【ポストコロナに子どもと学生に希望を届ける宮本プラン】の発表にあたって
2020年7月15日 日本共産党前衆議院議員・大阪5区国政対策委員長・宮本たけし
①日本共産党前衆議院議員の宮本岳志。次期総選挙には日本共産党の近畿比例とともに大阪5区から市民と野党の本気の共闘で野党連合政権をひらくことを呼びかけて重複立候補することを、すでに発表させていただいた。今日は大阪5区の4つの行政区、淀川区、東淀川区、此花区、西淀川区から、2人の現職市議会議員と2人の元職、しかしお二人ともわが党市会議員の団長経験者だが、4人の方々にも揃っていただいて会見させていただく。大阪5区はわが党にとって、地域に広く深く根を下ろした、最も強力な選挙区だと自負している。
②私は2009年の総選挙で、石井郁子元衆議院議員の後を受けて衆議院に送っていただいて以来、子どもと教育、学校を担当する文部科学委員会で活動してきた。「新型コロナウイルス感染症」とのたたかいは、子どもたちや学生たちに大きな影を落としている。
そして同時に、「新型コロナ」とのたたかいは子どもと教育のあり方をめぐって、根本的な問いを私たちに突きつけている。そういう問題意識から、この「宮本プラン」をまとめた。
③内容はシンプルに2つだ。小中高の子どもたちに、この機会に20人程度の少人数学級をプレゼントすること。同時に大学や大学院に至るまで、高等教育の学費無償化をめざし、この際、授業料を思い切って半額に引き下げるということだ。この2つは日本共産党と私が、国会で、繰り返し、繰り返し、いっかんして求め続けてきたものである。
中身は読んでいただけばわかるように書いたつもりだし、それぞれ12項目に及ぶ詳細な資料も添付した。いくつかのポイントに絞って説明したい。
④まず少人数学級では、コロナ禍の下で、これが子どもたちに最も良いということは、何人も否定しえない事実だ。だからこそ学校の再開にあたって、35人40人を教室に詰め込まず、「分散登校」、すなわちクラスを2つに分けて、15人から20人で授業を開始した。
これは、誰が考えても「少人数学級が子どもたちにとって最も安全だ」ということをしめすものだ。今ふたたび35人40人のクラスに戻っているが、これでは「3密」を避けるための2メートルという間隔が確保できないことは、証明する必要もない自明のことだ。
⑤「20人程度の少人数学級」は新型コロナ感染から子どもたちを守る上で有効というだけではない。一人ひとりの子どもたちに、ゆきとどいた教育を進めるうえでも極めて有効だ。
「プラン」にも書いたように、去る6月19日の大阪府教育委員会の教育委員会会議でも「分散登校中は不登校の児童生徒数が減った」ことが報告されている。子どもたちからは「こんなに先生と話ができたのは初めてのこと」だという声も出されている。
⑥大事なことは、少人数学級を求める要求は「贅沢」でもなんでもなく、当然すぎるぐらい当然の要求だということを強調したい。OECD(経済協力開発機構)33か国中で日本は下から3番目に1学級の児童数が多い国で、OECDの平均も「1学級21人」で、「クラスサイズは20人程度」というのが世界の常識。
⑦「プラン」では2011年2月4日衆議院予算委員会での私の論戦を紹介しているが、米軍基地の中に、米軍の兵士の子どもたちのための学校を「思いやり予算」という、日本国民の税金でつくってやっている。そこでは80平米の教室に18人から25人学級で授業を行っている。私たちの子どもたちが、64平米の教室に35人も40人も詰め込まれていることこそ極めて異常で、屈辱的だと言わねばならない。
⑧6月10日の衆議院予算委員会での日本共産党志位和夫委員長の質問に、安倍首相も「 コロナ後を見据えて検討していきたい」と応じたし、全国知事会、市長会、町村会も連名で国に少人数学級を要望している。「プラン」では大阪市内の小中学校で、約5400人の教員を増やせば十分可能であり、それに必要な予算は448億円であること、それは大阪市が他の政令市よりも突出して多額にため込んでいる「財政調整基金」、現在でも千数百億円残っているうちの3分の1程度を取り崩すだけで十分やれるものだ。
⑨松井市長も吉村知事も、全国知事会や全国市長会で国に要望するときには、「少人数学級」の重要性がわかっているのなら、国がやらないのなら、必要なことは、大阪市や大阪府の予算ででもやるべきではないのか。同時に、これを本気でやるなら、教室も足りない。どうして「小学校統廃合」など進められるのか。
⑩資料6に新型コロナまっただ中の今年6月26日に大阪市が定めた「学校配置の適正化の推進のための指針」の「指針策定の主旨」という文書を付けておいたが、これはあまりにも酷い。「子どもの数が減っているのに学校が減らないのは問題だ」と決めつけ、「学校が地域コミュニティの核となっていること」や、「学校に対する強い愛着心があること」などは当然であるにもかかわらず、「協議が長期化する」ことを避けるためなどと称して、条例で機械的に学校統廃合を進めようというものだ。このような学校統廃合は、直ちに中止すべきだ。
⑪2つ目の大学の学費の半減も過大な要求ではない。そもそもわが国は、平成24年(2012年)9月11日に、国際人権A規約(社会権規約)13条2の(b)及び(c)の留保を撤回し、受け入れたことにより、大学や大学院に至るまでの高等教育を段階的に無償にしていく国際的責任を負った。あれから8年、「無償教育の漸進的な導入」に拘束されているというなら、コロナなど無くても授業料が半額程度に下げられていてしかるべきだ。
⑫私の「プラン」では、学生団体「高等教育無償化プロジェクト・フリー」のインターネット調査で5人に1人の学生が「アルバイト収入減や親御さんの収入減など」を理由に大学中退を検討しているという衝撃的な現実を紹介したが、お金が理由で大学を中退せざるを得ないなどという現実があるとすれば、国際条約はもちろん、日本国憲法26条にも真っ向から反する事態だと言わねばならない。
⑬今日の大学高学費の背景には国が年々国立大学の運営費交付金や私立大学への私学助成の補助割合を減らしてきたことがある。2004年度に総額で1兆2400億円を超えていた国立大学運営費交付金は、2018年度には1兆1000億円を割り込んだ。また1980年度にはピークの29.5%とほぼ3割に達していた私立大学における経常費補助割合は、年々減り続け、2015年度にはついに1割をも割り込んだ。初年度納入金が国立で約82万円、公立なら93万円、私学ならなんと133万円もの高学費になった原因は、まさにここにある。
⑭「宮本プラン」はこの問題でも、いったいどれだけの予算があれば府大や市大の学費を半額まで下げることができるのか、市大だけなら16億円、府大と市大を合わせても31億円あれば可能であることを、大阪市あるいは大阪府当局の試算で示している。たとえばいま、松井市長や吉村知事は、11月1日に住民投票を実施しようとしているが、5年前の住民投票には32億円という経費がかかったことがすでに明らかになっている。そのようなものに32億円もかけるぐらいなら、府大・市大の学費の半減こそ実現すべきではないか。
⑮この「プラン」は、他の野党や市民連合のみなさんともおおいに政策を共有し、問題意識を交流したい。同時に日本共産党ならではの切り口も盛り込んだ。例えば「思いやり予算」でつくっている米軍基地内の学校の事例などは、わが党でなければ指摘できない問題だ。
⑯野党共闘は安倍政権を打倒するためだけのものではない。もちろん打倒しなければ新しい政治は始まらないのだが、倒してからが本番だ。野党は市民と結束して、安倍政治に代わる、新しい希望ある政治の中身をしめさなくてはならない。そして野党連合政権ができたらどのような日本に変わるのかについて、責任ある政権構想をしめす必要があるだろう。
⑰その点で、この「宮本プラン」は子どもたちや学生に、希望ある未来をさし示すとともに、今すぐでも実現可能な建設的対案にもなっている。これからこれを持って、教育関係者や学校長、PTAの関係者や町内会の役員さん、大学の学長さんや学生団体なども訪ねたい。これまでもお付き合いのある従来の枠を超えて、大いに意見交換をおこないたい。
そして、みんなの力でこれらの課題をぜひとも実現したい。国民的な議論を前に進めることを強く呼びかけて説明とする。
以上