ところが、何か、教育委員会の責任体制が変わり、新しい教育長が教育委員会の最終責任者になったかのような答弁が、当委員会で大臣の口から何度も出されております。
五月の九日、日本維新の会の椎木委員の、大綱の協議、調整が整わなかった際に、首長、教育長、どちらが上位なのか、こういう問いを繰り返し椎木委員がされましたけれども、そのときに大臣は、いろいろ答弁した末に、首長は予算編成において最終決定者だ、教育長は実際の教育行政における人事や教科書採択については最終決定者であると答弁されました。
文科省に確認いたしますけれども、人事、これは教育長に委任することは許されておりますか。
○前川政府参考人 地方教育行政法上、例えば採用の選考は教育長が行うというようなことになっておりますけれども、人事に関することにつきましては、現行二十六条二項によりまして、委任できない事項となっております。
○宮本委員 委任することは許されておりません。現二十三条、法案二十一条、合議体としての教育委員会が意思決定する以外にないこの人事を、教育長が最終決定者だという答弁は、完全な明らかな間違いだと言わなくてはなりません。
大臣、答弁を撤回する以外にないと私は思いますが、いかがですか。
○下村国務大臣 御指摘の点については、総合教育会議における協議、調整にかかわる責任体制について、責任関係について、首長か教育委員会かという観点から述べれば、人事や教科書採択については教育委員会側に責任があるという趣旨で、その第一義的な代表者としての教育長である趣旨の答弁をしたものであります。
すなわち、地教行法第二十一条に規定する教育に関する事務の管理、執行については教育委員会が最終責任者であり、第二十二条に規定する教育に関する予算の編成、執行等については首長が最終責任者であると考えますが、合議体としての教育委員会が決定した方針に基づく具体的な事務の執行については教育長が第一義的な責任者でありまして、そういう趣旨で申し上げたわけであります。
○宮本委員 ごまかしてはだめなんですね。
大臣の答弁は、教育長は人事についての最終決定者であるという旨の答弁をしたわけです。言葉としても、最終決定者と、議事録を見てもらったら、そのとおり、椎木先生に対して答えているわけですね。
人事の決定権限が一体どこにあるか。最終決定権限が教育長にあるのか、合議制の教育委員会にあるのか。これは、教育委員会が合議体として教育長をチェックできるかどうか、与党合意でも大変重視された事柄に直結する大問題であります。最終決定権限が教育長にあるとすれば、教育委員会など完全なお飾りになってしまうと言わなければなりません。これは、大臣自身が提案している法案の条文とも全く違うわけですよ。
しかも、大臣のそのような答弁はこの一回だけではありません。四月二十五日にも、本委員会で、日本維新の会の田沼委員の大綱の調整についての質問に、教育委員会の代表たる教育長がその執行委員会の責任者として判断すると述べられました。
大綱というものは教育の基本方針ですから、先ほど御答弁があったとおり、二十五条二項の一によって、教育長に委任をすることはできないわけですね。その大綱の調整について、教育委員会の代表たる教育長が責任者として判断すると。責任ということはもちろんですが、判断を教育長がするのだとしてしまった。これは全く法のたてつけとも違うわけですよ。
こんな答弁が続いて、これ以上審議を続けることはできない。どう修正されますか。
○下村国務大臣 これは、先ほども申し上げましたように、首長か教育委員会という観点から述べれば、人事や教科書採択については教育委員会に執行権限があるということは、これは何度も申し上げていたことであります。その第一義的な代表者としての教育長である趣旨の答弁をしたものでありまして、総合教育会議におきまして、これは首長が主宰をいたしますが、場合によっては首長と教育長だけで開くということもありますし、あるいは教育委員会全員が参加するということもありますし、そこに有識者がさらに参加して総合教育会議を開くということもあるわけでありますが、その場合の教育長というのは、単独で出た場合は教育委員会を代表して出ているわけでありまして、そういう意味での第一義的な代表者という意味であります。
○宮本委員 だから、なおのこと問題なんですよ、大問題なんですよ。
最終決定者であるという答弁、つまり教育長さえ出ていればそれで最終決定者なんだという答弁をしたことになるんですよ。違うでしょう。大綱については基本的な方針なんだから、ちゃんと合議で決めなければならないのは明らかなのに、最終決定者であるという答弁をしたから、撤回しなさい、修正しなさいと言っているんです。撤回しますか。
○下村国務大臣 最終決定者というのは第一義的な意味で言っているわけであって、先ほどから申し上げていますが、人事や教科書採択等の事務に関する執行については教育委員会が最終責任者であります。その代表として教育長がというふうに申し上げた。第一義的な責任ということで申し上げました。(宮本委員「そんなこと言っていないですよ。だめです、それは。これは撤回してもらわないと質問を続けられません。全くおかしいじゃないですか」と呼ぶ)
それは解釈の仕方ですけれども、第一義的な、教育長は第一義的な責任者ということで申し上げているわけであります。それでぜひ御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 第一義的ななんて言っていないじゃないですか。読みましょうか。
首長は予算編成において最終決定者だ、これは自治行政局が述べたとおり独任の執行機関ですから、これはいいでしょう。そして、教育長は実際の教育行政における人事や教科書採択については最終決定者である、ちゃんとそう言っているじゃないですか。
○下村国務大臣 ですから、先ほどから申し上げていますように、おっしゃるとおり、法律のたてつけは、教育委員会が最終決定をするわけであります。先ほど申し上げているのは、総合教育会議で教育長と首長が協議をするという場合においては教育委員会を代表して教育長が出ているわけでありまして、そういう意味での第一義的な責任として教育長ということを申し上げたわけであります。
○宮本委員 到底納得いきません。文言どおり読めば、そんな話になっていない。
じゃ、間違いですね。この最終決定者というのは正しくない。よろしいですか。
○下村国務大臣 教育委員会が最終責任者であります。
○宮本委員 教育委員会が最終決定者ですね。
○下村国務大臣 教育委員会が最終責任者であるし、最終決定機関であります。
○宮本委員 この間の答弁を聞いておりますと、そういうやりとりがずっと続いています。私は、大臣は法の趣旨そのものを理解しておられないんじゃないかと。あたかも新しい教育長がそういう最終決定者になったかのような、そういう御理解でこの審議に臨んでおられるのかと。
到底、こんな状況で法案を議了するとか、あるいは採決するというようなことは、全く認められません。引き続き徹底審議を求めて、私の質問を終わります。