野党、国会欺く首相・与党批判
政府がカジノ法案の審議入り強行 衆院本会議
安倍晋三首相が2015年2月25日に加計学園の加計孝太郎理事長と面談したことが愛媛県の新文書で判明し、首相の進退に関わる重大事態となるなか、政府・与党は22日の衆院本会議でカジノ実施法案の審議入りを強行しました。日本共産党など野党各党は、国会で1年も虚偽答弁を続けてきた安倍首相と、疑惑解明にフタをして悪法をごり押しする政府・与党を厳しく批判しました。
安倍首相は、学園の獣医学部新設を知ったのは昨年1月20日だと繰り返し答弁してきましたが、愛媛県の新文書で虚偽の疑いが強まっています。この日の衆院本会議での答弁で、安倍首相は15年2月25日に「加計理事長と会ったことはない。これまで答弁してきたとおり、獣医学部の新設について話をしたことはない」と言い張り、面会を否定しました。
カジノ実施法案の質疑で、日本共産党の宮本岳志議員は、愛媛県の新文書は国会の国政調査権に基づく要求に対して提出されたもので、首相が国会を欺き、虚偽の答弁を重ねてきたのではないかという極めて重大な疑惑を示すものだと指摘。加計氏と柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問、中村時広愛媛県知事の参考人招致を求めました。
茂木敏充TPP担当相不信任決議案の賛成討論に立った日本共産党の宮本徹議員は、「行政の私物化を隠すために国会を欺き続け、関係者を巻き込み虚偽の答弁をさせる。まことに罪深い」と安倍首相を追及。「今やるべきはTPP、働き方改悪、カジノ実施法案の強行ではない。総理主導の疑いが決定的となった加計疑惑の真相究明の責任を果たすことだ」と強調しました。
茂木担当相の不信任決議案は、自民党、公明党、日本維新の会などの反対多数で否決されました。
「依存症増やす悪法」
宮本岳氏 カジノ実施法案を批判
刑法が禁じる賭博場・カジノを解禁するカジノ実施法案が22日、衆院本会議で審議入りしました。本会議前の議院運営委員会で、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会が反対するなか、自民、公明両党と日本維新の会の賛成で強行されました。
同法案は民営カジノを解禁したうえで、「規制」策として▽日本人客は入場料1回6000円▽入場は7日間に3回、28日間に10回まで▽設置は全国で3カ所―などを定めるもの。カジノ依存症防止の実効性はなく、設置数も「7年後に見直す」としており、野放図に拡大する危険があります。
本会議で質疑に立った共産党の宮本岳志議員は、賭博は競馬や競輪等の公営ギャンブルだけが特別法で認められてきたと指摘。「なぜ違法だった民営賭博が合法になるのか」とただしました。
さらに、経済活性化や雇用増の「公益性がある」という合法化の口実について、「賭博は金を巻き上げるだけで経済効果を試算するシロモノではない」と批判。「射幸性の抑制が公益性の要件だったが、民営カジノは射幸性を高めて依存度を増し、もうけを増やそうとすることは目に見えている。射幸性の制御さえできない民営カジノに公益性はない」と強調しました。
安倍首相は合法化の論拠を示さず、射幸性の程度を含む「制度設計を全体としてみれば、法秩序全体の整合性は確保されている」と強弁しました。
宮本氏は、各種世論調査でカジノ解禁反対が6割を超え、今国会で「成立させる必要はない」が7割超だと指摘。「違法性が高く経済効果もない上に、カジノ資本が国民を搾取し、深刻なギャンブル依存症を増加させる悪法だ」として廃案を強く求めました。
(しんぶん赤旗日刊5/23付けより転載)