個人の投資被害防げ 宮本岳志議員 不招請勧誘の禁止を (しんぶん赤旗)
189-衆-財務金融委員会-11号 平成27年05月15日
平成二十七年五月十五日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 古川 禎久君
理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君
理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君
理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君
理事 丸山 穂高君 理事 伊藤 渉君
井上 貴博君 井林 辰憲君
岩田 和親君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 國場幸之助君
柴山 昌彦君 鈴木 隼人君
田野瀬太道君 津島 淳君
冨樫 博之君 中山 展宏君
根本 幸典君 福田 達夫君
藤丸 敏君 堀内 詔子君
牧島かれん君 務台 俊介君
宗清 皇一君 山田 賢司君
大島 敦君 玄葉光一郎君
津村 啓介君 古川 元久君
鷲尾英一郎君 伊東 信久君
吉田 豊史君 岡本 三成君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
経済産業大臣政務官 関 芳弘君
政府参考人
(内閣府消費者委員会事務局長) 黒木 理恵君
政府参考人
(金融庁総務企画局長) 池田 唯一君
政府参考人
(金融庁監督局長) 森 信親君
政府参考人
(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 大森 泰人君
政府参考人
(消費者庁審議官) 河津 司君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 松永 明君
財務金融委員会専門員 関根 弘君
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
竹本 直一君 堀内 詔子君
根本 幸典君 冨樫 博之君
藤丸 敏君 岩田 和親君
前原 誠司君 津村 啓介君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 藤丸 敏君
冨樫 博之君 根本 幸典君
堀内 詔子君 竹本 直一君
津村 啓介君 前原 誠司君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
金融商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)
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<詐欺的投資被害を増やす抜け穴~1人が「プロ」なら残りの人は素人でも「プロ」向けファンドが規制されない~>
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、本改正案の目的についてお伺いいたします。
大臣は、趣旨説明において、適格機関投資家等特例業務に関する特例制度をめぐる昨今の状況を踏まえ、成長資金の円滑な供給を確保しつつ、投資者の保護を図るため、業務を行う者に対し、さまざまな規制強化を行う、こう説明をいたしました。
プロ向けファンドを利用した消費者被害が高齢者を中心に増加していることが本改正案の背景にあると思うんですけれども、このような被害を根絶することが本改正の目的と理解していいのか。具体的に、本改正の目的を大臣から御説明いただきたいと思います。
○麻生国務大臣 宮本先生から御指摘のあったとおり、プロ向けファンドにおきましては、ファンドの販売を行う業者が、今言われましたように、高齢者とか素人の、大金持ちじゃない、小金持ちぐらいかな、投資者に被害を与えるケースが増加しているというのが実態。したがって、ファンドへの信頼というものを確保しておかないと、今、八百九十兆に及ぶ個人金融資産のうちの現預金、現預金だけで八百九十兆あると言われていますが、こういったものが成長資金に、貯金から投資へというような形で円滑に回っていくためにも、投資者被害というものを考えるとこれがまたとまることになりますので、そういったものを防止していく必要があろうと思いますので、所要の措置を講ずるべくこの法案を提出させていただいたというのが背景であります。
○宮本(岳)委員 昨年の当委員会で、我が党の佐々木憲昭議員の質問に対して麻生大臣は、「プロ向けのファンドということなんですが、現実はプロ向けじゃないというのが一番話を込み入らせているというか、被害を大きくしている」と述べられました。
まさにそのとおりでありまして、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資被害の特徴は、プロ投資家を対象とする仕組みであるにもかかわらず、一名以上のプロがいれば、四十九名以下ならプロ以外の者にもプロ向けファンドの販売、投資運用ができるという特例を利用し、一般消費者に被害を拡大させたという点であります。
二〇〇七年に証券取引法が改正され金融商品取引法が成立したときからこの制度は設けられております。プロ向けファンドなのにどうして一般投資家にも販売できるようにしたのか、その理由をお答えいただけますか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘がありましたように、プロ向けファンドにつきましては、金融商品取引法の制定に伴いまして新たに規制がかけられることとなったところでありますけれども、この際、プロ向けファンドは基本的にプロ投資家を対象とするファンドではありますが、当該ファンドと関係の深い一般投資家なども出資している場合があるというファンド業務の実態を踏まえ、そうした方が少人数にとどまる場合においてはプロ向けファンドとして簡素な規制をするということで、ファンドを通じた成長資金の円滑な供給を阻害しないということが配慮されたということであると理解をしております。
○宮本(岳)委員 金融審議会ワーキングチームに提出された金融庁の資料を見ますと、当時の議論は、プロ投資家を対象とするファンドについては、一般投資家を念頭に置いた規制を相当程度簡素化し、金融イノベーションを阻害するような過剰な規制とならないように配慮するとしながらも、当該プロ投資家と関係の深い一般投資家で、ファンド運営会社の役員等も出資しているような場合も多いとの実態を踏まえ、プロ投資家以外の者が少数にとどまる場合には、プロ向けファンドとしてプロ投資家のみを対象とするファンドと同等の扱いとすると、今答弁のあった、そういう抜け道をつくったことが語られております。
当該プロ投資家と関係の深い一般投資家というんですけれども、幾ら関係が深いとはいえ、アマチュアの一般投資家である人、プロ投資家同様の投資判断能力がない投資家にリスクの高い金融商品がプロ向けの方法で販売されるということは当然想定できるわけですね。
ですから、これは、うがった言い方をすれば、当初から、リスクマネーの供給のためには多少被害があっても仕方がない、こう金融庁は考えていたのではないかと私は思うんですが、大臣、そういう嫌いはございませんか。
○麻生国務大臣 基本的に、この役所はそういった発想のない役所ですな。私らに言わせたら、投資というものはある程度リスクのあるものだと思っているんですが、絶対ないようにしようというように考えるのが役人かしら、この人たちの言うことを聞いていたら金は全然動かなくなるなと思って聞いていました。
○宮本(岳)委員 大臣、被害の実態を少ししっかり見据えて議論をしたいと思うんですね。
内閣府の消費者委員会は、二〇一三年八月にまとめた詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての調査報告において、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資勧誘被害の存在を報告し、とりわけ高齢消費者被害への対策の必要性を指摘して、翌二〇一四年四月二十二日の適格機関投資家等特例業務についての提言というものを行いました。
消費者委員会にきょうは来ていただいておりますから聞きますけれども、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資勧誘とこれによる深刻な被害が後を絶たないと指摘しておりますけれども、提言を行った背景について述べていただけますか。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
消費者委員会は、御指摘のとおり、平成二十六年四月二十二日に、先ほど御指摘の提言を取りまとめ、公表したところでございます。
この提言を公表した背景でございますけれども、適格機関投資家等特例業務が本来プロ向けの制度であるにもかかわらず、現行の規定では、四十九名以下であれば投資経験の乏しい一般投資家も出資することが認められているため、適格機関投資家等特例業務を悪用した詐欺的投資勧誘による深刻な被害が後を絶たない状況があるということでございます。
このため、消費者委員会としましては、適格機関投資家等特例業務における出資者の範囲について、少なくとも億単位の余剰資金を持って投資性の金融取引を年単位で継続的に行っている投資家という要件を満たすべきことと、それから悪質業者の排除のための取り組みを徹底すべきことを提言したものでございます。
○宮本(岳)委員 二〇一三年の十二月に国民生活センターは、「投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意!」を公表し、その被害の特徴をまとめて注意喚起を促すとともに、金融庁等に対策を要望しておられます。
その発表資料で、「自宅への突然の訪問や電話により、投資経験が乏しく積極的に契約を望んでいない高齢者等に対してハイリスクで複雑なプロ向けファンドが販売されている」、こう指摘をしております。
相談の具体例を見ましても、突然の電話で、認知症ぎみの高齢者、八十歳代女性にプロ向けファンドを勧める、判断力が不十分な高齢者、七十歳代女性に必ずもうかると言って電話勧誘する、リスクを理解しない高齢者、七十歳代男性にプロ向けファンドへ出資させるなど、被害者の実情は、とても一般投資家と言えず、先ほど大臣もお話しになった高齢の消費者なんですね。
消費者委員会に聞きますけれども、被害者の多くはハイリスクの投資の知識もない高齢者だと思うんですけれども、そうですね。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
国民生活センターの報告にもありますように、多くは高齢者の方で、投資経験のない方に被害が出ていたというふうに承知をしてございます。
○宮本(岳)委員 今回の法改正案の概要を見ますと、投資の素人にも販売が可能なことから、投資家に被害を与えるケースが急増と書かれております。ちょっと違和感を覚えるんですけれども、金融庁はこのような高齢者の被害者を投資家というふうに見ておられるわけですか。大臣、いかがですか。
○池田政府参考人 金融商品取引法の枠組みで申せば、投資家ないし投資者ということになろうかと考えております。
○宮本(岳)委員 とても投資家と言えないような普通の高齢者がプロ向けファンドに巻き込まれているのが実態なんです。
国民生活センターによれば、相談事案の契約当事者の年代別割合というものは、八十歳以上が二三・八%、七十歳代が三七・九%と、五割以上が七十歳以上の高齢者であります。しかも、多くのケースで強引な勧誘や虚偽の説明により金融商品を買わされていることから、高齢者をターゲットとした詐欺そのものだと言わなければなりません。一般的な投資家がだまされたというようなものでは決してないわけですね。
結局、プロ向けファンドといいながら、一般消費者にもリスクの高い商品を販売できる抜け道を最初からつくったことが、今回の高齢者の投資被害を起こした原因だと思うんです。
では、今回の改正案でどうなるのか。販売可能な投資家の対象範囲については、法律でなく政省令で制限することとなっております。プロ投資家、いわゆる適格機関投資家以外の対象について、どのような内容になっておりますか。
○池田政府参考人 御指摘のとおり、プロ向けファンドの出資者の範囲については政令、内閣府令で具体的に定めることとされておりますけれども、本来プロ向けファンドは、プロ向けの制度であることを踏まえまして、投資の素人である一般の個人は対象外とする。
一方で、ファンドと関係の深い出資者という者もいるプロ向けファンドの実態を踏まえて、投資判断能力を有すると認められる一定の投資家及びプロ向けファンド届出者と密接に関連する者、こういった者に限って、個人については投資が可能な枠組みを政令、内閣府令で規定するということを考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 ですから、販売可能な投資家の対象範囲でありますけれども、今お話にあったように、投資判断能力のある者というのは、プロ投資家以外の対象についてどのような内容を想定しているか、お答えいただけますか。
○池田政府参考人 出資者の範囲は、具体的に申しますと、政府、自治体、あるいは上場会社、純資産または資本金が五千万円以上の法人、あるいは投資性金融資産を一億円以上保有する個人、それからプロ向けファンド届出者及びその親会社、子会社等の役員など、さらにベンチャーファンドにつきましては、一定のガバナンスが確保されることなどを前提に、上場会社の役員、元役員などにも出資を認めるなどの形で規定することを考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 つまり、一般投資家は原則不可となるものの、富裕層個人投資家及びファンド運営業者の役職員が対象者として残されました。ここで言う富裕層個人投資家というのはどのような定義になっておりますか。
○池田政府参考人 その点につきましては、金融審議会での議論を取りまとめました報告書におきまして、投資性金融資産を一億円以上保有する者という者をプロ向けファンドに投資できる個人の範囲にするということの考え方が示されておりまして、これに沿った手当てをしたいと考えております。
○宮本(岳)委員 投資性金融資産を一億円以上保有しているというだけで、プロ投資家と同様の投資知識や経験があると果たして言えるのかということなんですね。例えば、都心に居住していた人が土地を売り、とりあえず公社債などの形で保有する、こういう場合には一億円をすぐに超えます。投資経験もないまま、親から株式等を相続するということもあるでしょう。そもそも、投資性金融資産とは何なのか、なぜ一億円以上なのか、これがまず第一点です。
それから、被害の実態で明らかなように、被害者の大半が高齢者ですから、現役時代には投資経験が豊富な方でも、複雑な新しい金融商品が次々出てきますから、それについては知識が乏しかったり、あるいは認知症を患われるという可能性もあります。多くの資産を保有していても、プロ向けファンドへの投資の適合性が認められない者というのは当然あり得るわけです。このような個人への販売の適正をどのように担保するのか。
先ほどの第一点目を含めて、この二点、お答えいただけますでしょうか。
○池田政府参考人 この投資性金融資産などの規定につきましては、御指摘のような御指摘もあろうかと思いますが、他方、この点についてはある程度外形的に明確に定めませんと、なかなか執行ができないという問題もございます。
また、今回の法制では、政令、内閣府令によりまして投資者の範囲を限定するということとあわせまして、プロ向けファンドの勧誘に関しましても、いわゆる金融商品取引法上の適合性の原則というものを導入させていただくことを提案させていただいているところでございます。
したがいまして、顧客が仮に出資者としての要件を形式的に満たすことになったといたしましても、当該顧客の知識、経験、財産の状況それから契約締結の目的等に照らしまして、そうした方を勧誘することが不適当と認められる場合はそうした勧誘は行ってはならないということをあわせて今回の法律で規定させていただくことを考えているところでございます。
<詐欺的投資被害防止のために勧誘規制を>
○宮本(岳)委員 しかし、業規制やあるいは行為規制で被害は回復しないわけですよ。過去の被害からも実効性は疑わしいと言わざるを得ません。
そこで、高齢者の被害を防止するにはやはり勧誘規制を行うことが重要だと思います。自宅への突然の訪問や電話により、投資経験が乏しく積極的に契約を望んでいない高齢者等に対してハイリスクで複雑なプロ向けファンドが販売されているという先ほどの被害実態を見れば、勧誘の方法に規制をかけることが重要であると私は思うんですね。
そこで聞きますけれども、本改正でどのような勧誘の規制が行われるんですか。
○池田政府参考人 繰り返しの御答弁になりますけれども、今回の法改正におきましては、プロ向けファンドの販売、勧誘につきましていわゆる金商法上の適合性の原則を適用する、それを通じまして、その販売、勧誘に当たりましては、顧客の知識、経験、財産の状況及び投資の目的等を勘案し、適切な勧誘を求めるという規定の導入を御提案させていただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 では、ずばり、勧誘規制は行われるんですか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
これまでの、現在の法律のもとでは、プロ向けファンドに係ります行為規制といたしましては、虚偽の説明をしてはいけない、あるいは損失補填をしてはいけない、こういう行為規制しか存在しておりませんでしたが、今回の法改正におきましては、今申し上げました適合性の原則の導入、それから出資に伴うリスクについての説明義務の導入、そうした、現在、金融商品取引法におけます登録業者、金融商品取引業者について適用されております規制と同様のものを規定させていただくことを御提案させていただいております。
○宮本(岳)委員 なかなか話が進みませんね。
昨年成立したクラウドファンディングの場合には電話、訪問販売は禁止、こうなっているわけですね。しかし、クラウドファンディングよりさらにリスクの高いプロ向けファンドで、一般の個人への販売の道を依然として残しながらも、電話、訪問販売の禁止等々の勧誘規制というのは入っているんですか。
○池田政府参考人 金融商品取引法では、業務の態様などからして、適合性の原則を守ることがおよそ期待されないというような場合にはいわゆる不招請勧誘の禁止等の規定が設けられているケースがございますけれども、今回の法改正案では、そうしたことではなく、適合性原則という原則的なルールの適用ということで対応を図っていくことを御提案させていただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 ずっと議論してきて、冒頭でも確認したように、大臣も、プロ向けといいながらプロでない人たちに売っているというところが一つの問題点だと、こういう議論から始まった。
今回は、そうしたら、その実態を踏まえてプロ以外には一切売らないというふうにするかというと、幾つかの条件を設けるだけで、一般投資家に販売する道を残している。そうなれば当然不招請勧誘の禁止を盛り込むべきだと私は思うけれども、それは設けない、依然としてプロ向けの販売を前提としたルールでいくんだと。これはちょっと不十分なんじゃないかと私は思いますけれども、大臣、そう思われませんか。
○麻生国務大臣 不招請勧誘の禁止というのは、難しい言葉ですけれども、その気でもないやつにいろいろ勧誘するという話なんですけれども、金融商品取引法上、業務の態様などがいろいろありまして、適合性の原則を守ることがおよそ期待されないという人たちを含めて、いろいろ限定的な場合だけに限ってこれは設けられてきたところなんです。
そうした中で、プロ向けファンドに関して、適合性の範囲を超えて直ちに不招請勧誘の禁止ということになりますと、これをやってもまだこういうのがどんどん続いているというならちょっと考えないかぬことになるのかもしれませんけれども、ファンドの円滑な組成とか組み立てに与える影響なんかがありますし、またこれまでの行為規制との間の整合性の問題もあろうと思いますので、それを直ちにこの不招請勧誘のところまでいくのはちょっと、いま少し慎重な態度が必要じゃないかなと今のところ思っております。
<金融市場を活性化させたいなら、安心して信頼できる金融市場をつくることが最も近道>
○宮本(岳)委員 一般の消費者がプロ向けファンドの被害に巻き込まれないようにするためには、言葉どおり対象をプロ投資家に限定することが一番だと思うんですね。仮に限定的に認めるとしても、厳格な行為規制が必要であります。適合性の原則などは具体的な規制を示さなければなりませんし、何よりも、そのような人たちが無用に勧誘されないように不招請勧誘の禁止も盛り込むべきであると私は思います。
次に、参入規制について聞きたい。
プロ向けファンドは届け出のみで始められるために、他の運用、販売業と比べ、安易に始めることができます。現在、金融庁は、金融商品取引法違反行為等が認められたプロ向けファンド届出者に対しては警告書を出し、問題業者としてウエブサイトで公表しております。最近の資料では、届出業者は何者で、うち問題業者は何者ありますか。
○森政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年三月末時点におけるプロ向けファンドの届出者は三千百二十三業者でございますが、このうち、警告書を発出した届出者、報告命令に応じない届出者、連絡がとれない届出者等、問題のある届出者として金融庁ウエブサイトにおいて公表した者は六百三業者となっております。
○宮本(岳)委員 三千百二十三者のうち六百三者といえば約二割、これが問題業者なんですね。しかも、政府の資料によれば三百五十六者は連絡すらとれない、こういう状況であります。とてもまともな市場とは言えません。
証券取引等監視委員会も、件数は少ないんですけれども、毎年届出業者の検査を行っております。二〇一四年度の検査でも、三十一者の特例業務届出者について検査を行い、うち十七者で問題が発覚しております。つまり、五五%、半分以上の業者で適格機関投資家等特例業務の要件を満たさないまま勧誘または運用する事案、成功報酬や配当金などについて実際とは異なる記載がされた勧誘資料で勧誘する事案、ファンド出資金の流用の事案等の問題が発覚したということであります。
二割でも問題でありますけれども、全業者を対象に行えばもっと多くの業者に問題が発見される可能性があるのではないかと私は思いますけれども、大臣はそう思われませんか。
○麻生国務大臣 このプロ向けファンドの届出者に対する検査というのは証券取引等監視委員会が実施しておるというのが実態でありまして、監督部局からの情報、外部から寄せられる情報等々を積極的に利用して、リスクの高い先から選定して、いろいろな意味で実効性のある検査を実施しているものだと私どもは聞いております。
一方、こうした検査は、人的資源が極めて限られておりますので、そういった意味では、実態に応じた数からいえばなかなかそれに合わせられているところがないのではないか。したがって、監視委員会の方からは、制度の整備を受けて、機構の定員要求というものが今後行われることになるだろう。私ども、金融庁というより財務大臣といたしましては、これはまた別の金が要求されることになるなという感じがしないでもありませんよ、正直なところ。
ですけれども、こういう体制整備を固めないと物理的な話で無理なことが出てくるだろうと思いますので、効率的とか効果的とかいうことはやるにしても、定員やら何やら、ある程度の機構改革というものをきちんとやっていかないと、この法律ができても、その整備がやれる、法律どおりに実行せしめるための絶対的な人数をある程度確保する必要があるんじゃないかなという感じはしております。
動き始めたらみんなが自粛して意外ときちんと動く、それほど殊勝な人ばかりいるとは思わぬけれども、そういうことも期待できないわけじゃないとは思いますけれども、ある程度人数の確保が要るだろうかなという感じはしております。
○宮本(岳)委員 悪質業者に目星をつけて調査に入っているから五割を超えているんだという御答弁です。もちろん、私は全体の五割以上だとは言いませんよ。しかし、二割という最初の数よりも多いことは想定されるわけですね。
結局、悪質な業者は、プロ向けファンドを悪用、乱用して高齢者等から資金を集めた後、連絡がとれなくなったり破綻をするという者が少なくなくて、投資者の被害回復を図ることが非常に困難だという場合が多いわけですよ。老後の生活資金を失う被害も珍しくありません。
それで、時間が参りましたから私は終わりますけれども、この間、私は大臣と、NISA、あるいはGPIF、厚生年金基金のAIJ問題など、投資について当委員会でも何度も議論してまいりました。
成長戦略として、リスクマネーを供給するためには何でもするというのが安倍内閣の姿勢であると言わざるを得ません。貯蓄から投資へとの政策目標のために減税や規制緩和を行ってきたわけですけれども、これは全く成功しておりません。今回の改正内容でも明らかなように、悪質業者が潜り込むすきが残されているんです。結局、安心して投資できない市場だから、日本の市場では投資が広がらないのではないか、こう言わざるを得ません。
本法案は、不十分ではありますけれども、消費者団体等の要請に応じて規制強化を進める内容でもあり、我が党も賛成いたしますが、金融市場を活性化させたいのであれば、安心して信頼できる金融市場をつくることが最も近道であるということを指摘して、本日の質問を終わりたいと思います。