159 – 参 – 総務委員会 – 2号 平成16年03月16日
平成十六年三月十六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
高嶋 良充君 岡崎トミ子君
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出席者は左のとおり。
委員長 景山俊太郎君
理 事
柏村 武昭君
岸 宏一君
山崎 力君
内藤 正光君
広中和歌子君
委 員
狩野 安君
久世 公堯君
椎名 一保君
世耕 弘成君
山内 俊夫君
小川 敏夫君
岡崎トミ子君
高橋 千秋君
谷林 正昭君
松岡滿壽男君
渡辺 秀央君
鶴岡 洋君
日笠 勝之君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
又市 征治君
国務大臣
総務大臣 麻生 太郎君
副大臣
総務副大臣 田端 正広君
総務副大臣 山口 俊一君
政府特別補佐人
人事院総裁 中島 忠能君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
政府参考人
人事院事務総局
総務局総括審議
官 関戸 秀明君
人事院事務総局
勤務条件局長 山野 岳義君
人事院事務総局
公平審査局長 潮 明夫君
総務大臣官房長 平井 正夫君
総務大臣官房総
括審議官 大野 慎一君
総務省人事・恩
給局長 戸谷 好秀君
総務省行政管理
局長 松田 隆利君
総務省自治行政
局選挙部長 高部 正男君
総務省自治財政
局長 瀧野 欣彌君
総務省自治税務
局長 板倉 敏和君
総務省情報通信
政策局長 武智 健二君
総務省総合通信
基盤局長 有冨寛一郎君
総務省郵政行政
局長 清水 英雄君
総務省政策統括
官 鈴木 康雄君
厚生労働大臣官
房総括審議官 長谷川真一君
厚生労働大臣官
房審議官 大石 明君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
(行政制度、地方行財政、消防行政、情報通信
行政等の基本施策に関する件)
(平成十六年度人事院業務概況に関する件)
(平成十六年度地方財政計画に関する件)
○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び
納付金に関する法律の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
○所得譲与税法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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<職権濫用の批判に大臣発言を「訂正」>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
去る三月九日の予算委員会で、我が党の小池晃議員が、麻生大臣が昨年の十二月に、自民党公認で出馬する前総務庁消防庁次長の励ます会で行った、総務省を挙げて頑張りたいという発言、これを取り上げました。議場内では、逮捕しろとの野次も飛んでおりましたけれども、この席でのあなたの発言はこれだけではありませんでした。大臣は、それに続けてこう言っているんです。総務省は選挙を管理しているが、選挙をやるのと見ているのと全く違う。今から約六か月間、いろんなお願いをすることになると。
選挙までの六か月間、することになると大臣が述べられたいろんなお願いというのは一体どういうことですか。
国務大臣(麻生太郎君) 省を挙げて応援をするというのは少々発言としては穏当を欠いております。その場でも後でおわびを申し上げたところだと思っておりますが、言い過ぎだったと思っております。
その他のことに関しまして、いろんなことがあるという話をその場でしたというところがちょっとよく分かりませんので、ちょっともう一回言っていただけます、その他のところ。
宮本岳志君 それに続けて、選挙をやるのと見ているのとは全く違う、今から約六か月間、いろんなお願いをすることになると大臣はおっしゃいましたでしょうか。
国務大臣(麻生太郎君) 選挙をやるのと見るのとというのは、たまたまその前に選挙の話をいろいろほかの議員としておりましたので、役所というのは全然選挙は分かっておらぬねという話やら何やらしていた話で、選挙というのは、やるのと、実際出てみるのと、外から今までは選挙を管理する立場で見ているのと全然違いますよという話で、選挙というのはやるのと見るのとじゃ全然違うものだというつもりで発言したというのがその表現になったと記憶しております。
宮本岳志君 どういうお願いをすることになるのかと私は質問したんですけれども。
国務大臣(麻生太郎君) 投票に行ってください等々、いろいろお願いすることはいろいろあるんだ、投票に是非参加してくださいとか、いろいろ言う話は、役所としては、是非、投票率が下がらぬように、いろいろ、投票に行ってくださいというようなことは言うんじゃないでしょうか。
宮本岳志君 笑いも出ておりますけれどもね、私は、これは極めて重大な問題だと。このパーティーには全国知事会や全国町村長会など、自治体関係者ら約千人が参加していたと報じられております。
地方自治体の関係者というのは、総務省にとって直接の利害関係人にほかならないわけですね。その人々の前で、大臣が特定の候補者を総務省を挙げて応援するとかお願いすることになると、これは明瞭な地位利用と、そして職権濫用ということになると思うんですね。
このパーティーに地方団体の代表が参加していなかったと、大臣、明言できますか。
国務大臣(麻生太郎君) 地域団体を代表している方、その立場におられる方々、町村長さん含めていろいろな関係者がそこにおられたと、私も何名かの顔に記憶がございますんで、いらっしゃったと存じます。
したがいまして、私ども総務省としては、そのほかにも出ておられる方はいらっしゃいますんで、私どもとしては、挙げて応援するって、それは別に一人を応援するつもりで言ったつもりでもないんですが、今申し上げたような意味で、何となく宮本先生から見て、それはおまえ、特定なやつに対して一種の、何というのかな、利益誘導じゃない、何という言葉がありますかね、強制じゃないかとか、いろんな表現があるんだと思いますけれども、その種の誤解を受けかねないような発言だったということで、その後の記者会見で、ちょっとその場の雰囲気では全然気が付きませんでしたので、後で、記者だったかな、何か言われましたんで、その段階で訂正をして、おわびを申し上げたという次第です。
宮本岳志君 こういうパーティーを開こうという前消防庁次長も次長だと思うんですけれども。私、大臣はよくお分かりになっていないと思うんですね。そもそも、総務省ほどこの問題を問われている役所はないんです。
<高祖事件でも発動されなかった条文>
宮本岳志君 前回の二〇〇一年参議院選挙では、自民党の高祖憲治派による選挙違反事件で、私の地元の近畿郵政局長が逮捕、起訴されたのを始め、十六名もの逮捕者を出し、ついに高祖議員は辞職に追い込まれました。
そこで、総務省に確認をいたしますけれども、平成十四年一月十七日、大阪地裁が前近畿郵政局長ら三人に下した判決で、その罪状は、その職務上の地位を利用して選挙運動を行ったという公職選挙法違反、公務員の地位利用でしたね。
政府参考人(清水英雄君) 先生御指摘の平成十三年七月二十九日施行の参議院議員通常選挙に関しまして、同選挙に比例代表選出議員の候補者として自民党から立候補する決意を有していた高祖憲治氏に関し、職務上の地位を利用し、投票及び投票取りまとめの選挙運動を依頼等をしたということで、大阪地裁における三名の者についての判決が出たことを承知しております。
宮本岳志君 大臣、前回この参議院選挙で、総務省は、公務員の地位利用による選挙運動が裁判所によって断罪されたといういきさつを持つ役所なんですね。正に今回の参議院選挙は、その反省が問われる最初の機会でもあったわけです。
この判決を受けて、実は総務大臣、片山総務大臣の談話というのが出ておりますけれども、大臣、御存じですか。
国務大臣(麻生太郎君) 概要は承知しております。
宮本岳志君 ここに私持っておりますけれども、こう述べているんですね。本日、大阪地方裁判所において、前近畿郵政局長等に対し、昨年の参議院選挙にかかわる公職選挙法違反で禁錮刑の判決が言い渡されたことは誠に遺憾であり、このような事態に至ったことについて、郵政事業を所管する大臣として厳粛に受け止めるとともに、国民の皆様に深くおわび申し上げます。今後は、二度とこのような事態が起こらないよう、服務規律の保持と公私の峻別を図るとともに、郵政事業に対する国民の皆様からの信頼の回復に向けて、全力を挙げて取り組んでまいる所存ですと。
その後を引き継いだあなたが、今度は消防庁出身の自民党候補のパーティーに出席して、知事会や町村長会など地方自治体関係者を前に省を挙げて応援するとこう言ったのでは、正に二年前の片山大臣の厳粛に受け止める、あるいは公私の峻別というのは一体何だったのかということになると、こういう問題なんですね。
大臣、そういうふうにお受け止めになりますか。
国務大臣(麻生太郎君) 反省の件につきましては、ここにも総務大臣談話というのを、読んだことがありますし、今ここにもございますんで、内容をよく知っておるところであります。
ただ、職務としてやったのではなくて、これはパーティーの席上で言った話ですんで、ちょっとその点に関しましては、これと一緒に扱われると、ちょっといろいろかとは思いますけれども、基本的には言葉としては舌足らずだったと思っております。
宮本岳志君 私は、この高祖派による郵政ぐるみ選挙の実態を実は選挙の前から繰り返しこの委員会で証拠も示して追及をしてまいりました。二〇〇〇年十一月七日、二〇〇一年三月二十二日、そして同じく五月二十四日。繰り返しの私の質問に、当時の片山大臣は、特定局長会は任意団体だから何をしようが知らぬという答弁を最初は繰り返したんです。しかし、とうとう近畿郵政局長逮捕という事態になって、その後の十月十八日、私の質問に対して、大変反省している、二度とこういうことのないようにしたいという責任をお認めになる発言をされました。こういういきさつがこの総務委員会であったということもしっかりと受け止めていただきたいと思います。
ところで、一つ聞くんですけれども、この高祖派の一連の選挙違反事件で、国家公務員法百二条違反に問われた者が一人でもおりますか。
政府参考人(清水英雄君) 今回の百二条についてはございません。同事件におきましては、公務員の地位を利用して選挙運動をした点ですとか、それから及び立候補届出前の選挙運動をしたという点を問われたものでありまして、国公法の百二条で規定されている政治的行為の制限には該当しなかったというふうに承知しております。
宮本岳志君 この事件で、元近畿郵政局長などは、その地位を利用して業務上の会議などを招集し、その席上で特定政党の立候補予定者の後援会への入会を勧誘し、さらに票の取りまとめの選挙運動を依頼したと。この事実は裁判でも既に確定をしております。それでさえ、そういう事実が確定していてさえ、裁判所も、またあなた方総務省も国家公務員法百二条違反には問えなかったんです。それは、この国家公務員法百二条というものが、公務員の政治活動を広く禁止するという意味で、そもそも憲法違反の法律だからだと考えます。
しかし、高祖事件のようなものでさえ適用できなかった国公法百二条を、勤務時間外に勤務地とは全く別の場所で一市民としてビラを配ったという事例に適用するなどということは全く許されないということを、これは強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
<ILOの勧告にも逆行する深夜労働>
宮本岳志君 さて次に、二月八日から全国の郵政の職場に深夜勤という新しい勤務形態が導入されました。私は、去る二月二十七日、私の地元の大阪此花区にある新大阪郵便局に伺って、この夜勤の実態を視察をしてまいりました。
この深夜勤というものはどういうものか、配付した資料を皆さん見ていただきたいと思います。夜の二十二時から翌朝九時までの十一時間勤務を、この図1ですね、深夜十一時間勤務を四日連続で行うことを基本とする、仮眠もない深夜の長時間労働なんです。
昨年の十月、麻生大臣は、大臣に対する質問で、私に、従業員二十八万人プラスゆうメイト等々含めて約四十万、家族を含めて約百万の方たちの生活の安定、やっぱり安心、また労働意欲等が落ちないようにすると、こう大臣答弁されたわけですけれども、この勤務、正に十一時間深夜労働を四日連続と、これで郵政労働者の生活が安定したり意欲が落ちないと大臣お考えになりますか。
国務大臣(麻生太郎君) これはちょっと例はいかがなものかと思いますが、私ども元炭鉱屋から言わせますと、夜勤ばっかりだったので、ずっとやっておった時代もありますので、職場によって随分違うんだということは、セメントの作業場、鉄の作業場、夜間勤務、二十四時間回っておりますんでそういうことになるんですが、ここの郵便局の場合も、これはいろいろ今対応が、新しい民営化に向かって事を進んでいる関係で今やっておられるんだと思いますが、この話につきましては、私どもの伺っている、伺っている範囲では、この深夜勤と言われましたが、私たちは新夜勤と言うんですが、深夜勤が導入されました平成十六年の二月から死亡までの勤務状況というので、職員からは寝泊まりは以前からやっているが、夜勤、中勤はきついので外してほしいとの健康管理上の申出を認め、二日連続の深夜勤を二回行った以外は日勤の業務ということになったという具合に理解をいたしております。
いずれにいたしましても、その本人とのある程度納得をした上で、双方で話合いをした上で決めていかれるべきものなんじゃないかと思っておりますが。
宮本岳志君 いや、現場の実態ね、大臣ね、本当に是非見てくださいよ。
私、現に、この深夜勤やっている現場の労働者から声も聞いてきましたけれども、ある労働者は、余りにも過酷な過重労働で精神的に気力がなくなり、休日も体が動かなくなると。夜に仕事して昼間に休むので、人としての社会生活や家庭生活もできなくなると、こう語っておりますし、別の労働者は、四日連続というのが殺人的なんだと。三日目に頭がごおっと悲鳴を上げると。昼間何ぼ寝ても夜の睡眠とは違うと、疲れが取れないと、こういうふうに訴えておるんですね。
深夜労働による身体疲労、健康への影響が昼間労働に比べて格段に大きいというのは、これは医学的にも国際的にも常識化をしております。
今日は厚生労働省に来ていただいておりますけれども、ILOの「夜業に関する勧告」第百七十八号勧告には、夜間労働者の通常の労働時間は一般的に平均して短くならなければならないという文言があると思いますが、これは事実だけお答えいただけますか。
政府参考人(長谷川真一君) 先生がおっしゃいました夜業に関するILO第百七十八号勧告でございますが、これは一九九〇年の第七十七回ILO総会におきまして、夜業に関する条約を補足する勧告として採択されたものでございます。
同勧告中の「労働時間及び休息の期間」を定めた規定の中に、「夜業労働者の通常の労働時間は、一般的に、関係のある活動又は企業の部門において昼間に同一の条件で行われる同一の労働に従事する労働者の労働時間よりも平均して少ないものであるべきであり、かつ、いかなる場合にも平均してそれらの労働者の労働時間を超えるべきでない。」とあるのを承知しております。
宮本岳志君 この勧告には日本政府も賛成をしたんですね。これがILOの示した国際労働基準であることは明瞭だと思います。
ILOが短くなければならないとしているものを、実に拘束十一時間、わずか間に一時間の休憩を挟んだだけで四夜連続で働かせる。厚生労働省、これは異常なことだと、こうお感じになりませんか。
政府参考人(大石明君) 深夜業につきましては、そこで従事する労働者の就業環境というものが整備されなければならないというふうに思っております。その方向で私どもとしても努力してきているところでございます。
具体的に申し上げますと、そこまでお答えして、今言えるのかどうか分かりませんけれども、労使における、労使による深夜業に関する自主的ガイドラインの作成事業と、こういったことも行ってまいりまして、やはり各業種、社会におけるそういったコンセンサスというものを作っていくためにも、そうしたことが非常に重要ではなかろうかということで、そんなことも通じて、そうした深夜業における労働条件の改善というものが進むように、あるいはそうした意識が高揚していくように努めているところでございます。
宮本岳志君 こういうものに本当にメス入れないと、正にルールなき資本主義と世界からも指摘されるような事態になっているわけですよ。大臣ね、大臣も同じ考えかと。
<新たな夜勤導入わずかひと月で過労死>
宮本岳志君 私は、人間の健康を考えても、何千年の昔から夜は休むものと。それを働くというのは、どこかで必ず何らかのマイナスが起こってくると。夜勤体制というのは配慮しなければならない問題だと思うんですけれども、大臣のお考え、いかがですか。大臣。
国務大臣(麻生太郎君) 郵便局を特定して聞いておられるんですか。
郵便局をとされておられるんだという前提に立ちますと、これは基本的には郵便局の中においていろいろな話を、労働条件の話は、これは公社になっておりますので、公社と労働組合との間で交渉されて、いろいろ条件を決められるということが基本なんだと、私はその点に関してはそう思っております。
で、四十、週四日ということは四十時間ということになろうと思いますので、そこの時間帯については違法というわけではないんでしょうが、その状況がいろいろ本人にとって負担になるという点は、それはその個人によって大分違うところもありますでしょうし、手当も付くんでしょうから、そういった意味では、いろいろ人によって大分内容が違うだろうなというのは正直なところです。
ただ、個人によって夜間は全く駄目だという人になるならば、それは公社というか、その会社と、会社というか、公社とその本人との間に立って組合がどうされるか。いろいろ、間に立たれる方もいろいろいらっしゃるんだと思いますが、ただ、だれかがやらにゃいかぬサービスであろうとは思っております。夜中の方々の需要というのは極めて大きいところだと思いますね。
だれかがやらにゃいかぬ話ではありますので、サービスを、国民から見た場合のサービスを考えたときに、場合は、ある程度の仕事を夜やっていただく方々というのは、常にそういったところが出てくる部分は避けられぬものだとは思いますけれども。
宮本岳志君 大臣ね、先ほど私が申し上げたことは、実は私の言葉じゃないんですよ。
平成五年六月の三日に、私、先ほど深夜勤と申し上げましたが、この深夜勤の前に新夜勤、新しい夜勤、ニュー夜勤というものが、新しい夜勤と書いてニュー夜勤と区別して言うんです、それも新夜勤ですから。だから、今度の深夜勤を私たちは深夜勤と呼んでいるんです。
平成五年の六月三日に、そのニュー夜勤という、これまでの夜勤形態が入ったときに、我が党議員の質問に対して、当時の郵政大臣がこう答えたんですよ。
私は、本来人間というものは夜休むものだと思うのです。郵政省だろうが労働省だろうが、あるいは病院だろうが、早起きは三文の徳という言葉がありますけれども、早寝しないと早起きできない。人間の健康を考えても、何千年の昔から夜は休むもの、それを働くというのは、どこかで必ず何らかのマイナスが起こってくる。そういう点も十分配慮しまして、夜勤体制というのは、いろいろ職場があると思いますけれども、配慮しなければならない問題だと私は考えております。
この郵政大臣、大臣、だれかお分かりになりますか。
国務大臣(麻生太郎君) 平成五年、だれが大臣やったか全然記憶がありませんね。小泉純一郎ぐらいかな。全くの勘ですけれども。
宮本岳志君 そのとおり、小泉純一郎当時郵政大臣の言葉なんですね。
だから、やっぱり郵政を預かる者として、郵政労働者の、もちろん公社という、別のこの公社になっていますけれども、しかし国家公務員であり、その労働条件その他について、前回十月には、大臣、私にも家族の生活、そういったものについても十分配慮しなきゃならないとおっしゃったわけですから、やはりこういった新夜勤についてはしっかりと配慮しなきゃならないということはつかんでいただきたいというふうに思うんですね。
それで、前回のこのニュー夜勤というのは、今日お付けした資料の下に付けた表なんですよね。この下に付けている図2の方がニュー夜勤というものなんです。このときは、一度やったら非番日が入っているでしょう。ただ、まあ確かに長い。連続午後五時二十分から翌朝九時半まで十四時間勤務と。その代わり、途中二時間の仮眠時間というのがありました。
我々は、当時、この二時間で果たして眠れるのかと、これは仮眠時間に値しないと、こういう追及を随分やったものですよ。しかしまあ、当時、郵政省は、眠れるんだと、二時間は仮眠時間なんだと、こう言いましたよ。
ところが、今回の深夜勤は途中一時間の休憩と。しかも、新大阪郵便局での説明でも、これは仮眠時間ではないとの説明でありました。つまり、二時間程度じゃ眠れないと。どうせ眠れないのなら、ぶっ通しの方が合理的だと、こういうことでございますか。
政府参考人(清水英雄君) 今回、先生御指摘の深夜勤の長期の方のもの、これは十時間、拘束は十一時間という形ですが、中が一時間の休憩の形になっているわけですが、実際上、そこでどういうふうに職員の方、勤務をしながらの体をどういうふうに休めていかれるかはそれぞれ工夫をされている形になるわけで、睡眠という形に結果的になるかどうかというのはまた個々の具体的なものでございましょうが、この時間帯は前のときの十四時間というニュー夜勤とは違って時間も短いところでございますので、一時間という形の休憩になっているところだと承知しております。
宮本岳志君 今までのニュー夜勤の下でも多数の過労死ないしは突然死というのは発生してきたんですね。そのわずか二時間の仮眠時間さえ奪い、これまでにない四夜連続などという無謀な勤務を押し付ければ、郵政職員の在職死亡が一層増えることになりかねないと思います。
事実だけ確認しますけれども、東京中央郵便局で二月から深夜勤に就いていた五十八歳の労働者がこの三月三日の夜に急死した。この事実がございますね。
政府参考人(清水英雄君) 誠に残念なことでございますけれども、先生御指摘のとおり、平成十六年の三月三日の日に東京中央郵便局の郵便部の特殊郵便課の五十八歳の職員が、これは出勤、勤務中ではなくて出勤前に具合が悪くなりまして、御自宅から夕方救急車で搬送されたというふうに聞いております。この方は深夜勤が導入された二月八日からの関係の勤務では、御本人から、泊まりは以前からやっているんですが、夜勤、中勤きついので、ちょっと外してほしいという話があって、二日連続の深夜勤を二回行った以外は日勤という形を取っておりまして、直近のこの深夜勤もたしか平成十二年の二月二十日、二十一日ですから、三月三日に亡くなられておられるんですけれども、大分前の時点で深夜勤をされたというふうに承知しております。
宮本岳志君 導入後わずか一か月なんですね。大体昼と夜が入れ替わったような労働を労働者に強制しておいて、ようやく体が夜型のサイクルになり掛けているところをまた元に戻す。さらに、体が元のサイクルに戻り切らないうちにまた夜型の四夜連続深夜勤をさせる。これではわざわざ過労死を作り出すに等しいやり方ではないかと。
総務省としてこのような過酷な労働形態は直ちに見直させることを要求して、私の質問を終わります。