森友 値引き「口裏合わせ」 財務省、音声データ認める
衆院予算委 宮本議員、昭恵氏の喚問を要求
宮本氏が示した音声データについて、財務省の太田充理財局長は、2016年3月下旬から4月ごろに森友学園側を訪問した際のものではないかと答弁。同省近畿財務局と国土交通省大阪航空局の職員が出席していたことを明らかにしました。
音声データによると、国有地で新たに“3メートルより深いところからゴミが出てきた”と値引きを求める森友学園側の主張をめぐり、国側が「そこはきっちりやる必要があるでしょというストーリー(物語)はイメージしている」と値引きへのレールを提案しました。これに工事業者は「3メートルより下から(ゴミが)出てきたかどうかは分からない」と発言。“3メートルより深いところにゴミがある”との国・学園側の念押しに業者が折れると、国側は「そんなところで(話を)作りたい」とストーリーを作り上げました。
宮本氏は、会計検査院の報告書(11月22日)が、大阪航空局の算定した地中ゴミの深度3・8メートル(くい打ち部分以外)などについて「十分な根拠を確認できなかった」と結論付けたことを指摘。「『口裏合わせ』で、根拠も定かでない8億2000万円もの大幅値引きをして、国民の財産をタダ同然で売却した。明確な背任だ」と批判しました。
安倍晋三首相は答弁することを拒否。太田理財局長は、新たなゴミの撤去費の見積もりのために「資料提出」を求めたやりとりだとし、「『ストーリー』という言葉は大変適切でなかったと(職員)本人も申している」と弁明しました。
宮本氏は、売却交渉時に同学園小学校の名誉校長だった首相夫人の昭恵氏が直接、真相を語るべきだとして証人喚問を求めました。
「ストーリー」つくり8億2000万円値引き
「森友」疑惑 宮本岳氏の追及
論戦ハイライト
宮本氏「適正答弁 ウソ明白」
検査院「仮定で処分量推計値は変動」
安倍首相は国有地の8億2000万円の値引きの妥当性について「調べるのは会計検査院」と繰り返してきました。しかし、22日に国会に提出された会計検査院の報告書は、国有地売却に関し「必ずしも適切とは認められない」と結論。宮本氏は「この報告を受けてもなお『適正だった』との認識か」とただしました。
麻生太郎財務相 慎重な調査検討を欠いていたという指摘は重く受け止める。土地の処分については、切迫した状況の中でぎりぎりの対応だった。
宮本 全然答弁になっていない。「法令に基づき適正な価格で処分した」という国会答弁が、会計検査院自身によってウソだったことが明らかになったということだ。
宮本氏は、「重く受け止める」と言いながら「時間がなかったから仕方がない」という言い逃れは許されないと追及。国交省が算定したゴミ撤去の見積もりについて、宮本氏が対象面積、ゴミの深度・混入率など「一つでも根拠があったか」とただすと、会計検査院は「ございません」と明言。財務省の「独立した立場で鑑定」したから適正という言い分も、不動産鑑定士から“国の推測が含まれていて不適当”とダメ出しされていたことを指摘しました。
宮本 どれも十分な根拠を確認できなかったのだから「仮定の仕方によって」どうにでも計算できたのではないか。
河戸光彦会計検査院長 仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にある。
宮本氏は「さじ加減ひとつでどうにでも額が決められたということだ」と批判しました。
財務省「音声は学園訪問時のもの」
宮本氏「これは明確な背任」
そのうえで、宮本氏は、ゴミ撤去費用の算定が国有地をタダ同然で売却するために行われた疑惑に言及しました。森友学園は昨年3月11日、国有地の地中から新たなゴミが見つかったとして近畿財務局に報告し、同月24日に土地の購入を申し入れています。
宮本氏は、近畿財務局が土地の売却価格の見積もりを出すために、大阪航空局にゴミ撤去費用の算定を依頼した昨年3月下旬から4月上旬にかけて、森友学園と近畿財務局、大阪航空局が接触を繰り返していることを指摘。関西テレビが、同時期に行われた森友学園と近畿財務局、大阪航空局の会合の一つを録音した音声データと報じたやりとりをパネルで示し、事実関係の確認を求めました。
宮本 関西テレビが放送した音声データを近畿財務局職員に確認しましたね。
財務省の太田充理財局長 近畿財務局の職員に事実関係の確認を行った。音声データは森友学園側を訪問した際のやりとりと思われる。
宮本 大阪航空局も同席していたか。
太田局長 大阪航空局の方も同席していたと職員はいっている。
宮本氏の追及に財務省は、記録の内容が事実であることを認めつつ、「必要な資料の提出をお願いする旨の話をした」との弁明を繰り返しました。
宮本氏は「音声データに記録されているのは、財務省など国側職員と森友学園関係者が買い取り価格をめぐって『口裏合わせ』を行っていたという驚くべき事実だ」と指摘。地下深くまでゴミがあったことにして売却価格を引き下げる提案を国側から切り出している事実をつきつけました。
やりとりでは、国側が「ストーリー」という言葉を使って、地下9メートルまでゴミが“混在”しているという筋書きを提起。工事業者は「9メートルというのは分からない」「3メートルより下からはゴミはそんなに出てきていない」と重ねて否定するものの、国側が森友学園側の代理人弁護士と一緒になって、工事業者を筋書き通りの結論に説得していく様子が示されています。
宮本 こんな口裏合わせで、根拠も定かでない8億2000万円の大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をタダ同然で売ってやる。これは明確な背任ではないか。
太田局長 口裏合わせをして、地下埋設物の撤去費用を見積もろうとしたとの指摘は当たらない。
太田局長は弁明を繰り返しながらも、「『ストーリー』という言葉を使っているのは、適切ではなかったと本人もいっている」と答弁。宮本氏は「もう一つ、動かぬ証拠を示す」と述べ、この工事業者が今年6月に会計検査院に提出した敷地図にも3メートルより深いところにあるゴミは示されていないことを指摘しました。
首 相「丁寧な説明積み重ねてきた」
宮本氏「奇怪 ウラに昭恵氏」
そのうえで、宮本氏は「(土地を)売る側である国側から値引きを提案するなどという奇怪なことが、なぜ起こったのか」と提起。国側が土地価格を提案する直前の昨年3月15日、森友学園の籠池夫妻が安倍首相夫人の昭恵氏の名前をちらつかせて財務省の田村嘉啓国有財産審理室長と談判した経緯を指摘しました。
田村室長は、一昨年11月に昭恵夫人付きの政府職員である谷査恵子氏の問い合わせに回答した本人。昭恵氏は国有地の売却交渉がされている最中に、森友学園の小学校の名誉校長に就任していました。
宮本 これはもう、安倍昭恵氏が証人として自らの口で語る以外に「丁寧な説明」などしようがない。
首相 私自身、国会において丁寧な説明を積み重ねてきた。
宮本 安倍首相が「丁寧な説明」といっても国民が納得しないのは、昭恵さんが語らないからだ。
首相 妻が名誉校長だったからといって、近畿財務局がそう簡単に、そういう(値引き)行為をすることはありえない。
何一つ根拠も示さずに開き直る安倍首相。宮本氏は「こんな不可解なことが行われたのは、昭恵名誉校長の意向が働いた以外考えられない」と述べ、関係者の証人喚問を重ねて求めました。
(しんぶん赤旗日刊11/29付けより転載)