186-衆-文部科学委員会-18号 平成26年05月16日
平成二十六年五月十六日(金曜日)
午前九時三分開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 鬼木 誠君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
小林 史明君 小松 裕君
佐々木 紀君 桜井 宏君
新開 裕司君 冨岡 勉君
永岡 桂子君 野中 厚君
馳 浩君 比嘉奈津美君
堀井 学君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 菊田真紀子君
細野 豪志君 吉田 泉君
遠藤 敬君 椎木 保君
田沼 隆志君 中田 宏君
三宅 博君 中野 洋昌君
柏倉 祐司君 井出 庸生君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君 山口 壯君
…………………………………
議員 吉田 泉君
議員 笠 浩史君
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 小林 史明君
桜井 宏君 堀井 学君
永岡 桂子君 鬼木 誠君
馳 浩君 佐々木 紀君
遠藤 敬君 田沼 隆志君
三宅 博君 中田 宏君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 永岡 桂子君
小林 史明君 神山 佐市君
佐々木 紀君 小松 裕君
堀井 学君 桜井 宏君
田沼 隆志君 遠藤 敬君
中田 宏君 三宅 博君
同日
辞任 補欠選任
小松 裕君 馳 浩君
―――――――――――――
五月十五日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(宮本岳志君紹介)(第八一三号)
同(宮本岳志君紹介)(第八四〇号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第八八五号)
同(新谷正義君紹介)(第八八六号)
同(宮本岳志君紹介)(第八八七号)
同(丹羽秀樹君紹介)(第九一一号)
同(宮本岳志君紹介)(第九八九号)
学校司書の法制化に関する請願(桜井宏君紹介)(第八一四号)
同(宮本岳志君紹介)(第八一五号)
同(宮本岳志君紹介)(第八四一号)
同(志位和夫君紹介)(第八八八号)
同(宮本岳志君紹介)(第八八九号)
同(宮本岳志君紹介)(第九九〇号)
教育費負担の公私間格差をなくするための私学助成に関する請願(船橋利実君紹介)(第九八五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
地方教育行政の組織の改革による地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(笠浩史君外三名提出、衆法第一六号)
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回の質疑で私は、大臣は法の趣旨そのものを理解しておられないのではないかという指摘をいたしました。それは、本法案で新たに設置される新教育長が教育行政における人事や教科書採択についての最終決定者であるかのような答弁があったからであります。その後の理事会では、こんな答弁を放置したままでは審議が進められないという議論になりましたけれども、まず、この点について大臣の答弁を求めたいと思います。
○下村国務大臣 きょう午前中、椎木委員から、このことについての確認がありました。残念ながら宮本委員が出席されておられませんでしたが、質問された椎木委員は納得をされたわけでございます。
五月九日の椎木委員の質疑において、教育長は「教育行政における人事や教科書採択については最終決定者である。」との答弁は誤解を招く答弁であった。その真意というのは、質疑の中で、総合教育会議における協議、調整について、首長と教育委員会のどちらが責任者であるかという観点から、人事や教科書採択については教育委員会側に最終決定権があるという趣旨で、その代表者である教育長と答弁したものであります。
すなわち、地教行法改正案の第二十一条に規定する教育に関する事務の管理、執行については教育委員会が執行機関として最終責任者であり、教育長は合議体としての教育委員会の意思決定のもとで具体的な事務の執行を行う第一義的な責任者であるということで、質問された椎木委員は、きょう納得を、理解をされております。
○宮本委員 誤解を招く答弁であったということを今お認めになりました。しかし、この部分を訂正するだけでは済まないんですね。
十四日の質疑で、総務省の門山自治行政局長は、地方自治法上、独任制の執行機関は選挙で選ばれた首長だけでございますと答弁し、初等中等局長も私に、「あくまでも執行機関は合議体である教育委員会でございます。」と答弁いたしました。局長、間違いないですね。
○前川政府参考人 そのとおりでございます。
○宮本委員 ところが、同じく五月九日の質疑で椎木委員が、総合教育会議で首長と教育長の意見がぶつかり合って対立したとき、最終的な責任者はどっちなのかと問うたのに対して大臣は、その一問前の問いに対してですけれども、「それぞれが、首長も執行機関、教育長も執行機関です。」と答弁されました。
大臣、「それぞれが、首長も執行機関、」これはいいでしょう、独任制の執行機関は首長だけだということで。しかし、「教育長も執行機関です。」これは明確に誤った答弁だと思いますが、これも撤回いたしますか。
○下村国務大臣 さっきも撤回なんか全然していません。誤解を与える答弁だったということで、より詳しく説明を申し上げたわけでございます。
その中で、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、首長というのを第一人称として使ったという経緯の中で、教育委員会が執行機関であるということは、ほかの場所でもきちんと私は答弁を何回もしております。その中で、第一人称的な形で、教員委員会を代表する立場として教育長ということを申し上げたわけでありますが、当然、それは執行機関は教育委員会であります。
○宮本委員 誤解を招くという点では、では、大臣も、執行機関はそれは教育委員会でございますとたった今述べられましたから、そうしたら、「教育長も執行機関」というのは、これは誤解を招く答弁だということはお認めになりますか。
○下村国務大臣 それは、質問している椎木委員も納得されたことでありますが、対比としての中の話でありまして、その中でその前後をもうちょっと読んでいただくとわかりやすいと思うんですが、総合教育会議の場での話だったと思うんです。そのときに、例えば、教育長と首長だけの総合教育会議の場という意味での話の中の流れとしてそれが出てきたことだというふうに記憶をしております。
そういう意味での教育長というのは、教育委員会の代表という位置づけの中での話であって、もちろん教育長一人で全て決められるというわけではなくて、あくまでも決めるのは教育委員会という合議体であるということは、これは当然の話であります。
○宮本委員 私が大臣が法案の趣旨を理解しておられないのではないかと申し上げるのは、実はここなんです。執行機関、執行権限がどこにあるかというのは、この法案のまさに肝に当たるところなんですよ。
それで、教育再生実行会議で第二次提言でまとめられた段階では、これは、なるほど、合議体じゃなくて、新教育長に教育行政の責任を持たせるという案が出されておりました。しかし、現に今ここに提出されている法案はそういうものではないんです。これは、旧地教行法二十三条、二十四条は全く変わっていない。したがって、しかるべき執行権限、執行機関は、合議制たる教育委員会なんです。
ですから、大臣が教育長が責任者、責任者とおっしゃるその責任者という意味は、最終決定者でもなければ、そういう意味での執行機関でもないんですよ。あくまで執行機関、最終決定機関は合議体たる教育委員会であって、その代表者ということなんですね。
ところが、どうしても答弁ではそういう答弁が出てくる。はっきりこれは「教育長も執行機関」というのは、言葉どおり言えば全く間違いですから、先ほど大臣自身も、執行機関は教育委員会だとおっしゃったわけですから、議事録にはその言葉どおり出ているわけですから、これはどう考えても誤解を与えるものだと私は思いますが、そう思われませんか。
○下村国務大臣 宮本委員がどうとられるかということは宮本委員の判断なのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、真意は、質疑の中で、総合教育会議における協議、調整について首長と教育委員会のどちらが責任者であるかという観点から、人事や教科書採択については教育委員会側に最終決定権があるという趣旨で、その代表者である教育長と答弁したものでありまして、繰り返すようですけれども、総合教育会議の位置づけの中での教育長と、そして、首長の位置づけの中での話なわけです。
これは、地教行法改正案の第二十一条に規定する教育に関する事務の管理、執行については教育委員会が執行機関として最終責任者であり、教育長は、合議体としての教育委員会の意思決定のもとで具体的な事務の執行を行う第一義的な責任者だ、そういう位置づけでずっと答弁をしております。
○宮本委員 つまり、大臣のおっしゃりたいことは、ここは、首長も執行機関、教育委員会も執行機関です、こう言うべきであった、そういう趣旨であるということですね。
○下村国務大臣 いや、意図的にねじ曲げているとしか思えない。私は、総合教育会議の中での話です、総合教育会議の中で二人が出ている場合は、第一人称的に首長とそして教育長、それぞれが執行機関という言い方をしているわけです。
○宮本委員 いや、執行機関が教育委員会というのは明瞭ですから、まあまあいいでしょう。では、そういうふうにおっしゃるわけですね。
これだけではありません。
次に、ではお伺いするんですが、教育委員会と首長、二つの執行機関、どちらが上かという議論が本委員会でも繰り返されてまいりました。整理をする意味で、これは初中局長に聞きたいと思うんです。
どちらが上ということがあるのかないのか、また、首長が教育長に対して職務命令を出すことはできますか。
○前川政府参考人 上か下かというアバウトな表現ではこれはお答えはできないわけでございますが、首長と教育長の間に職務命令を発することができる関係にあるかということであれば、首長が教育長に職務命令を発するということはできないということでございます。
○宮本委員 首長から教育長に職務命令を出せないことは明らかだという答弁でありました。
ところが、大臣は、本委員会、四月二十五日、日本維新の会の田沼委員に対して、「首長と教育長が、任命するに当たってどういうふうな職務命令を教育長に対して通達しているかどうかということも問われる」と、まるで首長が教育長に職務命令が出せるかのような答弁をいたしました。これは明らかな誤りで、撤回すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○下村国務大臣 御指摘の答弁は、四月二十五日、田沼委員に対する答弁ですね。途中からでありますが、ちょっと読みますと、
田沼委員のおっしゃっている理屈はそのとおりだとは思うんです。つまり、首長が期待に応えられないような教育長をいつまでも在任させていいのか、それが地域住民にとってプラスなのかという視点においては、それは問題だというふうに思います。そういう意味では、これは、同時にやはり首長の任命責任そのものがそもそも問われることではあるというふうに思うんです。
そして、私は、教育振興基本計画も含めて数値目標を明確にすることは、これは、第三者から見て、どの程度達成しているのか、していないのか判断する上においても重要なことだと思いますが、ただ、そのときに、教育長一人に責任を持たせることでいいのかどうかということは、同時にやはり問われることだというふうには思います。
その辺で、
のところのその後を御指摘ですが、
首長と教育長が、任命するに当たってどういうふうな職務命令を教育長に対して通達しているかどうかということも問われると思いますし、同時に、首長が任命されたことについての議会の同意についても、
云々、ここのところですね。
ですから、これは正確に言えば職務命令ではありませんので、職務ということについては撤回いたします。
ただ、首長が教育長を任命するに当たって、自分の選挙公約はこうだ、あるいは、住民に対しての自分の考えている教育政策はこうだということをきちっと伝えて、そしてあなたを任命したいということの意味で申し上げましたが、正確には、職務とは、これは言うべき言葉ではないということで、この言葉自体は撤回いたします。
○宮本委員 撤回が確認されましたけれども、大臣、これは、あなたがみずから文科大臣に任命されたときの体験を念頭にこういう答えになっているんじゃないかと僕は推測するんです。なるほど、文科大臣は総理の指揮監督下にあります。したがって、任命時に指示書というものを総理から渡されたはずであります。
しかし、教育長は全く違うんです。そういうものではありません。教育長に対する指揮監督権限は首長ではないわけですから、そういう職務命令というようなものは発することはできないはずであります。そういう点では、ここもやはり非常に不正確な理解だということを私は指摘せざるを得ないと思います。
誤解を招くという点では、まだございます。
同じく四月二十五日、田沼委員の質問に大臣は、「教育委員会における執行機関としての権限については、最終的には教育長が判断する」と述べられました。つまり、「最終的には教育長が判断する」、こういう答弁なんです。
教育長は最終決定者であるというこの前の椎木委員の質問に対しては誤解を招くものとお認めになったんですから、「最終的には教育長が判断する」というのも、これは誤解を招くものであるのは私は明瞭だと思いますが、そうじゃないですか。
○下村国務大臣 何をもってかということで、法律上、一般論としては、教育長だけが判断できるものではありません。
ただ、先ほども質問で出ておりましたが、例えば総合教育会議を緊急に開く、この場合に、首長と教育長だけで開くということはあり得るわけです。このときには、教育長に対して教育委員会の代理として委任をするということはあるわけで、そのときに、事後承諾として、こういうことを決定したということを教育委員会に報告するということはあるわけでありまして、そういうことについてはあるわけですから、全くないとは言えませんが、基本的には、教育委員会は合議制ですから、教育委員会の合議制の中で決めるということであります。
○宮本委員 首長と教育長と二人で開くことがあるということを繰り返し答弁された。前回も、そういうことがあるから最終決定者と言えるんだとおっしゃるから、僕はむしろそれが大問題だということを申し上げた。
先ほども、二人でやる場合にその場で判断するとおっしゃるけれども、もちろんその判断は、一応教育委員会を代表して出ている教育長がその場での一定の判断はあるにしても、これは、もちろん合議体としての教育委員会に諮ってここで決定すべきものでありますから、首長が独任制の執行機関として総合教育会議でその場で判断するというのと、全然意味合いは違ってくると思うんです。
それはそういうことでしょう。
○下村国務大臣 それはいろいろなケースがあり得ると思います。
基本的には、事前に教育委員会に諮って、総合教育会議における調整、協議内容について、教育委員会の意向をもって教育長が代表して一人で首長と総合教育会議の中で議論をするということ、つまり二人でということはあり得るというふうに思いますが、一方で、いじめ等緊急の場合には、事前に教育委員会に諮れないということはあり得る話です。
そういう場合において、では、事前に教育委員会で合議していないから決められないのかということではない。これは委任として教育長に判断をしてもらうということで、しかし、事後の報告はしてもらうということですから、その場で教育長が全て持ち帰らなければ判断できないということではないということであります。
○宮本委員 前回も議論しましたけれども、大綱その他基本的な事項とか人事とか、そういうものはそもそも教育長に委任することは認められていない。今回の改正案でも委任はできないんです。だから、そういうものについてはもちろん持ち帰って合議体で確認する。もしも、あらかじめ事前に案が示されて、あらかじめ合議体で決めて臨んでいる場合は、それはいいですよ。でもそれは、判断は教育委員会がやったというわけであって、判断をやったものを代表して持ってきたというだけの話であって、最終的な判断者ということにはそれはなりません。
大臣は、先ほどの田沼委員とのやりとりでは、繰り返し、判断ということについて教育長が判断するということを述べておられまして、もう少し後のところでも、「教育委員会における執行機関としての権限については、最終的には教育長が判断する」、こう述べているわけです。最終的には判断すると述べているわけです。最終的にはですよ。
私、これは非常に疑問の余地のあるというか、誤解の余地のある御発言だと思っておりまして、教育委員会で例えば反対があったとしても、また、教育委員会の大勢が反対したとしても、最終的には教育長が判断するかのごとき誤解を与えると思いますが、そういう趣旨じゃないですね。
○下村国務大臣 基本的には先ほど申し上げているとおりでありますが、教育委員会は合議体ですから、合議体として判断するということであります。
○宮本委員 幾つかきょうは挙げましたけれども、こういうふうに本当に大臣自身が、合議体としての教育委員会、今回の法案では、確かに新教育長というのは教育委員長と教育長とを一体化したものとしては置かれているけれども、そして、それをあなた方は責任者と呼んでいるけれども、当初教育再生実行会議が打ち出したような、合議体としての教育委員会を横に置いた上での、独任制の執行機関のような強力な新教育長の責任者という意味とは全然違うんです。責任者という意味は、これまでの教育委員長と教育長とを一体化させたということなんです。
もともと教育委員長というのは、独任制の執行機関でも何でもないわけです。教育長というのも、事務の責任者ではありますが、これはもちろん独任制の執行機関でも何でもありません。
そういう教育委員長とそういう教育長を足してみても、突然、新教育長がそのような強力な独任制の執行機関に成りかわるような権限を持つことはあり得ないわけですよ。だから、せいぜい、代表をするとか、あるいは事務の責任者である従来の教育長の権能を受け継ぐとかという範囲のことなんです。
だって、地教行法の教育委員会と首長との権限を定めた現行二十三条、二十四条、改正案で二十一、二十二条というのは一切変わっていないわけですから、やはり、そこははっきり垣根があるわけなんです。そこがごっちゃになって、至るところでこういう不正確な答弁が出ている。
だから私は、大臣は法案を理解しておられないのではないかということを御指摘申し上げた次第なんです。
けさの理事会で、私の反対を押し切って与党及び理事会派は、本日の質疑終局、採決を決められました。しかし、きょうの質疑でも明らかになったように、そもそも大臣自身が、みずから提案している法案の内容に誤解を生むような答弁や、あるいは撤回、きょうも撤回という言葉を使われましたけれども、そういうことが必要なような答弁に終始しているわけです。
しかも、立法趣旨さえ疑わしいと私は言わねばならないと思っています。
日弁連は、去る四月十八日、「教育委員会制度改革に関する意見書」を発表いたしました。そこでは、あなた方の責任の所在の不明確さという指摘について、そもそもその趣旨が不明であると述べ、教育委員会、教育長並びに教育委員長の権限及び責任は地方教育行政法において明確に定められていると指摘した上で、そもそも改革の必要性を裏づける立法事実の検証が十分になされているとは言いがたいと断じております。
現に十四日の質疑で私が、責任体制を明確にすると言うけれども、現行と新しい法案と全く同じではないかと問うたのに対して、大臣は、わかりづらさについての整理を行っただけだ、こう答弁をされました。掲げた立法趣旨さえ疑わしいと言わなければなりません。
そして、責任と権限の所在は何の変更もないにもかかわらず、実体的には教育委員会の権限を弱め、首長の教育行政への政治介入を進めようというよこしまなたくらみではないかと指摘せざるを得ないのです。だから大臣は、新教育長を最終決定者だとか、首長が教育長に職務命令を出せるとか、法案とさえ矛盾するような誤った答弁を繰り返してきているわけであります。
このような法案は断固廃案以外にないということを申し上げて、私の質問を終わります。
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、民主、維新提出、地方教育行政の組織の改革による地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案、みんなの党提出の修正案、いずれも反対の立場から討論いたします。
内閣提出法案は、教育行政の責任の明確化と称して、教育委員長と教育長を一本化し、首長が直接任命する新教育長を教育委員会のトップにしています。一方で、教育委員会の教育長に対する指揮監督の権限は奪われます。
さらに、地方自治体の教育政策の方針となる大綱を首長が決定するとしています。大綱には、学校統廃合を進める、愛国心教育を推進するなど、教育委員会の権限に属することまで盛り込むことができ、教育委員会に大綱の具体化をさせる仕組みです。
これでは、教育委員会を首長任命の教育長の支配下に置き、教育行政への首長の介入に道を開くことになりかねません。
この法案の狙いは、侵略戦争美化の安倍流愛国心教育の押しつけと異常な競争主義を教育に持ち込むことであります。
質疑でも明らかにしたように、この間、安倍政権・自民党は、歴史教科書を安倍流愛国心に沿って改めさせる圧力を加え続けています。太平洋戦争をアジア解放のための戦争と教える歴史逆行の特異な教科書を教育基本法に最もふさわしいと賛美し、全国の学校で使わせようとしています。しかし、多くの教育委員会はこうした教科書を採択していません。そのため、教育委員会を弱体化させ、国と首長の政治的圧力で歴史逆行の特異な教科書を採択させようというのです。下村大臣が教育勅語を至極真っ当と評価したことは、偶然ではありません。
そもそも教育は、子供の成長、発達のための文化的な営みであり、教員と子供との人間的な触れ合いを通じて行われるものです。そこには自由や自主性が不可欠です。だからこそ、戦前の教訓も踏まえ、憲法のもとで、政治権力による教育内容への介入、支配は厳しく戒められているのです。
ところが、法案は、教育委員会の独立性は大きく損なわれ、国や首長が教育内容に介入する仕組みをつくり、憲法に保障された教育の自由と自主性を侵害するものであり、断じて容認できません。
民主、維新提出の法案は、教育委員会制度そのものを廃止し、教育行政の責任者を首長としており、到底賛成できません。
みんなの党提出の修正案も、見解を異にいたします。
日本共産党は、教育委員会改悪法を許さず、安倍政権のたくらみを打ち砕き、教育と教育行政の自主性を守るため全力で奮闘することを表明し、討論といたします。