森友学園 籠池氏の証人喚問(詳報 23日)
籠池氏の冒頭発言
真に日本国のためになる子どもを育てたいという思いから、4月に「瑞穂の国記念小学院」を開校できるように頑張ってきた。教育者としての私の思いに、安倍首相や昭恵夫人、大阪府議会の先生方をはじめ多くの関係者に理解いただいたことを感謝している。一方、手続き上の便宜から設計士の助言にしたがって工事請負契約書が3種類作成されたことや、幼児教育の現場で指導の行き過ぎなど、反省すべき点について反省し、謝りたい。今後は行政の指導の下で適切に改善をおこなっていく。
小学校の開設手続きは弁護士からの指示で申請をとり下げた。
これまで応援してくれている方々が手のひらを返すように離れていくのを目のあたりにして、どうしてこうなってしまったのだろうという思いもある。本日は、私の承知していることを率直に話す。
100万円寄付
小学校の名前については、以前から私の教育理念に共感していただいている安倍首相に敬意を表したいと思い、「安倍晋三記念小学校」とするつもりで昭恵夫人にも相談し、理解をいただいたものと思っている。
後日、昭恵夫人から首相の名前を使うことを遠慮してほしいという申し出があったので、小学校の名称は「瑞穂の国記念小学院」と変更した。
昭恵夫人は幼稚園に3回来て、視察してもらった。昭恵夫人に瑞穂の国記念小学校の名誉校長に就任してもらったのは2015年9月5日に講演をしていただいた時だ。
その日、講演の控室として利用していた園長室で、対面したときに、(夫人が)同行していたおつきの方に席をはずすよう言った後、2人きりの状態で、「一人にさせてすいません。どうぞ安倍晋三からです」とおっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円をくださった。昭恵夫人は覚えていないと言っているようだが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えている。
大阪府との関係
小学校の設立に関する大阪府への申請では、先に亡くなった、大阪府議会議長を務められた畠成章氏からのご恩も忘れらない。畠氏は森友学園の幹事も務めていた。畠氏は、松井知事の父親とも親しい付き合いがあり、松井知事が維新会派をつくるときにも影ながら助力されたということで、松井知事や府に力添えいただけるようお願いしていた。
そのおかげで大阪府の当時の総務部長などにも説明させていただいた。小学校設置の認可申請では特別な取り計らいをいただき感謝している。その後、大阪府でどのようなやりとりがなされたのかはうかがい知ることはできない。松井知事や関係者から話をきいて国会や府議会で真相を究明してほしい。
土地取引
小学校の建設用地である豊中の国有地の存在については、不動産屋から13年に紹介をうけた。国有地ということで、15年5月29日に定期借地契約を締結した。買い上げの条件として10年後をもっと長い期間へ変更できないかと思い、昭恵夫人に助けをいただこうと考え、同年の10月、携帯に電話をした。留守電だったのでメッセージを残した。
後日、内閣総理大臣夫人付の谷査恵子さんから連絡があり「なかなか難しい」という返事をもらった。
同年11月17日に総理夫人付の谷さんからファクスで「大変恐縮ながら現状では希望に沿うことができない、なお本件は昭恵夫人にも報告している」との言葉をいただいた。
この間、財務省で、どのようなことが起きたのかわからない。昭恵夫人、谷さん、財務省の関係者にその経緯を聞いてほしい。
あの土地に、ヒ素や鉛などの有害物質があることは契約上も明らかだった。昨年3月に工事が始まって新たに生活ごみが出てきた。
その後、工事を施工していた中道組から、北浜法律事務所の酒井康生弁護士を紹介してもらい、土地取引に関する一切の交渉をお願いしたところ、最終的に、土地価格は8億円あまりも値引きになり、1億3400万円になった。想定外の大幅な値下げに当時はびっくりしたが、売買契約を結んだ。交渉の詳細は承知していないので、値引きの根拠などについては近畿財務局、当時の迫田理財局長、酒井弁護士に聞いていただきたい。
認可申請取り下げ
顧問弁護士だった酒井先生の指示で、大阪府への小学校設置認可申請を取り下げた。その後、なんら事態は改善せず、むしろ私だけを悪者にするような、政府の要人や大阪府知事の対応をみて、なにかおかしいと気づきはじめた。
財務省の佐川理財局長の命として部下のシマダさんが「10日間隠れていて」と、酒井弁護士から伝えられた。酒井弁護士が財務省近畿財務局や大阪府とどのような関係があったのかぜひ国会でも聞いてほしい。
この問題が国会で議論されるようになってから私の妻に昭恵夫人から、「(籠池)夫妻がいま大変なことは想像つきますが、主人にとっても大変なことにまきこまれたということも理解いただきたい」とか、「私が関わったことは裏で何かあるのではと疑われないように」という「口止め」ともとれるメールが届いた。
私たちの学校の開校を楽しみにし、考え方に非常に共鳴していますとか、森友学園の先生の教育にたいする熱意はすばらしいという話を聞いていると総理も言っていただいたのにどうしてなのか割り切れない思いだ。
国有地の大幅な値引きなど、一連の経緯の真相をあきらかにするためにも、私だけがとかげの尻尾切りで、罪をかぶせられるのではなく、私がこうして国会で正直に話をしたので、そのほかの関係の方々を国会に呼んで事実関係を聞いて、真相究明を進めるよう心からお願いします。
小池書記局長による尋問
小池氏 財務局、航空局、大阪府に昭恵さんが名誉校長と伝えていますか
籠池氏 もちろん伝えております
小池 あなたは、財務省近畿財務局、(国土交通省)大阪航空局、大阪府と何度も会っていますね。その際に、安倍昭恵さんが塚本幼稚園に何度も訪ねていることや、瑞穂の国記念小学院の名誉校長になっていることは伝えていますか。
籠池 それはもちろん伝えております。
小池 そういったことが、この交渉をスムーズに進める上で役に立ったという印象を持っていますか。
籠池 私はそのような意味合いでは、ご就任いただいていなかったので、それはほかの方々の思いのとりようになってしまうのではないかと思います。
小池 昨年(2016年)3月11日にくい打ち工事で地下のゴミがみつかります。そのとき、あなたは近畿財務局から不当な提案があったことを知ったと、鴻池(祥肇参院議員)事務所に話しています。この不当な提案とは何でしょうか。前年(15年)に、不当な提案が近畿財務局からあったというような話をしています。
籠池 ちょっと記憶にないのです。
小池 ゴミをすべて処理すると巨額の負担になるから、場内処分をするようにという話があったということもあります。そういったことを(籠池氏が)言っているのでないですか。
籠池 そこの記憶がございませんので。
小池 その後、本省の審理室長とお会いになった。このときは、鴻池事務所はアポとりを断ったというふうにいっています。どなたか別の政治家に仲介は依頼したのですか。
籠池 この件については、最初に、先導していただいた鴻池氏にことの顛末(てんまつ)だけはお話しないといけないのでお話ししました。もしできたら、本省の担当にお知らせしてほしいということでした。
小池 (3月)15日に財務省に行ったときに、埋設物の撤去費用の問題を話し合いをされましたか。
籠池 しました。とんでもないものがでてきたということで、談判をしました。
小池 どういう談判ですか。
籠池 有害物質が出たのに1億3000万かけて、生活物質(ゴミ)が埋まっているということを、私も知りませんでしたので、どうしてそんなものを定期借地物件で民間に貸すのかということで談判しました。
小池 その際、財務省側は、地下埋設物の撤去にかかる費用は地主の大阪航空局だといったのは事実ですか。
籠池 はい、地主の大阪航空局であるというようなことは言っていました。
小池 見積もりは、そのとき大阪航空局にやらせるという説明をしたのでしょうか。
籠池 大変なことになったという感じでしたので、何らかの動きはあるという思いを持ちました。
小池 それで、3月24日に、あなたは土地購入を申し込みます。その前に、埋設物撤去費用を土地代から引くというような話は、近畿財務局から提示されましたか。
籠池 そういう話は全く受けていません。
小池氏 昭恵さんは名誉校長の要請を最初断ったのか、すぐ受け入れたのか
籠池氏 1秒ほど戸惑っていたが即断していただいた
小池 別の問題を聞きます。安倍昭恵さんに名誉校長になってほしいと要請したときに、最初は断ったのでしょうか。それとも、すぐにその場では受け入れたのでしょうか。
籠池 1秒ほど戸惑っていましたが、即断していただきました。
小池 安倍晋三記念小学校という名前をつける件に関して、さきほどの陳述で、昭恵夫人はご理解をいただいたと。後日遠慮してほしいという話だったと。最初は昭恵夫人はいいですと言った。後日というのは、何日ぐらいしてからお断りがきたんでしょうか。
籠池 記憶のほうが、はっきりしないわけですが、だいたい5カ月ぐらいじゃないでしょうか。
小池 わかりました。安倍昭恵さんと学校設置前の更地の豊中の敷地に行ったことがありますか。そこでどんな話をされましたか。
籠池 一緒に行って、ここに学校ができるというふうなお話をさせていただきました。
小池 その場で、学校の名前についての提案のようなものはありましたか。
籠池 「いい田んぼができそうですね」ということで、その言葉をいただき、「瑞穂の国」とさせていただきました。
小池氏 (国有地)8億円値引きの過程で財務省が前向きと思ったのは
籠池氏 その動き、スピード感、非常に速かった
小池 安倍昭恵さんは、塚本幼稚園で3回目の講演をやったのが15年9月5日です。その2日前に安倍首相は、財務省の理財局長と東京で会っています。塚本幼稚園での昭恵夫人の講演テーマは、瑞穂の国記念小学院についてだと思います。あなたに対して、財務省が前向きに動いているというような話がありましたか。
籠池 財務省が前向きに動いていると感じたのは、生活ゴミが出てきたあとが著しかったと思います。
小池 具体的には、生活ゴミが出て、8億円の値引きが行われる過程だと思います。どういう点で、どういう動きをみて、財務省は前向きだというふうに思ったのでしょうか。
籠池 私どもの弁護士が入っておりましたから、その動き方、スピード感、非常に速かったと思います。
小池 安倍首相本人についてもお聞きします。安倍首相は、あなたと電話で話したのは、12年9月に予定されていた講演をキャンセルしたとき1回だけだというふうに言っていますが、事実ですか。これ以外にも、安倍首相と電話で話したことはありますか。
籠池 その1回だけです。
小池氏 大阪府の(小学校)設置認可基準の規制緩和で政治家に協力を頼んだことは
籠池氏 ございます。東徹議員…国土(交通)副大臣の北川イッセイ先生、柳本卓治先生です
小池 3月10日の記者会見で、籠池さんは大阪府の設置認可基準の規制緩和について、規制緩和に4年ほどかかったと述べていますが、これに関して政治家に協力を頼んだことはありますか。大阪府の設置認可基準の緩和については、政治家、大阪の議員も含めて、そういったことはありますか。
籠池 ございます。
小池 お名前を教えていただけますか。
籠池 東徹議員です。
小池 そのほかにこの問題で名前が出てきている政治家では鴻池祥肇議員がいますが、そのほかに、設置認可や土地の取得、賃貸、その金額等々で籠池さんから声をかけた政治家、ほかの名前を出していただけますか。思い出す範囲で結構なので言ってください。
籠池 国土(交通)副大臣の北川イッセイ先生、柳本卓治先生、そういうところで。
小池 あとは、ファクスの問題が先ほどありました。首相夫人の担当官からのファクスはいまお持ちですか。
籠池 いま手元に持っておりません。すぐ近くにありますが。
小池 当委員会に、そのファクスを提出していただけますか。
籠池 提出します。
宮本衆院議員による尋問
宮本氏 昭恵夫人を通じた借地の相談の回答は、ファクスに(財務省)国有財産室長からと書かれている
籠池氏 はい。間違いございません
宮本 午前中の質疑で、あなたは役所とのやりとりで安倍昭恵さんが名誉校長であることを伝えたことがあると答えました。伝えたときの相手の表情に変化がありましたか。
籠池 普通でした。
宮本 先ほど2015年9月4日の会議の話も出ましたが、私は、この日に近畿財務局の9階で森友学園の設計会社、建設会社、(近畿)財務局と航空局らと会議を行ったという情報を入手していますが、そういう会が行われたことはご存じでしたか。
籠池 当時は知りませんでしたが、後で(会議が)あったということは聞きました。
宮本 安倍昭恵夫人を通じて、10年の定期借地を何とか50年にという相談をしたらファクスで答えがあったということですが、このファクスには、国有財産審理室長から回答を得たと書かれてあります。間違いないですね。
籠池 はい、間違いございません。
宮本 安倍昭恵さんにお願いしたら、谷査恵子さんを通じて、財務本省のこの国有財産審理室長からの回答を得たというファクスがきていると。当時の室長は田村嘉啓さんという方でしたが、あなたは昨年3月11日に、深いところからもゴミが大量に出たと、15日に上京して本省の理財局、国有財産審理室長と面会をされたと思いますが、そのときの審理室長は田村嘉啓氏ではなかったですか?
籠池 そのときの方の名前を忘れていますが、きっと同じ年次なので、同じ方ではないかなとは思います。
宮本 再確認します。国有財産審理室長という肩書の方と3月15日に会いましたか。
籠池 はい、お会いしました。
宮本氏 財務省が前向きに動いていると感じたのはどういう力が働いたのか
籠池氏 そのときは神風が吹いたかなと思った
宮本 調べたら、間違いなく、このときの審理室長と、3月15日の審理室長は同一の方、田村さんです。その直後に、あなたは3月24日にこの国有地を買うと申し出ています。そのときに、買うということを申し出る以上は買えるという見通しがあったと思いますが、その点はいかがですか。
籠池 定期借地が年間2700万円でしたから、大量のゴミが出てきて、これはかなり問題があると当然思ったわけです。少なくとも2700万円の半分ぐらいになるだろうと直感的に思っていました。ただ、そのまま定期借地をするのであれば、1年間、また開校がずれると大変なので、購入したほうがいいのではないかと考えたということです。
宮本 あなたは午前中の参議院での答弁で、このときから、財務省が前向きに動いていると感じたと言いました。いったい、どういう力が、そこに働いたなと感じましたか。
籠池 私は、そのときは神風が吹いたかなと思ったということです。なんらかの見えない力が動いたのではないかなと思いました。
宮本 15年の10月、11月ごろ、定期借地の期限延長を申し出たが、それがなかなか、ご期待に添えませんという答えを出した審理室長に、ここに地中深くから(ゴミが)出てきたということを掛け合いにいったら、その後、一気に物事が売買の方向で動いたというのは、私は、そこになんらかの力、政治の力が働いたと思います。
小学校設置の認可についても、少しおうかがいしたいと思います。さきほど、畠成章元議員の名前を出されました。参議院では、東徹参議院議員、鴻池祥肇議員、北川イッセイ議員、柳本卓治議員と名前を挙げました。いずれも参院議員ですが、それ以外に衆議院の政治家がいるのではないですか。
籠池 そんなことはありません。
宮本氏 北川イッセイさん、柳本卓治さんにお願いしたことは
籠池氏 北川副大臣には立て替え払いした1億3000万円の話ですぐお返しいただきました 柳本先生は近畿財務局に早くすすめてほしいと
宮本 さきほど東徹さんが、認可基準の引き下げにどういう役割を果たしたか話がありました。鴻池さんは私たちも存じていますが、北川イッセイさん、柳本卓治さんにどのようなことをお願いしましたか。
籠池 北川イッセイ国土(交通)副大臣(当時)には、有害土地がありまして、それを私どもで取り除きました。そのとき、1億3000万円かかりましたが、それは立て替え払いでわれわれが払うことになります。しかし国のほうは年間予算なので、また予算化しないといけないと。本来は民・民の場合は売り手がきれいにして買い手が買うという形なのに、国の土地の場合は、買い手のほうがきれいにして、そのあとでお金を払うというのはおかしいと申し上げて、早くお金を返してくださいというふうな話をして、すぐにお返しいただきました。
柳本先生については、近畿財務局長のほうに言葉がけをしていただきました。財務局の対応に敏しょう性がなかったので、早く物事を進めてほしいという話をさせていただいています。
宮本 1億3000万円の有益費の支払いをめぐっては、さきほども、稲田龍示弁護士の事務所で、財務省、航空局の担当者と会ったという証言がありました。財務局、航空局の職員の名前を覚えていますか。
籠池 近畿財務局は池田さんですね。航空局はアンチさんという方だと思います。その上席に課長さんがいましたが、名前は(記憶から)欠落しました。
宮本 そのアンチさんと、その上席の方と、稲田弁護士と森友学園側が会ったということですね。
籠池 近畿財務局の池田さんと、その部下の方も、ともどもにということです。
宮本 私学の認可をめぐっては、14年12月の私学審で継続審議になった後、翌年1月の条件付き認可と、認可適当と、この間に、豊中市選出の中川隆弘大阪府議にあなたがお願いをして、問い合わせたということが報じられておりますし、本人も認めています。そういう事実はありますか。
籠池 中川先生については、松浦正人防府市長の紹介で、ご自身とじっこんだから、ちょっと会ったほうがいいんじゃないのということでお会いさせていただいたということだけのことです。
宮本 維新の党にかかわることですが、大阪市の記録票を見ると、塚本幼稚園に隣接する新北野公園の植樹や花壇の整備をめぐって、今から5年前に、地域住民と大阪市とトラブルがありました。12年2月21日に、大阪市の公園事務所の職員が塚本事務所に説明にきたときに、途中から、この大阪市議2名が同席して、あなたの立場に立って大阪市にものをいったことが記録されています。これは事実ですか。
籠池 同じ淀川区選出の議員と、隣の東淀川選出の議員が対応したことは事実です。
宮本 まだまだ疑惑は尽きないと。徹底した審議、調査を求めたいと思います。
(しんぶん赤旗日刊3/24付けより転載)