森友問題 参考人招致の実現を
志位委員長が会見 野党の要求に応えよ
日本共産党の志位和夫委員長は9日、国会内で記者会見し、学校法人「森友学園」に対する国有地の売却問題をめぐり、野党4党が求めている、同学園の籠池(かごいけ)泰典理事長ら関係者の国会への参考人招致について「疑惑の究明のためには絶対に必要だ。与党は野党の要求に応えるべきだ」と強調しました。
与党は、同学園に対する異常な安値での国有地払い下げへの政治家の関与が問われているもとで、「違法性がない」として参考人招致に反対しています。
これに対し、志位氏は、違法性の有無にかかわらず疑惑があれば究明し、政治的道義的責任を明らかにするのが国会の責務だと指摘。「(財務省は)交渉記録を廃棄しており、違法性の有無を含めて関係者を招致して直接問いただすしかない。与党が、『違法性はない』といって参考人招致に反対するのはまったく道理がたたない」と厳しく批判しました。
志位氏は、自民党幹部の中から籠池氏らの参考人招致に対し、「何を言い出すかわからないから招致はしないほうが良い」という発言が出ていることを批判し、「語るに落ちたということだ。ぜひ参考人招致を実現して問題点の究明をはかっていきたい」と語りました。
森友学園 公金詐取の疑い
建築費異なる三つの契約書
虚偽報告や経歴詐称も
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐり、同学園の国と大阪府への報告金額の食い違いや事実と異なる提出資料の実態が次々に明らかになり、「公金詐取」の疑いも出ています。自民党や公明党は「違法性が明らかでない」などとして、日本共産党など野党4党による同学園の籠池泰典理事長らの国会招致を拒否していますが、その不当な拒否理由も成り立たない事態となっています。
「公金詐取」の疑いがもたれているのは、国の補助金です。同学園が大阪府豊中市に新設予定の小学校建築について、金額だけが違う三つの工事請負契約書があることがわかりました。日付はいずれも「平成27年(2015年)12月3日」です。
5645万円を支給
学園側は府教育庁には7億5600万円とする工事請負契約書を提出していました。ところが、補助金を申請した国土交通省には23億8464万円とする契約書を提出していました。国交省は6194万円を限度額として交付を決定し、これまでに5645万円を支給していました。
もうひとつは、小学校建設予定地に近い大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」に提出した契約書で、約15億5千万円でした。航空機の騒音障害の防止に関する法に基づき、約1億5千万円の助成金を申請しました。
学園の籠池理事長は9日、記者団に改めて府に示した7億5600万円が正しいと明言しました。これが事実とすれば国には実際より3倍近い金額を示して補助金を引き出したことになります。
過少に報告か
学園側は8日付の小学校のホームページで、国と空港会社に示した工事請負代金額は「上振れ分を十分見込んで申請」したもので、「補助金を詐取したのではないか」という疑いは「全くの誤解」と釈明しています。
一方、松井一郎知事は9日、施工業者は建築費について「関西エアポート」に提出された契約書にある約15億5千万円が正しいとしていることを明らかにしました。同契約書には「これが最終決定額」とされていました。この数字が正しいとすると、学園側の債務見込み額が膨らみ、財務上の懸念は一層強まります。府に7億5600万円と「過少」に報告することで収支見通しを偽った疑いも生じています。
府提出資料も
学園が府に提出した小学校新設に関わる資料にも事実と異なる記述があることが相次いで発覚しています。
愛知県内の私立海陽中等教育学校への推薦入学枠があるとしていましたが、合意はなく、学園側も誤りを認め、訂正しました。学園側は新設小学校1、2学年の定員がそれぞれ80人に対し入学予定者が40人、5人と報告。「推薦枠」があるかのようにして定員の確保実現をアピールしようとしていました。
学園側が提出した「教員等雇用予定者リスト」に校長、教頭に次ぐ「総括教員」として掲載されていた公立小学校の男性校長は受諾を否定しています。府側によると、学園側も「本人から辞退があった」ことは認めています。
経歴詐称の疑いも出ています。提出された籠池理事長の経歴に、自治省(現総務省)に入省し、奈良県に出向したと記述されていることも事実と異なることが明らかになりました。
同学園の小学校新設の認可を審議している府私学審議会は、学園側の報告、提出資料に次々と疑問が生じている事態を受け、23日に予定していた「認可適当」の是非を判断する審議会の日程を前倒しすることを検討しています。
国有地の不可解な8億円値引き売却など「森友学園」問題をめぐる疑惑は深まるばかりです。真相解明には籠池氏はじめ関係者の国会招致は待ったなしの課題となっています。
「森友学園、疑惑隠ぺい許さない」
総がかり行動実行委 官邸前で緊急行動
不透明な国有地の格安売却、政治家の関与が疑われている「森友学園」疑惑の徹底究明を求めて9日、総がかり行動実行委員会が首相官邸前で緊急行動をしました。学者や国会議員らも駆けつけ、集まった600人(主催者発表)の参加者は「疑惑の隠ぺいは許さない」と声をあげました。
人びとは、「森友学園」が運営する塚本幼稚園で、教育勅語を子どもたちに暗唱させていた問題を「憲法違反の戦前回帰だ」と憤り、口々に、「国会で何を聞いても『記録がない』では納得できない」「すべての問題について説明する責任は政府にある」と語ります。
東京都新宿区から参加した女性(77)は、「政治を私物化するような、とんでもないことが行われています。市民は怒っています。この問題はうやむやにはさせません」と話しました。
主催者あいさつした全労連の小田川義和議長は、「『森友学園』の籠池泰典理事長との関係性も含め、安倍首相には説明すべきことがたくさんある。関係者を国会に招致し、徹底した追及をすべきです」と訴えました。
日本共産党、民進党、社民党の国会議員が参加。日本共産党からは清水忠史衆院議員がスピーチしました。(しんぶん赤旗日刊3/10付けより転載)