衆院予算委 宮本岳志氏、加計疑惑で首相追及
「首相案件」否定根拠示せず
「国民欺く政権、資格ない」
日本共産党の宮本岳志議員は11日の衆院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、愛媛県職員が2015年4月に官邸を訪れ、藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)と柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)と面会した際の記録を示して、「はるか前から『加計ありき』で決まっていた」と追及。藤原、柳瀬両氏の証人喚問を求めました。
宮本氏が示した「面会記録」は、愛媛県が作成を認めたもの。記録には、藤原氏が「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と獣医学部新設を指南していたことや、柳瀬氏が「首相案件」と後押ししていたことが記載されています。宮本氏は、安倍晋三首相が加計学園の獣医学部新設の意向を知ったのは昨年1月20日だったと答弁していたこととの矛盾を追及しました。
安倍首相は「加計(孝太郎・加計学園理事長)さんから獣医学部新設について相談や依頼があったことは一切ない」と述べるだけで、記録を否定する何の根拠も示せませんでした。宮本氏は「愛媛県には首相を陥れるような文書を作るメリットは何もない。こういうものが出てきた以上、挙証責任は政府にある」と強調しました。
さらに、宮本氏は、学校法人「森友学園」への国有地取引をめぐって昨年2月22日、財務省の前理財局長の佐川宣寿氏と現在の理財局長の太田充氏(当時、大臣官房総括審議官)が菅義偉官房長官に国有地売却の経緯などについて説明した際、財務省の決裁文書の決裁者の1人が同席していたことを指摘。この説明の場で、「『決裁文書に昭恵氏の名前が記載されている』と官房長官に伝えなかったのか」と追及しました。菅官房長官は「そうした(昭恵氏の名前の記載の)報告は一切受けていない」と否定しました。
これに対し、宮本氏は「昨年2月22日という日は改ざんが実行に移される時期であり、『口裏合わせ』という隠ぺい工作も始まった時期だ」と強調。財務省が学園側にゴミの撤去について「トラック何千台も走った気がする」とウソをつくよう要請していたこともあげ、「今でも8億2000万円の値引きが適正だったと言えるのか」と追及しました。
安倍首相は「(役人の説明を)信頼して仕事をするしかない」と無責任な答弁に終始。宮本氏は「隠ぺい、改ざん、ねつ造、口裏合わせは全て安倍政治の核心部分で起きている大問題であり、国会と国民を欺く政権には、一日たりとも政権を担う資格はない」と強調しました。(しんぶん赤旗日刊4/12付けより転載)20180411予算委集中
論戦ハイライト
隠ぺい・改ざん・ねつ造 全て安倍政治の核心で
衆院予算委 宮本岳志議員の質問
日本共産党の宮本岳志議員は11日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相らの関与の疑いが強まる一方の森友・加計学園疑惑について、独自入手した愛媛県作成の文書などを示して追及しました。
加計疑惑
宮本 メモのやりとりと、17年1月まで学園の意向を知らなかったと言う首相答弁は矛盾する
首相 柳瀬氏は「首相案件」と言うことは「あり得ない」とコメントしている
宮本 証人喚問を求める
宮本氏が示した文書は、加計学園の国家戦略特区での獣医学部新設(愛媛県今治市)をめぐり、2015年4月2日、同県職員が当時の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長、柳瀬唯夫首相秘書官と面会した際の記録(メモ)です。
記録は、柳瀬秘書官の「本件は、首相案件」との言葉を記述。「安倍総理と同学園理事長(=加計孝太郎氏)が会食した際」に、獣医学部新設をめざす学園側が「意見」を求めたのに対して「助言があった」と記しています。藤原氏の「県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」との発言も書かれています。
宮本氏は「15年12月に特区諮問会議が今治市を特区に決めるはるか前に、“加計ありき”で決まっていた」と指摘。17年1月20日に加計学園が事業者に決まるまで、学園の意向を“知らなかった”と答弁した安倍首相をただしました。
宮本 15年4月のメモのやりとりがあったとすれば、17年1月20日まで知らなかったとの答弁と矛盾する。
安倍首相 柳瀬氏は具体的な話(首相案件)をすることは「あり得ない」とコメントしている。
宮本 柳瀬氏は「記憶にない」と言いながら、「あり得ない」と断定している。ご都合主義だ。「私が関与したと言った人は一人もいない」との答弁は撤回すべきだ。
首相 私がかかわっていたことを指したものではない。
宮本 柳瀬氏は記憶にないと言っているにすぎない。挙証責任は政府にある。藤原、柳瀬両氏の証人喚問を求める。
森友疑惑
宮本 値引きが「適正」でなかったからこそウソの説明を頼んだ。今でも「適正」と言えるか
首相 答弁に立てず
森友学園への国有地売却に関して宮本氏は、「総理は『私の家内の名前も出たから、徹底的に調べろと指示した』と語った。昭恵氏の名前が出たことが『指示』の動機か」と質問。安倍首相は「妻の名前も出ており、真相を明らかにする意味で指示した」と述べました。
宮本氏は、菅義偉官房長官が17年2月22日に当時の佐川宣寿・理財局長、太田充・大臣官房総括審議官(現理財局長)らから、森友学園への国有地払い下げの説明を受けたことに言及。「改ざんが実行に移される時期であり、学園にウソの説明を要請するという隠ぺい工作も行われている」と強調しました。
その上で、同省が大幅値引きのために地中ゴミの量を過大に見積もろうと、学園側に「トラック何千台も走った気がする」との虚偽説明をするよう依頼した問題に言及。「値引きが『適正』でなかったからこそ、ウソの説明を頼んだ。いまでも値引きが『適正』だったと言えるか」とただしました。
野党席からいっせいに「総理」の声が飛ぶ中、首相は答弁に立てず、「適正さ」を何ら語れませんでした。
宮本氏は、安倍首相が昨年3月、自民党の西田昌司参院議員に「8億円値引きされたことの『正当性』を、質疑を通してうまく説明してほしい」と要請したとの報道を挙げ、追及しました。
宮本 西田氏の質問に注文を付けたのか。
安倍首相 西田氏と別件で電話した際、話を聞いてみた。質問の中身は依頼していない。
宮本 現に西田氏は質疑で値引きの「正当性」を主張した。総理が値引きの「適正さ」の頼みにした会計検査院の報告では、ゴミの量などの国の見積もりに「十分な根拠が確認できない」とした。
安倍首相 財務省が説明責任を果たしていく。
宮本氏は「結局、ウソにつじつまを合わせるため、財務省が虚偽説明を森友に求めるに至った」と指摘。「隠ぺい・改ざん・ねつ造・口裏合わせは、全て安倍政治の核心部分で起きている大問題だ。国会と国民を欺く政権に、一日たりとも政権を担う資格はない」と批判しました。(しんぶん赤旗日刊4/12付けより転載)