鉄道バリアフリー化で国交省
“利用者負担に「一定の理解」” 民間アンケート 都合よく引用
宮本岳志議員「データ偽り許されない」
国土交通省の検討会が消費者団体のアンケート結果の一部を都合よく引用し、鉄道のバリアフリー化を進める費用を利用者が運賃で負担することに「一定の理解」が示されたと発表していたことが分かりました。日本共産党の宮本岳志衆院議員の国会での質問で判明しました。
問題となったのは、国交省鉄道局に設けた検討会が今年2月に発表したバリアフリー化の費用に関する「中間とりまとめ」で引用されたアンケート結果。しかし「理解」の根拠となるアンケート内容の記述は一切ありませんでした。
鉄道局によると、アンケートは、日本消費者協会が実施。バリアフリー化の費用を誰が負担すべきだと考えるかを尋ねたもので、(1)鉄道事業者が利益から(2)国・自治体が税金から(3)利用者が運賃から―を組み合わせた八つの選択肢から選ぶ方式でした。回答した75人中、利用者負担を含む選択肢は合計で25人しかいなかったのに対し、利用者負担を含まない選択肢は合計で41人と多数を占めました。
ところが「中間とりまとめ」では、「事業者、国・自治体、利用者の三者が応分に負担すべきとの意見が一番多かった」として、「利用者も広く薄く負担してもいいのではないか」「多少でも負担することで心のバリアフリー化への理解が進む」といった利用者負担を認める意見のみを取り上げ、「(利用者の)一定程度の理解がある旨が示された」としました。
この問題を取り上げた4月18日の衆院国交委員会での宮本議員の質問に、石井啓一国交相は「今後、利用者等の意見を幅広く聴取し、適切に検討したい」と述べました。
宮本議員が27日、アンケートを取った日本消費者協会の河野康子理事に事情を聞いたところ「バリアフリー化を進めてほしいという切実な声を届けたかった。利用者負担を進めてほしいという趣旨ではありません」と答えたといいます。
宮本議員は「『中間とりまとめ』では、アンケート結果を恣意(しい)的に引用し、費用負担してもいいという利用者の声が一番多かったかのように書いていました。この間、隠ぺい、改ざん、ねつ造など、安倍政権に都合よく文書やデータが扱われていることが明らかになっています。国会審議の土台となるデータを偽ることは許されません」と話しています。
(しんぶん赤旗日刊5/1付けより転載)