消費税 納税猶予 柔軟活用を 宮本岳議員 「転嫁できず滞納増」 衆院財金委 (しんぶん赤旗)
189-衆-財務金融委員会-3号 平成27年03月10日
平成二十七年三月十日(火曜日)
午後一時開議
出席委員
委員長 古川 禎久君
理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君
理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君
理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君
理事 丸山 穂高君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井上 貴博君
井林 辰憲君 石川 昭政君
大岡 敏孝君 大隈 和英君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
國場幸之助君 柴山 昌彦君
助田 重義君 鈴木 隼人君
田野瀬太道君 竹本 直一君
津島 淳君 中山 展宏君
根本 幸典君 福田 達夫君
藤丸 敏君 牧島かれん君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 大島 敦君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
古川 元久君 鷲尾英一郎君
吉田 豊史君 岡本 三成君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 小泉 龍司君
…………………………………
議員 古川 元久君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
復興副大臣 浜田 昌良君
内閣府副大臣 西村 康稔君
財務副大臣 菅原 一秀君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 金崎健太郎君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 若井 英二君
政府参考人
(金融庁総務企画局総括審議官) 三井 秀範君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 亀水 晋君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(国税庁次長) 佐川 宣寿君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 福本 浩樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山崎 伸彦君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 佐藤 悦緒君
財務金融委員会専門員 関根 弘君
―――――――――――――
委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 大隈 和英君
國場幸之助君 石川 昭政君
田野瀬太道君 助田 重義君
務台 俊介君 青山 周平君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 大岡 敏孝君
石川 昭政君 國場幸之助君
大隈 和英君 井上 貴博君
助田 重義君 田野瀬太道君
小宮山泰子君 玄葉光一郎君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 務台 俊介君
―――――――――――――
三月十日
関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出、衆法第四号)
――――◇―――――
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
<単純にその地域に戻ることが帰還ではない。震災前と同じように、仕事、営業、商売が出来るようになるのが本当の帰還>
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私も、財務金融委員会ではきょうが初質問ということでありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。
まず、あすで東日本大震災の発生から四年となります。とりわけ原発事故による被害を受けた福島では、いまだに十二万人が避難し、避難指示区域からの避難者が約八万人となっているわけです。
安倍首相は、福島の復興なくして被災地の復興はない、そして被災地の復興なくして日本の復活もない、事あるたびにこうおっしゃるわけでありますけれども、本当にそのとおりやっていただけるのかということが現場の声だと思うんですね。
最初に、福島の業者の方々が今直面している営業損害の賠償金への課税問題について、幾つか質問したいと思うんです。
きょうは復興庁にも来ていただいておりますが、福島復興再生基本方針が示す復興復旧の基本的考え方、この根底には、原発事故から避難している人たちで帰還を望む人たち全てが震災前に住んでいた地域に帰還することが大前提になっている、こう思いますけれども、まず、この基本方針の内容を御説明いただけますか。
○浜田副大臣 福島復興再生基本方針は、福島復興再生特別措置法に基づきまして、原子力災害からの福島の復興再生に関する施策の総合的な推進、これを図るための政府の基本的方針でございます。
第一には、原子力災害からの福島の復興再生、第二には、避難解除等区域の復興及び再生、そして第三には、福島全域の復興再生をその内容としております。
特に、御質問いただきました避難解除等区域の復興及び再生につきましては、国が原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を踏まえ、この区域の市町村の復興再生を責任を持って進めるという基本的考え方のもと、福島の復興再生の実現に向けた具体的道筋などを明記しております。
政府としては、この方針に基づく施策を確実に実施し、福島の復興再生を着実に進めるため、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 自営業者にとっては、帰還というのは、単純にその地域に戻るということではありません。震災前と同じように、仕事が、営業が、御商売が再開できることが本当の帰還ということになります。
例えば、帰還困難区域の復興が始まっても、商店街を中心ににぎわっていた町並みが、郊外の国道沿いにできるイオンのような大型スーパーに取ってかわられ、老舗のおすし屋さんが、あるいは小料理屋さんが、マクドナルドなどのファストフードやファミレス、回転ずしにかわって、中心街が寂れていったというのでは、とても福島の復興復旧とは言えません。
以前からその町で営業していた中小零細業者が、その地域に戻って、町の復興の中心にいて頑張れることが、基本方針の言う帰還ではないかと私は思います。また、基本方針は、それを実現するのが国の責任だと書いてあるんだと私は思うんですけれども、これは、麻生大臣、そういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、おっしゃるように、被災をされた方々、例えば、今言われた、多分、自営業者なんだと思いますが、そういった方が再び事業を再開できるという話をされる方は多いんですけれども、それは全然間違っていて、再開しても客がいなかったら、再開したって意味がありませんから。だから、そういった意味では、再開できるということは、再開した商売が成り立つだけの、なりわいとしてやっていけるだけの人口なり客というものがないとやっていけないということだと思います。これはなかなか簡単な話じゃないのであって、地元に戻れた、ただ自宅に戻れただけではなかなかということだと思っております。
政府としては、いわゆる仮設店舗をやってみたり、工場を誘致してみたり、道路を通してみたり、中小企業グループ補助金を出してみたり、いろいろなことをさせていただいておりますが、いずれにしても、被災者に対して、地元の仕事として、自営業なら自営業がなりわいとしてやっていけるように支援をしていくということが一番肝心なところかと思っております。
<帰還も出来ていないのに国税の申告期限の延長措置を打ち切る業者いじめを指摘>
○宮本(岳)委員 おっしゃるとおり、これは本当に簡単でない課題だと思うんですね。
帰還困難区域から避難している多くの自営業者は、いつ帰還できるのか、本当に事業を再開できるのか、まだまだ先も見えないという中、不安を抱えて日々生活をしております。
にもかかわらず、国税の申告期限の延長措置が今月末をもって終わるわけですね。福島の十二市町村だけが、ここまで申告期限の延長を行ってまいりました。その理由と、今回延長を打ち切る理由について、お述べいただけますか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
国税通則法上、国税庁長官は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から二カ月以内に限り、地域及び期日を指定して申告、納付等の期限を延長することができるというふうにされております。
それで、その災害その他やむを得ない理由のやんだ日でございますが、具体的には、指定地域内の納税者の多くが申告、納付等の行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日として取り扱っているところでございます。
今般、今委員がおっしゃいました延長期限の期日を指定した福島県下の十二市町村、まだ多くの被災者の方がなお仮設住宅での生活をされている状況にはございますが、当該十二市町村におきまして、まず、既に多くの方々に自主的に申告、納付等を行っていただいております。
それから、期限延長の長期化によりまして、納税者の申告、納付等の負担がますます大きくなってまいりますことから、いろいろ議論を交わしまして、そうした地元自治体の意見、要望を踏まえた上で、平成二十六年一月三十一日付の国税庁告示で、平成二十六年三月三十一日を延長期限の期日としたところでございます。
その際、この延長期限の期日の指定によりまして、当該十二市町村の納税者の方々が複数年分の申告、納付をしなければならないということでございまして、そういう点も考慮しまして、一年間の手続期間を設けまして、ことし、平成二十七年の三月三十一日までに申告、納付等の手続をしていただくこととしているところでございます。
また、平成二十七年、ことしの三月三十一日までに申告、納付をすることが引き続き困難な被災納税者につきましては、申請によりまして、さらなる期限延長を行うこととしているところでございます。
○宮本(岳)委員 七、八割が申告するように戻ったというんですけれども、多くの住民は、税務署が怖いから、仕方なしに申告しているだけだと思うんですね。原発事故からの避難者の帰還のめどは全く立っていないという状況のもとで、申告の延期が終了できる状況にはない。今お話しになった、災害その他やむを得ない理由が解消されたと到底言える状況ではないと私は思います。
それで、自営業者に再建する費用がなければ、基本方針が言う帰還を町の復興の中心に位置づけることは到底できません。帰還や再建を真剣に考えれば考えるほど、再建するための費用について自営業者たちは悩んでおります。できるだけ再建資金をためようとするのは当たり前だと思うんですね。だから、補償されたお金についてもできるだけためようとしている。これは当たり前の心理だと私は思うんですけれども、財務大臣、そう思われませんか。
○麻生国務大臣 基本的には、今言われることのとおりだと思います。
これは、同じ地域の中にあっても、運のよしあし、同じ地域の中でも東はよかったけれども西の方はとか、地域によってもいろいろ差がついていると思っておりますので、それはそれぞれの事情をよく踏まえた上で対応しないといかぬところになるんだと思っております。一律にといったって、なかなかそんな簡単にいかないだろうなと思います。
○宮本(岳)委員 そもそも、東電から現在支払われている、事業のための資産の賠償あるいは営業損害の賠償について、一方的な査定が行われ、非常に不満を持っているという方も少なくないんですね。普通の事故のように、すぐに再建できる、また被害の実額がすぐに確定できるような災害であれば、その実費をもって資産の賠償の交渉もできるでしょう。
しかし、大臣がお答えになったように、今回の原発事故では、帰還は一体いつになるのか、同じ状態に戻すのに一体どれぐらいの賠償額が要るのか、これは本当に簡単には判断できないわけですよ。そのために、多くの自営業者は、営業損害の賠償として支払われている賠償金も、帰還した際の事業の再建費用ということでためているという状況があるんですね。
国税庁は、この実態を見ずに、営業損害の賠償を逸失利益だと見て課税するということをやっております。なぜそんな課税をするのか。賠償金を支払う側の東電の言い分だけで判断しているのか。いかがですか、国税庁。
○佐川政府参考人 お答えします。
東京電力が支払います賠償金につきましては、所得税の課税上、精神的損害に対するものを初めとしまして、幅広く非課税とする取り扱いになっているところでございます。
他方、今御指摘の、避難指示等による営業不能、あるいはいわゆる風評被害などによる減収分に対する営業損害に係る賠償金につきましては、仮に被災がなかった場合には、本来課税対象となるべき収入を補填するものでありますことから、事業所得上の収入金額としておるところでございます。なお、その収入金額からは、必要経費あるいは各種控除を差し引くということができるわけでございます。
いずれにしましても、国税庁としましては、個々の事実関係に基づきまして、現行の法令に照らして判断しているところでございます。
○宮本(岳)委員 本来被災がなかったらと言うけれども、私が今取り上げているのは原子力災害ですよ、原発事故の災害ですよ。そしてそれは、冒頭述べたように、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を国が認めて、それは専ら国の責任で起こっている、そういう前提から始まっている話じゃありませんか。だからこそ、私は、こういう無慈悲なやり方はおかしいということを申し上げているわけですよ。
帰還の責任は政府にあるというのが基本方針なんです。帰還が可能な状況になったとき、再建費用がなければ自営業者は帰還できません。復興計画は絵に描いた餅になってしまいます。
政府と東電は、自営業者の帰還と営業再建に最後まで責任を持って費用負担を支援するということになっているんですか、復興庁。
○浜田副大臣 中小企業や小規模事業者の事業再開につきましては、被災地域の復興にとって大変重要でございまして、国として強力に支援しております。
まず、中小企業グループ補助金によりまして、施設等の復旧や帰還の場合の業態転換を支援しております。これとあわせて、特別貸し付けや二重ローン対策も実施しております。
委員御質問いただきました基本方針におきましても、避難解除等区域への住民帰還に当たっては、住民の生活と密接に関係する小売業等の関連産業が地域内に適切に立地することが必要であり、国はその達成に向けて必要な措置を講ずると書いてございます。
よって、仮設店舗の整備を進めるとともに、津波・原子力災害被災地域企業立地補助金に商業施設復興整備事業を設けまして、商業施設の整備を支援しております。また、一定の避難指示区域における事業者の事業を再開支援する税制上の特例措置の創設等を内容とする福島復興再生特別措置法を一部改正する法律案を、先日、この国会に提出したところでございます。
復興庁といたしましては、こうしたさまざまな支援策を活用することによりまして、避難指示のあった区域における事業再開を支援し、福島の復興再生に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 東京電力と政府は、この営業損害の賠償を打ち切ろうとしております。報道によれば、浪江町の商工会では、避難先などで事業を再開する再開率三五%、飲食業や小売業に至っては二〇%であります。営業損害の賠償が終われば二割程度が廃業する、こう答えております。賠償は打ち切るわ、賠償には税金をかけるわでは、どうやって帰還するのか、どうやって再建ができるのか、こう言わなければなりません。
帰還費用を政府や東電が責任を持つかどうかわからない、復興は自助努力でしろというふうな状況のもとで、少なくとも、自衛の手段として、再建資金にするため営業損害の賠償金をためている、こういう業者の実態があるわけですね。この賠償金に課税するのはやめるべきだと私は思うんです。
例えば、日本税理士会連合会が昨年、資料一につけました平成二十七年度・税制改正に関する建議書を公表いたしまして、その中で、原子力損害賠償制度による損失と収入の平準化等の措置を提案しております。内容は、放射能、風評被害等に対する損害賠償金の多くは課税対象とされるが、復旧復興のおくれから、収入と支出の時期が不一致となる事例も多いため、損失と収入を対応させるための措置や所得を平準化させるための措置が必要だ、こういうものであります。具体的には、課税される収益補償金の賠償金の処理について、課税の繰り延べ制度などを創設する、こういう提案をされております。
政府としても、こういう提案を真剣に検討すべきではないですか。大臣、そう思いませんか。
○麻生国務大臣 御指摘のありました御提案というものは、賠償金は複数年度にまたがったものを一度にまとめて受け取る場合がある一方、賠償金を受け取る時期と損失を計上する時期が一致するとは限りませんので、そういったことで、タイミングのずれによって賠償金が一気に課税扱いとなってしまうという問題意識によるものだと私は理解をしたんです。
しかし、東京電力の賠償金につきましては、複数年度を一挙に受け取るという場合であっても、受け取った時点で一気に収益として計上するのではなく、各年度に分けて段階的に収益に計上できる取り扱いになっております。当然のこととして、収益は一括計上していないということです。また、例えば、被災した資産の損壊などによって生じた損失につきましても、これは法人であれば現行で九年間にわたって欠損金の繰越控除ができるんですが、改正後は十年になるんだと思います。
したがって、基本的には、賠償金に係る収益と震災関連の損失計上の時期がずれることがあって課税が生じるというような問題はないものだと考えておりますが、もしそういうことがあるのであれば、我々としては、ずらすなりなんなり、しかるべき対応をしていかなならぬと思っております。
また、震災からの復興のための税制上の対応としても、二十七年度の税制改正において、一部地域において避難指示が解除され始めておりますけれども、そうした地域に帰還して事業を再開しようとしておられる自営業者等々の方々を支援するために、事業再開に必要となる事業用の建物、また、いろいろ、仕事をするに当たっての機械設備等への投資については、投資費用を積み立てやすくするために準備金制度を創設するといった対応を盛り込んでおりまして、今言われましたような対応を通じて、被災した事業者の方々をしっかりと支援していきたいと考えております。
<2割前後の業者が消費税を転嫁できない>
○宮本(岳)委員 準備金とかという話をされるわけですけれども、私がここで想定して議論しているのは、セメント会社の話ではないですからね。先ほどの議論でいうと、お豆腐屋の話をやっているんですから、そういう方々が事業再開のめどを立てるということを、やはり厳にしんしゃくして考えなきゃならぬわけですよ。
そして、先ほどの基本的考え方では、「帰還を望む者が皆帰還し、」「若い世代が帰還する意欲を持てるよう、責任を持って」と政府は掲げているわけですね。まさにそういう家業を若い人が継いでいけるところまで支援するのが国の責任だと言っているわけですから、きちんと検討して、そういう声に応える施策を、きちっと対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、ことしの確定申告がいよいよ始まっております。昨年四月からの消費税率の引き上げ、八%になって初めての確定申告期を迎えております。
五%から八%への税率変更によって、中小事業者からは、税額がはね上がった、このままでは潰れてしまう、こういう声が、私の地元は大阪ですけれども、大阪でも、それこそあちこちから寄せられております。消費税は、国民の所得を奪うばかりでなく、営業破壊税だと言わなければなりません。
大臣は、アベノミクスの効果が徐々にあらわれてきている、稼ぐ力のある企業を応援していくとおっしゃるわけですけれども、中小業者は景気回復の実感がないばかりか、物価の上昇あるいは税率引き上げの負担が重く、納税資金さえ滞るという状況が生まれているわけです。
そこで、まず数字を確認しますが、三月二日に経済産業省が公表した消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査、二月書面調査について、事業者間取引及び消費者向け取引、それぞれで転嫁状況がどうだったか、報告していただけますか。
○佐藤(悦)政府参考人 お答えを申し上げます。
経済産業省は、消費税の転嫁状況を定期的に把握するため、平成二十六年四月から、消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査を実施しているところでございます。
二月の調査では、転嫁状況について、全て転嫁できていると回答した事業者が、事業者間取引で八五・一%、消費者向け取引で七六・二%、全く転嫁できていないと回答した事業者は、事業者間取引で三・二%、消費者向け取引で四・一%となっております。
○宮本(岳)委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、このモニタリング調査では、消費税法上の納税義務者である事業者のうち二割前後が、増税後ほぼ一年たった今でも消費税の転嫁ができていない、こう答えているわけです。消費税を転嫁できていない業者がいる実態を、あなたは認識されておりますか。
○麻生国務大臣 大阪の状況を、先生の選挙区がどうかは知りませんけれども、生活保護世帯なら筑豊の方も数字としては極めて高いところですから、状況についてはかなり詳しくわかっていると思っています。
○宮本(岳)委員 消費税が転嫁できないという現状があることを認識しておられますか。
○麻生国務大臣 今、そう答弁を申し上げたつもりだったんですけれども、似たような極めて厳しい状況に私どものところもありますので、そういった業者がおられるということは私どもも町を歩いていたらわかりますから、これはよくありますので、知っていますかといえば、よく知っております。
○宮本(岳)委員 租税というものを考える上で、人頭税のように、納税する原資を生まない者に課税をすることは、近代の税制ではあってはならないとされております。
今回の消費税増税を決めた一体改革の審議をしていたときでも、商工会議所のような大きな企業団体も含め各種団体の調査で、消費税の転嫁などできないと多くの声が上がっておりました。それでも、先ほど大臣がおっしゃった、自民党、公明党、民主党、三党合意で、その訴えを無視して一体改革法案を成立させたわけですね。私、税と社会保障一体改革特別委員会の理事役もやっておりましたよ。
今まさに増税前に憂えていた事態が起こっている、転嫁できない業者が発生している、それでも政府は、消費税を転嫁できていない業者にも消費税を納付しろと言うんですか。
○麻生国務大臣 消費税を転嫁できない理由というのは、事業者によってさまざまあると考えております。例えば、中小企業庁で実施しておられますアンケート調査においても、競争が激しく、価格の引き上げによって他社に取引を奪われるおそれがあるなどの回答があったということも、これはよくある話で、承知をしているところです。
いずれにしても、事業者が消費税を円滑かつ適正に転嫁できない、それを転嫁できるようにすることは重要な課題だと思っておりますので、政府としても、公正取引委員会、経産省、中小企業庁等々が、六百名程度だと思いましたけれども、転嫁対策調査官というのを配置して、内閣府においては消費税価格転嫁等総合相談センターを設置して、悉皆的な書面調査を実施するとか、違反行為に対して公正取引委員会が相当数の指導、勧告を既に実施したというような対応を行っているところで、消費税引き上げ分を適切に転嫁できるように政府としては今後とも対策に取り組んでいかないかぬ、大事なところだと思っております。
これは最初から話題になっていましたので、消費税をやる前からこの話が一番問題で、やり過ぎじゃないか、介入し過ぎると言われる可能性もあるほどやってちょうどいいぐらいと言ってきたことがありますので、今の点は十分に対応していかなならぬものだと思っております。
○宮本(岳)委員 いや、転嫁できるようにするとおっしゃるけれども、そして、転嫁できるようにするとおっしゃって消費税の税率を上げたわけだけれども、現に、二割程度は転嫁できていないと答えているわけですね。
私は、その転嫁できていないという結果になっている者からも消費税を取るんですかと聞いたんです、取り上げるんですかと。いかがですか。
○麻生国務大臣 それは、基本的には、同じ商売をやっておられる方でも、払っておられる方が八割はおられる、片一方は払えないというので、そちらだけ、払えないから除外しますというわけにはなかなかいかぬというのが現実だと存じます。
○宮本(岳)委員 転嫁できないと言っているのに消費税率を引き上げたこと自体、まさに私たちが、そういうことをすれば転嫁できないですよと言ったのを、いや、できるようにするんですと言って引き上げたこと自体に問題があるということを私たちは今指摘しているわけです。
それで、消費税を転嫁できなかった業者に何か問題があると。この人たちに、転嫁できていなくても無理やりでも納税しろと言うのであれば、一体どうやって納税資金をつくればよろしいのでしょうか。
○麻生国務大臣 消費税というものは、基本的には、事業者が借金などによって負担を負うというのはおかしいと思いますので、転嫁を通じて最終的に消費者に負担していただくべき税なんだ、私どもはそう考えております。
○宮本(岳)委員 いや、しかし、私は驚いたことがあるんです。
大蔵財務協会というところが発行している「税のしるべ」という機関紙といいますか新聞があるんですが、この「税のしるべ」を読みますと、これは税制改正の内容や新たな通達など、税務行政に関する出来事を載せている、いわば国税庁の準機関紙のようなものでありますけれども、昨年十月二十日付で、金融商品で消費税滞納防止、納税定期積立金、タックスローン、セットで商品化、こういう大きな見出しがございました。消費税完納キャンペーンの一環だと書いてありましたよ。納税したときに発生する延滞税の税率より低い優遇金利で地元の信用金庫から融資が受けられますよ、こういう売り込みですよね。
まさか、さっき財務大臣は、借金をして納めろと言う気はないとおっしゃるんだけれども、現に現場ではこういう話になっているんじゃないですか。
○麻生国務大臣 これは私の答弁じゃないのかもしらぬけれども、少なくとも、これは、宮本先生、わかって聞いておられるんでしょうけれども、払い方は自由ですから、借金して払う人もおられるし、借金は拒否というので、私が最初に申し上げたような形でなさるのは当然なのであって、普通は、高い金利まで払って借金をして消費税を払うというのは基本的にはおかしいと思います。
○宮本(岳)委員 つまり、こういう金融商品が出されるほど、中小業者にとって消費税の納税が厳しいということを物語っているんですよ。そういうニーズがなければ、こんな金融商品が売り出されるわけがないわけであって、そういう実態が現にあるということを示しているわけですね。
ともかく、八%消費税の転嫁問題が確定申告の中小零細業者の悩みの種となっております。では、どうして転嫁ができないのか、先ほど大臣が先回りして答弁されたものを答弁いただきたいんですね、経産省にきょう来ていただいていますので。
経産省のモニタリング調査では価格転嫁ができない理由というものを聞いておりますけれども、事業者間取引及び消費者向け取引それぞれで、転嫁できない理由の一番と二番は何か、答えていただけますか。
○佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省が実施している消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査の二月調査において、価格転嫁ができていない理由として、事業者間取引では、先ほど麻生大臣が答弁されましたが、一番は、自社商品等の競争が激しく、価格を引き上げると他社に取引を奪われてしまうおそれがあるためと回答した事業者が五〇・六%と一番多く、二番目は、取引先の業界の景気が悪く、消費税分の値上げを受け入れる余裕がなかったためと回答した事業者が二九・七%いらっしゃいました。
また、消費者向け取引では、価格転嫁ができていない理由として、景気が回復しておらず、まだ消費者の財布のひもがかたいためと回答した事業者が五四・二%と一番多く、自社商品等の競争が激しく、価格を引き上げると他社商品に乗りかえられてしまうおそれがあるためと回答した事業者が四〇・一%と二番目に多うございました。
<小規模の事業者ほど消費税を価格に転嫁できない>
○宮本(岳)委員 今聞いていただいたとおりですよ。競争が激しく、価格引き上げによって他社に取引を奪われるおそれがある、半分、答えが。それから、取引先の業界の景気が悪く、値上げを受け入れる余裕がなかった、三割。また、消費者向け取引では、消費者の財布のひもがかたいため、半分以上です。競争が激しく、価格引き上げによって他社製品に乗りかえられてしまうおそれがあるため、四割。こういう結果が出ているわけですね。
つまり、やむにやまれず転嫁できないというのが今の現実の姿ではないか。値下げ要求を拒否したり告発すれば、仕事を切られかねない。消費税や原材料の高騰分を転嫁すれば、売り上げが下がる。値段を上げたくても上げられない事業者の苦悩が、この結果からもはっきり見えてくると思うんですね。
三月二日、予算委員会で、我が党の真島議員の質問に対して麻生大臣は、地方でいろいろまだ問題があるのも確か、地域によっても業種によっても企業の大きさによっても差がある、こう答弁されました。
都市部よりも地方部、大企業よりも中小・小規模企業が景気回復の実感もなく苦しんでいる、そういう認識をお持ちなのだと思うんですけれども、もう一度、大臣のこれについての御認識をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 その申し上げた答弁のとおりだと思います。
○宮本(岳)委員 景況感だけでなくて、消費税の転嫁ができていないとの実感も、末端の下請企業や小売、サービスなど、小規模になるほど大きくなっているのではないか。
先ほどの経産省のモニタリング調査では、小規模になればなるほど困難があるという結果が出ているんじゃないですか。お答えいただけますか。
○佐藤(悦)政府参考人 御指摘いただきました二月の調査におきましては、従業員規模別の転嫁状況を見ますと、例えば、事業者間取引において、全てが転嫁できていると回答した事業者は、五人以下の事業者で八四・〇%、六人から二十人の事業者で八五・二%、二十一人から五十人の事業者で八七・四%となっているなど、総じて従業員規模の小さな小規模事業者の方が価格転嫁が難しい状況にあることがうかがえるというふうに承知をしております。
○宮本(岳)委員 全国の商工会でつくる全国商工会連合会の調査を見ましたけれども、規模の小さな事業者ほど、今後も転嫁できない、転嫁できるかどうかわからないとの回答が多く、さらには、先行きが不透明な状況と指摘をしております。
大臣、消費税が転嫁できていない、かといって、身銭を切るだけの余裕もない、これ以上借金をして払うということもできない、そうなると、業者の皆さんは一体どうするしかないと思われますか。
○麻生国務大臣 これまた人によって、商売をそのままやめられる方もいらっしゃるでしょうし、いろいろ、人様によって対応の仕方は全部違うと思います。
○宮本(岳)委員 違うとはいえ、廃業するか、滞納するか、これぐらいの選択肢しかないわけですね。そうなると、滞納ということが起こります。
そこで、数字を確認したいと思います。
これは国税庁ですが、新規発生の国税の全滞納の中で消費税の滞納が占める比率、これがどう推移してきたか。一九八九年、一九九五年、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年、そして二〇一三年の数字をそれぞれお答えいただけますか。
○佐川政府参考人 お答えします。
御指摘の各年度におけます国税の新規発生滞納額に占める消費税滞納の割合でございますが、一九八九年度は二・七%、一九九五年度は二七・四%、二〇〇〇年度は四四・六%、二〇〇五年度は四五・四%、二〇一〇年度は四九・七%、二〇一三年度は五一・四%となっております。
○宮本(岳)委員 一九八九年に二・七%から始まったものが、二七・四、四四・六とふえて、二〇一三年ではとうとう五割を超えております。年を追うごとに滞納全体に占める消費税の滞納の比率が高まる傾向がはっきり出ております。
麻生大臣、なぜこのような傾向にあるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
○麻生国務大臣 基本として、デフレによる景気がまだ回復していないということの証明をしている一つの数字だと思っておりますけれども。
今言われました中で一つだけ、九八年のいわゆる通貨危機のときにはたしか七千億円ぐらいの滞納が発生したと思いますが、パーセントは三八%だったんですが、額としては七千億円ぐらいになっていたと思います。今回の場合、二十五年が、パーセントとしては五一%ですけれども、額としては二千八百億ぐらいのものになっていますので、パーセントと額とは少し違うということは頭に入れておかないかぬなと。我々、税金を預かる方としては、その点は考慮しておかないかぬところだと思っております。
○佐川政府参考人 今の大臣の答弁に数字を補足させていただきます。
大臣がおっしゃいましたように、消費税の新規の発生滞納額でございますが、ピーク時の一九九八年度が七千二百四十九億円で、平成二十五年度、二〇一三年度の新規発生滞納額が二千八百十四億円でありまして、そういう意味では、二十五年度の消費税の新規発生滞納額はピーク時の四割以下、約三九%まで減少しているところでございます。
○宮本(岳)委員 売り上げも下がったし、景気も悪いというだけのことじゃないですか。中小零細企業への消費税の課税が年々負担になっているということの結果だと思うんですね。
例えば、一九九七年に税率が三%から五%に引き上げられたときには、滞納が急増し、自殺件数が一気に三万人を超えました。消費税の免税点を売り上げ三千万円から一千万円に下げたときにも、〇四年の五十万件から〇五年の六十五万件へと、一気に三割も滞納件数がふえております。
その一方で、一件当たりの滞納額は九十万円から七十万円に下がった。つまり、免税点を引き下げたことで、小規模事業者ほど消費税の転嫁が困難な実態が表面化して、消費税の滞納が大量に生まれる事態となったということを示していると思います。
今回の消費税八%への引き上げでも、小規模の事業者になればなるほど消費税の転嫁が困難である実態が、政府の調査でも中小企業団体の調査でも明らかだということであります。
そこで、ちょっと質問が長くなりますが、私の事務所で幾つか聞き取りを行いました。
一つは、安くて新鮮と地域で評判の八百屋さんであります。
大型店の出店や消費の低迷で、昨年からことしにかけて売り上げが落ちた。所得は三百万円。消費税額は、昨年の十八万円から三十二万円にはね上がった。市場の買掛金、いわゆるツケをふやして税金を支払うことにしているが、税金や社会保険料などの負担が重い。野菜の価格は相場で決まるもの。競合店を意識すれば、価格を安く抑えるしかない。生鮮品なので、古くなると安くしたり、なじみの客やお使いに来た子供にサービスすることもある。取引の中で価格が決まるわけで、価格はお客様が決めるものだと思っている、こうおっしゃっていました。
この方は、小泉構造改革が始まるまでは七つの店舗を持って、二十名の従業員を抱えて、大きく商売をやっておられましたが、現在は借り店舗一つを夫婦二人で経営するまでに縮小せざるを得なかったと、悔しそうな表情で語っておられます。
大阪のおそば屋さん、これは二つ目の事例ですが、夫婦二人で営業し、そば粉を自分でひいてお客に提供する店主のこだわりが地元の人に愛されているお店です。
この間、食材や電気・ガス代が値上がりして、昨年の消費税三%引き上げ分もあり、メニューの価格を変えた。全てを価格に上乗せしたら安く提供しているチェーン店などにはとても太刀打ちできないので、全ては転嫁できないが、しかし、価格は若干上げた。値段を上げていますから、見かけ上、売り上げは伸びたが、消費税額は昨年の二十九万円から一・六倍の四十六万円に。赤字ではないけれども、利益はほとんど出ていないので、どうやって税金を支払うか頭を悩ませている。こういう赤裸々なお話でありました。
結局、自営業者にとって消費税は価格の一部でしかないということなんですよ。価格に織り込まれているわけで、増税になれば、市場競争の中でこうした人たちは商売を続けていくことが難しくなります。消費税の滞納もふえ続けるのは目に見えております。
今回、政府は、転嫁できればうまくいく、そう言って増税したわけですけれども、全ての事業者が転嫁できる環境をつくるための転嫁対策だと言っておりましたけれども、中小業者にとっては、消費税を転嫁すれば客が減る、赤字でやっていけなくなることを恐れて、結局本当は転嫁できていないというのが実態だと思うんですね。大臣、そうじゃないですか。
○麻生国務大臣 消費税が最初に導入されると決まったときから、御指摘のようなことが起こらないようにするため、消費税率の引き上げに際しては、転嫁しやすいようにということで環境を準備する、これは重要な課題だということで、最初からこの話が出ていたと記憶をいたします。
したがって、政府としては、今回は、特に消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保するため、転嫁対策特別措置法、これは今までつくったことがないんですが、それに基づいて、公正取引委員会また中小企業庁等が六百名程度の転嫁対策調査官などを配置して、違反行為に対しては公正取引委員会等が相当数の指導、勧告を実施するなど、かなり強力かつ実効性のある対策を推進するとともに、同時に、消費税率の引き上げが全額社会保障財源として国民の皆さんに還元されているんだということを御理解いただけるように、最終的に消費税を御負担いただく国民の皆様に対して積極的な広報にも取り組んだところでもあります。
いずれにしても、中小企業者、零細事業者が消費税率引き上げ分を適正に転嫁できるように、引き続き、政府としては転嫁対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 その転嫁ができていない実態があるということを、私はるる申し上げているわけです。
資料の二枚目につけましたけれども、これは中小企業白書の資料で、過去十年間の間、一方的に中小企業の数がどんどん減っているということがこのグラフに示されております。また近年では、中小企業の中でも中規模企業と小規模企業とでは規模が小さいほど減少率が大きい、こういうふうに中小企業白書の中には書かれております。
どうしてこのような傾向があるのか、御答弁いただけますか。
○佐藤(悦)政府参考人 中小企業の数は、二〇〇九年から二〇一二年の三年間で約三十五万者減少しておりますが、うち小規模事業者は三十二万者減少しております。減少率を見ますと、中規模企業はマイナス四・八%、小規模事業者はマイナス八・八%と、小規模事業者の減少率が大きくなっております。
その背景、原因といたしましては、小規模事業者は全体の約六割を個人事業者が占める等、規模が小さく、経営基盤が強くないことが挙げられます。また、建設業、小売業、宿泊、飲食サービス業等、小規模事業者には経済社会構造の変化の影響を受けやすい業種の企業が多数存在していることもまた原因と考えております。
○宮本(岳)委員 つまり、小規模事業者は、経済社会構造変化の影響を受けやすい、今回の消費税増税の影響も受けやすいわけです。小規模事業者の倒産、廃業がこの先も進んでいく可能性がある、大臣が幾ら答弁されてもこれは否定できないというふうに思うんですね。
消費税が八%に上がった。この先、政府は今度は、先送りした後、一〇%に引き上げる、こういうことを今回のこの法案でも織り込まれているわけですけれども、こうなってくると一括で消費税を納付できない事業者が増加する、これは予想されます。現在の経済状況を考慮するならば、想定される消費税の滞納発生業者に対して、きちっと実情や実態に即して納税者に有利になる情報を提供するなど親身な納付相談をする必要があると私は思うんですけれども、今大臣はいらっしゃいませんので、では、事務方の方でお答えいただけますか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
滞納整理に当たりましては、納税者から一括納付が困難などの相談があった場合には、納税者の事業内容、業績、資金あるいは財産の状況などを十分把握した上で、一定の要件に該当する場合には猶予を認めるなど、これまでも納税者個々の実情に即して、法令に基づき適切に対応しているところでございます。
引き続き、丁寧な対応に努めてまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 消費税増税の納付期に合わせて、ことし四月から国税の猶予申請の制度が変わります。納税の早期段階での計画的な納付の履行を確保するという観点から、申請に基づいた換価の猶予という制度が導入されました。
重ねて国税庁に聞きますけれども、どういう条件の納税者が申請による換価の猶予の対象となるのでしょうか。制度について御説明いただけますか。
○佐川政府参考人 今御指摘のありました、この四月から始まる新しい換価の猶予の制度でございますが、今回創設されます新たな換価の猶予は、要件としましては、一つに、滞納者が滞納国税を一時に納付することによりその事業の継続またはその生活の維持を困難にするおそれがあると認められること、二つ目に、滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められること、三つ目に、ほかに滞納となっている国税がないことのいずれにも該当することが要件とされております。
また、この新たな換価の猶予を受けるには、滞納国税の納付期限から六カ月以内に申請をしなければならないということでございまして、今委員御指摘のとおり、この制度は、従来税務署長が職権により適用していたものを、滞納者からの申請に基づいても猶予することができるというふうになったものでございます。
○宮本(岳)委員 税務署長の職権による適用も従来あったものを、申請によってもできるようにする。これは、制度上連続して対処するならば、何年ほどこの猶予は受けられますか。
○佐川政府参考人 簡潔に申しますと、法令の要件に該当する場合は、まず、申請による換価の猶予で最初に一年、さらにやむを得ない理由がある場合には最長二年。さらに、申請による換価の猶予の二年でも完納できなかった場合には、法令の要件に該当する場合には、職権による猶予が一年、さらにやむを得ない理由がある場合にはさらに一年ということでございまして、制度上は両者の合計で最長四年まで延長することは可能となっております。
ただし、換価の猶予におきましては、滞納者の財産の状況、その他の状況を踏まえまして、滞納している国税をできる限り早期に完納していただく必要があるというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 消費税率の影響はいまだに個人消費を冷やして、多くの自営業者が経営が圧迫されて夜も眠れない日々を過ごしている、確定申告の準備に当たってもそういう状況を私は見聞きしております。
換価の猶予の前に対応できる納税の猶予なども活用して、やはり柔軟に、消費税を払えない納税者に対してきちんと相談に乗っていただきたい。
これは最後に、麻生大臣にその御決意をお伺いしたいというふうに思います。
○麻生国務大臣 これは、まず何といっても景気回復というものを起こさないと、なかなか、消費税に限らず、税が払いにくくなっているという状況になることは間違いないと思っております。加えて、デフレーションによる不況ということになると、その度合いがさらに難しいことになるというのもはっきりしておりますので、基本的には、我々としては、きちんとした形で納税をしていただけるように、消費税を納めていただけるように、景気回復、またその他、個別の事業、ちょっと個々にいろいろありますのでなかなか申し上げられませんけれども、そういったようなことができるような支援をしてまいりたいと考えております。
<NISAは株式については非課税にするが、貯金の利子については課税するものだと財務大臣が本音を吐露>
○宮本(岳)委員 もちろん、根本は、転嫁もできない消費税増税を強行したことに今日の問題があるんです。消費税率の一〇%への引き上げは、今回の例を見るまでもなく、国民と中小零細業者に重くのしかかるわけであります。二年の延期ということではなく、きっぱり中止するということを改めて申し上げておきたいと思います。
次に、ジュニアNISAについて聞きたいと思うんです。
冒頭、所得税についてグラフをつくってみました。資料の三におつけいたしましたが、日本の所得税の問題の一つは、累進性が弱まっているという点にあると私は思うんですね。多くの研究者だけでなく、政府の税調も幾度か指摘をしていると思います。
まず、現在の所得税制の累進性あるいは所得再配分機能について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 宮本先生、よく御存じのように、所得税につきましては、昭和六十年代以降、大幅な累進緩和というのを行ってきた、たしか六十年代だったと記憶いたしますが、当然のこととして、所得再配分の機能が低下したという指摘がなされているところです。
こうした中で、最近の税制改正において、所得再配分機能の回復のために、所得の最高税率を引き上げるということで四〇%を四五%、それから、給与の所得控除の見直しというのが、控除の頭打ちなどで給与収入額を段階的に引き下げて、あれは千五百万から千二百万にして千万にしたんだと記憶します。そして、上場株式に係ります配当、譲渡益に対する軽減税率の廃止、これが一〇%までだったのが二〇%に戻ったということだと思います。これらの見直しの多くは、そのほとんどはこの一月以降、こういった形のものをさせていただいておりますので、今後、その影響をよく見てまいりたいと考えておるというところです。
○宮本(岳)委員 いろいろと累進性を緩めてきたものをもう一度もとに戻す改革をしたとおっしゃったんですが、資料の三につけた図を見ていただきたい。ことしの二月二十日に国税庁が発表した二〇一三年の申告所得税の実態から作成した、所得税負担率のグラフであります。
昨今言われているように、収入が一億円を超えたところから税負担率が下がっていく傾向が今回はっきりと出ております。二七・五%の負担率をピークに、百億円以上の所得層で一一%程度の負担率にまで落ち込んでおります。
なぜこのような累進性を阻害する負担率となっているのか、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤(慎)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の表でございますが、これは平成二十五年の統計に基づくものでございまして、合計所得金額に占める所得税の負担割合が一億円を超えたところで低下している、この要因でございますが、まず、高額所得者ほど株式譲渡所得の比率が高いという中で、平成二十五年当時は上場株式の譲渡所得などにつきまして軽減税率一〇%の適用ということが影響しているのではないかというふうに思われます。
ちなみに、上場株式の譲渡所得に対します軽減税率は二十五年の十二月三十一日をもって廃止されておりまして、現在は二〇%という税率適用でございますので、この改正の影響は注視していく必要があるだろうと思っております。
○宮本(岳)委員 そういう御答弁をされるんだろうと思っておりましたが、一〇%、半額にまけてやっていたんですね。株式譲渡益が収入に占める割合が高まれば高まるほど引き下がる、この一〇%を本則に戻した、二〇%に戻したという今の答弁だったと思うんですが、一億円のところで二七・五%ですからね。それは、三〇%、四〇%にしたというんなら、今後眺めていたら、だんだんちゃんと累進的に、この山は下に下がらず右肩上がりになるんでしょうが、二〇%に戻しても二七・五%より低いですから、そういうふうにはなかなかならないと僕は思うんですけれども。
少なくとも、今おっしゃったキャピタルゲインの軽減税率というのは、貯蓄から投資へと、政府が旗を振って譲渡益課税に異常な優遇をしてまいりました。高額所得者の所得税負担率を大きく引き下げる原因となってきました。
そこで聞くんですが、これは大臣に聞きますよ、証券優遇税制などで、金融資産は、政府がおっしゃったとおり、貯蓄から投資へ移動しましたか。
○麻生国務大臣 家計におきますリスク性資産の保有額ということなんだと思いますが、とりわけ株価の影響を大きく受けるというところから、その資金の動きについて一概にこうだということを申し上げることは困難ですが、証券軽減税率がなかった場合に市場や家計の資産構成がどうなっていたかを検証するということも難しい、これははっきりしていると思っております。これはなかなか難しい。やろうといったって、とてもじゃないが難しいので。
ただ、どういうような家計の資産が増減しているのかを、確たることは申し上げられませんが、事実関係を申し上げれば、平成十五年の制度導入以降、個人株主の延べ人数は三千四百万人から四千六百万人に増加しているというのは事実であります。
したがって、証券軽減税率の廃止に伴って、平成二十六年度より導入されましたNISAにつきましては、比較的少額から、投資による利益を非課税とすることによって広く国民に投資への関心を持ってもらい、投資の裾野をさらに拡大することを期待しておりますけれども、いずれにしても、こういった形で、いわゆる資産の形というものが、投資等々、単なる貯蓄から成長に向かっていろいろな形でその金が動くということを期待しているところではあります。
○宮本(岳)委員 きょうは、資料の四、資料をつけておきました。二〇〇四年と二〇一四年。これは金融庁提出資料ですから、私がつくったものじゃないですよ。日本の家計等の金融資産の構成比を見ていただいたら、現金、預金、二〇〇四年が五三・二%、二〇一四年が五二・六%、ほとんど変化がないですよ。全然そういうふうには動いていないですね。
つまり、税制で優遇した、それで家計の預金を投資に移そう、こういう建前だったわけです。結果は、移らなかった。そうしたら、結局、そういう優遇をしなくても、以前から株式などのリスク資産で運用していた大資産家が減税の恩恵にあずかったというだけの話だと言わなければなりません。
さすがに、世界でもまれに見るこの優遇税制は、二〇一三年の十二月末をもって最後となります。その後に出てきたのが、今大臣がお触れになったNISAというものであります。この制度でありますけれども、これも同じように、貯蓄から投資へということのためにやるんですか。
○麻生国務大臣 NISAは、上場株式や公募株式投資信託などへの年間百万円までの新規投資から生じる収益については最長五年間非課税とするという制度、長く言えばそういうことになります。
この導入によって、国民に投資に関心を持ってもらって、家計の資産形成の支援ということをやる。単に預金している、金利なんかほとんどつかないのに預金だけしているわけですから、それを、資産形成を支援できればと思っておりますと同時に、現在、預貯金にかなり日本の場合は偏在しておりますので、個人金融所得一千六百四、五十兆円のうち八百六十兆円ぐらいが現預金ですから、そういった意味では、金融資産が投資へ振り向けられるということによって、経済成長に必要な成長資金への供給がふえるということに期待しておるんですが、こうした制度の趣旨に鑑みて、預貯金を非課税の対象とはしていないというところであります。
○宮本(岳)委員 今の答弁は、つまり、貯蓄から投資へというインセンティブを与えるために、NISAは株式については非課税にするが、貯金の利子については課税するのだ、こういう答弁ですか。確認させていただきます。
○麻生国務大臣 今申し上げたのはそういうことです。
○宮本(岳)委員 随分、本音をあからさまにおっしゃるわけでありますけれども。
このNISAというものは、英国のISAという制度を手本としてつくられた、金融庁もそういう説明をされております。
英語に堪能な麻生大臣に、NISAというのは一体何の略か、ISAというのは一体何の略か、お答えいただけますか。
○麻生国務大臣 ニッポン・インディビジュアル・セービング・アカウントじゃなかったですかな。インディビジュアル・セービング・アカウントの略だと記憶します。
○宮本(岳)委員 おっしゃるとおり、NISAというのは、ニッポン・インディビジュアル・セービングズ・アカウント、そしてイギリスのISAというのは、Nを取った、インディビジュアル・セービングズ・アカウント、こういうことになります。どちらもセービングズというのが入るんですね。
つまり、もともとの英国のISAというのは個人貯蓄口座のことなんです。預貯金などの安全資産もこの制度の対象となっております。
しかしながら、日本のNISAでは、今大臣がお答えになったとおり、預貯金と株式とでは全然違う扱いになっている、つまり、NISAの制度の対象から外されている。先ほど答弁にありましたから、無理やりでも株のところへ持っていくんだということなのでしょうけれども、英国の制度を手本にしたといいながら、日本だけ何でこんな偏った制度にしたんですか。
○麻生国務大臣 英国のISAの方は、国民に貯蓄自体を奨励することを目的とした制度というように理解しておるんですが、非課税の対象が株式等に限定されず預貯金も含まれているものだった、イギリスの場合はそうだったと記憶します。
他方、我が国のNISAの場合は、イギリスと全然違いますから、家計貯蓄が極めて豊富ということでありますので、傍ら、現預金にかなり偏っておるというのが現状でありますので、したがいまして、これを投資に振り向けることによって家計の資産形成というものに支援をすると同時に、経済成長にも必要な成長資金というものがそこから生み出される、供給拡大につなげるということを目的としておりますために、預貯金につきましては非課税の対象としていないということ、先ほど申し上げたとおりです。
このように、政策目的の違いが制度面での違いを生じさせているものだと理解をしております。
○宮本(岳)委員 もう少し原点に返って、では、もう一つ聞きます。
小泉内閣以来、これだけ大がかりに貯蓄から投資へと旗を振ってやってきたにもかかわらず、先ほど私が紹介したように、五〇%余りの現預金、これはぴくりとも、ほとんど動かず来ている。つまり、なぜそのようになっているのか、国民が金融資産を現預金の形でこれほど動かそうとしないのか。どう考えておられますか。
○麻生国務大臣 これはいろいろな理由があると思いますので、宮本先生、一概に、これが答えというのは、これですよなんという答えがあろうとは私は思いませんけれども、それぞれの御家庭の事情があるんだろうと思います。
少なくとも、前のバブルの景気のいいころに、一九八九年十二月の二十九日ですか、あれが三万八千九百十五円つけたんだと思いますが、あのときが株の最高。今、上がったといったって、三万八千円が一万八千円に下がっておるわけですから。あのとき株を随分やった方々というのは、三万八千円が一万円を切るところになったということになれば、株という名の動産が四分の一になった。早い話が、資産が完全なデフレーションを起こしたわけです。
それは大きな理由の一つで、やはり株よりは現預金を持った方がいいということになって、かつ、その現預金の方は、円が高くなってドルが安くなったという時代がありましたので、現金で持った方がかなりその点についてはよかったという時代が、現象面として起きたというのが大きな背景かなという感じはしますが、いずれにしても、現預金の方が株よりは信用できるという気持ちが非常に強いというのが一般的なものだと思います。
○宮本(岳)委員 庶民は、わずかな余裕資金があればやはりまずは貯金をして、確かに元本が保証される貯金で確実にためておかなければ、いつ何どきどうなるかわからないという不安感を持って、貯金にどうしてもシフトしているんだと思うんです。元本が減らない運用資産として貯金をしている庶民からは、わずかな預金利子に二〇%も課税をする一方で、株式投資はNISAで非課税として優遇するのはひどいじゃないか、こういう声が上がるのは当然だと思うんですね。
政府が、もう貯金なんかやるな、株を買ってもらいたいんだ、こういうあからさまな御主張なのかと思いますけれども、それは預金の利子だって不労所得には違いないですよ、どちらも不労所得であるにもかかわらず税率が違う、預金の場合と株式利得の場合と。私はこれは課税の公平に反するのではないかと思いますが、いかがですか。
○佐藤(慎)政府参考人 お答え申し上げます。
事実関係でございますが、まず、預貯金の利子に対する課税につきましては、所得税が一五%、個人住民税が五%、合わせて二〇%の税率でございます。先ほどから議論に出ております、上場株式に係ります配当、譲渡益に対しましても、現在、同様に二〇%の税率ということで、ここは制度がそろっているわけでございます。
一方、NISAといいますのは青天井ではございません。一定限度の投資限度額を設定した中で非課税としているということでございます。
加えて、利子に関しましても、例えば勤労者につきましては、財形年金貯蓄とか財形住宅貯蓄におきましては、元利合計五百五十万までを限度としまして利子が非課税という制度でございます。
何と何を比べて公平かというバランス上、今のようなことになるんだろうというふうに思います。
○宮本(岳)委員 預金にかかる税金も二〇%だ、株式譲渡益の税率も二〇%だと。しかし、ここは公平かもしらぬけれども、NISAの世界では、片方はかかるが片方は減税、これが不公平だと僕は言うているわけですよね。
それで、ISAを見ますと、これは大臣がおっしゃるとおりですよ、上場株式だけでなく、公社債、投資信託、保険、預金、MMFなど、幅広く各種の金融商品を対象としております。これは、貯金の奨励と言われましたけれども、同時に、資産形成のポートフォリオをきちっと個人で選択してもらう、こういうことが念頭にあるわけですよ。
だから、日本でも恐らく、NISAという以上は、資産形成のポートフォリオをそれぞれみずからの責任できちっと選択してもらうということであれば、当然、英国のように全ての資産を自分の判断でポートフォリオをつくることができなきゃ、金融リテラシーというような点では余りプラスにならぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○麻生国務大臣 今、各世帯におけるいわゆる貯蓄と投資の適切なバランスというものについては、各世帯の資産状況によって異なっていますので一概に申し上げることはできませんけれども、一般的に言えば、当面必要な資金は預貯金で確保、それが普通だと思います。余裕資金があれば、適切な分散投資を通じて中長期的な資産形成を行うということが合理的なんだと私は思います。
また、余裕資金の運用に当たっては、資金の払い出しまでの期間というものが長く、長期的な視点でリスクをとるということが若い人ほどできますので、リスク性資産への長期投資というものを通じた資産形成のメリットを享受しやすいというのは考えられると思っております。
したがって、ジュニアNISAの場合は、子供の将来に向けて、比較的少額からの投資を長期的に積み上げていくという資産形成を支援するものでして、各世帯の資産状況に応じて有効に活用されるということを我々としては期待しているということであります。
○宮本(岳)委員 ジュニアNISAですけれども、私は実は、麻生さんと国会で初めて出会ったのは、私が参議院総務委員で、麻生さんが総務大臣か何かをやっておられるときだったと思います。郵便貯金を当時所管しておりまして、当時は、こども郵便局というのがありまして、学校で子供たちに郵便貯金を奨励する、こういうことをやってまいりました。
それで、ジュニアNISAというふうに聞きますと、NISA自身が、先ほど大臣が御答弁になったように、貯金はもういいから、できるだけ株式投資に流れろということであれば、子供のうちから、貯金なんというのは余りしなくていい、できるだけ株で大きくふやすことを考えよう、こういうようなことを意味しているのかなと感じるわけですが、これはそんなことないですか。
○麻生国務大臣 宮本先生らしくない質問だなと思って、珍しいなと思って聞いていて、別の人かと思いました。
正直なことを言って、先ほど申し上げましたように、現預金というものは、やはり基本的には、金がないというときには金をためるというのは立派な目的になります。金が足りないから。しかし、金があるというのであれば、その金は目的から手段に変わらないとおかしい。当然のことです。金は置いておくものじゃありませんし、眺めるものでもないですから。あれは使うものであるのであって、したがって、お金を有効に使うというのは当然のことだろうと思っておりますので、当然、お金は目的から資産に変わる。
その中の一環として、日本の場合は、持っている現預金の比率が国際的に見て明らかに高い。少なくとも全金融資産の六割以上が現預金ですから、一千六百兆のうち八百六十兆がそうなんですから。
そうなると、それは明らかに極端に高いので、少なくともそういったようなものがあるのであったらその分を成長資金の方にという話をしているのであって、貯金をやめろとかいうような話は何も言うておらぬのであって、それはちょっと曲解に過ぎますので、ほかの方だったら、それは共産党的考えですと言っちゃうところなんだけれども、私はそんなことを言いませんよ、今。言わない。間違いなくそれは明らかに曲解なのであって、我々は貯金をやめろなんて言うておらぬのであって、貯金は今世界で一番あるんですから。世界一ですよ、我々は。
だから、その持っている金を少なくとも株とかその他のものに振り向けていただけぬだろうかという一環として話をしているというふうに御理解いただければと存じます。
○宮本(岳)委員 お金がなければためる、そうなんですよ。麻生大臣はお金持ちですから、もうためる必要もないほどお金がある人のことを想定して考えているでしょうが、やはり一般的にはお金はないんです、子育て世代は特にないんです。
ジュニアNISA、この資金は恐らく、金融庁の説明でも親、祖父母等となっていますから、ゼロ歳からのそんな子供が株式を取得するお金をどこかから段取りすることはできませんので、親や祖父母がこれを拠出するということでしょうが、しかし、大半の親にとっては、まず子育てするのもままならないわけですよ。そうですね。
それから、私はこの間、予算委員会等で麻生大臣とも繰り返し、学生たちの高学費の問題、それから奨学金、せめて無利子にするのが当たり前じゃないかという議論もこの前やりましたよ。だって、大学まで行こうと思えば、国公立で初年度八十数万円、私立なら百数十万円かかるわけですから。親が右から左にぽんぽんと出せる状況じゃない。
だから、まず、今の日本の国民の中で、さまざまだとあなたがおっしゃったとおりなんですよ。まずは、そもそも貯金がゼロという国民がいらっしゃいます、子育てしていても。次には、貯金を持っているが、それは貯金なんだ、それを動かすなんてとんでもない、そういう御家庭もあります。その次には、学資保険ですよ。保険という、確定された運用で、きちっと元本割れがないように安全運用するということで、学資保険に入られている御家庭はどんどんふえているわけですね。
きょう、これもちょっと調べてきていただいておりますから、子供保険、いわゆる学資保険の最新の新規契約と現在の残高について、件数と金額を答弁していただけますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年度におけます生命保険会社全体の子供保険につきまして、新規契約件数は約五十七万件、保険金額の合計は約一兆二千六百億円でございます。保有契約件数で見ますと約六百四万件、保険金額で見ますと十三兆六千億円という状況でございます。
○宮本(岳)委員 保有件数約六百万件、十三・六兆円と。
日経新聞に記事が出ていまして、子供の保険の六百万口座が年間八十万円の投資をすると、新たに五兆円弱の規模の株の買いが見込まれる、数年にわたってこれを運用すれば、総額で五十兆円規模になると。これは日経ですよ、日経の記事にはそう出ておりました。つまり、学資保険からジュニアNISAへ運用先を移していくことを期待する、まさに証券業界の姿を示しております。
さらに、日経の社説では、「しかし、制度を拡充するだけで、元本が保証されない投資にお金を回す人が増えるとは限らない。自己責任に基づく投資を根づかせるために、時間をかけた取り組みが欠かせない。」こうも主張しております。
結局、元本が保証されない投資にいかに資金を移させるか、安全運用から優遇税制を使ってリスク運用に資産を移す、まさに貯蓄から投資へということをあおって、まさに証券業界の要求に応えようとしているとしか考えられない。
私たちは、こういうやり方は間違っている、やめるべきだということを申し上げて、きょうは時間が来ましたから、私の質問は終わりたいと思います。
○古川委員長 次回は、明十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時五十九分散会