153 – 参 – 総務委員会 – 4号 平成13年11月06日
平成十三年十一月六日(火曜日)
午後一時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 田村 公平君
理 事
景山俊太郎君
世耕 弘成君
谷川 秀善君
浅尾慶一郎君
伊藤 基隆君
委 員
岩城 光英君
小野 清子君
狩野 安君
久世 公堯君
沓掛 哲男君
日出 英輔君
森元 恒雄君
山内 俊夫君
高嶋 良充君
高橋 千秋君
内藤 正光君
松井 孝治君
魚住裕一郎君
木庭健太郎君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
又市 征治君
渡辺 秀央君
松岡滿壽男君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 小坂 憲次君
大臣政務官
総務大臣政務官 山内 俊夫君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 村田 保史君
総務省総合通信
基盤局長 鍋倉 真一君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限
及び発信者情報の開示に関する法律案(内閣提
出)
○地方公共団体の特定の事務の郵政官署における
取扱いに関する法律案(第百五十一回国会内閣
提出、第百五十三回国会衆議院送付)
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
我が党は、インターネットが持っている人類の文化と民主主義の発展、大きな可能性を重視をして、政策的にその普及を図ることにも大きな意義を認めてまいりました。そして、これまで政府の出してこられたIT関連の法案に反対した場合でも、それは出されたものがIT化の促進に役立たないものだったり、税金のむだ遣いを助長するものだと考えたからであります。
また、政府が通信と放送の融合を掲げて幾つかの法案を出してきたことについて、私はことしの五月二十九日、この委員会で、通信が放送と融合するということを議論するのであれば、放送の規律をこれからどうしていくのか、通信の秘密をどう扱うのか、こういう大問題を避けて通れないということを指摘をいたしました。名誉毀損やプライバシーの侵害などから国民の権利をどのように守るのか、自由な言論、市民の情報発信の権利と機会をいかに拡大するのか、こういう大きな観点から見るならば、本法案はプロバイダー営業保護法案とでも言うべき範囲の狭さを指摘せざるを得ないものになっております。
しかし、その範囲で見る限り、もちろんルールづくりは必要だと我々も考えます。しかし、ここには非常に微妙な問題、かつ根本的な問題が含まれておりますので、そもそも論に立ち返った検討を行いたいと思います。
<「通信の秘密」を侵してはならない>
宮本岳志君 そこで、まず大前提からお伺いしたい。
本法案は、電気通信事業者が厳密に守るべき義務としての通信の秘密の保護に対して一定の例外を設ける効果を持ちます。それは法案の用語で言う「特定電気通信」が公然性を持っている通信であることを前提にしていると思うのです。したがって、これと違う典型的ないし純粋な個人間の通信、言葉をかえれば公然性を持たない通信に関して電気通信事業者の負っている義務には何らの変更を加えるものでないということは明らかだと思いますが、そういう理解で、大臣よろしいですか。
国務大臣(片山虎之助君) 宮本委員御指摘のように、この法案は不特定の者によって受信されることを目的とする通信を対象にいたしております。不特定の者によって受信されるということは、もしそこで権利侵害の情報が流れれば被害が相当甚大になる、こういうことのために特別の措置をとろうと、こういうことでございまして、電子メールのように特定の受信先、こういう公然性を持たない通信というのですか、それを対象にしておりません。
宮本岳志君 通信の秘密の保護は憲法第二十一条にかかわる権利でありまして、ゆめゆめおろそかにしてはならないものだと思います。それは当然、大臣もお認めになられました。
ところで、いわゆる電子掲示板などに書き込まれた内容は、もともと不特定多数が見ることを前提にしている以上、通信の秘密の保護の対象とはなり得ません。しかし、だれがいつそれを書き込んだか、あるいはだれがいつその掲示板を読んだかという記録は、それとは別の問題となってまいります。
そこで、局長に聞くのですけれども、インターネット上のいわゆる電子掲示板への接続の記録は通信の秘密として保護の対象になると思うんですが、間違いないですね。
政府参考人(鍋倉真一君) 電気通信事業法第四条に保護されます通信の秘密の範囲でございますけれども、これは、通信内容にとどまらず、通信当事者の氏名、それから発信場所等、通信の構成要素、それから通信回数等、通信の存在の事実の有無を含むものでございます。
したがいまして、インターネット上のいわゆる電子掲示板への接続の記録も、それが個別の通信に関するものである限り、通信の秘密として保護の対象になるものというふうに考えております。
宮本岳志君 普通の常識でも、インターネットでいつ、どんなサイトにアクセスしたかといったことは個人のプライバシーにかかわる問題です。法律上も電気通信事業者はそれを通信の秘密として守る義務を負っております。したがって、電子掲示板に書かれていて、だれでも見ることのできる書き込みであっても、それをだれが、いつ書き込んだかの通信記録には通信の秘密の法理が適用されることになります。
つまり、電気通信事業者がみだりにそれを開示することは許されないばかりでなく、それを開示させる法令をつくろうという場合でも、憲法上の通信の秘密の適用から除外するに足るだけの十分な理由がある場合に限るのでなければ、憲法違反となると私どもは考えます。
そこで、これも局長にお伺いするんですが、本法案において、発信者情報が開示される場合の規定について、通信の秘密との兼ね合いをどのように考慮されたかお聞かせください。
政府参考人(鍋倉真一君) 先生おっしゃいますとおり、通信の秘密につきましては、憲法上の基本的人権として保障されているものでございます。その制約が許されますのは、他者、ほかの者の正当な権利行使のために必要であって、しかもなおかつその目的達成のために必要な限度で行われる場合に限られるというふうに考えられます。
本法案でございますが、発信者情報開示請求権の要件としまして、開示の請求をする者の権利の侵害があったことが明らかであること、それからもう一つ、開示を請求する者の損害賠償請求権の行使に必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由のあることというものを要件としているものでございますので、開示の要件は極めて厳格というふうに考えております。
したがいまして、本請求権は、通信の秘密の制約としての適切な要件を備えておりまして、問題はないというふうに考えております。
宮本岳志君 これは憲法に保障された表現の自由にかかわる問題でもあります。個人が行った意見表明やさまざまな表現活動については原則として制約を設けないということが社会の民主的な発展に最も有益だという見地が憲法第二十一条の規定の土台となっていると思うんです。
それは、必要な場合には匿名で発言するという形態も含めて、他人の権利を不当に侵害しない限りは自由だということであります。そして、同じ二十一条に通信の秘密が規定されているのは、この二つの原則が深い関連を持っているからだと思うんです。
今審議している法案との関連でいっても、匿名で行った発言の発信者がたやすく暴かれるようではネット上で匿名の発言をするという自由はなくなるということになります。憲法上の表現の自由から、ネット上で行った匿名での発言について、それが違法なものでない限り責任を問われないし、だれが発信者かの追及もされてはならないということを、総務大臣、これお認めになっていただけますか。
国務大臣(片山虎之助君) 今御質問のネット上で行った発言について、匿名で行われるものでございましても、違法でなければ、それが、一般の民事上の原則に従って発信者は責任を問われない、こういうことになると考えております。
宮本岳志君 情報の削除というのは、仮に誤って行われたとしても、再びアップロードすることで原状が回復され得ます。しかし、発信者情報の開示は、万一誤って開示してしまうと後からは原状回復できない性格のものであります。その意味でも極めて慎重かつ適正な対応が必要だと思います。
電気通信事業を所管する総務省として、その点を踏まえて、事業者が発信者情報の開示をみだりには行わないように指導するといいますか、インセンティブを与えていくというふうに理解してよろしいでしょうか。
国務大臣(片山虎之助君) 言われるとおり、発信者情報が誤って開示されるということはまた別の意味で問題となるわけでありますから、開示に当たっては慎重に判断が行われることが必要でありますので、この法案では、発信者情報の開示を請求できる要件を大変厳格に規定いたしております。
したがいまして、本法案の実施に当たりましては、規定の趣旨が十分理解され、適切な運用が図られるよう、必要に応じ関係者に周知徹底を図りたいと考えております。
<放置できないネット上の人権侵害>
宮本岳志君 同時に、ネット社会特有の人権侵害に対して被害者の救済に万全を図っていくことが早急に求められております。それは、瞬時に情報が世界を駆けめぐるというインターネットの特質から、深刻な人権侵害が極めて容易に行えるようになっているからであります。
ことし四月に日弁連が総務大臣に提出したサービスプロバイダーの法的責任における判決、執行等の問題に関する意見では、サービスプロバイダーに対する免責の範囲及び方法は、被害者、権利者の法益を過度に制限することはあってはならない、そして、違法な状態の解決が速やかにできるようにする必要があることを指摘をしております。これは、違法な情報の解決をおくらせると取り返しがつかない場合がしばしばあるからであります。
そこで、局長にお伺いしますけれども、インターネット上の違法な情報の削除がおくれ、一定の期間放置された場合に起こり得る事態についてどのように認識しておられますか。
政府参考人(鍋倉真一君) インターネットにおいては、一たん権利を侵害するような情報の発信が行われますと、先生今御指摘のとおり、次々と受信されて際限なくその被害が拡大していくという可能性がございます。したがって、違法な情報の削除がおくれ、一定の期間当該情報が放置されるというようなことになりますと、被害者の権利侵害はより拡大をして、回復しがたい損害が生じるおそれがあるというふうに考えております。
そこで、このプロバイダー等特定電気通信役務提供者としては、本法案の規定の趣旨に従って、違法な情報の流通に対しては速やかな削除措置を講じるなど、適切な対応をとることが期待されるということでございます。
宮本岳志君 人権侵害に当たるような文言や画像その他の情報がネット上に存在した場合、その違法性について争って決着がついてから削除するというのでは、被害者は実質的に救済されない可能性が高くなります。それは、ネット上の情報というものは容易にコピーをされるために、ダウンロードされていつまでもだれかのコンピューターにデータとして残る、場合によっては、法律に基づき削除された後で第三者がまた別のところにそのコピーを提示するというようなことも起こりかねないわけです。
この点についての大臣の認識と対応の方針についてお伺いしたいと思います。
大臣政務官(山内俊夫君) ただいまの質問に対して、本法案は、権利を侵害しようとされる情報の流通によりいたずらに被害が拡大し続けることのないよう、特定電気通信役務提供者による迅速かつ適切な対応を促進するため、特定電気通信役務提供者の責任を明確化するための規定を設けているということであります。
本法案によって、例えば他人の権利が侵害されていると信じるに足り得る相当の理由がある場合には速やかに削除等を行うことが期待され、権利の侵害の有無に関する争いが最終的に決着するまで漫然と放置されるという状況は回避できるものと考えております。
なお、本法律の円滑な施行を促進するため、必要に応じ、本法案の趣旨等について関係者への周知を十分行ってまいりたいと、そのように思っております。
宮本岳志君 ぜひ厳正な対処をお願いしたいと思います。
<NTTの海外投資で巨額の損失>
宮本岳志君 法案についてもう少しお伺いしたいところなんですが、情報通信関連で他にどうしても聞かなければならないことが幾つも出てきております。
一つは、先月十九日の日経に載った、ドコモが一五%を出資しているKPNモバイル株の評価損四千億円を中間決算として計上するという記事です。伝え聞くところによると、この記事が出た日に当のドコモ自身はまだ決まっていないと否定のコメントを出し、それを遮るように、持ち株会社の宮津社長が評価損の計上を明言するという混乱ぶりだと報道されております。
まず、総合通信基盤局長にお伺いするんですが、監督官庁であり、持ち株会社から見れば最大株主の立場でもある総務省として、この件をどのように認識しておられますか。
政府参考人(鍋倉真一君) NTTドコモは平成十二年八月にIMT二〇〇〇それからiモードなどモバイル・マルチメディア・サービスの欧州での早期展開を図るためにオランダのKPNモバイル社に一五%、約四千億円を出資したというふうに伺っております。しかし、最近の海外市場におけるIT不況の影響等によりまして、KPNモバイル社への出資に対する評価の見直しについて種々先生御指摘のとおり報道されているということは私どもも承知をしているところでございます。
NTTドコモからは、KPNモバイル株の評価に関する具体的な会計処理につきまして、実際に評価損を計上するかどうかも含めて現在検討中であるというふうに聞いておりますけれども、その詳細については承知をいたしておりません。
宮本岳志君 これはKPNモバイルだけではないんですね。ドコモが一兆一千億円を出して出資したAT&Tワイヤレスは、株価大幅下落という報道がございます。NTTコムが六千億円で買い取ったベリオに至っては、倒産の瀬戸際だという報道もされております。
私は、ことし六月の委員会でもこういったNTTが進めてきたリスキーな投資を批判したわけですけれども、片山大臣は、損になると思って投資したわけじゃないなどとNTTを擁護いたしました。当たり前なんですよ、損になると思ってやられたらこれはまさに背任なんです。そうして、経営責任を不問にするばかりか、NTTが一層海外投資を拡大するための法改正まで行いました。
これは総務大臣にお伺いするんですが、NTTドコモ、NTTコム両社の保有する海外の出資会社の株価がほとんど軒並み大幅な下落をしている、評価損の実態は両社を合わせれば一兆円を超えるとの報道もございます。これだけ重大な事態になっても、NTTの社会的責任に照らして問題はないと大臣はお考えになるのか、どうぞお答えいただきたいと思います。
国務大臣(片山虎之助君) 今、宮本委員お話しのように、NTTドコモとNTTコミュニケーションズが海外投資をやったことは事実であります。その結果が、評価が大幅に下落しているその他の指摘がありますけれども、具体的な処理方針、検討状況については詳細にまだ私は聞いておりませんが、しかるべき対応をされると、こういうふうに思います。
国際競争力強化という、いろんな観点からそういう投資を選ばれたんだろうと思いますけれども、世界的なIT不況だとかその後のいろんな情勢とかで、実態としては今お話しのようなことになっていると思いますが、それぞれの経営陣が一生懸命考えて、その結果でございまして、民間企業の経営判断について我々がどうだこうだと言うことが必ずしも適当でないわけでございますので、具体的なコメントは差し控えたいと思いますけれども、ぜひ適切な会計処理によって健全な財務状況に返していただくことを期待しておりまして、もう少し状況を見守りたいと、こういうふうに思っております。
宮本岳志君 いや、民間の会社だとおっしゃるけれども、紛れもなく持ち株会社は総務省が最大の株主ということであります。
それから、この間の委員会審議でも、やはりNTTのネットワークというものが旧逓信省、そして電電公社以来受け継いできたものであるということも繰り返し議論をさせていただきました。そういう中でつくられたこのいわばお金をそういった形で投資をした、それがそういう形で特別の損失を生むということになっていると。そのことについてやはり社会的な責任があるのではないかということをお伺いしているので、いかがですか、その点はお認めになりませんか。
国務大臣(片山虎之助君) それは経営者としての経営判断、いろんなことについての私は責任がないわけではないと思いますけれども、しかし、それはそれぞれの会社の経営の問題として正規な手続で意思決定をした結果でございまして、しかもその対応については現在検討中と聞いておりますから、我々はそれを見守ってまいりたいと、こういうふうに思っております。
もちろん、言いましたように、全く民間の会社だとは思っておりませんけれども、しかし、かなり民間の会社に近い会社でございますので、特にドコモもコムズも持ち株会社の下にありますけれども完全に一体じゃございませんので、その辺できるだけ我々は自主性を持ってそれぞれ動いてもらいたいということはお願いしておりますし、そういう観点から総合的に今後見守りながら我々としての対応も考えたいと思っております。
<「自主的」の名でリストラの押しつけ>
宮本岳志君 しかし、私は、総務大臣初め総務省は、このNTTに対して、なるほど海外投資はえらく自主性をお認めになるんだが、もう一方で、経営合理化については、自主性を認めるどころか、私は一つの方向性を押しつけてきたと思うんです。
NTTは一方で十一万人のリストラ計画を発表しております。この海外投資の失敗を不問に付したまま、地域会社を中心に十一万人もの労働者の生活と将来にかかわるリストラ計画を進めるということは絶対に認められないと私は思うんです。片山大臣はことしの六月、我が党の八田議員の質問に、今進められている十一万人リストラ計画について総務省には責任がないかのような答弁をいたしました。
そこで聞きたいんです。片山大臣は、五月二十九日、衆議院総務委員会で「過剰雇用問題を中心にどういうふうな経営改善をやるかというのはNTTにとって大きな課題」と、こう答弁されました。NTTに過剰雇用問題が存在するという認識なんですか。そして、それは経営改善の中心問題だという御認識なんですか。いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) 過剰雇用問題と私が答弁したかどうかは今定かではございませんけれども、経営基盤の安定化に向けてNTTがいろいろ努力している、取り組んでいるということはそのとき答弁いたしました。
それで、今、十一万人云々と言われますが、基本的にはアウトソーシングなんですね。分社化じゃありませんけれども、アウトソーシングをやって経営体質の強化ということでいろいろ取り組んでおられますから、私はそれはそれでそれまたNTTの御判断で、しかも労使である程度協調しながら事を進めようということでございますから、それが全部おかしいとかというわけにはなかなかならないのではなかろうかと。
ただ、我々も経営の効率化ということはNTTさんの方にお願いしておりますので、そういうことの中でNTTが今努力されている、こういうふうに理解しております。
宮本岳志君 いやこれは五月二十九日の衆議院総務委員会議事録でも明確に「過剰雇用問題を中心にどういうふうな経営改善をやるか」と大臣述べておられますよ。
じゃ、過剰雇用問題は存在しないという御認識ですか。
国務大臣(片山虎之助君) 過剰か過剰でないかはそれはどういう判断でどういう基準で物を考えるかということでありますけれども、とにかく大幅なアウトソーシングをやるということは、やっぱりそれはそういう私はNTTグループとしては認識ではなかろうかとこういうふうに思っております。
宮本岳志君 つまり、当事者の自主的な問題だと言うんだけれども、例えば五月八日に社長あてに文書を出しておられます。ここにその基盤局長名の文書がありますけれども、結論のところを読むとこう書いています。「ついては、貴社において、上記の考え方を踏まえ、自主的な実施計画を速やかに作成・公表することを期待するとともに、その実施状況について報告されたい。」。なぜ実施計画の作成は期待するとしているだけなのに実施状況については報告されたいとなっているのか。実施計画がなければ報告のしようもないんですから、これはつまり事実上実施計画の作成と報告を強制するものではないのかと思いますが、これは基盤局長の名前の文書ですから、これは強制じゃないんですか。
政府参考人(鍋倉真一君) 五月八日に、私の前任でございますけれども、基盤局長から文書をもって自主的な実施計画の作成を要請したところでございます。
これは、先生御承知だろうと思いますが、政府の規制改革推進三カ年計画がございまして、この決定の考え方に従いまして、電気通信市場における競争の促進に資する計画をNTTが自主的な経営判断に基づいて作成、公表することを期待するというその政府の立場を伝えたものでございます。
したがいまして、あくまでNTT自身の経営判断を尊重するものであって、当該文書によりましてNTTに対して計画の作成を強制したというものではございません。
なお、御承知だろうと思いますが、NTTにおきましては、去る十月二十五日に、この政府決定を踏まえ、「当面の経営課題に対するNTTの取り組み」ということを自主的に公表されたところでございます。
宮本岳志君 時間が参りましたけれども、自主的、自主的なものだと言いながらも、実際上はこうして報告されたいという文書を出してきているわけです。そして、衆議院の答弁では大臣は過剰雇用問題ということを口にされたわけであります。その一方で、海外投資の失敗は一切責任を問わない。
<宮津社長の参考人招致を要求する>
宮本岳志君 週刊東洋経済は、この十一万人リストラでの賃金抑制効果のシミュレーションを行っております。この週刊東洋経済によりますと、会社側主張のとおりで賃金抑制した場合でも二百二十九億円という計算になっているんですね。NTTコムとドコモがこの間海外投資に投じた額は二兆四千億円、百年分ですよ。そして、損が出ていると報じられている一兆円でさえ五十年分なんです。こんなことは絶対に許すわけにいかないと思います。
委員長、私、この問題、本委員会での集中審議を行うこと、そしてNTTの宮津社長を参考人にお招きすることを要求したいと思いますが、御検討願います。
委員長(田村公平君) 追って理事会で検討いたします。
宮本岳志君 委員長。
委員長(田村公平君) 時間が来ております。
宮本岳志君 我が党は、国会の内外で、NTT十一万人リストラ計画を初めあらゆるリストラ攻撃に反対して国民とともに闘う決意を申し述べて、質問を終わります。