暮らし優先で経済再生を(動画)
暮らし優先で経済再生を 所得税法等改定案 宮本岳志氏主張(しんぶん赤旗)
第190回国会 本会議 第11号
平成二十八年二月十六日(火曜日)
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平成二十八年二月十六日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
議員辞職の件
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
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議員辞職の件
○議長(大島理森君) 去る十二日、議員宮崎謙介君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。
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辞職願
今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。
平成二十八年二月十二日
衆議院議員 宮崎 謙介
衆議院議長 大島 理森殿
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○議長(大島理森君) これにつきお諮りいたしたいと思います。
宮崎謙介君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。
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所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣麻生太郎君。
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げさせていただきます。
本法律案は、経済の好循環の確立、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮、少子化対策・教育再生、地方創生の推進、国際課税の枠組みの再構築、震災からの復興支援等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。
以下、その大要を御説明申し上げます。
第一に、経済の好循環を確実なものとするため、法人税について税率の引き下げ及び欠損金繰越控除制度の見直し等を行うことといたしております。
第二に、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮のため、消費税の軽減税率制度の創設等を行うことといたしております。
第三に、少子化対策及び教育再生のため、三世代同居に対応した住宅のリフォームを支援するための住宅ローン控除の特例の創設、公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除制度の見直し等を行うことといたしております。
第四に、地方創生の推進のため、認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度の創設、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充等を行うことといたしております。
第五に、国際課税の枠組みを再構築するため、多国籍企業情報の報告制度の創設等を行うこととしております。
第六に、震災からの復興を支援するため、被災関連市町村から特定の交換により土地を取得した場合の登録免許税の特例の創設等を行うこととしております。
このほか、クレジットカードによる国税の納付制度の創設等を行うとともに、特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。
以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(大島理森君) 宮本岳志君。
〔宮本岳志君登壇〕
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、所得税法等改正案について総理に質問いたします。(拍手)
総理は、施政方針演説で、三年間のアベノミクスは大きな果実を生み出したと自画自賛してみせました。しかし、一月の読売の世論調査でも、国民の七割が、安倍内閣のもとで景気の回復を実感していないと答えています。
大体、本当にそれほど経済がうまくいっているのなら、これほど国民の間から、暮らしや営業、雇用や老後をめぐって不安と怨嗟の声が上がるはずがないではありませんか。
確かに、大企業は、アベノミクスのもと、二年連続で史上最高の利益を更新し、内部留保は今や三百兆円を突破しました。
しかし、国民の暮らしはどうか。厚生労働省が二月八日に発表した二〇一五年の毎月勤労統計によると、実質賃金指数は前年を〇・九%も下回り、四年連続でマイナスです。
今起こっていることは、経済の好循環どころか、一層の貧困と格差の広がりではありませんか。総理の答弁を求めます。
アベノミクスの三本の矢は完全に破綻しました。異次元の金融緩和のかけ声のもと、日銀が年間八十兆円もの日本国債を買い入れ、市場に通貨を放出し、円安と株高を演出する政策も、もはや破綻は明瞭です。日銀は、マイナス金利などという禁じ手に手を出したあげく、経済と金融の安定性さえみずからの手で破壊し、円高と株価の乱高下を招いています。
内閣府が昨日発表した昨年十―十二月のGDP速報値は、前期比年率でマイナス一・四%と、GDP六百兆円どころか、逆に日本経済は縮小しています。その最大の要因が、GDPの六割を占める個人消費の減にあることは明らかです。総理、この現実を直視するなら、アベノミクスの破綻はもはや明瞭ではありませんか。
ところが、政府は、アベノミクスの第二ステージなどと言って、最初の三本の矢の総括も反省もないままに、性懲りもなく新三本の矢なるものを持ち出してきました。総理は、最初から設計図があるような簡単な課題ではないなどと言いますが、その設計図は、紛れもなく財界、経団連が描いたものであります。
昨年一月一日に経団連が発表した「「豊かで活力ある日本」の再生」と題した提言では、既に、GDP六百兆円の実現や人口一億人の維持などが打ち出されています。何よりも、経団連の榊原会長自身が、経団連ビジョンで掲げた目標とほぼ内容的には軌を一にしていると大いに評価しているではありませんか。答弁を求めます。
経団連は、この提言で、実効税率二五%までの法人税引き下げを求めていますが、財界の言うまま、さらなる法人税減税を進めるのですか。あわせて答弁を求めます。
本法案の内容である税制改正大綱は、この財界の意を受けたものであり、国民には消費税の増税など一層の負担を押しつけつつ、大企業には法人税減税の大盤振る舞いを続けようとするものです。法案では、大企業に、法人税のさらなる引き下げで、一兆円もの減税をばらまいてやろうとしています。
財界は、日本の法人税率は高いと言いますが、事実に反します。法定実効税率は、既に、二〇一一年度の三九・五%からことし三月期の三三・一%に引き下げられ、フランスの三三・三%、ドイツの二九・五%に比べても大差はありません。大体、あなた方がお手本のように言うアメリカのニューヨーク州の法定実効税率は、四五%を超えています。
麻生財務大臣は、先日の財務金融委員会で、今回の改革で国際的に遜色のない水準へ移行できたと述べられました。総理も財務大臣と同じ考えかどうか、答弁を求めます。
大企業優遇の減税策は枚挙にいとまがありません。
報道によれば、研究開発減税を初めとする租税特別措置による政策減税は安倍政権下で倍増、二〇一四年度には少なくとも約一兆二千億円に上ると言われます。しかも、減税額のうち約六割を資本金百億円超の大企業が受けており、まさに大企業優遇措置ではありませんか。例えば、二〇一四年度の研究開発減税は六千七百四十六億円と過去最高に達し、その九割以上は資本金十億円超の大企業に対するものです。
総理、日本の大企業の法人税は、実質税負担率で見れば、高過ぎるどころか低過ぎるのです。これ以上引き下げる必要がどこにあるのか、答弁を求めます。
総理、消費税は、低所得者ほど負担が重い、逆進性を持つ税制です。この税率を引き上げれば、その逆進性も一層高まります。
たとえ食料品等の消費税率を現行の八%に据え置いたとしても、低所得者層ほど消費税負担の増加率が高まる、すなわち逆進性も高まるということをお認めになりますか。
一〇%への増税が、景気悪化の引き金を引き、日本経済に追い打ちをかけることは明瞭です。来年四月からの増税はきっぱり中止すべきではありませんか。答弁を求めます。
あなた方は、軽減税率があたかも低所得層に配慮したもののように言いますが、とんでもありません。
私は、先日の財務金融委員会で、来年四月の消費税一〇%への引き上げ時に簡素な給付措置が打ち切られること、これは、消費税八%への引き上げ時に、住民税非課税の約二千二百万人に対して、消費税引き上げに伴う食料品支出額の増加分、三%分を補填するという建前の給付金であったことを明らかにしました。
簡素な給付措置が食料品の消費税三%分に値したかどうかはともかく、来年四月、それを打ち切れば、たとえ軽減税率によって食料品等の税率を八%に据え置いたとしても、低所得世帯には二重の負担増になるのではありませんか。答弁を求めます。
私の問いに麻生財務大臣は、簡素な給付措置打ち切りによる三%分の負担増を認めざるを得なくなり、消費税の引き上げの増収分は、全額社会保障費等々の充実、安定化に充てるなどと、その使途の問題にすりかえることしかできませんでした。
しかし、消費税は既に八%に増税されたが、社会保障の充実などどこにもありません。年金も介護も医療も、負担増と給付減のオンパレードであります。その上、安倍内閣は、毎年一兆円とも言われる社会保障の自然増を五千億円程度に圧縮することを決め、小泉内閣以上の血も涙もない社会保障費削減に踏み出しています。
総理、これでは、社会保障と税の一体改革の看板に偽りありと言われても仕方がないではありませんか。答弁を求めます。
また、いわゆるインボイス方式を前提にした軽減税率は、業者の実態を無視するもので、麻生財務大臣でさえ面倒だと言うのは当然です。インボイスが発行できない事業者は取引から排除され、実質的には免税点の形骸化につながることになります。免税業者は潰れても構わないということなのか、答弁を求めます。
国民には一人当たり二万七千円、世帯当たり六万二千円もの消費税増税を押しつけながら、大企業には法人税減税や研究開発減税などの大盤振る舞い、このような経済政策、税制は全く逆立ちしています。
今こそ、我が党が提案している、貧困と格差を正し、暮らし最優先で日本経済再生を図るまともな道に経済、税制のかじを切りかえることを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本岳志議員にお答えをいたします。
アベノミクスと格差の拡大についてお尋ねがありました。
アベノミクス三本の矢の政策によって、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、政権発足以降、名目GDPは二十七兆円増加し、企業収益は過去最高となりました。そして、好調な企業収益を雇用・所得環境の改善につなげることにより、就業者数は百十万人以上増加し、賃上げ率は二年連続で大きな伸びとなるなど、経済の好循環を生み出しました。
御指摘の実質賃金については、景気が回復し、雇用が増加する過程において、パートで働く方がふえたことなどから、二〇一五年は前年比でマイナスとなりましたが、変動の大きい賞与の影響を除けば、昨年七月以降増加傾向となっています。基本給を示す所定内給与は十カ月連続のプラスとなっており、パートで働く方を除いた一般労働者で見ると、二十カ月連続のプラスとなっています。さらに、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても実質で見ても増加傾向となっています。
こうした中で、格差が固定しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、さまざまな取り組みを行ってきた結果、パートで働く方々の時給は、ここ二十三年間で過去最高の水準となりました。また、不本意ながら非正規の職についている方の比率は低下しているなど、若者を含め、非正規雇用を取り巻く環境は着実に改善しております。
今後とも、最低賃金の引き上げなど、アベノミクスを一層強化し、雇用の改善や賃金の上昇が消費や投資の拡大に結びつく経済の好循環を継続してまいります。
アベノミクスについてお尋ねがありました。
今般のQEでは、実質成長は、記録的な暖冬の影響を背景に前期比マイナス〇・四%となりましたが、名目雇用者報酬は前年同期と比べ一・八%ふえ、設備投資も小幅ながら二期連続プラスとなっています。二〇一五年暦年で見れば、実質、名目ともにプラス成長となっており、名目GDPは政権交代前から二十七兆円ふえました。
このように、経済成長する中、国、地方を合わせた税収は二十一兆円増加し、就業者数は百十万人以上ふえ、賃上げは、昨年、過去十七年間で最高の伸びとなるなど、経済の好循環が着実に生まれています。アベノミクスが破綻しているとの御指摘は全く当たりません。
雇用・所得環境の改善が続く中、消費者マインドも持ち直し、個人消費も持ち直していくことが期待されます。より力強い賃金上昇の実現を促すとともに、消費の底上げ効果が発現するよう、最低賃金の引き上げを含め、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
経団連ビジョンについてお尋ねがありました。
日本経済は、デフレ脱却まであと一息のところまで来ていますが、個人消費の改善テンポがおくれ、企業収益に比して設備投資が弱い状況にあります。また、景気回復による有効求人倍率の上昇と生産年齢人口の減少の中で、人手不足も顕在化しています。
このため、アベノミクスの三本の矢を束ね、一層強化し、新たな第一の矢である希望を生み出す強い経済を、名目GDP六百兆円の実現に向け、放つこととしました。そして、賃上げを通じた消費の拡大、生産性革命による民間投資の拡大等を図るとともに、第二の矢である夢を紡ぐ子育て支援、第三の矢である安心につながる社会保障を、希望出生率一・八、介護離職ゼロという明確な目標に向けて放ち、成長と分配の好循環を図ることとしました。これにより、経済成長の隘路の根本にあり、一億総活躍の最も根源的な課題である少子高齢化という構造的な問題、長年の懸案であったこの少子高齢化という問題に真っ正面から取り組んでまいります。
御指摘の経団連ビジョンは、従来の三本の矢を背景とした提案であり、新三本の矢と軌を一にするところがあるものと理解しています。官民が方向性を共有していることはよいことであり、産業界には、新三本の矢の実行について、賃上げや民間投資の拡大を通じて貢献をいただきたいと考えております。
法人実効税率の水準やさらなる引き下げについてのお尋ねがありました。
今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、課税ベースの拡大等により、必要な財源をしっかりと確保した上で、目標としていた法人実効税率二〇%台を改革二年目にして実現するものであり、国際的に遜色のない水準へと改革を行うものと考えております。
今後については、まずは経済界の投資拡大や賃上げへの取り組み状況を見きわめつつ、検討してまいります。
政策税制と法人税改革についてお尋ねがありました。
アベノミクス三本の矢の政策により生まれた経済の好循環を受け、来年度予算の税収は政権交代前に比べて約十五兆円ふえ、そのうち法人税収は三・四兆円増加しております。
法人税において、二十六年度の政策税制の利用額がふえていることについては、二十五年度及び二十六年度の税制改正において、企業の賃上げや投資拡大を支援するため政策税制を充実した結果であると受けとめており、政労使会議の開催といった取り組みのほか、こうした政策税制も一つのきっかけとして二年連続の大幅な賃上げが実現するなど、経済の好循環が確実に生まれてきたものと考えております。
また、今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、賃上げや設備投資に一層積極的に取り組むよう促すための改革であり、これにより、企業のマインドが変わり、賃上げ等の取り組みにつながっていくことを期待しております。
消費税率引き上げによる低所得者の負担についてお尋ねがありました。
まず、消費税率引き上げによる税収分は、全額社会保障の充実、安定化に充てることで、所得の低い方々にしっかり配慮するとともに所得再配分につながるものであることを申し上げます。
その上で、御指摘のように、消費税には、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いといういわゆる逆進性があり、一〇%への引き上げに当たっては、その分逆進的になることから、それを緩和する観点から、ほぼ全ての人が毎日購入している、酒類及び外食を除く飲食料品等を対象に軽減税率制度の導入を決定したところであります。
消費税率の引き上げについてお尋ねがありました。
世界的にリスク回避の動きが金融市場で広がる中、我が国の市場でも変動が見られていますが、これは、中国の景気減速への懸念や原油価格の低下、米国の利上げの動向等の海外要因が背景と見られています。
しかしながら、我が国の実体経済を見れば、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは二十七兆円ふえ、企業の収益は過去最高となり、就業者数は百十万人以上増加するなど、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。こうしたファクトをまずはしっかりと見ていただきたいと思います。
来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会から国の信認を確保するためのものです。リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。経済の好循環を力強く回していくことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
簡素な給付措置についてお尋ねがありました。
簡素な給付措置は、消費税率引き上げの影響を緩和する観点から、税制抜本改革法に基づき、軽減税率制度、総合合算制度または給付つき税額控除のいずれかが導入されるまでの間の暫定的、臨時的な措置として実施してきているものであります。
一方、社会保障・税一体改革は、消費税率引き上げによる増収分を活用して社会保障の充実、安定を図り、世界に誇る我が国の社会保障制度を持続可能なものとして次世代に責任を持って引き渡すために取り組んできているものであります。
その際には、所得の低い方々にしっかりと配慮する観点から、酒類、外食を除く飲食料品等を対象とした軽減税率制度を導入するとともに、社会保障の充実の一環として、国民健康保険料や介護保険料の軽減の拡充、年金生活者支援給付金などの措置を講じることとしており、こうした施策とあわせて評価していただく必要があると考えています。
消費税増税と社会保障についてのお尋ねがありました。
消費税増税の引き上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡すとともに、国の信認を維持していくためのものであり、増収分は、全額社会保障の充実、安定化に充てられます。
消費税率の八%への引き上げに際しては、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げや、所得の低い方々に対する国民健康保険料等の軽減の拡充、高額療養費制度の自己負担限度額の引き下げ、そして難病対策の充実などを実施しました。
このことからも、消費税の使途に社会保障の充実などどこにもないとの指摘は全く当たりません。
同時に、社会保障の効率化や制度改革に不断に取り組んでいくことが重要です。
これまでの三年間は、経済雇用情勢の改革の改善により、生活保護や雇用関係の費用の伸びが抑制されるとともに、薬価改定などの制度改革により、社会保障関係費は年平均五千億円程度の伸びにおさまってきました。その基調を二〇一八年度まで継続していくこととし、これからも、負担の公平性の確保や公的保険給付の適正化に取り組みます。
これは、社会保障費の伸びに機械的にキャップをかけて抑制する手法ではなく、必要な給付やサービスの質を維持しながら効率化を図っていくものであります。
このように、社会保障の充実、安定化と、効率化や制度改革の取り組みは、持続可能な社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たしていくために、ともに欠くことのできないものであり、社会保障と税の一体改革の看板に偽りありとの指摘は全く当たりません。
インボイス制度についてお尋ねがありました。
軽減税率制度の導入に当たって、適正な課税を確保する観点から、いわゆるインボイス制度を導入することとしています。
他方、その導入時期については、事業者の準備に配慮し、平成三十三年四月としたところであります。
また、インボイス制度のもとでは、課税事業者からの仕入れでなければ仕入れ税額控除ができないため、免税事業者が納入先企業等から短期間のうちに課税事業者への転換を求められたりすることのないよう、インボイス制度導入から六年間の経過措置として、免税事業者からの仕入れについて一定割合の仕入れ税額控除を認めることとしました。
税制改正法案においては、政府は、インボイス制度の導入に係る事業者の準備状況等を検討しつつ、必要な対応を行う旨を明記しており、しっかりと事業者への対応を行ってまいります。
なお、免税事業者が実際に課税事業者に転換するか否かは事業者間取引を行っているかいないか等によるため、インボイス制度の導入は必ずしも免税点制度の形骸化につながるものではなく、現にインボイス制度を導入している諸外国でも免税点制度が存在しているものと承知しております。(拍手)