森友・加計問題 共産党追及チーム 2文書公表
政権への忖度 赤裸々
政府のごまかし今も
日本共産党国会議員団の森友・加計問題の追及チームは5日、国会内で記者会見し、財務・国土交通の両省局長らが森友学園との国有地取引をめぐる対応を「口裏合わせ」した文書(別項)と、国交省が会計検査院への意見をまとめた文書の二つの証拠文書を公表しました。宮本岳志衆院議員は「5月28日以降の質疑でわが党は、新たな事実を示した。政府がいかにごまかすかを今もやり続けているという事実だ」と強調しました。
共産党がこの間新たに入手していた資料は3種類。一つは、昨年2月13日に近畿財務局が作成した森友学園との「応接記録」、次に昨年9月7日に財務省の太田充理財局長と国交省の蝦名邦晴航空局長が検査院や国会への対応を協議した「意見交換概要」(A4判2ページ)、三つめは同8月に国交省が作成したとみられる「会計検査院報告原案への主な意見」(A4判30ページ)です。
このうち「応接記録」は財務省が4日に提出した資料に含まれ、真実性が確認されています。このため、同じ方法で入手した他の2資料も公表しました。
「意見交換概要」では、検査院に8億円値引きの理由をどう主張するか検討したほか、否定できない点については「『金額』よりも『トン数』のほうがマシ」などとごまかす方法を話し合っています。また、「官邸との関係も含めてメリデメ(メリットとデメリット)をもうちょっと考えさせてほしい」「政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある」など首相官邸への忖(そん)度(たく)が生々しく語られています。
「主な意見」は両局長の意見交換に先立ち、国交省が検査院への言い分をまとめた資料で、「処分費用の試算額『1億9706万余円』や『4億4367万余円』を例示として示すことは、合理性のない試算値が出回るだけ」と撤回を求めるなど、「意見交換概要」で協議した内容と同様の主張が盛り込まれています。
辰巳孝太郎参院議員は「国会への資料提出を官僚や官邸の都合で出すのか出さないのか相談していた。これほど立法府をばかにした話はない」と批判。宮本徹衆院議員は「彼らのつくったストーリーに合う文書は出し、合わないものは隠している。太田局長の『政権のデメリットも考えて』という対応が今も続いているということだ」と指摘し、引き続き追及するとしました。
航空局長と理財局長との意見交換概要
日本共産党国会議員団の森友・加計問題追及チームが5日、記者会見で公表した「航空局長と理財局長との意見交換概要」は次の通り。
取扱厳重注意
航空局長と理財局長との意見交換概要
日時:2017.9.7 9:15~9:55
●理財局:太田理財局長、中村総務課長
〇航空局:蝦名航空局長、金井総務課長
両局長で検査院・国会等への協力関係を確認後、意見交換を行った。
(検査院対応)
〇「総額」を報告書から落とすことと、「瑕疵担保免責」の考え方を認めさせて、リスクを遮断するために見える範囲で最大限合理的な範囲で見積もったと主張できるようにしておくことが重要。
●「瑕疵担保免責」については、あまり念頭になかった。考え方はわかるので少し考えさせてほしい。ただ、国の契約のルールもあるので、国として相手がうるさいので広めに見積もったとも言いづらいかもしれない。
●「総額」を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくてはいけない。少なくとも「トン数」は消せないのではないか。「金額」よりも「トン数」の方がマシ。仮に「総額」が残る場合には、むしろ試算額をたくさん記述させ、いろいろなやり方があるとしておいた方がいい。
〇局長レベルの対応をした後、官邸や与党などに対してどのような対応をしていくか。
●検査院に対しては官邸だからといって通用しない。説明していくタイミングも考える必要がある。両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて官房長官への対応するのが基本。与党へもいずれは何らかの対応が必要だろう。相手は検査院なのでこのような報告が出てしまうのはしかたがないとの認識を持たせていくことが必要。
〇今後も深さや混入率、間接工事費などについても引き続き主張すべきことは主張していく。有益費については価値増加額が工事実費であることを認めさせる必要がある。次長級折衝をもう一度行った後、第3局長との局長折衝も行っていきたい。
●できる限り両局で協力して対応していきたい。世間的にはやはり8.2億円がどうなるかが最大の関心事。
〇検査院からリークされた場合にもワンボイスで対応する必要がある。
●了解。いずれにせよ、主張すべきはしつつも、いつ目鼻をつけるかを考えないといけない。
(国会対応等)
○事務的に合意したラインの「ワンボイス」を基本にさらに突っ込まれた際の答弁をすり合わせていきたい。変な相手に対してリスクを遮断するために「瑕疵担保免責」の考え方で見える範囲で最大限の見積もりをしたと言えるかがポイント。
●籠池夫妻が相当な人たちだとのイメージが進む中で、そのような答弁をすることについて、気持ちは同感だが、今までの答弁との関係で、開き直った答弁だと思われないかなど官邸との関係も含めてメリデメをもうちょっと考えさせてほしい。
○テープや資料等がこれからも出てこないか心配している。
●もうある程度は出尽くしているのではないかと思っている。
○協議記録が公になってきている中で、「捜査中なのでコメントできない」だけでもつのか。
●「捜査中なのでコメントできない」だけではもたないし、マイナスのイメージを拡大させてしまうと思う。佐川局長が価格交渉をしたのかどうかが追求のポイントだが、民進党PTはこれまで通りの対応をするが、国会ではなんらかの答弁が必要なので、官邸との関係では容易ではないと思うが、来週にも調整したいと思っている。
○今後決裁文書等についてどこまで提出していくべきか。
●ないものは出せないが、これまでもある程度出してきており、個人的には出せるものはできるだけ出した方がいいと思う。出てしまうと案外追求されなくなるという面もある。ただし、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある。
○その他、「依頼文書」や「軟弱地盤」に関する調整も今後必要だと認識している。また、買い戻し権行使後の土地の処分の扱いについても対外的な言いぶりの調整が必要だと思っている。
●買い戻しの答え方については、「民事再生中なので」というラインだと思うが、原理原則論を言いつつも、上物も含めて実際に誰が買うのかにもよるので、徐々に言い方をトーンダウンさせながら、ワンボイスで対応する必要がある。
(しんぶん赤旗日刊6/6付けより転載)