森友・国 共に金額提示
衆院委 宮本岳氏 音声記録示し追及
国有地売却 佐川氏の虚偽答弁明白
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、2016年3月に近畿財務局と面談した森友学園側の弁護士が「1億5000万円」という金額を提示して「それより低い金額で買いたい」と述べていたことが、15日の衆院予算委員会で明らかになりました。日本共産党の宮本岳志議員が、近畿財務局と森友学園側の会合内容を録音した音声データの詳細を示して判明したもの。財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長(現国税庁長官)が「(価格について)こちらから提示したことも、先方からいくらで買いたいといった希望があったこともない」(2017年3月15日、衆院財務金融委)としていた答弁が虚偽だった疑いがいっそう明白になりました。(関連記事)
宮本氏が示したのは、財務省が「(2016年3月下旬から4月頃に)森友学園を訪問した際のやりとり」と認めていた音声データの記録。宮本氏は「3月30日に行われた会合の録音と思われる」と日付を特定し、2時間に及ぶやりとりの全容を財務省に確認するよう提出していました。音声データには、国側の職員が「ストーリーはイメージしている」などと述べて、森友学園側と国有地の大幅値引きの口裏を合わせている様子が記録されています。
宮本氏は、記録の中で学園側の弁護士が「できれば希望としては、1億5000万円かかる分、航空局からもらって、それより低い金額で買いたい」と発言していることを指摘。16年5月18日の音声データには、池田靖近畿財務局統括国有財産管理官(当時)が「1億3000万円」という金額を提示している声も録音されているとして、価格の事前交渉を否定していた佐川氏の説明は「明白な虚偽答弁だ」と指摘しました。
麻生太郎財務相は何の根拠も示さず、「虚偽答弁とは思わない」というだけ。宮本氏は「問題は、なぜ佐川氏が事実を隠したかであり、これに答えられるのは佐川氏しかいない」と述べ、佐川氏の証人喚問を求めました。(しんぶん赤旗日刊2/16付けより転載)20180215予算委員会
国・森友「口裏合わせ」
宮本岳氏 「値引き背景に昭恵氏関与」
日本共産党の宮本岳志議員は15日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐって、国と学園側が2016年3月30日に開いた会合を録音したとみられる音声データの全内容を示し、国と学園側が値引きの「口裏合わせ」をしていた証拠を突き付けました。
財務省は音声データの内容の一部について「事実関係の確認をした」と認めていましたが、「一部が切り取られている」「(会合は)さまざまな資料の提出をお願いしたいということ」などの言い訳を繰り返してきました。宮本氏は、会合の全体を記録した2時間分の音声データを事前に財務省側に渡して確認を求めたと強調。このなかで、国側の職員が「ストーリーはイメージしている」と切り出し、学園側の工事業者が「事実を伝えることが(森友)学園さんの土地(の価格)を下げることに反するなら、そちらに合わせる」と話していることを具体的にあげ、「これはただの『資料の提出』ではなく、価格を下げるのに役立つ資料だけだすということだ」と迫りました。財務省の太田充理財局長は「資料、情報の提出をお願いして必要な手順の協議をしていた」と繰り返すだけで、宮本氏が示した事実に対しては何の反証もできませんでした。
宮本氏は「口裏合わせ」までして国有地をタダ同然で売り払った大本には、森友学園が計画していた小学校の名誉校長を務めていた安倍晋三首相の妻の昭恵氏の関与があったと指摘。事実を隠し続けた財務省の佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)の証人喚問を求めました。
宮本氏が示した音声データ(抜粋)
国側の職員 うちも3メートルまでは国も試掘している。その下は何もやってないので。その下にあるごみというのは、国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要はあるというストーリーはイメージしている。
工事業者 ちょっと待ってください。そこは語弊があるので。3メートル下から出てきたかどうかは分からない。下から出てきたとは確定、断言できてない。そこにはちょっと大きな差がある。認識をそういうふうに統一した方がいいのであれば合わせる。でもその下から出てきたかどうかは、工事した側の方から、確定した情報としては伝えるのは無理。
国側の職員 ○○さん(設計業者)もどこから出てきたか、判然としないという話で今までは聞いている。ただ今後、資料を調整する中でどういう整理をするのがいいのか協議させていただけるなら、そういう方向で話し合いをさせていただければありがたい。
工事業者 虚偽をわれわれは言うつもりもないので、事実だけを伝える。ただ、その事実を伝えることが(森友)学園さんの土地(の価格)を下げることに反するならそちらに合わせることはやぶさかでない。
国側の職員 言い方としては混在と。9メートルまでの範囲で。
工事業者 9メートルというのはちょっと分からない。そこまでの下は。
学園の弁護士 そこは言葉遊びかもしれないが、9メートルの所までガラ(ごみ)が入っている可能性を否定できるかと言われたら否定できない。そういう話だ。
工事業者 その辺をうまくコントロールしてもらえるなら、そのへんにわれわれは資料を提供させてもらう。
国側の職員 虚偽にならないように、あれが大事やと、混在していると。ある程度、3メートル超も一定あると。出るじゃないですか、ということ。
工事業者 あると思う。
国側の職員 そんなところにポイントを絞りたい。
学園の弁護士 責任問題に発展しないように頑張っていただけるという意味での信頼を持っている。半分はわれわれのためにやってもらえると。半分はご自身のために頑張ってください。
佐川国税庁長官 喚問しかない
「森友」虚偽答弁は明白
幕引き図る安倍政権
所得税や法人税の確定申告の受け付けが始まる16日、財務省や国税庁をはじめ、全国の税務署を包囲するデモなどが予定されています。最大の怒りの矛先は、8・2億円もの不適正な値引きが行われた「森友学園」への国有地売却をめぐる国会での虚偽答弁が明らかになった佐川宣寿前財務省理財局長(現国税庁長官)。そして、その佐川氏を「適材適所」といってかばい、疑惑の幕引きを図ろうとする安倍晋三首相や麻生太郎財務相です。
(林信誠)
国有地の不適正売却
意図的に隠蔽か
佐川氏は国会で、問題の国有地売却交渉についての文書も面談の記録もすべて「廃棄し、残っていない」と一貫して答弁。売却価格の決定や価格そのものについても「適正だった」と説明していました。ところが、その答弁は、この間判明した内部文書や調査などでことごとく虚偽だったことが明らかになっています(表)。会計検査院も、値引きの“根拠”とされたゴミの量は「最大7割も過大」だったと指摘し、売却価格についても「十分な根拠がない」と指弾しています。
国有財産=国民の財産である国有地を、特定の学校法人に法外な安値で売却した責任をだれ一人とっていないのは異常です。
国有地売却をめぐっては、安倍首相の妻・昭恵氏付の政府職員が国有地の「売買予約付定期借地契約」などについて森友側の要望を財務省に伝え、回答を得ていた事実も判明しています。安倍首相や夫人と癒着関係にある学園への不正な国有地売却が行われた可能性のある記録を意図的に隠蔽(いんぺい)していたのではないか――。これこそが、佐川氏に問われている疑惑です。
「自発的な納税義務」
国民には履行迫る
佐川氏は昨年7月、次官級の国税庁長官に“栄転”しました。
その佐川氏は、国税庁に記者会見記録が残っている9人の歴代長官のなかで唯一、長官就任時の記者会見を行っていません。就任後も一度も会見に応じていないのです。
驚くべきは、1月15日付の税理士業界紙「税理士界」に掲載された対談記事での佐川氏の発言です。「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」
国民に対して忠実に職務を行うべき行政機関の幹部として、政権の疑惑にかかわる記録を隠蔽しながら、国民には「自発的な納税義務の履行」を迫る姿勢が納税者の怒りを呼ぶのは当然です。
同記事で佐川氏は「納税者や税理士の皆様から信頼される組織運営」「適正・公平な課税・徴収の実現」に努めるなどとも表明しています。
税務署で確定申告についての相談電話を受けている千葉県の派遣労働者の男性は「1日に20~30本の電話を受け、そのうち1割がクレームです」「麻生(太郎財務)大臣は、『クレームはあるかもしれない』といっているが、あきれて腹が立ちます。大臣こそ適材ではない」と語ります。
「適材適所」「有能」と答弁
擁護する首相ら
そんな佐川氏をかばっているのが安倍政権です。安倍首相は、佐川氏の国税庁長官起用は「他の全ての人事と同じく、適材適所の考えに基づいて行った」(1月24日の衆院本会議答弁)と胸を張りました。
佐川氏の証人喚問要求を拒否する理由について、麻生財務相は「前職(理財局長)のことを国税庁長官として答える立場ではない」(13日、衆院予算委員会)などと説明。佐川氏本人については「極めて有能な役人だ」(15日、同委)と持ち上げる始末です。
国民を前に会見にも応じられず、納税者の怒りを買って全国の税務署での徴税業務に影響を与えている人物がどうして「適材適所」「有能」だなどといえるのでしょうか。
昭恵氏含む証人喚問要求
野党各党は一致
日本共産党は、昨年の特別国会で宮本岳志衆院議員が、国有地売却価格をめぐり国側職員と森友学園関係者が“口裏合わせ”を行っていた音声データを明らかにしましたが、今通常国会でも、「森友」疑惑追及の手は緩めていません。1日の参院予算委員会では辰巳孝太郎議員が新たな音声データの内容を示し、籠池泰典理事長(当時)が近畿財務局などとの面談で、昭恵氏から電話で「頑張ってください」と言われたと伝えていたことを明らかにしました。
厳しい追及のもと、財務省は新たに計20件、300ページに上る内部記録を開示しました。近畿財務局担当者が森友側の要望をなんとかしてかなえようと法務担当者に相談を繰り返した記録です。何らかの“力”のもとで同学園を“特別扱い”していたのは明らかです。
佐川氏の隠蔽と不適正な土地の売却の実態が明らかになったもとで、野党は昭恵氏に加え、佐川氏の証人喚問要求でも一致しています。
異様な売却の“背景”
便宜図った事情は
日本共産党の小池晃書記局長は13日の記者会見で、佐川氏の虚偽答弁問題について「問題は、なぜ佐川氏が事実を隠し続けたのかだ」と指摘。国民の財産をできるだけ安く売ろうという異様な対応をした背景には、森友学園側に便宜を図らなければいけない事情があったのではないか。「それを明らかにするには、佐川氏と安倍昭恵氏の証人喚問は不可欠だ」と強調しました。
(しんぶん赤旗日刊2/16付けより転載)