小中学校 機械的統廃合やめよ 文科省通知で宮本議員 (しんぶん赤旗)
189-衆-地方創生に関する特別委員会-9号 平成27年05月26日
平成二十七年五月二十六日(火曜日)
午前九時三分開議
出席委員
委員長 鳩山 邦夫君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君
理事 寺田 稔君 理事 福田 昭夫君
理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君
青山 周平君 井上 貴博君
伊藤 達也君 大岡 敏孝君
大野敬太郎君 加藤 寛治君
勝俣 孝明君 黄川田仁志君
小泉進次郎君 新谷 正義君
鈴木 隼人君 田中 英之君
田野瀬太道君 谷川 とむ君
とかしきなおみ君 中谷 真一君
野中 厚君 平井たくや君
福田 達夫君 宮川 典子君
山田 賢司君 義家 弘介君
緒方林太郎君 奥野総一郎君
吉良 州司君 佐々木隆博君
寺田 学君 西村智奈美君
木内 孝胤君 篠原 豪君
村岡 敏英君 稲津 久君
濱村 進君 田村 貴昭君
宮本 岳志君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
法務副大臣 葉梨 康弘君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
文部科学大臣政務官 赤池 誠章君
厚生労働大臣政務官 高階恵美子君
経済産業大臣政務官 関 芳弘君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室次長) 満田 誉君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室長) 内田 要君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 若井 英二君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(財務省主計局次長) 西田 安範君
政府参考人
(財務省理財局次長) 岡本 宰君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 義本 博司君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 小松親次郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山崎 伸彦君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局雇用開発部長) 広畑 義久君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 今別府敏雄君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 石川 正樹君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 佐藤 悦緒君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 北本 政行君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 畠山 裕子君
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
平口 洋君 新谷 正義君
福田 達夫君 田野瀬太道君
山田 賢司君 青山 周平君
奥野総一郎君 西村智奈美君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 山田 賢司君
新谷 正義君 鈴木 隼人君
田野瀬太道君 福田 達夫君
西村智奈美君 奥野総一郎君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 隼人君 平口 洋君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
――――◇―――――
○鳩山委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回の質疑で、私は、静岡県浜松市の天竜区旧龍山村の事例を挙げて、歴史と文化を学習し伝承する場である龍山郷土文化保存伝習施設が打ち捨てられていたこと、そしてその背景には、村内にあった幼稚園、小学校、中学校の全てが廃園、廃校となったことがあるという事実を示して、子供がいなくなり学校をなくしたときに、もはやその町には未来がなくなると指摘をいたしました。
私は、地方創生にとって極めて重要なのは教育だと思っております。
きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、文部科学省はことし一月二十七日、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を策定し、全国の教育委員会に通知いたしました。
ここでは、「小学校の学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」という学校教育法施行規則第四十一条の規定を引きながらも、学校の地域コミュニティーの核としての性格への配慮にも触れておられます。
文部科学省、手引では、地理的要因や地域事情による小規模校の存続についてどのように書いてありますか。
○小松政府参考人 御指摘の箇所につきまして、文章を御紹介申し上げます。
特に山間へき地、離島といった地理的な要因や、過疎地など学校が地域コミュニティの存続に決定的な役割を果たしている等の様々な地域事情により、学校統合によって適正規模化を進めることが困難であると考える地域や、小規模校を存続させることが必要であると考える地域、一旦休校とした学校をコミュニティの核として再開することを検討する地域なども存在するところであり、こうした市町村の判断も尊重される必要があります。
というふうに記載をいたしております。
○宮本(岳)委員 手引は、決して、適正規模とされる十二学級を下回ったから機械的に学校統合を行えというような趣旨ではありません。文部科学大臣も、ことし三月の衆議院文部科学委員会で、地域事情に応じた丁寧できめ細かな対応をするよう周知したい旨答弁をされました。
石破大臣、昨年末閣議決定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略でも、地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視する、あるいは、小規模校の活性化、休校した学校の再開支援にも触れております。
私は、たとえ十二学級を下回っても、地域コミュニティーの核としてしっかり学校を守ることは非常に大事だと思いますし、安易に廃校、廃園せずに、休校にして学校の再開を目指すことが町の未来を失わないためにも重要だと考えます。石破大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 全くそのとおりでございます。
休校もやむを得ないということはございましょう。それはいろいろな理由であろうかと思います。ただ、地方創生ということに取り組むことによって、やがて人がふえる、子供たちがふえる、それで休校であったものがまた再開される。
ですから、文科省において、必ずしも統廃合だけが一つの選択肢ではない、休校という選択肢もあるのだ。休校しているときに、では、そこをどう利活用するかということはまた地域によってお考えをいただくことですが、そこにおいて、例えば、土曜、日曜に前あった学校の子供たちが集まるとか、春休みや夏休みや冬休みに集まるとか、あるいは地域コミュニティーの場として使うとか、いろいろなものはあるのだろうと思っております。
私は、全て廃校にせず休校にすべきだなぞという乱暴なことを申し上げているわけではありませんが、休校という選択肢もあり、そしてまた、それをどうやって利活用し、そして、これでこの学校はなくなっちゃいますよというのと、再開を目指して頑張りましょうねというのは、子供たちの受け取り方も違うのだろうというふうに思っておりまして、休校という選択肢もそれぞれの地域においてより真剣に考えられるべきものだと思います。
○宮本(岳)委員 当然の答弁だと思うんですね。
ところが、総務省はどうか。総務省は、現在、地方自治体に公共施設等総合管理計画というものの策定を求めております。過去に建設された公共施設等が大量に更新時期を迎える一方で自治体財政は依然として厳しい状況にある、人口減少で今後の公共施設の利用需要が減っていく、市町村合併を行った自治体では合併後の施設全体の最適化を図る必要性が生じている、だから公共施設を整理統合せよという計画であります。
昨年四月二十二日、新藤義孝総務大臣名で要請が出されました。これは、地方自治法二百四十五条の四第一項に基づく技術的助言だというのでありますけれども、ことし四月一日の時点で、全都道府県及び指定都市と九八・四%の市区町村で策定が予定され、策定予定なしはゼロということになっております。
総務省に聞きますけれども、この公共施設には公立の小中学校も入っておりますね。
○橋本政府参考人 お答えをいたします。
公共施設等総合管理計画は、地方公共団体が整備、管理する公共施設等を幅広く対象としており、公立の小中学校も含まれております。
○宮本(岳)委員 入っているわけですね。
そして総務省は、この計画を立てるに当たって、全国の自治体に、記載事項や留意事項をまとめた公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針というものを示しました。このガイドラインでは、公共施設や自治体を取り巻く現状や将来にわたる見通し、課題を客観的に把握、分析せよとして、その検討に寄与するものだとして、ホームページ上に更新費用試算ソフトというものまで公開をしております。
総務省に聞きますけれども、このガイドラインの二つ目に挙げられている、「総人口や年代別人口についての今後の見通し(三十年程度が望ましい)」というところに各自治体はどういう数字を入れるんですか。
○橋本政府参考人 公共施設等総合管理計画の策定指針におきましては、今後の人口見通しに関して特定の推計方法を指定はしておりません。
計画の策定済みの自治体を見ますと、国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いている自治体が大部分ではありますが、中には、当該推計を踏まえつつ、一部の数値に地域の実情に応じたより適切な数値を用いるなど、独自の方法により推計を行っている自治体もございます。
○宮本(岳)委員 私、各自治体がどういう計画を策定しているかということで、私の地元大阪では三自治体ということでありましたから、守口、松原市、岬町、三つの計画を取り寄せて調べてみました。今御答弁があったとおり、この三つの自治体は、国立社会保障・人口問題研究所の平成二十五年三月推計というものを使ってこのソフトを動かしております。
総務省のガイドラインで、総人口や年代別人口についての今後の見通しを三十年程度が望ましいとわざわざ注記すれば、各自治体は、社人研が平成二十五年三月に推計した自治体別三十年間推計のデータを用いるのはほとんど間違いのないことだと思います。
ところが、この数字を入れてソフトで計算をしますと、軒並み非常に厳しい結果が出ることになっております。なぜか。当然、この数字を入れれば本当に地獄のような結果が出るのは当たり前だと言わなければなりません。
なぜなら、この社人研の平成二十五年三月推計というものをもとに「地方消滅」という増田レポートが出され、その推計どおりになったら大変なことになるといって地方創生が叫ばれ、石破大臣が任命され、我々は今、当委員会で、その推計どおりにならないようにしようじゃないかという議論をやっているわけですよ。この推計どおりにいかないように議論しているまさにそのときに、総務省はわざわざソフトまでつくって、国立社会保障・人口問題研究所の推計どおりに人口が減少することを前提としてデータを入力させ、いわば地獄絵図を描いてみせて、公共施設も学校も統廃合をあおり立てる。
大臣、これでは、石破大臣は無能である、地方創生特は無力である、こう言われているようなものじゃありませんか。
○石破国務大臣 私は無能ではないと開き直るほど度胸があるわけでもございませんが、まさしく委員御指摘のとおり、そうならないようにしよう、こう言っているわけでございます。ですから、さっきの休校の話でも、努力をして人口がふえましたね、子供たちがふえましたね、だから再開できてよかったですねというふうにしようというのが、これは目的なのでございます。
そうしますと、国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いている自治体もございますが、この推計を踏まえつつ、その地域の実情により、独自の方法による推計を行うものもあるということであって、総務省として、この社人研の数字を何が何でも使えというふうに言っているものとは承知を私自身いたしておりません。
つまり、その地域地域で、これは荒唐無稽な話をしても仕方がありませんが、このように地道な努力でこういうことがあり得るのだということは、それぞれの地方自治体の独自性が当然発揮されてしかるべきものだと私は思っております。
○鳩山委員長 宮本委員、社人研の予想どおりにならないように頑張るのがこの委員会の仕事だと思っております。
○宮本(岳)委員 はい。
総務省に重ねて聞きますけれども、やはり、公共施設等総合管理計画をつくる際には、また更新費用試算ソフトを使用する際には、国立社会保障・人口問題研究所の推計をそのまま使うのではなく、今後の地方創生の努力をきちんと反映させた推計で行うべきだと改めて全国の自治体に徹底すべきじゃないですか。
○橋本政府参考人 お答えをいたします。
今後、公共施設等総合管理計画の策定が本格化いたしますが、人口推計につきましては、それぞれの自治体の判断に委ねられております。国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いる自治体もあれば、地域の実情に応じた独自の推計方法を用いる自治体もある、このように考えております。
○宮本(岳)委員 ぜひ、機械的に用いるべきではないということは総務省から徹底していただきたい。
文部科学省の手引には、将来的な学校再開の可能性も念頭に置いて、学校設置条例の改正は行わず、休校という扱いができるということ、また、その場合には、休校した学校への再開の工夫、教員の加配、これも国の支援を行う、こういうふうになっております。
ところが、これに真っ向から攻撃を加えているのが財務省であります。
きょうは財務省にも来ていただいております。
主計局に聞きますけれども、財務省は、五月十一日の財政審議会に、「標準学級当たり加配教員数の推移」というペーパーを出して、少子化の進展により標準学級数が減少しているのに加配定数がふえているのはおかしい、加配定数は減らせるはずだ、こういう主張を行いました。事実ですね。
○西田政府参考人 お答え申し上げます。
教育は日本の将来にとって重要な課題である一方で、現下の厳しい財政状況のもと、教育予算についても、重点化、効率化を図りながら質の向上を目指すという工夫が必要であると考えておりまして、今回、児童数の減少を踏まえた教職員定数の合理化について問題提起をさせていただいたところでございます。
具体的には、少人数指導などの現在の教育環境を維持するということを前提として、少子化等による基礎定数の自然減に加えて、標準学級当たりの加配教員数を維持した場合でも、少子化に伴う標準学級の減少に伴った加配定数の合理化は可能であるとの試算をお示ししたところでございます。
中長期的な教職員定数の合理化の見通しを立てた上で、それを踏まえた外部人材の活用、教職員採用等を計画的に進めることで、厳しい財政事情の中であっても効果的な教育環境の改善ができるものと考えております。
○宮本(岳)委員 中長期的な見通しに立ってやったとおっしゃるけれども、では、その子供の人口推計は何に基づいてやりましたか。
○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
お尋ねは、同日提出いたしました今後の十八歳人口の見通しというものであろうかと思いますが、当該資料の平成四十五年以降の十八歳人口の予測につきましては、厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所が推計を行って公表している日本の将来推計人口をもとにしたものでございます。
○宮本(岳)委員 間違っているんですよ。それは後の答弁なんですけれどもね。
一枚目に、あなた方が義務制の学校の教員加配を論じたときの平成三十六年度までのこのグラフだって、これは国立社会保障・人口問題研究所の平成二十五年三月推計を使っているとはっきり財務省から答弁をいただいております。
財務省は、血も涙もないと言わなければなりません。子供たちと学校にとって総務省と財務省は冷血コンビだと、私は、きょうはっきり申し上げたいと思います。直ちにこんな主張は取り下げるべきだとはっきり申し上げたい。
さて次に、地方創生を考える上で、地方国立大学の果たす役割は極めて大きいと思います。
石破大臣も、地方版総合戦略の策定に当たっては、「住民や産官学金労言等の参画を得つつ、」と、大学の役割に触れられました。
先日の質疑では、東京から地方へ若い人が移住したとき、やはり最先端の情報が欲しい、もう一度勉強したいというときにどうするかという質疑が交わされましたけれども、地方国立大学は、地方の人材育成とともに、まさにそういう地方における知の拠点としての役割を担っていると思います。石破大臣、そうではありませんか。
○石破国務大臣 御指摘のとおりでございます。
産官学金労言と申し上げましたのは、その地域地域における国立大学が象牙の塔と化し、難しい話ばかりして浮世離れしたことをやられても困りますので、その地域における特性を踏まえながら、どのようにしてその地方の雇用あるいは所得の向上に寄与するかということは極めて重要なポイントだと思っております。
どこもかしこもミニ東大みたいなものをつくると地方大学の意味が全くございませんので、今、先駆的な取り組みが福井大学、高知大学あるいは鳥取大学等々において行われていると承知しており、そういうような大学に対する必要な支援というものが、今後政府において、文部科学省を中心に行われるものと承知しております。
○宮本(岳)委員 ところが、その国立大学が、今、存立の危機に立たされております。
現在、地方国立大学をめぐっては、来年四月からの第三期中期目標・中期計画期間の運営費交付金の配分のあり方をめぐって、政府レベルで枠組みの議論が進んでおります。
資料一を見ていただきたい。
これが国立大学の運営費交付金。年々減らされてきたという事実がこのグラフで読み取れます。基盤的経費である運営費交付金の削減は、今や国立大学の存立さえ脅かす状況になっております。
資料の二に、石破大臣の地元鳥取県の鳥取大学の、ことし二月十日に開催された第三回経営協議会の議事要旨をつけておきました。
下線部、「平成二十七年度運営費交付金交付額は百六億八千万円(対前年度比三億二百万円減)」とあり、「研究経費を前年度の二分の一の額とすること、文部科学省より、大学改革促進係数対象事業費の五%で学長裁量経費を設けることを義務づけられていること、管理的経費において、例年対前年度比二―三%減としているが、一〇%減とする予定である」となっております。
この会議で、豊島学長は、大学数を減らす流れにある中で、いかに本学の強みや特色を生かして、機能強化を進めることにより、本学を存続させていくかが重要と述べております。
文部科学省に聞きますけれども、小中学校のみならず、いよいよ国立大学まで減らそうというんですか。
○義本政府参考人 お答え申し上げます。
国立大学の数を減らす、具体的には再編統合という問題でございますけれども、国立大学の再編統合につきましては、これまでも、各大学の自主的な検討、判断を尊重しながら、教育研究上の大きなメリットがある場合に進めてきたものでございます。
現在、各国立大学において具体的にそのような検討が行われているとは承知しておりません。
○宮本(岳)委員 冒頭、大臣ともやりとりしたように、やはり、地方大学というのは、その地方の知の拠点としてかけがえのない役割を持っているわけですよ。自主的な検討だと言うんですけれども、まさに大学からは悲鳴のような声が上がっております。
資料三に、私の母校和歌山大学の経営協議会外部委員が連名で、ことし一月六日に発表した声明をつけておきました。
下線部、「とりわけ、特任の教員は、身分は不安定ではあるものの、正規の教員に伍して地域社会の発展に大きく貢献し、安倍内閣が推し進める地域創生に重要な役割を果たしてきた。 しかしながら、いまそのような経営努力も限界に達してきており、これ以上の運営費交付金の削減がなされると、」「大学現場はますます疲弊し、大学における教育研究の質の低下を招くことはおろか地域への貢献も十分果たせなくなる。」こうなっております。
石破大臣、こんなことで地方創生が進むと思われますか。
○石破国務大臣 それは、それぞれの大学においてそれぞれの御事情があろうかと思います。
ただ、和歌山大学からこのような悲鳴のような声が上がっているということを、私どもは、とにかく金がないのだ、我慢しろということで片づけるということがあってはならないと思います。
ただ、私は文科省の立場で申し上げているわけではありませんので、無責任に聞こえたら大変申しわけないのですが、この和歌山大学にせよ、これは和歌山大学に限ったことではない、いろいろな大学がそういうようなことがあるのだろうと思っております。
こういうような状況を文科省において適切に判断をされて、対応されるものというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 この声明を発表したのは経営協議会の外部委員なんです。私は反対しましたが、文部科学省は、大学のガバナンス機能の強化などと称して、学校教育法と国立大学法人法を改正してまで学長権限を強化し、国立大学法人の経営協議会の外部委員の割合を過半数にふやしたんですね。これは、外部の目が入れば大学の無駄や非効率が正される、象牙の塔と先ほど大臣がおっしゃったようなところを正すために外部委員の数をふやすんだという理屈でありました。
しかし、実際に入ってみたら、外部の目から見ても、もう無駄などどこにも残っていない。それどころか、このままだと地方国立大学の存立を危惧せざるを得ない、こういう声が地方経済界からも上がっているというのがこの外部委員からの声明の中身なんですね。
外部委員連名の声明が発せられた大学は和歌山大学だけではありません。その後も続々と続いております。文部科学省、今までに何大学の外部委員の声明が出ておりますか。
○義本政府参考人 お答えいたします。
本年一月以降、これまでに十七の国立大学の経営協議会の外部委員から連名で声明等が発せられたと承知しております。
○宮本(岳)委員 既に十七大学。今後も続いています。私は手元に十七全部を持っていますけれども、続々と外部委員が連名でそういう声を上げておられる。
山形大学の学外委員声明には株式会社ファミリーマートの代表取締役会長が名を連ねておられますし、名古屋大学ではトヨタの会長、中部電力や日本ガイシの相談役、日本IBMの副会長、静岡大学ならヤマハの顧問など、そうそうたる経済人が、このままでは地方国立大学が大変なことになると声を上げておられるわけです。
文部科学省に聞きますけれども、あなた方は、学外委員をふやし、社会の目を取り入れ、地方経済界の声を入れれば大学のガバナンスが強化されると言ってきたわけですから、ゆめゆめこれらの声明を無視するというようなことはないでしょうね。この声を尊重いたしますね。
○赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、本年一月以降、これまでに十七の国立大学の経営協議会学外委員が連名で声明を出されたことについては承知をしております。国立大学の多様な教育研究活動の基盤を支える国立大学の運営費交付金の役割は大変重要である、これらの声明についてはそうした観点からの御意見であるということを承っております。
文部科学省におきましては、委員が先ほど御指摘のとおり、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これに並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的とした競争的研究費の改革の検討も一体的に進めているところでございます。運営費交付金と競争的研究費の一体改革を進めつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
国立大学の強み、特色をしっかり生かしていく教育研究、また、喫緊の課題である大学改革を強力に推進していくためにも、マネジメント改革による学長のリーダーシップの確立、各大学の強み、特色の最大化など自己改革に積極的に取り組む国立大学に対して、めり張りある重点改革をしてまいりたいと存じます。
ちなみに、委員先ほど御指摘の鳥取大学なんですが、確かに全体としては減ってはいるわけでありますが、実質、よくよく見てみると、義務的経費が四億五千万減らされておりますが、実質的な教育研究に関してはプラス、一・五億円ふえている。各大学の個別の事情もございますので、一概にはなかなか言えないのではないかと考えている次第です。
以上です。
○宮本(岳)委員 そういうことを言っているから、財政審で、いやいや、運営費交付金は減らしていると言うけれども、今おっしゃった競争的経費、科研費補助金がふえて、両方足せば大学は引き続き金を使い続けているではないかと財務省に指摘されるようなことになるわけですよ。
来年度の概算要求では、当然、基盤的経費、運営費交付金、増額要求するんですね。
○赤池大臣政務官 当然、社会、経済が高度化、複雑化して、国際交流が進んでまいりますので、委員御指摘のとおり、国立大学というのは新しい社会、産業に対応した重要な拠点である、特に地方国立大学はそう考えている次第でございます。その一方で、自己改革もしっかり進めていただきたいということは考えている次第でございます。
多様な教育研究、さらに地方貢献を含めて、国立大学法人の運営費交付金の役割は重要であり、来年度の概算要求につきましては、当然、これは政府全体の概算要求の方針というものがございますので、それに基づいてしっかり検討してまいりたいと存じます。
○宮本(岳)委員 財務省は、先日の財政審で、国立大学についてもさらなる運営費交付金の削減を主張いたしました。その根拠になっているのが、十八歳人口は減少傾向にあり、今後もその傾向が続くものと予想されているというグラフであります。先ほど答弁していただいたのはこのことなんです。このグラフは、先ほど答弁があったように、これまた国立社会保障・人口問題研究所の将来推計に基づいて、もっともっと大学の予算は減るはずだということを財務省は主張しているわけですね。私は本当にこれはひどいと思うんですよ。
委員長、私は、当委員会に総務大臣と財務大臣の出席を求めて引き続きこの問題の質疑を進めなければならないと考えます。また、声明を発せられた地方国立大学の経営協議会関係者並びに前回私が大臣とやりとりさせていただいた、三位一体改革と平成の大合併が失敗だったとお認めになっている西尾勝第三十次地方制度調査会会長をお招きして参考人質疑を行うことも必要だと考えます。
ぜひとも御検討、お取り計らい願いたいと思います。
○鳩山委員長 それは、けさ、委員会前の理事会でも幾つかの提案がありましたので、それらを含めて理事間で、オブザーバーなども入って結構ですから、議論をしてください。協議をしてください。
○宮本(岳)委員 先日の財政審での財務省の主張たるや、十八歳人口が減るのに大学教員の数が多過ぎる、運営費交付金は減っているが、科研費補助金などを足せば合計額はふえている、東大や京大は産学連携でもっと金を稼げ、あげくの果ては、大学の授業料を値上げしろ、そこまで言っているわけですよ。そんなことで我が国と地方の未来が守れますか。
大臣、最後に、石破大臣の、地方創生の観点からも地方国立大学をしっかり守っていくという御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○石破国務大臣 私も、小学校、中学校は鳥取大学附属というところで学びました。ですから、鳥取大学の学生さんと接する機会も多かったです。また、鳥取県庁なんかも鳥取大学の出身者がたくさんおりましたし、私どもの秘書も鳥取大学の出身者がほとんどでございます。ですから、地方大学に対する愛着というのは物すごく強く持っております。
地方大学がこれから先、地方において果たすべき役割は、大きくなることこそあれ、小さくなることがあっては絶対にならないと思っております。
同時に、しばらく人口が減り続けるということは間違いない事実であるということ、そしてまた、今文科省と総務省で最終的に詰めていただいておりますが、地方で就職するお子さんに対しては奨学金を全額あるいは一部免除する等々、いろいろな工夫があるのだろうと思っております。
学ぶ側、そしてまた教える側や地域、そういうような意見交換がなされながら、地方大学の役割がより発現されることが望ましいと考えております。
○宮本(岳)委員 終わります。ありがとうございました。