貸し付け 事前に伝達
宮本岳議員 森友疑惑 新資料示す
衆院財金委
異常な安値で学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)に売却された大阪府豊中市の国有地をめぐり、財務省が森友側に事前に貸し付け契約締結の見通しを伝えていたことを示す文書が明らかになりました。日本共産党豊中市議団に同市が提出したもの。日本共産党の宮本岳志議員は15日の衆院財務金融委員会で、これまで「(学園側に)見通しを伝えたことはない」と否定してきた財務省の姿勢を厳しく批判しました。
宮本氏が明らかにしたのは、財務省近畿財務局が豊中市に提出した「承諾書」と書かれた1枚の文書。国有地開発について豊中市に森友側との協議を認めたものです。貸し付け契約について、森友側が目指していた小学校の新設について審査する大阪府私学審議会と、土地処分を審査する財務省国有財産近畿地方審議会の「答申を得た後で行います」と明記。籠池理事長の本名「籠池康博」の直筆のサインがあります。「承諾書」は2014年6月30日付。私学審議会の答申(15年1月)や国有財産近畿地方審議会の答申(同2月)の半年以上前に貸し付け契約の見通しを学園側に伝えていたことになります。
財務省の佐川宣寿理財局長は「地元自治体との事前相談の事例はいくつもある。特別なことではない」と言い訳しました。
宮本氏は、そもそも売却が原則の国有地を貸し付け契約とすること自体が異例なことだと指摘。「承諾書」交付の1年後に開かれた国有財産近畿地方審議会でも貸し付けに異論が出たことを示し、「答申前から開設に向けた段取りのお墨付きを与えるものだ」とし、関係者の参考人招致を求めました。
主張
「森友」国会招致
首相や与党は何を恐れるのか
稲田氏の虚偽答弁は重大
稲田朋美防衛相が国会で「森友」との関係を追及され、「法律相談を受けたこともない」などと答弁しながら、かつて裁判に立ち会ったり、献金を受け取ったりしていたことが暴露され、答弁を取り消し陳謝した事態は、疑惑の真相解明が重要であることを浮き彫りにしています。「記憶」だけで、国会で平然とうそをついた稲田氏に閣僚の資格はありません。「森友」との関係を指摘された安倍首相夫妻も道義的責任は明らかです。
本来譲渡が原則の国有地が最初「森友学園」に貸し付けられ、「森友」が購入を申し出ると不動産鑑定で10億円近い土地が廃棄物が埋まっているからと8億円も値引きされた破格の安値で、しかも10年間の分割払いで払い下げられたなどという問題が、重税に苦しむ国民常識からも認められるはずがありません。理財局は資料は廃棄したと説明を尽くさず、安倍首相もそれを認めているのは、まさに疑惑にほおかむりするものです。
異常な取引には政治家などの関与が疑われます。現に自民党の鴻池祥肇参院議員はその一端を証言しました。「森友」は幼稚園経営しか経験がなく、資金や体制不足も指摘されていたのに、大阪府が設置を許可しようとした背景にも、国や政治家の関与が言われています。安倍首相や自民、公明の与党は直ちに籠池理事長や当時の近畿財務局関係者らの国会招致に応じ、疑惑に応えるべきです。
「森友」が木質校舎に補助金を出す国(国土交通省)と校舎の防音工事などを助成する空港運営会社、財務の見通しなどを審査する大阪府へと、3通りの建設費を提出し、一部の補助金は支払われていたという問題は、まさに「補助金詐欺」「助成金詐欺」そのものであり、不正行為です。自民、公明の与党は籠池氏らの国会招致に対し、籠池氏は「民間人」であり、違法が明らかでない以上、慎重にすべきだといいますが、国民の財産である国有地の取引をめぐってこれほどの疑惑が明らかになり、明白な「詐欺」まで疑われているのに、「違法が明らかでない」などと言い張るのは不正をかばうものです。
国民の多数が解明求める
「森友」問題について各マスメディアが実施した調査では「説明に納得していない75%」(「毎日」)、「国会招致が必要70%」(「朝日」)、「売却価格に納得できない80%」(NHK)など、解明を求める声が圧倒的です。世論を踏みにじる首相や与党の態度は重大です。
自らの手での調査にも関係者の国会招致にも応じないのなら、安倍政権が疑惑に手を貸しているという疑いと不信がますます強まるのはまちがいありません。
(しんぶん赤旗日刊3/16付けより転載)