156 – 参 – 個人情報の保護に関する特別委員会 – 7号 平成15年05月19日
平成十五年五月十九日(月曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
山本 保君 山口那津男君
五月十九日
辞任 補欠選任
山根 隆治君 藤原 正司君
平野 貞夫君 岩本 荘太君
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出席者は左のとおり。
委員長 尾辻 秀久君
理 事
常田 享詳君
林 芳正君
若林 正俊君
岡崎トミ子君
高橋 千秋君
荒木 清寛君
宮本 岳志君
委 員
有馬 朗人君
入澤 肇君
狩野 安君
柏村 武昭君
小林 温君
佐々木知子君
世耕 弘成君
田村 公平君
西銘順志郎君
野上浩太郎君
保坂 三蔵君
森元 恒雄君
山下 英利君
大塚 耕平君
川橋 幸子君
高嶋 良充君
辻 泰弘君
内藤 正光君
藤原 正司君
松井 孝治君
魚住裕一郎君
山口那津男君
八田ひろ子君
吉川 春子君
岩本 荘太君
森 ゆうこ君
福島 瑞穂君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
国務大臣
(防衛庁長官) 石破 茂君
国務大臣 細田 博之君
副大臣
防衛庁副長官 赤城 徳彦君
総務副大臣 若松 謙維君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 大村 秀章君
防衛庁長官政務
官 佐藤 昭郎君
事務局側
常任委員会専門
員 鴫谷 潤君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 藤井 昭夫君
警察庁刑事局長 栗本 英雄君
防衛庁長官官房
長 山中 昭栄君
防衛庁人事教育
局長 宇田川新一君
防衛施設庁施設
部長 大古 和雄君
総務省行政管理
局長 松田 隆利君
総務省自治行政
局長 畠中誠二郎君
総務省自治行政
局公務員部長 森 清君
総務省政策統括
官 大野 慎一君
厚生労働大臣官
房審議官 青木 豊君
厚生労働省医政
局長 篠崎 英夫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○個人情報の保護に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣
提出、衆議院送付)
○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法
律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
先週に引き続いて、民間金融事業者からの警察情報流出問題を議論したいと思っております。先週の金曜日、私は、前回の委員会で配付をさせていただいたあの資料の黒塗りをしていないもの、生のものを全部警察庁にお渡しをし、これについて聞くので読んできてほしいとお伝えをしてあります。
まず、警察庁に聞きたいんですが、資料はきちっと読んできておられますね。
政府参考人(栗本英雄君) 拝見させていただいております。
<国会へ報告するとは言わない警察庁>
宮本岳志君 私は、この中身について、生のものを渡すから正確なものかどうか調べよと要求いたしましたが、お調べになりましたか。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、委員の方から示されました資料は拝見をさせていただきました。
その資料を拝見させていただきまして感じましたことは、一つの資料につきましては、大変特定の個人に関します非常に具体的な記載がございまして、その方の名誉、プライバシーにかかわるような内容の資料だと判断をしております。
それからまた、もう一点は、前回の委員会のときも答弁申し上げましたが、先生御指摘の資料につきまして、どのような経緯で先生が入手されましたかについては存じておりませんけれども、既に報道されております資料とも非常に同様の内容であるというように拝見をさせていただいて見ております。それは、すなわちは、既に報道されております内容の資料につきましては、その報道内容からも、現在、恐喝事件で捜査中の被害会社から持ち出したその資料であるということが報道されておりますが、その内容と非常に同様の内容だというように判断をいたしているところでございます。
それらを踏まえまして、照会したか否かというお尋ねでございますので、先ほど申し上げましたように、第一の特定の個人に関します具体的な記載があるものにつきましては、今申し上げましたように、警察として、その種の資料に該当する資料があるのか否かにつきましては、正に個人の名誉またプライバシーにかかわる大変重要な問題だということでございますので、照合したか否か含めまして、その資料の存否については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
それからまた、他の資料につきましては、前回も御答弁申し上げましたように、これまでの捜査の中で、現在、警視庁におきましてその買取り要求の対象となりました内部資料を精査をいたしました。その資料が作成され、また入手された状況、犯行に使用されるに至った経緯、資料に記載されている事実の有無等について現在解明をしているところでございまして、先生御指摘の事実関係についても、その捜査の中で、視野に入れて現在捜査を進めているところでございます。
また、警視庁におきましては、当この恐喝事件の捜査状況、またその事件の捜査の中で明らかになった事実関係を踏まえつつ、お尋ねの件についても所要の調査を尽くした上で、厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
宮本岳志君 捜査に差し支えると言えばすべて良しというわけじゃないんですよね。
それで、前回私がお示しをした資料というのは、そんなややこしい説明をするまでもなく、はっきりしているじゃないですか。この金融会社から、大手金融会社からどこどこのだれだれという警察官、十人余りの警察官に毎夏冬に付け届け、ビール券が何枚という枚数で配られていると、そういう資料だったでしょう。そんなもの、調査するのはすぐできるんじゃないですか。すぐ調査して、それをここに報告すると約束できますか。
政府参考人(栗本英雄君) 拝見させていただきました資料につきましては、その当該消費金融会社において作成されたものとの御指摘でございます。したがいまして、私どもとして、どのような作成の経緯かについては現時点でつまびらかになっていないわけでございますので、そのような点も含めまして、先ほど申し上げましたように、現在の恐喝事件捜査の中で、当該資料等についての作成、入手の状況、またその犯罪に至った経緯、また資料そのものの事実関係の有無等、これを真剣に解明した上で、その中において警察職員等の被疑事案あるいは犯罪に触れるような行為があれば、厳正に対処してまいりたいと考えておりますし、また、先ほども申し上げましたように、この捜査の状況を踏まえつつ、所要の調査を行った上で、厳正に対処してまいりたいと申し上げているところでございます。
宮本岳志君 この資料ですね、これ。この資料ですね。これ、全部名前が出ていて、どこの警察署かまで出ているじゃないですか。これを調査して、これが事実であるかどうかということを調査もできないと。駄目です、そんなの。話、進みませんよ、そんなのじゃ。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、先ほどの、捜査できちっと解明をいたすと、それを踏まえて、その事実関係を踏まえて、さらに所要の調査を行って、厳正に対処するということで御理解を賜りたいと思います。
宮本岳志君 駄目ですよ、そんなの。駄目です。
委員長(尾辻秀久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
宮本君、質疑をお続けください。
宮本岳志君 恐喝事件は恐喝事件でしょう。しかし、ここに書いていることは恐喝事件じゃないんですよ。皆さん方のところへビール券が配られたということでしょう。これを事実を調査していただいて出してもらわないとこんな法案の審議は続けられないと言っているんです。約束してください。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほどそのような資料が、恐喝事件の中で使われておるわけでございますから、その資料がどのような経緯で作成されたのか、またそれが事実なのか否か、そういうものをきちっと踏まえた上で私ども所要の調査をきちっと行って厳正に対処すると申し上げておるわけでございまして、よろしく……。
宮本岳志君 事実なのかどうかを調べて出せと言ってるんじゃないですか。事実なのかどうか確かめて出せばいいじゃないですか。話にならぬじゃないですか。事実なのかどうかと、あなたが言ったんじゃないか。
政府参考人(栗本英雄君) ですから、先ほど申し上げましたように捜査状況、捜査の中で明らかになった事実関係などを踏まえて、その上で所要の捜査を行い、厳正に対処しているということを申し上げておるわけでございますから、よろしく御指導を……。
宮本岳志君 駄目ですよ、そんな答弁。言ってくださいよ。駄目です、今のは。駄目です。
政府参考人(栗本英雄君) 今の資料はあくまでも報道等によりましても消費者金融会社の作成した資料であるということが報道されていると私は認識しております。
宮本岳志君 おかしいじゃないですか。私が──駄目ですよ。駄目ですよ、そんなの。
委員長(尾辻秀久君) 質問を続けてください。(発言する者あり)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
宮本岳志君 調査して報告できますね。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、捜査状況を踏まえつつ、しっかりと所要の調査を行った上で厳正に対処してまいりたいと考えております。
宮本岳志君 これがどういう事件かということを本当に深刻に受け止めなきゃ駄目ですよ、あなた。こんなことが報道もされ、私は事実まで突き付けて、事実文書までその一つ、その調査もできない、国会に報告できないと先に進められないじゃないですか。そうでしょう。
<個人信用情報への不正アクセスを依頼>
宮本岳志君 それなら、私、じゃ、もう一つ言いましょう。
先週指摘した週刊誌の次の号、更に深刻な問題が出されております。これは明日が発売日ですけれども、一部はもう既に店頭に出ております。
警察からの犯歴データの漏えい、この見返りとして武富士から警察幹部に渡っていたのはビール券だけではなかったんです。何と、信用業界から決して外に出てはならないはずの個人信用情報が違法に提供されていたと。それが次のこの号で明らかになっていますよ。私、それに関する資料、ここに持っています、すべて持っています。
これが正に前回指摘した武富士からの資料を持ち出したとされている人物、仮にN氏といたしましょう。このN氏が武富士の在職中に警察からの依頼で行ったジャパン・データ・バンク、JDBのデータベースへの不正なアクセス記録の証拠です。何時何分、だれがどうアクセスしたかまでここに出ていますよ。
そして、正に局長に見てもらった、贈賄リストに常連のように登場している元警察署長、今は警察庁交通企画課の課長補佐をやっている方ですよ。その方に対して、その方、仮にTとしましょう。このTが不正なアクセスの依頼に関連して武富士のNに出した手紙の表書き、これですね。(資料を示す)
これがNあての表書きですね。そして、これがその手紙の文面なんですよ。N様、御多忙のところ申し訳ありません、よろしくお願いいたします、取扱いについては万全を期しますと、こう言って、つまり、自分の、自分の部下の警察官の信用情報を武富士を通じて調べさせて、それを受け取っていたと。そのことが、この、これは正に動かぬ証拠なんです。
ここまで事実が明らかになっていて、警察と武富士との癒着について、国会に対して責任持った報告する、当たり前じゃないですか。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、現在は捜査中でいろいろ支障がございますが、ある段階に至った時点で所要の捜査を厳正に行って対処するということを申し上げたわけでございますから、御理解を賜りたいと思います。
委員長(尾辻秀久君) 宮本君、質問続けてください。
宮本岳志君 調査をして報告をするという約束をしていただきたい。いかがですか。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げました、所要の調査を行い、その中身がきちっとした段階において、その内容を判断した上で適切に、報告も含めて、判断をしてまいりたいと。
委員長(尾辻秀久君) 宮本君、指名しましたから続けてください。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
<審議中断の末に「国会に報告」と答弁>
委員長(尾辻秀久君) 宮本君、もう一度質問してください。
宮本岳志君 調査をして、報告を国会に対してしていただけますね。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げたように、厳正な調査を行った上で、その調査状況を踏まえて国会に報告してまいりたいと思います。
宮本岳志君 この事件は、この事件は重大な問題なんですよね。いいですか、いいですか。細田大臣、これは金融信用情報なんですよ。御存じのように、貸金業の規制等に関する法律、このJDB、ジャパン・データ・バンクのデータバンクというものは、この法律に、三十条二項で、この信用情報機関の情報は、「前項に規定する情報を資金需要者の返済能力の調査以外の目的のために使用してはならない。」と明確になっているでしょう。これを警察がもし、この武富士を通じて取ったということであれば、重大な問題なんですよ。
私、既に確認しました。この当事者、JDBは、情報漏えい事件としてこの問題の調査を本日開始しております。もはやこれをいい加減にすることは許されない。責任持って、先ほど調査して報告するという答弁ありましたが、政府としてもこれは当然、絶対明らかにするということはお約束いただけますね。
国務大臣(細田博之君) ちょっと私の所管であるかどうかという問題があります。
私は、今、個人情報の保護法というのはまだ、これから成立をお願いしているわけですが、今、十分な資料を伺ったわけじゃありませんけれども、今伺ったようなことが事実で、金融機関から情報漏れがある、不正な提供があるとすれば、この法律が施行されれば非常に大きな事案になり得ると思いますけれども、ただ、いろいろ環境が分かりませんので、それから、正にそういった事態がもし事実とすれば、そういったものに早く対処をするためにもこの法案が必要でございますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
宮本岳志君 この資料をざっと見ますと、警察官の情報ばかりを集めている。アクセス時間がありますから、どの時間にどういうアクセスの仕方をしたか全部分かるわけですよ。警察官ばかりです。しかも、これと、こうやって依頼して、警察官の名前、ここにこのN氏の部下の名前全部ある。これ全部、警察官、現に警察官ですよ。これを渡して調べてくださいと。つまり、警察官がそういう金融業者からお金を借りて不祥事という事例がある、だから事前に上司が調査しているわけですよね。そういうことのためにこの名簿を渡して、そしてJDBにアクセスして、全部、自分の部下の一人一人について調べてくれということで引き出している。これ、実は記者が一人一人当たってみたら、なるほど自分が借りた直後に、この時期に、引き出された時期に、君は借金しているそうだねという話が上司からあったと、当事者の証言までこの記事に出ていますよ。
こんな問題を解明することなしに、この法案を粛々と審議するというわけにいかないですよ。大体、我々みんな選挙区に帰って、個人情報保護法というのができたらしいですね、しかし雑誌を読んだら、金融会社と警察とがツーツーで、犯歴データが流れたり個人信用情報が流れたり、好き勝手やっているそうじゃないですかと、こう聞かれて、いや、実はその辺については大した調査もしてもらえなかったけれども、一応法律はできたんですと。そんなばかなこと言えますか。この問題を徹底的に解明して、そして本当にこの穴をふさぐにふさわしい法律になっているかどうかということをしっかりと議論するというのは当然、当委員会の国民に対する責任だというふうに思います。
そういう立場で今後とも質問を続けていきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。