売却国有地の土壌改良費用 国と森友学園が交渉
宮本岳議員が暴露・追及
衆院予算委 財務省「記録廃棄した」
問題の国有地は2016年6月に森友学園に売却されました。そのさい、不動産鑑定士が鑑定した時価9億5600万円から、地下に埋設されたゴミの処理費用名目で8億1900万円などが差し引かれ、1億3400万円という格安の価格がつけられました。
この値引きは、森友学園側が「想定以上のゴミが埋まっていた」と近畿財務局に申し立て、土地を管理していた大阪航空局が算定したゴミ撤去費用を、同財務局が土地価格からそのまま差し引く形で行われました。宮本氏は「このような奇怪なことは政治家の関与なしには起こりえない」と強調しました。
さらに宮本氏は2015年9月4日午前10時から正午までの間、近畿財務局9階会議室で、森友学園の小学校建設工事を請け負った設計会社所長、建設会社所長が近畿財務局の統括管理官、大阪航空局調査係と会合を持っていた事実を指摘。埋設物の処理内容や費用についてつめた議論をし、業者側が高額な処理費用を提示するなどしていたことを独自の調査で明らかにしました。
宮本氏が、森友学園側との交渉の一切の記録を提出するよう求めたのにたいし、財務省の佐川宣寿理財局長は「記録は残っていない。財務省の行政文書管理規則にもとづき廃棄した」と答弁。委員会室からは「隠ぺいだ」という怒りの声があがりました。
宮本氏の求めに会計検査院の河戸光彦院長は「この国有地売却について検査を実施したい」とのべました。
麻生太郎財務相は「適正な価格で処分を行っている」と答弁。宮本氏は「不可解な大安売りで『適正』でもなんでもない」と反論しました。
証人喚問求める
宮本氏は、森友学園との交渉の経過を明らかにするため当時の近畿財務局、大阪航空局の職員3人を証人として委員会に喚問するよう要求しました。
論戦ハイライト
国有地格安払い下げ 政治家関与なく起こりえない
宮本岳議員、全容解明迫る
衆院予算委員会
問題の土地は、大阪府豊中市にある国有地です。森友学園が2016年6月に1億3400万円で取得しました。
格安のカラクリは
宮本氏は、不動産鑑定士による土地評価額は9億5600万円なのに、国が埋設ゴミの撤去費用を理由に8億1900万円もの値引きを行った経緯を追及(図)。森友学園の籠池泰典理事長がラジオで、埋設ゴミの撤去をしたのは校舎部分だけで、運動場はしていないと述べていることなどをあげ、撤去費用が過大に見積もられた可能性をただしました。
宮本 森友学園が見積もり通り埋設物を運び出し、処理をしたことを確認したのか。
佐川宣寿・財務省理財局長 詳細については承知していない。
宮本 埋設物を取り除かなければ、学校の校地として認められないのか。
山下治・文科省文教施設企画部長 指針を定めているが、法的な拘束力はない。
宮本氏は「8億円もの工事をしなくても学校は十分建てられるということだ」と指摘しました。
価格交渉値引きか
そこで、宮本氏は、近畿財務局が売買契約前に、森友学園側に土地価格や除去費用についての価格を提示し、交渉していた可能性について追及。佐川理財局長は「契約手続き前に、本件の鑑定価格等について示した事実はない」などときっぱり否定しました。
しかし、宮本氏がつづいて暴露した資料では、2015年9月4日の午前10時から正午の間に近畿財務局9階会議室で、近畿財務局の統括管理官、大阪航空局調査係、森友学園の建設工事を請け負った設計会社所長、建設会社所長が会合を持っていた事実が明確に示されています。宮本氏は会合での具体的なやりとりも示し、次のようにただしました。
宮本 土壌改良工事の価格をめぐって交渉したのではないか。
理財局長 確認できていない。
宮本 資料によると業者からかなり高額な処理費用が提示されている。交渉があったのは事実だな。
理財局長 個別の交渉記録は残っていない。
宮本 調べようがないということか。
理財局長 確認する。
全交渉記録開示を
宮本氏はさらに、2016年6月の売買契約締結に至るまでの交渉記録をすべて開示するよう要求しました。
しかし、佐川理財局長は、ここでも「売買契約の締結をもって事案は終了しているので、記録は残っていない」などと述べて、開示を拒否しました。
宮本 昨年売買契約をした本件は2016年度決算報告の対象となる。すでに会計検査は終了しているのか。
河戸光彦・会計検査院長 検査およびその結果のとりまとめに必要な期間を確保したうえで報告する。
宮本 売買契約の締結と同時に記録を破棄されたのでは検査のしようもない。(理財局が)隠ぺいしたといわれても仕方がない。
宮本氏は「この国有地の売却は、世間の常識にてらしてもあまりにも異常だ」と指摘しました。
(しんぶん赤旗日刊2/25付けより転載)