安倍政権 追いつめる
共産党の論戦 通常国会2カ月
安倍政権の土台を揺るがす大激動が通常国会を舞台に続いています。開会から2カ月。「安倍1強」と言われた内閣の支持率は急降下し、「森友文書」改ざんへの怒り、真相究明を求める声が沸き起こっています。市民と力を合わせる日本共産党の論戦、野党の結束が安倍政権を追い込んでいます。
「痛いところを突かれた」首相
「森友」公文書改ざん
「2人の鋭い追及に対し答弁不能。疑惑はいっそう深まった」「1年間、国民をだましていたのに証人喚問で答えないのは許せない」―。3月27日に衆参両院の予算委員会で行われた証人喚問で、証言拒否を連発した佐川宣寿(のぶひさ)前理財局長を追い詰めた日本共産党の小池晃書記局長、宮本岳志衆院議員の尋問を見た視聴者の感想です。
ジャーナリストの田原総一朗氏は「野党各党の中で、共産党の小池晃氏が非常に鋭い切り込みをしていた」(「日経ビジネスオンライン」同30日付)として、改ざん前の決裁文書と佐川氏の国会答弁との矛盾を追及した論戦に注目。証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」と逃げ続けた佐川氏を小池氏が「証人喚問の意味がない」と一喝した場面を紹介し、「視聴していた国民の多くも同じように感じていただろう」(同)と語っています。
日本共産党は、昨年2月の森友疑惑の発覚当初から一貫して真相究明の論戦を展開。森友学園側の政界への働きかけを示す自民党の鴻池祥肇(よしただ)参院議員事務所の面談記録を暴露したのをはじめ、近畿財務局と学園とのやりとりを記録した音声データを公表し、他の野党もこれらを取り上げました。
財務省が改ざんを認めた後も、辰巳孝太郎参院議員や小池氏が、改ざんの発端は「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」という昨年2月の安倍晋三首相の進退言及答弁だったことや、改ざんが「首相事案隠し」のために行われたことを参院予算委で追及。財務省の太田充理財局長は「政府全体の答弁は気にしていた」(3月16日)、「(改ざん前の文書に首相の妻・昭恵氏の記述があるのは)総理夫人だから」(同19日)と首相夫妻の影響を認めざるを得なくなりました。
証人喚問後の参院予算委員会でも、辰巳、小池両氏が連続追及しました。安倍首相が「妻が名誉校長を務めているところはあまたあるが、今まで行政等に影響を及ぼしたことはない」と述べた国会答弁について、小池氏が「(『あまたある』というが)名誉校長、名誉園長はどこか」(同28日)と追及。安倍首相は森友学園と加計学園の関係する二つしかないことをしぶしぶ明らかにしました。
「今日は痛いところを(突かれた)」。安倍首相は予算成立を受けたあいさつ回りで訪れた日本共産党の参院控室で、こう言いました。日本共産党の論戦は、安倍政権を追い詰める支柱の役割を果たしています。
「核持ち込み」容認つく
「核なき世界」妨害
日本政府が「国是」の非核三原則を否定し、「核兵器のない世界」の実現を妨害してきた事実が、本紙3月4日、5日付スクープと日本共産党の国会論戦で暴露されました。
「沖縄県民にとって核が持ち込まれるかどうかの死活問題だ」。赤嶺政賢議員は3月20日の衆院安保委で、オバマ前米政権の核態勢に関する諮問機関「戦略態勢委員会」の意見聴取で沖縄への核貯蔵庫建設の打診をされた在米日本大使館の秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が「説得力がある」と述べたことを示すメモ(2009年2月27日付)の存在を示して追及。外務省が作成した当時の面談記録などの提出を求めました。河野太郎外相は米側とのやりとりについて「対外的に公表しない前提だ」「公式記録はない」と打ち消しに躍起になりました。
これに対し井上哲士議員は3月26日の参院予算委で、本紙などにメモを提供した米科学者団体「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラーキー氏が沖縄選出議員との懇談(同23日)で、この答弁を「間違っている」と評したことを紹介。戦略態勢委員会の母体である「米平和研究所」が「日本がOKすれば全情報を開示できる」としていることも明らかにしました。
また井上氏は、秋葉氏と米側とのさらに詳細なやりとりが記された手書きのメモ(09年2月25日付)をカラーキー氏が入手したことを踏まえ、「情報開示を拒んでいるのは日本側だ。外務省が開示を求め、国民の前に明らかにすべきだ」と迫りました。河野外相は、戦略態勢委員会のやりとりに関する日本側の記録の存在は認めましたが、開示は拒んでいます。
法案の共同提出次々と
進む野党間の結束
「安倍内閣は総辞職を」の市民のたたかいに呼応し、野党の結束が日に日に強まっています。
厚労省の裁量労働制のデータ捏造(ねつぞう)、財務省の「森友」決裁文書の改ざん、前川喜平前文科事務次官の公開授業に対する文科省と自民党議員の執拗(しつよう)な調査―。安倍強権政治の「毒」が、政府・政権党に回っている異常事態です。
これに対し、日本共産党、立憲民主党、民進党、希望の党、自由党、社民党の6野党は、書記局長・幹事長会談や決起集会、政府に対する合同ヒアリングなどで結束を強め、安倍政権に対決してきました。このなかで、決裁文書の改ざん問題で当初政府・与党が拒否してきた佐川氏の証人喚問を実現。「働き方改革」一括法案から裁量労働制の部分を全面削除させました。
前川氏の授業調査問題での野党合同ヒアリングで、文科省は、調査前に外部から問い合わせがあったことを認めました。衆参の文科委員会では野党議員が「教育現場への政治の不当な介入だ」とそろって追及。高まる批判を受け、自民党文科部会長の赤池誠章参院議員と同代理の池田佳隆衆院議員が働きかけを認めました。
野党は政府・与党の国政私物化をただす一方で、共同法案を提出しています。
3月9日には、共産、立憲民主、自由、社民の4野党が、全原発の速やかな停止・廃炉を掲げた「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)を衆院に共同提出しました。
6野党がそろって3月29日に提出した子どもの生活底上げ法案(生活保護法等改正案)は、同30日に衆院本会議で審議入りしました。立民の池田真紀議員が「貧困な子どもたちを苦しめる政治を許すわけにいかない」と趣旨説明。共産党の高橋千鶴子議員が法案の効果について質問し、法案提出者の一人として宮本徹議員が「生活保護基準の引き下げはできない」内容だと答弁に立ち、国民の立場に立った政治のありようを示しました。
(しんぶん赤旗日刊4/2付けより転載)